評価結果
基本情報
事業者の理念・方針・期待する職員像
事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)
1)精神障害者が地域で安心して、より質の高い生活が送れるように支援する。
2)利用者の人権を尊重する。地域住民と同等の権利を保障する。
3)利用者の自己決定を尊重する。
4)本事業所を地域に根差した精神障害者の居場所として、その生活支援の拠点とする。
5)地域における精神保健福祉の向上を期する。
職員に求めている人材像や役割
楽観的人間観を維持しながらも、主観をもとに判断し、自分の考えを利用者に押し付けない人。多少の失敗も、また思い違い等は誰にでもあり、すべての精神障害者をその原因疾患として見ることをしない人。症状は、その人固有の生活観や習慣の表れでもあると考える寛容性の持ち主であること。利用者に期待する仕事の説明がきちんとできること。
ただし、職員の側にも確固とした考え方がある場合は、こちらの考えを相手にわかりやすく伝える度量が求められる。
職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)
職員と利用者は対等な関係にあるという意識を持つこと。しかし職員はサービスを提供する側であり、利用者はそれを受ける立場であるから、自ずと職員の権威性が伴うことを自覚できることが大事である。また、職員は利用者の遥かに及ばない情報量を持つことを認識し、利用者が容易に選択でき得る機会を提供する。また職員は地域住民が本事業所の活動を理解するのを支援するために、広報活動を進める必要がある。
さらに事業そのものへの直接的な勧奨することが有効である。本事業所では、地域住民のボランティアに、店頭で接客を補ったり調理を手伝ったりとごく自然な形のコミュニケーションを通して、利用者の地域生活を支援していただいている。職員はボランティアに対して尊敬の念と感謝を忘れてはいけない。
全体の評価講評
特によいと思う点
事業所では利用者の希望や特性に合わせて多様な働く機会が得られるように、作業の細分化と柔軟な時間設定をしている。より多くの利用者が何らかの作業を担って、各々が働きたい、仕事をしていきたいという意識向上につながっている。自分に合っている作業内容を多くの工程の中から選択して、自分のできることを、自分のペースで遂行できることは利用者の自信となり、作業の中で役割を担うことで、利用者の働く意識に変化が生まれている。利用者の「居場所」として発足した事業所は「働く場所」へと役割を広げている。
利用者の特性は多様で、言語化して伝えにくい、感情のコントロールが難しい、時間の観念にずれがあるなど特性だけでは捉えにくい面を持っている。職員のほとんどが職歴も長く、積み重ねた経験が利用者対応に活かされている。個々の利用者には、対応方法、安心できる環境等を見極めて接しており、その情報を職員間で共有し利用者に変化が見られたときに適切に対応する力を持っている。利用者の人権と自己決定の尊重等、事業所の理念に基づく職員の思いと、特性を把握した対応で利用者は落ち着き、次に進む力を引き出す原動力となっている。
事業所は区内の精神障害者福祉事業所の集まりや、就労に特化した会議のメンバーとなっており、地域活動を担っている。フットサルやバレーボールのスポーツ競技大会に練習時より参加したり、合同望年会にて事業所間の交流を深めたり、楽しんでいる。地域の小学校や診療所のまつりに出店・販売する機会もある。また、地域の商店街や町会にも加入しており、ハロウイーンフェスティバルのような季節ごとの催事への参加もあり、事業所を通じて利用者が地域の一員として活動する場が多い。
さらなる改善が望まれる点
事業所では、パンフレットの改定やホームページの開設など、外部に発信するツールの整備・活用を進めてきている。パンフレットについては、区役所・保健所等に配布して情報提供を行っている。また、区内の事業所の販売カタログ(すぎなみ仕事ネットカタログ)に商品を載せるなどの取り組みも図られている。こうした取り組みに加えて、広報誌の充実など、事業所がより積極的に情報を発信・提供をする取り組みを広げて、より広くの方々に事業所を知ってもらえる機会を増やすことが期待される。
事業所のリスクマネジメントとして、食堂・喫茶店等の利用者の活動に対してのリスクマネジメント対策やマニュアル等は整備されているが、事業所運営上必要な体制の整備や対策の充実が進んでいない所が見られる。虐待防止やリスクマネジメント等の手順・手引きを明確にして職員に周知できる体制を整備して行く事が望ましいと考える。また、職員に対して虐待防止の研修を積極的に受講する等、職員の意識を高めて行く取り組みがなされる事で、さらなるサービスの質向上につなげていくことが期待される。
利用者に対しての職員の支援については、業務の中で職員が標準的に行えるよう配慮して利用者支援の質を担保しているが、明確な業務マニュアルを基準としている訳ではなく、職員の主体性に任されている所がある。日常の支援は十分に実施されているが、明確にマニュアル化をしていくことが望ましいと考える。業務マニュアルやサービス提供マニュアル等、利用者支援について、職員全員が標準的に実施・検証できるようにするためのマニュアルを整備して、さらなるサービス提供や業務の質の向上につなげることが期待される。
