評価結果
基本情報
事業者の理念・方針・期待する職員像
事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)
1)視覚障害者の職業を開発し、訓練と支援を行い社会参加の促進を図る。
2)利用者の意向を尊重し、多様な福祉サービスが総合的に提供されるよう創意工夫をする。
3)利用者の個人の尊厳を保持しつつ、自立した生活を地域社会において営むことが出来るよう支援する。
職員に求めている人材像や役割
視覚障害の利用者の意向を尊重し、多様な福祉サービスを総合的に提供できる人材とそれを担う役割
職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)
全国で数少ない視覚障害者の事務系就労を支える施設職員として、就労の場の提供と就労移行支援の取り組みへの使命感
全体の評価講評
特によいと思う点
事業所は、法人名が「盲人能力開発センター」とあるように、「視覚障害者の就労の促進と地域社会での自立した生活の実現」を事業目的として掲げ、パソコン技術の習得を軸にすえた、事業モデルを作り上げている。また、広く全国に啓発活動を行い、多くの視覚障害者に対して理念の実現を呼び掛けており、その呼びかけは入所者の確保という事業所の枠を超えて、広く多くの視覚障害者に受け入れられている。こうした特筆できる実践を行っているにもかかわらず、自らの理念や役割に対して常に謙虚であり続けている姿勢は評価できる。
企業の障害者採用担当者や職場支援者等を対象に、視覚障害者の職域拡大・雇用促進のための講習会を開催し、職場での働き方支援に役立っている。ロービジョン(低視覚)の方の社会参加の促進を目的とした全国セミナーも開催しており、約250名の参加がある。視覚障害者への接し方のポイントをまとめたガイドブックを作成して無料頒布しているほか、福祉DVDの制作も行うなど啓発活動に注力している。中途視覚障害者の就労・復職を支援する認定NPO法人に事務局を提供して、施設利用者以外の視覚障害者の職場復帰等にも協力している。
長年の実績の積み重ねから事務系作業に特化した事業所となっている。政府の審議会議事録や病院の検査録画像解説など音声データーを文章化する作業を遂行するに際しては、事業所は様々な機器を開発してきた。フルキー六点入力、フットスイッチ付きMP3音声ファイル再生システム、コンピューター内蔵システム、校正検索機能など支援ツールの技術開発をすすめてきた。これらの技術が工賃アップにつながっていることは否めない。来年度は新たに拡大読書機読み上げソフト導入を予定しており、作業の効率化、それに伴う工賃アップが期待される。
さらなる改善が望まれる点
事業所では、視覚障害者が通所し、作業や訓練を行っていく上でのリスクを最小限にすべく様々な対策を講じている。廊下の右側を歩く、通路に物を置かない、床が滑ることのないように常に乾燥した状態に保つなど基本的な配慮や通所途中の安全確保対策についても可能な限りの配慮を行っているが、それでもとっさの思いがけない動きによる転倒の危険性はなくならない。こうした環境整備に加えて、リスクが常にあることを絶えず利用者や職員に注意喚起し続けるような努力のより一層の強化・継続に期待したい。
事業所では、首都直下型地震などを想定して大規模災害対策を講じており、地域の防災訓練にも多くの職員と利用者が参加し、地域とともに防災に対応する体制を準備している。しかし、大規模災害時の困難には、帰宅困難者への対応や飲食料や宿泊場所の確保、インフラの停止などに加えて、地域の高齢化による要支援者の存在なども想定される。事業所では、同じ所在地での建て替えを計画しているが、建物・設備を地域の共有財産として地域の防災に活かせるような取り組みに期待したい。
就労継続支援B型の利用者は作成した議事録等を協力者にみてもらい、その指導を受けて製品の仕上げをしている。現在27名いる協力者は「ボランティア」というよりは、高度な専門性と障害者への理解が不可欠な役割を担っている。しかし、今回の利用者調査では協力者の対応の質に関しての不満が少なからず見られた。協力者は、利用者にとって緊密にやり取りをする存在でもあるため、「利用者がいる前で個人的な話題を出さない」など、視覚障害者支援における基本的な配慮についてより充実させていくことを検討されたい。
事業者が特に力を入れている取り組み
