東京都福祉サービス第三者評価  評価結果





評価結果基本情報

評価年度 令和4年度
サービス名称 共同生活援助(グループホーム)
法人名称 社会福祉法人おあしす福祉会
事業所名称 第2クローバーハウス/第2クローバーハウスAユニット 、  第2クローバーハウス/第2クローバーハウスBユニット
評価機関名称 特定非営利活動法人 コミュニティケア街ねっと
現地調査をしたユニット名 Aユニット・Bユニット

コメント

評価にあたっては、障害者施設の経験が豊富な評価者でチームを作った。また、当事業所と評価機関の間には特別な関係はなく、公平な立場で評価をおこなった。


(内容)
 Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像
 Ⅱ 全体の評価講評
 Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み
 Ⅳ 利用者調査結果
 Ⅴ サービス提供のプロセス項目
 Ⅵ 利用者保護項目


公益財団法人東京都福祉保健財団
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Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像

1 理念・方針  (関連 カテゴリー1 リーダーシップと意思決定)
  事業者が大切にしている考え(事業者の理念・ビジョン・使命など)

1)障害があっても、無くても、一人一人が社会の成員として認められ、かけがえのない役割を持ち、自己実現できる地域社会を目指す(ソーシャルインクルージョン)。そのために、医療・福祉関係分野を超えて、広く、多くの市民、団体、機関等と連携・協働していく。 2)利用者を一人の人間として尊重し、多面的・包括的に見つめ、利用者の障害だけでなく、ストレングスに着目した支援・事業を実施する。 3)医療モデルから脱却し、利用者本人の真のニーズ・希望に基づいた、リカヴァリー・エンパワメントモデルを実践し、利用者のリカヴァリー促進に寄与する。 4)利用者にとっては、当事業所を利用することで、地域の中で生きていくたくましさを獲得していただくとともに、共に幸せを希求する当事者同士の支え合い・育みあい・労りあいを大切にしていけるような支援、事業、関わりを行う。 5)職員も、地域の中で共に幸せを希求する者として、利用者、職員との支え合い・育みあい・労りあいを大切にする。

 
2 期待する職員像  (関連 カテゴリー5 職員と組織の能力向上)
  (1)職員に求めている人材像や役割

●利用者の真のニーズや興味・関心、志向する生活に耳と目と心を傾け、自分の主観やエゴを利用者に押しつけない職員。 ●ソーシャルインクルージョンの理念を理解し、実践できる職員。 ●自分の考えや思いを、正確かつ簡潔に記録、発言でき、状況報告等の再現性が確実にできる職員。 ●利用者の世話をするのでなく、代行するのでもなく、利用者や集団のストレングスが発揮できるように関わることができる職員。 ●自分自身をきちんと見つめ、自己に向き合っていく努力ができる職員。 ●同僚や利用者と協力・共同し、支え合い、共に働き・考え、その成長や発展を共に喜び合うことができる職員。 ●他障害とは違う、精神に障害を持つことについて、利用者、家族、地域、社会に対し、自分自身がどう考え、どうあるべきかについて、問題意識を持ち、もっと議論や考察をし、地域に対して具体的なアクションを起こせるようになって欲しい。

 
(2)職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

●職員は利用者が当事業所を利用するにあたり、まず信頼される存在であってほしい。 ●職員は、利用者が安心でき、自分自身を信頼することができるために、どのような支援を必要とするのかを常に考え続けてほしい。                                                                                     ●職員は何事も自ら一人で解決する事を目指すのでなく、同僚の職員と共に考え、共に悩みながら、様々なことを解決する力を培ってもらいたい。 ●職員は利用者のストレングスに着目するべきで、できないこと、気づかないことを指摘するのが仕事ではないことに気づけるようになってほしい。 ●法人内研修以外に、自ら、自発的・自主的に研修や勉強をもっと積極的にして、自己研鑽に励んで欲しい。

 