事業者が特に力を入れている取り組み
平成30年にホームページを開設し、新たな情報発信源としている。ホームページの内容は2週間分の日替わり定食のメニューや、販売しているお菓子等を写真付きで載せている。特に、職員が考案する日替わり定食は地域のお客様に人気となっており、2週間に一度メニューの更新を行っている。その際に、事業所の活動報告やイベントの情報なども更新しており、情報の更新は定期的に行っている。また、施設利用の案内についても載せており、事業所の一日の流れや活動内容、入所までの流れなども分かりやすく説明している。
事業所では毎朝、その日の利用者の役割を決めたり、予定を伝える「ミーティング」をおこなっている。司会も記録係も利用者が担当し、毎朝実施することによって最近では利用者自ら手を挙げて、自分が希望する仕事を発言するなど、自己表現ができる利用者が増えている。また2か月ごとの誕生日会の後の「メンバーミーティング」では余暇活動の希望などを自由に話し合う場となっている。参加できなかった利用者のために話し合いの結果をホワイトボードで伝えたり、理解力の低い利用者にはあとで個別にわかりやすく説明するなど情報共有も十分されている。
食堂・喫茶では、日替わり定食を手ごろな値段で毎日提供することで、地域住民への浸透を図ってきた。住民だけでなく、希望する利用者も同様に食事提供をしており、毎日の定食メニューを楽しみにしている。近隣のヘルパーステーションや医療機関からの出前の注文もあり、利用者が地域住民と関わる範囲も拡大している。食堂・喫茶の作業は細分化されており、多くの利用者が自分ができるペースで役割を担って働いている。店舗内で、また地域において多様な関係者と関わることで、利用者の地域で働く意識が育まれ、働く意義へも反映されている。
利用者調査結果
調査概要
- 調査対象:登録利用者全員
- 調査方法:アンケート方式
聞き取り方式及びアンケート方式
調査票を配付し、アンケートに記入後評価機関へ直接返送とした。アンケート記入の難しい利用者は、調査員による一対一の聞き取り調査を実施した。 - 有効回答者数/利用者総数:20/30(回答率 66.7% )
調査対象者30名中、20名から回答を得ることができた。満足度の高い項目として、「困った時に支援を受けていますか」「身の回りの設備は安心して使えますか」「病気やケガをした際の対応は信頼できますか」「利用者の気持ちを尊重した対応がされていますか」「個別計画作成時に利用者の要望や状況を聞いてくれますか」などがあげられる。総合的な満足度として、17名が「大変満足、満足」、2名が「どちらともいえない」と回答している。「職員が少ない中良く対応し信頼していただいていると感じています。また、規律の範囲内で自由に作業できることもありがたいと思います」「アットホームで居心地が良くとても安心して利用することができます」「マイペースで利用できる」「内職と洗い物をやっている。出前下げもやっている」などのコメントがあがっている。意見や要望として、「今後も定期的に面談をしてほしいです」「就労活動に向けるためには合わないと思うので活動できるプランがあればもっと良いなと思います」などもあった。
アンケート結果
4~17は選択式の質問のため、該当項目のみ掲載しています。
1.利用者は困ったときに支援を受けているか
17名が「はい」と回答し、「いいえ」の回答はみられなかった。「将来の生活の安定のためにノートをつけて、1日を記録して施設長からコメントをもらっている」「悩んでいる時はその都度面談してくれる」「お金の使い方を管理してもらっている」とのコメントがある一方、「もっと困っている方がいると思うとあまり声をかけられない」などもあった。
2.事業所の設備は安心して使えるか
16名が「はい」と回答し、「いいえ」の回答はみられなかった。「仕事でガス栓を閉めることをたまに忘れたりする」「使うことができます」「昔ながらのものを丁寧に使っていると思います」などのコメントがあった。
3.利用者同士の交流など、仲間との関わりは楽しいか
9名が「はい」と回答し、9名が「どちらともいえない」と回答している。「和気あいあいでケンカしてもすぐ仲直りできる」「始めの頃はぶつかったりしていましたが今はとても仲良しです」とのコメントがある一方、「楽しい時もあれば辛い時もあります」「あまり人と関わるのが苦手」などもあった。
16.【就労継続支援B型】
事業所での活動が働くうえでの知識の習得や能力の向上に役立っているか
12名が「はい」と回答し、6名が「どちらともいえない」と回答している。事業所での活動として、皿洗いや内職、出前下げなどがある。「スタッフさんに最近評価された」「とても役に立っていると思います」とのコメントがある一方、「日常の生活リズムはつくと思いますが、就労活動は個人でやるという感じです」などもあった。
17.【就労継続支援B型】
