評価結果

標準の評価

基本情報

【法人名称】

社会福祉法人武蔵野会

【事業所名称】

武蔵野児童学園

【サービス種別】

児童養護施設

事業者の理念・方針・期待する職員像

事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)

1)法人の理念「自分を愛するようにあなたの隣人を愛せよ」の実現
2)子どもたちが安全で安心できる生活環境の実現
3) 職員が働きやすい環境の整備
4) 地域との連携・社会貢献活動
5) 安定継続した組織の運営

職員に求めている人材像や役割

・常に利用者(児童・保護者)の視点に立って考えられること。
・相手(児童だけでなく職員に対しても)のことを思いやれ、気遣いができること。
・常に新しい視点で物事に取り組めること。
・清潔感があること。

職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

・法人の理念を理解し、利用者(児童)に寄り添えること。
・支援困難な児童への支援に対して自分自身をコントロールできること。
・想像力があること。
・チームとして支援する意識を持つこと、またそれを発信すること。

全体の評価講評

特によいと思う点

施設には障害傾向の子どもも在籍しており、退所先や就職先の選定等、特性に応じたリービングケアが必要となっている。その際、法人の系列の障害者施設で子どもが就労体験を行ったり、職員が子どもの退所先の一つである通勤寮の空き情報を得て紹介する等、必要に応じて法人内での連携を図っている。子どもたちと共にクリスマスケーキのデコレーションをする際には、系列の障害者施設で製造しているクッキーを納品してもらい、トッピングとして活用することも行っている。法人の強みを生かして、自立支援や生活の充実につなげている。

GHの職員が町会の一員として鍵の管理に務めたり、町会のお祭りでは出店を出してお祭りを盛り上げるなど、積極的に地域と関わることで、地域の中で子どもを育てる環境をつくり出している。敬老の日には地域の高齢者宅へ子どもたちがパウンドケーキをつくって訪問をしたり、クリスマスの時期には手作りのカードとクッキーを届けている。ピアノ、生け花、ダンス、工作などのサークル活動は地域のボランティアが担い、また社会奉仕団体のメンバーや第三者委員でもある地域住民との交流により、子どもの社会性や大人への信頼感を育むことにつなげている。

本園では普段は厨房で半調理をしているが、自由献立のユニット調理の日も設け、興味のある子どもは職員と一緒に買い物や調理を行っている。週末には餃子や卵料理等、子どもたちも作りやすいものを意識的に献立に入れている。十五夜にはススキ、果物、団子を飾り、団子は翌日に焼いて砂糖醤油で食べる等、施設の長年の伝統や季節感を大切にして継続している。毎年ジャガイモを送ってくれる支援者には、子どもたちがポテトサラダ等を作っている様子を写真に撮って送っている。日常の中での食に関わる様々な取り組みが、自然な形での食育となっている。

さらなる改善が望まれる点

法人として「自分を愛するようにあなたの隣人を愛せよ」の基本理念を行動規範である「支援介護の支援ブック」に落とし込み、当施設も含めた全職員に配布し、職員が学ぶ機会を設けている。そうした法人の理念・規範を基盤にしながら、今後は児童養護施設である武蔵野児童学園として、目指す支援のあり方を明確にすることが望まれる。職員が迷ったときに拠り所になり、また、子どもへの言葉かけ等も含めて支援の底上げにつながるよう、サービス提供の基本的な考え方を皆で考え、統一し、示していく取り組みが期待される。

性教育は、職員が日常生活の中で自然に行うようにしており、一人ひとりの子どもの状況に合わせて個別に対応している。一方で、高齢児に関しては、ソーシャルネットワークを介したトラブル等もあり、職員の子どもたちへの働きかけを再検討する必要性が高まっている。特に自立の近い子どもたちが、自分自身の性や生を大切にする姿勢を育めるよう、以前開催し効果のあった茶話会形式での性教育の再開も含め、効果的な実施方法の検討が望まれる。性教育の実績のある外部講師の継続的な研修を利用し、より具体的な性教育が期待される。

リービングケアの一環として、退所する子どもに渡す冊子「一人暮らしの自立に向けて」が今年度完成した。食生活に関するアドバイスを中心に栄養士が内容を考え、学習支援員がイラストを描いており、経験不足の子どもでも料理にチャレンジしやすくなっている。また、措置延長の子どもが親子訓練室で一人暮らし体験を行うなど、自立への意識向上を促している。今後は高校生についても自立支援プログラム等を整備し、親子訓練室を活用して献立作りや料理体験を行うなど、一人暮らしに必要な生活知識を身に付ける機会を用意することが期待される。

事業者が特に力を入れている取り組み

本年度のクリスマス会では、装飾が得意な保育士資格を持つ職員が飾りつけの責任者となり、幼児と一緒に小枝を拾ってきて、星形に組み、毛糸を巻いてつるす飾りを製作した。また、学習担当職員は高校生と一緒に動画を作成し、放映した。本年度栄養士が作成した退所時向けの冊子には、絵の得意な職員が挿絵を寄せている。生け花の得意な職員は子どもたちに指導している。チームワークを構築しながら、職員が通常業務の枠を超えて、得意分野を生かして活躍することにより、子どもたちの体験や支援の幅が広がっている。

施設の建て替えによりユニット内小規模化がなされ、より個々の子どもに着目した家庭的養育が推進できるようになっている。子どもの意向を自立支援計画に反映させ、年に2回の見直しを行い、児童相談所とも自立支援計画を共有することで、個々の子どものニーズへの見立てが充実してきている。様々な記録フォームの整備、体系化された会議、ICTを利用した職員間の情報共有などにより、計画の共有化を図り、支援の実効性が高まるよう取り組んでいる。

施設に暮らす子どもの特性に合わせた学習指導を学習担当職員が推進役となって展開している。中学生には平日夜間に学習指導を行い、特別な配慮を要する子どもへの学習計画を個別に策定し、施設内の学習指導が徹底的に個別化されている。このため高校受験においては希望校への進学が可能となる子どもが増え、子どもの自己肯定感を高める派生効果を生み出している。小学生には施設内で漢字検定を実施したり、公文式学習を展開するなど、学習支援にあっては非常に積極的な姿勢を打ち出している。これらの学習支援が今後も継続されることを期待したい。

利用者調査結果

調査概要

  • 調査対象:児童全員
  • 調査方法:アンケート方式,聞き取り方式  
    個別聞き取り調査及びアンケート調査(自己記入)
  • 有効回答者数/利用者総数:46/47(回答率 97.9% )

全児童47名中、46名から回答を得ることができた。満足度が高かった項目としては、「病気やケガなどの緊急時の対応は信頼できますか」「施設内の整理整頓は行き届いていますか」「職員の接遇は適切ですか」などがあげられます。総合的な満足度では、28名が「よい」「ややよい」の回答であった。毎日普通に暮らせるのでよいです、みんなでいろいろな所に遊びに行ったりクリスマス会でみなで集まるのが楽しい、心理の先生と話したり遊んだりするのが楽しみです、みんなで遊べるから楽しいです、などのコメントがあがっている。意見や要望としては、「帰園時間(門限)をもう少し遅くしてほしい」との回答が複数あった。他には、お小遣いを増やしてほしい、ゲームの時間を多くしてほしい、子どもはもっと大人の話を聞いた方がよいです、大人も子どもの気持ちをわかってほしいと思います、などがあがっている。

アンケート結果

1.食事の時間が楽しいひとときになっているか

はい 29名 (63%)
どちらともいえない 12名 (26%)
いいえ 3名 (7%)
無回答・非該当 2名 (4%)

