評価結果

サービス項目中心の評価

基本情報

【事業所名称】

ストローク・サービス

【サービス種別】

就労継続支援A型

事業者の理念・方針・期待する職員像

事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)

・利用者が自立した日常生活・社会生活を営むことができるよう、清掃の現場を提供し続ける。
・利用者が清掃業務を通して社会性や必要な技術を身に付けられるよう根気よく支援する。
・利用者一人一人の希望に副ったサービスを提供できるよう心掛ける。
・事業所外での就労等も広く視野に入れ、利用者が一般就労へ近づくためのサポートを行う。
・利用者が自分の意志で意欲的に仕事に取り組めるよう「自分で考え行動する」機会を与え続ける。

職員に求めている人材像や役割

仕事の性質上、自分の支援が自己満足に陥っていないか客観視できる目を持ち、スキルアップのための努力ができる人。根気よくサポートを続けるために、のめり込み過ぎない冷静さを失わない人。

職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

利用者は職員の力で伸びるのではなく、自分で気付き成長したいと本気になった時に実力を伸ばせると考える。職員の大切な仕事はその気付きを促すことと、よく話を聞き、必要としている言葉をかけて背中を押してあげること。職員にはいつまでも謙虚に利用者に寄り添う気持ちを忘れないでほしい。

全体の評価講評

特によいと思う点

NPO法人ストローク会は、精神障害者の働く場として平成元年に設立された株式会社ストロークを補助する目的で平成13年に立ち上げられた。より手厚い支援を行うために平成24年4月、就労継続支援(A型)事業のストローク・サービスを開設した。法人の創設者らが精神障害者の支援で先行していたアメリカ合衆国での取り組みに触れ、なかでも清掃業での事例に感銘を受けて現在まで続く事業の根幹とした。働く上で必要な知識を習得したり能力を向上させることができるよう、清掃業務に必要な技術と知識、社会人としてのマナーを利用者に伝えている

当事業所における業務は清掃の受託である。そのため、利用者の勤務地は委託元の企業等である。清掃業務に関する作業マニュアルはビルクリーニング技能士国家資格に対応した、まさにプロ仕様のものが用意されている。しかし、現場における具体的な作業手順は各現場によりまったく違うため担当する職員が把握し、利用者に伝える。利用者は清掃業務の基本的な知識や技術を身につけながら、それぞれの現場に合った方法で日々の業務を進めている。その点において清掃は体だけではなく頭も使う仕事と言え、就労の訓練としては非常にバランスがよい。

利用者本人の内在化する「主体性」を導き出すために面談の回数を重ね、話をする機会を多く持つように努めている。よって、支援開始当初の個別支援計画は利用者本人にとってまだ漠然とした目標(希望や要望に近い)に基づく計画となるために、一見つたないように感じられる場合もある。その際、職員が良かれと思い積極的に介入してしまうことで、利用者本人の自発性や自主性を損ねてしまうことがある。そうならないよう、あくまで利用者本人が自ら表現した目標や方針に基づく計画を作成することに努めている。

さらなる改善が望まれる点

支援記録は個人毎にファイリングされ事務所に保管される。職員間で利用者支援に必要となる情報の交換は事務所での記録の供覧により行われる。職員が一同に介する職員会議は月に1度のため、全職員がタイムリーにコンセンサスを得ることは現実的に難しい。また、利用者の日々の事例を記録する様式は定型化されていない。そのため、個別支援計画の内容を踏まえ、支援計画に沿った支援内容であったかどうかは一覧しただけではわかりにくい仕組みとなっている。記録すべき情報の過不足をなくすためにも様式の統一が望まれる。

利用者個々に異なる障害特性を十分認識した上で専門的支援として、強制ではなく、甘やかさず、「やる気」を持続させることができる支援方法を模索し続けている。今までは、利用者の気持ちを傷つけるような不適切な言動等による問題は発生してこなかったが、それは職員の属人的対応に問題がなかっただけに過ぎない。属人的な対応ではなく組織的な仕組みとして、例えば相互に言動を振り返る機会を作るなどの仕組みの構築が望まれる。

