評価結果
基本情報
事業者の理念・方針・期待する職員像
事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)
1)利用者自身の意思が尊重される様に、またはできるだけひきだし、いきいきと生活できるようにします。 2)スケジュール管理せず、利用者が主体的に活動できるよう支援します。 3)安全の確保は重視しますが、抑制過度な行動制限にならぬように支援します。 4)集団の力を活かし、互いに助け合い、補いあって生活できるよう支援します。 5)家の中だけでなく、地域の一員として暮らしていけるように支援します。
職員に求めている人材像や役割
人と人との関りであること忘れず、当たり前に向き合うことができる。 日常の当たり前の生活を維持するために、柔軟に様々な視点から物事を捉えて取り組む事ができる。
職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)
主役の利用者の黒子となり、いきいきと生活でき、感情が動く関りを意識した支援。 健康面、安全面にも目を向け、対策の検討だけでなく、展開していける。
全体の評価講評
特によいと思う点
家庭での「当たり前の暮し」を利用者と共に作り、味わってもらえるように、食事、掃除、洗濯などの家事の力を可能な限り引き出し、発揮して主体としての生活が出来ることを支援の柱にしている。重度化が進み、自ら発信できることは少なくなっても、職員の細やかな気配り、観察力のあるケアで、ひとり一人の願いを受けとめ、その人のペースにあった、ゆったりした暮らしを追求している。リビングは快適な空間であり、まとまったものが作れなくなった利用者も、色を付けたり、折ったり、ひとり一人が関わった季節感のある作品で飾られている。
毎月の「一か月のまとめ」、家族会や運営推進会議での交流、計画見直し時のアンケート、誕生会の行事など多くの取り組みで、家族との関係は密であり、アンケートにも見られるように家族からのホームへの信頼感は厚い。家族からも「あれ、できてますか?」「このところどうですか?」などと声が寄せられる。できないことが増えていく中で、「ここ、がんばってます」「こうできるようになりました」と積極面を伝えていくことで、家族の安心感が増し、利用者の励みにもなっている。
利用者の状況や家族の要望等は、各種書類で詳細に記録しており職員間で共有している。利用者の情報は「入居前記録」「アセスメントシート」「「モニタリング」「週間サービス早見表・実施表」「日々の記録」などそれぞれの目的で作成されており、職員は各書類に書くべき情報をきちんと管理している。。特に毎日の状況を記録する「日々の記録」は、医療、家族とのやり取りなど色分けして書くことで、一目でわかるように工夫している。職員は支援に入る前に必要な記録を読む時間を保障されており、利用者の状況を把握して支援にあたっている。
さらなる改善が望まれる点
年令を重ね利用者のADLの低下は防ぎきれない。調理ではできる事が少なくなり、職員の負担が増えている。常時4人の食事介助が必要なので、職員は緊張が続く。排泄介助もほぼ全員が何らかの形で必要になっている。細かく手を加え、生活の質を保とうと努力しているが、あらゆる面で対応の変化が求められる。少しでも安定した快適な暮らしを実現するケアを目指してほしい。
支援に必要なマニュアル類はマニュアルファイルとして整備されているが、事業所としては見直しを考えているとのこと。職員は支援でわからないことなどマニュアルを確認しているが、先輩職員に聞くことも多い。ケアの方法など変化している部分もあり、マニュアルの見直しは必要になっている。また職員みんなで考えることで、ケアの力をつける事にもなり、内容の充実と更なる活用をめざして取り組みを進めていただきたい。
職員間の意思の疎通は日々の支援に欠かせないものであり、チームワークの良さは利用者や家族に安心感を与えている。事業所としては、面会に来る家族に伝えることなど、口頭でのやり取りで終わってしまっていることも多いとのことで、言葉だけでなく記録に残して職員間で共有できるようにしたいと考えている。記録する時間が取れないなどの課題はあるものの、出来ないことが増えていく中で利用者ができるようになったことや家族の思いなど、記録として伝えていく取り組みに期待したい。
事業者が特に力を入れている取り組み
勤務時間の初めの10分で、利用者個々の「日々の記録」と「週間利用者サービス早見表」を読み、ひとり一人の状況を把握してからケアに臨む流れが出来ている。「日々の記録」の書式は書きやすく、わかりやすいように工夫され、毎日のケアにいかされている。医療が青、家族との関わりが緑、日勤が黒、夜勤が赤で記入する、S(情報や言葉)O(観察)A(判断・気づき)P(計画)と意識して記入する、などが職員間で共有され、支援に活かされている。
