評価結果

標準の評価

基本情報

事業者の理念・方針・期待する職員像

事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)

1)利用者と施設が信頼関係を保てるよう、常に施設サービスについての情報公開に努め、施設運営の透明性に配慮する。
2)利用者一人ひとりの意志を最大限尊重すると共に、そのニーズを的確に把握し、変化に迅速に対応する。
3)施設が地域の福祉の核になるよう、その専門性を生かした活動を行い、利用者と地域の結びつきを大事にしながら、家庭、地域及び関係機関との連携を図り、支援のサービスの向上に努める。
4)常に利用者と障害への理解を深め、対応の工夫に努める。職員相互で情報交換を行い、いかなる場合も体罰は用いない。
5)利用者が社会的自立、経済的自立に繋がるような作業種目の選定に努める。

職員に求めている人材像や役割

当センターにおける職員の心得として、①「One for All,All for One」;利用者への思いやり、職員への思いやりを大切にすること。②「分からないことをそのままにしておかない」;専門的な用語や利用者・家族・企業担当者等との話の中で知らない言葉が出てきた際には、調べる・聞く・確認することで個々の成長力を高めていくこと。③「就労支援は出会った人の人生を支える仕事であることの重みを認識しておく」;人は人の背中を見て育つ。利用者は支援者の背中を見ていること、職員は管理者の背中を見ていることを認識し、一人ひとりの職員が日々の行動から意識しておくことを伝えている。

職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

本人の意思決定・自己決定が就労支援に従事するうえで最重要と考えています。それぞれの支援者の価値観や生き方を基準に支援を組み立てては支援者のエゴによる支援になってしまうので、本人の意思決定・自己決定ができるようなアプローチに努めるよう指導・教育・OJTしています。そのなかで個別支援に重きを置いて、訓練を通じて利用者それぞれの強みを丁寧に把握(利用者アセスメント)して、それぞれの利用者にあった企業開拓(企業アセスメント)をしていくことで適切なジョブマッチングに繋げられることを使命として期待しています。またこれからは障害者の働き続けることを地域でどう支えていくか、就労面・生活面の両面における支援の質を上げていくことを期待しています。

全体の評価講評

特によいと思う点

事業所では、就労移行支援事業所としての機能を最大限発揮して運営するための重要な柱として「作業」、「訓練」、「評価」を位置付け、職員全体でそれぞれの内容充実を目指して取り組んでいる。また、2年をかけて利用者一人ひとりの就労に向けた準備支援と就労判定、就労活動支援をより円滑に展開できるように、準備支援担当と就労定着担当に分けて支援する体制を構築することにより、事業所全体で利用者の着実な就労に結びつくように努めている。実際に、昨年度に引き続き今年度も10名を超える利用者が就労する等、成果につながっている。

相談室をパーティションで仕切り、面談室が3部屋用意されており、月に1回、担当職員またはサービス管理責任者と面談を行い、時には1時間以上かける場合もある等、親身な姿勢で就労への相談に応じるとともに、希望があれば、随時面談を行っている。相談内容は、就労や生活の悩み事、支援への意向等多様で、担当職員は利用者一人ひとりの特性を踏まえ、共感の姿勢をもって傾聴し、主訴を明確に把握した上で相談援助に努めている。面談内容は、職員間で共有して計画や支援内容へと反映を図り、一人ひとりに合った支援につながるよう取り組んでいる。

利用者の意向や特性等と合致した作業・訓練を提供するために、清掃、洗濯、電話受付、パソコン、事務補助、花の手入れ、農園作業、軽作業等、多岐にわたり、数豊富な訓練内容が用意されている。屋外での作業である農園での作業・訓練は、さまざまな職場環境に耐えうる体力を身につけられる場として位置付け、有効活用がなされている。訓練種目の選定にあたっては、利用者が積極的に地域とかかわれることを重視するとともに、その人らしさを引き出し、強みを発揮できる視点を大切にしており、達成感を積み重ねながら成長していく過程を支援している。

さらなる改善が望まれる点

利用者の尊厳を尊重した支援となるために、利用者の権利擁護に関する規程や虐待防止に関するマニュアルや通報に関する一連のフローチャート図を掲示する等により、職員の理解促進を図っている。また、日頃の報道などで他の事業所で発生した事例などを朝礼や終礼、職員会議等の場面で取り上げ、注意を喚起している。一方、自己チェックシート等を用いて、改めて職員一人ひとりが自らの言動を振り返る機会を持ったり、個別の振り返り結果を集計して事業所の課題を抽出する等の取り組みは行われていないため、内部研修等で実施していくことが期待される。

職員一人ひとりの研修ニーズは、所長との個別面談や部門長が日頃の業務遂行場面等を通して把握しており、適宜、外部研修へ派遣する等で能力向上を図っている。なお、研修ニーズを記録に残して着実な育成を進めるしくみまでは導入されていない状況となっている。今後は、把握した研修ニーズや職員の希望等を記録に残すとともに、事業所として新たにキャリアパスのしくみを確立したり、個別育成計画書を用意する等、職員育成に向けた基盤整備を進めていくことが望まれる。

今年度より、知的障害に加えて精神障害や身体障害等、利用対象を拡大しており、緊急時の対応をはじめ、障害特性やそれに伴う疾病、起こりうる状態、変化への気づき等専門的知識の習得、主治医との日常的な情報共有、緊急時の協力病院等の医療機関との連携が必要となっている。研修による職員の専門性の向上や医療機関との連携体制作りをすすめているが、医療とのかかわりの深い支援ニーズが増えている現状もあるため、さらに充実した、医療との連携に向けたしくみの構築等により、利用者が安心して就労を目指して取り組める体制の強化が期待される。

事業者が特に力を入れている取り組み

2年前より区の指定管理者として運営を開始して以降、利用者が一般就労して地域で自立生活を営むことを目指す観点から、作業中心だったアセスメントを、各種訓練に基づくアセスメントへと変更を図っている。それぞれの利用者に必要とされる訓練プログラムの構築等、就労移行支援事業所としてあるべき支援について職員間で検討し、実践を積み重ねている。また、事業所内の就労準備をはじめ、企業アセスメントの重要性への理解や、多様なネットワークを利用者支援に役立てる等の方針を、全職員で共通認識を深め、事業目的に叶った支援に取り組んでいる。

利用者への支援が担当職員の価値観を基礎に展開することがないように、事業所では、利用者本人の意思決定・自己決定に基づく就労支援となるように取り組んでいる。就労支援は、利用者の人生を支える仕事であることの重みを全職員で認識し、判断に迷った際、率直に職員間で意見交換して支援方法を決定する職場風土の醸成に努めている。また、一人の利用者を全職員が担当する意識を持つとともに、職員一人の意見や考えを全職員が尊重する等、思いやりの気持ちを大切に仕事をする等によってチームワーク・団結力を高めつつ、利用者の支援を進めている。