29名が食事時間は楽しいひと時となっていると回答している。いつもにぎやかで楽しいです、作る職員によって味付けが異なります、食事のマナーを守らない子どももいるので「どちらともいえない」です、土日のメニューに食べたい物の希望を伝えています、などのコメントがあがっている。

2.子どもの年齢や特性、個別事情に応じて生活や規則内容等の説明を受けているか

はい 29名 (63%)
どちらともいえない 7名 (15%)
いいえ 4名 (9%)
無回答・非該当 6名 (13%)

施設での生活や規則について、子どもの年齢や特性、状況に応じた説明が行われていると回答したのは29名であった。トラブルの原因になるので他の子どもの部屋には入らないというルールがあります、大きくなるためにご飯をちゃんと食べます、ケンカをしない、ルールについては一つ一つ丁寧に説明してくれます、などのコメントがあがっている。

3.【中学生以上の方に】
将来に関する支援は、子どもの個別の要望や事情に応じて行われているか

はい 16名 (70%)
どちらともいえない 4名 (17%)
いいえ 3名 (13%)

中学生以上は23名であり、16名が将来についての支援が個別の要望や事情に応じて行われていると回答している。進学について相談しています、就職の内定をもらっています、職員さんが忙しいのはわかりますがもう少し相談にのってほしいです、などがある。

4.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか

はい 34名 (74%)
どちらともいえない 9名 (20%)
いいえ 1名 (2%)
無回答・非該当 2名 (4%)

施設内の整理整頓については、34名が行き届いていると回答している。みんなで使うお風呂やリビングはきれいです、おもちゃとかがたまに散らかっています、子どもの部屋は整理されていないこともあります、などのコメントがあがっている。

5.職員の接遇・態度は適切か

はい 32名 (70%)
どちらともいえない 8名 (17%)
いいえ 4名 (9%)
無回答・非該当 2名 (4%)

職員の接遇については、32名が適切であると回答している。「優しいです」との回答が複数あがっている。いつもはとても優しいですが注意される時は厳しいです、ルールを守れない時はしっかりと注意されます、学生気分の職員もいます、などがあがっている。

6.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか

はい 40名 (87%)
どちらともいえない 2名 (4%)
いいえ 1名 (2%)
無回答・非該当 3名 (7%)

緊急時の対応については、40名が信頼できると回答している。病院に連れて行ってくれます、学校では我慢してしまいますが学園の職員には言えます、親切に対応してくれます、休んでいる部屋にテレビを持ってきてくれました、などがあがっている。

7.子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか

はい 30名 (65%)
どちらともいえない 8名 (17%)
いいえ 4名 (9%)
無回答・非該当 4名 (9%)

子ども同士のトラブルへの対応については、30名が信頼できると回答している。「職員が止めてくれます」との回答が複数あがっている。自分で解決しなさいと言われることもあります、自分たちで解決します、ユニットの中ではあまりケンカはありません、などのコメントがあがっている。

8.子どもの気持ちを尊重した対応がされているか

はい 30名 (65%)
どちらともいえない 6名 (13%)
いいえ 3名 (7%)
無回答・非該当 7名 (15%)

30名が子ども個人の気持ちが尊重されていると回答している。部屋で集中している時は声をかけないでいてくれます、よく相談にのってくれます、とても心配してくれています、やりたい事を伝えても気持ちをわかってくれない時もあります、職員にもよると思います、などのコメントがあがっている。

9.子どものプライバシーは守られているか

はい 28名 (61%)
どちらともいえない 8名 (17%)
いいえ 3名 (7%)
無回答・非該当 7名 (15%)

子どものプライバシーについては、28名が守られていると回答している。入室時は必ずノックしてから部屋に入ってくれます、プライバシーは守られています、個室なので大丈夫です、秘密の事を話していません、などのコメントがあがっている。

10.個別の計画作成時に、利用者の状況や要望を聞かれているか

はい 29名 (63%)
どちらともいえない 3名 (7%)
いいえ 6名 (13%)
無回答・非該当 8名 (17%)

個別支援計画作成の際、子ども自身の状況や要望を聞かれていると回答したのは29名であった。子どもが自分で目標を決める時と職員さんが決めることもあります、年に1度聞かれて答えます、職員室で面談をして紙に書きます、今後の生活についてよく話をしています、よく覚えていません、などがあがっている。

11.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか

はい 23名 (50%)
どちらともいえない 2名 (4%)
いいえ 8名 (17%)
無回答・非該当 13名 (28%)

サービス内容や計画に関する説明については、23名がわかりやすいと回答している。リビングで職員と子どもが全員参加して今後の生活について話し合いをします、家に帰れない理由を教えてほしいです、などがある。

12.【小学校4年生以上の方に】
自らの権利について、職員はわかりやすく教えてくれたか

はい 26名 (74%)
いいえ 3名 (9%)
無回答・非該当 6名 (17%)

小学校4年生以上の子どもは35名であり、26名が子どもの権利についてわかりやすく教えてくれていると回答している。みんなで集まって話を聞きます、1年に1回くらい聞いているので覚えています、真剣に話してくれるので自分も真剣に聞くことができています、児童相談所を出る時に権利ノートを渡されました、などのコメントがあがっている。

13.子どもの不満や要望は対応されているか

はい 28名 (61%)
どちらともいえない 7名 (15%)
いいえ 4名 (9%)
無回答・非該当 7名 (15%)

不満や要望については、28名が対応されていると回答している。学園の職員はたくさんいるので心理の人や他のユニットの職員に話しても大丈夫です、恥ずかしいのであまり言えません、言える時と言えない時があります、職員にもよると思います、などがある。

14.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか

はい 27名 (59%)
どちらともいえない 5名 (11%)
いいえ 6名 (13%)
無回答・非該当 8名 (17%)

外部相談窓口については、27名が相談できることを伝えられていると回答している。主な外部の相談者としては、学校の先生やスクールカウンセラーなどがある。はがきに書いて送ってよいと言われています、外部相談の人の事は知っていますがやり方が分かりません、などがあがっている。

組織マネジメント分析結果

◆事業評価結果
7つの「カテゴリー」の下に、それぞれ「サブカテゴリー」「評価項目」「標準項目」を設定して評価しています。
評価項目ごとに、標準項目の実施状況を、実施できている場合はで、実施できていない場合はで表しています。

【講評】
職員間の対話を通して理念への理解を深め、自らの支援を振り返る機会が用意されている

法人理念「自分を愛するようにあなたの隣人を愛せよ」は、法人の全施設において基本となる考えであり、理事長、本部長が参加する「ダイアローグ研修」、各地区で実施する「理念研修」などで職員への周知が図られている。ダイアローグ研修、理念研修ともに職員同士の対話を通して理念への理解を深めていく形式をとっており、抽象的な概念を具体的支援に結びつけることで、自らの支援のあり方を考える機会となっている。また夜間の対応などグループワーク方式で検討することで、理念に基づいた支援について職員間で確認する機会となっている。

子どもの最善の利益となるよう、支援のあり方について検討し、実行している

運営会議、リーダー会議、職員会議などで施設長から施設目標の根拠と理念の具現化について周知が図られており、例えば、基本方針の一つである「自立支援」について、子どもが退所した時の生活まで見通しを立てて支援を行うことの重要性など、理念と絡めて説明している。近年は、入所してくる子どもの重篤化が進むとともに、一時保護委託の増加と入所期間の長期化が課題となっている。一時保護の子どもであっても通学ができるよう学校と協議を行い、また入所児童と同様に小遣いを渡すなど、子どもの最善の利益につながるよう支援をしている。