工賃等の支払いのしくみは、わかりやすく説明されているか
14名が「はい」と回答し、3名が「いいえ」と回答している。「とてもわかりやすい」との回答が複数あがっている。「管理してもらっている」「内職や点数が未だによく分かっていません。大まかなことは説明書に書いてあります」などもあった。
18.事業所内の清掃、整理整頓は行き届いているか
8名が「はい」と回答し、8名が「どちらともいえない」と回答している。「汚れている所と清潔で整理されている所があります」「休憩するスペースがあまりありません」「トイレが汚い」などのコメントがあった。
19.職員の接遇・態度は適切か
13名が「はい」と回答し、4名が「どちらともいえない」と回答している。「とても適切だと思います」「とても親切です」などのコメントがある一方、「言葉遣いがたまに荒っぽい時があった。今はそんなでもない」などもあった。
20.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
16名が「はい」と回答し、「いいえ」の回答はみられなかった。「特に調子が悪い時は自分より判断し対応して頂いています」「とても信頼できる対応です」「倒れた時に救急車で運んでもらった事もある」などのコメントがあった。
21.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
10名が「はい」と回答し、8名が「どちらともいえない」と回答している。「職員さんは対応しているが利用者同士で上手くいかないことがある」「メンバー同士のケンカやトラブルがあった時に間に入って頂きました」「実際どうだかわからない」などのコメントがあった。
22.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか
15名が「はい」と回答し、2名が「どちらともいえない」と回答している。コメントは特にあがっていない。
23.利用者のプライバシーは守られているか
13名が「はい」と回答し、4名が「どちらともいえない」と回答している。「守ってくれています」とのコメントがあった。
24.個別の計画作成時に、利用者の状況や要望を聞かれているか
15名が「はい」と回答し、2名が「どちらともいえない」と回答している。「聞いてくれますし意見してくれます」「お金の使い方だけが問題。それについては話し合っている」「聞いてはくれるけど自分一人ではできないことが多い」などのコメントがあった。
25.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
12名が「はい」と回答し、5名が「どちらともいえない」と回答している。「わかりやすく説明してくれます」「旅行のことなどわかりにくい部分もある」「難しい事もあるけど丁寧に説明はしてくれる」などのコメントがあった。
26.利用者の不満や要望は対応されているか
14名が「はい」と回答し、3名が「どちらともいえない」と回答している。「仕事でわからないことがあれば教えてくれる。喫茶店の仕事がわからないことが多い」「きちんと対応してくれます」「わかる人とわからない人がいる」などのコメントがあった。
27.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
10名が「はい」と回答し、6名が「どちらともいえない」と回答している。「知ってはいるが相談したことはない」「わかりやすく伝えてくれました」などのコメントがあった。
サービス分析結果
1.利用希望者等に対してサービスの情報を提供している
- 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
- 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
- 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
- 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
事業所を利用する際に、利用希望者が理解をしやすくするための配慮がされている
サービス利用を希望する方には随時見学と数回の体験通所を行っている。見学のご予約を頂いた方には丁寧に事業の説明と作業の見学を行っているが、食堂・喫茶店という事業の特性から、予約なしでお客さんという立場から、不安や緊張しない雰囲気の中で見学することも可能となっている。利用希望の方には体験通所を行ってもらい、不安軽減のために個別面接も行いながら「自分に合っているか」、「どのような形で通所をしていけるか」等について利用者自身で考えられるよう配慮し、利用者本位でのサービス利用の選択ができるようにしている。
工賃の規定が明確に整備され、適材適所で活動できるよう細分化されている
