評価結果
基本情報
事業者の理念・方針・期待する職員像
事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)
1)ご入居者個々の心身の特性を踏まえ、生活居住空間そのものである「住みやすさ」「暮らしやすさ」を前提とした『家庭』としての役割を果たし、生活再編と生活自立意欲の向上を目指す
2)個別性を重視した目標設定を行うとともに、常にご入居者と語らいながら意思及び人格を尊重した援助を行うことで、認知症症状の進行緩和に努め、身体的・精神的に安定したゆとりある生活を目指す
3)ご入居者を中心とし、ご家族・施設職員間・地域社会が相互に理解し、支え合うことを目指す
職員に求めている人材像や役割
介護に関する知識や技術のほか、ご入居者やそのご家族、職員、医師、地域の方々と接する仕事なのでコミュニケーション能力が必要と考えている。
「報告・連絡・相談」「受容・傾聴・共感」が出来る人。
協調性があり、チームケアが適している人。
職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)
ご入居者の生活の質を高めていかれるよう支援に努めること。
現存能力を活かしご入居者ができる限り自立した生活を送れるよう支援に努めること。
全体の評価講評
特によいと思う点
入居者が入院した際は、入院前の日常生活動作等の情報を医療機関に伝えるとともに、医師や相談員と連携し、早期に病院から施設へ戻れるよう努めている。家族の要望に基づき、医師、相談員と家族との話し合いの場に管理者が参加するなど、入居者と家族を支える存在として信頼を得ている。入院中意欲低下が著しく退院時は車いすであった入居者に対し、心身の状態を確認しながら職員が支えて共用スペース内の歩行に取り組んむことにより、徐々に歩行が安定し、入院前に行なっていた家事作業にも再び取り組む意欲が芽生えるなど効果を挙げている。
入居者との日頃のコミュニケーションや家族から生活歴や意向を伺うことで、”望む生活”を把握するよう努めている。その上でアセスメントを実施し、日々のカンファレンスで必要な支援内容を協議することで、入居者が望む生活を実現するための計画を立案している。また、実施に際しては計画書に写真やイラスト付きの資料を添付する等工夫し、職員全員が統一した個別ケアが提供できるよう努めている。
カンファレンスや運営推進会議での協議を経て作成した「防災・災害時対策」などのマニュアルを活かし、台風による大雨時に入居者の避難を安全・確実に実施することができた。具体的には、統轄本部と避難要否を相談するとともに、ハザードマップに基づき避難先の系列施設を選定し、系列施設から送迎車両を調達している。早めに出勤してきた夜勤の職員も協力し、避難に備え食事と服薬の介助、家族や市への連絡など並行して実施することで、スムーズに避難でき入居者は無事一夜を過ごすことができた。家族からも感謝の声が寄せられている。
さらなる改善が望まれる点
職員間で話し合い、マニュアルや記録用紙の改訂、業務プロセスの見直し、各職員の役割明確化、内部研修を法人内の人財開発部に依頼するなど、職員の間接業務に関する業務負担軽減を図り、入居者が重度化している中であってもその人らしさを大切にする支援が継続できるよう取り組んでいる。現在実施している取り組みを継続的に見直しすることにより、サービスレベルの維持に加え、介護業界全体で人手不足が深刻化する中で、職員の定着に繋げていくことが期待される。
入居者や家族から重度化した場合の意向や要望を確認するとともに、対応できることには限りあることを説明している。「最後まで意思が尊重され、充実した日々を過ごしてもらう」ために、ターミナルケア実施にあたって、主治医の協力、家族の理解、実践的なマニュアル整備、職員の知識やスキル習得、職員の精神的な支えなどの様々な課題を認識している。入居者が重度化している中で「その人らしさを全うできる」支援について、関係者での話し合いを通じて理解を深めたうえで、課題解決に向けてどのように取り組んでいくかを検討することが望まれる。
大雨による避難においては、本部と系列施設のバックアップがあり、入居者が安心して寝る場所や快適なトイレが確保できたが、一般の避難所で入居者が生活することの困難さが明らかになった。今回発生したマニュアルに想定していなかった事態や、職員からの「必要な情報を一元的に管理する必要性」などの提案をマニュアルに反映することが望まれる。また、現在検討している施設独自のBCP作成においても、大地震など本部や系列施設のバックアップが困難な事態への備えや万一発生した際の対応内容について、今回の経験を活かすことが望まれる。
事業者が特に力を入れている取り組み
家庭的な古民家風の建物の中で、ご入居者個々に対し、常にお声に耳を傾けると共に、ご家族からもご意見や、ご入居者の生活歴等をお聞きした上で、細やかなアセスメントを実施し、日々のカンファレンスで協議を行なうことで、ご本人の望む生活を実現するためのケアプランを立案。そのケアプランに基づき、職員全員が統一した個別ケアが提供できるよう努めている。