平均年齢90才、介護度3.8と重度化が進んで、発信する力の衰えも見える。その中でも丁寧なアセスメントと観察で気持ちを引き出し、「できること」を見出し、日常の家事に取り入れている。料理なら、切る、混ぜる、盛り付ける、拭く、しまうなどその人に可能で、適切な作業を頼む。職員は優しく促し、見守り、声を掛け、手助けをして、調理を進めていく。不安なようすで、職員の視線を捉え、確認しながら作業する利用者の姿が見られる。仕上げた時には、笑顔が浮かぶ。家事をともにし、ホームの生活を作っている気持ちを見て取ることができる。
体調を崩して入院した利用者は、回復して事業所に戻ってきても体力や気力が衰えていることも多いという。職員は「お帰りなさい。よかったね、待っていたよ。」などと出迎え、以前と変わらない声掛けやおしゃべりで本人の気持ちを盛り上げ、生活の中で徐々に体力や気力の回復を図っている。基本は体調を崩すことなく元気で生活できることで、食事や水分をしっかりとることや体を動かすことなどで、病気の予防や早期の変化を見逃さないようにするなど、利用者の健康管理にも職員が一体となって取り組んでいる。
利用者調査結果
調査概要
- 調査対象:アンケートは入居者9人全員のご家族に用紙を送付した。場面観察は共有スペースのリビングで過ごしている入居者を対象に行った。
- 調査方法:アンケート方式,場面観察方式
アンケートは事業所から、ご家族に送付していただき、回答は同封の返信用封筒で評価機関に直接返送していただいた。場面観察は、評価者2名がリビングでの生活を観察した。 - 有効回答者数/利用者家族総数:8/9(回答率 88.9% )
家族アンケートの総合的な評価では、4名が「大変満足」、3名が「満足」とグループホームでの生活にご家族が信頼を寄せている様子が見て取れた。個別の問いでも、11以外の問いに、7~8名の方が「はい」と返答しており、ホームでの安定した生活が読み取れる。11の問い「困ったときに、外部へ相談できることを知っているか?」に、「はい」の比率が低いことについては、意識した取り組みが必要と思われる。場面観察では洗濯、調理など家庭的な生活を作り出す努力がケアの重要な部分である様子がわかる。不安感の強い入居者への、ゆったりしつつ、たゆみない働きかけなど、入居者ひとり一人の特性を理解したケアが確実に行われ、その人らしい安心できる生活が営まれていることがつかめた。また、入居者同士の言葉のやり取りも多く、関わり合いが豊かであることもわかった。
アンケート結果
1.家族への情報提供はあるか
全員が「はい」と答えている。特にコメントはない。
2.事業所内の清掃、整理整頓は行き届いているか
87.5%が「はい」。特にコメントはない。
3.職員の接遇・態度は適切か
全員が「はい」と答えている。特にコメントはない。
4.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
87.5%が「はい」。特にコメントはない。
5.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
87.5%が「はい」。非該当が12.5%。特にコメントはない。
6.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか
全員が「はい」。特に「はい」に二重丸をつけ、「とても良くしてくれていると思います」とのコメントがある。
7.利用者のプライバシーは守られているか
全員が「はい」。特にコメントはない。
8.個別の計画作成時に、利用者や家族の状況や要望を聞かれているか
全員が「はい」。「良く話を聞いてくれます」とのコメントがある。
9.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
全員が「はい」。特にコメントはない。
10.利用者の不満や要望は対応されているか
87.5%が「はい」。特にコメントはない。
11.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
62.5%が「はい」。特にコメントはない。
調査時に観察したさまざまな場面の中で、調査の視点に基づいて評価機関が選定した場面
朝食後のゆったりしながら、家事を進める時間帯のリビング。落ち着かない様子の利用者のAさんに、職員は「パジャマ、畳んでもらえる?」。丁寧にパジャマの上着を畳み始めるAさん。しばらくすると、「すみません、ちょっと」と職員に声をかける。「これでいいの?」何度も聞いて不安そうである。「これは誰のかしら」と職員と一緒に記名を探し、「○・○・○」と読み切ると、声をあげて笑いがこぼれた。その後も、サラダとジュースの盛り付けを、やり遂げていき、職員の「ありがとう」の声に、笑顔を見せていた。
