「『人権教育のための国連10年』に関する国内行動計画」では、人権教育の積極的な推進を図る必要があるとし、その推進にあたっては、人権にかかわりの深い特定の職業に従事する者に対して、人権教育に関する取組みを強化する必要があるとされました。「特定の職業」の具体例の中には、公務員や教員などと並んで福祉関係職員が掲げられています。
また、社会福祉法は「福祉サービスの基本的理念」を、個人の尊厳を保持するとともに、利用者が個々の能力に応じて自立した生活が送ることができるよう支援するもので、良質で適切なものでなくてはならないと定めています。
私たちが、職場や地域社会で多くの人たちとかかわり合いをもって生きていく上で、一人ひとりの違いを認め合い、お互いの人権を尊重していくことはとても大切なことですが、対人サービスを提供する福祉分野では、日々の仕事そのものが人権に関わっているといえるでしょう。福祉に関係する人たちは決して人権について無関心であってはなりません。
【前 文】
知的障害者は長く、社会から差別的な待遇を受け、多くの権利が無視されてきた。この間、本来ならば彼らを支え、待遇の改善を進めるべきはずの施設並びに施設職員のなかには、それを怠るどころか、残念ながら権利を踏みにじるような対応をしてきた事例があることを忘れてはならない。私ども○○会の歴史においても、常に利用者の権利が守られてきたと断言できるか、改めて自戒すべきことである。
その前提に立ち、私たちは改めて○○会の基本理念「知的障害をもつ方たちが、地域社会で幸せに暮らすことをめざします」の実現を職員一同で共有するとともに、職員として日々の責務、並びに利用者と接するにあたっての指針として本文を行動規範として明らかにすることとした。
【基本姿勢】
1 利用者の人間としての人格・尊厳を尊重し、その権利擁護に努めなければならない。
2 支援者としての立場を自覚し、利用者の主体性、個性を尊重しなければならない。
3 日頃から利用者の信頼を受け、かつ模範となるべき態度・行動を心がけなければならない。
【行動規範】
第1章 利用者の人格・尊厳の尊重(1~7略)
第2章 暴力・威圧の禁止(8~11略)
第3章 守秘義務の厳守(12略)
第4章 支援者としての自覚、利用者の主体性の尊重(13~18略)
第5章 利用者の信頼を受けかつ模範となるべき態度・行動(19~26略)
[運 用]
27 本行動規範は、職員自らが基本的姿勢を向上させていくシステムのひとつとして活用される。
28 上記行動規範を違反したもの、並びに目撃したものは、必ず上司に報告しなければならない。
29 違反が甚だしい職員、改善が見られない職員に対しては、「就業規則」の「懲戒」の項が適用される。
30 本行動規範は常任理事会において管理し、半期に一度、職員の意見を聞いた上で必要に応じて見直しを行う。
平成14年 月 日策定