Ⅱ 全体の評価講評

全体の評価講評

特に良いと思う点
1 受け入れ前に利用者像の把握に努め、入居後の速やかに支援につなげるようにしている

入居にあたっては体験宿泊を利用してもらっており、ガイダンスでは本人の意向を確認したり家族からも情報を得て、所内会議で支援課題を検討して受け入れに備えている。入居審査会で受け入れが決まった時点で、職員は利用者の支援のポイントを把握しており、直ぐに支援できるようにしている。個別の支援計画も体験宿泊の際に既に作成しており、入居が決まってからのきめ細やかな支援計画は、関係機関からの情報を踏まえ作成している。
2 本人の思いを具体的にアセスメントし、ニーズを整理し、個別支援計画につなげている

入居が決まった際は、利用者の基本情報シートや相談支援事業所のサービス等利用計画、利用にあたり把握した本人の思いをまとめている。本人の強みから始まりどんなゴールを目指すのか5つの視点でまとめ、ニーズを整理した上で個別支援計画を作成している。個別支援計画は職員が分担して原案を検討し、所内会議で話し合い、必要な修正を加えるなど確かな計画としている。
3 利用者のホーム退居後の生活を見据え、家族等も含め一緒に考えていく支援に努めている

ホームは、10人中7人が3年間の利用で地域での自立した生活に移行していくため、入居時から退居後の生活を見据えた支援に努めている。入居が決まると、利用者の意向だけでなく、家族との関係性や家族の状況の把握にも努めている。家族とは面談をおこない、必要に応じて家庭訪問するなどして信頼関係の構築に努めている。ホームでは「家族は一番の支援者」と考えており、相談支援事業所や他のサービス事業者とも連携して、退居後の生活を見据えて今の支援の方向性を確認して支援にあたっている。

さらなる改善が望まれる点
1 事業継続計画(BCP)の速やかな策定が促される

新型コロナウイルスの感染対策に取り組み、災害対策として防災訓練を実施している。課題である事業継続計画(BCP)の策定に関しては、都主催のBCP研修に職員が参加するなど準備を進めている。新型コロナウイルス感染症により職員が出勤できない時の対応や、深刻な自然災害などの際のライフラインの確保など、事業を継続するための計画の立案が急がれる。
2 職員業務を手順書としてまとめ、標準化を図ることが望まれる

毎日・週・月の定常業務をルーチンワークとして文書化している。職員のさまざまな業務はできるだけ具体化し、誰でも同じ方法でできるように手順書とすることが望まれる。また、利用者個別の関わり方や配慮事項等も文書化するとよいと思われる。利用者向けには、グループホームで生活するうえで必要なことを分かりやすくまとめて配布したり、定例ミーティングで説明することも期待したい。

3 介護ソフトを導入し、業務改善や利用者情報の共有化などを図っており、今後の活用に期待する

ホームでは職員の業務改善や利用者情報の一元化及び共有の強化を図る為、今年度、介護ソフトを新たに導入した。利用者の基本情報や日々の記録、相談記録、業務日誌等の活用を進めているが、現在はソフトに入力するものと手書きのままのものが混在している状況である。職員は手書きの業務日誌を毎日確認して支援にあたっており、必要な情報や記録を新たなソフトの活用で整理し、支援の強化につなげていくことに期待する。

Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み

1 ★ 問い合わせや見学は丁寧に対応し、施設の概況や利用までの流れを説明している

見学希望者の受付の際は受付シートを作成し、基本情報や見学動機などを把握したうえで、施設の概況や受け入れまでの流れ等を丁寧に説明している。当事者本人からの問い合わせの場合は支援者の有無の把握に努め、一緒の見学を勧めている。相談支援事業所のサービス等利用計画についても確認し、連携が図れるようにしている。
関連評価項目(利用希望者等に対してサービスの情報を提供している)
2 ★ 一人ひとりの支援内容を全職員で検討し、自立した生活が送れるように支援している