選定した場面から評価機関が読み取った利用者の気持ちの変化
Aさんは、お腹を押さえてトイレに立ったり、落ち着かない。腰かける時も「ここでいいの?」と記憶の不確かさに不安感が強いようだ。職員は仕事を共にすることで、安定した時を過ごせるようにしている。職員はその人らしさを捉えた仕事を頼み、たびたび声をかけ、手を添えて手伝ったりして一人一人が力を出せるようにしている。Aさんは袖と袖を合わせて、ボタンを留めてというパジャマを畳む手順は身についているのだが、常に自信がなく、不安そうである。わからなくなると、職員に声をかけ、適切なケアにより、一つ一つ分かって仕事を仕上げていくAさんの表情にはゆとりが生まれていった。かなり難しいパジャマを畳むこと、ジュースとサラダの人数分の盛り付けをやり切った。その間、トイレに立つこともなく、安定した様子であった。この安定感は、日常生活の中で培われた職員との信頼関係がベースと考えられる。
サービス分析結果
【講評】
パンフレットでは「入居者と職員とで一緒に暮らす“家”」と紹介している
事業所情報はパンフレットやホームページで提供している。パンフレットには事業所の基本理念や運営方針がわかりやすく簡潔に書かれているほか、概要には「入居者と職員とで一緒に暮らす”家”です」と紹介している。入居者がそれぞれの能力を活かし、料理や洗濯、掃除などしながら笑顔でその人らしく生活することを目標にしている。このパンフレットは見学時やイベントなどでも提供しており、ホームページでも事業所の特徴や気になる利用料金を一覧表でわかりやすく伝えている。
行政や関係機関に事業所情報を提供している
運営推進会議は年6回開催しており、区の担当者や地域包括支援センター、地域の民生委員、入居者、家族なども参加している。この会議で事業所の活動計画や現状を報告している。また区には毎月「運営状況報告」と「1か月のまとめ」を送付している。区主催の「介護フェスタ」ではパネルを使ったグループホームの事業所紹介などもおこなっている。区内の介護事業所全体の集まりである「事業所連絡会」にも参加し、他事業所との情報交換や区からの情報収集もおこなっている。
利用希望の問い合わせや急な見学にも柔軟に対応している
電話での問い合わせは、ケアマネジャーからや区の福祉担当者、区内の介護事業所を紹介しているハートページを見たというかたからが多く、急な見学にも柔軟に対応している。管理者が不在の場合でも職員が対応できるようになっており、必要ならば後日管理者から連絡することにしている。事業所と同じ建物には、訪問看護ステーションや複合型サービス事業所もあるため、状況によっては他のサービスを紹介するなど情報交換し、お互いに連携を密にしている。
1.利用希望者等に対してサービスの情報を提供している
- 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
- 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
- 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
- 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
サービス開始にあたり、重要事項説明書などで詳しく説明し同意を得ている
サービス開始にあたり、重要事項説明書などで詳しく説明し、同意を得ている。特に利用料金や苦情対応、緊急時の対応など丁寧に説明している。医療依存度が高くなったとき、例えば胃ろうやインシュリン注射が必要になった時などは、当事業所では対応できないことも伝えている。またはじめに利用者や家族の意向もきちんと把握して記録している。
利用開始直後の、不安やストレスの軽減に努めている
事前面接に所長がいくことで、入居時、見たことがある人がいるという安心感を与えたり、声掛けを多くして職員みんなで見守るなど、利用開始直後の不安やストレスの軽減に努めている。入居に際しては、今まで使用していたベッドやタンス、テーブルなど馴染みのものを持参してもらい、安心して新しい生活が開始できるようにしている。
入居前の生活を詳しく把握し記録して、以前の生活をふまえた支援をおこなっている
入居前の生活の様子は、家族に「入居前記録」として詳しく記入してもらっている。生活歴としては幼少期から結婚・子育て・老年期へと、どこで・誰と・どのような生活をしていたか。また大切にしていることとして、好きな食べ物・歌・色・場所、大切な人、趣味・特技など。他に1日の生活の様子など詳しく把握している。この記録をもとに以前の生活をふまえた支援へとつなげている。
