評価結果
基本情報
事業者の理念・方針・期待する職員像
事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)
1) 女性の解放
2) 女性の自立
3) 自己決定
4) 児童の主体性を育てる
5) 就労の継続
職員に求めている人材像や役割
・児童一人ひとりの特性を理解し、受容できる。
・問題が起きても、ポジティブかつ建設的な姿勢を持てる。
・チームワークが取れる。
・利用者にとって信頼できる存在であること。
職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)
・“この一人のために”という気持ちを持ち続けること。
・今、目の前に居る利用者に何ができるのか、を常に考え、利用者の状態に合わせた対応ができること。
・仕事を含めた自分の人生を楽しむこと。
全体の評価講評
特によいと思う点
職員は、日常生活の中で子どもが発する声や思いを見逃さず、子どもたち一人ひとりに寄り添い、きめ細やかな支援を行っています。家庭的な雰囲気の中、日々の生活を通して、様々な事情を抱えた子どもたちが自立に向けた基本的な生活のスキルや知恵、社会ルールについての学びを積み重ねています。子どもの就労支援での関わりや心のケアなど、子どもの多様な悩みや躓きに対し、職員が真摯に向き合い、共に考える支援を提供することで、子どもたちは職員と信頼関係を築き、自己肯定感を持って主体的に生きていくための人生の基盤を育んでいます。
前年度の大規模改修後の施設の写真差し替えを機に、ホーム案内のリーフレットやホームページ(HP)を一新しました。リーフレットには「この一人のために」と、目の前の利用者に寄り添う法人理念の他、退居時の自立に向けたステップをイラストと優しい文言で示し、ホームでの生活イメージを描きやすくしています。HPには退居者限定のパスワード保護されたサイトも設け、「いっしょごはん」等のイベント案内にも活用しています。広報誌「ミカエラホーム便り」は発行回数を増やし、支援の姿勢や取り組みを盛り込み、関係機関等に広く配付しています。
全国や都レベルの行政・業界団体の会議・研修に参加を続けているほか、区の社会福祉協議会や地区の他法人施設等とのつながりもでき、ホームとしての新たな活動に活かしています。当ホームはシェルター機能も担うため公開や交流には制限がある中で、毎年度、教会のバザーや併設宿泊寮のミニバザーの運営に協力しています。さらに、地域のボランティア講座への参加や、児童養護施設や女性センター等への見学・見学の受け入れ、退居者が集える場の企画・実施等、機能や専門性を活かした新たな社会貢献の取り組みを進めています。
さらなる改善が望まれる点
子どもを主体とする支援方針により、個々の目標設定は面談を通じて子ども自身が立てる目標をスタート地点に置いており、子どもにとって納得性の高いものとなっています。子どもの状況は職員が日々の寄り添う支援の中で把握し、必要な働きかけを行っています。一方で、アセスメントのための書式はなく、子どもの課題が明確に可視化できる状態にはなっていません。退居までの目標と現状とを比較し、課題を明確にして自立支援計画に盛り込み、支援の振り返りや進捗管理ができるような体系的な仕組みの構築が望まれます。
日々の業務日誌には子どもの個別目標が記載され、日々の支援の中で職員が目標を意識できるよう工夫しています。その仕組みをさらに生かすためには、個別目標に沿って職員が具体的にどのような支援を行い、その経過や結果がどうであったのか、自立支援計画の見直しにもつなげられる内容を意識的に記述することが望まれます。また、行事の企画や実施内容、反省・振り返りの記録をはじめ、全般的な業務に関する記録の作成・保管のルールについて統一を図り、読み手に伝わりやすく、職員間で活用しやすいように情報を整理する工夫も期待されます。
法人や関係団体の研修を案内し、職員が希望する研修に参加できるよう配慮しているほか、毎月ホーム内で職員スーパービジョンの機会も設けています。研修受講後は報告書を作成し、回覧や職員ミーティングで成果を共有することとしていますが、近年は滞りもみられており、ICTの活用など実施方法の見直しも必要と思われます。また、職員個別の「目標シート」の仕組みについても有効に活用し、研修受講やキャリアパスに応じた長期的な育成と連動させる等、職員個々とホーム全体の質の向上に向けた取り組みを見直し、促進を図ることが期待されます。
事業者が特に力を入れている取り組み
ジョブトレーナーを兼務するホーム長とアフターケア担当職員の2名で退居者支援にあたっており、昨年度から定期的に退居者との食事会「一緒ごはん」を年間10回程実施しています。開催が迫ると退居者にメールやアプリを通じて知らせるとともに、リニューアルしたホームページで集いの予定や様子を発信しています。近隣のレンタルスペースを借りることで、退居者が気楽に集え、手作り料理を食べながら近況報告をし合い、子育て中の参加者にもホットできる場になっています。担当職員は話の聞き役となり、退居後の継続的な支援に取り組んでいます。
職員や夕食作りボランティアは、子どもたちの嗜好をよく把握し、バランスの良い献立の食事を提供しています。食材配達も活用していますが、旬の食材を取り入れたメニューやリクストメニューも考慮し、美味しい食事を食べさせたい思いから、食材購入にも出かけて調理しています。品数も多く、子どもたちが自分に合った食べたいメニューを選択でき、朝のお弁当も自分で詰める等して持参しています。職員もそれぞれに手の込んだメニューを工夫したり、カレーでも甘口・辛口を用意したりと、食から心の豊かさにつながるよう思いを込めて作っています。
利用者調査結果
調査概要
- 調査対象:令和元年9月現在、当ホームに入居している子ども(総数5名)全てを対象として調査を実施しました。
- 調査方法:アンケート方式,聞き取り方式
希望する子どもには聞き取り方式により個別面談を行って調査を実施しました。他の子どもに対してはアンケート方式により、職員から調査票と返信用封筒を手渡してもらい、記入した調査票は無記名・封かんの上、評価機関宛に郵送してもらい、回収しました。 - 有効回答者数/利用者総数:5/5(回答率 100.0% )
ホームに対する総合的な感想では、回答者5名全員が「よい」と回答しており、非常に高い評価が得られています。設問別でも、全15問のうち5問において回答者5名全員が「はい」との肯定的な回答を行っているほか、「いいえ」との回答も、「5.ホーム内の清掃、整理・整頓は行き届いているか」と「6.職員の接遇・態度は適切か」で1名(20.0%)ずつのみとなっています。総合的な自由意見では、「にぎやかなところで、子どもも職員も明るい。女の子しかいないので、言いやすいし、生活もしやすいので、不満はありません」、「アットホーム。今のホーム生のメンバーが良いし、職員にも慣れて、自分の家みたいなので不自由はありません。退所後の住居のことでもいろいろと選択肢をくれました」、「職員がホーム生のことを考えていることが伝わってくるので、とても過ごしやすいです。今、ホームにいる子達が落ち着いていて、トラブルも滅多にないので、安心して生活できています」等の声が寄せられています。一方で、「自分は職員との信頼関係があるのですれ違いがあっても平気ですが、新しく入って来た子には伝え方は気にした方がよいと感じることもあります」等の意見も寄せられていました。
アンケート結果
1.食事の時間がくつろげるひとときになっているか
回答割合は、「はい」が100%となっています。 自由意見では、「食事は自分に合った献立を選べましたが、どれもおいしいです。自立訓練期間中は自分で食事を作りました」、「みんなとしゃべりながら食べてリラックスできます。献立が多く作られていて選べるので、嫌いな物は食べなくてすみます」、「手の込んだメニューを作ってみたという職員もいて楽しい。なるべくみんなで一緒に食べるように手配してくれていて、和気あいあい話しながら食べています」等のコメントが寄せられていました。
2.子どもの個別事情に応じて生活や規則内容等の説明を受けているか
回答割合は、「はい」が100%となっています。 自由意見では、「全部納得しています。規則がそうなっている理由が分かるし、納得してここに入ってきているので。門限の22時30分を守れないことはありました」、「初めはみんなとの距離感があって、同年齢の子どもとどこまで話して良いか疑問でしたが、生活していくうちに仲良くなれました。職員にも相談をしました」等のコメントが寄せられていました。
3.職員を信頼して話せるか
回答割合は、「はい」が80.0%、「どちらともいえない」が20.0%となっています。 自由意見では、「自分のことは話さないので」、「職員のことが信用できない訳ではなく、自分が自分のことを話すのが苦手(自分の思いを言葉にする能力が不足している)なため、『どちらともいえない』にしました。職員が話を引き出してくれるときにはしっかり話をしています」等のコメントが寄せられていました。
