評価結果
基本情報
事業者の理念・方針・期待する職員像
事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)
1)すべての子どもの権利を守り、安全で安心・快適な生活環境をつくる
2)子どもの心を育むとともに意志を尊重し自立を支援する
3)出会ったこどもを見守り続ける
4)子どもと家族の結びつきを大切にする
5)児童養護施設の役割を広く社会に発信していくと共に、地域に貢献できる施設を目指す
職員に求めている人材像や役割
理念と基本方針を理解し、自ら実践していくことのできる人物
職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)
組織の一員としてプロ意識を持って業務に遂行すること
全体の評価講評
特によいと思う点
「法人や施設の理念を理解し、それを実践に活かそうとする人財を育成する仕組みを作る」、「やってみたいを応援する組織を目指す」の将来構想実現のため、施設長が法人全体の人材育成にも関与し、法人の研修体系や階層別プログラムの整備を進めている。職員目標管理シートでは、自ホームの重点目標を意識した個別目標や今年度やりたいこと等を把握し、その希望を追求できるよう支援しており、意見や提案が反映でき、必要な、学びたい研修に参加できる環境を作っている。職員の向上心、自らが実行するという意欲ある組織風土が感じられる。
栄養士、調理員、ケア職員が連携して食育に力を入れることを掲げている。清潔に整えた調理室で、子どもたちを受け入れる体制を築いており、男女問わず、調理室でお手伝いすることが好きな児童が多い状況である。子どもによっては一日2時間前後調理室に入ることもある。料理の得意な高校生は自分でイカをさばいて調理し、皆の夕ご飯に添えることもある。東北の被災地ボランティアでは、子どもたちが協力して調理を行い、仮設住宅の人々に振る舞い喜ばれている。子どもたちは「食」を通じて自立に向かい、多くの触れ合いを経験し、自信に繋げている。
自立支援計画書は、前年度の目標達成度合いの確認や評価を踏まえ、担当職員が主任や専門職と協議して作成している。設定した目標については、その達成に向けた取り組み計画として、別途「自立支援ケア計画書」も作成し、生活・情緒・学習など6項目の課題と支援方針を具体的に示している。高校生には、「社会的自立に向けた支援計画書」を作成し、自立に向けた自己資金や生活知識、生活管理能力など8項目について現状分析と支援方針も明確にしている。具体性のある各種計画書を基に、個々の子どもの希望や状況に応じた進路を応援している。
さらなる改善が望まれる点
入所時には、「生活のきまり」をもとに子どもと保護者に説明を行っているが、「生活のきまり」は年齢に応じた子どもの生活ルールが主な内容で、施設の目的や体制、支援内容、年間行事などは記載されていない。今後に向けては、「入所のしおり」や保護者向けの文書などについても作成し、説明することで、さらに施設の理解が得られるものと思われる。また、子どもや保護者の情報は、法人の個人情報保護規程に則って管理しているが、施設で扱う具体的な利用目的や開示請求方法は明確に示されていない。保護者にわかるように明示していくことが望まれる。
プロジェクトを立ち上げ、一昨年から取り組んできた「支援行動基準書」がほぼ完成したところである。支援水準の底上げを目指し、運営指針や第三者評価の項目を取り入れた内容の濃い基準書であるが、職員への配布時期は確定していない。職員のニーズや使いやすさを考慮し、再編した後に配布することとしているが、担当者や期限等を明確にし、早期に導入を図ることが望まれる。今後、改訂を重ねて、「若葉の子育て」の再構築や既存のマニュアル類との整合性確保、文書体系の整備にもつなげ、施設全体の支援の質の向上に役立てていくことが期待される。
施設では、取扱う情報の保護を徹底するとともに、保管している情報を十分に整理・活用できるよう改善を図っている。今年度は、文書ファイルの統一やファイルボックスの設置に取り組み、パソコンの文書ファイルサーバーの設置や記録管理システムの改修にも着手している点は評価できるが、まだ改善の途上である。担当者がいつでも情報の整理・保管を適切に行える、誰もがいつでも必要な情報を検索できるシステム作りに向け、これらを着実に進めるとともに、文書分類・番号等の体系を構築する等、施設全体の統一ルールを作成していくことを期待したい。
事業者が特に力を入れている取り組み
防災対策の強化に継続的に取り組み、非常災害時の備品や食糧のチェック体制の再構築と備蓄の増強に努めている。消防訓練は、当日の防災指導者の役割と対応を明確にし、毎月、グループホームも含めて訓練内容の報告と確認を徹底している。また、全職員が普通・上級の救命講習を受講できるよう、随時、状況を確認している。災害時の調理員の不在を想定し、施設内各ホームで非常食等を活用して夕食を作る「もしもごはん」の活動も、月1回、計画的に実施しており、実践的な災害体験、調理実習の機会としても意義ある取り組みとなるよう工夫を重ねている。