1.サービスの開始にあたり利用者等に説明し、同意を得ている
- サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を利用者の状況に応じて説明している
- サービス内容や利用者負担金等について、利用者の同意を得るようにしている
- サービスに関する説明の際に、利用者や家族等の意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
- サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
- 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
- サービス利用前の生活をふまえた支援を行っている
- サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
【講評】
利用者の身体状況など、アセスメントシートに詳しく記録し把握している
利用者の身体状況などは、アセスメントシートに詳しく記録し把握している。症状の有無、生活全般の自立度などのチェック以外にも文章で詳しく利用者の状態を記載している。利用者状況については、3か月に1回モニタリングをおこなっており、「モニタリング実施記録表」で確認、管理している。ケアプランはモニタリングをふまえてカンファレンスを行い定期的に見直し作成しているが、利用者に急な変化があった時は、その日いる職員で緊急のカンファレンスをおこない計画の見直しにつなげている。
利用者の状況や変化した時の記録は充実している
利用者個々の日々の支援は、「週間サービス早見表・実施表」で詳しく記録している、計画にそった1日の必要な支援を縦軸に、1週間分の実施記録を横軸に書いていく書式で、1週間の変化がすぐわかるようになっている。日常生活の様子は「日々の記録」に詳しく記録しており、内容によって文字の色を変えて見やすく、確認しやすいように工夫している。記録には変化があった時は必ず書くようにしているが変化がないと書かないことも多いため、普段できていること、できるようになったことも書くようにしたいとのことで、更なる記録の充実に期待したい。
利用者情報は記録に残し、職員間で共有している
利用者情報は個人ファイルに整理されており、職員はいつでも確認できている。職員は出勤すると10分間記録を読む時間が保障されており、利用者の状況を確認して支援にあたることができている。また日々の利用者の状況は毎日の申し送りでも引継ぎ、職員間で共有している。
1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している
- 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
- 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
- アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の介護計画を作成している
- 計画は、利用者の希望を尊重して作成、見直しをしている
- 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
- 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
3.利用者に関する記録が行われ、管理体制を確立している
- 利用者一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
- 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している
- 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
- 申し送り・引継ぎ等により、利用者に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
1.認知症対応型共同生活介護計画に基づいて自立生活が営めるよう支援を行っている
- 個別の認知症対応型共同生活介護計画に基づいて支援を行っている
- 利用者一人ひとりがその人らしく生活できるよう支援を行っている
- 関係職員が連携をとって、支援を行っている
【講評】
毎日のスケジュールを管理せず、ひとり一人のペースで生活している