事業者が特に力を入れている取り組み

利用者とコミュニケーションをとる際には単に面談をするだけではなく、利用者によって交換ノートや電話を利用するなどの工夫がある。交換ノートは口頭での会話が苦手な利用者に対して使用する。仕事に出た日の記録として自らの振り返りを記入してもらい、職員から自信につながるようなコメントを入れて返す。文字の書き様で心理状態も類推でき、利用者の現状を把握するのにも役立つ。また、清掃終了時の報告を電話でしてもらっている。この際にも声の調子などに応じて、必要な言葉かけをするようにしている。

利用者調査結果

調査概要

  • 調査対象:調査票配布当日に在籍している26名が利用者総数となり全員が調査対象者である。そのうち聞き取り調査を希望された2名以外は自記によるアンケート調査で実施した。
  • 調査方法:アンケート方式  
    自記によるアンケート調査と調査員による聞き取り調査を併用した。どちらの方法を採用するかは、利用者自身に決めてもらった。アンケート調査では弊社宛に郵送にて調査票を提出してもらった。聞き取り調査は2名の調査員により実施した。
  • 有効回答者数/利用者総数:26/26(回答率 100.0% )

自記によるアンケートにて回答された方も含め全員から回答が得られた。「はい」と回答した割合の高い質問は、問1「困ったときに支援を受けているか」,問2「設備は安心して使えるか」,問11「給料等のしくみがわかりやすく説明されてるか」,問21「個別の計画作成時に要望等が聞かれているか」で、それぞれ8割以上が「はい」と回答し高い満足度を示す結果となっている。施設に対する総合的な満足度については、「大変満足」が6名(23%)、「満足」が14名(54%)で、有効回答数の8割弱が満足と回答している。以下、「どちらともいえない」が5名(20%)、「不満」が1名、「大変不満」がゼロであった。施設に対する意見や要望としては、「職員の方々には丁寧に接してもらっていて満足している。作業現場の同僚とも楽しくやっている」「仕事をする知識をいろいろ教えてもらいありがたい」などの意見があった。一方、作業のレベルアップに対する要求が厳しいとの意見もあった。

アンケート結果

4~17は選択式の質問のため、該当項目のみ掲載しています。

1.利用者は困ったときに支援を受けているか

はい 23名 (88%)
どちらともいえない 3名 (12%)

9割弱の方が「はい」と回答し、「いいえ」はいない。具体的な意見はなかった。

2.事業所の設備は安心して使えるか

はい 21名 (81%)
どちらともいえない 3名 (12%)
いいえ 1名 (4%)
無回答・非該当 1名 (4%)

8割強の方が「はい」と回答している。具体的な意見はなかった。

3.利用者同士の交流など、仲間との関わりは楽しいか

はい 8名 (31%)
どちらともいえない 14名 (54%)
いいえ 2名 (8%)
無回答・非該当 2名 (8%)

「どちらともいえない」の回答が半数以上を占め、「はい」の回答は3割強である。「はい」と回答された方からは、「仕事が終わった後や休みの日に遊びに行ったりすることもある」とのコメントがあった。一方、「どちらともいえない」と回答された方からは、「交流などはあまりない」,「個人的なつきあいはない」などの意見があった。

10.【就労継続支援A型】
事業所での活動が働くうえでの知識の習得や能力の向上に役立っているか

はい 18名 (69%)
どちらともいえない 6名 (23%)
いいえ 1名 (4%)
無回答・非該当 1名 (4%)

7割弱の方が「はい」と回答している。「はい」と回答された方から「能力の向上等には役立っているが、ほかの仕事の技術にはつながらない」との意見があった。一方、「どちらともいえない」と回答された方からは、「プラスになっていることもあればマイナスになっていることもある」との意見があった。

11.【就労継続支援A型】
給料(工賃)等の支払いのしくみは、わかりやすく説明されているか

はい 24名 (92%)
どちらともいえない 2名 (8%)

ほとんど全員が「はい」と回答している。時給制であるというコメント以外は具体的な意見はなかった。

18.サービス提供にあたって、利用者のプライバシーは守られているか

はい 19名 (73%)
どちらともいえない 4名 (15%)
無回答・非該当 3名 (12%)