工賃支払いの対象となる活動が、食堂・喫茶店事業、内職事業、バザーリサイクル事業、手工芸品事業と分かれており、その内容が工賃規定に明記されている。主の作業である食堂・喫茶店事業は時給制、内職事業は作業数という形で分けられ、工賃規定の中に表記されている。工賃の計算仕組みが明確で、内容が分かりやすくなっている。また、活動を行う際には様々な利用者に対応出来るように作業の工程を細分化しており、能力や体調に合わせて利用者がいずれかの作業に関われるように配慮もなされている。
サービス利用を行うにあたり、利用者の不安を軽減する取り組みがなされている
サービス開始前に利用希望者と面談を行っている。利用開始にあたって改めて不安や希望などの聞き取りを行い、サービス利用前の習慣や日課を踏まえた上で通所時間・通所日程など本人の意向を反映して決定している。本人の体調面も確認・把握しながら通所が安定出来るよう配慮している。また、面接の他に紹介者や保健師等の関係機関と連絡を取り合って情報を共有し、必要に応じて主治医からの意見も伺いながら利用者の負担軽減に努めており、安心して通所が継続できるよう配慮している。
1.サービスの開始にあたり利用者等に説明し、同意を得ている
- サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を利用者の状況に応じて説明している
- サービス内容や利用者負担金等について、利用者の同意を得るようにしている
- サービスに関する説明の際に、利用者や家族等の意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
- サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
- 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
- サービス利用前の生活をふまえた支援を行っている
- サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
【講評】
利用者の意向や希望を尊重した目標設定をし、支援計画に取り入れている
入所前の面接では利用者の不安軽減の取り組みの他に本人から入所してからの目的や希望・意向などを聞いて、目標設定をしている。その際の面接では、利用者が希望や意向を話せるよう配慮して丁寧に面接行う事を心掛け、内容を定められた様式に記録している。また振り返りを行う際も同様な面接を行い、利用者一人ひとりのニーズを把握できるようしている。これらの内容を尊重して個別支援計画の作成を行っており、常にニーズを把握しようとしている姿勢が見られている。
日々の利用者の変化や状況を職員間で情報共有する仕組みがある
利用者の日々の状況について個人記録や日誌に記載するようにされており、記録を見ればその日の利用者の状況や変化などが分かるようになっている。また朝・夕(状況により都度)に職員間で情報共有する時間を設けていたり、職員事務室のホワイトボードを活用して職員の一週間の予定や利用者の様子などを記入しボードを確認する事で漏れのないようにしている。また、各種のコミュニケーションツールに加えて、「口頭できちんと伝えるようにする」ことを重視しており、情報共有に対する意識が高いことが伺われる。
アセスメントの時期や手順を明確にして、最適な支援に活かしていくことが期待される
利用者の意向や要望などに配慮した計画作成・目標設定、およびそれに基づいた支援が実践されており、利用者調査の結果においても支援の実践に対する利用者の満足度は高い。また、個別支援計画も6か月ごとに見直され、ニーズに合った計画が作成・実行されている。しかし、アセスメントの時期などを定期的に見直す手順は明確にされていない。今後は、支援計画の見直しに加えてアセスメント内容についても定期的に行う時期や手順を明確にすることで、利用情報を常に更新しながら、最適なサービス・支援の実施に役立てていくことが期待される。
1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している
- 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
- 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
- アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の支援計画を作成している
- 計画は、利用者の希望を尊重して作成、見直しをしている
- 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
- 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
3.利用者に関する記録が行われ、管理体制を確立している
- 利用者一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
- 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している
- 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