スケジュールで区切らず、利用者ひとり一人の生活のペースが保たれるように支援している。朝は、声をかけて起きてきた利用者から、着替え、排泄、洗面などのケアをすませると、リビングに向かう。「まだ早いでしょ」と自室に戻り、休む利用者もいる中で、9時頃に朝食になるが、食べるペースもそれぞれになる。その人らしい暮らしの支援がホーム運営の基本となり、穏やかな生活が営まれている。午後には自室などでゆっくりした時間の流れで生活しているが、「やることあったら、呼んでね」と利用者が職員に声を掛けたりもする。
利用者の日々の記録が完備し、わかりやすく記入されて支援に活かされている
利用者それぞれについての「日々の記録」は書式が書きやすく、わかりやすいように工夫され、毎日のケアにいかされている。「日々の記録」は医療が青、家族との関わりが緑、日勤が黒、夜勤が赤で記入する、S(情報や言葉)O(観察)A(判断・気づき)P(計画)と意識して記入する、などが職員間で共有され、勤務時間の初めの10分で、週間サービス早見表と共に読むことで、利用者の状況をつかんでケアに入る流れができている。必要な場合には、医療とも状態の確認・報告がされる。
定期または随時のモニタリングやカンファレンスで課題を検討し計画を見直している
3か月に一回の定期的なモニタリングに基づき、カンファレンスをおこなう。転倒の多い利用者には、人体図を用いてアザなどの有無を確かめ、前や横への身体の傾きなど、歩き方の変化を介護者で話し合った。靴の妥当性、歩行誘導の方法、注意すべこときなどを検討し、改善策を出し合い、計画を見直して、職員で共有して支援に活かしている。計画見直しの時には家族の意向を聞くためにアンケートを実施し、家族は「疲れやすくなった」などと利用者の変化、職員に望むことなどを書き込み、それを反映して見直しをしている。
2.利用者の状態に応じて、日常生活に必要なさまざまな作業等を利用者が主体的に行うことができるよう支援を行っている
- 食事に関する一連の作業等利用者の生活場面では、利用者の主体性と能力を活かして支援を行っている
- 利用者一人ひとりに応じた生活への参加ができるよう工夫をしている
- 利用者の心身の状況に応じて、生活するうえで必要な支援(食事や入浴、排泄等)を行っている
- 各種手続きや買い物等日常生活に必要な事柄について、利用者本人による実施が困難な場合に代行している
【講評】
食事のメニューは利用者を中心に考え希望を取り入れて献立を立てている
毎食のメニューを決めるのに、利用者の希望が出にくいときには「ご飯、パン、麺?」「なすがあるけどどうやって食べる?」と選択肢を用意し、発信を引き出す工夫をしている。平均介護度が今年度3.8と重度化する中で、一緒に調理できることは減ったが、野菜を切る、混ぜる、盛り付ける等能力に応じて作業してもらっている。作業中も不安感を持つ利用者を見守り、手伝い、声掛けを欠かさないので、安心して利用者はそれぞれのできることをおこなっている。
ひとり一人の今、持っている能力に合わせて生活を支える家事に参加している
重度化に伴い一回に行けるのは一人、多くてもニ人であっても、買い物は天気のいい限り、毎日のように近くのスーパーなどへ利用者と職員で出かけ、食品を選択し、購入している。洗濯物を畳むことは、リビングでほとんどの利用者の手によって行われている。かなり難しい上着もスムーズに畳まれていく。「これはこうした方がいい」「気を付けてね」などと利用者間の関わりも生まれる。畳むと、利用者個々の籠に入れられるが、「誰のかしら?」と記名を確かめ、職員の援けで読み取れると、明るい動作で籠に入れている。
細やかな観察と記録の共有ですべての利用者が力を発揮できる生活が営まれている
入居時からの丁寧なアセスメント、日常の細やかな観察、働きかけでその人にあった支援内容が組まれている。出来ることを失わさせず、少しでも伸ばし、出来なかったことが出来るようになるために課題を見出し、意識的に支援が進められている。排泄はほぼ全員が介助の必要な状態であるが、リビングにいる時にも、タイミングを見て目立たないように声掛けをし、促して、出来ることを保持し、快適な暮らしができるように努めている。
3.利用者の健康を維持するための支援を行っている
- 利用者の心身の状況に応じた健康管理を行っている
- 日常生活の中で、利用者一人ひとりの状態に応じて身体を動かす取り組みを工夫している
- 服薬管理は誤りがないようチェック体制の強化などしくみを整えている
- 利用者の体調変化時(発作等の急変を含む)に、医療機関等と速やかに連絡できる体制を整えている
【講評】
食事の形態を工夫し食べやすく、事故を防ぐこともできるようにしている
食事については、嚥下の難しさから、刻み、ミキサーなどの特別食の工夫が必要な利用者が増えてきた。共に調理しながら、刻みにしたり、作った料理の一品をソフト食に差し替えたりすることで、その人の能力に合わせつつ、家庭で一緒に食事する形を維持している。特に繊維を分解してあり、噛みにくくても口中に残らないソフト食を近年導入してきた。食事時には、介助の必要な利用者に付き添いつつ、他の利用者にも、声掛けして促し、ほとんどの利用者が食べきっていた。