技術革新による視覚障害者の職業開発に関するニーズの変化を鋭敏に捉え、それに対応できる業務内容や訓練機器の開発などに注力している。昨今はAI化の進展を見据えて、メーカーと共同で新たな訓練機器を開発したり、作業内容の高度化への取り組みにより利用者の工賃の維持・向上を目指している。利用者の作業環境の改善に資するパソコンの更新などIT機器への必要な投資をする一方で、将来の施設建替えという大きな課題を見据えた長期計画も策定している。今年度は、昨年度は利用料収入の増加、施設整備積立金の計画的な実施ができている。
国立リハビリテーション学院の視覚障害学科卒業生など、視覚障害者支援の専門的な養成課程を修了した候補者の採用に努めている。視覚障害の当事者も採用している。非常勤職員については、指定された国家資格を取得すれば常勤職員に登用される制度が設けられている。就労移行支援事業では、カリキュラムに応じた専門的な職業指導員が多数配置されており、訓練内容の充実に役立っているほか、元雇用専門官も採用している。自主研修助成制度もあり、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士といった国家資格取得に対して20万円の助成金を支給している。
音声パソコンを駆使して段階的に利用者の特性に応じたプログラムが提供され、事務系就職に向けた支援に活用されている。各6か月の基礎コース及び応用コース、1年間のビジネスワークコースを選択し、一般就労を目指す。B 型希望者は速記コースで1年間技能習得する。その間も企業の人事担当者や就職した先輩らから事例を聞いたり、履歴書の書き方や模擬面接などの就職に向けた支援が計画的に実施され、自立度は高い。また就職後も事業所を開放して職員から助言・指導をうけられる体制もできている。
利用者調査結果
調査概要
- 調査対象:登録利用者全員(事業所と協議の上、入院中や既に就労している利用者、在宅勤務の利用者を除く)
- 調査方法:アンケート方式
3日間にわたり個別の聞き取り調査とパソコン入力によるアンケート調査を実施した。 - 有効回答者数/利用者総数:72/97(回答率
74.2%
)
サービス毎の利用者総数
利用者総数 共通評価項目による
調査対象者数共通評価項目による
調査の有効回答者数利用者総数に対する
回答者割合就労移行支援 49人 49人 42人 85.7% 就労継続支援B型 48人 48人 30人 62.5%
登録利用者97名中、72名から回答を得ることができた。満足度が高かった項目としては、「職員の接遇は適切ですか」「緊急時の対応は信頼できますか」などがあげられる。総合的な満足度では、「大変満足」が19名、「満足」が45名であった。「通所することで生活にやりがいがあり、とても感謝している」「個々のライフスタイルに合わせて利用できるので利用しやすい環境がある」「状況をよく理解した上で相談にのってくれます」「地域のお祭りなどにも参加している」「カリキュラムがしっかり組まれているので、進行状況がわかりやすい」などのコメントがあがっている。意見や要望としては、「センターの存在を世間に広めてほしいです。きっと助かる人もたくさんいると思います」「利用者への扱いや対応に多少不公平感があります」「指導中の私語やプライバシーに関する話は控えてほしいです」「訓練以外でも、利用者の体調のことや家族の事など時々は面談をして話を聞いてほしいです」「センター前の階段をスロープにしてほしいです」などがあがっている。
アンケート結果
4~17は選択式の質問のため、該当項目のみ掲載しています。
1.利用者は困ったときに支援を受けているか
困った時の支援に関しては、57名が支援を受けていると回答している。「就職活動をするにあたり、必要となる全般的なサポートをしてくれた」「体調が不安定なので気を遣ってくれる」「他の利用者とのトラブルがあり、相談にのってもらった」「とても丁寧に助けてくれます」「できるだけ個別に対応してほしいです」などのコメントがあがっている。
2.事業所の設備は安心して使えるか
事業所の設備に関しては、50名が安心して使用できると回答している。「センター前の階段が、一段毎に高さが異なるので歩きにくい」「トイレが和式なので洋式に替えてほしい」との回答が複数あった。「全体的にスペースが狭い」「設備や備品について要望や意見を出しているが、直ちに取り組まれず時間がかかる」「点字ブロックや誘導ブロックが多すぎるので、そのせいで人にぶつかりそうになる」などのコメントがあがっている。