7割強の方が「はい」と回答し、「いいえ」はいない。具体的な意見はなかった。

19.利用者の気持ちは尊重されているか

はい 19名 (73%)
どちらともいえない 7名 (27%)

7割強の方が「はい」と回答し、「いいえ」はいない。具体的な意見はなかった。

20.職員の対応は丁寧か

はい 19名 (73%)
どちらともいえない 5名 (19%)
いいえ 1名 (4%)
無回答・非該当 1名 (4%)

7割強の方が「はい」と回答している。具体的な意見はなかった。

21.個別の目標や計画を作成する際に、利用者の状況や要望を聞かれているか

はい 23名 (88%)
どちらともいえない 3名 (12%)

9割弱の方が「はい」と回答し、「いいえ」はいない。「丁寧に聞いてくれる。ゆっくりと考える時間と場所を作ってくれる」などの意見がでていた。

22.【個別の目標や計画について説明を受けた方に】
個別の目標や計画に関しての説明はわかりやすかったか

はい 21名 (88%)
どちらともいえない 2名 (8%)
無回答・非該当 1名 (4%)

先行する質問で「個別の目標や計画について説明を受けた」と回答された24名に限って当質問を実施し、回答者のうち9割弱の方が「(個別の目標等についての)説明はわかりやすかった」と回答している。

23.【過去1年以内に利用を開始し、利用前の説明を受けた方に】
サービス内容や利用方法の説明はわかりやすかったか

はい 8名 (89%)
どちらともいえない 1名 (11%)

先行する質問で「過去1年以内に利用を開始した」と回答された13名に限って次の質問を実施し、その回答で「利用前に内容や方法についての説明を受けた」と回答されたのは9名であった。さらにその9名に限定して当質問を実施し、8名が「(利用前の)説明はわかりやすかった」と回答している。

24.不満や要望を事業所(施設)に言いやすいか

はい 17名 (65%)
どちらともいえない 5名 (19%)
いいえ 2名 (8%)
無回答・非該当 2名 (8%)

6割強の方が「はい」と回答している。「はい」と回答した方からは、「仕事に関することは言っている」との意見があった。

25.利用者の不満や要望はきちんと対応されているか

はい 19名 (73%)
どちらともいえない 4名 (15%)
無回答・非該当 3名 (12%)

7割強の方が「はい」と回答し、「いいえ」はいない。「まめに様子を聞いてくれる」との意見があった。

26.第三者委員など外部の苦情窓口にも相談できることを知っているか

はい 6名 (23%)
どちらともいえない 4名 (15%)
いいえ 13名 (50%)
無回答・非該当 3名 (12%)

「いいえ」の回答が半数を占め、「はい」の回答は2割強である。「第三者委員」が不明という意見が複数あった。仕組みの認知度は低い様子である。

サービス分析結果

6. サービス分析のプロセス
【講評】
清掃業を通じた精神障害者への支援を25年以上に渡って実践している団体である

NPO法人ストローク会は、精神障害者の働く場として平成元年に設立された株式会社ストロークを補助する目的で平成13年6月に立ち上げられた。より手厚い支援を行うために平成24年4月、就労継続支援(A型)事業のストローク・サービスを開設した。運営する法人の創設者らが精神障害者の支援で先行していたアメリカ合衆国での取り組みに触れ、なかでも清掃業での取り組み事例に感銘を受けて現在まで続く事業の根幹となっている。事業における業務は清掃の受託であるため利用者が業務のため日々過ごす勤務地は、委託元の企業等となる。

ホームページやリーフレットを作成して事業所の情報を広範に発信している

就労を通じた社会参加のための基本的な研修を行い、持病や障害をうまくコントロールしながら仕事をする「通院して働き続ける」方法を実践するため、日々活動している。事業所の情報を外部に提供している媒体としてはホームページやリーフレットがある。ホームページには、法人設立趣旨や事業計画などの組織の概要,法人本部や事業所事務所へのアクセス,活動内容などが掲載されている。活動風景の写真などを多用して具体的な雰囲気が伝わるページ構成となっている。リーフレットは所在の区役所や保健センターでも手に入れることができる。