4.就労に関する支援は役に立っているか
回答割合は、「はい」が100%となっています。 自由意見では、「仕事を探すときも協力してくれました」、「ホームに来る前からアルバイトが決まっていましたが、職場で説明に困ったことについて職員に相談し、アドバイスをもらいました」、「仕事の内定をもらってから来ましたが、支援はしてもらっています」、「アルバイトは自分で探しましたが、最初のときは職員が情報サイトのコピーを渡してくれました。悩みや大変さについても職員と話をしています」等のコメントが寄せられていました。
5.ホーム内の清掃、整理整頓は行き届いているか
回答割合は、「はい」が60.0%、「どちらともいえない」が20.0%、「いいえ」が20.0%となっています。 自由意見では、「職員が清掃してきれいにしてくれます。自分達の荷物がちらかっています」、「掃除されていてきれいです」、「職員がきれいにしてくれていますが、言う人がいないと、食器などを出したままで片付かないことに気付きました」、「置いではダメな物をみんなポイポイ置いているので散らかっています」等のコメントが寄せられていました。
6.職員の接遇・態度は適切か
回答割合は、「はい」が60.0%、「どちらともいえない」が20.0%、「いいえ」が20.0%となっています。 自由意見では、「特に問題ありません」、「ある職員が、指摘したことに対して怒ったことはありました。ひいきなどはありません」、「態度については、とても辛いときがあります。ある程度は仕方ないとしても、あからさまなのはどうかと思います」等のコメントが寄せられていました。
7.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
回答割合は、「はい」が100%となっています。 自由意見では、「おかゆを作ってくれたり、のどが痛いとき、はちみつと生姜で飲み物を作ってくれました。みんな優しいです」、「夜中にメールをしたら、翌日気にかけてくれました」、「元気なので、今まで一度もありません」、「病院に付き添ってくれました」、「具合の悪いときに体温計を持ってきてくれたり、けがをしたときに絆創膏を持ってきてくれたりしてくれます」等のコメントが寄せられていました。
8.子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
回答割合は、「はい」が60.0%、「どちらともいえない」が40.0%となっています。 自由意見では、「たまに友達がそういう雰囲気になるときは、職員が間に入ってくれています」、「今は落ち着いているので楽しい。メンバーによります。昔、ぎくしゃくしている子に対して何もしなかったので、どちらともいえない」、「職員が変に介入すると逆にヒートアップしてしまうこともあったので、聞き役になっているのだと思います」、「今のメンバーは良いので、いさかいやいじめはありません」等のコメントが寄せられていました。
9.子どもの気持ちを尊重した対応がされているか
回答割合は、「はい」が100%となっています。 自由意見では、「ときどき、週に1回くらい、ホーム長が一人ずつゆっくりと話す時間を持ってくれます」、「仕事が朝早いので、おにぎりを用意してくれます」、「理解してくれていないとは思いません」、「些細なことですが、洗い物の仕事で手が荒れていたとき、職員がいつの間にかハンドクリームを置いてくれました。また、食べ物の好みを分かってくれていて、好きな料理を作ってくれたりと、日常の生活をよくみてくれていると思います」等のコメントが寄せられていました。
10.子どものプライバシーは守られているか
回答割合は、「はい」が80.0%、「どちらともいえない」が20.0%となっています。 自由意見では、「個人的な話をするときも、一対一で、2人だけのスペースを作って対応してくれます」、「職員によります。『個別だから』ときちんと守る人もいるし、個別の事情を皆の前で言う人もいます。伝えましたが、直りません」等のコメントが寄せられていました。
11.個別の計画作成時に、利用者の状況や要望を聞かれているか
回答割合は、「はい」が80.0%、「どちらともいえない」が20.0%となっています。 自由意見では、「月に1回、給料をおろして資金計画を立て、目標を立てる際、職員からアドバイスをもらいますが、あくまで自分の計画なので、自分の意向が入っています」、「18歳で自立が基本なので、いつまでいるかについて話し合っています」、「基本的に月1回。仕事の都合などでできない月もあります」、「たまに『仕事』として聞いてるなと思うことがあります。頻度は自分で決めます」等のコメントが寄せられていました。
12.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
回答割合は、「はい」が80.0%、「どちらともいえない」が20.0%となっています。 自由意見では、「分かりやすかったし、納得しています」、「子どもより職員は先のことが見えています。職員が生活の目標として言ってくれたことを考えます」、「計画は一緒に立て、達成したかどうかを判断し、次の目標を自分で設定しているので」、「全て『はい』という訳ではないので、どちらともいえない」等のコメントが寄せられていました。
13.自らの権利について、職員はわかりやすく教えてくれたか
回答割合は、「はい」が60.0%、「どちらともいえない」が40.0%となっています。 自由意見では、「一対一のときにさりげなく伝えてくれることがあります」、「一番最初に聞いたきりですが、ルールの確認のとき等には話題になります」、「権利ノートは施設でもらいましたが、今は持っていません。入所のときにプライバシーを守るなどの話は聞きました」、「福祉司さんから入所前にもらいました。ホームでも話してくれました」、「施設にいたときにノートをもらいましたが、ここでは特に説明はありません」等のコメントが寄せられていました。
14.子どもの不満や要望は対応されているか
回答割合は、「はい」が40.0%、「どちらともいえない」が60.0%となっています。 自由意見では、「言いにくいですが、言えばちきんとやってくれます」、「そういう場面は今までありませんが、言えば対応してくれるという安心感はあります」、「対応はきちんとしてくれますが、内容に納得いかないときがあります」、「不満は全然ありません。逆に迷惑ばかりかけています。わざわざおにぎりを用意してくれているのに、『いらない』と言ってしまったり。申し訳なく思っています」等のコメントが寄せられていました。
15.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
回答割合は、「はい」が100%となっています。 自由意見では、「プリントをもらっているほか、イベント時に第三者委員の方を紹介してくれるなど、結構会う機会があるので、委員の方の顔と名前が一致しています」、「プリントはもらっていますが、特に相談するようなことはありません」、「一応教わった気はしますが、忘れました」とのコメントが寄せられていました。
組織マネジメント分析結果
◆事業評価結果
7つの「カテゴリー」の下に、それぞれ「サブカテゴリー」「評価項目」「標準項目」を設定して評価しています。
評価項目ごとに、標準項目の実施状況を、実施できている場合は
で、実施できていない場合は
で表しています。
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
2. 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている
- 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
- 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
3. 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している
- 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
- 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
- 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
【講評】
収集・把握した様様な情報を、ホームの方向性や取り組みの検討に活かしています
全国自立援助ホーム協議会や東京都社会福祉協議会の児童部会、都内の自立援助ホーム長会、都の担当課との会議・研修等に定期的にホーム長が参加し、現状や施策動向等の把握に努めています。区の社会福祉協議会や地区の他法人施設・機関とのつながりもでき、得られた情報は職員ミーティングで報告し、ホームの今後の方向性や新たな取り組みの検討に活かしています。子どもの意向は、日々の生活の中で聴き取り、個別面接やミカエラ会議で話し合いを行っているほか、毎年度、第三者評価の利用者調査を実施して課題への取り組みを明確にしています。
