評価結果
基本情報
事業者の理念・方針・期待する職員像
事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)
【基本理念】「健康で 明るく 個性豊かな 子どもに育てよう」
【事業の目的及び運営目標】愛恵会乳児院は、法人の理念を踏まえ、児童福祉法第1条の規定や児童憲章の条文を具現化する事を事業の目的とする。
【基本方針】私たちは「愛(いつく)しむ心」を大切に育みます。
職員に求めている人材像や役割
「話し合うことで職員相互の理解を深め、最善の方法を検討し選択して対応に当たる。対応は、一定期間継続させた後、結果の検証を行い、そこから次の対応を導き出す。」という作業のできる人材。
職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)
・内部研修及び外部研修を通して、常にそれぞれの専門性の向上に努める。
・後輩職員指導、スーパーバイズのできる中堅職員及び上級職員の育成に努める。
・職員は、正しい子ども理解と最善の対応方法を求めて、自己研鑽に努める。
全体の評価講評
特によいと思う点
施設では事故の未然防止を組織的に実践している。職員は事故防止マニュアルと事故防止チェックリストを持ち、施設内外や子どもの周辺に事故につながる要素がないか日々点検・対処している。その経緯や内容はこまめにヒヤリハット報告書に記録し、毎月クラス毎に集計・分析して話し合い、事故予防委員会で審議し施設全体として共有している。チェックリストは養育者自身が持つリスクに意識を向け、観察眼を高めながら安全点検を行っている。報告書は書き易く簡素化し、詳細な分析が可能な書式に改善され、施設の組織的な取り組みは高く評価される。
施設長を始めとし、里親支援専門相談員などの職員は、地域や関係機関に施設の活動内容や里親制度の取り組みを知ってもらうことへ意欲的に取り組んでいる。里親支援に関するリーフレットを作ったり、新しく作成したホームページに、会計公開や施設の活動内容を記載している。広報誌にも、施設の現状を載せたり、地域や関係機関への情報提供も掲示や配布、回覧板を活用し伝達している。見学者からも疑問に感じた点を出してもらうよう働きかけている。施設の活動内容や社会的意義を外部に広める体制を整え、施設の透明性を高めている。
家庭復帰や里親委託に関しては、家庭支援専門相談員と里親支援専門相談員が、児童相談所への細やかな情報提供など密に連携を図りながら支援している。心理療法担当職員は、部屋の職員との交換ノートで子どもの様子を知らせたり、親の面接を行うなど、多方面で取り組み職員に情報発信している。食事に関しては、調理担当職員が食事中に子どもの様子を見に行ったり、職員からのフィードバックを得てメニューや提供の仕方を見直すなど、連携を図りながら給食の改善に取り組んでいる。専門職の熱意と連携によって、子どものより良い養育を支えている。
さらなる改善が望まれる点
月ごとの養育・個人計画や、養育・個人計画の項目を細かくした「あゆみ」で子どもの発達状態を把握し、次月の目標を立てるなど、一連の個別の養育の目標立てや評価・反省する計画書の流れはできている。また、発達検査や発達歴のチェックもしているが、子どもの月齢や年齢に即した発達状態のチェックが、個別の養育計画と連動している状態になっていない計画書も見られた。個々の子どもの発達チェックをすることで、伸ばす必要がある能力を見定め、個別の養育計画に落とし込んでいくなど、連動された発達への支援のしくみ作りが望まれる。
利用者調査の場面観察では、院庭で子ども一人ひとりによく声を掛け、気持ちを受け止めた対応をしたり、遊びが広がるような働き掛けをする職員の姿が見られた。一方で、声のトーンや言葉遣い、職員間での指示のやりとり等に、養育環境として気になる場面も見受けられた。職員の良い芽を育て、施設全体の環境をより温かく、良いものとしていくために、養育のあり方を再検討することが望まれる。新院舎の建て替えを控えている今、小規模化に向けて話し合いを重ねており、養育のあり方を見直す良い機会として、前向きに取り組んでほしい。
今年度、事業計画の体制方針に基づくリーダー制度がスタートし、中堅職員による一般職員の実務指導が行われている。一方、今回の職員アンケートでは、指導者の育成や人材育成に賛否両論があり、その背景には各階層ごとに備えたい職員の実務能力や目標、人材育成計画など、一貫した制度の明確化と運用を求めているように感じられる。今後は職員の自己評価とチャレンジ計画、新任職員から一貫したキャリアプランに基づく育成の制度化など、中堅職員を中核にした期待感・達成感のあるチームワークと職場環境づくりに期待したい。
事業者が特に力を入れている取り組み
児童福祉法と児童憲章の具現化を目的に、当施設が期待する人材像に基づく人材育成計画を持ち、高い専門性を備える職員の育成に努めている。その取り組みとして今年度からリーダー制度を確立し、職員の指導を担うリーダーを任命している。より高度な知識と経験、視野を広めるために、施設内外の様々な年間の個別研修計画を持ち全職員が研鑽している。また事故防止や防災、衛生看護、調理など専門分野は現場職員と専門家を交えた委員会制度による活動で安全・安心な養育環境をつくっている。
