評価結果
基本情報
事業者の理念・方針・期待する職員像
事業者が大切にしている考え(理念・ビジョン・使命など)
1)地域に住む精神障がい者が社会で自立した生活を送れるよう支援すること。
職員に求めている人材像や役割
・利用者の心に寄り添うことのできる職員。
職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)
・利用者だけではなく、広く社会に働きかける意識。
全体の評価講評
特によいと思う点
職員数は、併設の事業も含めて10名未満で構成されており、そのうち2名は法人の理事で構成されている。理事会や評議員会を開催する際には、一般職員も事務的な業務を担当して理事会の場に出席し、検討経緯や内容を直接知ることができるようにしている。全職員が法人や事業所運営に関する重要な決定に至る経緯を共有することにより、使命感や一体感の高揚が目指されている。事業所運営への参画意識を前提に置き、職員相互に助け合い、連携を図ることのできる職員集団の構築に努めている。
事業所内にはさまざまな工賃のしくみや就労への道筋、あるいはゴミの捨て方に至るまでいくつもの掲示がされているが、乱雑ではなく、利用の目につきやすいよう、例えば、ゴミに関する掲示はゴミ箱の上というように配置されている。それらの掲示物は文章を最低限にまで排して写真やイラストを多用し、視覚的にわかりやすいものとなるように表示されている。文書での理解が苦手なケースが少なくないため、利用者や利用希望者が理解しやすいように工夫している。
地域社会の中で生きづらさを感じている利用者がよりよい日常生活を営めるように、決められた作業や各種プログラムを通して、人と人との触れ合いを体験できるようにしている。他者と向き合い、自分と向き合うことで、人間関係の築き方や社会のルールを学ぶ場を提供しようと取り組んでいる。無理しないで通所することで体調管理を学び、自分の目標や課題に向かい一つひとつ確実に積み上げて、目指す方向に進んでいけるように支援している。
さらなる改善が望まれる点
現在のところ、利用者の個人情報の取り扱いや保護方針、管理方法について定めはなく、各職員の判断・責任のもとで取り扱われている。この状態では、万一情報漏えいが発生したり、個人情報の取り扱い方法について、故意でなく不適切な取り扱いがなされた場合、事業所だけでなく職員個人にまで責任が及び、利用者の権利侵害にもつながる状態である。早急に事業所として個人情報保護の方針や具体的な規程を定め、その定めに基づき各職員が適切な取り扱いが行えるように体制を整備していくことが望まれる。
個別支援計画書はシンプルな様式とし、本人の希望が反映されやすい等の工夫がなされているが、それに基づく支援経過を記入する欄がやや狭かったり、十分な活用がされていない状況は改善が望まれる。また、支援経過そのものは日々の個人記録に記入するようにしているが、実際には多くの情報が記入されているので、もっとも肝要な個別支援計画に基づく支援経過を記録できるように工夫していくことが求められる。
利用時には利用者本人から心身の状況を聞き取るとともに、担当の保健師から症状や服薬状況を確認している。発作を起こす可能性の高い利用者の受け入れは行っていないが、利用者の体調の急な変化や事故などについて、職員が基本的な対応方法を習得したり、緊急時の職員の役割を明確にすることで慌てず対応するように備えることが望まれる。通所中の不測の事態に備え、経験年数の長短に関わらず、どの職員も迅速に適切な対応ができるよう、マニュアルや連絡体制の整備をすることが望ましい。
事業者が特に力を入れている取り組み
利用者への日々の支援やコミュニケーションを図る際の職員の基本姿勢として、職員も利用者も同じ人であり、対等な立場で接することを大切にしている。この姿勢の浸透を図るために「ファロの職員心得」を作成して職員だけでなく利用者にも配布して理解を促したり、日々の職員ミーティングの機会等に支援姿勢を検討する際にも大前提に置いている。この姿勢は、職員と利用者との関係にとどまらず、利用者同士についても対等な立場での人間関係構築がなされていくことも視野に入れて取り組んでいる。
サービス開始時点に利用前の情報を情報提供書の形で提供してもらうだけでなく、さまざまな情報の収集に努めている。利用開始後も人間関係が苦手なケースが多いことから利用者の性格や症状等に基づき不安やストレスが軽減されるように支援をしている。サービス終了時にもただ見送るのではなく、本人に必要なアドバイスを行い、必要に応じて他の支援者や関係機関に情報を提供して安心できる環境の調整を進めている。このように、利用者を通所している期間だけでなく、利用者の人生を見通した長期間を想定して支援することに力を入れている。