同一事業所内で相談部門や訓練部門、授産部門が運営され、一般企業への就労を希望する問い合わせから、職場定着までの一連の支援を所内で実施できることが事業所の強みのひとつとなっている。今年度は、利用対象者を拡大して体制構築をすすめ、一貫した支援方針のもと職員間で情報共有と連携を図り、就労に向けた支援を行っている。区立の事業著として広い範囲からタイムリーな情報を得やすく、複数の事業を展開しているスケールメリットをいかし、利用者の多様な特性に対応するとともに、安心感をもって就労を目指して取り組める環境を提供している。

利用者調査結果

調査概要

  • 調査対象:全利用者を対象とした。
  • 調査方法:アンケート方式  
    作業室にてアンケート方式で行った。その他、当日欠席の利用者には、事業所よりアンケート用紙を配布してもらい、記入後、返信用封筒で直接評価機関へ郵送する方法を取った。
  • 有効回答者数/利用者総数:20/20(回答率 100.0% )

アンケート調査の結果から、多くの項目で肯定的な回答が得られているが、「どちらともいえない」や「いいえ」など、回答の選択にバラつきのある項目もみられた。サービスの提供では、困ったことがあった際の職員の手助けや相談への対応に満足している様子がうかがえた。また、工賃等の支払い方法や内容についてわかりやすい説明があると多くの利用者が回答している。利用者個人の尊重については、事業所では利用者の気持ちや考えを大切にした対応がされていると感じている利用者が多く見受けられた。なお、他の利用者とのかかわりや交流は楽しく行えているかについては、「はい」と回答した利用者が他の項目に比べると少なくなっている。その他、困ったことなどを外部の窓口に相談できるしくみが周知されているかについては、無回答の利用者に加えて、認識のない利用者もいる状況であった。総合的な感想では、事業所への満足度について、「満足」が最も多く、次いで「どちらともいえない」となっている。

アンケート結果

4~17は選択式の質問のため、該当項目のみ掲載しています。

1.利用者は困ったときに支援を受けているか

はい 18名 (90%)
どちらともいえない 2名 (10%)

20名の利用者のうち、18名が「はい」としており、困ったことがあった際の職員の手助けや相談への対応に満足していると回答している。その他、2名が「どちらともいえない」と回答している。

2.事業所の設備は安心して使えるか

はい 16名 (80%)
どちらともいえない 2名 (10%)
いいえ 1名 (5%)
無回答・非該当 1名 (5%)

20名の利用者のうち、16名が「はい」としており、事業所内に危険と感じる場所はなく、安心して使用できる環境にあると回答している。その他、2名が「どちらともいえない」、1名が「いいえ」と回答している。なお、1名の利用者は無回答であった。

3.利用者同士の交流など、仲間との関わりは楽しいか

はい 9名 (45%)
どちらともいえない 4名 (20%)
いいえ 3名 (15%)
無回答・非該当 4名 (20%)

他の利用者とのかかわりや交流は楽しく行えているかについて、20名の利用者のうち、9名が「はい」、4名が「どちらともいえない」、3名が「いいえ」、残りの3名が「非該当」と回答している。自由意見では、合う人と合わない人がいるという声が聞かれた。その他、なるべく他人とかかわらないようにしているという意見もあった。なお、1名の利用者は無回答であった。

11.【就労移行支援】
事業所での活動が就労に向けた知識の習得や能力の向上に役立っているか

はい 12名 (60%)
どちらともいえない 4名 (20%)
いいえ 2名 (10%)
無回答・非該当 2名 (10%)

事業所での作業や活動は、働くうえで必要な知識や技術を身につけることに役立っているかについて、20名の利用者のうち、12名が「はい」、4名が「どちらともいえない」、2名が「いいえ」、残りの2名が「非該当」と回答している。自由意見では、物によるという声や、紙を扱う手作業の作業がもう少しほしいという意見が聞かれた。

12.【就労移行支援】
職場見学・職場実習等の、事業所外での体験は充実しているか

はい 11名 (55%)
どちらともいえない 3名 (15%)
いいえ 3名 (15%)
無回答・非該当 3名 (15%)

職場見学や職場実習などの事業所外での体験が充実しているかについて、20名の利用者のうち、11名が「はい」、3名が「どちらともいえない」、他3名が「いいえ」、残りの3名が「非該当」と回答している。自由意見では、職場見学や実習等にまだ行ったことがないのでわからないという声があった。

13.【就労移行支援】
工賃等の支払いのしくみは、わかりやすく説明されているか

はい 17名 (85%)
どちらともいえない 2名 (10%)
無回答・非該当 1名 (5%)

20名の利用者のうち、17名が「はい」としており、工賃等の支払い方法や内容についてわかりやすい説明があると回答している。その他、2名が「どちらともいえない」、1名が「非該当」と回答している。自由意見では、割とわからないことがあるという声が聞かれた。

18.事業所内の清掃、整理整頓は行き届いているか

はい 12名 (60%)
どちらともいえない 4名 (20%)
いいえ 3名 (15%)
無回答・非該当 1名 (5%)

食事場所やトイレなど、事業所内は清潔に保たれ整理がされているかについて、20名の利用者のうち、12名が「はい」、4名が「どちらともいえない」、3名が「いいえ」と回答している。自由意見では、設備が古く、老朽化しているという声が聞かれた。なお、1名の利用者は無回答であった。

19.職員の接遇・態度は適切か

はい 12名 (60%)
どちらともいえない 5名 (25%)
いいえ 3名 (15%)

職員の利用者への接し方や声をかける際の言葉遣い、服装などは適切なものであるかについて、20名の利用者のうち、12名が「はい」、5名が「どちらともいえない」、3名が「いいえ」と回答している。

20.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか

はい 14名 (70%)
どちらともいえない 3名 (15%)
いいえ 1名 (5%)
無回答・非該当 2名 (10%)

ケガをしたときや体調を崩した際の職員の対応は信頼できるかについて、20名の利用者のうち、14名が「はい」、3名が「どちらともいえない」、1名が「いいえ」、2名が「非該当」と回答している。

21.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか

はい 13名 (65%)
どちらともいえない 4名 (20%)
いいえ 1名 (5%)
無回答・非該当 2名 (10%)

利用者間にトラブルなどがあった場合の職員の対応は信頼ができるかについて、20名の利用者のうち、13名が「はい」、4名が「どちらともいえない」、1名が「いいえ」、2名が「非該当」と回答している。自由意見では、対応はしているけれど、全体的に甘すぎる気がするという声が聞かれた。

22.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか

はい 16名 (80%)
どちらともいえない 3名 (15%)
いいえ 1名 (5%)

20名の利用者のうち、16名が「はい」としており、事業所では利用者の気持ちや考えを大切にした対応がされていると回答している。その他、3名が「どちらともいえない」、1名が「いいえ」と回答している。

23.利用者のプライバシーは守られているか

はい 14名 (70%)
どちらともいえない 3名 (15%)
いいえ 1名 (5%)
無回答・非該当 2名 (10%)

利用者が他の人に見られたくないことや知られたくないことなど、個人のプライバシーに配慮した対応がされているかについて、20名の利用者のうち、14名が「はい」、3名が「どちらともいえない」、1名が「いいえ」、残りの1名が「非該当」と回答している。なお、1名の利用者は無回答であった。