カンファレンス・運営推進会議・委員会等の場を通して、職員だけでなく、ご家族や行政・民生委員等からいただいたご意見・ご要望をもとに必要に応じてマニュアルや手順書の改訂や作成を行っている。またサービスの向上や業務負担軽減を図る為、業務改善や帳票の見直しを適宜行っている。
平均在所日数が長くなっていく中で、医療面や身体機能面にケアが必要な方が増えてきたため、ご家族へ状態をお伝えし、医療やケアのご希望を伺った上で、往診時に同席し、主治医に相談・指示を仰いだり、法人内のリハビリ専門職に相談することで、ご希望に沿った、ご入居者に必要な医療や投薬、生活の中でのリハビリが行えるよう努めている
利用者調査結果
調査概要
- 調査対象:当施設は国立市にあって古民家風の建物である。入居者は18名(男性1名、女性17名)平均年齢88.1歳、平均要介護度(2.7)、平均入居期間2年9か月である。調査対象者は管理者と相談して、入居者全員の家族とした。
- 調査方法:アンケート方式,場面観察方式
評価機関で準備したアンケート用紙、アンケート封入用封筒を施設に渡し、施設から入居者家族に郵送して頂いた。アンケートは無記名とし、評価機関宛に直接送付頂いた。 - 有効回答者数/利用者家族総数:8/18(回答率 44.4% )
アンケート結果では、施設に対する総合的評価が「大変満足」63%「満足」25%「どちらともいえない」12%である。満足以上が88%であり、中でも大変満足が63%を占めており、入居者の満足度は高い。特に、台風19号の際には、管理者、職員、本部が連携し、系列施設に避難することができた。利用者家族からも「台風19号の際は、避難準備情報が出る前から法人全体で準備を進め、発令前の全員避難につなげた。大いに評価できる対応だった。」との声が寄せられている。施設の総合的な感想では「いつも温かく見守っていただいており感謝しています」「職員の皆さんが親身になってお世話してくれるので大変ありがたい」などのコメントがある。評価項目別では、「職員の接遇・態度は適切か」「利用者の気持ちを尊重した対応がされているか」「利用者のプライバシーは守られているか」「個別の計画作成時に、利用者や家族の状況や要望を聞かれているか」「サービス内容や計画に対する職員の説明はわかりやすいか」「利用者の不満や要望は対応されているか」の項目で全員が「はい」と回答している。
アンケート結果
1.家族への情報提供はあるか
「家族への情報提供はあるか」の質問では「はい」が88%「どちらともいえない」12%の回答であった。「台風接近に備えた家族への連絡や迅速な避難」に対する感謝のコメントがあった。「情報提供が少ない」「計画表を提示するタイミングを早めて欲しい」とのコメントがあった。
2.事業所内の清掃、整理整頓は行き届いているか
「事業所内の清掃、整理整頓は行き届いているか」の質問では「はい」75%「どちらともいえない」25%の回答であった。「職員が多忙なため、清掃に手が回っていないと感じることがある」とのコメントがあった。
3.職員の接遇・態度は適切か
「職員の接遇・態度は適切か」の質問では全員が「はい」の回答であった。「職員の皆さんから親切に、温かく心のこもった対応をしていただいている」「とてもよくしていただいていると日々感じております」「母にとっても、家族にとっても、最高の施設に入れたと思っている」などのコメントがあった。
4.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
「病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか」の質問では、「はい」が75%「どちらともいえない」25%の回答であった。「職員によると思う」とのコメントがあった。
5.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
「利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか」の質問では、「はい」が75%「どちらともいえない」12.5%「無回答」12.5%であった。
6.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか
「利用者の気持ちを尊重した対応がされているか」の質問では、全員が「はい」の回答であった。「本人の表情も穏やかで家族が安心しています」「要求に対して、職員にその都度的確な対応をして頂いている」とのコメントがあった。
7.利用者のプライバシーは守られているか
「利用者のプラインバシーは守られているか」の質問では、全員が「はい」の回答であった。
8.個別の計画作成時に、利用者や家族の状況や要望を聞かれているか
