評価結果
基本情報
事業者の理念・方針・期待する職員像
事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)
1)高齢者の人権を守る
2)個人の生活の尊重
3)介護サービスの向上
4)地域との連携
5)職員の学習意欲
職員に求めている人材像や役割
・個人が具体的な目標を持ち、プロセスを検討評価しながら目標を達成できる
・自己評価と集団的検討ができ、組織としての方針を導き出せる
・介護保険等、社会保障をめぐる情勢に関心をもち、よりよい改善に向けた運動へ主体的に参加する
職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)
・理念を理解し、理念に沿った支援を行なう
・個人の生活に沿った自立支援が行えると同時に、その人が生きてきた生活背景をイメージできる
全体の評価講評
特によいと思う点
施設では、入所者の「個人史」の聞き取りと共有を大切にしている。この「個人史」の把握をもとに、その人らしさを実現し、主体性ややる気、活力を引き出す支援をおこなっている。そのために、モニタリング能力向上に取り組むとともに、行事等の内容や開催方法を見直したり、ボランティアや実習生、家族や地域の協力を得る企画を工夫したりしている。行事等をフロアごとに開催して、車イス利用の入所者の参加や家族の参加が増えたり、入所者の出身地をもとにした郷土料理の食事会など、入所者個々に光をあてた企画で、楽しみの幅を広げてきている。
施設では、入所者一人ひとりにつき個別担当職員2名を配置することにより、担当職員とケアマネジャーが3ヶ月ごとにおこなう個別支援サービスのモニタリングの内容を深めてきている。今年度、このモニタリングの一層の能力向上をめざして、「法令順守委員会」の委員が現場に入ってモニタリングの技術や精度の点検や指導をおこなっている。このような計画的な取り組みによって、入所者一人ひとりに、より適切で行き届いたサービス提供がおこなえるようにしている。
施設では年間の大規模行事を中心に、入所者が楽しく活き活きと生活するために、入所者家族やボランティア、地域の住民との協力・連携をすすめている。バザーや出店が賑やかな「すこやか祭り」には中学校の和太鼓部が参加し、「若葉コンサート」では、高校生100人の吹奏楽と歌声が響いた。地元の花火大会は、地域に屋上を開放し、地域住民とともに花火を鑑賞している。家族や地域向けに「認知症サポーター養成講座」を開いたり、施設職員が地域の学校で「車イス体験講座」の講師となったり、地域に開かれた施設としての取り組みを進めている。
さらなる改善が望まれる点
地震や台風など頻繁におこる状況で、災害時マニュアルや防災訓練など実施されているが、一事業所だけでは対応できないことや一時的対応では入所者を守ることが難しい状況にある。水害マニュアルを作成中であるとのことだが、一つひとつのリスク対応だけでなく、総合的・系統的で持続可能な対応が望まれる。また、一事業所だけでは解決できないライフラインの確保など行政や地域などとの連携を視野に入れた計画が必要とされている。各種委員会を設置しているが、災害や深刻な事故に対応し事業継続ができる組織的保障が課題と思われる。
新入職員へのオリエンテーションや研修において、法人・事業所の目指す理念等の基本研修は時間をかけて丁寧に実施している。また、管理者への研修も実施されている。しかし、中堅職員へのフォローは職員面接(育成面接)などでおこなわれているものの系統的・継続的な取り組みとして不十分な点がみられる。職員アンケートでも「事業所が目指している理念を理解できている」とした職員は40%と「理解が深まる取り組みをおこなっている」とする経営層・リーダー層の認識との間に多少のギャップがあり、日常的な援助も重要であると考える。
家族アンケートの満足度では、大変満足・満足が86%と高い評価がある。また、総合的な感想でも「日頃からよくやっていただいており、感謝している」という意見が一番多く見られる。施設と入所者家族との信頼関係はつくられていると思われるが、「家族会」への参加率が50%ほどで、家族のアンケートに「もっと多くの方々が参加されればよいと思う」との意見もある。家族には、それぞれ多種多様の事情や条件があるとみられるが、「家族会」や行事に一層積極的に参加できる関係性や条件をつくる工夫を期待したい。
事業者が特に力を入れている取り組み
ボランティア、実習生などの受け入れ体制を整備し、積極的に受け入れている。実習指導は実習生からの評判も良く、実際に採用にも繋がっている。また、ボランティアによるアクティビティやコーヒーコーナーなどは定着しており、利用者・家族・面会者などに評判が良い。春のコンサートでは高校の吹奏楽部による演奏がおこなわれ、すこやか祭りでは小中高生がボランティアとして介護体験を経験したり、和太鼓を演奏するなど多彩な企画が催され、利用者の生活に彩りを添えた。福祉出前講座講師養成研修に参加し、来年度は小中学校で講師を予定している。
毎月感染対策委員会を開催し、感染対策に取り組んでいる。この中で、感染対策マニュアルを更新し、職員向けに実践的な研修を実施し、日常的な対策を講じている。介護職員は全員が研修を受講した。各居室への加湿器の設置や、感染対策グッズを専用カートに用意し、嘔吐した際などすぐに使えるように整備している。きめ細かく徹底することにより、職員の感染予防に対する意識が高まり、感染症の発症も激減している。
利用者の安全・安心、職員の健康維持のため、歩行や車いす移乗が困難な方は天井走行・床走行リフトを使用している。浴室にリフトを設置していることで、ストレッチャー浴だった方が在宅と同じように家庭浴槽で湯舟につかって入浴することができている。浴槽は個浴のため、希望する方には同性介助をおこない、衣類の選択から誘導、湯の温度や湯量調整、入浴介助まで一連の介助を1対1でおこなっている。最後まで機械浴ではなく、リフトなど補助器具を利用し、一般浴での入浴を支援している。補助器具の活用で職員の身体的負担も軽減されている。
利用者調査結果
調査概要
- 調査対象:入所者88名のうち、利用者調査可能と判断した25名を対象とした。
- 調査方法:聞き取り方式
調査可能と判断した25名に対して、聞き取り調査を実施した。 - 有効回答者数/利用者総数:25/88(回答率 28.4% )
聞き取り調査を可能とした入所者25名の平均年令は87.5才、90才以上が9名。食事や移乗等は「自分でできている」という人が多数。耳が遠い、ろれつが回らない、思いを言葉にするまでに時間がかかる等、会話が少々困難な入所者も複数あった。入所者の総合的な感想では、「大変満足」が24%、「満足」が48%、「どちらともいえない」が28%。72%が大変満足を含め「満足」としている。各設問で、「1.食事の献立や食事介助など食事に満足しているか」では、「はい」56%と「どちらともいえない」32%、「いいえ」が12%で、美味しいとする人と薄味過ぎ、まずいとする人に分かれた。「2.日常生活で必要な介助を受けているか」では、回答者の多くが自立としており、「非該当」とした5名(20%)も含め、もし介助が必要になった場合はという想定での回答になっている。「3施設の生活はくつろげるか」では、「はい」が64%で、仲間との交流をあげる人が多かった。職員の対応は全体として「良くやってくれる」と高い評価を受けているが、「忙しそうで声がかけづらい」「ゆっくり話せない」という声も少なからずあった。また、今回、利用者の家族アンケートも独自におこなった。
アンケート結果
1.食事の献立や食事介助など食事に満足しているか
「はい」が56%、「どちらともいえない」が32%、「いいえ」が12%。美味しいという評価とともに、味付けが薄いという評価も複数あった。食事は自立という回答者がほとんどで、食事内容と食事介助を同時に問う設問に戸惑いがあるように思われた。
2.日常生活で必要な介助を受けているか
「はい」が64%、「どちらともいえない」が16%、「非該当・無回答」が20%となっている。回答全体として、日常生活は「自分でできている」とする回答者がほとんどで、自分がもし必要になった時にはという想定を前提にした答えが多くなっていると思われる。
3.施設の生活はくつろげるか
「はい」が64%、「どちらともいえない」が32%、「非該当・無回答」が4%となっている。
4.職員は日常的に、健康状態を気にかけているか
「はい」が80%、「どちらともいえない」が12%、「非該当・無回答」が8%となっている。「非該当・無回答」は、体調を悪くした経験がないということからのもの。
5.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか
「はい」が80%、「どちらともいえない」が16%、「非該当・無回答」が4%となっている。回答全体として、居室以外の共用部分での評価となっていると思われる。
6.職員の接遇・態度は適切か
「はい」が88%、「どちらともいえない」が12%となっていいる。上からの教育や仕込みがいいという声もあった。
7.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