入所に際して、保護者同伴の場合は、リーフレットを渡したり、独自に作成した簡潔で分かりやすい内容の「入所にあたってのごあんない」や「重要事項説明書」を里親支援専門相談員や家庭支援専門相談員が説明している。児童相談所からの児童票のほか、独自に作成した「入所記録」を記入している。入所記録は子どもの状況で必要な事柄が網羅された内容であり、一見して子どもの全体像や家族との関係が分かるものである。入所当日来所できなかった保護者には初回面会時に聞き取りや説明をし、他の職員にも周知徹底をしている。
家族再統合や里親委託に向けて、家庭訪問を積極的に行っている。乳児にとって危険な物を知らせたり、階段の柵などベビー用品について助言したり、子どもの入浴支援を実地で行うなど、これから始まる生活に寄り添った支援を行っている。里親委託に関しては、独自の書式で児童相談所に情報を提供している。「子どもの気持ちを受け止められる人」など、里親に期待する人物像や、子どもの心配な点を伝えるなど、ミスマッチを防ぎ、心の準備をした上で子どもを迎えられるように配慮している。交流時は子どもの様子をよく観察し、きめ細やかに支援している。
利用者調査結果
調査概要
- 調査対象:・入所乳幼児31名に場面観察調査を実施した。
・保護者にはアンケート調査を行った。アンケート対象世帯は21世帯であった。 - 調査方法:アンケート方式,場面観察方式
・乳幼児場面観察では午前中の活動を調査した。
・保護者アンケートは、面会時や郵送等で対象世帯に院より配布した。回収は、返信用封筒により直接評価機関に送付してもらった。 - 有効回答者数/利用者総数:10/31(回答率 32.3% )
総合的な感想の回答割合は、「よい」が60%(6名)、「ややよい」が30%(3名)、「どちらともいえない」が10%(1名)となっている。
設問別で、「はい」の回答割合が最も高かったのは、問7「職員の接遇・態度は適切か(100%)」と、問9「子どもの気持ちを尊重した対応がされているか(100%)」であり、全14問中、7個の設問において「はい」が80%以上となった。一方、「はい」が少なかった設問は、問2「防犯等の対策がとられ、乳幼児が安心して生活できる環境となっているか(60%)」、問10「子どもと保護者のプライバシーは守られているか(60%)」となっている。
前年度に比べると、多くの設問で「はい」の割合が増えているが、問11「個別の計画作成時に、利用者の状況や要望を聞かれているか」では「はい」の割合が減っている。
意見欄には、「必ず丁寧に様子を教えてくださるので、とても助かっていますし、親として安心できます」、「子どもが面会するたびに成長していて、職員の方々の真心がとても伝わってきます」などの意見が寄せられている。同時に、日ごろの生活について、子どもの担当者に直接話を聞きたいとの要望も出ている。
アンケート結果
1.生活環境は乳幼児にとって安全な設備になっているか
回答割合は、「はい」が70%(7名)、「どちらともいえない」が20%(2名)、「いいえ」が10%(1名)となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が7.8ポイント下降している。 自由記述欄には、新園舎の工事が行われていることについて意見が出ている。
2.防犯等の対策がとられ、乳幼児が安心して生活できる環境となっているか
回答割合は、「はい」が60%(6名)、「どちらともいえない」が30%(3名)、「いいえ」が10%(1名)となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が4.4ポイント上昇している。 自由記述欄には、出入り口の施錠に関する要望が出ている。
3.乳幼児の様子は家庭に連絡されているか
回答割合は、「はい」が80%(8名)、「いいえ」が20%(2名)となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が24.4ポイント上昇している。 自由記述欄には、電話をした際に教えてくれるという意見や、乳児院を訪問する頻度についての意見が出ている。
4.乳幼児との面会や外出、外泊には、保護者等の希望を聞いてくれているか
回答割合は、「はい」が70%(7名)、「どちらともいえない」が30%(3名)となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が25.6ポイント上昇している。 自由記述欄には、子どものことを第一に、親の希望を聞いてくれるという意見や、外泊や外出をもう少し増やしてほしいという要望が出ている。
5.保護者等からの相談を聞いてくれているか