「個別の計画作成時に、利用者や家族の状況や要望を聞かれているか」の質問では、全員が「はい」の回答であった。「とても親身にやって下さっていて感謝していますが、高齢化(車イス)のため外出や散歩の機会が減ったことを残念と思う」「人手不足の影響か、計画カリキュラムが不足していると感じることがある」とのコメントがあった。
9.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
「サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか」の質問では、全員が「はい」の回答であった。
10.利用者の不満や要望は対応されているか
「利用者の不満や要望は対応されているか」の質問では、全員が「はい」の回答であった。「日々良くして頂き感謝している」などのコメントがあった。
11.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
「外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか」の質問では、「はい」が75%「無回答」25%であった。
調査時に観察したさまざまな場面の中で、調査の視点に基づいて評価機関が選定した場面
共用スペースで椅子に座って、寝ている入居者がいた。職員は、入居者の横に座り「一緒にトランプしましょう」と声掛けしたが、入居者は、うつむいたまま返事をしなかった。職員が、他の入居者を誘ってテーブルにつき大判のトランプを配置した。他の入居者はトランプを始めたが、寝ていた入居者は、トランプを1枚取るだけであった。職員が声を掛けながらトランプを入居者が取りやすいように手元に持っていくと次第に2枚目のトランプを取って数字合わせするようになった。穏やかな表情で、職員や他の入居者と談笑するようになった。
選定した場面から評価機関が読み取った利用者の気持ちの変化
最初、入居者は職員の声かけに応えず、関心を持っていないようであった。しかし、職員が入居者に優しい声で静かに声掛けし、他の入居者と一緒にトランプの数字合わせをする場面を作ることにより、気持ちが和んできて、職員や他の入居者に心を開いて来た様子であった。職員が、入居者同士が話しやすい雰囲気を作ることにより、職員や他の入居者との会話が増え、穏やかになり、笑顔になって会話を心から楽しむよう変化したことが伺えた。
サービス分析結果
【講評】
ホームページやパンフレットを活用し、利用希望者に施設の情報を提供している
施設の基本情報とともに、設備や入居者の日常生活の様子をパンフレット、ホームページ、外部の介護施設紹介サイトなどに掲載し、施設での生活を具体的にイメージできるよう工夫している。また、外部の介護施設紹介サイトには、施設内外のパノラマ写真を掲示し施設の様子を具体的に把握できるよう工夫するとともに空き情報を随時更新している。
問い合せや見学要望に個別に対応し、施設での生活をイメージしやすいよう説明している
近隣の居宅介護支援事業所のケアマネジャーや介護施設紹介サイトを確認された方なども含め、入居希望者からの問い合せや見学要望には、随時個別に対応している。入居希望者や家族が、施設での生活をイメージしやすいよう、お試し入居を勧めている。入居希望者に施設のサービス内容に関して説明するとともに、「古民家風の建物の中で、昔の住み慣れた暮らしを思い出し入居者がひざとひざを突き合わせ寄り添いながら語れる場」にしたいとの願いを施設の名称に込めていることなどを伝えている。
運営推進会議の場などを活用し、行政担当者や関係者の方々との情報交換を行なっている
運営推進会議に国立市の行政担当者や民生委員等関係者の方々が出席し、市の方針や施策などを伝えている。また、職員は、国立市の行政担当者や関係者の方々に、施設の状況を伝えている。
1.利用希望者等に対してサービスの情報を提供している
- 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
- 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
- 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
- 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
入居時には、書面を提示して要点をわかりやすく説明し、同意を得ている
サービス開始時に契約書、重要事項説明書を提示し、サービス内容や入居者負担金等要点をわかりやすく説明し、同意を得ている。「重度化した場合・終末期における対応に関する指針」に基づき施設で対応可能な支援について説明している。入居後に制度改定により、利用料が変更になった場合にも、運営推進会議で資料に基づき説明するとともに、家族からの質問に回答している。入居ユニットは、入居者のアセスメント結果に基づき、管理者、計画作成担当者が話し合って決めている。