協力医療機関、訪問看護などとの連携が密である
同じ建物内に訪問看護とクリニックがあり、日常的に密に確認し、連携していることにより、利用者や家族の安心感が大きい。特に、入院退院時には落ちてしまったADLを取り戻すために医師・リハビリ・看護とも協力して、日常生活の中で身体を動かし回復に努めている。入眠剤なども使わず、暮らしの中で身体を動かし、眠れなければ時には付き添って自然な睡眠がとれている。
利用者の転倒防止などの安全には特に留意している
平均年齢90才、平均介護度3.8となり、日常の動作にも不安定さが大きい。転倒による怪我はADL 低下の大きな引き金になる。ひとり一人の動作を細かく把握し、個室内の手すり、手をつく台などを工夫している。動作を綿密に解析し、立ち上がりの危険を減らすために、家族の協力でモーター付きベッドに変えることもある。夜中のトイレへの事故を防ぐために、ポータブルトイレを導入するなどを試みている。うまく使える例もあるが、認識しきれず、トイレに行こうとするなど、使いこなすことが難しいこともある。安定した生活のために工夫している。
4.共同生活が楽しく快適になるよう工夫している
- 利用者がお互いに関わり合いながら楽しく生活することができるよう支援を行っている
- 事業所での生活は、他の利用者への迷惑や健康面に影響を及ぼさない範囲で、利用者の意思が尊重されている
- 居室や食堂などの共用スペースは、利用者の安全性や快適性に配慮したものとなっている
【講評】
家庭生活をともにし家事を補い合うことで互いの交流が図られている
利用者がテーブルを囲んで、洗濯物を畳むなどの家事を一緒にする中で、「もっと伸ばした方がいい」「まだ濡れている」「そうするんじゃないよ」と利用者同士の関わりがあり、時には気持ちの対立することもある。職員がなだめたり、気持ちを別の方向に向けたりして間に入る。他の入居者の退院や回復を喜び合うなどの家庭的な意識も育っている。
共有スペースが居心地の良い場所になるよう、季節の飾りつけなどを心掛けている
月一回の習字、フラワーアレンジメントの作品も展示し、「できること」に家族も喜びを持って受け止めていた。まとまったことが出来なくなった利用者には、色を付ける、切るなどの手作業を頼んで力にあったことを共にし、それがリビングなどの季節感のある飾りつけになっている。特別に「レクの時間」などは設けていないが、時間の空いた時には、懐かしい歌を歌ったりもしている。自然に体を動かす体操やレクも取り入れられるといい。
個室は入居前に使っていたものが持ち込まれ、その人らしい空間となっている
約6畳に押し入れのついた個室は、その人が馴染んだ物を持ち込んでもらえるよう、パンフレットでも、入居前の説明でも強調している。タンス、カーテン、ベッド、仏壇など本人が使っていたものを用いて毎日が過ごされていくことを重視している。そのうえで、タンスなどには、内容をわかりやすく表示し、自分でしまう、職員の手助けでしまうなど、自分に関わる家事を出来るだけやれるようにケアしている。ADLによっては、ベッドを変える、手すりを付けるなど細かな配慮がされている。
5.事業所と家族等との交流・連携を図っている
- 家族や利用者の意向を考慮して、家族等が参加できる事業所の行事を実施している
- 利用者の日常の様子を定期的に家族に知らせている
- 家族等が事業所等に対し、意見や要望を表せる機会を設け、それらを活かした支援を行っている
- 重度化した場合や終末期に備え、あらかじめ本人や家族等と話し合い、事業所でできることを説明しながら、方針を共有している
【講評】
契約時に終末期ケア対応指針を説明し、同意を得て更に体調変化時にも確認している
急性期・重度化・終末期ケア対応指針を整備し、契約時に説明、同意を得ている。体調変化時に確認し、また適宜より良い対応を検討している。なじみの、本人の希望する場所で最期まで暮らせるよう、看取りに対応する基本のもと、家族・医療機関と、協力して昨年、1名の方をホームで見送った。
毎月、「一か月のまとめ」と「ようす」を家族に送付している
毎月、「一か月のまとめ」を送付し、医療状況、水光熱費や食費などを報告すると共に、ホーム全体の行事などをお知らせしている。また、同時に「一か月のようす」を出し、イニシアルだが、全体、個別の状況を伝えている。「散歩の帰りに人形焼を買い、店員さんと笑顔ではなしたこと」「『はじめてのおつかい』を見て、かわいらしさに声をだすようす」「退院した方もそろって9人となり、お祭りの抽選でおコメが当たってうれしいことの重なった日」などひとり一人が大事にされた生活が眼に浮かぶ内容である。
毎月の誕生会、納涼祭など家族も参加しての行事が行われている