- 申し送り・引継ぎ等により、利用者に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
1.個別の支援計画等に基づいて、利用者の望む自立した生活を送れるよう支援を行っている
- 個別の支援計画に基づいて支援を行っている
- 利用者一人ひとりに合わせて、コミュニケーションのとり方を工夫している
- 自立した生活を送るために、利用者一人ひとりが必要とする情報を、提供している
- 周囲の人との関係づくりについての支援を行っている
【講評】
個別支援計画では実現可能な目標に沿って日々支援をしている
個別別支援計画では実現可能な目標設定をして日々の支援の中で実践している。例えば、時間が不規則な利用者へは、就労のために朝から通所することによって生活リズムが整えられ、安定してくることにより自信を持たせることができる。途中でうまくいかなくても、生活リズムを整えることで安定した生活になるという成功体験が利用者の役にたっている。利用者の短期目標を念頭に具体的な支援の中で実現できるように、職員は実践を重ねている。日々の記録欄に、利用者の支援計画の目標を常に確認できるようにするなど、書式の工夫もあるとさらによい。
利用者と職員とのコミュニケーションツールとして連絡ノートを活用している
利用者へは各々伝わりやすい方法で必要なことを伝えている。職員は利用者の特性に合わせたコミュニケーション方法を把握して伝える努力をしている。時には言語の問題もあるため、正しく伝えるために家族に同席してもらって理解を深めるようにしている。音への過剰反応やパニックが課題となる利用者のために、事業所では関係者と情報共有のために活用している連絡ノートを、利用者自身が感情をコントロールするために記録するノートとしても使っており、職員とのコミュニケーションツールともなっている。
自立生活のために利用者個別のニーズを把握して必要な情報を提供をしている
事業所では利用者一人ひとりの生活全般入所ついて、家族構成、収入、居住環境、健康、障害特性等の情報を収集・把握して支援に結び付けている。事業所以外の生活面を把握し、必要な関係機関と連携して、利用者が地域で生活していくうえで必要な情報を適宜提供して、利用者の生活を支援している。金銭管理が難しい場合は、事業所内で解決できること、例えば昼食代やレクリエーション代に関しては事業所預かりとするなど、個別対応をして自立生活を支援している。
2.利用者が主体性を持って、充実した時間を過ごせる場になるような取り組みを行っている
- 利用者一人ひとりの意向をもとに、その人らしさが発揮できる場を用意している
- 事業所内のきまりごとについては、利用者等の意向を反映させて作成・見直しをしている
- 室内は、採光、換気、清潔性等に配慮して、過ごしやすい環境となるようにしている
- 【食事の提供を行っている事業所のみ】
利用者の希望を反映し、食事時間が楽しいひとときになるよう工夫している
【講評】
利用者の主体性を尊重する取り組みとして、毎朝ミーティングを実施している
事業所では毎朝、司会と記録を利用者が担当して、当日の希望を聞きながら利用者ひとり一人の仕事の内容・役割分担を決めるミーティングをおこなっている。入所すぐは利用者から手を挙げることは少なかったが、毎日続ける事によって、その日自分が働きたい仕事内容を伝えられるようになった。また、2か月に1度おこなっている誕生日会の後のメンバー会議も自分の意見を言える機会と捉えて、活発な意見交換の場になっている。利用者の主体性を尊重することで自主性が育まれている。
日々の作業を細分化して作業の選択ができるようにしている
事業所では大きく分けた作業種目を、さらに工程別に細かく分けて利用者が担当することで、利用者が持つ力をより発揮できるように、また作業が難しい利用者にとっても参加しやすいように工夫をしている。食堂・喫茶についても調理補助、メニュー書き、注文取り、配膳、下膳、食器洗い、電話当番等に細分化している。内職等その他の作業についてもその日の利用者の体調や希望に合わせて、各々が働く気持ちを持って取り組めるように工夫をしている。誰でも作業に参加できる工夫をすることで、利用者の働く意欲の向上につながっている。
食堂・喫茶で提供しているメニューを利用者は昼食や夕食に充て楽しみにしている
食堂・喫茶では、職員が考案した献立による日替わり定食が毎日提供されており、2週間分のメニューを事業所のホームページにも載せている。栄養のバランスを考えて野菜を多く取り入れたメニューとなっており、利用者が希望すれば、昼食として食べることができる。また一人暮らしの利用者には、弁当箱に詰めて夕食としても提供している。季節に合わせたメニューも多く、食生活が不十分な1人暮らしの利用者にとって食堂・喫茶で提供している定食は、季節感も感じられて楽しみになっている。
3.利用者が健康を維持できるよう支援を行っている
- 利用者の健康状態に注意するとともに、利用者の相談に応じている
- 健康状態についての情報を、必要に応じて家族や医療機関等から得ている