24.個別の計画作成時に、利用者の状況や要望を聞かれているか

はい 13名 (65%)
どちらともいえない 2名 (10%)
いいえ 3名 (15%)
無回答・非該当 2名 (10%)

個別のサービスに関する計画を作成したり見直しをする場合は、利用者の意見や要望を聞いてくれているかについて、20名の利用者のうち、13名が「はい」、2名が「どちらともいえない」、3名が「いいえ」と回答している。なお、2名の利用者は無回答であった。

25.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか

はい 13名 (65%)
どちらともいえない 2名 (10%)
いいえ 2名 (10%)
無回答・非該当 3名 (15%)

個別のサービス計画に対する職員の説明はわかりやすいかについて、20名の利用者のうち、13名が「はい」、2名が「どちらともいえない」、残りの2名が「いいえ」と回答している。なお、3名の利用者は無回答であった。

26.利用者の不満や要望は対応されているか

はい 15名 (75%)
どちらともいえない 2名 (10%)
いいえ 1名 (5%)
無回答・非該当 2名 (10%)

不満や要望は伝えやすく、その後の対応も行われているかについて、20名の利用者のうち、15名が「はい」、2名が「どちらともいえない」、1名が「いいえ」、残りの2名が「非該当」と回答している。

27.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか

はい 8名 (40%)
どちらともいえない 4名 (20%)
いいえ 2名 (10%)
無回答・非該当 6名 (30%)

困ったことなどを外部の窓口に相談できるしくみが周知されているかについて、20名の利用者のうち、8名が「はい」、4名が「どちらともいえない」、2名が「いいえ」、残りの2名が「非該当」と回答している。自由意見では、そのようなことは聞いていないという声があった。なお、4名の利用者は無回答であった。

組織マネジメント分析結果

◆事業評価結果
7つの「カテゴリー」の下に、それぞれ「サブカテゴリー」「評価項目」「標準項目」を設定して評価しています。
評価項目ごとに、標準項目の実施状況を、実施できている場合はで、実施できていない場合はで表しています。

【講評】
法人の理念や区の指定管理者としての使命感や基づき、一体的な運営に努めている

事業所を運営する法人は、これまで障害者が地域で自立した生活を支援することを理念に基づき実践してきた経験を基礎に、区の指定管理者としてもその達成を目指している。また、事業計画で「利用者の基本的人権を尊重する」等を掲げるとともに、支援方針や支援目標をそれぞれ明示して職員・関係者等へ配布し、広く周知を図っている。各職員へは「One for All、All for One」の精神を掲げ、利用者への思いやりを大切にすることはもとより、職員への思いやりも大切にすることの重要性も共有しながら、一体的な運営に努めている。

所長は運営に必要な情報収集に努め、事業所の方向性を職員に示し全体をリードしている

所長は区立の事業所として、10数ヵ所ある就労移行支援事業所をリードしていくという使命感の下、日頃から障害福祉政策や地域福祉の動向をはじめ、関連するネットワークを通して情報収集に努め、「一歩先」を意識して行動している。職員に対しては、今後の事業所の方向性や展望を示しながら使命感の醸成を図っている。また、職員自己評価結果からは、職員から業務遂行上の悩み事等について相談があった際は、時間をかけて応じてくれることや、業務改善等の提案を真摯に受け止める姿勢で行動している等、所長への信頼度が高い状況が見受けられる。

職員間での情報量に相違がみられるため、伝達方法のさらなる工夫が期待される

事業所運営に関する重要な案件の検討は、障害者就労支援センター全体の連絡会や区の所長会等を経て決定され、所長が朝礼や終礼、月2回開催している職員会議等で全職員へ伝達している。また、利用者支援上の重要な案件は、担当者と各部門長とで支援方針等を検討後、所長に報告・連絡・相談・確認して決定するしくみとしている。なお、職員自己評価結果からは、重要案件の決定経緯が「わからない」と回答する職員が複数みられ、事業所でも職員の情報量に相違があることを認識しているため、情報伝達方法をさらに工夫していくことが期待される。

1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
2. 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている
  • 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
  • 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
3. 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している
  • 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
  • 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  • 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
【講評】
利用者や職員、関係者等からさまざまな情報を入手し、事業計画作成時の参考にしている

利用者の意向を把握するために、毎年1月に利用者調査を実施しており、同じ質問項目を用いて毎年行うことによって、利用者の満足度の変化等を分析し、事業所が提供するサービス内容の改善に役立てている。職員については、所長との個別面談で次年度の目標等を共有し、事業計画作成時の基礎情報としている。また、関係団体の連絡会や意見交換会等でさまざまな情報を入手しつつ、事業計画書作成につなげている。さらに、年1回、日曜日に全職員が出席して事業計画書と事業報告書を確認する機会も持ち、浸透を図っている。

5年間の中・長期計画に基づき、区との協議を定期的に行い円滑な運営を目指している

区の指定管理者として平成28年度から5年間の中・長期計画が策定されており、この計画に基づき、区への予算申請や事業ヒアリング、事業計画書・収支予算書の提出、予算執行実績報告等を行い、適正な計画執行に努めている。単年度の事業計画書の内容は、冒頭で運営の理念4項目と支援の方針5項目を明示したうえで、利用者への支援目標と支援内容、訓練内容、日課表等、22項目にわたり運営の方向性をとりまとめている。それぞれの計画に基づき、月2回の職員会議等で実績状況を確認し、円滑な運営を目指して取り組んでいる。

事業計画書へ数値目標等を意図的に盛り込み、推進力を高めていくことが期待される

年度末に総括を行ったうえで区へ単年度の事業計画書を提出するしくみが定着している。一方、PDCAの業務サイクルを意識しているのは主に所長を含む経営幹部であり、職員一人ひとりが意識して行動できる組織となることの必要性を事業所としては認識している。そのため、事業計画書の内容の中に、年間利用稼働率や部門毎の年間達成目標等の職員全体で共有しやすい事項を盛り込み、推進力をさらに高めていきたいと考えており、その実現が期待される。

1. 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
  • 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
  • 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
  • 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
  • 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
  • 事業所の経営状況を把握・検討している
  • 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
1. 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している
  • 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
  • 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
  • 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
2. 着実な計画の実行に取り組んでいる
  • 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
  • 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
【講評】
自己チェックリストを用いて、各職員が自らの支援姿勢を振り返る機会を用意されたい

利用者の人権を尊重することの重要性を職員へ周知するために、昨年度は虐待防止と権利擁護に関する資料を作成して内部研修を行っている。また、今年度は、障害理解に関する研修を実施したり、障害福祉分野での権利侵害に関する報道等があった際に、朝礼や終礼、各種ミーティングで取り上げて職員全体の注意を喚起している。さらに、支援場面で気になる言動があった場合には、職員相互に指摘し合える、風通しのよい職場風土の構築に努めている。一方、チェックリスト等を用いて個々に振り返る機会がないため、今後、研修等に合わせて実施されたい。