回答割合は、「はい」が80%(8名)、「どちらともいえない」が20%(2名)となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が2.2ポイント上昇している。 自由記述欄には、詳しく聞いてくれるという意見や、職員によって異なるという意見が出ている。
6.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか
回答割合は、「はい」が90%(9名)、「どちらともいえない」が10%(1名)となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が12.2ポイント上昇している。 自由記述欄には、子どもが過ごしやすいようになっているという意見が出ている。
7.職員の接遇・態度は適切か
回答割合は、「はい」が100%(10名)となっている。 「はい」の回答割合は前年度同様であった。 自由記述欄には、子どもが安心して接することができているという意見が出ている。
8.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
回答割合は、「はい」が90%(9名)、「どちらともいえない」が10%(1名)となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が34.4ポイント上昇している。 自由記述欄には、病院に連れて行ってくれたという意見が出ている。
9.子どもの気持ちを尊重した対応がされているか
回答割合は、「はい」が100%(10名)となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が22.2ポイント上昇している。 自由記述欄には、話し方や子どもの様子を見て、大切にしていると思ったという意見が出ている。
10.子どもと保護者のプライバシーは守られているか
回答割合は、「はい」が60%(6名)、「どちらともいえない」が40%(4名)となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が17.8ポイント下降している。 自由記述欄には、丁寧にプライバシーのことなどを説明してもらい安心できたという意見が出ている。
11.個別の計画作成時に、利用者の状況や要望を聞かれているか
回答割合は、「はい」が70%(7名)、「どちらともいえない」が20%(2名)、「いいえ」が10%(1名)となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が30ポイント下降している。 自由記述欄には、子どもと保護者が幸せに生活していけるように、いろいろなアドバイスをしてもらえたという意見が出ている。
12.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
回答割合は、「はい」が70%(7名)、「どちらともいえない」が20%(2名)、「いいえ」が10%(1名)となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が18.9ポイント下降している。 自由記述欄には、分かりやすく説明をしてもらったという意見が出ている。
13.保護者の不満や要望は対応されているか
回答割合は、「はい」が90%(9名)、「どちらともいえない」が10%(1名)となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が12.2ポイント上昇している。 自由記述欄には、要望をできる限り実現できるように話を聞いてもらえたという意見が出ている。
14.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
回答割合は、「はい」が70%(7名)、「どちらともいえない」が20%(2名)、「いいえ」が10%(1名)となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が14.4ポイント上昇している。 自由記述欄には、分かりやすく教えてくれたので、相談できているという意見や、掲示はあるものの、詳しい説明はなかったという意見が出ている。
調査時に観察したさまざまな場面の中で、調査の視点に基づいて評価機関が選定した場面
【院庭での場面】 数名の子どもが、院庭にあるテーブルで遊んでいた。職員が「せーの、トントントン。上手・・・ストップ!・・・しー・・・」と声をかけると、子どもたちはそれに合わせて、テーブルを両手で叩いたり、叩くのをやめて静かに待っていたりしている。近くで遊んでいた子どもも、その輪に加わる。
【院庭から屋内に入る場面】 庭遊びを終えた子どもたちが、一人ずつホールに入る。ホールに入る前に、一人の職員が、他の職員に指示を出しながら、10人以上の子どもの身体を拭き、オムツ交換と衣服の着脱をする。
選定した場面から評価機関が読み取った利用者の気持ちの変化
【院庭での場面】