3.利用者同士の交流など、仲間との関わりは楽しいか
仲間との関わりについては、51名が楽しいと回答している。「同じコースの人とは交流があります」「水曜サロンに出ましたが、とても良かった。いろいろな機械の使い方を学んだ」「同じ障害なので学びや笑いがあり、息抜きできます」「講座後にランチに行ったりするので関係は良好です」「以前に比べて深い付き合いや交流を好まない人も増えていると思います」などがあがっている。
11.【就労移行支援】
事業所での活動が就労に向けた知識の習得や能力の向上に役立っているか
事業所での活動が自身のスキルアップにつながっていると回答したのは40名であった。「いいえ」の回答はみられなかった。「パソコンのスキルアップです。音声パソコンに特化した訓練が受けられる」「就労に向けての講座があり、ここの存在を知ることができ、大きな自信につながっている」「すぐに使える技術が習得できます」「パソコンの技術はもちろん、検定を受ける事もできます」などがあがっている。
12.【就労移行支援】
職場見学・職場実習等の、事業所外での体験は充実しているか
職場見学や実習等については、9名が充実していると回答している。「体験や面接が何回かありました」「講習会に参加しています」「就労されている方の話を聞いて励みにしている」などがある。「まだ行っていません」「今後行う予定です」との回答も複数あった。
13.【就労移行支援】
工賃等の支払いのしくみは、わかりやすく説明されているか
工賃に関しては、10名がわかりやすく説明されていると回答している。「交通費のみが支給されます」との回答が複数あった。「訓練中の為、工賃は発生しません」「交通費や講習費は全額カバーされます」「まだ聞いていません」などのコメントがあがっている。
16.【就労継続支援B型】
事業所での活動が働くうえでの知識の習得や能力の向上に役立っているか
事業所での活動が自身のスキルアップにつながっていると回答したのは21名であった。「仕事はやりがいがあり身に付いている」「専門的な知識や貴重な経験になっている」「新たな漢字や聞いたことのない役所言葉を学ぶ機会になっている」「タイピングの仕事がなくなると困ります」「何かしらの知識の習得には役立っているが、就労に向けた活動ではない」との回答があった。
17.【就労継続支援B型】
工賃等の支払いのしくみは、わかりやすく説明されているか
工賃に関しては、9名がわかりやすく説明されていると回答している。「工賃はランク別で異なりますが、ランクは必要だと思います」「能力に応じた査定がいつされているか、いつ改定されているか明確にしてほしいです」「ランク表のようなものを作成し、みんなに示してはどうでしょうか」などがあがっている。
18.事業所内の清掃、整理整頓は行き届いているか
事業所内の整理整頓に関しては、49名が清潔に保たれていると回答している。「トイレが改修されて良かったです」「共有スペースは掃除されている」「建物が古いので、部屋によっては換気が十分でない」「自分自身で身の回りの整理整頓を行っている」「物が散乱していて歩いにくい事がある」などのコメントがあがっている。
19.職員の接遇・態度は適切か
職員の接遇に関しては、60名が適切であると回答している。優しいです、適切です、丁寧ですとの回答が複数あった。「社会人の先輩として学びになる事がとても多いです」「一人ひとり異なるので何とも言えません」「利用者の能力に応じて多少接し方に違いが見られると感じる」「職員は協力者に対しても必要に応じて苦言を言うべきだと思います」などがあがっている。
20.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
緊急時の対応に関しては、60名が信頼できると回答している。「施設内で体調を崩した時、速やかに対応してくれた」「病院に運ばれた時、職員はすぐに来てくれました」「車いすもあり、病院にも連れて行ってくれます。素晴らしいです」などのコメントがあがっている。「経験はありませんが、信頼できます」「多分大丈夫です」との回答もあった。
21.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