入居時から介護計画に基づいて支援し、不安やストレスを軽減するよう努めている
お試し入居を利用する場合は、事前に経過記録ファイルに入手情報を記載するとともに、お試し入居期間内にニーズアセスメント、初回アセスメントを実施している。お試し入居を利用しない場合は、家族や入居者にヒアリングし、ニーズアセスメント、初回アセスメントを実施している。入居直後から、認知症対応型共同生活介護計画にそった支援を提供すると共に、入居者の生活の様子を細かく記録している。収集した情報を全職員で共有し、必要に応じて、計画を見直し、入居者の不安やストレスの軽減に努めている。
入居者の支援に関する情報を提供し、退去先においても支援が継続されるよう努めている
入居者が退居する際には、退居先の医療機関や施設にアセスメント結果・認知症対応型共同生活介護計画、看護サマリー等の情報を提供し、現在実施している支援が退居先で継続されるよう努めている。入院した際は、入院前の日常生活動作等の情報を医療機関に伝えるとともに、医師や相談員と連携し、早期に病院から施設へ戻れるよう努めている。入院中も家族からの相談に対応するとともに、面会に訪れている。また、家族の要望に基づき、病院の医師、相談員、家族との話し合いの場に管理者が参加するなど、入居者と家族を支える存在として支援している。
1.サービスの開始にあたり利用者等に説明し、同意を得ている
- サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を利用者の状況に応じて説明している
- サービス内容や利用者負担金等について、利用者の同意を得るようにしている
- サービスに関する説明の際に、利用者や家族等の意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
- サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
- 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
- サービス利用前の生活をふまえた支援を行っている
- サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
【講評】
入居者の情報をカルテに綴じこみ、定期的にアセスメントを実施している
経過記録、アクシデント・ヒヤリハットレポート、処置伝票、健康チェック表、排泄表などをカルテに綴じこんでいる。また、稼働中のプラン、個人の経過記録をそれぞれまとめてファイルし、日々のカンファレンスで共有している。管理者は職員に対し、事前に疑問点をカンファレンスや計画作成担当者に確認するよう周知している。定期的にアセスメントを実施し、入居者の心身状況や生活状況を把握している。
入居者のモニタリング記録に基づき、認知症対応型共同生活介護計画を随時変更している
認知症対応型共同生活介護計画に基づき個別ケアを実施し、実施した時の様子や表情、効果などを日々モニタリング記録として経過記録に記載している。定期的にモニタリング記録に基づき評価表を作成し、その評価表とアセスメント結果、入居者の要望を踏まえ認知症対応型共同生活介護計画を見直し、変更している。定期の見直し以外にも、入居者の状態が変化した場合や、職員が計画の内容を修正する必要があることに気づいた場合にも迅速に対応している。
職員の話し合いに基づき、支援の質を維持しながら職員負担軽減に繋げるよう努めている
職員間の役割分担や業務手順、記録項目などを見直している。見直しにあたっては、施設開設の想いを再度職員間で共有するとともに、職員間での話し合いを行なっている。検討結果を体系図として見える化するとともに、管理者、食事担当、金庫担当、書類担当、排泄担当、計画作成担当、など担当別の役割とともに、全職員が担う役割も明記し、支援の質を維持しながら職員負担軽減に繋げるよう努めている。曜日による業務負荷を平準化する方法についても、職員間で話し合い決定している。
1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している
- 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
- 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
- アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の介護計画を作成している
- 計画は、利用者の希望を尊重して作成、見直しをしている
- 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