事業所は地域社会で日常生活が営めるよう、作業や各種プログラムを通して人間関係を築くことを学び、利用者が自分の目標に向けて主体的に考え、課題に対して自分の力で克服できるよう、支援に努めている。基礎となる体力管理、対人関係のスキルなど、土台から一つひとつを無理せず着実に積み上げていき、自分の目指す方向に向かって進むことのできるよう相談や助言を行っている。
利用者調査結果
調査概要
- 調査対象:長期入院や長期欠席者を除いた全利用者。
- 調査方法:アンケート方式
利用者調査は、相談室やフロアの一角など、話を聞きやすい場所で評価者が個別に聞き取り調査を行った。また、当日不在の利用者には事業所よりアンケート用紙を配布してもらい、記入後返信用封筒で直接評価機関へ郵送する方法を取った。 - 有効回答者数/利用者総数:36/45(回答率 80.0% )
アンケート調査の結果から、多くの項目で肯定的な回答が得られている。サービスの提供では、事業所内は利用者が安心して使用できる環境にあることや、工賃の支払い方法についてわかりやすい説明があることに満足している様子がうかがえた。また、利用者が必要とした際に職員の手助けがあると感じている利用者も多い。利用者個人の尊重については、他の人に知られたくないことなど、利用者のプライバシーに配慮があり、利用者への接し方や言葉をかける際の言葉遣いも丁寧であると多くの利用者が回答している。その他、不満や要望が伝えやすい環境にあると回答した利用者も半数以上みられた。なお、困ったことなどを外部の窓口に相談できることについては、認識のない利用者もいる状況であった。総合的な感想では、事業所への満足度に対し、半数近くの利用者が「満足」としており、次いで「大変満足」となっている。
アンケート結果
4~17は選択式の質問のため、該当項目のみ掲載しています。
1.利用者は困ったときに支援を受けているか
36名の利用者のうち、31名が「はい」としており、利用者が必要とした際に職員の手助けがあると回答している。その他、4名は「どちらともいえない」と回答している。自由意見では、作業でわからないときに手助けがあるという声や、具合が悪いときもすぐ対応してくれるという声が聞かれた。なお、1名の利用者は無回答であった。
2.事業所の設備は安心して使えるか
36名の利用者のうち、35名が「はい」としており、事業所内は安心して使用できる環境にあると回答している。その他、1名は「どちらともいえない」と回答している。
3.利用者同士の交流など、仲間との関わりは楽しいか
利用者同士の交流などは楽しいものであるかについて、36名の利用者のうち、23名が「はい」、9名が「どちらともいえない」、4名が「いいえ」と回答していいる。自由意見では、事業所に友人がいて、私生活でも助け合ったり相談にのっているという声があがった。
12.【就労継続支援B型】
事業所での活動が働くうえでの知識の習得や能力の向上に役立っているか
36名の利用者のうち、30名が「はい」としており、事業所での作業や活動が、働くうえで必要な知識や技術を身につけることに役立っていると回答している。その他、4名は「どちらともいえない」、1名が「いいえ」、残りの1名が「非該当」と回答している。自由意見では、パソコンの入力作業などが役立っているという声や、毎日通う習慣や遅刻をしないための取り組みを行っているという声があがった。
13.【就労継続支援B型】
工賃等の支払いのしくみは、わかりやすく説明されているか
36名の利用者のうち、34名が「はい」としており、工賃等の支払い方法や内容についてわかりやすい説明があると回答している。その他、1名は「どちらともいえない」、残りの1名が「いいえ」と回答している。自由意見では、毎月明細書をもらっているという声が聞かれた。その他、説明は行われているが、十分理解できないところもあるという意見もあった。
18.サービス提供にあたって、利用者のプライバシーは守られているか
36名の利用者のうち、31名が「はい」としており、他の人に聞かれたくないことや言いたくないことなど、利用者のプライバシーに配慮した対応が行われていると回答している。その他、3名は「どちらともいえない」、2名が「いいえ」と回答している。
19.利用者の気持ちは尊重されているか
36名の利用者のうち、28名が「はい」としており、事業所では利用者の気持ちや考えが大切にされていると回答してる。その他、6名は「どちらともいえない」、1名が「いいえ」と回答している。自由意見では、大切にしてくれているという声が聞かれたが、職員によるという声もあった。なお、1名の利用者は無回答であった。
20.職員の対応は丁寧か
36名の利用者のうち、31名が「はい」としており、利用者への接し方や言葉をかける際の言葉遣いなどは丁寧であると回答している。その他、4名は「どちらともいえない」、1名が「いいえ」と回答している。自由意見では、敬語で挨拶もしっかりするという意見があがった。