毎年度の事業計画は策定していますが、中・長期計画の検討を進めることが望まれます
毎年度の事業計画や事業報告は、ホーム長が収支状況等を踏まえて原案を作成し、職員に回覧して意見を反映させた上で、寮長や法人理事会の承認を経て策定しています。中・長期計画は明確ではないものの、法人の事業計画にはホームページの充実や人材育成の仕組み作り、施設の今後の在り方の検討等の方向性が示されています。これらを基に、ホームの諸課題や取り組みたい事柄について複数年度内での優先順位を付け仕分けることで、中・長期計画が策定できるものと思われます。共に働く職員と将来の見通しを共有する上でも検討を進めることが望まれます。
運営面では、当初の目標や想定に対する達成状況を明確にした振り返りが期待されます
年度の事業計画を踏まえて業務分担表を作成し、職員間で役割を分担して事業運営を行っています。事業計画には実施頻度を記載したり、事業報告には運営や支援の各状況や実績を数値で表していますが、特に運営面では、当初の目標や想定に対しての達成状況をより明確に表現できると良いと思われます。例えば、事業計画には数値目標(予定)を設定して半期ごとに振り返り、進捗・達成の度合いを具体的に記載したり、個別の行事・活動では企画目的を設定し、達成できたかどうかを反省として記載する等、次への足掛かりとして根拠を残すことが期待されます。
1. 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
- 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
- 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
- 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
- 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
- 事業所の経営状況を把握・検討している
- 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している
- 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
- 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
- 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
2. 着実な計画の実行に取り組んでいる
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
- 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
【講評】
守るべき法・規範・倫理を周知するとともに、指導・助言を得る機会を設けています
自立援助ホーム運営指針や全国自立援助ホーム協議会の倫理綱領を全職員に配布しています、入職時には就業規則の服務心得や「ミカエラホームのしごと」に沿って法人の歴史や自立援助ホームの位置付けについて説明し、年度初めの職員ミーティングで倫理綱領等の読み合わせを行っています。虐待防止ガイドラインを常に閲覧できるようにしているほか、引継ぎや職員ミーティングで子どもへのアプローチの仕方について共有し、スーパーバイザーより指導・助言も受けています。利用者調査結果を受け、改めて言動を振り返る機会を設けることも期待されます。
他機関・ボランティアとの協働を目指して取り組み、施設の透明性も確保しています
他機関・ボランティアとの協働の方針として、社会福祉法人等の社会貢献事業のネットワーク連絡会に参加し、ボランティアにおける夕食作りを通して入居者の社会性を育む機会とすることを明確にしています。ホームには長年、夕食作りやアフターケア、ミニバザー等で複数のボランティアが関わっており、NPOや実習生の場合は誓約書内で守秘義務を明確にしています。子どもへの第三者委員の連絡先等の周知、第三者評価の定期受審、年2回のホーム便りの発行(関係機関・団体、児童養護施設等に配布)、見学の受け入れ等により透明性を確保しています。
近隣と良好な関係を築き、ホームの機能や専門性を活かした地域貢献に努めています
当ホームはシェルター機能も担っているため地域との交流機会は積極的には設けていないものの、法人として町会に加入し、近隣と良好な関係を築いています。毎年度、教会のバザーや併設の宿泊寮のミニバザーの運営に協力しているほか、当ホームの退居者が集える場「いっしょごはん」を企画したり、地域のネットワーク主催の講座でホーム長が自立援助ホームについて説明を行う等、機能や専門性を活かし、地域社会に貢献しています。将来的には宿泊寮の建物の整備に合わせ、ショートステイやトワイライトステイ等の新事業も構想したいとしています。
1. 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる
- 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
- 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している
1. 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている
- 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
- 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
2. 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている
- 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
- 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
1. 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる
- 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
- ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
2. 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている
- 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
- 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
- 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
【講評】
防災や危機管理のマニュアルを整備し、事故等の予防・再発防止対策に努めています
災害対策では、消防庁の防災マニュアルを基に、年2回避難訓練を実施しており、独自の防災計画の検討も進めています。各居室には一日分の食糧と水が入っている非常用持ち出し袋を用意し、ホームや宿泊寮には3日分の食糧と簡易トイレも備えていますが、BCPの策定と災害時の地域との連携・協力体制の構築が課題となっています。危機管理マニュアルに事故・緊急時対応や感染症対策を明確にし、見直し・改訂も行っています。事故事例の他、日々の危険事例の気付きも業務日誌のヒヤリハット欄を通して職員間で共有し、予防・再発防止に努めています。
業務や支援に関する情報は、厳重に保護しつつ、職員が活用しやすいよう管理しています
子どもが生活するホームには業務上の書類は置かないようにし、隣接する法人の建物内の事務室にて保管しています。支援記録もホームでの仕事を終えた後に事務室内で作成し、USBメモリーも含めて施錠管理する等、適切に対応しています。一方で、文書ファイルは劣化しにくく参照しやすいものに統一し、カテゴリ―別にタイトルラベルを色分けして目次や見出しも付す等、業務で活用しやすいよう工夫しています。パソコンも、パスワードを設定した上で全職員が使用できるよう複数台揃え、雇用関係等のデータはホーム長のみ閲覧できるよう管理しています。
プライバシーポリシーは、開示請求への対応方法も明示し、公表することが望まれます