- 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
3.利用者に関する記録が行われ、管理体制を確立している
- 利用者一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
- 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している
- 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
- 申し送り・引継ぎ等により、利用者に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
1.認知症対応型共同生活介護計画に基づいて自立生活が営めるよう支援を行っている
- 個別の認知症対応型共同生活介護計画に基づいて支援を行っている
- 利用者一人ひとりがその人らしく生活できるよう支援を行っている
- 関係職員が連携をとって、支援を行っている
【講評】
入居者の状況変化に応じて認知症対応型共同生活介護計画を随時見直し、支援している
認知症対応型共同生活介護計画に沿った支援を行ない、経過記録に記載している。定期的に動作別のアセスメントを実施し、入居者個々の希望や持っている力を把握している。把握した情報に基づき、自立度を維持するための支援や声掛け、環境設定などについて計画に反映している。アセスメントとカンファレンスを通じて、洗濯、園芸、化粧等、入居者が日頃実施していたことを計画に組み込むことにより、入居者が望む生活の実現に努めている。
職員が入居者同士が話しやすい雰囲気を作ることにより、入居者間の会話を促している
職員が、入居者同士が話しやすい雰囲気を作ることにより、心が穏やかになり、入居者間の会話が増えるよう支援している。例えば、共用スペースで他の入居者に関心を示さない入居者をトランプに誘う際には、職員が入居者の横で優しい声で静かに声をかけ、トランプを入居者が取りやすいように手元に持っていくことにより、次第にトランプを楽しむとともに、他の入居者と会話するようになった。また、入居者が役割を分担して1つのものを創り上げるアクティビティーをセッティングし、活動だけでなく会話も楽しめるよう支援している。
カンファレンス等での検討に基づき、入居者の心身状況を踏まえた支援に努めている
日々実施しているカンファレンスでは、職員が議題の背景(入居者の意思や心身状況など)を説明したうえで、対応策を検討している。例えば、入居者間の人間関係や相性、心身状況の変化などを職員が察知し、カンファレンスなどで話し合い、支援方法やリスクを検討し対応を決定している。議事録には、議題毎に対応策を記載するとともに、裏面に申し送り事項、医療連携看護師へ相談する事により、職員が理解しやすいよう工夫している。
2.利用者の状態に応じて、日常生活に必要なさまざまな作業等を利用者が主体的に行うことができるよう支援を行っている
- 食事に関する一連の作業等利用者の生活場面では、利用者の主体性と能力を活かして支援を行っている
- 利用者一人ひとりに応じた生活への参加ができるよう工夫をしている
- 利用者の心身の状況に応じて、生活するうえで必要な支援(食事や入浴、排泄等)を行っている
- 各種手続きや買い物等日常生活に必要な事柄について、利用者本人による実施が困難な場合に代行している
【講評】
入居者が様々な場面で主体性を発揮できるようケア・声掛け・環境設定を行なっている
日常生活の様々な場面で主体性が引き出せるようなケア・声掛け・環境設定を行なっている。例えば、家事をすることができる入居者は、ケアプランに家事作業を入れ、心身状況に応じて、テーブルを拭く、ランチョンマットを敷く、湯飲みを配るなどしている。食事後も、入居者が協力して、食器を洗い、拭いて片づけるまで、実施している。この間、職員は、常に見守り、「拭いてもらって良いですか」「ありがとうございます」などと、ゆっくりと優しい声で話しながら寄り添っている。
職員は、入居者の持っている力を引き出して生活できるよう支援している
職員は、入居者が健やかに暮らしていた時の生活習慣を把握し、入居者の持っている力を引き出して生活できるよう支援している。例えば、食事準備の際には、職員は入居者の様子を確認し「手を貸してくださいますか」と話したうえで、ポテトサラダやトマトなどの食材の盛り付けの見本を見せて依頼している。また、入居者から「何かお手伝いすることはありますか」と話しかけられた際には、職員は感謝の言葉と共に配膳を依頼するなど入居者の想いを尊重し支援している。
入居者の心身状況を踏まえて食事や入浴などの支援を行ない、心身状況が改善している