問い合わせや見学の依頼に対しては柔軟に対応するように心がけている

利用希望などの問い合わせには随時対応している。事業所の説明への対応は原則として施設長が担うが他の職員でも応じられる。また、作業現場の見学については、実際に利用者が通う可能性の高い現場を見学してもらうことを心がけている。見学したところと勤務地が違った場合に生じる見学時の思いとの相違が実際に勤務した後のトラブルへつながる可能性を考慮した取り組みである。事業所としては、現在のホームページやリーフレットのリニューアルを検討しているが、なかなか着手できずにいる状況にある。

1.利用希望者等に対してサービスの情報を提供している
  • 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  • 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  • 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  • 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
【講評】
利用契約時には自立支援サービスを受けることと雇用されることを説明し同意を得ている

サービスを利用するにあたって知る必要のある基本的なルールや重要事項などは、利用契約締結時に説明をしている。福祉サービス利用における契約書と重要事項説明書に加え、雇用契約書についても読みあわせを行い、利用者側の同意を得た上でこれらの書類に署名を得ている。特に、利用者全員が雇用契約を結んでいるため勤務地や時給などの関心が高く重要な部分について一人ひとり納得がいくまで説明することを心がけている。

新規利用者に対してまずは新しい環境に慣れることができるように対応する

利用開始にあたり必要となる利用者の個別事情や要望などを「フェイスシート」という様式に記録している。また、利用開始前に所属していた支援機関から提出された書類も情報源として活用している。服薬の状況や病状により働きやすい時間帯などがある場合にはそれに配慮し、体力があるとかモチベーションが高いなどの個人特性も考慮し最初の勤務地を決めている。見学や面談の時から勤務地での指導などもなるべく同じ職員が対応することで不安感やストレスが少なくなるよう配慮している。

サービス終了時にも新たな支援機関の情報提供などに努めている

サービスの終了は同時に「退職」を意味するため、退職届が利用者から提出されることとなる。最近のサービス終了の事例では、一般企業への就労を強く希望するようになってきた利用者が他の支援機関へ移りたいと申し出て退所に至ったケースがある。従事する業務が清掃業務だけということもあり、他の種類の仕事をしてみたいという希望により退所となる事例がいくつかある。その際にも、新たな就労先の情報を調べ一緒に検討するなどの取り組みをしている。

1.サービスの開始にあたり利用者等に説明し、同意を得ている
  • サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を利用者の状況に応じて説明している
  • サービス内容や利用者負担金等について、利用者の同意を得るようにしている
  • サービスに関する説明の際に、利用者や家族等の意向を確認し、記録化している
2.サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている
  • サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  • 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
  • サービス利用前の生活をふまえた支援を行っている
  • サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
【講評】
利用者の心身状況や生活状況,ニーズなどを面談を通じて把握している

支援のために必要となる利用者の心身状況や生活状況、一人ひとりのニーズなどの情報は、個別支援計画作成に当たって行われる面談を通じて把握される。個別支援計画における目標については、すべて利用者本人の言葉に基づいて設定している。自分自身で目標を決め、宣言したという行為がエンパワメントを引き出すことにつながるためである。年度の半期ごとに個別支援計画の見直しのためのアセスメントとして面談を実施し、面談記録に情報を集約する。利用者の目標に対する意識付けを促すために、面談の機会を多くとり個別支援計画が作成される。

利用者の情報を職員間で共有する方法は個人記録の供覧により行われる

計画を緊急に変更するしくみは、随時実施している面談にて変化を察知した場合に行われる。毎日の清掃業務終了後に担当職員が利用者ごとの様子を支援記録に記録する仕組みとなっている。支援記録は個人毎にファイリングされ事務所に保管される。職員間で利用者支援に必要となる情報の交換は事務所での記録の供覧により行われる。職員が一同に介する職員会議は月に1度のため、全職員がタイムリーにコンセンサスを得ることは現実的に難しい。事業所としては、職員間の情報の共有についての課題を認識している。