職員のかけ声に合わせて子どもたちはテーブルを叩き、音を出す、止める、という、やりとりのある遊びの楽しさを味わったように見えた。スコップを持って近くで遊んでいた子どもも、自然にその輪に加わった。その子どもは、それまでは表情が乏しいように見えたが、次第に嬉しそうな笑顔になり、喜びの気持ちが表れていた。遊びそのものの楽しさとともに、みんなと一緒に遊ぶ楽しさも感じたのではないか。
【院庭から屋内に入る場面】
一人の職員が専属で、身体拭きからオムツ交換、着脱まで10人以上の子どもに関わっていた。同時に他の職員に指示を出しているため、子ども一人ひとりに声かけをしたり、子どもの表情を見ながらゆったりと着脱させるのは難しい。子どもたちは順番に身体を拭いてもらっていたが、表情からは、気持ちが良かったかどうかは読み取れなかった。嫌がる子どもはおらず、静かに拭いてもらっていた。
組織マネジメント分析結果
◆事業評価結果
7つの「カテゴリー」の下に、それぞれ「サブカテゴリー」「評価項目」「標準項目」を設定して評価しています。
評価項目ごとに、標準項目の実施状況を、実施できている場合は
で、実施できていない場合は
で表しています。
【講評】
法人理念の基に施設一丸となって児童福祉法・児童憲章の具現化を目指している
施設では、法人理念「健康で明るく、個性豊かな子どもに育てよう」の基に、児童福祉法の規定と児童憲章の条文を具現化することを事業計画書に明文化し、その実現を目指すための三つの方針「養育方針・運営方針・体制方針」を掲げ、施設一丸となって最善の養育環境の提供に努め、地域の子育て支援に貢献している。今年度からホームページを通じて理念・方針を広く地域社会に向けて公開し、施設の思いを発信している。さらに施設玄関や各フロアに理念・方針を掲示し、面会に訪れる保護者に取り組みを伝え、職員は理念の実現を目指し実践に努めている。
一人ひとりの職員に事業計画書を手渡し施設の理念・方針に理解と共感を働きかけている
施設長は今年度の事業計画書策定にあたり、直接・間接支援リーダー、養育リーダーと新たな課題に向けて話し合いを重ねた。また養育リーダーは一般職員の意向を受け留めながら施設長に意見・提案を述べ、三つの体制方針にまとめ事業計画に反映した。施設長はこの話し合いの過程を通してリーダーや一般職員に、施設が目指す理念と方針を理解し、共感と共有に努めた。すべての職員参画からまとめられた事業計画書は、施設長の信念と深い思いによって常勤職員はじめ非常勤職員にももれなく手渡された。
話し合いと意思疎通を大切に会議・委員会を行いサービス提供の質向上に取り組んでいる
施設では毎年度職員の新旧入れ替わりがあり、経営層と職員間に必要な意思疎通に関わる様々な課題を抱えてきた。今年度はその解消に向け会議や委員会の構成と運営を見直した。最高意思決定の理事会には直接支援リーダーが参加、またリーダー以上で構成する施設の運営会議には理事長が出席し、法人の方針を直接伝え、現場職員の意向も直接伝えている。全体会議には施設長以下パート職員も任意で参加、委員会は各職員の一つ参画を義務化し互いに情報を共有している。話し合うことを大切に施設運営とサービス提供の質向上に取り組んでいる。
1. 事業所が目指していること(理念、基本方針)を明確化・周知している
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を明示している
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
- 重要な意思決定や判断に迷ったときに、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を思い起こすことができる取り組みを行っている(会議中に確認できるなど)
2. 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている
- 経営層は、自らの役割と責任を職員に伝えている
- 経営層は、自らの役割と責任に基づいて行動している
3. 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している
- 重要な案件を検討し、決定する手順があらかじめ決まっている
- 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
- 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
【講評】
児童憲章の条文を中心に様々な研修機会を持ち職員の社会人教育をおこなっている
子どもの養育を担う職員の倫理・規範の教育は、児童憲章12箇条の条文を中心において行っている。年度初めに事業計画書の冒頭に児童憲章の条文を掲載した理由を職員に述べ、社会福祉活動に従事する者の責任と義務を意識付け実践することを話し合っている。教育研修は関係機関が行う新任職員研修、中堅職員研修、全国乳児院職員研修などを受講し職員の資質を高めている。情報開示では東京都の福祉サービス第三者評価を毎年受審して透明性の確保に努め、「愛恵会だより」の発行、さらに今年度からホームページによる情報開示も行っている。