事前に議題を整理するなど、セクション会議の運営方法は検討課題としている

リーダーが把握した現場の課題は、月2回実施する「リーダー会議」と役職による「運営会議」で共有、連携し、そこで決定された事項、又は提案された事項を全職員が参加する「職員会議」で周知する。小規模化に伴い職員全員が一堂に会す機会が少なくなっており、月1回実施する職員会議とケース会議が重要な情報交換の場となっている。しかし、職員会議に取れる時間は40分程度であり、また同日に「セクション会議」を実施することから施設長が全ての会議に参加できない現状がある。会議の運営方法は検討課題としている。

1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
2. 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている
  • 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
  • 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
3. 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している
  • 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
  • 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  • 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
【講評】
法人の中期計画に従い施設の中期計画が立てられており、重点課題が明確である

今年度は法人の第5期中期計画(平成30年度~32年度到達目標)の中間年度であり、年度ごとに設定された重点目標に沿って法人各施設において課題解決に向けた取り組みが進められている。継続最重点目標「サービスの質の向上」では、13項目の課題が掲げられており、例えば、利用者(家族)への情報提供体制構築(ホームページの作成)では、計画的な進行管理の下、年度内の施設独自のHP完成が予定されている。また、重点目標として「地域社会への貢献」「財務基盤の安定化」「人材育成」「人事制度・法人の組織強化」が設定されている。

中期計画を上位計画に位置付け、事業環境等を踏まえた事業計画書が作成されている

上記、法人の中期計画を上位計画として、施設の「事業計画書(施設運営、支援方針、予算計画)」が策定されている。事業計画書では、「社会的養護ビジョン」など国の施策動向をはじめ、児童相談所や一時保護所の状況など社会的養護を取り巻く事業環境などの現状を踏まえたうえで、10年後を見据えた運営を行っていくことの重要性が示されている。具体的には、どのような子どもであっても受け入て見放さないことを根底に、親への支援力や地域への支援力を向上させること、権利擁護に立脚した支援を徹底していくことが示されている。

事業計画をより具体的にした支援計画書に基づき、事業の進行管理が行われる

施設の事業計画書に基づき、施設運営に関するアクションプランとしての「支援計画書」が策定されており、年度当初の職員会議において、支援計画書を元に1年間の職員体制、児童に関わる予算について説明し、職員間で確認している。一方で、職員の採用には苦労をしており、年度途中の退職等もあったことからフリー職員の配置が十分にできない、自立支援コーディネーターの複数配置につながらないなどの現状がある。職員配置を満たすこと、欠員を出さないことは喫緊の課題であり、次年度も組織を挙げて取り組む予定である。

1. 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
  • 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
  • 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
  • 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
  • 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
  • 事業所の経営状況を把握・検討している
  • 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している
  • 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
  • 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
  • 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
2. 着実な計画の実行に取り組んでいる
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
  • 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
【講評】
「支援介護の基本ブック」の周知、倫理綱領研修等で職員としての姿勢を伝えている

法人の基本理念から導き出される行動規範5項目や、それぞれの行動規範の解説文等をまとめた「支援介護の基本ブック」に基づき、年1回、園内研修として「基本ブック研修」を実施するとともに、職員会議では施設長が講師となり「倫理綱領研修」を行い、職員としての姿勢について周知を図っている。また法人が主催する虐待防止、人権セミナー、接遇マナー、リスクマネジメント、ストレスマネジメント、セクハラ防止対策などの研修、全社協、東社協、6ブロックなどが主催する外部研修への参加を通して、福祉事業に従事する者としての責務を学んでいる。

第三者委員やボランティアとの交流により子ども達は大人への信頼感を育んでいる

苦情解決制度については各部屋にポスターを掲示するとともに、意見箱を設置し子どもに周知を図るほか、児童集会において第三者委員や外部の相談窓口について説明を行っている。児童民生委員を務める第三者委員は近隣に居住しており、放課後や休日には卓球をしに行ったり、トイレを借りるなど子どもたちが気軽に立ち寄ることが出来る場所となっている。また、国際的奉仕団体のメンバーによるスキー教室への招待やアルバイトの受入等から大人への信頼感につながり、個人的な相談相手となっているケースもある。地域住民が子どもを見守っている。

地域の福祉ニーズに応えるために関係機関との更なる情報共有が期待される

施設長が近隣の小中学校の運営協議会委員を担うとともに、職員はPTAのクラス役員を務め、学校行事などにも積極的に協力することで関係性を深めている。また、グループホーム職員は町会の一員として町会会館の管理を担い、また子ども緊急避難所「ピーポくんの家」として地域の子どもの見守りに貢献している。一方で、施設建替えに伴い、ショートステイ事業や子育て相談などに応じられるよう環境整備を行ったが、具体的な取り組みについては未定となっている。子ども家庭支援センターなど関係機関との更なる情報共有が必要と思われる。

1. 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる
  • 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
  • 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している
1. 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている
  • 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  • 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
2. 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている
  • 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  • 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
1. 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる
  • 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
  • ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
2. 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている
  • 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
  • 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
  • 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
【講評】
リスクマネジメント報告書のSHEL分析を行い、予防への対応策が検討されている

法人のリスクマネジメント研修や外部研修など、事故や衛生管理、感染症対策等の危機対応について幅広く学ぶ機会が設けられている。リスクマネジメント委員会では、職員から提出されるリスクマネジメント報告書や気づきメモの内容についてSHEL分析を行い、事故防止に向けた対応策について職員に周知を図っている。特に、子ども間のトラブルやSNSの問題、夜間徘徊、無断外出、性的課題など、日常的に起こる事象についての対応策を検討することが多く、SNSについては外部講師による研修会で学習し、児童集会で注意喚起をはかっている。

施設版BCPの見直しを行っており、今後職員及び子どもへの周知が期待される

施設では、防災訓練実施計画に沿って毎月避難訓練を実施しており、防災委員会では災害リスクの把握、総合防災マニュアルの作成等につなげるとともに、煙体験や起震車による地震体験などを通し、子どもに災害時の身の守り方を伝えている。現在、防災委員会では施設版BCPの見直しを行っており、グループホームへのポータブル自家発電機の設置などが検討されている。また法人では、法人版のBCPに沿って大規模震災を想定した訓練を法人全体で実施することとしており、施設間の連携体制など確認する予定となっている。

職員個々にIDとパスワードを設定するなど、情報漏洩防止に向け対策を講じている

法人の個人情報保護規程、情報セキュリティ規程等に基づき情報管理を行っており、文書保存は管理規程に則り、事務所内で適切に管理を行っている。個人情報の一部は文書管理システムにより管理しており、職員個々にIDとパスワードを設定し、また必要に応じて文書にパスワードを設定するなど、機密性を高めている。一方で、全職員に諸規定を周知したり、個人情報の運用についての研修などが十分に実施できていないとの認識があり、特にグループホームでの運用や一人勤務時などの対応など、より注意喚起を図る必要がある。

1. 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる
  • 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
  • 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
  • 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
  • リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
  • 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
1. 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
  • 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
  • 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
  • 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
  • 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
【講評】
職員の採用には苦労をしているが、実習生などを幅広く受入れ確保につなげている