「はい」が68%、「どちらともいえない」が12%、「非該当・無回答」が20%となっている。「非該当・無回答」の入所者をはじめとして、これまで病気やケガの経験がないか、「経験はないがもしそういう際には」という前提での回答になっていると思われる。
8.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
「はい」が16%、「どちらともいえない」が16%、「非該当・無回答」が68%となっている。回答の多くが、トラブルの経験がないから評価できないというものになっている。
9.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか
「はい」が80%、「どちらともいえない」が20%となっている。よく気を遣ってくれているという声が多数ある。
10.利用者のプライバシーは守られているか
「はい」が76%、「どちらともいえない」が12%、「非該当・無回答」が12%となっている。プライバシーが気になるような場面はほとんどないという入所者が多い。
11.個別の計画作成時に、利用者や家族の状況や要望を聞かれているか
「はい」が24%、「どちらともいえない」が12%、「非該当・無回答」が64%となっている。計画作成について、「覚えていない」、「(計画を)見たことがない」、「家族は聞いている」などの回答があった。
12.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
「はい」8%、「どちらともいえない」が8%、「非該当・無回答」が84%となっている。計画やサービス内容の説明について「覚えていない」、「分からない」などの回答があった。
13.利用者の不満や要望は対応されているか
「はい」が68%、「どちらともいえない」が24%、「非該当・無回答」が8%となっている。回答全体として、現状で特に不満や要望はないが、「不満や要望を言った場合に想定できる職員の対応」という前提での回答になっていると思われる。
14.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
「はい」8%、「どちらともいえない」が8%、「いいえ」が24%、「非該当・無回答」が60%となっている。「覚えていない」か「知らない」という人の他、特に困りごとや相談事はなく、必要ないという入所者がほとんどだと思われる。
組織マネジメント分析結果
◆事業評価結果
7つの「カテゴリー」の下に、それぞれ「サブカテゴリー」「評価項目」「標準項目」を設定して評価しています。
評価項目ごとに、標準項目の実施状況を、実施できている場合は
で、実施できていない場合は
で表しています。
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
2. 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている
- 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
- 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
3. 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している
- 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
- 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
- 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
【講評】
定期的に入所者懇談会やアンケート調査などで入所者や家族の意向把握をおこなっている
入所時や適宜、疾病・食事嗜好・生活歴などアセスメントをしっかりおこなっている。そして、定期的に入所者懇談会を実施し直接入所者の意見を聞き、施設運営に生かしているだけでなく、食事嗜好調査などもおこない入所者のニーズに応えている。また、七夕の行事では短冊に希望を書いてもらうなどして、行事を通して意向を把握している。これらの意向・要求などは、毎月おこなっているサービス向上委員会でも検討し管理会議・職場代表者会議などで討議し施設として対応している。看取り介護アンケートも実施している。
区内の法人事業所の会議や連絡会などへ参加して情報収集をしている
区が主催する介護事業所連絡会や施設長会議などに定期的に参加し、区内の福祉事業全体の情報や課題を把握している。あわせて、法人は複数の区で事業を展開しているが、そのなかの同じ区にある事業所で構成している「エリア会議」や地区事業所協議会の会議を開催し、他の業種も含めた区内の情報を把握して、質が高く幅の広いサービス提供につなげている。
事業所の目指す理念の実現と計画の実行のため、その都度検証し実践している
法人として2015年度に5か年計画を策定した。それに基づいて4月に年度方針を確定し、10月に中間総括をおこなっている。その都度、全体集会において理念・基本方針の達成度や課題について討議し職員に周知している。アンケートにおいても、70%以上の職員が計画が策定されているとして「事業所の目標が明確。それに沿って取組を行う努力をしている」ことを評価する意見もでている。次年度方針や予算編成も第一次・第二次と策定し、十分検証していることがうかがわれる。
1. 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
- 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
- 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
- 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
- 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
- 事業所の経営状況を把握・検討している
- 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している
- 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
- 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
- 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
2. 着実な計画の実行に取り組んでいる
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
- 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
【講評】
守るべき法・倫理などを多様な方法で周知し深めている
新入職員研修時のオリエンテーション資料に、守るべき法・規範・倫理など明記し周知している。就業規則や福祉宣言(倫理綱領)など資料を配布し、時間をかけて丁寧な研修をおこなっている。他の職員研修でも年間研修計画で虐待防止や身体拘束廃止学習会、人権学習会などを実施して周知している。また、毎月「身体拘束廃止委員会」「高齢者虐待防止対策委員会」を開催し、ハラスメント防止や身体拘束廃止が適切におこなわれているか組織的な対応をおこなっている。「利用者権利擁護指針」をわかりやすく明文化し、目につきやすい場所に掲示している。
入所者の人権と意向を大事にし虐待に対しても施設独自の厳しい基準で対応している
入所の契約時に事業所以外の苦情対応窓口についても説明しているほか、行政で養成した介護相談員を受け入れ対応している。施設に投書箱を設置して利用者からの苦情等を受けつけているだけでなく、家族へ毎月投書用紙を送り、家族からいつでも要望を出せるよう工夫している。「サービス向上委員会」を毎月開催し、苦情・要望への対応と改善の徹底を図っている。虐待対応も「虐待防止委員会」と「サービス向上委員会」の両面からの防止と対応に努めている。
地域の関係を重視し、中・高校生の介護体験受入れや行事開放をおこなっている
小・中・高校生の介護体験を常時受けている。毎月、何らかの行事をおこなっているが入所者・家族だけでなく地域に知らせ開放している。特に「すこやか祭り」には、小・中学生の介護体験や地元中学生の和太鼓部の演奏などで交流できた。日常的に、多くのボランティアが活動している状況があり、ボランティアによる心身活性化のための「アクティビティ」やコーヒーコーナーは、入所者・デイ利用者や訪問者・面会者が一緒に楽しめていて好評である。また、傾聴や車いすの清掃・コーラスなど日常的に多くのボランティアが活動している。
1. 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる
- 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
- 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している。