利用者の情報を管理するための様式の設定について検討が必要である

利用者の日々の事例を記録する様式は定型化されていない。そのため個別支援計画の内容を踏まえ、支援計画に沿った支援内容であったかどうかは一覧しただけではわかりにくい仕組みとなっている。記録すべき情報の過不足をなくすためにも様式の統一が望まれる。利用者の状態の推移については、個人毎に時系列で記録が取られファイルへ綴られるため、変化がわかる仕組みとなっている。

1.定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している
  • 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
  • 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  • アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
2.利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の支援計画を作成している
  • 計画は、利用者の希望を尊重して作成、見直しをしている
  • 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  • 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
3.利用者に関する記録が行われ、管理体制を確立している
  • 利用者一人ひとりに関する情報を過不足なく記載するしくみがある
  • 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
4.利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している
  • 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
  • 申し送り・引継ぎ等により、利用者に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
1.個別の支援計画等に基づいて、利用者の望む自立した生活を送れるよう支援を行っている
  • 個別の支援計画に基づいて支援を行っている
  • 利用者一人ひとりに合わせて、コミュニケーションのとり方を工夫している
  • 自立した生活を送るために、利用者一人ひとりが必要とする情報を、提供している
  • 周囲の人との関係づくりについての支援を行っている
【講評】
職員は個別支援計画に基づき、短期目標の実現を目指して支援をしている

個別支援計画にある目標は、利用者自身の言葉に基づいて設定している。これは利用者自身が目標を決めて宣言をする行為がエンパワメントを引き出すことに繋がるからであり、職員は利用者の短期目標の実現を目指して支援を提供している。利用者が周囲の人とうまく関係を築きながら仕事ができるように配慮しており、清掃現場で利用者相互にトラブルがあるような場合には当事者だけで解決するのは困難なことが多いので、現場を変更したり、職員と利用者本人が話し合う機会を作って対応するなどしている。

職員は利用者の病状や性格を理解した上でコミュニケーションをとる

職員は利用者の病状や性格を理解した上でコミュニケーションをとるように心がけている。利用者によって単に面談をするだけではなく、交換ノートや電話を利用するなどの工夫がある。交換ノートは口頭での会話が苦手な利用者に対して使用する。仕事に出た日の記録として自らの振り返りを記入してもらい、職員から自信につながるようなコメントを入れて返す。文字の書き様で心理状態も類推でき、利用者の現状を把握するのにも役立つ。清掃終了時の報告を電話でしてもらっている。この際にも声の調子などに応じて、必要な言葉かけをするようにしている。

利用者が一人暮らしを始める時には、適宜、必要なアドバイスをしている

利用者が一人暮らしを始める時などは、新しい生活を始めるにあたっての注意点や相談できる場所などについてのアドバイスをしている。買い物の仕方や必要な電化製品、日々の洗濯の方法などについても必要であれば、アドバイスをする。一方で利用者が必要としている情報を十分に提供できているとは言えない状況も見られる。他の職業の情報や地域限定の情報、個人的な悩みなどを相談された時にすぐに答えられないこともある。利用者が利用できる制度等について、状況に応じて提供できるようにすることが今後の課題となる。

2.利用者が主体性を持って、充実した時間を過ごせる場になるような取り組みを行っている
  • 利用者一人ひとりの意向をもとに、その人らしさが発揮できる場を用意している
  • 事業所内のきまりごとについては、利用者等の意向を反映させて作成・見直しをしている
  • 室内は、採光、換気、清潔性等に配慮して、過ごしやすい環境となるようにしている
  • 【食事の提供を行っている事業所のみ】
    利用者の希望を反映し、食事時間が楽しいひとときになるよう工夫している
【講評】
事業所外部での清掃作業を利用者に業務として提供している

当事業所で利用者に提供している業務は、事業所外部での清掃業務となっている。清掃業務のみのサービスなので他の仕事を希望する場合など、十分にその人らしさを発揮してもらうことは難しい場合もある。職員はできるだけ個々の利用者の長所を活かせるようなやり方で清掃をしてもらえるように努力している。しかし、それぞれの清掃現場により条件が異なるためにどうしても利用者の希望や最適な環境等との差が生じてしまうことはある。