職員の配置基準は満たしているが、子どもへの十分な支援を行うためにはプラス2人の職員が必要であるとしており、法人の就活フェスタなどで大学生に働きかけ、アルバイトなどを通して施設への理解を深めてもらうとともに、幅広く実習生を受け入れることで採用につなげている一方で、年度途中の採用はほぼ困難な状況である。採用にあたっては人材不足を解消するためではなく、児童養護施設で働くことに熱意をもっていることを基準とし、採用後は法人の人事考課制度に則り、育成していくことを人材採用の方針としている。

キャリアデザインシートを活用して施設長・管理職との目標管理面接を実施している

従来からの「目標管理シート」に加え、昨年度から導入している「キャリアデザインシート」により、個々の職員の目標管理を行っているが、それぞれのシートの違いが整理できていないため、今年度、施設ではキャリアデザインシートを活用して施設長との目標管理面接を実施した。現在、法人では双方のシートの統合について検討をしており、キャリアパス制度と結びついた人材育成計画として機能していくことが期待できる。また、育成ノートを活用した個々の職員への声掛け、e-ラーニングによる学びの場が用意され、個々のスキルアップに活かしている。

風通しの良い組織づくりに向け、コミュニケーション委員会による企画が立てられている

職員の孤立を防ぎ、風通しの良い組織とするためにコミュニケーション委員会が中心となり各種の企画を立てており、昨年度は本園のホールに集まり昼食を一緒に食べるなどの取り組みを進めたが、GHの職員が参加出来ないなどの課題もあり、今年度は福利厚生の一環として、キャンプや昼食会、旅行など職員が選べる企画を立て実行している。また今年度、配置義務はないが施設独自に産業医を導入しており、職員のメンタルヘルスと健康管理の充実を図っている。職員自己評価においても職員の関係性が良いとのコメントが多く挙がっている。

1. 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている
  • 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
  • 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
2. 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している
  • 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
  • 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
3. 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる
  • 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
  • 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
  • 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
  • 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
4. 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる
  • 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
  • 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
  • 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
  • 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
1. 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる
  • 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
  • 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
  • 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
1. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)

【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】

 「職員のスキルアップと人材育成、人材定着」を重点課題とし、「計画的な研修計画作成とキャリアデザインシートによる職員個々のスキルアップ」を目標に掲げた。
 具体的には、学習意欲、施設内での役割等に応じた研修計画を策定するとともに、キャリアデザインシート導入研修の受講とキャリアデザインシートを施設長に提出することとした。新任以外の常勤職員は全員記入した。
 取り組みの結果、研修計画に則って部会や子どもの虹等、外部研修へ職員を派遣することができ、支援へ還元することができた。
 専門機能強化型事業による施設運営向上事業としても、継続して職員ニーズに合わせた講師を招聘して研修を設けられた。また、キャリアデザインシートの記入を通し、自身の支援観や意欲について整理することができた。施設長も個々の目標や姿勢について把握する機会となった。
 検証の結果、研修への派遣はできているが、施設への還元として報告の機会が少ないことが課題であり、また、報告のスキルが身につかないことが課題となった。またキャリアデザインシートの今後の展開、目標管理シートとの住み分けについて検討することなった。

【評語】
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している

 職員不足などの課題から、施設長、上長との面接が十分に行えず、職員個々の意識や意欲について把握する機会が持てないままの育成となっていたため、計画的な研修計画を作成し、法人によるキャリアデザインシートを活用した職員育成及び人材の定着を図ることを目標に設定した。研修計画の策定及び研修参加者の選定は、運営会議等で検討し、計画的に職員を研修に派遣することができた。一方で、研修報告会の十分な開催までは出来ず、回覧等での報告となった。 
 また、後期にはなったが、新任職員以外はキャリアデザインシートを記入したが、キャリアデザインシートを活用した施設長面接までは実施できなかった。
検証の結果、次年度の課題として、キャリアデザインシートの今後の展開、目標管理シートとのすみ分けなど研修委員会による検討を行うこととなった。
 今年度は、年度始めに常勤職員全員がキャリアデザインシートを記入、管理職、役職者は全職員の内容を確認、上長であるリーダーは部下のシートを確認する流れが出来た。中間期での施設長面接ではシートを活用し、年度末には上長との面接で振り返りを行う予定である。

2. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)

【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】

 「性教育委員会主導による性教育の推進」を図ることを目標に掲げ、「児童を年齢別、性別でグループ分けし、性教育の場では担当職員も一緒に参加して性教育の時間を作る」「職員自身が正しい知識を学ぶきっかけとなる機会を持つ」こととした。
 具体的には、児童を年齢別、性別でグループ分けするだけではなく、非常勤も含め担当職員をメンバーとして巻き込み、年間スケジュールやテーマを決めて実施するとともに、外部講師による性教育をテーマとした施設内研修を実施した。
 高校生はお茶やお菓子を用意して座談会のような形式にして参加しやすい工夫をした。また、外部講師による研修では、正しい知識、ロールプレイを通して実際に子どもとのやり取りを想起することができた為、現在担当している児童に捉われずに学ぶことができた。
 外部講師による研修については参加者の感想、意見について委員会が集約することができたが、児童への性教育に対する振り返りが曖昧な形で終わってしまった。
 次年度以降も外部講師による学習会の継続するとともに、継続的な性教育の実施と、グループ実施と個別実施の有効性について委員会において検討することとしている。

【評語】
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している

 発達障害、軽度知的障害の児童が思春期を迎え、関心の高まりと衝動のコントロールの悪さから事故が起きてしまうことが懸念となっており、施設として性教育の充実が求められるようになっていた。そのためには、職員自身が生や性について子どもに伝えられることが必要であり、児童と職員の両面から性教育を実施することとした。
 性教育委員会が主導して年度前半では担当者の割り振りやテーマの決定、後期には子どもを年齢別、性別でグループ分けして、実施している。高校生については、座談会形式とするなど話しやすい環境をつくり、SNSの注意点など具体的にリスクを伝えている。外部講師による研修は、専門機能委員会とも連動して実施しており、研修後にはアンケートを取り、職員の意見を集約した。その結果、次年度も継続することとなった。
 児童に対する性教育の振り返りは十分ではなかったのと反省から、次年度は性教育委員会において、グループ実施と個別実施の有効性を検討することとなった。

サービス分析結果

6. サービス分析のプロセス
【講評】
施設独自のホームページを公開し、大切にしている支援観等の情報提供を行っている

第5期中期計画における継続最重点目標「サービスの質の向上」において、利用者(家族)への情報提供体制構築が掲げられており、施設においても施設独自のホームページを作成し、今年度2月に公開している。施設長挨拶や支援方針において施設が大切にしている支援観を伝え、また個人情報に配慮したうえで写真を活用しながら子どもたちの生活の様子を伝えている。以前は法人が一括してホームページを作成していたため概要のみであったが、独自のホームページにより情報提供の幅が広がり、新規職員の採用につながることに期待したい。

法人広報誌を関係機関に送付し、施設、法人としての取り組みを周知している

法人機関紙を関係機関に送付しており、施設の状況を伝えるとともに法人の取り組みについても周知することで、施設への信頼感の醸成を図っている。しかしながら、事業所数の多い法人であるが故に、機関紙毎号に本施設の情報が記載されているとは限らず、機関紙にはその目的上、社会福祉の動向等のトピック等が主な記事となっている。保護者にとって必要とされる情報ニーズを把握する側面も必要になってくると考えられる。施設ホームページは法人機関紙の限界を超えて、施設の取り組みを周知する効果的なツールとして活用されることが期待されている。