利用者間のトラブルに関しては、36名が信頼できる対応であると回答している。「どの利用者にも公平に対応している」「特にいさかいなどは起きませんが、何かあれば対応してくれると思います」「人間関係ではありえるが、表面化していない」などがある。「そういった状態に遭遇していなのでわかりません」との回答が複数みられた。
22.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか
54名が個人の気持ちは尊重されていると回答している。「懇切丁寧に対応して頂いています」「自分の希望をよく聞いてくれます」「とても気にかけてくれます」「家庭の事情なども考えて配慮してくれます」「利用者は弱い立場であることを考えて対応することを望みます」などのコメントがあがっている。
23.利用者のプライバシーは守られているか
利用者のプライバシーに関しては、57名が守られていると回答している。守ってくれている、大丈夫ですとの回答が複数あった。「気を遣っている様子が分かる」「誰もいない場所を探して対応してくれます」「他の人のプライバシーに関する事を耳にすることがあるので、自分の事も言われているのではと思います」「どれが個人情報なのか理解できていない人もいます」などがある。
24.個別の計画作成時に、利用者の状況や要望を聞かれているか
支援計画作成時に状況や要望を聞かれていると回答したのは55名であった。「採取に説明を受け、計画を立てます」「細かく聞いてくれます」「職員からの指示や要望もあります。実習日を増やすなど」「要望を聞いてもらって、適切なアドバイスをもらっています」「職員さんが忙しそうで、なかなか機会がない」などがあがっている。
25.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
サービス内容や計画に関する説明は、52名がわかりやすいと回答している。「一通り説明を受けました。わからない部分は聞きます」「職員が忙しそうな時には先輩利用者に確認しています」「利用者全般への説明はありますが、個人的な説明はありません」などがあがっている。
26.利用者の不満や要望は対応されているか
不満や要望に関しては、45名が対応されていると回答している。「適切に早目の対応です」「できる範疇では誠実に対応してくれます」「最初から対応してもらえそうな内容、対応してくれそうな職員にしか話しません」「もう少し、職員とコミュニケーションが上手く取れるといいなと思います」などがあがっている。「特に不満などはありません」との回答も複数あった。
27.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
外部相談窓口に関しては、51名が説明を受けていると回答している。「契約時に説明を受けました」「書面に沿って細かく聞きました」「過去に聞いた覚えがありますが、覚えていません」「簡単な説明があったと思います」などがあがっている。
組織マネジメント分析結果
◆事業評価結果
7つの「カテゴリー」の下に、それぞれ「サブカテゴリー」「評価項目」「標準項目」を設定して評価しています。
評価項目ごとに、標準項目の実施状況を、実施できている場合は
で、実施できていない場合は
で表しています。
1. 事業所が目指していること(理念、基本方針)を明確化・周知している
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を明示している
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
- 重要な意思決定や判断に迷ったときに、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を思い起こすことができる取り組みを行っている(会議中に確認できるなど)
2. 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている
- 経営層は、自らの役割と責任を職員に伝えている
- 経営層は、自らの役割と責任に基づいて行動している
3. 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している
- 重要な案件を検討し、決定する手順があらかじめ決まっている