1. 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている
- 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
- 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
2. 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている
- 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
- 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
1. 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる
- 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
- ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
2. 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている
- 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
- 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
- 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
【講評】
安全・感染対策委員会を定期的に開催しマニュアルの更新と設備上も対応している
過去に感染性腸炎の拡大や疥癬拡大をおこした事態を教訓に、「感染対策委員会」でより実践的で実務的なマニュアルに更新した。入所者の嘔吐に対して、前もって物品を専用カートにセットしてあり必要以上に他に触れることなく対応できる環境をつくっている。多床室への加湿器の設置や各所に濡れタオルを設置することにしている。また、全マットレスの洗浄などをおこない施設全体の感染対応もおこなった。「感染対策委員会」「安全対策委員会」を毎月おこなって職員への周知徹底を図っている。
重要な情報は個人パスワードなどで適切に管理し、必要時に活用できるようにしている
重要な情報は、施設のサーバーで集中管理している。そして、情報が閲覧できる各フロアの職員室には鍵をかけ、必要な時にはパスワードを設定し情報の漏えい防止と共有が矛盾なくできるように心がけている。個人情報等は、入所者ごとの個人ファイルに整理して集中し管理している。
個人情報保護規程を作成し組織的に保障できる体制をつくっている
新入職員研修時に、個人情報保護規程の説明をおこない誓約書をもらっている。入所者については、入所時に重要事項説明書と契約書に個人情報保護について記載、説明し同意書をもらっている。「たより」などに写真を掲載する場合は、必ず入所者・家族の同意を受けている。個人情報に関する開示・訂正・利用停止及び苦情相談の担当者を設け、そして窓口を設置し、重要事項説明書に明示している。
1. 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる
- 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
- 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
- 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
- リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
- 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
1. 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
- 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
- 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
- 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
- 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
【講評】
実習生や介護体験の学生等を積極的に受け入れ、人材確保に取り組んでいる
法人では、「人材確保委員会」を設置して日常的な取り組みとして位置づけている。学校訪問や企業説明会への参加で人材確保にあたっているだけでなくホームページや若者に向けてフェイスブックでの宣伝にも力を入れている。また、実習生や介護体験を積極的に受入れており、これらの取り組みが入職の契機のひとつとなっている。ちなみに、2017年度の実習生(外国人留学生を含む)や介護体験者は43人であった。また、資格を持たない人を採用して資格取得の援助を通して定着するケースも生まれている。
新入職員に2名の援助者を配置すると共に生活援助マニュアル作成で援助を継続している
研修委員会を設置し新人研修を系統的に実施している。新入職員1人に、2名の指導援助者を配置し新入職員の相談にのれる体制をつくっている。そして、新入職員だけでなく生活援助マニュアルを作成し、それに沿ったチェックリストで継続的に援助をおこなっている。また、年2回の育成面接をおこない職員の意向を確認しながら研修や人事管理をおこなっている。
「グッドサービスマナーレポート」を導入し、職員育成に取り組んでいる
当施設では、現在、入所者の重度化や看取り介護の増加があり、職員一人ひとりの生活援助技術の向上が課題となってきている。そのような中で、法人全体の介護職員育成の中心的な役割も担っており、職員の援助技術向上と働く意欲向上をめざした取り組みを日常の重要課題の一つと位置づけて取り組んでいる。その一環として、「グッドサービスマナーレポート」を導入し、職員がお互いの長所や見習うべき点を評価しあい、成長を励まし合うことによって、職員全体の介護サービスの力量アップをめざしている。
1. 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている
- 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
- 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
2. 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している
- 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
- 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
3. 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる
- 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
- 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
- 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
- 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
4. 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる
- 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
- 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
- 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
- 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
1. 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる
- 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
- 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
- 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
1. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)