子ども家庭支援センターなど関係機関への積極的な情報提供も必要と思われる

保護者からの問い合わせは多くはないが、家庭支援専門相談員と心理療法担当職員によって、保護者への対応を行い、情報提供を行っている。施設には親子訓練室が複数室設置されているが、今後は、親子訓練室の有効な活用方法について検討を行う必要があるとしている。また、保護者への情報提供を行う際は、必要に応じて児童相談所と連携し実施しており、個別のケースを中心に児童相談所への情報提供を行っている。ショートステイなど地域の福祉ニーズ把握の観点からは、子ども家庭支援センターなどへの積極的な情報提供も必要と思われる。

1.子どもや保護者等に対してサービスの情報を提供している
  • 子どもや保護者の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  • 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  • 子どもや保護者の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
「入所のしおり」を用いて入所時の面接を行い、子どもの同意確認を行っている

子どもの入所時には「入所のしおり」を参照しながら説明を行い子どもの同意確認を行っている。「入所のしおり」は子どもが保管しており、必要な時に見返すことができるようにしている。中学生以上の子どもには携帯電話の持ち込みについてのルールを説明し、担当児童福祉司にも説明するなどサービス利用開始時の説明が丁寧であることがうかがえる。これらの丁寧な取り組みについて、職員全体で共有されており、子どもひとり一人の入所時のストレスをやわらげるように意図している。

保護者へ施設生活におけるルールを説明し、家族再統合への努力を継続している

私物の持ち込み、子どもへのプレゼントについて保護者に説明する機会を設けている。また子どもの写真、映像等肖像権使用の同意確認を書面にて行っている。更に保護者の面会時にも必要な同意確認を重ねて実施し、保護者への丁寧な関わりが展開されている。家族支援専門相談員のみならず、心理療法担当職員が家族支援を積極的に行っており、家族再統合に向け自立支援コーディネーターも含めた施設の専門職が児童相談所、子ども家庭支援センターとの連携を図っており、必要に応じて入所時から退所を見据えた支援が行われている。

インテークに同席した職員が入所に関わり、生活リズムを整えることを優先している

家庭支援専門相談員、ユニット職員、心理療法担当職員が入所に関わり、入所日にはインテークに立ち会った職員が子どもを迎え入れている。管理職、役職者はユニット内での紹介を行い、子どもの入所時のストレスを低減している。その後、ユニット職員は学用品準備等で個別に関わり、食事の際には偏食の様子を把握するように努めている。なだらかに施設での生活になじめるような工夫が見られるが、これは退所においても同様であり、退所にあっては自立支援コーディネーター、栄養士が子どもと関わり、退所後の生活が円滑に進むよう配慮している。

1.サービスの開始にあたり子どもや保護者に説明し、理解を得ている
  • サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要な事項等を子どもや保護者の状況に応じて説明している
  • サービス内容について、子どもや保護者の理解を得るようにしている
  • サービスに関する説明の際に、子どもや保護者の意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
  • サービス開始時に、子どもの支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  • 利用開始直後には、子どもの不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
  • サービス利用前の生活をふまえた支援を行っている
  • サービスの終了時には、子どもや保護者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
【講評】
自立支援計画書等の各種フォームによる記録が整備され、見直し時期が規定されている

様々な会議が体系的に位置付けられ、月間で職員会議1回、ケース会議1回、リーダー会議2回で支援の方向性を確認し、セクション会議を2回行うことによって支援を具体化し、それを各種フォームに記録している。自立支援計画の見直しは年間2回とし時期も決められている。個別状況に応じた計画策定はほとんどの職員に意識化されており、策定の手順が定められ、それが周知されていることがうかがえる。各種フォームが規定され年間の事業計画・支援計画がPDCAとして円環的に実行されていることが背景にあると思われる。

日常の生活場面及び構造化された面接場面での会話を通して意向確認をしている

子どもとの関わりの中で年間2回の計画説明を行っている。その際、子どもの意向を尊重し、家族との交流や再統合への支援などは、児童福祉司や家族も交えて子どもに説明するなど、子どもの納得を重要視している。手順が定められている一方で、話しの分かりやすさ、納得の度合いについては、さらに質を高める努力を継続することが求められる。施設環境が改善され、生活の中で話しをするのとは別に個別に話しを聞くことが増えており、環境を有効活用することで職員からの話について子ども自身の理解度が高まっていくと考えられる。

緊急に計画を変更する場合の手順が決められ、その結果を職員間で共有している

計画の急な変更に対して、一定の手順が策定されてはいる。しかしながら緊急な変更が職員間での周知にとどまっている可能性もある。記録システムの掲示板一斉周知により、変更プロセスの共有が追い付かないという事情も見受けられた。自立支援計画の急な変更を全職員間で検討する時間を確保することは難しいと思われるが、入所する子どもの負う課題が多様になっている中で、全職員が納得する計画変更手順の策定が求められる。

1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、子どもの課題を個別のサービス場面ごとに明示している
  • 子どもの心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し把握している
  • 子ども一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  • アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.子どもや保護者の希望と関係者の意見を取り入れた自立支援計画を作成している
  • 計画は、子どもや保護者の希望を尊重して作成、見直しをしている
  • 計画を子どもにわかりやすく説明し、同意を得るようにしている
  • 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  • 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
3.子どもに関する記録が行われ、管理体制を確立している
  • 子ども一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  • 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果子どもの状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.子どもの状況等に関する情報を職員間で共有化している
  • 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
  • 申し送り・引継ぎ等により、子どもに変化があった場合の情報を職員間で共有化している
1.個別の自立支援計画に基づいて、自立した生活が営めるよう支援を行っている
  • 個別の自立支援計画に基づいて支援を行っている
  • 子ども一人ひとりに合った方法で、子どもと職員の信頼関係を構築するために受容的・支持的な関わりをしている
  • 小規模なグループでケアを行うなど、子どもが家庭的な環境の中で生活できるよう支援を行っている
  • 子ども一人ひとりの自立に向けて、関係機関と連携をとって、支援を行っている
  • 退所後は計画に基づいて、一人ひとりに応じた支援を行っている
【講評】
自立支援計画書の内容や進捗状況を全体会議で振り返り、職員が共有して取り組んでいる

自立支援計画書の作成と半期毎の中間点検を全体会議で実施しており、職員全体で自立支援計画を意識して取り組む体制となっている。ユニットの日誌には、施設内・学校・心理・健康・学習等の項目のほか、自立援助の項目を設け、子どもとの日々のかかわりの中で、個々の成長への後押しや、子どもの状況等を記録し、次のステップにつなげている。法人として、作業所等の障害者施設を持つ強みを生かし、障害者手帳を持つ子どもへの情報提供等も行っている。就職後に困った際などには法人職員が相談に応じ、関係機関等に付き添う等の支援も行っている。

施設全体で小規模ケアを実践しており、個室化により子ども間のトラブルも減っている

本園には、幼児1ヵ所の他、男女それぞれ2カ所ずつ、計5カ所のユニットがあり、それぞれ玄関等も独立した生活空間となっている。グループホームは3カ所設置しており、施設全体で小規模ケアを実施している。本園は建て替えを行って3年目であり、中高生は個室、小学生は2人部屋とし、他の子の部屋には入らないルールを子どもたちに周知し、定着している。そのため以前の中舎制と比べて、全体的に子ども同士ののトラブルが減少している。見学時にも、リビングに集まり、職員も交えてカードゲームに興じる等、和気あいあいとした様子が観察できた。