利用者が意見や要望を伝える方法を、さらに多く用意していくことが期待される

苦情解決のしくみは「苦情処理マニュアル」に基づき整備されており、契約書に明示して利用開始時に利用者へ説明して理解を促している。また、事業計画書の中に示す他、事業所内への掲示等で、関係者も含めて周知を図っている。さらに、利用者が気軽に事業所への意見や要望等を伝えることができるように、日頃から職員へ話しかけやすい雰囲気作りに努めている。なお、意見箱は設置されていないため、利用者が要望等を伝える手段や機会を増やしていく取り組みが期待される。また、第三者委員の設置により、解決プロセスの透明性を高めることも望まれる。

区内の連絡会や勉強会で主導的な役割を担い、地域ネットワークの連携を図っている

区立であることや就労移行支援以外に相談事業、就労定着支援事業等、多岐にわたる事業を行う中で、江戸川区就労支援事業所連絡会に年2回、区内の就労支援事業所勉強会に年4回、就労アセスメント会議に年1回、それぞれ主導的な役割を担い、地域ネットワークの連携・強化を図っている。また、農園で作業・訓練している強みをいかして、区内の農家との連携や、各種販売会への積極的な参加により、地域とつながる機会を多く作っている。さらに、専門学校学生の実習や中学生の体験実習の受け入れ等、次世代育成への貢献に事業所の専門性を還元している。

1. 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる
  • 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
  • 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している。
1. 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている
  • 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  • 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
2. 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている
  • 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  • 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
1. 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる
  • 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
  • ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
2. 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている
  • 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
  • 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
  • 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
【講評】
災害対策のうち、BCPの作成に向けて区との協議を進めていくことを急がれたい

事故や感染症、不審者対策、災害対策等、想定されるリスクへの対応方法について、マニュアルやフローチャート図等を用意して職員間で共有している。ただし、それぞれのリスクを事業所で優先順位をつけ、重点的に対策を講じる取り組みまでは行われていない。今後は、経営上のリスクも含めて分析し、明確にしていくことが期待される。また、BCP(事業継続計画)についても未整備となっており、事業所としては全国的な災害発生状況等も勘案して、区の方針等を確認したうえで着手する必要性を認識しているため、作成に向けて早急に協議を進められたい。

ヒヤリハット報告書の内容を、職員間で迅速に確認できるしくみを構築されたい

利用者の安全確保に向けて、ヒヤリとした場面に気づいた職員が朝礼や終礼の場で情報伝達することにより、早急な対策を講じて事故を防止に努めている。また、事例によっては所定のヒヤリハット報告書にとりまとめ、具体的な改善策を決めて取り組んだり、発生した事故についても同様に、報告書を作成し再発防止策を明確にしている。なお、ヒヤリハット報告書の回覧が円滑に行われていない状況がみられるため、例えば、作成後にスタッフルームの所定の場所に掲示する等、職員間で供覧できるしくみを構築し、迅速に共有して支援に役立てられたい。

情報セキュリティマネジメントシステムに基づき、情報の適切な管理に努めている

区の指定管理者として個人情報保護や情報セキュリティに関するルールを厳格に定め、すべての書類を台帳で管理する他、パソコンをワイヤーで固定する等により、外部への情報漏えいを防いでいる。また、平成28年度からISO27001(情報セキュリティマネジメントシステム)の認可を取得して以降、3ヵ月に1回のセルフチェックや年1回の職員研修、審査結果のフィードバックを繰り返すことで課題の抽出・改善を図っている。さらに、書類を持ち出す場合のルール化やUSBメモリの使用禁止等、運用方法の詳細を決めている。

1. 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる
  • 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
  • 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
  • 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
  • リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
  • 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
1. 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
  • 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
  • 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
  • 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
  • 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
【講評】
必要な人材を確保するために、インターンシップの積極的な受け入れに取り組んでいる

常勤職員のみの職員体制で定着率が高く、安定した体制下で運営されている。また、必要な人材を確保するために、事業所では都内の専門学校と連携してインターンシップを年間10数名受け入れており、毎回、カリキュラムを作成して、現場体験や座学、企業見学等も加え、充実を図り、インターンシップを経験した学生が、将来、事業所への就職を希望することを目指している。さらに、適材適所の人員配置となるために、センター内で別に運営している相談事業等も含め、必要な時期にジョブローテーションを行い、能力向上にもつなげている。

職員一人ひとりを育成するしくみ構築やキャリアパス制度の導入が課題となっている

職員の心得として、「利用者への思いやり、職員への思いやりを大切にすること」、「わからないことをそのままにしておかないこと」、「就労支援は出会った人の人生を支える仕事であることの重みを認識すること」等を位置付け、職員へ周知している。一方、これらの考えを職員育成の内容へ明確に盛り込むには至っていない。また、キャリアパス制度についても構築されていないため、今後、職員が長期的な展望を抱きながら、職務経験や学びの機会を積み重ねることができるように整備を図られたい。

面談等を通して把握した職員の研修ニーズを基礎に、個別育成計画を作成されたい

年1回、職員評価シートに基づいて自己評価を行った後に管理職による評価や個別面談を実施して、昇給や賞与に反映しており、その際には、年度の振り返りや個人目標の設定等が行われている。それらの内容を踏まえて職員を外部研修等へ派遣している一方、個別育成計画の作成には至っていない。今後は、各職員の研修履歴を作成・管理するとともに、一連の職員評価のしくみの中で明らかとなった各職員の研修ニーズと事業所が求める専門性とのマッチングを図ったうえで個別育成計画を作成し、着実な育成を進めていくことが望まれる。

1. 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている
  • 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
  • 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
2. 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している
  • 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
  • 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
3. 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる
  • 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
  • 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
  • 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
  • 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
4. 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる
  • 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
  • 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
  • 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
  • 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
1. 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる
  • 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
  • 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
  • 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
1. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)

【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】

就労移行支援事業所の本来の役割と機能を考えた場合に、これまでは利用者へ提供するサービスが「作業」中心となっていたことを改め、「訓練」中心への視点・意識を切り替えることを目標として掲げた。
実際に、就労アセスメントの内容について、「職業評価表のフォーマットの見直し」、「各評価項目における留意点等の確認」、「区内の就労移行支援事業所を含めた就労アセスメントについての勉強会」を行った。また、ソーシャルスキルトレーニング等の充実や工賃評定表の基準設定に取り組んだ。
結果として、「作業」、「訓練」、「評価」それぞれの位置付けが明確となり、重点的に整備しなければならない事項が明確になった。
そこで30年度は、職員体制面として、体験利用から就労準備支援までの担当者を区分したり、就労準備支援から就労定着支援につなげる方法等を整備することを予定する等により、さらなる強化を目指している。