個人情報の取り扱いは、法人の個人情報管理規程に基づいて対応し、他機関との会議や照会への回答を行う場合等、子どもの個人情報を扱う際には細心の注意を払うことを職員間で申し合わせています。職員や実習生には、業務に従事する際に守秘義務の誓約書も取り交わしています。プライバシーポリシーも策定していますが、個人情報の利用目的はあるものの、子ども等の開示請求の権利や対応方法が明確にはされていません。今後、実務上の課題も詰めた上でポリシーを改定し、職員間で共有するとともに、入居する子どもにも公表することが望まれます。
1. 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる
- 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
- 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
- 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
- リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
- 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
1. 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
- 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
- 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
- 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
- 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
【講評】
人材の募集・採用は、他施設への異動がないことを前提にホームとして実施しています
人材の採用は、系列他施設への異動がないことを前提にホーム単体で実施し、福祉人材センターや採用イベントを通じて募集を行っています。法人の求める人材像は示されていませんが、応募者には、「児童一人ひとりの特性を理解し、受容できる。問題が起きてもポジティブかつ建設的な姿勢を持てる。チームワークが取れる。利用者にとって信頼できる存在であること」を求めている旨を伝え、適性検査と面接で選考しています。異動がなく役職も少ない環境からキャリアパスは作成しにくいものの、期待する職員像を含め分かりやすく明示することが望まれます。
研修機会は充実していますが、報告書や個人別目標シートの有効活用が期待されます
役職・階層別の法人研修に一人年2回程度参加する機会があるほか、関係団体の外部研修も都度、職員に案内し、希望する研修には勤務扱いで受講できるようにしています。月1回、ホーム内で職員スーパービジョンの機会も設けています。受講後は報告書を作成し、回覧や職員ミーティングで共有化することとしていますが、滞りもみられています。年度当初に職員個別に目標を設定し、年度末にホーム長が個別に面接し、振り返りと自己評価を行う「目標シート」の仕組みは、OJTや長期的な育成・研修と連動させる等、有効に活用していくことが期待されます。
職員が働きやすい環境作りに努め、仕事にやりがいを感じてもらえるよう配慮しています
年齢と福祉職の経験年数を加味した給与体系を維持し、タイムカードで労働時間管理を行っています。職員間でカバーし合う体制や時短・振替えでの調整により、残業は一人月6時間程度となっているほか、常勤は4週8休・祝日の公休を確保し、有休も希望による取得と計画的付与に努める等、働きやすい環境を作っています。育休・介護休業制度の拡充や65歳への定年延長、福利厚生センターへの加入の他、食事代の補助や飲料の無償提供、健康診断費用の助成等も実施してます。職員には子どもとの関わりの中でやりがいを感じてもらえるよう配慮しています。
1. 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている
- 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
- 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
2. 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している
- 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
- 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
3. 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる
- 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
- 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
- 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
- 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
4. 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる
- 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
- 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
- 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
- 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
1. 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる
- 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
- 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
- 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
1. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)
【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】
ホームでは、生活の中で規範意識やコミュニケーション能力を高め、職員との信頼関係を培うことで、退居後も相談しやすい環境を整えてアフターケアを実施しています。しかし、退居した後、新たな問題が発生し生活が崩れてしまう子どもも少なくないため、「相談」以前に生活の状況を把握できる機会を設けると同時に、問題の早期抽出と対応を支援するため、退居者を対象とした食事会「いっしょごはん」の取り組みを始めました。昨年度は月1回、11時~19時までの会とし、年間11回計画しました。アフターケア担当職員とホーム長(ジョブトレーナー兼務)が昼食を共にしながら、生活の様子や生活相談、就労相談を受けました。当ホームのホームページを開設し、その中で会の告知と報告を行うようにし、退居者へは、ホームページの告知ページへログインできるパスワードを配付しました。初年度ということもあり、参加数は伸びませんでしたが、子育て中の退居者の参加が多く、子育ての様子や子どもの発達状態を把握し、育児相談等を行うことができました。子育て中の退居者にとっては、良い気分転換や息抜きの場にもなっていたようです。
【評語】
| 目標の設定と取り組み | 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った |
|---|---|
| 取り組みの検証 | 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った |
| 検証結果の反映 | 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させていない |
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している
反省点として、レンタルスペースを利用したため、職員の移動や料理の材料の運搬等に手間がかかりました。また、予約が取れないときもあり、年間10回の開催にとどまりました。ホームとしては、単身者の利用を想定していましたが、子育て中の退居者の利用が多く、意外でしたが、良い効果がみられています。今後、単身者の参加も促すためには、開催日や時間の見直しを行うとともに、ホームに隣接した場所で開催する必要性を感じています。これらは行事計画書において企画・反省を行い、今年度の実施内容に活かしていますが、事業報告書や事業計画書にもより明確に位置付けて取り組みの充実を図っていくことが期待されます。
2. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)
【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】
ホームとして、広報やアウトリーチが弱点であるため、ホームページを活用し、当事者へ情報を発信していくことを目標に掲げ、ホームページを開設し、退居者に対する「一緒ごはん」やイベントの告知、報告を行いました。また、まだ支援につながっていない当事者へ向けて、支援情報の発信を行いました。昨年度(2018年5月)にホームページの作成、公開を行い、「一緒ごはん」の告知や報告も行っています。
【評語】
| 目標の設定と取り組み | 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った |
|---|---|
| 取り組みの検証 | 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った |
| 検証結果の反映 | 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた |
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している
前年度中に退居者へホームページを案内することはできましたが、様々な社会資源や当事者に必要な情報等は掲載することができませんでした。また、周知がされなかったことで、「問い合わせフォーム」を作成したものの、問い合わせは0件という結果でした。そのため、今年度の事業計画では、広報活動として、ホームの活動を関係機関や他施設に伝え、人材対策につながるような実習生や見学も積極的に受け入れていくことを掲げ、「新しいホームページの周知」や「ホームページを活用して当事者へ情報を発信していく」としています。施設の特性上、公開できない情報も多い中にあっても、ホーム便りとともにホームページを有効に活用して、見学者やボランティアの受け入れ、退居者・新たな当事者の支援等に着実につながげていくことが期待されます。
サービス分析結果
【講評】
まだ支援につながっていない当時者に情報が伝わるよう、広報活動を行っています
昨年度リニューアルしたホームページには、リビング、ダイニング、居室等の写真の他、自立援助ホームや施設生活についての説明を分かりやすく掲載しています。リーフレットも刷新し、法人の「Solo para ella(この一人のために)」の理念や「女性解放」の使命を記載し、優しい色合いで受容的な雰囲気を醸し出しています。ホーム便りは、ゆっくりと、一歩ずつを意味する「Poco a Podo」のタイトルで年2回発行し、関係機関や他施設に送付しています。ホーム長や職員のコラムもあり、子どもへの支援の姿勢が伝わる内容です。
見学時には丁寧に説明し、入寮にあたっての子どもの自己決定を促しています
児童相談所を介した入居相談を受け、見学の日時を調整します。見学時には児童福祉司の立会いの下で、施設長が子どもと面談を実施し、リーフレットや「ミカエラホームの決まり」に沿って説明を行います。その際、「自分で働いて寮費を支払い、自立に向かっていく場所」であることを伝えるとともに、ルールはあるが、失敗したとしてもやり直す気持ちがあれば応援するという姿勢を伝え、安心感を持てるようにしています。また、子ども自身の持っている将来像、どのような大人になりたいかを聞き、見通しを持って利用を開始できるように接しています。
子どもの希望に応じて体験入居の期間を設け、再度施設長面談を実施しています
見学後には、入居をその場で判断させることはせず、子どもに一旦持ち帰り、自分で考えてみるよう促しています。複数の施設を見学し、比較してみることも勧めています。子どもの希望に応じて2泊3日程度の体験入居も実施しています。空き部屋で、入寮生と同じ生活リズムで生活し、仕事や通学先があれば通い、なければ求職中の子どもと同様に、職員の掃除等を手伝うほかは自由に過ごしてもらいます。体験入居日誌をつけ、その日に行ったこと、感想、職員からのコメントを記載しています。さらに見通しをもった体験期間となる工夫も期待されます。
1.利用を希望する子どもに対してサービスの情報を提供している
- 利用を希望する子どもが入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
- 利用を希望する子どもの特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
- 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
- 利用を希望する子どもの問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
生活の決まりや携帯電話の保持・使用ルール等について入居時に同意を得ています
入居にあたってのルール等は事前の見学時に説明をしており、入居時には「インテークマニュアル」に沿って、手続きや最終的な意思確認を実施しています。生活のきまりを守ること、職員と相談しながら自立の計画を立て、早期の自立に向けて努力すること等を記した「誓約書」に署名と捺印をもらいます。「携帯電話使用についての約束」の文書を用意しており、携帯電話保持の条件(働いて一定の収入があること、貯金ができていること、きまりを守れていること)やホーム内での使用ルールについて確認し、署名・捺印を得ています。
入居する子どもの状況を確実に把握できるような記録書式等の作成・整備が望まれます
入居する子どもの情報は、主として児童相談所の福祉司が作成する児童票で把握します。子ども本人が記載する「身上調書」には入居希望理由や家族状況の記載欄があります。しかし、その他にはフェイスシートや面談記録用紙のような決まった書式はなく、得られた情報についてはメモを取り、個別のファイルに綴じています。「自立援助計画書」の作成に先立って、どのような情報が必要なのかを明確にし、確実に把握できるよう書式等の作成を検討することが望まれます。体験入居中に子どもの状況を把握し、確実に記録できるような工夫も期待されます。
「実家の役割を果たしたい」との思いを持ち、退寮する子どもたちを送り出しています
退居する子どもに渡せるよう、必要な手続きや退居時の掃除のポイント、退居後の相談先を記載した「退所していくあなたへ」の文書を渡しています。けが・火傷・病気をしたときには24時間電話医療機関案内や救急相談センター、困ったときには110番や119番、アパート関係のことは不動産店、と困り事の内容別に相談先を記載しています。その他、施設の事務所や職員の携帯電話に相談できることも示しています。ホームを訪れて夕食等を食べていく退寮生もおり、入居中の子どももそうした姿を見て、いつでも頼れる場所であるとの認識を持つようです。
1.サービスの開始にあたり子どもに説明し、理解を得ている
- サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要な事項等を子どもの状況に応じて説明している
- サービス内容について、子どもの理解を得るようにしている
- サービスに関する説明の際に、子どもの意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
- サービス開始時に、子どもの支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
- 利用開始直後には、子どもの不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
- サービス利用前の生活をふまえた支援を行っている
- サービスの終了時には、子どもの不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
【講評】
子どもの課題や支援方針を明確にする体系的なアセスメントの仕組みの構築が望まれます
職員は日々の支援に入りながら子どもの生活・心身の状況を把握し、気になるエピソードや他の職員と共有したい内容を「業務日誌」に記載しています。「業務日誌」に記載した内容は記録システム上で、個別の育成記録として取りまとめられています。買い物や洗濯物干しといった生活スキルやその他の課題等も「業務日誌」に書かれていますが、それらを取り出して整理する仕組みはありません。日々の気づきを整理し、子どもの課題や支援方針を明確にして共有する仕組みの構築が望まれます。アセスメントの書式を整備することの検討も期待されます。
子ども自身が立てる目標をベースとした、子どもに分かりやすい支援計画となっています