措置延長の子どもは親子訓練室で暮らすこともでき、自立へのステップを踏んでいる

退所する子どもについては、自立支援コーディネーターを中心に「終結記録」を取りまとめ、利用できる社会資源やアフターケアの計画を明確にしている。自立支援事業(措置延長)を活用している子どもは、親子訓練室の1室を使い、生活することも可能である。その場合、ユニットの担当職員がアフターケアとしてかかわり、夜間は本園の職員が見回り、声かけをしながら見守っている。親子訓練室で1年半程、生活していた事例もあり、社会に出て自立するまでのステップとして活用されている。

2.家族等との関係構築に向けた取り組みを行っている
  • 子どもや保護者等の状況、意向・希望を把握し、家庭関係の調整を行っている
  • 子どもの状況や行事等の情報を個別の連絡により保護者等に知らせている
  • 保護者等との面会、外出、一時帰宅等は、状況を把握したうえで、子どもの安全に注意しながら行っている
  • 家族との再統合に向け、子どもや保護者等の意向をふまえて、児童相談所等と連携をとって、支援を行っている
  • 家族との再統合が難しい場合、養育家庭や養子縁組等を必要とする子どもが制度を活用できるよう児童相談所と連携をとっている
  • 入所中の子どもの家族等(里親を含む)に対し、退所後の生活を想定したさまざまな支援を行っている
【講評】
家庭支援専門の心理士を中心に、親の悩み相談も受けながら家庭復帰を支援している

家庭支援専門相談員を2名配置しており、児童相談所との窓口や事務連絡等の担当と、親の対応の担当に役割を分けている。親の担当は心理士が担い、子どもとの向き合い方や悩みの相談を専門的に受けることができ、解決するべき親の課題についての助言も行っている。また、子どもの視点から、関係者へのスーパーバイズを実施している。面会や帰泊の送迎時には家庭支援専門相談員が親に会い、信頼関係の構築を図り、困りごとを聞く等の対応をしている。現在、家庭復帰を果たす事例は年間2、3ケース程であり、子どもや家庭の状況を見ながら支援している。

児童相談所の方針に沿い、交流が可能な場合には親子支援室も活用している

本園に親子訓練室を設け、親子で食事をしたり、遊んだり、宿泊することが可能となっている。料理をする場合は、その都度調味料等を貸し出している。ニーズは多くはないものの、安心できる環境の中で子どもが親と一対一で過ごし、家庭を体験できる場として、親子の交流を進める中で活かされている。家庭復帰後を見越した、地域で利用可能な社会資源については、関係者会議で検討し、連携を取りながら親子を支援できるように努めている。家庭復帰の目標は入所時に児童福祉司と一緒に立て、年1回、ユニット職員と家庭支援専門相談員で再検討している。

養育家庭制度の活用について、施設として、さらなる体制の充実を課題としている

養育家庭や養子縁組が適切かどうかは、ユニットの職員と家庭支援専門相談員が中心となり判断し、児童相談所に報告しながら検討する仕組みとしている。判断の明確な基準はなく、必要な場合に積極的に家庭的養護につなげられるよう、施設としての方針やある程度の基準を設定することも有効ではないかと思われる。フレンドホームの登録は現在2件あり、さらに増やし、家庭復帰が難しい子どもを中心に利用できるようにしたいと考えている。今後、職員数を充足させながら、里親支援専門員を配置し、施設内や地域への支援を充実させることが期待される。

3.子どもが楽しく安心して食事ができるようにしている
  • 食事の献立は、子どもの状況や嗜好に応じて工夫している
  • 食物アレルギーや疾患等については、主治医等の指示に従い、対応している
  • 楽しい食事となるような環境を整えている
  • 食事時間は子どもの希望や生活状況に応じて対応している
  • 食についての関心を深めるための取り組みを行っている
【講評】
栄養士が子どものリクエストや発達を考慮し、バランスの良い献立を立てている

本園では、毎年実施している嗜好調査や子どもからのリクエストを踏まえて、栄養士が献立を作成している。旬の食材を意識し、一週間の献立の中で米飯、パン、麺の主食や肉、魚の副食をバランスよく取り入れている。行事食や誕生日メニューも工夫している。また、栄養士は子ども身長・体重の測定結果を把握し、成長曲線を見ながら定期的に発育状況を確認している。食物アレルギーを持つ子どもには除去食や代替食を提供しており、献立表の中で該当する食材がある場合には注意事項を記載し、調理器具や皿を分けて提供している。

日常の食生活の中で、子どもへの働きかけを通し、自然な形で食育を実践している

以前は毎月、栄養士を中心に食育を実施していたが、現在は日常生活の中で行っていく方針に転換している。ユニットの職員は、子どもの意欲を引き出すよう、積極的に働きかけている。ユニット調理の日には何を食べたいか子どもに問いかけ、子どもと一緒に買い物に行ったり、その際に消費期限や食材の選び方を知らせる等の取り組みを継続している。調理に興味がある子どもたちに献立を考えてもらい、買い物に行き、分担して調理することもある。「美味しかった」「また作ってね」と言われる体験は、子どものさらなる意欲につながっている。

自立する子どもへの食生活のアドバイスを満載した冊子が完成し、活用が期待される

本年度、栄養士が内容を考え、学習支援担当職員がイラストを描いて、退所する子どもに渡す冊子「一人暮らしの自立に向けて」が完成した。最低限揃えたい台所用品、食生活のポイント、食品の選び方、カット野菜や市販のお惣菜の活用、一週間の献立例等を見やすく記載している。おにぎりを1つ買うなら肉か魚入りのものが良い等、無理せずにできる範囲で健康的な食生活を送れる工夫が満載の内容となっている。いつでも連絡をくれたら秘伝のレシピを伝授します、とのメッセージもあり、自立する子どもの大きな支えになるものと思われる。

4.子どもの健康を維持するための支援を行っている
  • 入所まもない子どもの健康状態(口腔ケア、視力等)に配慮し、健康維持のための支援を行っている
  • 健康に関して、子どもからの相談に応じ、必要に応じて子どもや保護者等に説明をしている
  • 子どもの服薬管理は誤りがないようチェック体制の強化などのしくみを整えている
  • 子どもの体調に変化があったときには、速やかに対応できる体制を整えている
  • 日頃から医療機関と連携を図り、健康管理に活かしている
  • 健康について子どもに理解を促す取り組みを行っている
【講評】
感染症対策等について職員全体で学ぶ機会を設け、子どもの体調管理を行っている

看護師を配置していないため、子どもの健康状態の判断は、体温や嘔吐、自覚症状等を確認して複数の職員で行うようにし、必要に応じて通院等の処置をしている。予防接種や感染症の基本知識については入職時に研修を行っており、過去には嘱託医が施設内研修を実施したこともある。また、ノロウイルスの感染症等の流行期には、給食会議で栄養士が話をしたり、eラーニングの教材を利用して嘔吐処理の手順を確認し、数名で実演をする等の取り組みも行い、スタンダードプリコーション(標準感染予防策)の周知に努めている。

予防接種の担当を設け、年間スケジュールに沿って確実に接種できるよう管理している

予防接種は担当職員がおり、母子手帳等から一人ひとりの子どもの接種状況を把握し、年間スケジュールを立て、クリニックで接種を受けられるよう管理している。実際の接種にはユニットの担当職員が付き添い、担当職員に報告することで一元管理を行っている。入所時に母子手帳がなかったり充分な記載がされていない等、子どもの健康状態の正確な把握が困難である場合もある。その際、保健所や嘱託医等と相談し、みなし接種を行うこともある。