- 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
- 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
【講評】
セルフチェックの実施や研修会の開催など、利用者の権利擁護や虐待防止に注力している
利用者の権利擁護規程、職員倫理規程、行動指針、虐待防止規程などを整え、社会人・福祉サービスの専門職として守るべき法・規範・倫理を明示している。全国社会福祉協議会による「施設における障害者虐待防止チェックリスト」を基にしたセルフチェックを年1回実施して、職員の言動についての振り返りを行っている。東京都主催の虐待防止研修会へも参加してるほか、通知などを朝礼や職員会議の場で周知して、職員の虐待防止に関する意識の向上に努めている。職員採用においても視覚障害者支援の専門的な養成課程を修了した候補者の採用に努めている。
視覚障害への理解を深める啓発活動や、中学生のボランティアの受け入れを行っている
高齢・障害・求職者雇用支援機構からの委託を受け、企業の障害者採用担当者や職場支援者等を対象に、視覚障害者の職域拡大・雇用促進のための講習会を開催している。100名を超える参加があり、職場での働き方支援に役立っている。ロービジョン(低視覚)の方の社会参加の促進を目的とした全国セミナーも開催しており、約250名の参加があった。視覚障害者への接し方のポイントをまとめたガイドブックを作成して無料頒布しているほか、福祉DVDの制作も行うなど啓発活動に注力している。行事の際には、中学生のボランティアも受け入れている。
行政や視覚障害者支援の関係機関のネットワーク、NPO法人等との連携を深めている
都主催の中途視覚障害者相談懇談会や、区主催の障害者就労支援連絡会および自立支援ネットワーク、視覚障害者関連四施設の自主連絡会などに参加をして、連携や情報共有に努めている。中途視覚障害者の就労・復職を支援する認定NPO法人に事務局を提供して、施設利用者以外の視覚障害者の職場復帰等にも協力している。利用者の議事録作成業務の協力にあたるボランティアの募集も随時行っており、担当者を配置している。地域の事業所や町内会と防災協定を締結しており、合同防災訓練に参加をしたり、お祭りなどの行事に参加して関係作りに励んでいる。
1. 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知している
- 福祉サービスに従事する者として、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳)などを明示している
- 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳)などの理解が深まるように取り組んでいる
2. 第三者による評価の結果公表、情報開示などにより、地域社会に対し、透明性の高い組織となっている
- 第三者による評価の結果公表、情報開示など外部の導入を図り、開かれた組織となるように取り組んでいる
- 透明性を高めるために、地域の人の目にふれやすい方法(事業者便り・会報など)で地域社会に事業所に関する情報を開示している
1. 事業所の機能や福祉の専門性をいかした取り組みがある
- 事業所の機能や専門性は、利用者に支障のない範囲で地域の人に還元している(施設・備品等の開放、個別相談など)
- 地域の人や関係機関を対象に、事業所の機能や専門性をいかした企画・啓発活動(研修会の開催、講師派遣など)を行っている
2. ボランティア受け入れに関する基本姿勢を明確にし、体制を確立している
- ボランティアの受け入れに対する基本姿勢を明示している
- ボランティアの受け入れ体制を整備している(担当者の配置、手引き書の作成など)
- ボランティアに利用者のプライバシーの尊重やその他の留意事項などを伝えている
3. 地域の関係機関との連携を図っている
- 地域の関係機関のネットワーク(事業者連絡会など)に参画している
- 地域ネットワーク内での共通課題について、協働して取り組めるような体制を整えている
【講評】
利用者から選ばれるサービスの向上を常に考え、緊張感を持って対応を図っている