入居後1~2か月以内を目途に、子どもと職員で「目標立て」を実施します。生活・金銭・仕事・対人関係・その他の項目別に、自立に向けた目標、目標達成のために子どもが取り組むこと、職員が支援することを記載する書式を活用しています。達成の期間は項目ごとに子ども自身が設定し、その期間に応じて目標の振り返りの面談を実施しています。「目標立て」の後、概ね1か月以内に「自立援助計画書」を作成します。子ども自身の目標に沿った内容となっており、子どもの同意が得やすい一方で、職員の専門的な視点をさらに盛り込むことも期待されます。
業務日誌等の記録や日々の申し送りで、子どもの状況を職員間で共有化しています
子どもの状況は、「業務日誌」の記載や日々の申し送りを通じて職員間で共有しています。隔週1回程度、全職員で各回2~3時間程度の職員ミーティングを実施しています。また、月1回、社会的養護の経験豊富なスーパーバイザーが来所してケース検討(職員スーパービジョンの他、個別スーパービジョンも適宜)を実施しており、子どもの課題や状況を職員間で共有する機会にもなっています。そのほか、関係する他機関とのケース会議等を実施した際には記録等で情報を共有しています。
1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、子どもの課題を個別のサービス場面ごとに明示している
- 子どもの心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し把握している
- 子ども一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
- アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.子どもの希望と関係者の意見を取り入れた個別の支援計画を作成している
- 計画は、子どもの希望を尊重して作成、見直しをしている
- 計画を子どもにわかりやすく説明し、同意を得るようにしている
- 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
- 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
3.子どもに関する記録が行われ、管理体制を確立している
- 子ども一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
- 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果子どもの状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.子どもの状況等に関する情報を職員間で共有化している
- 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
- 申し送り・引継ぎ等により、子どもに変化があった場合の情報を職員間で共有化している
1.個別の支援計画に基づいて、自立した生活が営めるよう支援を行っている
- 個別の支援計画に基づいて支援を行っている
- 子どもと信頼関係を構築できるよう、子ども一人ひとりに合った方法で接している
- 子ども一人ひとりの自立に向けて、関係機関(児童相談所、児童福祉施設、就労先等)と連携をとって、支援を行っている
- 子ども一人ひとりの状況や意向に応じた退所後の支援を行っている
【講評】
支援計画の内容を職員間で共有し、日常の支援に反映させ取り組んでいます
入居後1か月~2か月以内に立てた目標設定シートより、子ども個別の自立支援計画を立てています。そこには、目標達成のために、生活や金銭、仕事、対人関係等に関して子どもが取り組むことや職員が支援することが記載されています。子どもの日常の生活を通して、基本的な生活や就労に関わること等の支援計画内容を確認し、課題を整理して、職員の援助内容と援助結果を自立支援目標・支援結果に記載しています。その結果を基に、職員間で子どもの支援状況を共有し、次回の自立支援計画に活かし、日々の支援につなげています。
職員担当制を取り入れ、子どもと密に関わることができる環境を作っています
ホームは2階建ての一軒家で、家庭的な雰囲気の中で生活ができる環境となっています。その環境を活かし、子どもと密に関わることができています。職員は少人数の子どもたち一人ひとりの状況を、食事の時間や生活場面で把握しています。職員の担当制を取り入れ、子どもが話したい、相談したいときに自分の担当職員に話ができるとともに、職員誰でもが対応でき、解決することができる環境を整えています。そして、子どもとの距離間を短くし、また女性職員だけの構成であるため、子どもが安心感を持って話すことができています。
退居後は定期的に食事会の開催や誕生カードなどを送り、継続的なケアを実施しています
子どもの状況に応じたアフターケアを行い、アフターケア個人票に方法(TEL、メール)、相談・支援内容を記録しています。退居者の誕生日には誕生日カードを送ったり、年1回乾物類を発送して、退居者からの返信や乾物類の送達の有無で退居後の安否を確認しています。昨年度から定期的に会場を借りて退居者と共に職員手作りの料理を食べる食事会「いっしょごはん」を開催しています。ホームページに開催日時の告知や食事会の様子を掲載し、退居者に向けて発信しています。また、電話対応や訪問など、子どもの状況に即したケアも実施しています。
2.子どもの自立に向けて、継続して就労を行うことができるよう支援を行っている
- 子どもが自分にあった仕事につけるよう、就職活動における情報収集等必要な支援を行っている
- 就労後も子どもが仕事を継続できるよう、相談に応じる等必要な支援を行っている
- 継続した就労のために、子ども一人ひとりに応じた就労先との調整を行っている
【講評】
子どもの状況を把握し、一人ひとりに子どもの実態に合った就労支援を実践しています
職員は、子ども一人ひとりの個人ファイルの確認や、育成記録にも反映している日々の業務日誌、職員ミーティング等を通じて子どもの状況を確認し、就労支援を行っています。今回の第三者評価の利用者調査では、「仕事を探したり継続するにあたり、職員からの支援は役に立っているか」の問いに、子ども全員が「はい」と回答しています。その結果からも、個々に合った支援が実践されていることが窺えます。ハローワークとの連携やコンビニの地域情報誌の入手の他、職員は近隣を自転車で走り、地元の求人募集を確認する等、就労情報の収集に努めています。
個別面接で子どもの状況を聴き取り、アドバイスを行って、就労の継続を図っています
就労後は子どもの状況に応じて個別面接を行っています。業務日誌には子どもの様子や行動を細やかに記録しており、職員間で子どもの軽微な事柄も含め、どのような状況の変化も見逃さないように情報を共有しています。子どもとの個別面接では、それぞれの悩みを聴き取り、人間関係の躓きやモチベーションを上げるためのアドバイス、何をやりたいのか、自立に向けてどのような生活をしたいのか等、具体的な助言と先の見通しを立てるためのフォローをし、就労の継続を図っています。職員は月に1回、外部のスーパーバイザーからの指導も受けています。
必要に応じて職場訪問などを実施し、子どもたちの継続的な就労につなげています
アフターケア支援記録に、子ども一人ひとりの就労状況の相談や人間関係のトラブル等を詳しく記録しています。子どもそれぞれのケースに合わせて柔軟に支援方法を変えており、本人への助言のほか、連絡での対応で済む場合は電話で、子どもが拒否しなければ就労先に連絡後、職員が直接職場を訪問して責任者と話し、トラブルの解決にあたったりと、常に就労先との連携に努めています。ジョブトレーナーを施設長が兼務しているため就労後の支援を手厚く実施することができ、就労先と共に調整を行うことで、子どもたちの継続的な就労が実現しています。
3.子どもの自立に向けて、さまざまな日常生活上の支援を行っている
- 子どものコミュニケーション力(人間関係構築力)が向上するよう支援を行っている
- 基本的な生活習慣(起床時間、食事のマナー等)及び生活知識・技術(家事、社会生活上のルール等)を身につけられるよう支援を行っている
- 収入の範囲内で生活できる経済観念が身につくよう、日常生活を通じて、金銭の管理や使い方について、支援を行っている
- 資格取得・進学に向けた学習への支援など、子どもの目標達成のための支援を行っている
- 子どもに、地域と日常的に関わりながら生活しているということの大切さを伝えている
- 子どもの生活の幅が広がるよう、地域にどのような資源(地域の行事、公共のサービス等)があるのかを伝えている
【講評】
自立の基盤となる基本的生活習慣を確立するための支援に取り組んでいます