入居者の心身状況を踏まえて食事や入浴などの支援を行ない、入居者の心身状況が改善している。例えば、入居者が入院先から施設に戻ってきた際には、入院先から入居者の食事形態に関する情報を得るとともに、系列施設の言語聴覚士の協力を得て、食事の形態や提供方法を決定している。入浴においても、退院直後は全介助であったが、職員が入居者を支えフロア内で歩行する機会を設けたことにより、手すりを使って自力で湯舟から立ち上がることができるようになった。
3.利用者の健康を維持するための支援を行っている
- 利用者の心身の状況に応じた健康管理を行っている
- 日常生活の中で、利用者一人ひとりの状態に応じて身体を動かす取り組みを工夫している
- 服薬管理は誤りがないようチェック体制の強化などしくみを整えている
- 利用者の体調変化時(発作等の急変を含む)に、医療機関等と速やかに連絡できる体制を整えている
【講評】
個々の入居者の心身状況や希望を踏まえて、身体を動かす機会を設けるよう努めている
職員は、入居者の心身状況を踏まえて、洗濯干し、洗濯物たたみ、食器洗い、食器片づけ、手すり拭き、玄関掃除など、日常生活の中で身体を動かす機会を設けるよう努めている。例えば、食器片づけの際には、トレイに複数の食器を載せて渡したり、軽めの食器を一つだけ渡すなど、個々の入居者が持っている力を考慮し、安心して行えるよう配慮している。また、個別に歩行・立位・バランス訓練などを実施している。
医療連携看護師や医師と協働し健康管理を行うとともに緊急時への備えに努めている
職員が入居者の日々の心身状況を把握し、医療連携看護師や協力医療機関の医師に報告し助言を得るとともに、処方した薬の効果が出ているかを共有している。職員の提案に基づき、発熱時の対応や流れをまとめ、連係医療機関への連絡項目、連絡先、持ち物等を記載している。カルテに入居者の情報とお薬手帳を入れており、救急搬送時に必要な持ち物がまとまっている。
入居者の希望や日常生活動作確認結果に基づき、心身機能回復に取り組んでいる
日常生活の中で、家事活動・レクリエーション・外出・体操など、個々の入居者の心身状況や希望を踏まえて心身機能の回復に努めている。例えば、入居者の退院時は、事前に医師、言語療法士、相談員などから入居者に関する情報を収集し、日常生活を送るための動作確認や食事評価を行い、支援計画に反映している。刺し子、洗濯物たたみや職員が支えて共用スペース内移動など、日常生活の中で体を動かす機会を設けた支援に取り組んだ結果、歩行が安定するとともに、食材切り、食器洗いなどに自主的に取り組み、生きがいを見出すなど効果を挙げている。
4.共同生活が楽しく快適になるよう工夫している
- 利用者がお互いに関わり合いながら楽しく生活することができるよう支援を行っている
- 事業所での生活は、他の利用者への迷惑や健康面に影響を及ぼさない範囲で、利用者の意思が尊重されている
- 居室や食堂などの共用スペースは、利用者の安全性や快適性に配慮したものとなっている
【講評】
入居者が日常生活の中で、楽しく生活できるよう努めている
お茶・食事の時間、体操・レクリエーション等の時間には、共用スペースを活用し、入居者同士の会話や一緒に楽しく活動できる機会を設けるよう努めている。また、定期的に誕生日会や季節の食事パーティー、おやつ作りなどを企画し、皆で楽しく活動できたり、入居者が役割分担して1つのものを作り上げることができるよう働きかけている。ケーキバイキング、陶芸教室、歌会、手紙読み、土用の丑の日など入居者が楽しめるイベントを実施している。
個々の入居者の生活ペースや趣味・嗜好を尊重し、快適に生活できるよう支援している
個々の入居者の生活ペースや趣味・嗜好を尊重した支援に努めている。家族に入居者の生活ペースを確認し、入居者の状態を踏まえ共同生活に支障のない範囲で就寝時間や入浴回数を決定している。入居者が安心してシャワーを浴びることができるように、職員が話し合いシャワーチェアを購入し、入浴支援している。また、近隣への散歩、買い物などの外出の機会を設けるよう努めている。施設内の畑で野菜を栽培し、土や植物に触ることにより心を和ませている。また、収穫した野菜をスケッチしたり、調理して味わっている。
入居者個々の「住みやすさ」「暮らしやすさ」と安全の両立を目指した支援に努めている
入居者個々の「住みやすさ」「暮らしやすさ」と安全の両立を目指して支援している。入居者に寄り添い希望を把握し、その希望を尊重した支援に努めている。体調不良者や退院後の入居者には、毎日カンファレンスに参加している常勤職員がアセスメントをし安全なケア方法を立案したうえで、他職員も対応している。アクシデント・インシデント発生時は、カンファレンス等で発生状況や要因を確認・協議し、再発防止・予防対策をアクシデントレポートに明記している。レポートは、施設全体で共有し再発防止に努めている。
5.事業所と家族等との交流・連携を図っている
- 家族や利用者の意向を考慮して、家族等が参加できる事業所の行事を実施している
- 利用者の日常の様子を定期的に家族に知らせている
- 家族等が事業所等に対し、意見や要望を表せる機会を設け、それらを活かした支援を行っている