施設では、利用者から選ばれるサービスの向上を常に考え、緊張感を持って対応を図っている。就労継続B型では、目標工賃達成指導員を配置して営業活動や成果物の品質向上、効率の良い作業方法について継続的な取り組みを行って、工賃向上の成果を利用者に還元している。就労移行支援では就職に役立つカリキュラムの充実や専門性のある講師の確保に努めている。東京障害者職業訓練開発校からの委託訓練や、日商PC検定試験なども実施している。また、トイレの改修や施設周辺私道への点字ブロックの設置など、ハード面での充実も行っている。
利用者からの相談窓口の設置や、自治会との定期的な話し合いにより要望を把握している
電子メールを活用して、利用者が個別に相談できる窓口を設けており、意向や要望の把握に努めている。仕事をしていく上での相談や人間関係の悩みごとなど、様々な相談に応じている。利用者自治会と施設との定期的な話し合いの場ももたれており、施設運営に関する意見交換を実施している。利用者が参加するQC委員会や安全・防災対策委員会も設置されている。QC委員会では、作業環境の改善や訓練機器の更新等に利用者の意見を反映させている。安全・防犯対策員会では具体的な対策づくりを行っているほか、防災訓練に利用者が参加をしている。
常にアンテナを張り、利用者へのサービス向上に役立つ情報を積極的に収集している
障害者総合支援法や障害福祉サービスなど法制度に関する情報収集を行うとともに、利用者サービスに影響を与える事項については機関誌で周知をしている。日盲社協、全国就労センター協議会、全国就労移行事業所連絡協議会などの関係ネットワークにも参加をして、サービスに関する動向把握に努めている。外部の研修会やセミナーにも積極的に参加をしているほか、業界紙や点字新聞により情報収集している。周辺地域の再開発事業に関連して事業主体である都市再生機構や区との協議も重ねており、通所経路における利用者の安全や利便性の向上を図っている。
1. 利用者一人ひとりの意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応している(苦情解決制度を含む)
- 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
- 利用者一人ひとりの意見・要望・苦情に対する解決に取り組んでいる
2. 利用者意向の集約・分析とサービス向上への活用に取り組んでいる
- 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向を把握することに取り組んでいる
- 事業者が把握している利用者の意向を取りまとめ、利用者から見たサービスの現状・問題を把握している
- 利用者の意向をサービス向上につなげることに取り組んでいる
3. 地域・事業環境に関する情報を収集し、状況を把握・分析している
- 地域の福祉ニーズの収集(地域での聞き取り、地域懇談会など)に取り組んでいる
- 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)の収集に取り組んでいる
- 事業所としての今後のあり方の参考になるように、地域の福祉ニーズや福祉事業全体の動向を整理・分析している
【講評】
視覚障害者の職業開発に関するニーズの変化を鋭敏に捉え、計画的な対応を図っている
技術革新による視覚障害者の職業開発に関するニーズの変化を鋭敏に捉え、それに対応できる業務内容や訓練機器の開発などに注力している。これまでにも、ピアノ調律師や電話交換手、プログラマーなど、その時代ごとにニーズがあり、視覚障害者が従事できる職業内容を選定して訓練を実施してきている。昨今はAI化の進展を見据えて、メーカーと共同で新たな訓練機器を開発したり、作業内容の高度化への取り組みにより利用者の工賃の維持・向上を目指している。また、施設の建替えという大きな課題を見据えた長期計画も策定し、積立を実施している。
計画の進捗状況や経営状況について会議で検討を行い、職員間で課題を共有している
長期計画や年度の事業計画については幹部会議での承認を経て、朝礼や職員全体会議で周知を図っている。計画の作成においては、担当職員の意見を聴取して反映させている。利用者に関連する項目については、自治会や利用者アンケートで挙がった意見を参考にしている。計画を推進するに当たっては、職員間の役割分担を明確にして着実に実施されるようにしている。毎週の幹部会議や毎月の職員全体会議で計画の進捗状況の確認を行っている。半期ごとの部門別の経営状況に関する確認も会議で実施しており、職員間で課題を共有して取り組みに活かしている。