【評語】
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している

平成28年度から区の指定管理者として運営を始めた際、利用者へ提供しているサービス内容が作業中心となっており、本来、就労移行支援事業所としてサービスの中心となる「訓練」の比重を高める必要があることを課題と捉えている。そこで、平成29年度は、「作業」、「訓練」、「評価」のそれぞれについて職員間で認識の共有を図るとともに、訓練プグラムの充実に取り組み、個別支援計画の内容についても、就労移行を目指した目標を設定する等により、利用者の将来の就労を意識した支援に努めている。その結果、利用者、職員ともに意識改革が実現している。特に、職業評価表のフォーマット見直しや工賃評定表の基準設定等、支援上のプロセスを標準化したことが職員の個人的な力量などに左右されない支援の確立につながっている。30年度も引き続き、就労移行支援事業所として全職員で利用者支援への理解を深めながら、さらなるサービスの質の向上を目指して取り組みを進めている。

2. 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)

【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】

知的障害者以外の相談が年々高まってきていることを受けて、平成30年度から3障害の受け入れを開始するにあたり、就労移行支援事業所として支援の充実に努め、利用者の就労実績向上を目標に設定した。
実際に、「作業」、「訓練」、「評価」それぞれの支援を展開するために、利用者アセスメントや企業アセスメントが重要であるとの認識を全職員で共有して取り組みを強化した。また、企業見学や職場体験実習を活用した利用者支援を行う等、充実を図った。
結果として、平成28年度は7名の就職だったが、平成29年度は16名が就職する等、実績が向上した。また、一連の支援を通して、利用者だけでなく家族、企業担当者との信頼構築にもつながった。
そこで30年度も引き続き、利用者の就労実績の向上を目標に掲げるとともに、就職した利用者について、「事業所の訓練及び支援者の支援による就職」、「利用者自身の基本スキルによる就職」、「時代(企業ニーズ)の流れによる就職」のいずれであったかの分析を行い、支援した成果として就職へとつながった割合を高めることを目指して取り組んでいる。

【評語】
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
理念共有の取組により関係者の理解と協力を促進している

事業所では、平成30年度から3障害の受け入れを開始するにあたり、利用者への支援を訓練中心に切り替えるとともに、利用者一人ひとりの支援ニーズを適切に把握するための利用者アセスメントの充実に取り組む他、利用者が就職する先の企業アセスメントを丁寧に実施することにより、マッチングの充実に努めている。その結果、平成28年度の2倍以上の就労実績につながる等、一定の成果が出ている。また、平成30年度に入り、この実績が事業所での支援の効果によるものかを冷静に分析・評価することを所長が全職員に投げかけ、就労実績だけで事業所の支援力を判断しないように注意を喚起しながら、職員一丸となって利用者支援の質のさらなる向上を目指している。

サービス分析結果

6. サービス分析のプロセス
【講評】
利用希望者に情報が届くよう、リーフレットをハローワークや関係機関等に設置している

事業所独自のリーフレットを作成しており、事業所で配布するだけでなく、ハローワークや関係機関の窓口にも広く設置することによって、就労移行支援事業所の利用希望者から相談があった場合に事業所の情報を入手できるように取り組んでいる。リーフレットでは、訓練、相談、授産の3つの部門を紹介する形でとりまとめ、授産作業やセミナー等を通して、作業技術・社会的生活習慣を身につけ、一般就労の促進を目指していることを説明している。漢字にルビを振ることにより、利用希望者自身が読んで利用希望を判断できるための配慮をしている。

雇用促進フェアや特別支援学校での説明会等で、事業所の概要等を情報提供している

区市町村の就労支援センターとしての役割も担っているため、区内に住む障害者の一般就労等に関する相談やさまざまなサポートを行う場面で、行政や関係団体等とのネットワークを構築する際に、事業所の情報を積極的に提供している。江戸川区の障害者就労支援雇用促進フェアでは、事業所に限らず区内の事業所や関係機関を紹介している。さらに、特別支援学校で年1回、説明会が開催されており、事業所の概要等を説明することにより、生徒や保護者の卒業後の進路等を検討する機会となっている。

利用希望者以外に企業の担当者等の見学依頼も受け入れ、普及啓発に努めている

利用希望の問い合わせがあった場合には、まず相談部門の担当者が相談に応じて利用登録を行うしくみとなっており、その際に就労移行支援事業所の概要や役割、機能等の説明が行われている。作業場所等を見学した後に、実際に本人が利用を希望する場合、体験実習へと進んでいる。その際に、就労プログラムの内容についてや、実習にあたっての留意事項等について説明し、疑問点の解消を図っている。また、普及啓発の一環として、利用希望者以外に就労支援に従事する関係者や企業の担当者等からの見学依頼も積極的に受け入れている。

1.利用希望者等に対してサービスの情報を提供している
  • 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  • 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  • 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  • 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
サービス内容について、利用者の理解しやすい方法による説明を心がけている

利用希望者は、相談支援事業所や相談部門を通して見学を行い、その後、体験利用の機会を持っている。体験利用期間中に、職員がサービス内容やルール等について、利用者の状況や特性に応じて、わかりやすく説明するよう努めている。ニーズ変化への対応として今年度、対象拡大を図ったことから、より多様な障害特性への理解とともに、一人ひとりの特性を理解することを心がけ、例えば、短い文章で理解度を推し量りながら説明を進めたり、実際にやってみせる他、筆談する等、個別に応じて理解しやすい方法を模索し、時間をかけて丁寧な説明に努めている。

体験利用中に面談を重ね、利用開始への不安やストレスの軽減を図っている

体験利用期間中は、訓練終了後に職員と利用者とで振り返りの面談を行い、都度、わからないことや不安な気持ち等を確認している。利用者が意向等を直接職員へ伝える機会を持つことにより、利用開始への不安やストレスの軽減につなげるとともに、職員や他の利用者との関係性の構築を図っている。また、実際に利用を開始した後の支援方針にかかわる意向についての確認もその際に行い、利用後の支援へといかしている。体験利用後は評価を行い、関係機関との検討を経て、利用者の同意のもと、正式に契約を締結している。

開始からアフターケアまで丁寧にかかわり、途切れない支援、つなぐ支援を心がけている

体験利用時の面談や、相談支援事業所等との連携によって得た情報をもとに、利用前の生活状況を踏まえ、利用開始後の環境変化に対応していけることを意識しながら支援にあたっている。利用終了後は、本人にとって周辺環境が変化する大切な時期であることから、担当者を中心に就職後6ヵ月以上の定着支援を丁寧に行うとともに、個々の定着状況に応じて、新たに開設した就労定着支援事業所の利用や、同一事業所内の相談部門で行う区市町村障害者就労支援事業につなげる等、開始から終了時、アフターケアへと、途切れない支援、つなぐ支援を心がけている。

1.サービスの開始にあたり利用者等に説明し、同意を得ている
  • サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を利用者の状況に応じて説明している
  • サービス内容や利用者負担金等について、利用者の同意を得るようにしている
  • サービスに関する説明の際に、利用者や家族等の意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
  • サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  • 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
  • サービス利用前の生活をふまえた支援を行っている
  • サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
【講評】
3ヵ月毎のアセスメントの内容を職員間で共有し、利用者に適した支援提供を図っている