必要な物品の準備等において、利用者の意向を反映した対応をしている

利用者が業務に就く環境は、それぞれの現場によって異なる。清掃をするにあたって必要な物品等を要求する声が利用者から挙がった場合には、工夫をしてその物品を提供したり、できない時には必要な説明をする。その他、個々の利用者と現場の状況に応じて、休憩場所や喫煙ができる場所などについてアドバイスをしたりする。

短い時間でも利用者が気持ちよく過ごせるように事業所の清掃は毎日実施している

清掃の現場は事業所の外部にあるので利用者は普段は直行直帰をしている。事業所には面談の際や給料日、週に1回の実績記録表の記入日などで来所する。短い時間でも気持ちよく過ごしてもらえるように事業所内の清掃は毎日実施し、換気にも気を付けている。利用者の滞在時間も短いが、来所した時には必ず職員が一緒に話す時間を持っている。

3.利用者が健康を維持できるよう支援を行っている
  • 利用者の健康状態に注意するとともに、利用者の相談に応じている
  • 健康状態についての情報を、必要に応じて家族や医療機関等から得ている
  • 通院、服薬、バランスの良い食事の摂取等についての助言や支援を行っている
  • 利用者の体調変化(発作等の急変を含む)に速やかに対応できる体制を整えている
  • 【利用者の薬を預ることのある事業所のみ】
    服薬の誤りがないようチェック体制を整えている
【講評】
来所した際や清掃現場での利用者の様子に注意をし、違いを感じたら、体調等を確認する

職員は利用者の健康状態を把握するために事業所に来所した際や清掃現場での利用者の様子に注意をしている。いつもと違うと感じたら、話しかけ体調等を確認する。まずは睡眠がきちんと取れているかどうかを確認し、次に最近の服薬状況について尋ねる。必要があれば病状からくる体調の波についてはもちろんのこと、風邪や下痢、痛みの箇所などの様々な体調変化に応じて、生活上気をつけることを助言している。助言の際は一般論ではなく、利用者の生活スタイルに即した内容となるように心がけている。

必要に応じて家族や担当保健師からも利用者の健康状態について情報を得ている

利用者の体調や心身状況の変化があった際、仕事以外に不調の原因がある可能性が高い場合には、利用者本人との面談の機会を持ち、必要に応じて家族や担当保健師からも話を聞くようにしている。現場で急に体調を崩すなどで利用者が仕事を継続できなくなった場合には早退してもらい、職員が後の仕事を引き継ぐ。早退後は家に無事に帰ることができたかを確認している。

通院や服薬の状況、食事の摂取状況などについては、職員も注意を払っている

利用者の通院や服薬の状況、食事の摂取状況などについては、職員も注意を払っている。清掃業務という体を使う仕事なので、食事はきちんと摂るように助言している。来所した時に体調などに変化が見られたら睡眠の状況を確認し、食事や服薬が行えているか、主治医に体調を話せているかどうかを確認している。通院の際の同行受診を職員はまだしたことはないが、今後必要に応じて同行受診することも考えている。

4.利用者の意向を尊重しつつ、個別状況に応じて家族等と協力して利用者の支援を行っている
  • 家族等との協力については、利用者本人の意向を尊重した対応をしている
  • 必要に応じて、利用者の日常の様子や施設の現況等を、家族等に知らせている
  • 必要に応じて家族等から利用者・家族についての情報を得て、利用者への支援に活かしている
【講評】
利用者と家族間のデリケートな問題にはできる限りの配慮をしている

利用者と家族との関係に関しては、事業所としても慎重に関わりを持つようにしている。利用者と家族間のデリケートな問題にはできる限りの配慮をするようにしており、家族への連絡を拒む利用者に対しては無理強いはせずに、なぜ嫌なのか原因を探る努力をまずしている。利用者の日常の様子や事業所の現況を家族等に知らせるのは、スタッフ会議や関係者からの情報で必要と判断した時のみに行っている。