基本的生活習慣の確立が自立に向けた重要な基盤となることから、職員は日常生活の中で、子どもたちに生活に必要な基本的な生活習慣が身につくよう、その都度伝えています。例えば、食事の際に立膝はしないことや、携帯を見ながら食事はしない、大皿から取り分ける際には直箸はしない、箸の先端は人には向けない、入浴や洗濯の仕方等について、職員が手本を見せて細やかに伝えいます。また、ホームでのきまり、門限についてや携帯電話使用についての約束等のルールを守ることも継続的に伝えて、自立に向けた基盤作りの支援に取り組んでいます。
子どもの状況に応じて自立への道筋を具体化し、職員が共に考え実施しています
子どもは退居の1か月前から一人で自立訓練室にて過ごし、自立に向けた生活をしていきます。それまでに、職員と一緒に食事を作る基本的なことから始め、就労から得られる収入の金銭管理を行うなどの準備を進めていきます。お小遣いの管理アプリを活用して子ども自身に金銭感覚を持たせ、1か月のお金の使い方や貯金等の支援を継続して行い、職員が共に一人暮らしのシミュレーションをしていきます。退居後の住まい探しは職員もサポートしますが、子どもが自ら不動産屋に足を運び、自立への道筋を具体化して、自立の力と経済概念を培っています。
ボランティアや教会関係者を通し、地域との関わりの大切さの気付きが得られています
ホームでは、教会関係の夕食作りのボランティアや成人式の着付けのボランティア、併設の宿泊寮や修道院との関わりを設けています。日々の夕食作りを長年サポートしてくれる教会関係者のボランティアがいるほか、成人式のときは着付けのボランティアから子どもが着物を選択して着付けをしてもらい、成人式に参加しています。宿泊寮や修道院ともミニバザーやイベントを通して関わる機会が継続的にあり、日常的に近隣と関わりを持ちながら生活することを体験し、地域の中で生活しているという大切さについて気づきが得られています。
4.子どもの自主性を尊重し、ホームでの生活が快適になるよう支援を行っている
- 子どもの自主性を尊重し、意見を聞く機会を設けている
- 居室や共有スペースは、快適で落ち着ける環境となるよう工夫している
- 行事やイベントを通じて、子どもが生活の幅を広げることができるよう支援を行っている
【講評】
職員は様々な機会を通して子どもたちの意向を汲み取り、対応につなげています
子どもたちの意見は、個別面接やミカエラ会議、意見箱、日常の会話を通して把握しています。全体でのミカエラ会議は必要に応じた開催となりますが、子どもと職員の関係は自然体で、日々のコミュニケーションから子どもの意向を汲み取り、対応することができています。例えば、2階に掃除機を運ぶのは大変との声があれば2階用の掃除機を用意し、子どもの手荒れについての会話から翌日にはハンドクリームをテーブルにさりげなく置いています。今回の利用者調査でも、子ども全員が「職員はあなたの気持ちを大切にしてくれている」と答えています。
改修を終え、家庭的な雰囲気の中で安心してくつろげる生活の場を提供しています
ホームは2階建ての一軒家で、玄関を入ると家庭的な雰囲気があります。改修工事を終えて、共用スペースのリビングはフローリングで床暖房になり、ソファーやテレビが置かれ、くつろげる環境になっています。リビングとダイニングは、それぞれの室内が区切られており、異なる雰囲気を持った空間となっています。子どもの各居室は、エアコンと机、ロフトベッドが設置され、鍵も取り付けてあるなど、プライバシーが守られています。支援の基本方針に掲げているとおり、自立を目指し生きていく児童にとって「安全で安心できる生活の場」を提供しています。
一泊旅行や納涼会、誕生会など、日常生活を離れて楽しめる行事を実施しています
ホームでは、年間行事として一泊旅行やバザー、納涼会、誕生会などの行事を実施しています。今年の旅行は熱海に職員と子どもたちで出かけました。教会内で行う納涼会では、ホームが持っている浴衣から子どもたちが選び、着付けをしてもらい、焼きそばやかき氷、花火、ヨーヨー等、夏のひと時を浴衣姿で楽しんでいます。誕生会はその子どもの都合の良い日程で実施し、希望の料理とケーキ、プレゼントでお祝いをしています。子どもたちは行事やイベントを通して日常に変化を持たせ、生活の幅を広げることができています。
5.子どもが心身の健康を維持できるよう支援を行っている
- 子どもの心身の健康状態に注意するとともに、心の悩みや不安の相談に応じている
- 子どもが健康を自己管理できるように支援を行っている
- 子どもの抱える問題に応じて、心理的ケアが必要な場合は、関係機関と連携をとって、支援を行っている
- 子どもの急な体調変化時に、医療機関等と速やかに連絡がとれる体制を整えている
- 性についての正しい知識と理解が得られるよう、子どもの状況に応じた説明を行っている
【講評】
心理的なケアが必要な場合、児童相談所や医療機関と連携が取れる体制を整えています
子どもがホームに入居する際に、児童相談所で心理面談を実施しています。その結果は育成記録に記載し、一人ひとり管理しています。子どもが抱えている問題や課題に対し、心理的なケアが必要である場合は、継続的に児童相談所の心理職員との面接や医療機関との連携が取れる体制を整えています。職員が児童相談所の心理職員に連絡を取り、日程調整を行い継続的に面接を実施しています。また、医療機関には入居時に職員が同伴して顔の見える関係を作り、状況に応じてホームの近隣の医療機関への転院等も支援しています。
子どもに自己健康管理について伝え、職員は子どもの体調変化に細やかに対応しています
職員は生活を共に過ごし、日々の子どもの顔色や体調の様子を見ながら声をかけて、自ら健康管理をするように伝えています。日常生活の中で、子どもがけがをしたり体調が悪いときは、自ら職員にメールや口頭で伝えています。その際には、職員は体温計を持参し受診に付き添ったり、食事でおかゆなどを作り配慮する等、細やかな対応をしています。危機管理マニュアルの中に、視診や異変があった際の対応の仕方が記載されており、活用しています。利用者調査では、全ての子どもが「病気やけがをした際の職員の対応は信頼できる」と回答しています。
性について意識して話をしていますが、継続的な講座の開催や研修の実施が望まれます
子どもたちが自然な形で性に対して関心を持ち、自分でも身体を守る意識を持てるよう、日常生活の中で個々に話しています。妊娠に関することや性病、エイズのことについて子どもから相談を受けたとき等は、病院での検査を受けるように伝えています。また、子どもの状況に合わせて性について話し、自己の尊厳を自ら守る必要があることを伝えています。以前に実施した、助産師を招いての性に関する講座は理解しやすい内容であったことから、継続的に開催したり、職員が学んできた内容を基に子どもたちも交えた研修を実施する等の取り組みが望まれます。
6.食事が子どもの安心や健康につながるよう支援を行っている
- 食事時間は楽しく、安心感を得られるひとときになるよう工夫している
- 食についての関心を深めるための取り組みを行っている
- 食事時間は子どもの希望や生活状況に応じて対応している
【講評】
家庭的な雰囲気の中で共に食事をし、子どもたちの食と健康管理に注意を払っています
ダイニングキッチンは、キッチンと食卓テーブルが近く、家庭的な雰囲気の中で食事ができるようになっています。食卓テーブルには時にはテーブルクロスがかけられ、小花が飾られます。訪問調査の日には、食卓テーブルの上に職員からの手紙が置かれており、「朝のメニューのほかに足りなければ、そうめんを茹でて良いですよ」と記載されていて、職員と子どもとの関係性にほのぼのとした温かさを感じることができました。日々の業務日誌の中に子どもの食事での様子や喫食状況も記載して、子どもの健康管理に注意を払っています。
メニューや品数に配慮した美味しい食事を提供し、自立につながるよう取り組んでいます
日々子どもたちからの要望や旬の食材を取り入れたメニューを品数も豊富に提供しており、誕生日にはその子どもの好きなメニューにしています。子どもの勤務状況によりお弁当を持参する場合は、料理から自分でお弁当に詰めて持って行くこともあります。子どもが食に関心が持てるように、献立の食材の買い物に子どもも一緒に出かけたり、調理も家庭的な雰囲気のキッチンに子どもと一緒に立ち、自立に向けて調理練習をすることもあります。「食すること=健康管理」につながることを伝えながら、美味しい食事を提供しており、子どもたちからも好評です。
子どもの外出や仕事の出退勤時刻等の時間のずれに柔軟に対応し、支援に努めています
子どもの外出や仕事の出退勤時刻等の違いから生じる一人ひとりの食事時間のずれには柔軟に応じています。子どもたちの状況から食事時刻を変更して19時を基本とし、子どもの生活リズムに合わせて、できる限り皆で一緒に食事ができるようにしています。ホームのルールとして、門限は10時30分、11時には各居室に入室となっています。その時間内で子どもの食事の時間がずれても孤食にならないように、食べるときはできる限り職員が同席して声をかけ、その日一日の出来事について話をするなど、子どもの食習慣について細やかな支援に努めています。