毎月、個別や合同の誕生会には家族も参加し、祝っている。年に2回の家族懇談会には、過半数程度の家族が参加し、ホームの生活について話し合っている。家族同士で話が深まる様子も見られ、交流の場になっている。ホームを訪れる家族も多く、互いにようすを伝え、相談し、確認するなど、家族との関わりは密である。家族からの施設への信頼感はアンケートにも読み取れる。
6.利用者が地域で暮らし続けるため、地域と連携して支援を行っている
- 地域の情報等を収集し、利用者の状況に応じて提供している
- 利用者が地域のさまざまな資源を利用するための支援を行っている
- 利用者が地域とつながりながら暮らし続けられるよう、事業所が利用者と共に地域の一員として日常的に交流している
- 運営推進会議で話し合われた意見を活かして支援を行っている
- 区市町村や地域包括支援センターと日頃から連絡を取り、協力関係を築きながら支援を行っている
【講評】
運営推進会議が年6回定期的に開かれ、家族や地域との交流の場となっている
運営推進会議は同建物内にある複合型との合同も含め,年に6回の定期開催が定着している。地域包括、民生委員に加え、利用者、家族、職員も参加し、会議だけではなく、食事会、口腔衛生学習会、と内容もバラエティに富んでいる。また、消火器訓練や、避難訓練も同時に行っている。ゼロメートル地帯,4階5階という高層階にあることから、防火扉の確認や、待機することなどは常に徹底している。区の「事業所連絡会」や、介護フェスタなどにも加わり、情報を得、発信している。
町内会に入って地域の行事には積極的に参加している
町内会に入っている。回覧版で呼びかけられた近くの神社にある町内会館の掃除にも参加し、雑巾がけ等できることで協力し、感謝されたこともあった。今年の神社の秋祭りでは、小雨の中、合羽を着て参加。立派なおみこしを見たり、抽選でおコメを当てるなど、地域の人達と楽しんだ。正月の餅つきなどにもできるだけ参加している。
できるだけ買い物、散歩で外出し、体力保持と共に地域との交流に役立てている
天気がいいと、かわるがわるであっても、できるだけ多くの利用者が散歩や買い物にでる。近くの神社をお詣りするために毎回の賽銭を家族が用意している利用者もいる。公園に行き、子どもたちが遊んでいるのを見ると、利用者は子どもの動きを眼で追い、笑顔が浮かぶ。犬も大好きだ。笑顔で応対する人形焼の店員さんに、利用者も笑顔で話しかけ、気持ちの張りになっている。
【講評】
利用者のプライバシー保護に努めている
契約時、利用者や家族の情報を使用することについてやプライバシー保護については詳しく説明し、家族の同意も得ている。ホームページへの写真の掲載も改めて確認をしている。利用者宛の郵便物は開封せず各自の書類ボックスに入れて“郵便物あり”とわかるように印をしておき、家族の面会時に渡したり、郵送したりしている。
利用者のプライバシーや羞恥心、生活習慣に配慮した支援に努めている
職員は日常生活の中で利用者の羞恥心やプライバシーに配慮した支援を心がけており、特にトイレへの誘導時など、耳元で小声で話しかけたり、ドアの開閉にも心配りしている。部屋に入るときはノックをしたり、洗濯物をしまいに行くときは利用者に部屋に入ることを確認したり、一緒に行くなどしている。着替えの支援で部屋に入るときも、ドアを閉めて1対1でおこなうようにしている。また利用者の生活習慣は「入居前記録」で詳しく把握しており、生活習慣にも配慮している。
職員は虐待についてなど、繰り返し学習している
職員は虐待やプライバシー保護について、入職時はもちろん、法人の制度教育や事業所の学習会でも繰り返し学習している。利用者に対して気になる言動などあるときは職員間でも振り返り、年1回の所長との面接などでも確認している。また法人として「利用者権利擁護指針」を策定しており、利用者の基本的人権を侵害することなく、ひとり一人のニーズに応える支援をおこなう為の視点や行動を詳しく規定している。職員はこの指針に基づいて日々の支援にあたっている。
1.利用者のプライバシー保護を徹底している
- 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
- 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い、利用者のプライベートな空間への出入り等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
- 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
2.サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している