- 重度化した場合や終末期に備え、あらかじめ本人や家族等と話し合い、事業所でできることを説明しながら、方針を共有している
【講評】
家族に入居者の様子を伝えるとともに、家族との交流の機会を設けるよう努めている
職員は、入居者の様子を面会時に家族に口頭で伝えるとともに、日々の生活の様子を写真に撮り、毎月の「かたりざ便り」に掲載している。運営推進会議では、「入居者の状況」「活動実績・今後の予定」「出席者からの意見・要望の確認」などを議題としている。また、本年の「かたりざ祭り」は、猛暑・酷暑を考慮し9月に開催した。職員で意見を出し合い検討した結果、リース作り、里の秋や夏の思い出の合唱、入居者が鈴や木琴を演奏し、職員や家族もギターやリコーダーで参加するなど交流を深める機会となっている。
日頃から、意見や要望の把握に努めるとともに、家族とともに解決案を検討している
職員は、家族との会話、個別面談や運営推進会議の場を活用し、日頃から入居者や家族の希望や要望を把握するよう努めている。かたりざ祭りの際にもアンケートを実施している。把握した意見や要望には、その想いを尊重し可能な限り対応するよう努めるとともに、家族の協力も得て、可能なところから対応するよう努めている。例えば、入居者が重度化しているため、以前のように全員で外出することが困難になっているが、家族と入居者が外出を希望する場合は、車イスの貸出や職員による車イスへの移乗などが可能であることを伝え方法を検討している。
施設が目指すタ-ミナルケアの理解を深めたうえで、課題解決に取り組むことが望まれる
入居者や家族から重度化した場合の意向や要望を確認するとともに、対応できることには限りあることを説明している。「最後まで意思が尊重され、充実した日々を過ごしてもらう」ために、ターミナルケア実施にあたって、主治医の協力、家族の理解、実践的なマニュアル整備、職員の知識やスキル習得、職員の精神的な支えなどの様々な課題を認識している。入居者が重度化している中で「その人らしさを全うできる」支援について、関係者での話し合いを通じて理解を深めたうえで、課題解決に向けてどのように取り組んでいくかを検討することが望まれる。
6.利用者が地域で暮らし続けるため、地域と連携して支援を行っている
- 地域の情報等を収集し、利用者の状況に応じて提供している
- 利用者が地域のさまざまな資源を利用するための支援を行っている
- 利用者が地域とつながりながら暮らし続けられるよう、事業所が利用者と共に地域の一員として日常的に交流している
- 運営推進会議で話し合われた意見を活かして支援を行っている
- 区市町村や地域包括支援センターと日頃から連絡を取り、協力関係を築きながら支援を行っている
【講評】
入居者が地域とつながりながら暮らせるよう、地域との交流に努めている
職員は、入居者が地域とつながりながら暮らし続けられるよう、運営推進会議の出席者(市役所の職員、民生委員、地域の方々)や市報などから情報収集している。例えば、近隣のお祭りの見物や商店への買い物などに出かけたり、大学のフラダンスサークル、音楽・ネイル・将棋・生け花など地域の方々のボランティアも受け入れている。また、幼稚園が主催する運動会へ参加するとともに、幼稚園児が施設を訪れ敬老会で入居者と手遊びや鼓笛隊を楽しむなど双方向の交流に努めている。
施設と家族、家族と行政、行政と施設の双方向の情報交換に努めている
運営推進会議に、国立市健康福祉部の職員、民生委員などの方々が参加しており、施設の状況を伝えるとともに、行政や地域社会からの意見や要望を把握している。また、行政から家族や地域住民へイベントなどの情報を提供するとともに、家族や地域住民から行政への質問の場となるよう努めている。
可能な範囲で、地域の認知症啓蒙活動の一翼を担う存在になるよう取り組んでいる
可能な範囲で、地域に根ざした施設を目指し、近隣保育園との交流を継続しつつ、地域住民の集う学習教室で認知症に関する講師や介護事業連絡会との連携などを行なうよう努めている。また、認知症サポーター養成講座受講後のフォローアップ実習を受け入れる施設として登録するなど、地域の認知症啓蒙活動の一翼を担う存在になるよう取り組んでいる。
【講評】
外部に情報提供する際は、事前に同意を得るとともに必要最小限とするよう努めている
入居時に「個人情報使用同意書」の内容を説明し、承諾を得ている。また、外部に個人情報を提供する必要が生じた場合には、その旨を説明し、承諾を得た上で必要最小限とするよう努めている。施設の生活の様子をホームページに掲載する際には、入居者の顔が写らない写真を選んでいる。
職員にプライバシー保護、権利擁護などを周知するとともに実践に努めている