嘱託医とのホットラインがあり、夜間も含めて医療面の相談ができる体制が整っている

子どもの健康面について、普段と異なる様子等があれば、ユニットで記録し、引継ぎを行っている。また、子どもの様子の確認や声かけを行っている。嘱託医である内科医は夜間も含めてホットラインでつながっており、いつでも相談ができる体制となっている。子ども自身が自分の健康に関心を持ち、自己管理ができるよう、日々の生活の中で、ユニット職員が働きかけている。帰宅後や食事前の手洗い等の習慣づけについても日々、支援している。

5.子どもの精神面でのケアについてさまざまな取り組みを行っている
  • 子どもが心の悩みや不安を相談できるように工夫している
  • 性についての正しい知識と理解が得られるよう、子どもの年齢や状況に応じた説明を行っている
  • 子どもの抱える問題に応じて、心理的ケアが必要な場合は、関係職員・機関と連携をとって、支援を行っている
【講評】
日曜日にはプレイルームで自由に遊ぶことができ、親しみを感じる場所となっている

治療指導員及び3名の心理療法担当職員を配置し、ユニットの職員と連携して子どもたちの心理面や精神面の支援にあたっている。心理療法室が2カ所あり、1ヵ所は主に高齢児の面接に使用し、もう1ヵ所には箱庭や各種玩具を置き、プレイセラピーを実施している。毎週日曜日には、プレイセラピーの部屋をオープンルームとし、個別の心理療法を受けていない子どもたちも自由に遊びに来られる場となっている。「楽しいから(心理療法を)やりたい」という子どももおり、心理療法のハードルが下がる効果が出ている。

心理療法担当職員や児童精神科医等が専門性を発揮して子どもたちを支援している

心理療法担当職員は、年間8回のケース検討や児童精神科医が出席するケース検討に参加している。セクション会議にも出席し、子どもの様子を共有、把握している。ユニットの職員からの依頼に応じて心理療法を行い、必要に応じて精神科医の面接につなげている。当施設の非常勤の精神科医は、非行精神医学が専門であり、特に思春期や青年期のさまざまな課題についての助言が子どもの支援に活かされている。必要に応じて、外部の小児医療センターの医師とも連携し、子どもの通院や服薬等の必要な支援につなげている。

性教育について課題としており、実績を踏まえて効果的に実践されることが期待される

日常生活の中で、男女の距離の取り方等はその都度職員が伝え、適切な距離感で互いを尊重して接することができるように支援している。性教育については、知識だけではなく対人関係に課題を持つ子どもが多いことから、生活の中で担当職員を中心に必要なことを伝えていく方針で長年取り組んでおり、集団での取り組みはこれまであまり実施してこなかった経緯がある。数年前に実施した高校3年生の女児への、茶話会のような形式での性教育が効果的だったことから、今後も検討しながら実施していきたいと考えており、施設に合った形での再開が期待される。

6.子どもの自主性を尊重し、施設での生活が楽しく快適になるよう支援を行っている
  • 居室や共用スペース等は、子どもの状況に応じて、安全性や快適性に配慮したものとなっている
  • 日常生活の過ごし方は、子どもの状況・年齢等に応じて工夫している
  • 行事やイベントの企画・準備は子どもも参加して行っている
  • 施設の生活ルールは子どもの意見を参考に見直しを行っている
【講評】
家庭的で落ち着ける生活空間を工夫し、ボードゲーム等の玩具も用意している

本園の子どもの居室は中高生が個室であり、リビング等の共有スペースは、それぞれのユニット毎に職員が工夫し、家庭的で落ち着ける生活空間としている。また、皆で遊べるように、カードゲームやボードゲーム、パズル等を用意している。幼児ユニットにはプレイルームを設け、好きな玩具を出して遊んだり、折り紙をしたり、思い思いに子どもたちが過ごしている。小さい子どもが掛けやすい個別のコート掛けを用意する等、過ごしやすい工夫が見られ、利用者調査の際には、子どもたちが自分たちの生活空間に愛着を持っている様子がうかがえた。

施設行事やユニット外出、個別外出等は子どもたちが主体的に参加する機会となっている

施設行事であるサマーフェスタでは、子どもたちがダンスや芸等の出し物をしたり、飾りを準備したり、後片付けをする等の役割を担っている。クリスマスには部屋毎に出し物を行っている。コンサートやプロバスケットボール観戦等の招待があれば、希望を募り、子どもたちが参加している。ユニット毎に子どもたちの意見を吸い上げながら、スポーツのできる複合施設やいちご狩り等に出かけている。また、職員と一対一での個別外出も行っており、買い物やカフェでお茶を飲む等、好きな場所に出かけて過ごすひと時となっている。

意見表明の機会を設け、子どもの意見や社会情勢等を踏まえて、ルールを見直している

ユニット毎に児童集会を行い、生活ルール等についての意見表明の機会を設けている。バドミントンの道具や縄跳びがほしい、といった子どもたちからの要望があれば、可能な範囲で購入している。携帯電話の使用について等、テーマによっては高校生だけ等の横割りの集会を行っている。意見を踏まえてルールを見直しており、例えば携帯電話を高校入学前に持ちたいという希望が多かったことから、格安の携帯電話の契約を選択できるように変更した。また、小学生について、友達と遊ぶときに、自分のお小遣いでお菓子を買えるようにルールを変更している。

7.子ども一人ひとりに応じた学力向上・進路決定のための取り組みを行っている
  • 基本的な生活習慣及び生活知識・技術を身につけられるよう支援を行っている
  • 基礎学力の向上・学習習慣獲得のための支援を行っている
  • 子どもの意欲・意思や能力に応じた学習教材・塾等を活用している
  • 進路について、子どもと保護者等、学校、施設による話し合いを行っている
  • 進路の決定は、子どもの意向や適性に応じて選択・決定できるよう支援を行っている
  • 個別に必要な時期・状況で、自立に向けての社会体験を行っている
【講評】
年齢や状況に合わせて、望ましい生活習慣や自立に必要な力の獲得を支援している

幼稚園から中学生の子どもたちには、規則正しい、望ましい生活習慣の獲得を重点的に支援している。幼児ユニットでは、幼稚園から帰った子どもたちが自主的に靴を下駄箱にしまっている姿を観察できた。中学生から高校生にかけては、自立支援コーディネーターとの関係性を構築していきながら、基本的に18歳での自立に向け、アルバイトや自立生活のための生活知識、社会性、技術の習得に支援の重点を移行している。特別な配慮を必要とする子どもや、特別支援学校に通う子ども等には、状況に応じて個別に対応し、支援している。

学習担当職員を中心に平日は毎日学習会を行い、学習が楽しくなるよう工夫をしている

家庭学習教材を導入し、長年実践してきている。現在は非常勤の学習担当職員を中心に、ユニット職員とも連携しながら、「学習が楽しい」と思えるようにさまざまに工夫している。平日は毎日夕方5時から本園で学習会を開催しており、小学生、中学生、高校生で時間帯を分け、小学校5、6年生の英語プログラム等、スケジュールを組んで実施しており、グループホームの子どもも集まっている。年1回の「漢字バトル大会」では、優勝者にお菓子のご褒美がある。漢字検定の認定準会場となっており、小学校3年生くらいからの子どもたちがチャレンジしている。