リスクマネジメント・感染予防や、利用者も参加して地域における防災協力を進めている
リスクマネジメント実施規程、感染症対応マニュアルに基づいて事故予防や感染症対策を実施している。インシデント・アクシデント報告については、幹部会議で安全・防災対策会議で取り上げて、要因分析・再発防止策を検討している。インフルエンザ予防として職員の予防接種を無料で行っている。利用者も参加する安全・防災対策委員会では、利用者の意見を反映した安全策を検討して、トイレのバリアフリー化等を行っている。地域の総合防災訓練に利用者も参加して地域住民との親交を深めており、いざという時に相互に協力できる関係を築いている。
1. 取り組み期間に応じた課題・計画を策定している
- 理念・ビジョンの実現に向けた中・長期計画を策定している
- 年度単位の計画を策定している
- 短期の活動についても、計画的(担当者・スケジュールの設定など)に取り組んでいる
2. 多角的な視点から課題を把握し、計画を策定している
- 課題の明確化、計画策定の時期や手順があらかじめ決まっている
- 課題の明確化、計画の策定にあたり、現場の意向を反映できるようにしている
- 計画は、サービスの現状(利用者意向、地域の福祉ニーズや事業環境など)を踏まえて策定している
- 計画は、想定されるリスク(利用者への影響、職員への業務負担、必要経費の増大など)を踏まえて策定している
3. 着実な計画の実行に取り組んでいる
- 計画推進の方法(体制、職員の役割や活動内容など)を明示している
- 計画推進にあたり、より高い成果が得られるように事業所内外の先進事例・失敗事例を参考にするなどの取り組みを行っている
- 計画推進にあたり、目指す目標と達成度合いを測る指標を明示している
- 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
1. 利用者の安全の確保・向上に計画的に取り組んでいる
- 利用者の安全の確保・向上を図るため、関係機関との連携や事業所内の役割分担を明示している
- 事故、感染症、侵入、災害などの事例や情報を組織として収集し、予防対策を策定している
- 事故、感染症、侵入、災害などの発生時でもサービス提供が継続できるよう、職員、利用者、関係機関などに具体的な活動内容が伝わっている
- 事故、感染症、侵入などの被害が発生したときは、要因を分析し、再発防止に取り組んでいる
【講評】
視覚障害者支援の専門家の採用に注力するなど、専門性の高い職員集団となっている
国立リハビリテーション学院の視覚障害学科卒業生など、視覚障害者支援の専門的な養成課程を修了した候補者の採用に努めている。また、視覚障害の当事者も採用している。キャリアパスを整備して、職級・職位・職責・昇任基準を明示している。非常勤職員については、指定された国家資格を取得すれば常勤職員に登用される制度が設けられている。就労移行支援事業では、カリキュラムに応じた専門的な職業指導員が多数配置されており、訓練内容の充実に役立っている。このように専門性の高い職員集団として、一体感を持って利用者支援に当たっている。
キャリアパスに基づく体系的な研修計画を作成し、研修受講の成果について確認している
キャリアパスに基づく体系的な研修計画を作成し、職員の意向を把握して研修受講を促している。研修計画では、1新任職員:「視覚障害・就労支援者講習会(基礎編)」など、2中堅職員:「視覚障害・就労支援者講習会(応用編)」など、3指導的職員:「中途視覚障害者の相談支援に関する研修会」など、4管理職員:「課題別専門研修」など、5管理者:「全国盲人福祉施設大会研修会」など、と職級に応じた研修テーマが設定されている。受講した職員は報告書を作成するほか、人事評価制度の業務目標・成果シートで、その成果についても確認している。
働きやすい職場づくりを目指すとともに、資格取得の奨励や就労状況への配慮をしている
少人数職場の利点を生かして、職員間のコミュニケーションを重視している。朝礼の場を活用して、職員同士が互いの気づきや工夫について話しやすい職場環境づくりを目指している。都社協の人事評価制度を参考にした人材マネジメントを実施しており、業務目標・成果シートを活用して職員の意識を把握するとともに、働きがいの向上に努めている。自主研修助成制度もあり、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士といった国家資格取得に対して20万円の助成金を支給している。超過勤務や休暇取得の状況も把握して、就労状況にも配慮している。