家庭支援専門相談員や里親支援専門相談員、栄養士、自立支援コーディネーター、心理療法担当、治療指導担当、職業指導員の配置など、多職種の配置を行い、高機能施設を目指して取り組んでいる。職務分掌を明示し、担当する職員一人ひとりが役割を自覚し、専門的な見地からケア職員(児童指導員や保育士)と情報交換を行うことで、支援の相乗効果を上げている。専門職による学習会も計画し、子どもの食事環境や関わりの難しい子への支援方法について学び合う等、多職種で連携して、個々の子どものケアや自立支援をきめ細やかに行える体制を築いている。
今年度、新たに職業指導員を配置し、自立支援コーディネーターと連携して、子どもの就職や自立支援に取り組んでいる。この2つの専門職を配置するのは都内の施設では初めての取り組みである。将来につながる労働体験やアルバイト、様々な社会体験を通して子どもの自信につなげている。専門的なNPO団体を通じて、中高生にカメラマン、美容院、木工・藍染等の体験機会を提供している。クラブ活動の練習で汗を流している子どもや、東北ボランティアで漁師体験を行った子ども等々、日常のケアや社会体験を行う中で、子どもの才能を見い出している。
利用者調査結果
調査概要
- 調査対象:・入所児童は41名で、共通評価項目による調査対象者は小学生・中学生・高校生の35名であった。
・事業所と協議のうえ、未就学児6名の聞き取りは難しいと判断して、共通評価項目による調査は行わなかった。
・中高生3名について回答を得ることができなかった。 - 調査方法:アンケート方式,聞き取り方式
・自己記入:中学生以上の児童には、アンケート調査を行った。
・聞き取り:小学生と配慮が必要な児童には、個別に聞取りし、回答を評価者が記入した。 - 有効回答者数/利用者総数:32/41(回答率 78.0% )
総合的な感想の回答割合は、「よい」が43.8%、「ややよい」が25.0%、「どちらともいえない」は12.5%、「ややよくない」が15.6%、「よくない」が3.1%となった。
設問別で「はい」の回答割合が最も高かったのは、問6「病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか(68.8%)」で、次いで問9「子どものプライバシーは守られているか(65.6%)」、問13「子どもの不満や要望は対応されているか(65.6%)」となった。一方、「はい」の回答割合が最も低かったのは、問7「子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか(43.8%)」であった。
前年度の結果と比べて、設問別の「はい」の割合は若干の下方傾向が見られたが、総合的な感想の「よい・ややよい」は年々増加している。
自由意見では、生活が自由なことについて好意的な意見が出ている。また、物の管理や職員対応についての要望も挙がっている。
夕食前後は、リビングで会話をしたり、テレビやゲームを楽しんでくつろいでいる子どもが多く見られた。
アンケート結果
1.食事の時間が楽しいひとときになっているか
回答割合は、「はい」が56.3%、「どちらともいえない」が28.1%、「いいえ」が6.3%となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が14.4ポイント下降している。 自由意見には、「いっぱい食べられます」、「笑いすぎてお腹が痛くなります」、「色々なメニューがあって毎日おいしいです」という意見や、「ケンカの時は楽しくありません」などの意見が出ている。
2.子どもの年齢や特性、個別事情に応じて生活や規則内容等の説明を受けているか
回答割合は、「はい」が56.3%、「どちらともいえない」が28.1%、「いいえ」が9.4%となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が2.6ポイント下降している。 自由意見には、「ダメなこと、分からないこと、良いこと、悪いこと、マナーも教えてくれます」、「説明など、自然にしてくれます」という意見や、「あんまり説明されていません」、「たまに理不尽です」などの意見が出ている。
3.【中学生以上の方に】
将来に関する支援は、子どもの個別の要望や事情に応じて行われているか
本設問の回答者は中学生以上の19名で、回答割合は、「はい」が52.6%、「どちらともいえない」が26.3%、「いいえ」が5.3%となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が8.3ポイント下降している。 自由意見には、「職員から先に話を聞いてくれます」、「いろんなことを言ってきます」との意見が出ている。
4.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか
回答割合は、「はい」が53.1%、「どちらともいえない」が25.0%、「いいえ」が15.6%となっている。 自由意見には、「お風呂を修理してきれいになりました」という意見や、「お風呂があまりきれいではありません」、「トイレに時々虫がいます」など、ホームによってさまざまな意見が出ている。
5.職員の接遇・態度は適切か
回答割合は、「はい」が56.3%、「どちらともいえない」が28.1%、「いいえ」が6.3%となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が23.2ポイント下降している。 自由意見には、「いつも丁寧にお話ししてくれます」、「普通にしています」という意見や、「言葉遣いは優しいのですが、たまに言い過ぎと思うことがあります」と、「ごくまれに冷たいときがあります」などの意見が出ている。
6.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
回答割合は、「はい」が68.8%、「どちらともいえない」が12.5%、「いいえ」が6.3%となっている。 自由意見には、「病気のとき、職員がそばにいてくれました。どの先生も心配してくれました」、「うどんやおかゆ、おにぎりを作ってくれました」、「病院に行きなさい、と言われます」という意見や、「ちょっとの傷ならバンソウコウをしなくてもいい、と言われたことがあります」などの意見が出ている。
7.子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
回答割合は、「はい」が43.8%、「どちらともいえない」が28.1%、「いいえ」が15.6%となっている。 自由意見には、「ケンカを止めてくれます」、「ちゃんと間に入って説得してくれます」、「自分で解決をしています」という意見や、「職員によります」、「自分で解決しなさい、と言われてしまいます」などの意見が出ている。
8.子どもの気持ちを尊重した対応がされているか
回答割合は、「はい」が56.3%、「どちらともいえない」が31.3%、「いいえ」が0.0%となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が5.5ポイント下降している。 自由意見には、「いっぱいほめてくれました」、「日常的にそうです」という意見や、「時々、なんか適当な対応をしてきます」などの意見が出ている。
9.子どものプライバシーは守られているか
回答割合は、「はい」が65.6%、「どちらともいえない」が18.8%、「いいえ」が3.1%となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が3.8ポイント上昇している。 自由意見には、「心理の先生がずっと守ってくれています」、「秘密は誰にも話したことがありません」という意見や、「良く分かりませんが、そう思いません」などの意見が出ている。
10.個別の計画作成時に、利用者の状況や要望を聞かれているか
回答割合は、「はい」が59.4%、「どちらともいえない」が25.0%、「いいえ」が3.1%となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が9.4ポイント上昇している。 自由意見には、「職員から話し合いの機会を持ってくれます」、「漢字が出来るようになるために先生が応援してくれました」、「いい職員がいます」という意見や、「家族の話はできません」などの意見が出ている。
11.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
回答割合は、「はい」が46.9%、「どちらともいえない」が25.0%、「いいえ」が12.5%となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が30.9ポイント下降している。 自由意見には、「意味が分かりませんでした」などの意見が出ている。
12.【小学校4年生以上の方に】
自らの権利について、職員はわかりやすく教えてくれたか
本設問の回答者は小学校4年生以上の26名で、回答割合は、「はい」が50.0%、「どちらともいえない」が19.2%、「いいえ」が7.7%となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が1.7ポイント上昇している。 自由意見には、「子どもの権利ノートを集まりの時に使うこともあります」、「会議で意見を言うことが出来ました。先生たちが聞いてくれます」という意見や、「よく分かりません」、「部屋会議や子ども会議は最近ほどんどやっていません」などの意見が出ている。
13.子どもの不満や要望は対応されているか