親子訓練室を活用した一人暮らし体験や、インターン等の職業体験を支援している

子どもの進学相談には、ユニット職員の他、自立支援コーディネーターや学習担当職員を中心に応じている。夏の中高生の集会の後には、自立支援コーディネーターが時間を取り、職業へのイメージを持てるよう話をしている。高校生は外部のNPOが提供するプログラム等を活用し、職場見学、アルバイト、インターン等の職業体験ができるよう支援している。退所が近い子どもには電器店に行って家電製品の価格を一緒に調べる等の支援をしている。必要な子どもには措置延長制度の利用を勧めており、親子訓練室を使用して一人暮らし体験を行っている。

8.地域との連携のもとに子どもの生活の幅を広げるための取り組みを行っている
  • 地域の情報を収集し、子ども一人ひとりの状況に応じて活用している
  • 施設の活動や行事に地域の人の参加を呼びかける等、子どもが職員以外の人と交流できる機会を確保している
  • 子どもに、地域と日常的に関わりながら生活していることの大切さを伝えている
【講評】
町会のお祭り、行事等への参加や、第三者委員、米軍基地等との交流を継続している

施設として町会に加入しており、地域とは良好な関係性が築かれている。地域のお祭りには施設としてかき氷、バザー等の出店をし、子どもも手伝ったり、参加したりしている。第三者委員とは日頃から交流があり、子どもが放課後に自宅に立ち寄って話をしていく等、子どもの成長を間近で共に見守る存在となっている。米軍基地との継続的な交流が持たれており、クリスマスには毎年来所している。事前に出したリクエストに沿ってプレゼントを持ってきてくれたり、一緒にゲームをしたりと、子どもたちにとって楽しみな一日となっている。

グループホームでは日常的に、近隣とのかかわりを意識できるようにしている

ピアノ、生け花、工作等のボランティアが定期的に来所しており、希望する子どもたちが参加している。本園には子どもたちが生けた花が飾られている。グループホームでは、職員が率先して地域の人と挨拶をしたり、子どもと一緒にゴミ出しを行うこと等を通して、生活の中で子どもが近隣とのかかわりを意識できるよう働きかけており、地域の一員として子どもたちが育っている。地域の子どもが困った時に駆け込める緊急避難場所としても登録し、看板を掲げている。

近隣へのプレゼントやボランティア活動を通して、人の役にたち喜ばれる経験をしている

クリスマスの時期や敬老の日には、希望する子どもが法人内の作業所に行き、お菓子を手作りし、日頃お世話になっている近隣の人を訪問してプレゼントしている。相馬市の農家等にホームステイをしながらのボランティア活動は4年目となり、毎年参加している子どももいる。普段、やってもらう経験は多いが、人の力になったり感謝されることの少ない子どもたちが、そのような経験を積む貴重な機会となっている。毎年行く子どもはできるだけ同じ家に滞在するようにし、お互いに気心が知れた関係性を築いており、就職の世話等の申し出もある。

【講評】
個人情報の掲載や肖像権使用について同意確認を行い、プライバシーを保護している

USBメモリーへのデータ入力を禁止したり、個人情報データの園外持ち出し禁止も含めて、施設として当然行うべき情報管理を徹底している。さらに、日常支援の中でのプライバシー配慮、羞恥心への配慮については、研修等を通じてほとんどの職員が理解していると思われる。また、保護者への同意確認も含めて、子ども本人への同意確認が徹底されている点は本施設の強みであり、児童養護施設が子どもの権利を擁護するうえで極めて重要な示唆を与えてくれる実践であると考えられる。

「子どもの権利ノート」の説明を定期的に実施し、更なる工夫を検討している

年2回の子どもの権利ノートの説明では、同ノートに綴じられている児童相談所宛のハガキの使い方など説明がなされている。また、意見箱の設置場所を各ユニット内で検討しており、要望や苦情については全職員に周知がなされている。施設内に設置されている権利擁護委員会では、生活場面でどのように権利ノートを用いるかを検討している。また、暴言・暴力は許されないことを日頃から、また定期的な権利ノートの説明時に子どもたちに伝えており、子ども同士のトラブルがあれば権利擁護委員会で再発防止策を検討し、周知を図っている。

権利擁護の対応方法を研修、マニュアル化で更に強化しようとしている

小規模化により職員間のコミュニケーションが維持できるかという管理職の不安をよそに、情報共有、円滑なコミュニケーション等、元々あった施設の風土がそのまま維持されている。そのため、権利問題が発生した場合の解決方法が共有化されており、部屋を替えたいという子どもの要望にも適切に対処してきた。将来的には権利擁護について施設内階層別研修やテーマ別研修を計画的に実施することでさらなるプライバシー保護、個人の尊厳尊重への理解と共有を図る予定であり、職員間で共有されている対応方法のマニュアル化を目指している。

1.子どものプライバシー保護を徹底している
  • 子どもに関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、子どもや保護者の同意を得るようにしている
  • 個人の所有物や郵便物の扱い、居室への職員の出入り等、日常の支援の中で、子どものプライバシーに配慮した支援を行っている
  • 子どもの羞恥心に配慮した支援を行っている
2.サービスの実施にあたり、子どもの権利を守り、個人の意思を尊重している
  • 「子どもの権利ノート」などにより、子どもの基本的人権について、日常生活の中でわかりやすく説明している
  • 子ども一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
  • 施設内の子ども間の暴力・いじめ等が行われることのないよう組織的に予防・再発防止を徹底している
【講評】
新任職員向けの講義を実施し、マニュアル以外にも業務基準を学ぶ機会を設定している

様々なマニュアルが整備されているが、新任職員向けのマニュアルは特別には作られていない。しかし年度初期に施設長、専門職による新任職員向けの講義が行われており、施設の支援基準を学ぶ機会が設定されている。新任職員向け講義の実施や業務マニュアルの整備により、支援の標準化を図る一方で、職員が業務上わからないことが起きた際に業務点検手段としてマニュアルを活用することについては課題となっており、全職員がマニュアルの使い方を学ぶOJTの在り方の検討が法人内でも求められている。

マニュアル検討委員会を設置し、様々な状況への対応マニュアルを整備し続けている

全職員が所有する「支援業務マニュアル(基本編)」は、生活支援業務、記録整理業務、日常業務、見回り業務、宿直業務と業務全般を網羅したマニュアルとなっており、施設の支援基準の徹底化がなされている。ユニットの業務マニュアルは半期ごとに見直し、子どもや職員等の状況に沿うようにしている。各種のマニュアルや記録類に関して、見出しを丁寧につけ、ファイリングを工夫することで、さらに検索や活用がしやすくなると思われる。

子どもからの要望は集会や個別で聞き、リーダー会議で検討後、個別に回答をしている

子どもの権利擁護を徹底する本施設にあって、子どもの要望をルール変更やマニュアル改訂に活かしている。全体集会や部屋集会で上がった要望、外出範囲やゲーム時間、ならびに施設への帰宅時間等をリーダー会議で検討し、ルール変更に活かすように努力している。また、保護者からの要望が少数であることから、保護者の意見の反映までは求められていない状況にあるが、家庭復帰後の子どもたちの生活につながるように、保護者へのアウトリーチによる意向確認も行われていくことが、更なる子どもの権利擁護の姿勢につながっていくものと思われる。

1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
  • 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  • 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうかを定期的に点検・見直しをしている
  • 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
  • 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  • 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や子ども・保護者等からの意見や提案を反映するようにしている

事業者のコメント

このセクションは事業者によって更新される情報です。

評価情報

【評価実施期間】

2019年7月2日~2020年3月22日

【評価者修了者No】

H0201062,H1801097,H0301076

評価結果のダウンロード

本ページの内容をPDFファイル形式でダウンロードできます。

評価結果全体版PDF 評価結果概要版PDF