【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】
長年の課題であった大規模修繕課題、特に空調関係の修繕を目標とした。毎年、冷暖房や給湯のトラブルが発生し業務や入所者へのサービスに支障をきたしており改善が課題であった。 プロジェクトチームを立ち上げ計画を設定、補助金申請を含む資金確保をおこなった。また、ショートステイのベッド制限を含む細かなベッド調整を実施して無事終了した。結果、猛暑本番を前に冷房が適切に稼働し環境改善につながり入居者へのサービス改善だけでなく職員の労働環境も改善した。大規模修繕を契機に、全職員の力で全マットの洗浄や車いすやクッションの管理方法も改善した。併せて、障子の桟修理・ふすま張替えやドアの修理・テーブルの塗り替えなど施設の環境改善につながった。 今後は、壁・ベランダ屋上・床・風呂など建物の修繕が課題となり、修繕費の補助金を含む予算化をおこない実施の予定である。
【評語】
| 目標の設定と取り組み | 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った |
|---|---|
| 取り組みの検証 | 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った |
| 検証結果の反映 | 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた |
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している
事業活動計画で、入所者への生活環境の悪化や職員の日常業務に支障をきたし「空調関係の大規模修繕」を目標とした。そのために早くからプロジェクトチームを立ち上げ、補助金を含む修繕費の確保や具体的ベッド調整などおこなって、ショートステイの利用者・家族の協力を含め全職員の力で安全に目標が達成できた。計画実施途上に、感染問題も発生し対応に困難をきたしたが無事目標を達成した。あわせて、施設内の整備など環境改善につながった。次期の事業計画の建物修繕・回収に向けて補助金を含む資金の予算化をおこうなど検証結果を反映していると判断した。
2. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)
【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】
感染性腸炎に続き疥癬の拡大という事態を経験し、感染症対策を日常的な対策として徹底することを目標とした。 2つの感染拡大を招いた結果に対し、「感染対策委員会」で総括し既存のマニュアルを見直し実務的なものに更新した。環境整備として多床室への加湿器の設置や個室には濡れタオルをかけ、食堂などの空間は濡れタオルケットを設置した。また、入所者の嘔吐について、職員が必要以上に接触しないように必要最低限の物品を集中カートに準備しておくなどの対応をとった。あわせて、職員への教育・研修をおこないマニュアルの周知・徹底を図った。結果、職員の感染症への意識が高まり、その後インフルエンザの発症者は1名、疥癬も1名発症したが広がらず治まる結果となった。更新した感染症対策マニュアル研修が有効であることが分かり、今後は月一回の「感染対策委員会」の定期的開催とともに、全職員対象に年2回以上の研修を実施していくことを確認・実践している。
【評語】
| 目標の設定と取り組み | 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った |
|---|---|
| 取り組みの検証 | 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った |
| 検証結果の反映 | 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた |
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している
感染症を続けて拡大させた教訓から、感染症対策を日常の介護のなかに位置づけて取り組むことを目標設定した。その対策として、感染症対策マニュアルを実践的なものに更新しただけでなく、感染環境の見直しや症状に対する物理的な対策などをとり、そのことの教育・研修を徹底した。環境整備がすすんだことにより、感染症患者が出たものの拡大させずにおさめることができ対策が有効であったことが検証できた。あわせて、職員の感染に対する意識が高まった。感染症対策のマニュアルの実践と全職員への徹底が次期事業活動方針事業計画に反映されていると判断した。
サービス分析結果
【講評】
インターネットのホームページを活用して施設情報を入手しやすくしている
指定介護老人福祉施設としての「葛飾やすらぎの郷」の施設情報はホームページで入手できる。運営法人「すこやか福祉会」のホームページにもリンクしている。東京都のホームページである「東京都介護サービス情報公開システム」や「とうきょう福祉ナビゲーション」でも公開している。「東京都福祉サービス第三者評価」も受審しており、評価結果も知ることができる。法人パンフレットや施設パンフレットも作成しており、見学時の配布や問い合わせでの郵送もおこなっている。区の担当課や地域包括支援センター等とは日常的に情報共有をおこなっている。
広報誌『やすらぎ』や「行事カレンダー」などで施設の様子をわかりやすく伝えている
パンフレットはA3版見開きで、写真を豊富に使い、施設の様子をわかりやすく伝えている。職員手作りの施設広報紙の『やすらぎ』は、楽しそうな行事の光景や行事食、入所者や職員紹介、耳より情報、毎月の主な行事等を掲載し、写真やカットを使ってカラフルで見やすい内容になっている。もう一つ、毎月発行している「今月のカレンダー」には、主な行事や歯科往診、理美容の日などを、楽しい絵付きで誰にもわかりやすく掲載している。見学者や入所者家族を中心に配布しており、希望者は誰でも施設窓口で入手できる。
入所問い合わせや見学にはその都度丁寧に対応している
施設への入所は、入所希望者等が直接、施設に申し込むことになっており、施設では、問い合わせや見学は「受付記録」を作成し随時受け付けている。見学は、毎日可能な限り対応しているが、土・日曜は、受け入れ体制が整わず断る場合もある。「入所申し込み書」を提出した待機者が多いため、入所基準や入所決定の手続き、施設状況や見通しなどを丁寧に説明するようにしている。
1.利用希望者等に対してサービスの情報を提供している
- 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
- 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
- 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
- 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
入所契約の際には「重要事項説明書」を確認し同意を得ている
入所希望者等には、「入所申し込み書」受付の際も、施設の理念や指針、入所基準や手続き等を詳しく説明しているが、入所契約にあたっては、改めて「介護老人福祉施設 重要事項説明書」をもとに、入退所の基本事項やサービス提供内容、個人情報保護、身体拘束について、緊急・事故対応、防災、苦情対応等、利用料金等を詳しく説明し、書面で同意を得ている。「プライバシーポリシー」(個人情報保護規定)や「利用者権利擁護指針」について、特に留意し、詳しくわかりやすく説明するよう努力している。
職員は必ず「入所前面接」をおこなって本人や家族とお互いの理解を深めている
入所申し込み書を提出した本人や家族等に対して、職員は必ず家庭や施設等を訪問し「入所前面接」をおこなっている。この「入所前面接」は、入所前の情報収集とともに、職員が入所申し込み者本人や家族等と良好な関係性を作っていく最初の重要な機会と位置づけている。この過程で把握した詳細な情報を入所時アセスメント表に記録し、入所判定会議での検討や「入所時介護計画書」の作成に反映している。この介護計画書をもとに、本人や家族等の意向や要望、不安等に配慮し、安心して施設での生活が開始できるよう見守りや声掛けなどをおこなっている。
入所者の退所にあたっては次の新たな生活の始まりにふさわしい支援をしている
施設では、入所1ヶ月以内には関係職種代表が参加して初回の「サービス担当者会議」を開催し、入所者ができるだけ早くホームでの生活に馴染んでいけるよう支援計画の見直しをおこない、担当職員を配置して退所まで支援をおこなっている。退所には、他施設等への転所と看取り退所がある。他施設等への転所には入所者等に継続した支援体制があることを伝えている。看取りによる退所に際しては、「偲ぶ会」を家族と職員が参加して開催し、生前の入所者を偲ぶとともに、新たな生活を始める家族や職員のグリーフケアにも努めてきている。
1.サービスの開始にあたり利用者等に説明し、同意を得ている
- サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を利用者の状況に応じて説明している
- サービス内容や利用者負担金等について、利用者の同意を得るようにしている
- サービスに関する説明の際に、利用者や家族等の意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
- サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
- 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
- サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
【講評】
入所当日には初回の「入所介護計画書」を作成しサービス提供を開始している
入所前面接の過程でおこなった初回アセスメント表での心身の状況や生活状況をもとに、入所当日には、入所者等の同意も得た暫定的な「入所時介護計画書」によりサービス提供を開始している。入所後1ヶ月以内には、1回目の「サービス担当者会議」を開催し入所者や家族等の意向や要望を聞き、入所時の介護計画を見直している。「施設サービス計画書」は、「年度モニタリング・サービス担当者会議実施予定表」により、モニタリングを3ヶ月ごとに実施した上で、年2回見直しをおこない入所者や家族等の同意を得て具体化している。
職員2名による入所者の個別担当制でアセスメントやモニタリングを深めている
施設では、2名の職員で一人の入所者を支援する個別担当制を敷いている。入所者の担当職員2名は概ね入所1~2週間で配置が確定し、原則として、入所者の入所間もない時期から退所まで一貫して日常的な支援を担当することになっている。この職員2名による個別担当制により、複眼的な視点での入所者の意向把握や心身の状態の変化等の共有が進み、モニタリングやアセスメントの内容も詳細になり深まっている。また職員2名の援助技術の相互点検や相互援助にもなっている。個別担当職員には職場長が助言等の支援をおこなっている。
入所者の情報は「個人ファイル」と「業務日誌」で管理し職員全員で共有している
入所者の情報は、目次「個人ファイルの整理の仕方」に沿って、入所者一人ひとりの「個人ファイル」にまとめて管理し全職員で共有している。「個人ファイル」には、基本情報や個人史、施設サービス計画とモニタリングシート、サービス担当者会議記録、看取りも含めた介護についての手順書に日々の経過記録などがまとめられている。職員は、「個人ファイル」での経過記録と「業務日誌」により、朝礼と申し送りの場で個別支援課題を確認している。
1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している
- 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
- 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
- アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の施設サービス計画を作成している
- 計画は、利用者の希望を尊重して作成、見直しをしている
- 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
- 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
3.利用者に関する記録が行われ、管理体制を確立している
- 利用者一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
- 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している
- 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
- 申し送り・引継ぎ等により、利用者に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
1.施設サービス計画に基づいて自立生活が営めるよう支援を行っている
- 施設サービス計画に基づいて支援を行っている
- 利用者の意向や状態に応じて、生活の継続性を踏まえた支援を行っている
- 介護支援専門員を中心に、介護、看護、リハビリ、栄養管理等の職員が連携して利用者の支援を行っている
【講評】
入所者一人ひとりの個別担当職員が中心になって日常の支援を担っている
「施設サービス計画」の目標達成のために、入所者一人ひとりについて、入所1週間前後で担当職員2名を配置している。担当職員は、「施設サービス計画」による支援課題を週単位で実践する「週間スケジュール」によって日々の支援をおこなっている。支援内容や達成状況については3ヶ月に1回モニタリングをおこない、ケアマネジャーと共有し、「サービス担当者会議」でのサービス計画の見直しに繋げている。個別担当職員2名によるモニタリングで、入所者の課題把握がより深まってきている。
サービス計画をもとに入所者個別の支援の手順書を作成して実践している
施設では、サービス計画での達成目標に沿って、食事・排泄・入浴・移動を中心に、入所者一人ひとりの支援課題の項目別に実践的な細かいケアの手順書を作成して日常の支援に活用している。ケア手順書は、個別担当職員を中心に点検、見直しを適宜おこなっている。手順書の実践にあたっては、より適切な介助だけではなく、利用者一人ひとりの生活状況や人となりを理解した心の通った支援になるよう担当職員を中心に取り組んでいる。
「サービス担当者会議」と定期モニタリングを要として入所者支援をおこなっている
施設では、年間スケジュールにもとづく3ヶ月ごとのモニタリングの実施と年2回の「サービス担当者会議」の定期開催をサービス提供の要に位置づけている。ケアマネージャーが招集する「サービス担当者会議」には、入所者本人や家族等の他、看護師、介護福祉士、栄養士等の職種代表に加え、日常的な生活援助とモニタリングを担当する個別担当職員も参加するようにしている。必要に応じて生活相談員や施設管理者も参加し、入所者一人ひとりの「施設サービス計画」の策定や見直しをおこない、日々の支援で具体化している。
2.食事の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている
- 利用者の状態に応じた食事提供や介助を行っている
- 利用者の栄養状態を把握し、低栄養状態を改善するよう支援を行っている
- 嚥下能力等が低下した利用者に対して、多職種が連携し、経口での食事摂取が継続できるよう支援を行っている
【講評】
栄養ケアアセスメントをもとに「栄養ケア計画書」を作成して食事支援をおこなっている
入所者一人ひとりの「栄養ケアアセスメント」で、「栄養ケア計画書」と支援手順書を作成して必要な栄養状態の管理にあたっている。管理栄養士を中心に多職種で栄養状態を評価し合い、体重の測定と管理をおこない、状態に応じて高カロリー食品などを提供している。食事摂取が困難な状態の入所者の場合は栄養補助食品を提供している。
入所者一人ひとりの状態に合わせて適切な食事を提供している
入所者一人ひとりの食についての嗜好や習慣に配慮した支援をおこなっている。出前の注文にも外食の要望にも応えるようにしている。食事時間や食事の席も個別性を優先している。おじやや麺類の希望にもすぐに応えられる体制になっている。入所者が発熱や体調不良で常食が食べられない場合は、消化の良いメニューに換え、食事摂取が困難な状態の場合は、嗜好に配慮しつつアイスクリームやあんこなども提供している。嚥下障害が心配される場合は、きざみ食やプロセッサー食などを用意している。
「訪問歯科」スタッフを含むチームで、食事内容の検討や食事支援をおこなっている
入所者に提供する食事の形態については、栄養ケアマネジメントでの評価とともに、「訪問歯科」の医師、スタッフが加わって口腔ケアの立場からの意見等を生かしている。多職種によるチームで、きざみ食やプロセッサ―食、とろみの目安など、嚥下機能の低下があっても安全に口から美味しく食べられるような工夫と支援をおこなっている。提供する前に、必ず職員が試食し、安全性を確かめ、食材や味の説明ができるようにしている。入所者一人ひとりに誤嚥に注意した適切な食事介助がおこなえるよう「食事席」を毎月見直して職員を配置している。
3.利用者が食事を楽しむための工夫をしている
- 利用者の嗜好を反映した食事を選択できる機会がある
- 食事時間は利用者の希望に応じて、一定の時間内で延長やずらすことができる
- テーブルや席は、利用者の希望に応じて、一定の範囲内で選択できる
- 配膳は、利用者の着席に合わせて行っている
【講評】
四季折々のおやつや入所者の出身地域別の郷土料理もみんなで味わっている
入所者は出前の注文が自由にでき、外食の希望も叶えられるようになっている。入所者のリクエストも生かしながら、月に1回から2回、季節も味わえるおやつづくりや行事食を提供している。秋の玄関先でのサンマ焼きも好評である。家族と一緒に入所者の出身地をもとにした郷土料理の味比べをすることもある。入所者の希望により、主食の変更や体調不良時のおかゆや麺類への変更にもすぐに応じている。プロセッサー食の入所者には、配膳の際にメニューを伝えている。アレルギー等の禁食や塩分や糖分制限などにも細かく対応している。
