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目次
福祉と人権を考える目次
1人権週間に考えて見ましょう
(1)はじめに
(2)平成16年 第56回人権週間の強調事項
2 国連や国の取組み
(1)世界人権宣言と国際人権規約
(2)「人権教育のための国連10年」と我が国の取組み
(3)人権擁護法案のゆくえ
3 人権侵害の実態
(1)平成15年人権侵害事件の状況
(2)差別虐待の現状
(3)新たな人権問題
4 福祉サービスと人権
(1)福祉関係者と人権
(2)「利用者本位の福祉」と人権の尊重
(3)福祉施設における取組事例

4 福祉サービスと人権


(1)福祉関係者と人権

「『人権教育のための国連10年』に関する国内行動計画」では、人権教育の積極的な推進を図る必要があるとし、その推進にあたっては、人権にかかわりの深い特定の職業に従事する者に対して、人権教育に関する取組みを強化する必要があるとされました。「特定の職業」の具体例の中には、公務員や教員などと並んで福祉関係職員が掲げられています。

また、社会福祉法は「福祉サービスの基本的理念」を、個人の尊厳を保持するとともに、利用者が個々の能力に応じて自立した生活が送ることができるよう支援するもので、良質で適切なものでなくてはならないと定めています。

私たちが、職場や地域社会で多くの人たちとかかわり合いをもって生きていく上で、一人ひとりの違いを認め合い、お互いの人権を尊重していくことはとても大切なことですが、対人サービスを提供する福祉分野では、日々の仕事そのものが人権に関わっているといえるでしょう。福祉に関係する人たちは決して人権について無関心であってはなりません。

(2)「利用者本位の福祉」と人権の尊重

ところで、東京都では、利用者本位を徹底する新しい福祉の構築を目指して、「選択」、「競い合い」、「地域」をキーワードに福祉改革に取り組んでいます。この福祉改革を実現するための方策の一つとして、「福祉サービス第三者評価制度」が、昨年7月から本格実施に移されています。この制度は、事業者から提供されるサービスを第三者が評価し、その評価結果などの情報を提供する利用者支援の仕組みです。この第三者評価における「事業評価共通評価項目」の確認すべき内容として、プライバシーの保護や人権の擁護に関する項目があるのをご存じでしょうか。

高齢者や障害者、子どもなど福祉サービスを必要とする方の人権が尊重されているかどうか、福祉に関係している一人ひとりの職員の人権意識が今まで以上に問われてくるものと思います。

(3)福祉施設における取組み事例

経営改革に向けた一連の取り組みのなかで、経営理念の明確化とそれを全職員で実現するための仕組みづくりとして、マニュアルによるサービスの質の向上を目指したA社会福祉法人(知的障害者通所授産施設)の事例をご紹介しましょう。
ここに掲げたのは、利用者と接するにあたっての指針を職員間で協議し、「職員行動規範」(抜粋)として作成されたものです。人権問題が正面からとらえられています。

社会福祉法人○○会職員行動規範

【前 文】

  知的障害者は長く、社会から差別的な待遇を受け、多くの権利が無視されてきた。この間、本来ならば彼らを支え、待遇の改善を進めるべきはずの施設並びに施設職員のなかには、それを怠るどころか、残念ながら権利を踏みにじるような対応をしてきた事例があることを忘れてはならない。私ども○○会の歴史においても、常に利用者の権利が守られてきたと断言できるか、改めて自戒すべきことである。

  その前提に立ち、私たちは改めて○○会の基本理念「知的障害をもつ方たちが、地域社会で幸せに暮らすことをめざします」の実現を職員一同で共有するとともに、職員として日々の責務、並びに利用者と接するにあたっての指針として本文を行動規範として明らかにすることとした。

【基本姿勢】

 1 利用者の人間としての人格・尊厳を尊重し、その権利擁護に努めなければならない。

 2 支援者としての立場を自覚し、利用者の主体性、個性を尊重しなければならない。

 3 日頃から利用者の信頼を受け、かつ模範となるべき態度・行動を心がけなければならない。

【行動規範】

第1章 利用者の人格・尊厳の尊重(1~7略)

第2章 暴力・威圧の禁止(8~11略)

第3章 守秘義務の厳守(12略)

第4章 支援者としての自覚、利用者の主体性の尊重(13~18略)

第5章 利用者の信頼を受けかつ模範となるべき態度・行動(19~26略)

[運 用]

27 本行動規範は、職員自らが基本的姿勢を向上させていくシステムのひとつとして活用される。

28 上記行動規範を違反したもの、並びに目撃したものは、必ず上司に報告しなければならない。

29 違反が甚だしい職員、改善が見られない職員に対しては、「就業規則」の「懲戒」の項が適用される。

30 本行動規範は常任理事会において管理し、半期に一度、職員の意見を聞いた上で必要に応じて見直しを行う。

平成14年  月   日策定

※この特集は、法務省人権擁護局や東京都総務局人権部が発行した出版物・報告書等を参考にしました。

 




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