合同防災訓練など地域と積極的な関りを持ち施設を社会資源として提供している
地元自治会と連携し、夜間の防火巡回に参加、毎年合同防災訓練を行い、合同救急救命訓練には施設のフロアを提供し、さらに地域住民の緊急時にはAEDが利用できるよう玄関に設置を掲示し、市の防災マップにも掲載している。大学から乳児院についての講演要請があり、施設長や心理療法担当職員が出張して講演を行っている。特別養子縁組のサロンに施設の里親支援専門相談員が参加支援し、東京養育家庭の会が年に3回開催する里親登録後研修にはファシリテーターとして参加している。年6回開催する「広場」では子育て相談も行っている。
地域関係機関との連携を図っているが、現在ボランティアの受け入れは中断している
ボランティアと実習生の受け入れは積極的に行っており、前年度は大学や専門学校から実習生を14名延べ161日、地域の中・高生を5名延べ30日受け入れているが、今年度から2年間は施設の建替え工事のため受け入れを一定期間中断している。地域関係機関との連携では里親支援を行っている乳児院・児童養護施設・児童相談所と里親支援機関の集まりによる地域支援関係者会議に参加し、里親委託等推進委員会では委託率向上の課題に取り組んでいる。地域子育て相談センターで学習会を行い、この会を通じて同センターとの連携も始まった。
1. 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知している
- 福祉サービスに従事する者として、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳)などを明示している
- 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳)などの理解が深まるように取り組んでいる
2. 第三者による評価の結果公表、情報開示などにより、地域社会に対し、透明性の高い組織となっている
- 第三者による評価の結果公表、情報開示など外部の導入を図り、開かれた組織となるように取り組んでいる
- 透明性を高めるために、地域の人の目にふれやすい方法(事業者便り・会報など)で地域社会に事業所に関する情報を開示している
1. 事業所の機能や福祉の専門性をいかした取り組みがある
- 事業所の機能や専門性は、利用者に支障のない範囲で地域の人に還元している(施設・備品等の開放、個別相談など)
- 地域の人や関係機関を対象に、事業所の機能や専門性をいかした企画・啓発活動(研修会の開催、講師派遣など)を行っている
2. ボランティア受け入れに関する基本姿勢を明確にし、体制を確立している
- ボランティアの受け入れに対する基本姿勢を明示している
- ボランティアの受け入れ体制を整備している(担当者の配置、手引き書の作成など)
- ボランティアに利用者のプライバシーの尊重やその他の留意事項などを伝えている
3. 地域の関係機関との連携を図っている
- 地域の関係機関のネットワーク(事業者連絡会など)に参画している
- 地域ネットワーク内での共通課題について、協働して取り組めるような体制を整えている
【講評】
苦情解決制度の設置と利用の説明、苦情の対応に真摯に努めている
保護者のための苦情受付と解決の制度は、入所時に苦情解決制度の設置と利用を保護者に説明するとともに、意見箱を玄関に設置している。玄関と面会室には、苦情相談窓口の設置と利用方法について掲示し、さらに第三者委員の名前を明記した文書も掲示している。施設に寄せられた苦情には第三者委員が解決にあたり、年に2回定例会を行って対応し、経過や結果については理事会や運営会議で常に把握し対応している。保護者からの苦情について、ケースによっては児童相談所と連携して解決につなげている。
保護者の意向や要望を対話によって把握し、応えていくことを大切にしている
施設では毎年度東京都の福祉サービス第三者評価による利用者調査の結果を重視している。前回の利用者調査では「養育している施設職員から直接子どもの様子を聞きたい」との意見が寄せられた。この声に応えるために検討した対応策は、保護者が施設に訪れた機会に、可能な限り養育者と保護者が対面して話をする時間を設け実施した。また、児童相談所との連携も行い、その経過や内容も記録に残している。
地域関係機関との連携や施設見学の受け入れから多角的に事業環境を把握し備えている
地域・一般社会の事業環境の把握では、市子育て支援センターとの連携、地域支援研究会、乳児院・児童養護施設の施設長会、また各種の研究会参加を通じて把握している。地元の自治会役員が施設の第三者委員を務めていることから地域の子育てや福祉環境についての情報も収集している。一方、東京弁護士会で児童問題に携わる弁護士の見学会では法律面からの意見交換も行った。民生委員・児童委員協議会の子育て支援部会が定期的に開催する施設見学会に行う意見交換会など、多角的に事業環境を把握し今後に備えている。