回答割合は、「はい」が65.6%、「どちらともいえない」が18.8%、「いいえ」が9.4%となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が3.8ポイント上昇している。 自由意見には、「米とぎをしたいと言ったら、やらせてくれました」、「頼んだことがありません」という意見や、「たまに、対応してくれない時があります」、「納得できないことがあります」などの意見が出ている。
14.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
回答割合は、「はい」が56.3%、「どちらともいえない」が21.9%、「いいえ」が6.3%となっている。 前年度と比べ、「はい」の回答割合が8.5ポイント下降している。 自由意見には、「全体会議のときに、第三者委員が来て話をしてくれました」、「第三者委員に相談したことがあります」などの意見が出ている。
組織マネジメント分析結果
◆事業評価結果
7つの「カテゴリー」の下に、それぞれ「サブカテゴリー」「評価項目」「標準項目」を設定して評価しています。
評価項目ごとに、標準項目の実施状況を、実施できている場合は
で、実施できていない場合は
で表しています。
1. 事業所が目指していること(理念、基本方針)を明確化・周知している
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を明示している
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
- 重要な意思決定や判断に迷ったときに、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を思い起こすことができる取り組みを行っている(会議中に確認できるなど)
2. 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている
- 経営層は、自らの役割と責任を職員に伝えている
- 経営層は、自らの役割と責任に基づいて行動している
3. 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している
- 重要な案件を検討し、決定する手順があらかじめ決まっている
- 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
- 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
【講評】
子どもの権利擁護を第一に考え、職員の意識を高めることに継続的に取り組んでいる
子どもの権利擁護の重要性を自覚し、施設の基本方針の第一項目に、全ての子どもの権利を守ることを打ち出している。入職時の施設の新人研修で施設理念や基本方針、倫理綱領、就業規則等を配布して説明を行うとともに、法人の新人研修でも法令遵守や人権の尊重をテーマに取り上げている。職員参加の下、児童養護施設運営指針に沿った独自の支援基準の作成も進めている。職員全体会で毎回、基本方針や倫理綱領の唱和を行い、全職員の意識を高めているほか、権利擁護委員会による「権利の集い」や権利ノートの読み合わせ会も毎年度継続的に開催している。
ボランティアは、相互の理解と安心感を深めながら受け入れているが、課題も見られる
ボランティアを積極的に受け入れており、施設内では子ども達の学習や見守りの支援を行う複数のボランティアが活動している。施設としての受け入れ方針を定め、受け入れ時には担当職員が施設の役割や機能、子どもの特性、守秘義務等の注意事項を説明し、誓約書を取り交わしているほか、学習ボランティアについては関係団体とも連携を図り、派遣前のオリエンテーションで児童養護施設に関する学習を受けてから活動に入る仕組みがあり、相互の理解と安心感につながっている。しかし、関連書式の見直しや記録の一元化は課題と考えられ、検討を望みたい。
地域社会の一員として、地域、企業・関係団体との交流・連携に積極的に取り組んでいる
地域の子育て支援の中核施設となるべく、PRコーディネーターを配置して、施設からの情報発信、地域、企業・関係団体との良好な関係作りに力を入れている。区の子育て支援事業を受託し、ショートステイの受け入れを継続しているほか、毎年度、法人のバザーや公開講座の企画・開催にも主体的に関わり、地域住民の同好会活動や住区(小学校単位のエリア)主催の祭り、町会活動等にも、子ども達と共に積極的に参加している。区の要保護児童対策協議会や小・中学校との連絡会、地域教育懇談会にも参画し、関係者の理解・関心を深めることに努めている。
1. 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知している
- 福祉サービスに従事する者として、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳)などを明示している