職員には、施設開設前に不適切なケアに関する研修を実施している。内部研修の際は、言葉での拘束(スピーチロック)の発生を防止するため、「どのような言葉が拘束になるのか」「拘束にならないようにするにはどのように対応すればよいのか」について、職員同士が意見交換し意識づけするとともに、理解度を確認している。薬袋を捨てる場合は、名前が見えないよう紙で包んでいる。また、意思や価値観、羞恥心に配慮した支援が行えるよう同性介助を行うことを目的に入浴日の選定等も行なっている。
入居者の価値観と意思を尊重するとともに、選択の機会を提供するよう努めている
家族から入居者の背景や生活歴、生活習慣等の情報をヒアリングするとともに、日常の入居者とのコミュニケーションから入居者の大切にしていることを把握し、入居者の意思を尊重した支援に努めている。例えば、起床時間や就寝時間、食事なども、可能な範囲で、個々の入居者の生活習慣や嗜好に合せられるよう努めている。また、集団での体操やレクリエーションへの参加は入居者が自由に選択でき、入居者の希望に合わせ、入浴日や時間も変更している。
1.利用者のプライバシー保護を徹底している
- 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
- 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い、利用者のプライベートな空間への出入り等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
- 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
2.サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している
- 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
- 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
【講評】
サービスの向上・統一を目的に、職員が話し合いマニュアル・手順書を整備している
サービスの向上・統一を図ることを目的に、職員一人ひとりが工夫・改善したサービス事例などを踏まえ、職員間の話し合いを通じてマニュアル・手順書を整備し、職員に周知している。記録用紙の改正や記録分担を見直し、その結果を職員間で評価し、更なる見直しに繋げている。日勤表を作成し、役割や時間帯ごとに実施内容を定めている。管理者は、日勤表の役割に基づきリーダーを決定し、リーダーの責任を書面で周知している。この結果、各職員に担当業務に対する責任感が芽生えている。
基本事項や手順等を定期的に見直すとともに、報告書の記載事項や定義を共有している
手順書やマニュアルの改訂にあたっては、行動計画進捗管理表に今後半年間の目標を月毎に設定し、進捗状況を確認している。予定から遅れている場合は対策を検討している。合同カンファレンスにおいて、日々のカンファレンス議事録には、回覧した職員の理解が容易になるように、議題に上がった理由、検討内容、結論を記載することを申し合わせている。ヒヤリハットとアクシデントの定義を共有している。様式の変更に加え、入居者や家族の心情を考慮し「認知症対応型共同生活介護計画書」の表題を「かたりざサービス計画書」に変更するなどしている。
取り組みを継続的に見直し、サービスレベルの維持と職員定着へ繋げることが期待される
職員間で話し合い、マニュアルや記録用紙の改訂、業務プロセスの見直し、各職員の役割明確化、内部研修を法人内の人財開発部に依頼するなど、職員の間接業務に関する業務負担軽減を図り、入居者が重度化している中であってもその人らしさを大切にする支援が継続できるよう取り組んでいる。現在実施している取り組みを継続的に見直しすることにより、サービスレベルの維持に加え、介護業界全体で人手不足が深刻化する中で、職員の定着に繋げていくことが期待される。
1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
- 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
- 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
- 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている
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事業者のコメント
日常生活の中でご本人ができることや得意なことを把握し、少しでもご自分で行っていただけるよう、きっかけ作りやお手伝いをする他、職員と入居者間だけでなく、入居者同士が交流を持てるような場面作りを心がけています。
評価いただいた内容を今後も続け、ご入居されている皆様が、自分らしく自信を持って、心地よく過ごしていただける環境づくりや支援に努めてまいりたいと思います。