仕事場以外に利用者の不調の原因があると判断した場合には、家族等に連絡を取る

仕事場以外に利用者の不調の原因があると判断した場合には、利用者本人から許可をもらってから、家族等に連絡を取る。まれに利用者の状況によっては許可なく連絡をする例外もある。家族自体が問題を抱えていて、それが利用者の不調に繋がっている場合でもその問題解決までの対応を職員がすることは難しい。必要がある場合には支援が可能な関係者に繋げる体制を整えることも事業所として考えている。

5.利用者が地域社会の一員として生活するための支援を行っている
  • 利用者が地域の情報を得られるよう支援を行っている
  • 利用者が地域の資源を利用し、多様な社会参加ができるよう支援を行っている
【講評】
チラシやパンフレットなどにより、主に区内の地域情報を利用者に提供している

デイケアやデイケア主催のコンサート、文化事業を主催する団体のフォーラム、障害者のための就職準備フェアなどの各種チラシを事業所内に掲示して、地域の情報を利用者に提供している。また、区発行の「こころの病気」に関するパンフレットや区内の相談先や通所施設が掲載されている地図を置いて、いつでも利用者が手に取ることができるようにしている。区外の情報も広く集めようと考えており、情報を収集することが今後の課題として挙げられている。

利用者の目に留まりやすいように求人情報は専用のコーナーに掲示している

利用者の就職につながる情報も提供している。技能競技大会のポスターや求人情報を掲示して、利用者の意欲が高まるようにしている。特に求人情報については専用のコーナーに掲示し、目に留まりやすくしている。

10.【就労継続支援A型】雇用による就労の機会の提供や、知識の習得及び能力向上のための支援を行っている
  • 利用者が働く意欲を持ち続けることができるような取り組みを行っている
  • 働くうえで必要な知識の習得及び能力向上のための支援を行っている
  • 賃金(工賃)等のしくみについて、利用者に公表し、わかりやすく説明している
  • 商品開発、販路拡大、設備投資等、賃金(工賃)アップの取り組みを行っている
【講評】
利用者の主体性を大切にしながら仕事への「やる気」を持ち続けられるように促している

個別支援計画にある目標は、利用者自身の言葉に基づいて設定している。これは利用者自身が目標を決めて宣言をする行為がエンパワメントを引き出すという考えに基づいている。職員は個々の利用者の主体性を大切にしながら、仕事への「やる気」を持ち続けられるように促す努力をしている。また、事業所内に求人情報を掲示することでどういう人が仕事に就けるのか(実際の求人は週5日で6時間以上というものが多い)を意識してもらっている。

利用者のペースを大事にしながら、働く上で必要な知識や技術、マナーを伝えている

利用者が働く上で必要な知識を習得したり能力を向上させることができるよう、清掃業務において必要な技術と知識、社会人としてのマナーを現場や事業所で利用者のペースに合わせて教えている。給料に関しては、当事業所では東京都の最低賃金で時間数で計算していることを理解するまで教えている。

利用者に働いた時間と給料の額を確認してもらって給料の仕組みを理解してもらっている

毎月の給料日には明細票とタイムカードを利用者自身に見てもらって、働いた時間と給料の額を確認してもらっている。数字の確認をしてもらうことで給料の仕組みの理解に繋がる。給料の計算の仕方を理解することで被害妄想が強い利用者も自分で納得して受け取ることができる。計算が苦手な利用者には根気よく教え、自分でできるようになるまで時間をかけサポートしている。できるようになると自信が付いて仕事にもいい影響が出る。自分がどれだけ給料をもらっているかを自覚することも仕事への「やる気」に繋がる。

【講評】
個人のプライバシーに関わる重要な情報は厳重に管理している

事業所の外部へ個人情報を提供する必要がある場合(病状の急変により医療機関へ連絡する等)に備えて、予め利用契約の段階で提供同意書を用いて内容を説明し、同意を得ている。また、区役所等から本人宛の文書が事務所に届いた場合、利用者が事務所に来所した際に直接本人へ手渡している。行政からの重要な文書を紛失してしまうリスクに備えて、本人の承諾の下、文書の複写を事務所に保管することもあるが、厳重に管理している。