- 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳)などの理解が深まるように取り組んでいる
2. 第三者による評価の結果公表、情報開示などにより、地域社会に対し、透明性の高い組織となっている
- 第三者による評価の結果公表、情報開示など外部の導入を図り、開かれた組織となるように取り組んでいる
- 透明性を高めるために、地域の人の目にふれやすい方法(事業者便り・会報など)で地域社会に事業所に関する情報を開示している
1. 事業所の機能や福祉の専門性をいかした取り組みがある
- 事業所の機能や専門性は、利用者に支障のない範囲で地域の人に還元している(施設・備品等の開放、個別相談など)
- 地域の人や関係機関を対象に、事業所の機能や専門性をいかした企画・啓発活動(研修会の開催、講師派遣など)を行っている
2. ボランティア受け入れに関する基本姿勢を明確にし、体制を確立している
- ボランティアの受け入れに対する基本姿勢を明示している
- ボランティアの受け入れ体制を整備している(担当者の配置、手引き書の作成など)
- ボランティアに利用者のプライバシーの尊重やその他の留意事項などを伝えている
3. 地域の関係機関との連携を図っている
- 地域の関係機関のネットワーク(事業者連絡会など)に参画している
- 地域ネットワーク内での共通課題について、協働して取り組めるような体制を整えている
【講評】
子どもが苦情解決制度を理解し、積極的に活用できるよう継続的に取り組んでいる
権利擁護の取り組みとして、子ども向けの集会を年2回開催し、苦情の受け付けの流れや権利ノートの内容を具体的に説明して、子どもが生活の主人公であることを伝えている。子どもと苦情解決第三者委員との交流を充実させるため、近年、各ホームへの訪問や職員との打ち合わせの回数を増やしており、今年度も年4回程計画している。投書用の意見箱や記入用紙も各ホームに設置し、宿直者が毎日、箱の中を確認しており、苦情等には委員とも連携して速やかな対応に努めている。苦情受付書に経緯等を記録しているが、改善結果や会議内容の明確化が望まれる。
子どもの意向を様々な機会に把握し、子ども同士の関係調整など改善に努めている
子どもの意向は、日常の職員との会話や各ホーム会議、毎年度の食事アンケートや第三者委員による聞き取り、第三者評価の利用者調査を通じて把握している。一昨年度の利用者調査結果を受け、「より楽しい食事時間を意図的に設定する」を事業計画の重点項目に掲げてきたことで、子ども達の評価も改善してきている。ホームごとの人数が比較的多いこともあり、意見や要望に応えるためには子ども同士の関係調整を要する場面が多いが、ハード面での限界も感じており、必要な児童への個室の提供等、生活集団の小規模化の取り組みの進展が期待される。
地域ニーズや事業動向の収集・把握に積極的に取り組み、事業計画につなげている
地域のニーズや事業動向は、施設長を始め、担当職員が地域や行政等の関係各団体の会合や活動に参加する中で把握している。法人レベルでは毎年度、地域に向けた事業報告会を開催し、各施設から事業内容や現状・展望を発表し、地域住民と相互理解を図る取り組みを行っており、今年度は法人内に地域交流委員会も設置し、職員が他分野の動向や地域住民の意見を把握する機会を設けている。収集・把握した情報は、主任会議を中心に、それぞれの分担範囲の情報を共有・整理し、適宜職員に伝えており、年度末には総括を踏まえた課題を事業計画につなげている。
1. 利用者一人ひとりの意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応している(苦情解決制度を含む)
- 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
- 利用者一人ひとりの意見・要望・苦情に対する解決に取り組んでいる
2. 利用者意向の集約・分析とサービス向上への活用に取り組んでいる
- 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向を把握することに取り組んでいる
- 事業者が把握している利用者の意向を取りまとめ、利用者から見たサービスの現状・問題を把握している
- 利用者の意向をサービス向上につなげることに取り組んでいる
3. 地域・事業環境に関する情報を収集し、状況を把握・分析している
- 地域の福祉ニーズの収集(地域での聞き取り、地域懇談会など)に取り組んでいる
- 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)の収集に取り組んでいる
- 事業所としての今後のあり方の参考になるように、地域の福祉ニーズや福祉事業全体の動向を整理・分析している
【講評】
施設70周年に向けた将来構想を基に、今年度の重点項目等を事業計画に展開している