7.本人の意向を尊重しながら、家族との関わり方における支援を行っている
- 子ども一人ひとりの状況に応じて、家族とどう向き合っていくかの支援を行っている
- 家族との関係調整(家族との距離感を保つことも含む)の際は、関係機関と情報交換・連携を行っている
- 子どもから、保護者との面会、外出、一時帰宅等の希望があった場合は、状況を把握した上で、子どもの安全に注意しながら行っている
【講評】
家族との関わりについては、子どもの意向を把握し、必要な支援につなげています
就職等で社会に出ていく経験を通して、家族のことを客観的にみられるようになる子どもも多く、子どもから何か発信があれば、職員はそのサインを捉えて「あなたはどうしたいのか」と問いかけ、本人の真意を把握するようにしています。日頃から家族に会うことを禁止するようなことはせず、何かあれば職員に話せるよう、信頼関係の構築に努めています。家族に会いたい等の希望があれば、子どもや家族の状況を踏まえて必要なアドバイスを行ったり、児童福祉司と連携し、子ども・児童福祉司・職員の三者面談の場を設ける等の取り組みにつなげています。
子どもと家族との交流にあたっては、児童相談所と密に連携して支援を行っています
子どもの家族から相談があれば話を聞き、必要な対応を検討しています。児童相談所が家族との面会・外出・一時帰泊等を判断した場合には、逐一児童相談所と連携しながら、子どもと家族との交流を支援しています。交流前後には、子どもの様子や状況、変化の把握に努め、都度、児童相談所と情報交換を行うとともに、職員ミーティングでも共有しています。さらに、それぞれの子どもの家庭復帰や社会的自立等の退居イメージについては、個別の自立援助計画書にも明示し、職員が日頃から意識して支援できるようにすることも期待されます。
【講評】
子どもたちの居室には鍵を設置し、プライバシーの確保に努めています
職場への連絡や主治医・病院への連絡等、子どもの個人的な情報を外部とやり取りする場合には、連絡する理由を事前に子どもに伝え、同意を得るようにしています。子どもの居室には鍵を設置し、基本的に職員は入室せず、何かあればノック等で子どもの同意を得ています。雨の日の洗濯物の取り込みやエアコン・電気等の消し忘れ等があった場合には、職員が入室して対処し、後から子どもに報告することもあります。子ども宛ての郵便物は基本的に子ども本人に手渡ししています。課題等を伝える必要がある場合には、羞恥心に配慮して個別に行っています。
子どもが自分自身を大切にできるよう、日頃の対話の中で働きかけています
児童福祉施設に初めて入居する子どもについては、「子どもの権利ノート」を渡してもらうよう、児童福祉司に働きかけています。「インテークマニュアル」にもその旨、記述がありますが、徹底はされていないようです。子どもの権利条約や児童憲章等を分かりやすく伝えることも有効と思われます。職員は子どもと一対一の時間を大切にしており、日々の子どもとの対話の中で、本人の意思等を最も大切にすることを折に触れて伝えています。子どもが他者を過度に気遣うことなく、自分を大切にし、自分の願いを実現するために行動できるよう後押ししています。
一定のルールの範囲内であれば、子どもの生活の自由を保障しています
生活の決まりの範囲内であれば、基本的に子どもの生活は自由を保障しています。帰宅時間や夕食をホームで食べるかどうかは事前に職員に知らせるルールとなっています。子ども間のトラブルは、物の貸し借り等が発端になることが多いようです。普段と違う様子が見られた場合には、職員は子どもたちの様子をよく観察し、個別に呼んで話を聞く等、早めに対処することで、問題の拡大を防いでいます。子どもが相談しやすいよう、日頃から信頼関係の構築に努めており、子どもがホームにいる時間帯は職員が見守ることで、いじめ等は未然に防いでいます。
1.子どものプライバシー保護を徹底している
- 子どもに関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、本人の同意を得るようにしている
- 個人の所有物や郵便物の扱い、居室への職員の出入り等、日常の支援の中で、子どものプライバシーに配慮した支援を行っている
- 子どもの羞恥心に配慮した支援を行っている
2.サービスの実施にあたり、子どもの権利を守り、個人の意思を尊重している
- 子どもの基本的人権について、日常生活の中でわかりやすく説明している
- 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(子どもが「ノー」と言える機会を設けている)
- ホーム内の子ども間の暴力・いじめ等が行われることのないよう、組織的に予防・再発防止を徹底している
【講評】
業務の基本事項の標準化を目指し、仕事内容をマニュアルに整理しています
ホーム内業務の標準化を目指し、基本的なマニュアルとして「ミカエラホームの仕事」の作成に取り組みました。法人の歴史・事業内容、自立援助ホームについて、年間スケジュール、一日の流れ、入居までの流れ、金銭管理、事務作業等を記載し、これまでに数回の更新を実施しています。今後は、法人や当ホームとしての支援の考え方や姿勢等も具体的に示して整理し、経験の浅い職員が仕事を理解する助けになるような内容へと、さらに充実させることが期待されます。
マニュアル類のファイリングや定期的な見直しの仕組み作りが望まれます
危機管理のマニュアルとしては、火災、地震、風雪水害、追跡・不審者、盗難・紛失、食中毒・施設内感染、ライフライン途絶等の事象別に対処方法を整理しています。一部、フローチャートも盛り込み、視覚的にとらえやすいようにしています。「ミカエラホームの仕事」も含め、マニュアル類のファイリング方法を見直し、職員がいつでも閲覧可能な状態にする等、活用しやすい工夫が期待されます。さらなる標準化のために必要な内容を明確にし、計画的にマニュアル作成を進めるとともに、定期的な見直しの時期等を定めることも望まれます。
1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
- 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
- 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうかを定期的に点検・見直しをしている
- 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や子どもからの意見や提案を反映するようにしている
事業者のコメント
このセクションは事業者によって更新される情報です。
評価情報
【評価機関名】
【評価実施期間】
2019年8月15日~2020年4月30日
評価結果のダウンロード
本ページの内容をPDFファイル形式でダウンロードできます。
【講評】
法人の「女性解放」の使命に基づいた基本方針を定め、関係者へ広く周知しています
修道院を母体とした法人の「女性解放」の使命に基づき、「様々な困難を抱えながらも、自立を目指して生きていく児童を受け入れ、安全で安心できる生活の場を提供する。児童一人ひとりがホームでの人間関係を基盤に他者との信頼関係を築き、自己肯定感を持って主体的に自分の人生を歩んでいけるよう支援を行う」をホームの基本方針として定め、毎年度の事業計画に明示しています。リーフレットやホームページにもこれらの主旨や自立援助ホームの役割を記載し、職員にはカトリック精神に基づく支援を学ぶ法人研修を通じて浸透を図っています。
ホーム長は自ら率先実行に努め、ホーム内の業務プロセスの確立に尽力しています
法人の運営する宿泊寮及び当ホームを統括する寮長とホーム長が経営層の役割を担っています。年度の業務分担表を作成し、庶務や子どもへの支援等の各職員の分担の他、運営管理や法人等での会議出席、予算・決算案の作成等のホーム長の役割と責任も明確にしています。毎年度2回程度、階層別・対象別に行われる法人研修には全職員が参加し、法人や自立援助ホームの職員としての役割について理解を深めています。ホーム長は、利用者の支援に直接あたり、職員へアドバイスや率先実行に努めるとともに、ホーム内の業務プロセスの確立に尽力しています。
全職員参加の職員ミーティングを中心に、業務や支援について検討・周知しています
職員6名の小規模な組織で、1名が事務員、ジョブトレーナーも兼務するホーム長を含む5名が指導員に従事しています。ローテーション勤務の中でも月2回、全職員が参加できるよう調整して職員ミーティングを開催し、業務連絡や提案、子どもの状況の共有や支援内容の検討・決定を行っています。日々の申し送りは、各自が業務日誌(引継ぎ事項・個人目標・特記事項)を読んだ上で、宿直の明けと入りの職員の勤務が重なる時間帯に行っています。子どもには個別面接時やミカエラ会議(子どもと職員が居間に集まり不定期に開催)で重要事項を伝えています。