21.個別の目標や計画を作成する際に、利用者の状況や要望を聞かれているか
36名の利用者のうち、31名が「はい」としており、個別の目標や計画作成の際に、利用者の意見や要望を伝えていると回答している。その他、3名は「どちらともいえない」、2名が「いいえ」と回答している。自由意見では、担当の職員が聞いてくれるという声や、意見を尊重してくれるという声が聞かれた。
22.【個別の目標や計画について説明を受けた方に】
個別の目標や計画に関しての説明はわかりやすかったか
該当する利用者30名のうち、26名が「はい」としており、個別の目標や計画についての説明は、理解しやすいものであったと回答している。その他、3名は「どちらともいえない」、1名が「いいえ」と回答している。自由意見では、わかりやすく親切に説明してくれたという意見が聞かれた。
23.【過去1年以内に利用を開始し、利用前の説明を受けた方に】
サービス内容や利用方法の説明はわかりやすかったか
利用前に行われるサービス内容や利用方法の説明は、わかりやすいものであったかについて、該当する利用者7名のうち、5名が「はい」、2名が「どちらともいえない」と回答している。
24.不満や要望を事業所(施設)に言いやすいか
不満や要望などは事業所に伝えやすい環境にあるかについて、36名の利用者のうち、23名が「はい」、8名が「どちらともいえない」、4名が「いいえ」、1名が「非該当」と回答している。自由意見では、言いやすいけどあまり言わず、我慢していることが多いという声が聞かれた。
25.利用者の不満や要望はきちんと対応されているか
不満や要望を伝えた後、その事に対して対応がされているかについて、36名の利用者のうち、20名が「はい」、7名が「どちらともいえない」、2名が「いいえ」、6名が「非該当」と回答している。自由意見では、対応してくれるという声が聞かれたが、最初は対応してくれるが、その後のフォローが十分ではなく、解決までいかないとことがあるという声があがった。なお、1名の利用者は無回答であった。
26.第三者委員など外部の苦情窓口にも相談できることを知っているか
36名の利用者のうち、13名が「はい」、1名が「どちらともいえない」、22名が「いいえ」と回答しており、困ったことなどを相談できる外部の窓口については、認識の名利用者がいる状況であった。自由意見では、知ってはいるが連絡先までは覚えていないという声が聞かれた。
組織マネジメント分析結果
◆事業評価結果
7つの「カテゴリー」の下に、それぞれ「サブカテゴリー」「評価項目」「標準項目」を設定して評価しています。
評価項目ごとに、標準項目の実施状況を、実施できている場合は
で、実施できていない場合は
で表しています。
1. 事業所が目指していること(理念、基本方針)を明確化・周知している
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を明示している
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
- 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
- 重要な意思決定や判断に迷ったときに、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を思い起こすことができる取り組みを行っている(会議中に確認できるなど)
2. 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている
- 経営層は、自らの役割と責任を職員に伝えている
- 経営層は、自らの役割と責任に基づいて行動している
3. 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している
- 重要な案件を検討し、決定する手順があらかじめ決まっている
- 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
- 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
【講評】
職員心得や職員の基本姿勢について文書にまとめている
数年前に管理者によって職員心得と職員の基本姿勢に関する文書が作成されており、職員だけでなく利用者にも配布して理解を促している。職員心得の内容は、職員が守るべき法規範を盛り込んでいる部分もあるが、主として利用者の権利擁護や接遇・マナー、職員のチームワーク向上に関する内容が多く含まれている。職員の基本姿勢の内容は、利用者への支援にあたっては見守る姿勢をとることや、利用者にやってあげるといった姿勢はとらないこと等、自立支援に努めることを明示し、利用者に伝えている。