食事ごとに入所者一人ひとりの「座席表」を作成して支援をおこなっている
食事時間には、入所者のほぼ全員が食堂に集まってくる。嚥下機能が低下し、誤嚥が心配される入所者も多く、安全でおいしく食べられる環境づくりのために、施設では、食事席係の職員を置いて、毎月入所者の「食事席表」を作成し、食事介助や見守りのための職員配置をおこなっている。毎週、歯科の往診で、口腔ケア、嚥下評価も実施している。「食事席表」は、必要に応じて、見直し更新をおこなっている。食事介助を必要とする入所者が増えており、食事介助のパート職員を導入するなど体制の改善を進めてきている。
食事の場所や食事時間は入所者の希望や心身の状態に配慮して柔軟に決めている
入所者の食事をとる場所は、食堂の他に2カ所設けてあり、入所者の希望やサービス提供の手順書に沿った職員の判断で選ぶことができるようにしている。入所者は、心身の状態や生活のリズム等によって、施設全体の食事時間の流れに合わせられない場合があり、原則として2時間の範囲で食膳を取り置き、食事の時間を遅らせるなど、柔軟に対応ができるようになっている。食事の配膳は、早いと食事が冷める場合があるので、入所者の着席と同時に配膳するようにしているが、取り置きした場合は温め直しが行き届かないことがあり、課題にしている。
4.入浴の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている
- 利用者の意向や状態を把握して、できるだけ自立性の高い入浴形態(個浴、一般浴等)を導入している
- 入浴の誘導や介助は、利用者の羞恥心に配慮して行っている
- 認知症の利用者に対し、個別の誘導方法を実施している
- 利用者が入浴を楽しめる工夫をしている
【講評】
浴室にリフトを設置しいつまでも「個浴」ができるようにしている
入所者一人ひとりが安心して、くつろいで入浴できるよう浴室に天井走行リフトを設置している。身体の機能の状態にかかわらず、いつまでも家庭浴槽での「個浴」が続けられるようにしている。その際、できるだけ羞恥心を抱くことがないよう、一対一の職員配置で、希望により同性の介護や見守りをおこなっている。浴室の構造上、2つの家庭浴槽が並んでいるが、2名同時に入浴する場合は、中間をカーテンで仕切って「個浴」となるようにしている。
入浴介助は入所者の個別状況に合わせて作成した手順書をもとにおこなっている
入所者一人ひとりの入浴介助は、心身の状態に合わせたサービス計画と「援助技術マニュアル」に沿って、入所者個別のケア手順書をつくって介助をおこなっている。「個浴」で、安全性や羞恥心に配慮しつつ、担当の職員が入浴誘導からリフト操作、入浴、水分補給、着衣まで一貫しておこなっている。「個浴」のため、入所者好みの温度設定や湯量の調節が可能であり、原則として週2回の入浴日も週間行事予定や家族の面会予定等に合わせて柔軟に決めている。
季節感を味わう「ゆず湯」や「菖蒲湯」などがあり様々な入浴剤も使うことができる
食事とともに、入浴は入所者の楽しみの一つになっている。施設では、入所者が入浴を楽しむために、日常の入浴支援とともに、季節感をゆっくり味わうための「柚子湯」や「菖蒲湯」などを提供している。また、希望により入所者の所持している温泉巡りなどの「入浴剤」も使うことができる。入所前は、ストレッチャーで浴槽に浸かる入浴しかできなかった入所者が「個浴」で楽しい入浴ができるようになっている。
5.排泄の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている
- 利用者の意向や状態に応じ、自然な排泄を促すよう支援を行っている
- 排泄の誘導や介助は、利用者の羞恥心に配慮して行っている
- 研修等によりオムツ交換、トイレ誘導等の排泄介助方法の向上に取り組んでいる
- トイレ(ポータブルトイレを含む)は衛生面や臭いに配慮し、清潔にしている
【講評】
入所者個々の状況に合わせた支援プランをもとに常に適切な排泄支援をめざしている
排泄の支援については、入所者の意思を大切にし、身体機能の状態に合わせて自然な排泄を第一の目標に、個々の手順を細かく定めたプランで援助をおこなっている。立位の取れる入所者はトイレに誘導し、立位が困難な入所者にも必要に応じてポータブルトイレを活用し、座位での自然な排泄を促している。自然な排便には適切な水分補給が必要であり、毎月、水分摂取量の少ない入所者を点検し、水分補給を支援している。排便を促すとされるミルクオリゴ糖も使用したり、入所者個々の飲みやすい飲料も研究している。
チェックリストも作成して排泄介助技術を評価しあっている
職員は、排泄に関する「援助技術マニュアル」を所持し、入職時には、羞恥心にも配慮したオムツ交換やトイレ誘導の研修を受けている。入所者の排泄介助にあたり、「チェックリスト」も作成して、援助内容や介助技術を評価し合い、援助技術の向上をめざしている。今年度も、オムツ業者から講師を招いて「オムツ学習会」を開催して、オムツ交換をはじめとした排泄支援の向上に取り組んでいる。
適切な排泄介助とともに環境整備も心がけている
排泄支援の一環として、清潔で使いやすいトイレの維持や臭気対策を進めている。職員で「環境整備委員会」を構成し、トイレを中心に、浴室や共有スペースの点検と環境改善に取り組んでいる。トイレは、委託業者による定期清掃とともに、汚染時にはその都度職員が清掃し、清潔度を保っている。各トイレにはポータブルトイレ洗浄機が備えてあり、週1回ポータブルトイレを消毒している。
6.移動の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている
- 利用者の状態や意向に応じ、できるだけ自力で移動できるよう支援を行っている
- ベッド移乗、車イスの操作など移動のための介助が安全に行われている
- 利用者が快適に使用できるよう車イス等の環境整備が行われている
【講評】
入所者一人ひとりの身体能力に見合った移動支援をおこなっている
アセスメントによって把握した入所者の身体機能の状態に応じて、入所者一人ひとりに見合った移動の支援をおこなっている。現在、入所者のうち70名前後が常時車イスを使用しているが、移動の支援をおこなう際には、入所者の意思に配慮し、出来るだけ自力での移動を促す支援になるようにしている。職員の入職時には、「生活援助技術マニュアル」と「チェックリスト」をもとに、ベッドから車イスへの安全な移乗や車いす操作について実技による研修をおこない、引き続き日常的に相互点検し適切な移動支援を実践している。
移動に必要な適切な補助器具を選定するために専門機関と連携している
車イスや杖など、入所者一人ひとりの状態に、より適合した補助器具の評価や選定のために、理学療法士等の所属する関係機関と連携している。適切な補助器具の使用と継続したフォローによって、入所者の座位の時間が増えたり、安全な移乗ができるようになるなど、入所者の生活の質が向上している。入所者の体幹等の動きを補助する機能を持った車イスを今年度新たに8台導入している。
車イスの洗浄管理が当面の課題の一つとなっている
車イスは使用頻度も高いため、汚れなどがひどく定期的な洗浄が必要となっている。車イスの台数が多いため、定期の洗浄が追い付かない現状がある。ボランティアの協力も得て洗浄をおこなっているが、汚れたままの車イスもあり、車イス洗浄の計画的な改善が課題になっている。
7.利用者の身体機能など状況に応じた機能訓練等を行っている
- 利用者一人ひとりに応じた機能訓練プログラムを作成し、評価・見直しをしている
- 機能訓練のプログラムに日常生活の場でいかすことができる視点を入れている
- 機能訓練指導員と介護職員等の協力のもと、日常生活の中でも機能訓練を実施している
- 福祉用具は、定期的に使用状況の確認をし、必要に応じて対処をしている
【講評】
定期の集団体操やリズム体操を中心に日常的に機能維持の活動をおこなっている
施設では、入所者の身体能力の維持・向上に力を入れている。日頃から自力歩行が可能な入所者には、歩行介助や見守りで歩行を促し、レクリエーションや行事企画でも身体を動かし心身を活性化できるようなプログラムをめざしている。機能訓練指導員から指導を受けた介護福祉士が中心になって、週に4回「集団体操」と月2回の「リズム体操」をおこなって体力の維持や活力を引き出している。「集団体操」など、集団での取り組みに参加できない入所者が身体を動かす支援への取り組みを課題としている。
機能訓練用福祉用具の整備・補充は専門職の指導をもとに日常的におこなっている
入所者の機能訓練のための福祉用具の整備や補充は、理学療法士や作業療法士など専門職の指導のもとに福祉用具の事業所とも連携しておこなっている。入所者からリハビリ器機の設置の要望もあり、身体機能訓練の設備や体制の充実を課題としている。
入所者一人ひとりの「機能訓練プログラム」の作成や運用は今後の検討課題である