利用者の基本情報は利用者台帳に集約しており、身体状況や生活状況については、全体の様子を毎日業務日誌に記録して職員全員での情報共有を図っている他、個別にケース記録を作成している。ケース記録には、業務日誌の記載内容を、前後の状況や実際に語られた言葉等も含めて、より詳細に記載している。また、利用者の状態や状況の変化を把握するために3ヵ月ごとに行うアセスメントの内容は、サービス管理責任者が確認を行い、アセスメントシートへ記録し、職員間で共有することで、常に利用者の状態に即した支援の提供ができるよう努めている。

個別支援計画とは別に職業評価を定期実施して、必要な支援の組み立てに役立てている

月1回、担当職員、サービス管理責任者が面談を行い、利用者の希望や意向等の確認を行うとともにモニタリングシートを毎月作成し、計画や支援の経緯・進捗状況等の把握を図っている。面談やモニタリングの結果を踏まえ、担当職員が個別支援計画書を立案、職員全員で検討、共有して、サービス管理責任者が決定するサイクルを基本として個別支援計画書を見直しており、原則3ヵ月に1度行う他、状況や目標等に変化が生じた際は都度実施している。なお、種別の特性から、別途、職業評価を定期実施することで、個々に必要な支援の組み立てに役立てている。

支援方法に迷った際は、担当職員だけでなく全職員で共有、検討するよう努めている

事業所は「ひとりの利用者を担当職員だけが支援をするのではなく、一人の利用者を職員全員で支援していく」ことを目指し、職員一人が2~3名の利用者を担当する中で、支援方法等に迷いが生じた際は一人で抱え込まず、全職員で共有、検討できる体制を整えている。利用者の状況等は、毎朝、所長と職員全員で行う朝礼や、部門毎に40分程度をかけてその日の出来事等を詳細に報告し合う終礼において共有するとともに、業務日誌やケース記録にも記載している。より時間をかけた検討を要する場合は、必要に応じて職員会議で対応方法等の協議を行っている。

1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している
  • 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
  • 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  • アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の支援計画を作成している
  • 計画は、利用者の希望を尊重して作成、見直しをしている
  • 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  • 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
3.利用者に関する記録が行われ、管理体制を確立している
  • 利用者一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  • 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している
  • 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
  • 申し送り・引継ぎ等により、利用者に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
1.個別の支援計画等に基づいて、利用者の望む自立した生活を送れるよう支援を行っている
  • 個別の支援計画に基づいて支援を行っている
  • 利用者一人ひとりに合わせて、コミュニケーションのとり方を工夫している
  • 自立した生活を送るために、利用者一人ひとりが必要とする情報を、提供している
  • 周囲の人との関係づくりについての支援を行っている
【講評】
利用者の一人ひとりに合わせ、理解しやすいコミュニケーション方法を工夫している

これまでの知的障害のみから、身体、知的、精神障害等、利用対象者の拡大を図り、それぞれの特性に対応できるよう支援力の向上を目指している。利用者一人ひとりの特性を把握して、それに適した手段でのコミュニケーションを心がけている。言語を用いる場合にはセンテンスの長さや声のトーン、速さ等に気を配り、利用者の理解度を表情等から読み取って合わせる他、聴力に課題があれば筆談器を活用したり、ルビ入りの文字や、写真、絵を取り入れる等、個別に応じた手段や方法を工夫して、円滑なコミュニケーションと信頼関係の構築に努めている。

就労支援に加え、就労する上で必要な生活支援も重視し社会生活能力の向上を図っている

自立した生活を送るためには、就労支援に加え、就労する上で必要な生活支援も重要であるとの考えから、利用者に対する支援の1領域に生活支援を位置付け、社会生活に必要な基本的生活態度や生活習慣の習得をサポートすることで、社会生活能力の向上を図っている。また、自宅での生活の様子や課題についてはケースワーカーや保健師、相談支援専門員等との共有、連携により、利用者一人ひとりに必要な訓練ができるように取り組んでいる。さらに、就労後の生活支援についても見据え、関係機関等とのチーム支援の意識のもと包括的な支援をすすめている。

社会生活や就労先等での周囲との関係作りに役立つ支援となるよう努めている

事業所は、就労に必要な技術の習得とともに、周囲との円滑な関係づくりを就労支援における重要な課題と捉えて支援を行っている。グループワーク、ソーシャルスキルトレーニング、職場対人技能トレーニング等の各種講座を実施し、グループワークではロールプレイを取り入れるとともに、自由に発言したり、相手の気持ちを汲み取る等の体験の積み重ねによって習得度の向上を図っている。また、リアリティのある生活場面を実体験したり、客観視することで自己理解、他者理解を深め、社会生活や就労先での関係作りに役立つ支援となるよう努めている。

2.利用者が主体性を持って、充実した時間を過ごせる場になるような取り組みを行っている
  • 利用者一人ひとりの意向をもとに、その人らしさが発揮できる場を用意している
  • 事業所内のきまりごとについては、利用者等の意向を反映させて作成・見直しをしている
  • 室内は、採光、換気、清潔性等に配慮して、過ごしやすい環境となるようにしている
  • 【食事の提供を行っている事業所のみ】
    利用者の希望を反映し、食事時間が楽しいひとときになるよう工夫している
【講評】
その人らしさを引き出し、強みを発揮するための訓練の場を多様に用意している

利用者の意向やその人に合った作業・訓練を提供するために、多様な訓練の場を用意している。農園、花の手入れや販売、軽作業、事務処理、パソコン作業、清掃作業、電話受付、洗濯作業等、幅の広い訓練内容を、数豊富に揃えており、その人らしさを引き出し、強みを発揮するための選択を可能としている。また、利用者に合った職場体験実習ができるように、実習先の確保と企業開拓にも努めている。自己表現等の訓練も兼ねた利用者ミーティングでは、趣味等、好きなことについて、プレゼンテーションソフト等を使い30分程話をする機会等も用意している。

作業についての意見や提案を利用者が主体的に述べることができる機会を設けている

事業所では、定期的に利用者ミーティングを開催しており、作業に関する意見をはじめ、検討が必要な事項等について、利用者が主体的に意見を述べ合う機会を設けている。ミーティングでは、作業について自分の考えを表明したり、作業効率の向上に有効な方法を提案する等により、自己を表現する場としている。また、利用者間で仕事や事業所での生活を話し合うことで、帰属意識、自尊心、仕事への意欲等の向上にも効果をもたらしている。職員は、利用者の主体性を尊重して、自由に発言しやすい雰囲気づくりに配慮する等、側面的にサポートしている。

作業場所や農園の休憩室の環境を整備することにより、快適性の向上を図っている

事業所内での利用者の作業場所が1階に用意されており、軽作業や花の手入れ等を行う他、各種講座や昼食の場所としても使用する等、さまざまな用途で使用している。利用者が過ごしやすい環境とするために、定期的に清掃業者が入り、清潔保持に努める他、毎週、数時間をかけて清掃の時間を設けたり、毎日の作業終了後に利用者自身が作業場所の環境を整備している。また、農園の休憩室については、新たにエアコンを設置する等によって、猛暑が続く夏の時期に利用者が少しでも快適に過ごすことができるように整備する等、充実を図っている。