1. 利用者一人ひとりの意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応している(苦情解決制度を含む)
- 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
- 利用者一人ひとりの意見・要望・苦情に対する解決に取り組んでいる
2. 利用者意向の集約・分析とサービス向上への活用に取り組んでいる
- 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向を把握することに取り組んでいる
- 事業者が把握している利用者の意向を取りまとめ、利用者から見たサービスの現状・問題を把握している
- 利用者の意向をサービス向上につなげることに取り組んでいる
3. 地域・事業環境に関する情報を収集し、状況を把握・分析している
- 地域の福祉ニーズの収集(地域での聞き取り、地域懇談会など)に取り組んでいる
- 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)の収集に取り組んでいる
- 事業所としての今後のあり方の参考になるように、地域の福祉ニーズや福祉事業全体の動向を整理・分析している
【講評】
5ヵ年中期事業計画に基づいて、年度事業計画を策定している
法人は中期事業計画として「家庭的養護推進計画 平成26年~平成30年」を持ち、受入れ定員・養育形態・里親委託・地域支援・人材育成と確保など、各年度ごとに目標を設定し、施設はこの中期5ヵ年計画に沿って年度単位の事業計画をつくり推進している。毎年1月に運営委員会で施設長と各部署のリーダーは年度の反省と総括を行い、新年度の課題と取り組み方針を決定し、各部署は年度末に向けて具体的な目標と活動計画、行事担当など話し合い検討し、リーダーは職員の意見・提案を計画にまとめて施設長に提出、承認を受けて活動開始している。
各計画は職員の気づきや新たな提案を反映して具体的に計画し推進している
計画は各部署ごとに話し合い、前年の反省と課題をまとめ、さらに養育や行事の中で気づいたこと、新たな提案、創意工夫を新年度計画にまとめ上げ、具体的な活動を主体的に展開している。施設長は行事など計画や内容に危険や事故の要素、事業方針とのズレがなければ職員の思いを尊重・奨励し承認している。養育計画では基本的な生活習慣、五感の育み、言葉や行動の表現などに目標を持ち、達成に向けたクラス方針を決定、健康・安全・食事・遊びなど9つの領域それぞれに実現可能な目標と行動計画を明記し、自らの課題と認識し実践している。
子どもの安全・安心、組織的に取り組む事故の未然防止は高く評価される
子どもの安全・安心は何よりも優先して取り組み、事故は事故報告書に基づいて再発防止を徹底している。さらに、事故の未然防止を最重点に位置づけ、職員は適宜ヒヤリハット報告を行い、状況・原因別に毎月集計しクラス会議で話し合い共有している。報告書は短時間で記入できるよう簡素化しているが、自由遊び中・食事中など危険の予知・予見の目に繋がる詳細な分析が行われ、危険防止チェックリストも併用している。毎月の防災避難訓練、感染症予防、散歩先の危険個所マップなど、事故予防委員会、看護者会議が全体を把握し活動を推進している。
1. 取り組み期間に応じた課題・計画を策定している
- 理念・ビジョンの実現に向けた中・長期計画を策定している
- 年度単位の計画を策定している
- 短期の活動についても、計画的(担当者・スケジュールの設定など)に取り組んでいる
2. 多角的な視点から課題を把握し、計画を策定している
- 課題の明確化、計画策定の時期や手順があらかじめ決まっている
- 課題の明確化、計画の策定にあたり、現場の意向を反映できるようにしている
- 計画は、サービスの現状(利用者意向、地域の福祉ニーズや事業環境など)を踏まえて策定している
- 計画は、想定されるリスク(利用者への影響、職員への業務負担、必要経費の増大など)を踏まえて策定している
3. 着実な計画の実行に取り組んでいる
- 計画推進の方法(体制、職員の役割や活動内容など)を明示している
- 計画推進にあたり、より高い成果が得られるように事業所内外の先進事例・失敗事例を参考にするなどの取り組みを行っている
- 計画推進にあたり、目指す目標と達成度合いを測る指標を明示している
- 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
1. 利用者の安全の確保・向上に計画的に取り組んでいる
- 利用者の安全の確保・向上を図るため、関係機関との連携や事業所内の役割分担を明示している
- 事故、感染症、侵入、災害などの事例や情報を組織として収集し、予防対策を策定している
- 事故、感染症、侵入、災害などの発生時でもサービス提供が継続できるよう、職員、利用者、関係機関などに具体的な活動内容が伝わっている