施設70周年に向けた将来構想「目黒若葉寮の近未来」を基に、今年度の事業計画書には、①施設理念の追求、②求める人財と組織、③施設の小規模分散化と機能の拡充を柱にした「将来構想(中長期計画)」を掲載し、会議を効果的・効率的に、専門職配置により一層の高機能施設へ、小規模ケアの一層の推進、ヒヤリハット報告の励行、「若葉の子育て」の再構築等の重点項目を展開している。事業計画書は、養護方針や各ホーム重点目標、各専門職の方針、安全・安心のための取り組みも網羅し、施設の全体像と取り組みがよく理解できる構成となっている。
事業計画書は、主任会議等で検討して作成し、随時、進捗状況を確認しながら進めている
事業計画書は、施設長が中心となり、都の指導検査や第三者評価、職員のヒヤリング結果から得られた課題を参考に重点項目や枠組みを設定した上で、主任会議等で検討を重ね、各現場の職員や子どもの意向も反映させながら作成している。中長期計画や重点項目は、達成数値や実現の期限を明示し、主任会議等で随時、進捗状況を確認しながら進めている点は評価できる。さらに、それぞれの項目の担当者・委員会を決めて具体的な実行プロセスや詳細スケジュールを立案して取り組み、中間期や年度末での達成度合いの評価をより明確にしていくことを期待したい。
防災対策・不審者対策を強化し、ヒヤリハット報告の励行・活性化にも取り組んでいる
安全衛生委員を配置し、法人内で連携して労働安全衛生や防災対策に努めている。施設の全職員が普通・上級の救命講習を受講しているほか、月1回、施設内各ホームで非常食等を活用して夕食を作る「もしもごはん」の活動を継続している。不審者の侵入に備え、今年度、専門業者の通報システムも導入している。災害対応マニュアルはホームごとに作成しているが、法人一体となったマニュアル作成・体制整備が課題となっている。ヒヤリハット報告は年間100件を目標に励行しており、活性化に向けて記録管理システムの活用、報告基準の見直しも進めている。
1. 取り組み期間に応じた課題・計画を策定している
- 理念・ビジョンの実現に向けた中・長期計画を策定している
- 年度単位の計画を策定している
- 短期の活動についても、計画的(担当者・スケジュールの設定など)に取り組んでいる
2. 多角的な視点から課題を把握し、計画を策定している
- 課題の明確化、計画策定の時期や手順があらかじめ決まっている
- 課題の明確化、計画の策定にあたり、現場の意向を反映できるようにしている
- 計画は、サービスの現状(利用者意向、地域の福祉ニーズや事業環境など)を踏まえて策定している
- 計画は、想定されるリスク(利用者への影響、職員への業務負担、必要経費の増大など)を踏まえて策定している
3. 着実な計画の実行に取り組んでいる
- 計画推進の方法(体制、職員の役割や活動内容など)を明示している
- 計画推進にあたり、より高い成果が得られるように事業所内外の先進事例・失敗事例を参考にするなどの取り組みを行っている
- 計画推進にあたり、目指す目標と達成度合いを測る指標を明示している
- 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
1. 利用者の安全の確保・向上に計画的に取り組んでいる
- 利用者の安全の確保・向上を図るため、関係機関との連携や事業所内の役割分担を明示している
- 事故、感染症、侵入、災害などの事例や情報を組織として収集し、予防対策を策定している
- 事故、感染症、侵入、災害などの発生時でもサービス提供が継続できるよう、職員、利用者、関係機関などに具体的な活動内容が伝わっている
- 事故、感染症、侵入などの被害が発生したときは、要因を分析し、再発防止に取り組んでいる
【講評】
法人・施設の財産となる人材を採用し、計画的に育成することに取り組んでいる
法人や施設の理念を理解し、実践に活かそうとする「人財」を育成する仕組み作りに取り組んでいる。職員の募集はホームページ等を通じて広く行っており、応募者は、書類審査と面接(施設長・主任・副主任による)、体験実習で選考し、法人理事による二次面接を経て採用を決定している。新人職員には2日程度の施設内新人研修と法人の新人研修(年間9日)がある他、採用に関わった職員がOJTを実施し、新人との振り返り等のやり取りを通じて習熟度の確認・指導も行っている。配置や異動は、本人の意向や各職域の意見も踏まえて主任会議で決めている。
「やってみたい」を応援する組織を目指し、職員個々の意欲と能力の向上を支援している
施設長は年2回、全職員と個人面談を行い、職員目標管理シートに沿って、自ホームの重点目標を意識した個別目標、今年度やりたいこと、他職員に期待することを把握している。「やってみたい」を応援する組織を目指す方針から、各自の希望を追求できるよう助言し、意見や提案の反映に努めている。必要な研修や学びたい研修に積極的に調整・派遣できるよう年間の研修予定と実績も表にまとめている。施設内研修の他、法人の階層別研修等も充実してきており、個人目標の達成状況や研修成果とも連動させた体系的・長期的な目標管理制度の構築が期待される。