1. 事業所にとって必要な人材構成にしている
- 事業所の人事制度に関する方針(人材像、職員育成・評価の考え方)を明示している
- 事業所が必要とする人材を踏まえた採用を行っている
- 適材適所の人員配置に取り組んでいる
2. 職員の質の向上に取り組んでいる
- 職員一人ひとりの能力向上に関する希望を把握している
- 事業所の人材育成計画と職員一人ひとりの意向に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
- 個人別の育成(研修)計画は、職員の技術水準、知識、専門資格の習得(取得)などの視点を入れて策定している
- 職員一人ひとりの個人別の育成(研修)計画に基づいて、必要な支援をしている
- 職員の研修成果を確認し(研修時・研修直後・研修数ヶ月後など)、研修が本人の育成に役立ったかを確認している
1. 職員一人ひとりの主体的な判断・行動と組織としての学びに取り組んでいる
- 職員の判断で実施可能な範囲と、それを超えた場合の対応方法を明示している
- 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに学ぶことに取り組んでいる
- 職員一人ひとりの研修成果を、レポートや発表等で共有化に取り組んでいる
2. 職員のやる気向上に取り組んでいる
- 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価・報酬(賃金、昇進・昇格、賞賛など)が連動した人材マネジメントを行っている
- 就業状況(勤務時間や休暇取得、疲労・ストレスなど)を把握し、改善に取り組んでいる
- 職員の意識を把握し、やる気と働きがいの向上に取り組んでいる
- 福利厚生制度の充実に取り組んでいる
1. 事業所が蓄積している経営に関する情報の保護・共有に取り組んでいる
【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】

【講評】
施設開設以来40年以上にわたり視覚障害者の職業開発と社会参加の促進に寄与している
当施設は昭和51年4月の開設以来40年以上にわたり、視覚障害者の職業開発と労働を通じた社会参加の促進に寄与している。就労継続支援B型の事業で実施しているテープ起こし(議事録作成)を中心とした生産活動は、平均工賃月額が110,250円(平成28年度実績)となっており、日本一の水準となっている。就労移行支援事業では、一般企業等への就職を目指して、基礎コース、応用コース、速記コース、ビジネスワークコースの4コースが準備されている。事業開始から5年間で70名の新規就職者を出しており、その実績をさらに伸ばしている。
朝礼やホームぺージの活用により、利用者・家族にも方針や重要事項を周知している
「1.視覚障害者の職業を開発し、訓練と支援を行い社会参加の促進を図る。2.利用者の意向を尊重し、多様な福祉サービスが総合的に提供されるよう創意工夫する。3.利用者の個人の尊厳を保持しつつ、自立した生活を地域社会において営むことができるよう支援する」という基本理念を玄関ホールや利用者食堂に掲示しているほか、ホームページや機関誌に掲載して、利用者や家族に周知している。ホームページには文字を拡大表示する機能があり、機関誌は文書読み上げ装置に対応している。重要事項については、毎週の利用者朝礼において伝えられている。
各種会議や朝礼など、組織内の意思決定プロセスや情報共有が有効に機能している
組織内で実施される各種会議や朝礼を活用して、意思決定プロセスや情報共有が有効に機能している。組織規程に基づき、施設運営に関する重要事項を検討する幹部会議が設置されており、同会議で決定した重要事項や連絡事項は毎朝の朝礼や、職員全体会議で職員に周知されている。職員全体会議は毎月開催されており、部門・担当間の連絡調整を行う場となっている。職務分担表において各部門の役割分担も明確になっており、事務、就労継続支援B型、就労移行支援、職業能力開発訓練、講習会事業などの部門ごとに果たすべき職務内容が明示されている。