3.利用者が健康を維持できるよう支援を行っている
  • 利用者の健康状態に注意するとともに、利用者の相談に応じている
  • 健康状態についての情報を、必要に応じて家族や医療機関等から得ている
  • 通院、服薬、バランスの良い食事の摂取等についての助言や支援を行っている
  • 利用者の体調変化(発作等の急変を含む)に速やかに対応できる体制を整えている
  • 【利用者の薬を預ることのある事業所のみ】
    服薬の誤りがないようチェック体制を整えている
【講評】
状態の変化を迅速に察知して、早期対応による健康の維持・増進を図っている

事業所では利用者の状態変化の早期発見に努め、健康の維持・増進につなげている。利用中に体調不良等が生じた場合は自身で職員に伝える他、利用者自身による訴えが難しい場合に鑑み、日常から家族等との連絡を密にとり、本人の健康不安に関する連絡を受けた際は利用中の状況を細やかに確認し、変化が見られれば早期対応を図っている。また、年1回の定期健康診断は、事業所内会議室で全員を対象に行い、結果は必要時、家族等とも共有している。さらに、希望に応じて通院に同行し、日常の状態や健康状況等を医師へ説明する際のサポートも行っている。

食生活への助言や健康に関する講座開催等で健康への意識向上を働きかけている

不規則な食生活が課題となる場合もあり、利用者向けに、偏りのない食事メニューの講座開催等を開催している。また、例えば、コンビニエンスストアで偏った食品購入を行っている生活状況が見られれば仕出し弁当を勧める等、利用者の負担感が少なく、実現に結び付きやすい内容を考慮した上で食生活の助言を行っている。また、今年度は口腔ケアの講座も実施し、昼食後の口腔ケアを実施するとともに、個別支援計画書で支援を位置付けている場合は職員が実施後にチェックする等、利用者全体とともに個別の対応も図り、健康への意識向上を働きかけている。

利用者特性を踏まえ急変時の迅速な対応に向け研修や救命救急講習の受講を促進している

利用者特性を踏まえ、起こりやすい体調変化を想定して速やかに対応できる体制整備に努めている。全職員が3年に1回、救命救急講座を受講する他、所内職員研修では今年度、てんかんをテーマに2回実施する等、急変時の対応に関する知識・技術の習得や職員の意識向上を図っている。また、緊急時の連絡先や既往歴、現病、主治医、服薬に関する情報を予め入手して、急変時等の迅速な対応に備えている。事業所は、健康管理を含めた生活支援の重要性への認識を持ち、家族や医療との連携にも着目し、チーム支援によって支えるしくみづくりに取り組んでいる。

4.利用者の意向を尊重しつつ、個別状況に応じて家族等と協力して利用者の支援を行っている
  • 家族等との協力については、利用者本人の意向を尊重した対応をしている
  • 必要に応じて、利用者の日常の様子や施設の現況等を、家族等に知らせている
  • 必要に応じて家族等から利用者・家族についての情報を得て、利用者への支援に活かしている
【講評】
利用者自身の意思決定、自己決定を尊重する姿勢のもと家族等の理解や協力を求めている

事業所では、基本的に利用者本人の意思決定、自己決定を最大限に尊重したうえで、利用者の利益にかなった決定を、本人、家族等が行えるよう支援の中で工夫している。利用者本人に基本的なルール等の理解が難しい場合には、状況に応じて家族、保護者の協力を得るよう働きかける等、個別に対応している。また、家族等とは日頃から良好なコミュニケーションを図り関係性を築くとともに、利用者の望む方向へと支援をすすめる過程においては、家族等の気持ちや立場も推察して、相談支援事業所等、他の関係する機関等との連携と綿密な役割分担を行っている。

利用者と家族等とで認識が異なる場合は話し合いを設定する等、関係継続を支援している

利用者の様子は、定期的に家族への報告に努めており、就労に向けた利用者自身の意向についても伝え、家族との共有により理解を促す一方、利用者と家族とで認識が異なる場合は話し合いを設ける等して、相互の関係性の継続を図っている。その際、両者間に介在する事業所が有効な働きを発揮するためには、家族との信頼関係が重要であることから、日常の小さなかかわりの積み重ねにより信頼を築いていくことを心がけている。事業所だよりや広報誌等は刊行されていないが、伝達が必要な事項は個々に文書を作成して配布する等により、情報提供を行っている。

家族や家庭の情報も加え、利用者の背景を重ね合わせ理解を深め、課題解決を図っている

利用者を支援する中で課題が浮上した際は、事業所内での状況に加え、家庭での生活状況等も確認を行い、幅広く要因を分析して、解決の方法を検討している。事業所では、利用者や家庭に関する情報を得ることは、その利用者の支援をしていく上で極めて重要であるとの認識を持ち、得た情報を利用者理解にいかしている。家庭での様子や態度、家族との関係性等の把握から、表面化している利用者の言動の背景や根となる部分を分析する過程において、利用者を多面的に捉え理解を深め、課題の要因や解決のヒントを抽出して解決へとつなげるよう努めている。

5.利用者が地域社会の一員として生活するための支援を行っている
  • 利用者が地域の情報を得られるよう支援を行っている
  • 利用者が地域の資源を利用し、多様な社会参加ができるよう支援を行っている
【講評】
イベント参加により地域住民と触れ合うとともに自身で情報収集する機会にもなっている

地域の情報は所内にちらしやポスター等を掲示して、興味関心のある利用者に伝えている。各種イベントへの参加や花の販売等の出店による外出は、予定表に表示を行い、ローテーションで参加している。利用者のイベント参加は、地域住民と直接触れ合うきっかけになるとともに、自身で情報収集する機会にもなっている。また、ボランティア等で参加するOBやOGと交流も持て、就労に関する情報について職員とは異なる視点から話を聞ける場となっている。なお、地域で活躍する人との交流機会等のプログラム導入を今後検討する必要性を事業所は感じている。

利用者が楽しめるさまざまな余暇活動の実施に向けて取り組んでいる

地域イベントへの出店・参加については、主に生活支援の中で実施し、接客訓練や工賃向上の目的とともに、就職後の余暇の過ごし方として知っておいてもらいたいという思いも込めて活動している。また、月、金曜日の夜に就労者交流会を行う他、土曜日にはグループ余暇支援を行っている。グループ余暇支援では、手話、カラオケ、夏祭り、さくらの発表会、悪質商法から身を守ろう、ウォーキング、ボウリング大会、初詣、通勤寮見学会等、事業所内外でさまざまな企画を実施しており、利用者が楽しめる機会の創出を目指して取り組んでいる。

接客訓練や地域への普及啓発のために地域の卸業者や農家の協力が得られている

利用者が栽培した花や、農園で収穫した野菜等を、毎月、駅前や区役所前で販売している他、区民館等のまつりに出向き、年20回程度、販売を行っている。花や野菜等は、それぞれ良質で、安価で設定していることもあり、評判も良く、完売することも多い状況がみられている。また、地域の花卸業者や農家から仕入れたものも一緒に販売しており、これまでのかかわりを通して、地元の花卸業者や農家からの信頼も厚くなっていることから、利用者の接客訓練や地域への事業所の普及啓発において、協力が得られる関係構築がなされている。