- 通院、服薬、バランスの良い食事の摂取等についての助言や支援を行っている
- 利用者の体調変化(発作等の急変を含む)に速やかに対応できる体制を整えている
- 【利用者の薬を預ることのある事業所のみ】
服薬の誤りがないようチェック体制を整えている
【講評】
利用者の家庭状況や生活状況に合わせた受診同行をおこなっている
利用者の様子の変化については、毎日通所時に職員が観察して気付くようにしている。不眠や幻聴等の訴えがあった場合は丁寧に話を聞いている。必要に応じて主治医に連絡するなど適切な対応をしている。1人暮らしだったり、家族に負担をかけられない利用者には、職員が受診同行をして状況を把握した上で、連絡ノートを用いて関係者と情報共有している。利用者の状態を把握して作業内容の変更に活かすなど、常に利用者の健康状況に留意して支援している。
年1回の健康診断を受けるように促し、健康に留意することを伝えている
精神面だけでなく身体面での健康状況を把握するために、毎年健康診断を受けるように利用者へ促している。区民健康診断が可能な利用者へは医療機関の手続き、同行健診や健診費用の補助もしている。診断結果を報告してくれるように依頼するなど、事業所として可能な範囲で利用者の健康管理ができるようにしている。がん検診等についても同意を得て検診するように勧めている。健康診断を受けて何らかの疾病が判明した場合は、二次検診に同行するなどの対応をしており、利用者に健康管理の大切さを伝えている。
利用者の食生活等への関心から健康維持につながるよう工夫をしている
利用者の中には糖尿病等の生活習慣病を抱え、一人暮らしで食生活に不安を持っている利用者も多い。食堂・喫茶で出している定食を昼食や夕食に充てている利用者もいる。しかし、内科的な疾病があった場合は食事の量や内容に留意する必要があるため、主治医や地区保健師の相談・助言をいただき、利用者の健康への意識を高める工夫をしている。食事の配慮が必要な利用者には、ご飯の量やおかずの内容について出来る限り個別の希望に応じ、食を通して健康維持につながるように努めている。
4.利用者の意向を尊重しつつ、個別状況に応じて家族等と協力して利用者の支援を行っている
- 家族等との協力については、利用者本人の意向を尊重した対応をしている
- 必要に応じて、利用者の日常の様子や施設の現況等を、家族等に知らせている
- 必要に応じて家族等から利用者・家族についての情報を得て、利用者への支援に活かしている
【講評】
利用者の生活に関わる家族や関係機関等との連絡、連携は欠かさない
利用者の生活に深くかかわっている人とは連絡ノートを使って情報共有をしている。家族がいれば家族となるが、利用者のほとんどが一人暮らしをしているため、連絡ノートの相手先はヘルパーであったり、グループホームの世話人になることもある。利用者と直接のやり取りは日常的にあるが、健康状態やその日あったことで特記すべき内容について情報共有の必要な場合は連絡ノートを活用している。連絡ノートをによって、事業所では見せない違った利用者の面を知ることもある。事業所以外の生活の様子を知ることが、日常の支援にも反映されている。
利用者の意向を確認したうえで、関係者と連絡を取り合っている
ほとんどの利用者が自己決定ができ、家族の介入が不要の場合が多いため、家族等関係者と連絡を取る場合には、必ず利用者の意向を確認して情報交換をするようにしている。利用者は、事業所が連絡ノートを交換している相手を承知しており、それが利用者の支援に活かされることがあることも理解している。理解の低い利用者や自己表現が難しい利用者にとっては連絡ノートで関係者と情報をやり取りすることは、事業所にとって利用者をより理解するのに有効な手段となっている。
利用者状況、事業者情報開示に関しては家族・関係者等へ伝える方法を模索している
事業所ではこれまで、事業所の様子や取り組みについて広報誌を作成して定期的に発行すること等はしてこなかった。現在の利用者のほとんどが家族と暮らしていないため、家族に知らせる必要性を感じていなかったことも積極的な広報活動の取り組みがなかった理由とも思われる。事業所としては事業内容、作業内容や利用者の様子等について、遠方で暮らしていたり、関係が希薄な家族へも定期的に開示することが、利用者や事業所への理解が深まる手段であると認識していることから、情報提供方法の充実を模索し始めている。
5.利用者が地域社会の一員として生活するための支援を行っている
- 利用者が地域の情報を得られるよう支援を行っている
- 利用者が地域の資源を利用し、多様な社会参加ができるよう支援を行っている
【講評】
食堂・喫茶が地域にあり、地域の役割を担いながら利用者は地域の一員として意識も高い
長年地域で食堂・喫茶を営業し、日替わり定食を提供していることから、地域住民にも知られた存在となっており、働いている利用者自身も地域住民の一員としての意識が高い。定食提供が終了した夕方の時間には地域に事業所を開放して、地域の歌声喫茶の会に会場として貸したり、定期的に血圧や血管年齢を見てくれる医療関係者に場所を貸し出しており、そこに参加する住民が新たに食堂・喫茶を知る機会となっており、利用者との交流も生まれている。事業所が収集した情報を必要な利用者には積極的に提供し、地域で活動できるように促している。