地域での作業等、利用者と職員が一緒になって地域貢献する機会がある
受注している作業のなかには、公園清掃や地域のタウン誌業務、地域の備蓄庫の清掃、区内の表示板の清掃等、職員や利用者が日々地域で活動する機会が用意されている。また、地域で毎年行われている花の苗を無料配布する取り組みに職員と利用者が一緒になって活動することが定着しており、地域貢献につながっている。
実習生やボランティア受け入れ時にオリエンテーションを実施して留意点を伝えている
実習生の受け入れは昨年度の実績でも年間約50名と多く、ボランティアについても適宜受け入れている。「実習中・ボランティア中のお願い」という文書を作成しており、活動上の留意点をとりまとめてオリエンテーションの際に配布して理解を促している。また、利用者のプライバシー保護に関する事項についても口頭で伝えている。なお、今後は利用者の権利尊重に関する事項についても文書に盛り込んで確実に注意喚起を図っていくことが有効と思われる。
1. 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知している
- 福祉サービスに従事する者として、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳)などを明示している
- 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳)などの理解が深まるように取り組んでいる
2. 第三者による評価の結果公表、情報開示などにより、地域社会に対し、透明性の高い組織となっている
- 第三者による評価の結果公表、情報開示など外部の導入を図り、開かれた組織となるように取り組んでいる
- 透明性を高めるために、地域の人の目にふれやすい方法(事業者便り・会報など)で地域社会に事業所に関する情報を開示している
1. 事業所の機能や福祉の専門性をいかした取り組みがある
- 事業所の機能や専門性は、利用者に支障のない範囲で地域の人に還元している(施設・備品等の開放、個別相談など)
- 地域の人や関係機関を対象に、事業所の機能や専門性をいかした企画・啓発活動(研修会の開催、講師派遣など)を行っている
2. ボランティア受け入れに関する基本姿勢を明確にし、体制を確立している
- ボランティアの受け入れに対する基本姿勢を明示している
- ボランティアの受け入れ体制を整備している(担当者の配置、手引き書の作成など)
- ボランティアに利用者のプライバシーの尊重やその他の留意事項などを伝えている
3. 地域の関係機関との連携を図っている
- 地域の関係機関のネットワーク(事業者連絡会など)に参画している
- 地域ネットワーク内での共通課題について、協働して取り組めるような体制を整えている
【講評】
苦情解決のしくみをさらに客観性が保たれるものにしていくことが望まれる
苦情解決のしくみが整備されており、そのしくみを知らせるポスターを事業所内の壁に数ヶ所貼り出して利用者の理解が深まるように取り組んでいる。なお、現在のところ苦情解決受付担当者と苦情解決責任者がいずれも管理者となっている点や、第三者委員の配置等がなされていない状況は、苦情を客観的に把握し、検討することが難しいと思われる。また、意見箱を設置して数件の投書が出されているが、設置場所が職員の目につきやすい玄関先にあるので、利用者が職員の目を気にせず提出しやすい場所に置くことが望まれる。
利用者の声を把握し、事業所運営に反映していく取り組みが行われている
利用者と職員とのコミュニケーションを日々取り交わしながら、利用者の意向や要望を把握するように努めている。把握した意向は職員個人で検討するのではなく、職員チームとして相互に検討することを大切にして運営している。また、年度末に利用者全体に向けてアンケートを実施し、集計する取り組みもある。なお、職員会議で利用者からの要望等について時間をかけて話し合い、具体的な改善策が講じられているが、職員会議録をつけて記録していくことが望まれる。
事業環境等に関するさまざまな情報を整理し、分析していくことが期待される
区の連絡協議会等に出席する機会を通じて、事業所運営に有効な情報や地域に関する情報を得ることができ、その都度職員に提示したり、事業運営を進める際に参考にする等、情報を活かしている。ただし、それらの収集した情報を職員間で共有を図るためにとりまとめたり、職員が情報にアクセスしやすく整理する取り組みは十分とはいえない状況となっている。
1. 利用者一人ひとりの意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応している(苦情解決制度を含む)
- 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