- 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
- 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
- 虐待被害にあった利用者がいる場合には、関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
- 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
【講評】
サービスの基本事項はマニュアルを整備している
サービスの基本事項はマニュアルが整備されている。職員は誰でもすぐ見られるように事務所に保管しており、わからないことなどはこのマニュアルファイルで確認している。提供しているサービスがマニュアルに沿っているかは、面接時の自己評価や管理職による他己評価をおこなっている。スキルチェックは入職時や新しいサービスを始めたときなどおこなっているが、定期的にはおこなっていない。
職員の意見や提案を職場会議で確認し実行している
職員の意見や改善に対する提案は、毎月の職員会議で確認し、改善に取り組んでいる。サービスの内容だけでなく、この間環境面での整備が進んでいる。食器棚の食器を見直し、要らないものはバザーに出し、よく使うものを手前にして取り出しやすくしたこと。事務室内の書類を整理して棚などの配置を変え、使いやすくしたりした。小さな提案でも大事にして取り組んでおり、職員が何でも言える雰囲気を作っている。
職員に学習する機会を提供し、業務水準の確保に努めている
職員には法人主催の制度教育やスキルアップ研修、事業所内での学習会など、学ぶ機会を多数提供している。外部で研修してきたことを、事業所内で講師として伝えていくなどの取り組みもおこなっている。職員は自分から目標をもち積極的に学習会などに参加しているが、人数制限のある研修等もあり参加できないこともあるという。研修や学習会の報告書の見直しも考えており、より振り返りのできる内容にしたいとのことで、今後の取り組みに期待したい。
1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
- 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
- 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
- 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
- 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている
- 職員一人ひとりが工夫・改善したサービス事例などをもとに、基本事項や手順等の改善に取り組んでいる
3.さまざまな取り組みにより、業務の一定水準を確保している
- 打ち合わせや会議等の機会を通じて、サービスの基本事項や手順等が職員全体に行き渡るようにしている
- 職員が一定レベルの知識や技術を学べるような機会を提供している
- 職員全員が、利用者の安全性に配慮した支援ができるようにしている
- 職員一人ひとりのサービス提供の方法について、指導者が助言・指導している
- 職員は、わからないことが起きた際に、指導者や先輩等に相談し、助言を受けている
事業者のコメント
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評価情報
【評価実施期間】
2017年7月14日~2017年12月28日
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事業者のコメント
家事の中でも、様々な場面において一人ひとりの入居者の方の能力『何ができるのか・何ができないのか』を把握した上で職員は声をかけたり、お願いの仕方・説明を変化させています。 能力の把握と合わせて本人の気分や体調・他者との関係性や環境といった日々異なる部分についても意識を持った上で支援する必要があると考えます。また、出来ることをやっていただく事は本人の能力を
引き出す一つの支援ではありますが、ただそれだけを求めるとなると「やらされている・やらせている」という構図になり、認知症を伴う入居者にとってはそれらにやりがいを持つことは難しくなります。
本人が自ら行動する事と合わせて、それに対する評価や承認をその場で伝えること、他者と共感すること(感情が動く支援)が、ただの作業・残存能力の活用にとどまらないそれ以上の喜びや楽しみに繋がると考えています。それら働きかけにより、自ら発信・行動するということへも再び繋がっていけるように意識的に支援をしています。