利用者は、地域資源を活用して交流やスポーツイベント等様々なイベントへ参加している
事業所は区内の就労継続支援B型事業所の集まりである「すぎなみ会議」、「すぎなみ仕事ねっと」、「実務担当者会」のメンバーになっている。すぎなみ会議で企画するイベントに利用者が参加するよう働きかけ、利用者は他事業所の利用者との交流を楽しんでいる。スポーツではソフトバレーボールやフットサルが盛んで、多くの利用者が参加している。商店会にも加入しており地域で開催されるお祭りにも積極的に参加している。事業所としても利用者も良い地域交流の場となり、障害者の理解の促進につながることが期待できる。
12.【就労継続支援B型】就労の機会の提供や、知識の習得及び能力向上のための支援を行っている
- 自発的に働きたいと思えるような取り組みを行っている
- 働くうえで、利用者一人ひとりが十分に力を発揮できるよう支援を行っている
- 工賃等のしくみについて、利用者に公表し、わかりやすく説明している
- 受注先の開拓等を行い、安定した作業の機会を確保できるよう工夫している
- 商品開発、販路拡大、設備投資等、工賃アップの取り組みを行っている
【講評】
利用者が働きやすいように作業内容を細分化して利用者の力を発揮させている
事業所では利用者が持っている力を、それぞれ発揮できるように一連の作業内容を細分化している。食堂・喫茶作業においても調理、盛り付け、接客、出前配達、予約電話受付等時間を細かく設定したり、作業内容を工夫して利用者自ら積極的に参加できるシステムを構築している。朝の作業が苦手な利用者は午後出勤して仕事をするなど柔軟な対応で利用者を支援している。事業所は、利用者ができる作業を、出来る時間帯やペースでおこなえるよう、一人ひとりの利用者の特性に合わせた作業環境を提供している。
食堂・喫茶を中心として利用者の就労意欲を引き出す多様な活動を提供している
利用者の特性に合わせて作業を選択できるように、様々な生産活動を提供している。利用者は各々の目標に応じて、自分のペースで参加できる作業をしている。接客・販売が得意な利用者は役所での販売や出前、イベントに参加する、人の前に出ることが苦手な利用者は箱の組立て・封入・シール貼りなどの受注作業、もの作りが好きな利用者はクッキーなどの製作というように利用者の希望だけでなく特性に合わせて、体験してみて利用者の力が発揮できるように利用者が働きやすい工夫をして取り組んでいる。
事業所は「居場所」としてより、働く意識向上へと役割が広がっている
事業所は本来利用者の「居場所」作りから始まっているが、近年事業所の工夫で作業の細分化により、利用者が働きやすい環境になっている。自分ができる作業を担うことで自信を持ち、働きたい、仕事をしていたいという気持ちがより明確になっている利用者が増えている。作業細分化して働けるシステムを構築したことで「居場所」のみとして利用する人は減少している。食堂・喫茶作業をメインに利用者の働く意識は高まり、休む時間は担保しても、「居場所」作りから「就労意識」の高まりへと事業所の役割が広がっている。
【講評】
利用者の個人情報を対外的に取り扱う際には厳重に実施している
利用契約時に重要事項説明書の個人情報の取り扱いについて説明している。入所前の面接等で利用者本人から聴取した要望などに配慮した上で、個人情報提供同意書に署名をもらうようにしている。また、事業所が利用者に対して対外的な申し込みやサービスの更新手続き等の支援を行う際には、個人情報の漏洩が起きないよう職員が個別に対応している。関係機関への連絡を行う際には利用者に説明・同意を得る等、個人情報の取り扱いを厳重に実施している。
利用者個人の意思や配慮してほしいことを尊重する取り組みを実践している
利用者のプライバシーに保護に関する取り組みとして、入所時にインテーク(面接)を行って、利用者から配慮してほしいことや他の利用者に知られたくない事等を聞いている。その際に、利用者が安心して相談が出来、信頼関係を築けるよう努めている。配慮すべき事やプライバシーの保護・尊厳の尊重については、職員間での情報共有を綿密に行い、共通認識をもって利用者支援に当たっている。また、利用者からの不満や苦情なども職員間で共有し、対応策の検討を行っており、利用者の意思や尊厳を尊重する取り組みが見られる。
利用者が意見を交換する場を提供し、その意見を聞き反映させている
定期的に利用者を交えてのメンバー会議を行っており、そこで利用者の意見を出し合う取り組みがある。施設環境について、利用者同士のトラブルや問題行動について、レクリエーションの内容について等、事業所内の様々なことを利用者と一緒に話し合い、意見を反映させている。また、この場で意見を出せない利用者に対しても個別面談の際に意見を聞く等の配慮もして、利用者一人ひとりが意見を言える環境を整えている。
1.利用者のプライバシー保護を徹底している