- 利用者一人ひとりの意見・要望・苦情に対する解決に取り組んでいる
2. 利用者意向の集約・分析とサービス向上への活用に取り組んでいる
- 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向を把握することに取り組んでいる
- 事業者が把握している利用者の意向を取りまとめ、利用者から見たサービスの現状・問題を把握している
- 利用者の意向をサービス向上につなげることに取り組んでいる
3. 地域・事業環境に関する情報を収集し、状況を把握・分析している
- 地域の福祉ニーズの収集(地域での聞き取り、地域懇談会など)に取り組んでいる
- 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)の収集に取り組んでいる
- 事業所としての今後のあり方の参考になるように、地域の福祉ニーズや福祉事業全体の動向を整理・分析している
【講評】
事業計画書の策定の流れの中に、職員参画のしくみを導入していくことが期待される
今のところ中・長期計画書は策定されておらず、単年度の事業計画書を理事会を経て確定するしくみとなっている。職員も理事会に関わることで事業計画書の内容について理解を深めているが、今後は事業計画書の案を策定する段階で各職員の意見や企画提案等が反映されるしくみや、利用者の意見や要望が検討・反映されるしくみを確立し、導入していくことが望まれる。
事業計画書で明確にした方針について、進捗管理していくことが望まれる
単年度事業計画書の内容は、作業別事業計画として具体的な作業内容を明示している他、利用者の目的別の支援計画の方向性、仕事以外のプログラムの計画、その他の課題を簡潔にまとめたものとなっている。これらの内容や方針について、実際に年度内にどのように推移し、達成状況がどうなっているか等、事業計画書の進捗管理を行っていくことが望まれる。
リスクマネジメントすべき範囲を明確にし、具体的な整備を進めていくことが有効である
利用者の安全確保の取り組みとして、これまでよりも耐震性の高い事業所に移転したり、防災計画の策定・実行がなされているが、感染症対策や不審者対応等の領域については、関係機関から文書や情報が届いた際に、職員に随時注意喚起を呼びかけることで対応している。今後は事業所でリスクマネジメントする範囲を明確にしたうえで、事業所としてどのような取り組みで安全確保に努めるのか等、整備を進めていくことが有効である。
1. 取り組み期間に応じた課題・計画を策定している
- 理念・ビジョンの実現に向けた中・長期計画を策定している
- 年度単位の計画を策定している
- 短期の活動についても、計画的(担当者・スケジュールの設定など)に取り組んでいる
2. 多角的な視点から課題を把握し、計画を策定している
- 課題の明確化、計画策定の時期や手順があらかじめ決まっている
- 課題の明確化、計画の策定にあたり、現場の意向を反映できるようにしている
- 計画は、サービスの現状(利用者意向、地域の福祉ニーズや事業環境など)を踏まえて策定している
- 計画は、想定されるリスク(利用者への影響、職員への業務負担、必要経費の増大など)を踏まえて策定している
3. 着実な計画の実行に取り組んでいる
- 計画推進の方法(体制、職員の役割や活動内容など)を明示している
- 計画推進にあたり、より高い成果が得られるように事業所内外の先進事例・失敗事例を参考にするなどの取り組みを行っている
- 計画推進にあたり、目指す目標と達成度合いを測る指標を明示している
- 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
1. 利用者の安全の確保・向上に計画的に取り組んでいる
- 利用者の安全の確保・向上を図るため、関係機関との連携や事業所内の役割分担を明示している
- 事故、感染症、侵入、災害などの事例や情報を組織として収集し、予防対策を策定している
- 事故、感染症、侵入、災害などの発生時でもサービス提供が継続できるよう、職員、利用者、関係機関などに具体的な活動内容が伝わっている
- 事故、感染症、侵入などの被害が発生したときは、要因を分析し、再発防止に取り組んでいる
【講評】
新規採用を行い、利用者への支援に必要な人員配置となるように取り組んでいる
これまでの職員配置よりも手厚い人材構成となるように職員を1名増やすことを決め、新規採用がなされた。また、適材適所の職員配置というよりは職員全体で運営していく方向で整えている。具体的には、事業所内をパーティションで区画する場合にも透明の仕切りを用いて事業所全体に目が届く構造にすることで、職員が相互に利用者の状況を確認しながら連携を図れるようにしている。なお、事業所が求める人材像を明確にし、育成方針を作成していくことが求められる。