現状では、入所者一人ひとりの「機能訓練プログラム」を策定して訓練を実施したり、効果を評価しプログラムを見直ししたりする支援はおこなえていない。体操や障害者向けのゲームなど、入所者が身体を動かす機会がさらに増えることを期待する家族の声もある。施設にとっては、専門職など体制の確保をはじめとして困難な課題であるが、今後の検討課題の一つとして位置づけている。
8.利用者の健康を維持するための支援を行っている
- 利用者の状態に応じた健康管理や支援を行っている
- 服薬管理は誤りがないようチェック体制の強化などしくみを整えている
- 利用者の状態に応じ、口腔ケアを行っている
- 利用者の体調変化時(発作等の急変を含む)に、看護師や医療機関と速やかに連絡が取れる体制を整えている
- 終末期の対応をすでに行っているか、行うための準備が行われている
【講評】
入所者の心身の健康状態を日常的に把握し「個人ファイル」で管理している
施設では、入所者一人ひとりの健康管理を重視し、医療機関と日常的に連携して、心身の健康の維持、病気予防、早期治療などに取り組んでいる。医師、歯科医師の定期往診体制と看護師による健康チェックで、入所者の心身の状態の急変にも対応できるようにしている。入所者の治療状況や健康状態等については「個人ファイル」にまとめて管理している。今年度は、感染症対策についてこれまでのマニュアルを見直し、新たに統一した対応マニュアルを作成し活用を始めている。
服薬管理や口腔ケアなど入所者一人ひとりのケア手順書を作成し支援している
「生活援助技術マニュアル」の一環として、服薬管理や口腔ケア等について、入所者一人ひとりの手順書を作成して支援にあたっている。週1回の「訪問歯科」の往診記録は「個人ファイル」で管理し、歯科の指導のもとに食後に口腔ケアをおこなっている。入所者の状態の急変に備え、日中は施設内PHSで、夜間は看護師用PHSによりいつでも連絡が取れるようにしている。医療機関や家族等との緊急連絡網も完備している。
「看取り対応マニュアル」で看取り介護の基本的な手順を定めている
施設では、入所契約の時点から「看取り」について家族等の意向を把握し、「サービス担当者会議」をはじめ機会があるごとに家族の意向を確認している。その上で、「看取り対応マニュアル」を整備し、看取りの際の介護の基本的な手順も定めている。夜間や終末期の連絡体制や手順も決めている。生前の入所者を偲び、家族や職員へのグリーフケアの場としての「偲ぶ会」も開催してきている。
9.利用者が日々快適に暮らせるよう支援を行っている
- 起床後、就寝前に更衣支援を行っている
- 起床後に洗顔や整髪等、利用者が身だしなみを整える際に支援を行っている
- 利用者が安定した睡眠をとることができるよう支援を行っている
【講評】
「モーニングケア」を実践し入所者の1日の始まりを支援している
「援助技術マニュアル」と個別ケア手順書をもとに、起床時の「モーニングケア」をおこなっている。入所者の洗顔や整髪、整容、着替え、歯磨きなどを必要に応じて支援している。歯ブラシは毎月交換している。一方で、「モーニングケア」が入所者の意に反して、不快な気分にさせるなど、無理を強いることのないよう入所者の生活習慣を最優先するように心がけている。
良質で安定した睡眠をめざして様々な工夫に取り組んでいる
起床や睡眠については、起床時間や消灯時間を設けず、入所者のペースに合わせるようにしている。マットレスも入所者個々に合うものを選び、枕や掛布団は愛用のものを入所の際に持ち込むこともできる。日中はできるだけ体操や散歩などで身体を動かし、良質で安定した睡眠に繋げている。作業療法士に眠りやすいポジショニングの指導も受けている。職員で「環境整備委員会」を構成し、共用部分や居室の環境整備も心がけている。冬季は居室に加湿器を設置して乾燥を予防し、室温管理もおこなって快適に入眠できるように環境を整えている。
季節や天候に合わせ着衣にも配慮している
入所者一人ひとりが施設でできるだけ快適な生活が送れるよう、季節ごとや天候に合わせた着衣などに配慮している。冬季は特に寒さや風邪予防対策として、着衣への配慮とともにマフラーやレッグウォーマー、ひざ掛けなどを用意して活用している。
10.利用者の施設での生活が楽しくなるような取り組みを行っている
- 施設での生活は、他の利用者への迷惑や健康面に影響を及ぼさない範囲で、利用者の意思が尊重されている
- 利用者の意向を反映したレクリエーションを実施している
- 認知症の利用者が落ち着いて生活できるような支援を行っている
- 利用者の気持ちに沿った声かけや援助を行っている
【講評】
入所者一人ひとりの声を生かし自主性を引き出す取り組みをおこなっている
入所者は出前の注文が自由にでき、職員は入所者の希望があれば、外食や買い物への同行もおこなっている。要望を聞き、リクエストにできるだけ応え、入所者の意欲や自主性を引き出す行事や企画の実現をめざしている。食事や入浴も大きな楽しみであり、四季折々の行事食やおやつづくり、入浴剤も使えてゆっくり入れる「個浴」なども大切な支援になっている。施設の庭で入所同士で花火を楽しんだり、「すこやか祭り」や「若葉コンサート」など、入所者が職員、家族、地域の人たちと一緒に取り組む行事も入所者支援の重要な役割を果たしている。
レクリエーションや行事の内容や開催方法の工夫で入所者等の参加の幅を広げている
施設では、マンネリ化してきていると分析している行事等の見直しの一環として、レクリエーションや行事の内容・開催方法を検討し、各フロアで行事等に取り組み入所者が参加しやすくなっている。入所者が職員や家族と一緒に参加する機会が増え、参加の幅が広がってきている。入所者の声を生かした企画である玄関先での「花火大会」は車イスの入所者ができるだけ多く参加できるよう2回実施した。季節も味わう調理、ちぎり絵、書道や絵手紙、屋上散歩や外出行事などもフロアごとに取り組み参加者を増やしている。
手作業などを通して入所者誰もが安心してくつろげる環境づくりを心がけている
入所者一人ひとりが、それぞれの意思や心身の状態に合わせて、自由に気持ちの赴くままに参加できる手作業等は、入所者が生活者としての主体性を発揮しながら、安心して自由に職員や他の入所者と交流できる場になっている。「すこやか文化祭」に向け、入所者と職員で、紅葉の絵を書き、ハサミで切りぬいて、思い思いに大判の台紙に張り付けた作品は、展示会で優秀賞に輝いている。また、職員は日常の洗濯物たたみや食器洗い、雑巾布づくりなどの手作業を通して、入所者がその人らしさを発揮できる適切な声掛けや支援をおこなってきている。
11.地域との連携のもとに利用者の生活の幅を広げるための取り組みを行っている
- 定期的な散歩や外食、遠出など外出の機会を設けている
- 利用者が地域の一員として生活できるよう、地域住民が参加できるような行事など、日常的な関わりが持てる機会を設けている
- 地域の情報を収集し、利用者の状況に応じて提供している
【講評】
年間予定で四季折々の外出プログラムを組んで実践している
施設の広報紙『やすらぎ』は、四季折々に実施された行事の光景や楽しそうな入所者の笑顔の写真を満載している。年間予定で、浅草見物や菖蒲園鑑賞、お花見や買い物・外食など外出プログラムに取り組んでいる。お花見では、出来るだけ多くの入所者が参加できるよう、送迎車が何回も往復している。入所者や家族からも地域への散歩も含め外出プログラムがさらに増えることを期待する声も寄せられている。
「すこやか祭り」には地域の児童も含め多くの学生ボランティアが参加している
施設では、地域の子どもたちに介護に関心を持ってもらえるよう、施設を開放して、バザーや催しを楽しみ、介護の仕事も体験できる「すこやか祭り」を毎年開催している。今年度は、児童の他、中高生や介護・看護学生にも呼びかけ20名を超えるボランティアが参加している。祭りのメインイベントの一つとして、近隣の中学の和太鼓部が素晴らしい演奏を披露し、入所者や家族、職員や参加した地域の方々に感銘を与えている。近隣の高校の運動会には入所者が招かれ参加して交流を深めている。今年度は、中学生、高校生8名が職場体験をおこなっている。
地域に開かれた施設をめざして様々な取り組みをおこなっている
施設が昨年4月に開催した「若葉コンサート」には、地域の高校の吹奏楽部100名が参加して、吹奏楽の大演奏とコーラスを中庭一杯に響かせた。柴又の花火大会の際には、施設屋上を地域に開放し、みんなで花火を鑑賞している。小中高生の介護体験の受け入れや、入所者家族や地域にも呼びかけ「認知症サポーター講座」を開催したり、施設職員が講師で地域の中学校で「車イス体験講座」なども開いている。入所者に地域の空気や情報をポスターの掲示や口頭で伝えるとともに、地域に開かれ信頼される施設としての取り組みを進めている。
12.施設と家族との交流・連携を図っている
- 利用者の日常の様子を定期的に家族に知らせている
- 家族や利用者の意向に応じて、家族と職員・利用者が交流できる機会を確保している
- 家族または家族会が施設運営に対し、要望を伝える機会を確保している
【講評】
施設だより『やすらぎ』が家族との連携のパイプ役を担っている