- 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
- 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
- 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
2.サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している
- 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
- 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
【講評】
業務分担を行い、職員が標準的に業務を行えるよう取り組んている
業務を行う際に、職員が様々な業務を分担して行っている。分担して業務を行う事で職員がそれぞれの業務を理解出来るようになり、どのような業務に就いても標準的に対応できるように取り組んでいる。また、アンケートの内容にもあるように、標準的な業務の他に利用者に対する支援・対応や作業活動に対して改善点がある場合は柔軟に対応するよう職員が意識をしている。標準的に職員が業務を行う事で、より多くの気付きを得ることが出来、利用者の支援に生かされている。
基準を見直す手順書等は無いが、職員が進んで見直しをする取り組みがある
どのような手順でどのような時期に見直す等の手順書は無いが、職員が気付いた事や利用者からの意見を都度共有し改善を行っている。職員が業務を行っている際に気付いた事、利用者からの言われた事などを共有している。喫茶店の接客マニュアル等は利用者・職員の気付いたことや意見を共有し、必要に応じて改善を行う等、柔軟に対応するよう取り組んでおり、職員が進んで見直しをする取り組みがなされている。手順書の整備等を行う事でさらなるサービスの向上が期待される。
現在、不足しているマニュアルの整備を進めていくことに期待したい
入所手続き・事故対応・感染症等のマニュアルは整備されているが、支援の基準や実施に関するマニュアルなど、整備されていないマニュアルも存在しているため、不足しているマニュアルの整備が課題となっている。マニュアルを整備して定期的な点検や見直しを行うことを契機として、利用者の希望する目標や目的に対して、支援の内容や度合いに関する職員間での調整や共通理解を深める際の判断基準として活用しながら、よりよい支援の実施につなげていくことが期待される。
1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
- 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
- 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうかを定期的に点検・見直しをしている
- 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている
事業者のコメント
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【講評】
ホームページやパンフレット等を作成・公開し事業所の情報を提供している
平成29年にパンフレットを改定し、区役所・保健所・地域活動支援センターに配布して情報提供を行っている。パンフレットの内容には施設の概要・日々の活動内容・一日の流れ・工賃概要・通所までの流れ等が記載されており、活動が分かりやすくまとめられている。また、平成30年には法人のホームページを開設しており、パンフレット同様の内容に加えて2週間分の日替わり定食のメニューが載せられており、定期的にメニューの更新を行っている。新着情報として、事業所内の行事や参加するイベントの情報なども載せている。
行政との関わりや地域のネットワークに関わり、他の事業所と情報交換を行っている
地域のネットワークへの関わりとして「すぎなみ会議」に参加している。この「すぎなみ会議」は、区内の精神障害者の事業所(グループホーム・就労移行支援・就労継続支援B型等)で組織された連絡会で、お互いの事業所の情報交換や会議を行う他にフットサルやソフトバレーの練習や、音楽祭・交流祭等のイベントを企画し、区内の事業所の親睦・連携を図っている。また、「すぎなみ会議」において年1回行政の担当者と話し合いを行う機会を設け、精神障害者の事業所として現状の報告や要望を行っている。
食堂・喫茶店という事業所の特性を生かし、地域に開かれた事業所運営を行っている
平成10年から家庭的な料理を提供するお店として活動を始め、平成21年には喫茶店舗を拡大した。20年以上にわたり地域のお店として活動しており、地域住民の方々に認知されている。また、食堂・喫茶店という事業所の特性を生かし、お客さんとして来店される地域住民の方との交流がしやすくなっており、中にはリピーターになっている住民もいる。地域住民が事業所を知るなかで、精神障害者に対しての理解が自然と促進するような環境が生み出されている。