外部研修の機会の有効活用や個人別育成計画策定等による着実な育成が望まれる
職員の能力向上を図る取り組みとして、各職員が専門書を購読したり、外部研修を受講する機会を用意している。事業所として研修報告表を作成し、研修日や受講した職員名、研修内容を一覧にして管理している。研修で得た資料を一括ファイリングして事務所内で保管しているが、今後は研修報告書の作成義務付けや職員ミーティングで必ず報告する時間を持つ等、研修受講の機会が職員個人あるいは事業所全体に有効なものとなるようなしくみを確立していくことが望まれる。また、個人別育成計画を策定する等の取り組みも有効と思われる。
就業規則や給与規程の見直しに着手し、労働条件等の充実に努めている
職員の労働条件や給与に関して、社会保険労務士とともに現在見直し作業に着手しており、就業規則や給与規程の改定が予定されている。具体的には、役職手当等、諸手当について新たに追加・見直しを行うことを目指している。この実現により、これまでよりも職員個人の労働条件に適した報酬支払いとなるように、かつ、組織的な行動を給与に反映できるようになるものと思われる。
1. 事業所にとって必要な人材構成にしている
- 事業所の人事制度に関する方針(人材像、職員育成・評価の考え方)を明示している
- 事業所が必要とする人材を踏まえた採用を行っている
- 適材適所の人員配置に取り組んでいる
2. 職員の質の向上に取り組んでいる
- 職員一人ひとりの能力向上に関する希望を把握している
- 事業所の人材育成計画と職員一人ひとりの意向に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
- 個人別の育成(研修)計画は、職員の技術水準、知識、専門資格の習得(取得)などの視点を入れて策定している
- 職員一人ひとりの個人別の育成(研修)計画に基づいて、必要な支援をしている
- 職員の研修成果を確認し(研修時・研修直後・研修数ヶ月後など)、研修が本人の育成に役立ったかを確認している
1. 職員一人ひとりの主体的な判断・行動と組織としての学びに取り組んでいる
- 職員の判断で実施可能な範囲と、それを超えた場合の対応方法を明示している
- 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに学ぶことに取り組んでいる
- 職員一人ひとりの研修成果を、レポートや発表等で共有化に取り組んでいる
2. 職員のやる気向上に取り組んでいる
- 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価・報酬(賃金、昇進・昇格、賞賛など)が連動した人材マネジメントを行っている
- 就業状況(勤務時間や休暇取得、疲労・ストレスなど)を把握し、改善に取り組んでいる
- 職員の意識を把握し、やる気と働きがいの向上に取り組んでいる
- 福利厚生制度の充実に取り組んでいる
1. 事業所が蓄積している経営に関する情報の保護・共有に取り組んでいる
【前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ)】

【講評】
事業所が目指していることを文書化し、職員や利用者等に発信していくことが望まれる
事業所が目指していることについて、パンフレットやホームページの冒頭、利用者に配布している「ファロ利用の皆様へ」、職員心得、事業計画書の中の事業方針等から推測することはできるが、正式に理念や基本方針として定まっていない状況となっている。事業運営や利用者へのサービス提供を進めていくなかで目指すべき事項を明確に文書化し、職員だけでなく利用者や家族、さらには外部に向けて発信していくことが望まれる。
管理者は職員や利用者と日々関わりながら率先垂範に努めている
管理者の思いを「ファロとは」という文書にとりまとめて職員や利用者に配布しており、この事業所はさまざまな事情によって心傷ついた人たちが、再び自分を築くために、人と向き合い、自分と向き合いながら「生きること」を学ぶところであること等を文書にまとめ伝えている。また、20ヶ条から成る職員心得も作成しており、職員も利用者も同じ人であり、誰にでも平等であること等を明示し、職員の自覚と努力を促している。管理者は日々職員や利用者と直接関わりながらリーダーシップを発揮している。
重要な案件の検討の機会に全職員が関わるように取り組んでいる
全体の職員規模が10名に満たない事業所であり、理事会や評議員会等、法人運営していくうえで重要な案件を検討・決定する会議体についても一般職員が事務的業務を担うことで出席できるように配慮している。各職員には利用者への直接支援場面だけでなく、組織運営に関する領域にも参画意識を持って働くようにしている点は特徴的であり、全職員であらゆる情報を共有しながら一丸となって施設運営を展開していくことを目指している。