10.【就労移行支援】就労に向けて、必要な知識の習得や能力向上のための訓練等の支援を行っている
  • 利用者が働く意欲を持てるような取り組みを行っている
  • サービス期間内に就労に結びつくことができるよう工夫している
  • 生活リズムや社会人としてのマナーの習得等の就労に向けた支援を行っている
  • 就労に向けた職場見学や実習等、実際に職場にふれる機会をとりいれた支援を行っている
  • 就労支援機関と密接な連携をとり、利用者が力を発揮できる就労先に結びつくよう支援を行っている
  • 就労後も利用者一人ひとりに応じて職場定着等の支援を行っている
【講評】
就労意欲を高めるために金銭意識の向上や見学会、面接会への参加支援に取り組んでいる

利用者が授産活動で得た工賃等で金銭への意識喚起を図るとともに、企業見学、職場体験実習面接会等への参加により、さまざまな働き方を知ることで就労意欲の向上を図っている。また、工賃を得るための意欲を高めることに加え、得た収入の、価値のある使い方の支援も行っている。年1回開催される企業見学会や、2~3ヵ月に1回開かれる職場体験実習面接会へ参加する機会もあり、一人ひとりが情報を得て、就労意欲の向上に役立てている。事業所は、さらに職域を広げることや新たな企業開拓も重視して、取り組みをすすめている。

社会人としてのマナー等を習得するために、さまざまな支援を展開している

社会人としての挨拶、身だしなみ等のマナー習得を支援するために、事業所での日常の生活の中で訓練や指導を行っている。例えば、作業場所の中にタイムレコーダーを設置し、朝、出勤してカードを押すタイミングで他の利用者や職員へ必ず挨拶ができるように環境を整えたり、個別支援計画書に身だしなみの支援を位置づける等、工夫を図っている。また、社会生活上のルール等は、月1回、2時間半の講座を開催して、会社について、面接について等をテーマに、社会人としてのマナーを習得するとともに基本的なルールを理解できるように支援を行っている。

相談部門を中心に、他事業所との連携を図りながら利用者に合った就労先につなげている

個々の強みが発揮できる訓練の組み立てと、個別支援と集団支援を組み合わせた各種カリキュラムを設定する他、3ヵ月毎に作業能力、作業態度、生活態度の評定を行い、就労への着実なステップを構築している。事業所では、相談部門やハローワーク、相談支援事業所等と日頃から連携を図り、就労先等の情報共有を行うとともに障害就労支援事業所連絡会や区内就労支援事業所勉強会等では事業所間での情報交換により多くの情報を得て、利用者へ提供している。相談部門とは朝礼等で密な情報共有を図り、利用者への理解のもと就労先のマッチングを図っている。

【講評】
体験利用の際等に、利用者に関する情報の取り扱い方法を示し、同意の署名を得ている

契約書の中に秘密保持の項目を設け、サービスの質の向上を図るために利用者に関する情報を第三者評価機関へ情報提供する場合があることを明示して説明を行い、利用者と家族の署名・捺印を得ている。また、利用希望時の体験利用の際にも、情報を外部へ提供する場合を例示して同意の署名・捺印を得る等、書面で個別に意思確認を行っている。なお、事業所としては広報誌やホームページ上で利用者が含まれる写真を掲載することも想定していないため、肖像権に関する事項を文書で例示して同意を得る取り組みは行っていない。

男女別更衣室の用意やロッカーの設置等により、私物の管理方法を明確にしている

通所中、利用者の所有物等は男女別の更衣室にあるロッカーでそれぞれ管理しており、作業室と更衣室とが離れているため、その日の利用者全員が集まった時点で更衣室の入口を職員が施錠することで、部外者の侵入を防いでいる。また、携帯電話や財布等の貴重品については、別に袋に入れて管理している。なお、利用者が安心して作業や活動に集中するための配慮として、貴重品を一括管理する方法で対応している一方、利利用者からの意見を繰り返し確認する機会を持ちながら、利用者の納得性が高まるように努められたい。

訓練内容をローテーションで交代したり、作業方法に選択肢を設ける等の工夫をしている

利用者が一般就労に向けた実践的な作業訓練を多く経験できるように、事業所では訓練内容を1ヵ月毎にローテーションで交代するしくみを採用している。また、1つの訓練の中でも、利用者の意思や能力等を尊重した支援を目指して、作業方法に選択肢を持たせる配慮等に努めている。さらに、利用者の意思を尊重していくためには、丁寧なアセスメントが必要との観点から、職員が区内の就労移行支援勉強会等へ積極的に出席して自己研鑽を積み、アセスメント力の向上を図ることで、利用者一人ひとりに必要な支援の充実につなげている。

1.利用者のプライバシー保護を徹底している
  • 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
  • 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
  • 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
2.サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している
  • 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
  • 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
【講評】
利用者の安全確保や作業評価に関する事項を中心に、業務の標準化を図っている

業務の標準化のうち、利用者の安全を確保するために、緊急時マニュアルとして虐待防止、地震・水害、不審者対応、ノロウイルス・インフルエンザ等に関するものを整備し、職員間での共通理解を図っている。また、工賃に関かわる評定基準を毎年度改訂しており、職員が明確に判断できるガイドラインを作成している。なお、訓練のうち、農園作業に関するマニュアルの整備を事業所では課題と認識しており、習熟している職員が中心となり年間の作業事項等を文書化する準備を進めているため、完成が期待される。

作業能力評価について、区内全ての就労移行支援事業所の標準化に努めている

事業所では、利用者の作業能力評価の標準化に向けて、事業所内だけでなく、区内のすべての就労移行支援事業所にも評価基準や手法をマニュアルにした資料を作成・配布することにより、標準化への中心的な役割を担っている。また、標準化された方法の質をさらに高めるために、各種専門書籍を購入する等して検討を重ねている。さらに、政策や制度の動向に関する情報をいち早く入手することに努め、就労定着支援事業を4月から開始したり、事業所に関連するサービスを改善する等、迅速に行動することを重視して取り組んでいる。

新たなことへチャレンジする重要性を職員に伝え、サービスの質の向上に取り組んでいる

利用者へ提供している作業や訓練が、どの職員が担当しても標準的に実施できることを目指して、事業所では全職員が必要な知識や技術を習得するためにローテーションで配置を変更することにより、農園芸も含めて全職員が担えるように努めている。また、所長は新たなことへチャレンジする重要性を繰り返し職員に伝えるとともに、日頃、職員から挙げられる新たな発想や提案事項を歓迎しつつ、各種ミーティングや職員会議等の機会を通して実現可能性等の検討を行い、事業所全体のサービスの質の向上に取り組んでいる。

1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
  • 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  • 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうかを定期的に点検・見直しをしている
  • 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
  • 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  • 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている

事業者のコメント

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評価情報

【評価実施期間】

2018年10月1日~2019年3月25日

【評価者修了者No】

H0201011,H1601053,H0801023

評価結果のダウンロード

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