施設の広報紙である『やすらぎ』には、施設行事の光景や入所者の楽しそうな写真があふれ、入所者紹介、職員紹介、行事食の紹介、施設からのお知らせやお願いなどを掲載している。手作りで温かみがあり、字体やレイアウトも工夫している。毎月、入所者家族を中心に配布し、施設と家族を結ぶパイプ役を担っている。2月号での施設からの「お知らせ」は「合同供養と偲ぶ会」の開催についてであり、「お願い」は、「面会時の手洗いとマスク着用について」となっている。家族アンケートによると90%の家族が読み、80%が内容も評価している。
家族アンケートや家族懇談会の開催で施設への家族の意見等を把握するようにしている
施設では、毎年度家族アンケートを実施するとともに家族懇談会も年2回夏と冬に開催し、家族等からの施設への意見や要望の把握に努めている。施設窓口には「投書箱」も置いている。2回の家族懇談会ではフロアごとに「おやつバイキング」をおこない、入所者と家族、職員の交流会もおこなっている。冬の懇談会では、居室と車イスの掃除を家族とともにおこなって定着してきている。「サービス担当者会議」では入所者本人や家族の意向等を反映し、会議内容を報告するようにしている。アンケートなどで寄せられた意見や回答は掲示板等に掲載している。
入所者や家族とともに取り組む行事の充実に心がけている
施設では、行事やレクリエーション等をフロアごとにおこなう取り組みで、入所者の参加の幅を広げてきているが、年間の大規模行事を中心に入所者家族とともに取り組み、より多くの入所者家族が参加できる行事が充実するよう取り組みを進めている。家族懇談会での交流をはじめ、お花見、「若葉コンサート」「すこやか祭り」「花火大会見物」、外出プログラムでのボランティア、「認知症サポーター養成講座」をはじめとする学習講座等で、家族の参加を増やし連携する取り組みをめざしている。
【講評】
フロアごとに「プライバシーポリシー」(個人情報保護規定)を掲示し実践している
施設では、各フロアごとに「プライバシーポリシー」を掲示し、日々の活動の指針にしている。利用契約時にも説明し、同意も得ているが、日頃から行事写真等を情報紙「やすらぎ」等に多数掲載することもあり、その都度改めて同意を得ている。入所者宛ての郵便物は相談員が管理し、個人の所有物等については鍵つきのロッカーを設置している。排泄介助等は「援助技術マニュアル」や手順書をもとに羞恥心に配慮し、居室への入室の際は、必ず声を掛け、了承を得るようにしている。年に1回プライバシー保護の学習会にも取り組んでいる。
職員は「利用者権利擁護指針」を深め相互点検、相互援助をおこなっている
職員は「利用者権利擁護指針」や「援助技術マニュアル」をもとに、職員の言動による「不適切ケア」の点検や改善、虐待防止への取り組みを日常的な重要課題としている。接遇向上に向けて、例えば、「今月のサービスマナー」として『気づきの共有』を掲げるなど、フロアごとに、毎月「サービス向上目標」を立てて取り組んでいる。その一環として「虐待防止の学習会」も定期的に開催している。職員の倫理綱領である「福祉宣言」でも、サービスの質の向上・法令順守と医療福祉連携とともに、入所者の権利擁護と守秘義務をうたっている。
入所者一人ひとりの「個人史」の聞き取りと共有を大切にしている
施設では、入所者の一人ひとりの、その人らしい生活を尊重し支援するために、生活習慣の把握とともに、入所者の「個人史」の聞き取りを重視して進めてきている。入所前面接や初回アセスメント、施設サービス計画づくり、日常の支援での関わりなど、あらゆる場面を通して、入所者個人の成育歴、生活歴、家族歴、治療歴等を詳細に聞き取り、「個人史」(個人生活史記録)としてまとめ上げている。この「個人史」の理解と共有があってこそ、「援助技術マニュアル」や入所者個人別のケア手順書によるサービス提供が向上していくと考えている。
1.利用者のプライバシー保護を徹底している
- 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
- 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い、利用者のプライベートな空間への出入り等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
- 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
2.サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している
- 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
- 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
【講評】
「援助技術マニュアル」とケア「手順書」を日常のサービス提供に生かしている
職員は、入職時に食事・排泄・入浴を中心とした「援助技術マニュアル」により研修を受け、以降、そのマニュアル集を一人ひとりが所持し、職場にも配備して、手引書として活用し、実践している。「援助技術マニュアル」は、毎年2回の見直しを原則とし、新たな課題が出る度に見直し、更新をおこなっている。「施設サービス計画」の課題ごとに、入所者別に作成したケア手順書も、個別担当職員を中心に、日々「チェック表」も作成して点検し更新している。このような取り組みで、サービス提供の質の向上や水準の維持が進んでいる。
今年度方針で「運営規程」を学習し法令順守とサービス提供の基本事項等を確認している
施設の「法令順守委員会」が中心となって、今年度の方針として「指定老人福祉施設運営規程」を継続的に学習してきた。「運営規程」は、事業目的や施設基準、人員基準とともに、基本的なサービス提供の内容やルールを明確に定めている。この「運営規程」を職員全員が改めて条文として学ぶことによって、「法令順守」の大切さとともに、施設が提供するサービスの基本事項と進め方について、求められる業務の標準としての理解に繋がっている。
「サービス担当者会議」や業務日誌の共有が日常業務の点検の場となっている
日常のサービス提供の点検や情報共有は、業務日誌をもとにした朝礼と申し送りの場でおこなっている。施設サービス計画の見直しのための定期のモニタリングやアセスメントが集約される「サービス担当者会議」は原則として年2回開催し、サービス提供内容の点検や見直しをおこない、業務水準の維持・向上を目指す場になっている。「サービス担当者会議」には、職種代表や入所者、入所者家族等の他、入所者の個別担当職員も参加し、日常の生活援助者の観点から意見や要望を述べており、日常業務の客観的な点検・評価の場にもなっている。
1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
- 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
- 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
- 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている
事業者のコメント
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評価情報
【評価実施期間】
2018年10月15日~2019年3月28日
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【講評】
具体的取り組みを通して、理念・基本方針を職員・利用者・家族に周知している
施設として理念を作成し、ホームページ・パンフレットで明示するとともに施設内の各フロアに掲示して入所者・家族・来所者にも明らかにしている。また、あわせて「福祉宣言」を2006年に作成して、その後2009年に改定するなど、理念実践のための具体化を図っている。理念・基本方針や「福祉宣言」を、新入職員研修のほか、年度事業計画や中長期計画のなかにも反映させ職員への周知徹底を図っている。今後、中堅職員への研修でも更なる強化した取り組みが課題となっている。
職務分掌や組織運営図を作成し新入職員研修などで明示、それに基づいて運営している
職務分掌や組織運営図を作成して、2013年に見直し改定をおこない、日常運営がなされている。新入職員研修時には、明文化した各課の職務分掌を文章で提示し徹底を図っている。また、「施設運営規程」においても、職員の職種・職務内容を規定し提示している。職員アンケートで、職員のなかで経営層の役割と責任について理解が不十分な点がみられるため、研修などを通じで理解を深める取り組みが望まれる。
必要な情報は、職員と家族に定期的会議だけでなく電子媒体や紙媒体で伝達している
組織運営図や各会議の役割・構成員・開催日など一覧にして職員に明示している。重要な案件は、決められた毎月の管理会議で決定し職場代表者会議や各職場会議・部会などで周知している。必要な日常情報は、常勤職員すべてを対象にグループウエアを使用して素早く周知している。入所者家族には、年2回の家族会で情報を周知し参加できなかった家族には説明した資料を送っている。また、施設が毎月発行している広報紙「やすらぎ」を送り状況を報告しており、アンケートにおいて90%の人から読まれ「行事内容が理解できる」などの意見が出ている。