利用者からの相談にはプライバシーが確保できる環境の下で対応している

職員と利用者が接する場は清掃作業の現場がほとんどであるため、プライバシーに関わる事項の相談等を受けるには事務所へ集うこととなる。事務所には相談室があるのでプライバシーに関わる話もできる。日々の清掃業務の終了時に電話で事務所へ「終了報告」をする決まりとなっている。また、午前中の状況などを昼に事務所へ電話連絡してくる場合もある。利用者からの電話を受ける際、ただ事務的に応じるのではなく声のトーンや滑舌などから利用者の状態・状況を察知して、場合によっては事務所へ寄るように促したりしている。

障害特性を十分認識した上での専門的支援により利用者の意思を尊重している

利用者の意思を尊重し、何かを強要したり、威圧的な態度で強制することはない。しかし、利用者に対して、強制することはないが何でも思い通りに受け入れるわけではない。利用者個々に異なる障害特性を十分認識した上で専門的支援として、強制ではなく、甘やかさず、「やる気」を持続させることができる支援方法を模索し続けている。利用者の気持ちを傷つけるような不適切な職員の言動等に対しては今まで属人的な対応として問題が発生していなかったに過ぎず、今後振り返りを促す組織的な仕組みの構築が課題となっている。

1.利用者のプライバシー保護を徹底している
  • 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
  • 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
  • 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
2.サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している
  • 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
  • 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、放任、虐待、無視等が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に予防・再発防止を徹底している
  • 虐待被害にあった利用者がいる場合には、関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
  • 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
【講評】
清掃業務に関するマニュアルの他、マナーに関するマニュアルを作成している

清掃業務に関する作業マニュアルはビルクリーニング技能士国家資格に対応した、まさにプロ仕様のものが多く用意されている。しかし、現場における具体的な作業手順は各現場によりまったく違うため担当する職員が把握している方法にて行っている。以前より、プロ仕様のマニュアルという型に個々に特性の違う利用者をあてはめることがはたして適切なのかという議論があり、現在のような現場に即した柔軟な対応を取っている。その他、お客様である現場でのマナーに関するマニュアルや「利用者への支援要項」というチェックリストを作成している。

新しい現場など状況の変化に応じて対応手順も随時見直している

サービスの基本事項のほか、感染症予防や熱中症予防などの対応手順はまとめている。時代の変化や新しい業務依頼先など、その時々によって求められるものが変わっていくため、現場における状況判断によって絶えず手順を変化させている。サービスの基本事項や手順等が行き渡るように、月1回、1~2時間程度のスタッフ会議を開催している。現場における作業内容、滞在中のマナーや過ごし方、言動などについての対応手順はまとまっているが、利用者の障害に対する専門スキルについては、業務水準の確保について課題と認識している。

業務の一定水準の確保については課題であることを認識している

利用者の安全性に配慮した支援についても、現場の職員の判断に任せる場合が多い。以前は、職員間のミーティングの機会が多く取れたため、その際に情報の共有が図れた。今後は、ヒヤリハット報告の仕組みを入れるなど、属人的対応だけで完結させない仕組みの必要性を認識している。また、現在、指導的立場の職員が不在ということもあり、スーパーバイズの仕組みは十分には機能していないが、協力関係にある他の事業所の所長などから助言を受けることはある。

1.手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている
  • 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  • 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうかを定期的に点検・見直しをしている
  • 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
2.サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている
  • 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  • 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている
  • 職員一人ひとりが工夫・改善したサービス事例などをもとに、基本事項や手順等の改善に取り組んでいる
3.さまざまな取り組みにより、業務の一定水準を確保している
  • 打ち合わせや会議等の機会を通じて、サービスの基本事項や手順等が職員全体に行き渡るようにしている
  • 職員が一定レベルの知識や技術を学べるような機会を提供している
  • 職員全員が、利用者の安全性に配慮した支援ができるようにしている
  • 職員一人ひとりのサービス提供の方法について、指導者が助言・指導している
  • 職員は、わからないことが起きた際に、指導者や先輩等に相談し、助言を受けている

事業者のコメント

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評価情報

【評価実施期間】

2013年7月3日~2014年3月28日

【評価者修了者No】

H0301085,H0403017

評価結果のダウンロード

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