就業状況を良好に維持し、自らの成長の実感を通じて満足度を高めたいと考えている
主任や専門職が各ホームのケア職員をサポートする体制を作り、時間外労働の低減に努めるとともに、休暇も皆が平等に取得できるよう調整を行っている。職域や雇用形態により業務や休暇取得に偏りはあるものの、職員が長く働き続けられる職場環境を整備することで、不満の声はあまり出ておらず、産休・育休明けに職場復帰する女性職員も多く出ている。職員の育成・評価は重視しているが、年齢や勤続年数を基礎とした給与体系を維持して賃金等への反映は行わず、役職への登用や自らの成長の実感を通じて満足度を高めたいと考えている。
1. 事業所にとって必要な人材構成にしている
- 事業所の人事制度に関する方針(人材像、職員育成・評価の考え方)を明示している
- 事業所が必要とする人材を踏まえた採用を行っている
- 適材適所の人員配置に取り組んでいる
2. 職員の質の向上に取り組んでいる
- 職員一人ひとりの能力向上に関する希望を把握している
- 事業所の人材育成計画と職員一人ひとりの意向に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
- 個人別の育成(研修)計画は、職員の技術水準、知識、専門資格の習得(取得)などの視点を入れて策定している
- 職員一人ひとりの個人別の育成(研修)計画に基づいて、必要な支援をしている
- 職員の研修成果を確認し(研修時・研修直後・研修数ヶ月後など)、研修が本人の育成に役立ったかを確認している
1. 職員一人ひとりの主体的な判断・行動と組織としての学びに取り組んでいる
- 職員の判断で実施可能な範囲と、それを超えた場合の対応方法を明示している
- 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに学ぶことに取り組んでいる
- 職員一人ひとりの研修成果を、レポートや発表等で共有化に取り組んでいる
2. 職員のやる気向上に取り組んでいる
- 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価・報酬(賃金、昇進・昇格、賞賛など)が連動した人材マネジメントを行っている
- 就業状況(勤務時間や休暇取得、疲労・ストレスなど)を把握し、改善に取り組んでいる
- 職員の意識を把握し、やる気と働きがいの向上に取り組んでいる
- 福利厚生制度の充実に取り組んでいる
1. 事業所が蓄積している経営に関する情報の保護・共有に取り組んでいる
【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】

【講評】
理念・方針を施設全体に浸透させると共に、社会から理解が得られるよう取り組んでいる
施設理念「目黒若葉寮は出会いと支えあいを大切にし人と社会をつなぎます」と、「私たちはすべての子どもの権利を守ります」を始めとした8つの基本方針を定めている。これらは施設の各ホームや事務所内への掲示、事業計画書への掲載、新人研修での説明のほか、職員全体会での毎回の唱和、子ども達も参加する「権利の集い」での説明等を通して施設全体への浸透を図り、何を大切にするのか、優先順位を常に再確認するようにしている。施設のリーフレットやホームページにも掲載して広く一般に紹介し、社会から理解が得られるよう取り組んでいる。
施設長は、施設の将来構想実現に向けて様々に率先垂範し、法人内連携も進めている
施設長と、施設長業務を補佐する3人の主任(本園・専門職・GH)が経営層として全体を統括する体制を作っており、毎週の主任会議を中心に意思疎通を図り、情報の発信と受信に努めている。主任業務を補佐する副主任やリーダーの位置付けも明確にし、職務分掌を事業計画書に記載して全職員に共通理解を促している。施設長は、70周年を迎える施設の将来構想を示し、地域との関係構築や財政健全化に率先垂範して取り組んできたほか、今年度は法人内の要職にも就いて法人内連携を進め、研修体系の構築など構想実現に向けた環境整備に力を入れている。
毎週の主任会議を軸に、綿密な意思疎通と迅速な意思決定が行える仕組みを作っている
全職員で議論を行ってきた従来の会議の在り方を改め、毎週の主任会議で重要案件の調整・検討を行い、施設長の迅速な意思決定を支える仕組みを作っている。今年度は主任から下への連絡・連携強化を目的に、必要事項の整理を行う副主任会議も月2回設け、児童の支援課題についても、毎週の各ホーム会議で吸い上げ、月2回のリーダー会議で方向付けを行う方法としている。決定事項の報告・周知を行う、全職員参加の職員全体会も月2回に増やしている。各会議の議案を事前に周知することや議事録をその日の内に作成・提出することも定着してきている。