- 事故、感染症、侵入などの被害が発生したときは、要因を分析し、再発防止に取り組んでいる
【講評】
人材育成計画、任務分担、職務権限など組織の運営と基礎的な職務内容が明確にされた
平成28年度からの職員配置基準の改定に合わせ、今年度9月に次年度の新人職員雇用計画をつくり、各大学と専門学校に採用活動を行っている。採用選考は施設長・看護師長・理事・職員代表で行い、面接と小論文で採否を判断している。人材育成では今年度の体制方針に人材育成計画の取り組みを表明し、職能別育成計画と個人別育成計画の体制づくりを目指している。職務権限表は職位・役職別に参画会議・計画策定・人材育成・労務管理など12の業務分野に対して明示し、職員別任務分担表によって配置し、組織の運営と基礎的な職務内容が明確にされた。
多彩な研修計画の実施と新人・中堅職員の指導と育成による資質向上が期待される
職員個々の意向・希望の把握や目標づくりは今後の課題だが、施設内外の研修計画は詳細につくり着実に実施している。外部関係機関による新任職員研修会、中堅職員研修、里親支援研究会、養育看護研究会など年間にわたり計画し、すべての職員が公平に受講するよう過去の実績に基づいて参加している。施設内研修も児童精神科医を講師に迎え事例検討会や研修会を実施している。実務教育では新人職員指導係を養育室から1名選び、現任職員の指導育成を中堅リーダーが担う体制も整い、今後に向け一層の資質向上が期待される。
法人理念に沿った価値観を共有し、一定の方向観と連携力のある人材育成に期待したい
施設では話し合うことを大切に、理事会には直接支援リーダーが書記として同席し、運営会議には理事長が出席し風通しの良い施設運営を目指している。職員のやりたいことを奨励支援し、クラス毎の自由裁量予算、様々な研修と自己研鑽の機会、産業医によるメンタルヘルス、職員親睦会など手厚い配慮がある。しかし、今年度の第三者評価職員アンケートでは、チームワークや職員の連携などを高く評価する声の反面、職員の態度や相互理解の不足など批判の声も多い。個々の主観や価値観に左右されない、一定の方向観と連携力のある人材育成に期待したい。
1. 事業所にとって必要な人材構成にしている
- 事業所の人事制度に関する方針(人材像、職員育成・評価の考え方)を明示している
- 事業所が必要とする人材を踏まえた採用を行っている
- 適材適所の人員配置に取り組んでいる
2. 職員の質の向上に取り組んでいる
- 職員一人ひとりの能力向上に関する希望を把握している
- 事業所の人材育成計画と職員一人ひとりの意向に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
- 個人別の育成(研修)計画は、職員の技術水準、知識、専門資格の習得(取得)などの視点を入れて策定している
- 職員一人ひとりの個人別の育成(研修)計画に基づいて、必要な支援をしている
- 職員の研修成果を確認し(研修時・研修直後・研修数ヶ月後など)、研修が本人の育成に役立ったかを確認している
1. 職員一人ひとりの主体的な判断・行動と組織としての学びに取り組んでいる
- 職員の判断で実施可能な範囲と、それを超えた場合の対応方法を明示している
- 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに学ぶことに取り組んでいる
- 職員一人ひとりの研修成果を、レポートや発表等で共有化に取り組んでいる
2. 職員のやる気向上に取り組んでいる
- 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価・報酬(賃金、昇進・昇格、賞賛など)が連動した人材マネジメントを行っている
- 就業状況(勤務時間や休暇取得、疲労・ストレスなど)を把握し、改善に取り組んでいる
- 職員の意識を把握し、やる気と働きがいの向上に取り組んでいる
- 福利厚生制度の充実に取り組んでいる
1. 事業所が蓄積している経営に関する情報の保護・共有に取り組んでいる
【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】

事業者のコメント
本年度、院舎の建て替えに向かい、仮の院舎での養育体制が4部屋になる事を踏まえて4部屋体制としました。しかし、職員の人数が揃わなかった事もあり、少ない人数で部屋を維持しなければならないという落ち着かない状態になっていました。
事業者のその様な状態を踏まえて頂き、できうる限り肯定的に捕らえられるポイントを見つけて評価して頂いたと考えています。
しかし、評価だけでなく、職員の忙しさや、余裕のなさが、落ち着いた支援を阻害してしまっている事もご指摘頂いたと理解しています。
御指摘を頂いた点については、どうしてそうなのかを検証し、改善の為の取組を職員全員で話し合い、取り組みたいと考えています。
当施設では、他では行われていない、理事会への報告にも対応して頂き本当にありがとうございました。