個々の個別支援計画は全職員で検討・確認している。毎月おこなっている所内会議で利用者の状況、支援の課題や方針について確認し共有している。利用者の特性や状況に合わせたコミュニケーションの取り方に関しても、常に情報を共有して確認・検討している。職員は声掛けも工夫しており、利用者の理解の度合いに合わせて解りやすく伝えたり、時間を追って順番に話していくなどしている。うまくコミュニケーションが取れた経験は職員間で共有するなど、職員全体で利用者が自分で考え、自立した生活が送れるような支援に努めている。
関連評価項目(個別の支援計画等に基づいて、自立した生活を送れるよう支援を行っている)
3 ★ 利用者が生活のルールを決める中で、互いに理解し話し合う機会を大切にしている

ホームでは、利用者が考えて自分で決めて生活できるように支援しており、ルールとしては他の利用者の迷惑にならない事と、自分たちでゴミ出しとお風呂掃除の当番を決めている程度である。何か問題があれば、ミーティングの中で利用者同士の生活スタイルや好みなど理解して、納得と合意のうえでルールが確認できるように支援している。職員は問題が起きたことをチャンスととらえ、どう対応するか自分で考えてもらうなど、相手の価値観等にも思いを巡らせることができるように対応している。
関連評価項目(利用者が主体性を持って日常生活を楽しく快適に過ごせるような取り組みを行っている)

Ⅳ 利用者調査結果

調査概要
調査対象:利用者全数を対象とした。

調査方法:アンケート方式  
アンケートを調査対象利用者に配布し、返信用封筒で直接評価機関に郵送される形で実施した。また、オプションとして場面観察を実施した。

利用者総数 8人
アンケートや聞き取りを行った人数 8人
有効回答者数 6人
回答者割合(%) 75.0%

総括
問9の「利用者の気持ちが尊重されているか」及び問10「利用者のプライバシーは守られているか」については、「はい」が100%であり、職員が利用者を尊重して対応していることがうかがえる。

利用者調査結果

1.利用者は困ったときに支援を受けているか
はい 5人  どちらともいえない 0人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
「はい」が83%、「いいえ」が17%であった。
2.利用者は、主体的な活動が尊重されているか
はい 5人  どちらともいえない 0人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
「はい」が83%、「いいえ」が17%という結果であった。
3.グループホームでの生活はくつろげるか
はい 5人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
「はい」が83%、「どちらともいえない」が17%であった。
4.職員が利用者の家族等に連絡をする場合、方法や内容等についてあらかじめ利用者の希望が聞かれているか
はい 4人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 1人 
「はい」が67%、「どちらともいえない」「非該当」が各16.5%であった。
5.グループホーム内の清掃、整理整頓は行き届いているか
はい 5人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
「はい」が83%、「どちらともいえない」が17%であった。
6.職員の接遇・態度は適切か
はい 5人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
「はい」が83%、「どちらともいえない」が17%であった。
7.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
はい 3人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 1人 
「はい」が50%、「どちらともいえない」が33%、「非該当」が17%であった。そのような事がこれまでないという利用者が「どちらともいえない」「非該当」に入れたのではないかと想像される。
8.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
はい 4人  どちらともいえない 0人  いいえ 1人  無回答・非該当 1人 
「はい」が67%、「いいえ」「無回答・非該当」が各16.5%であった。
9.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか
はい 6人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
回答者全員が「はい」と答えており、職員が利用者の気持ちを尊重している事がうかがえる。
10.利用者のプライバシーは守られているか
はい 6人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
「はい」が100%であり、プライバシーが確保されていることがうかがえる。
11.個別の計画作成時に、利用者の状況や要望を聞かれているか
はい 4人  どちらともいえない 1人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
「はい」が67%、「どちらともいえない」「いいえ」が各16.5%という結果であった。
12.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
はい 4人  どちらともいえない 1人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
「はい」が67%、「どちらともいえない」「いいえ」が各16.5%という結果であった。
13.利用者の不満や要望は対応されているか
はい 3人  どちらともいえない 2人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
「はい」が50%、「どちらともいえない」が33%、「いいえ」が17%であった。
14.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
はい 3人  どちらともいえない 3人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
「はい」「どちらともいえない」が各50%であった。

Ⅴ サービス提供のプロセス項目(カテゴリー6)

カテゴリー6 サービス提供のプロセス
  サブカテゴリー1 サービス情報の提供
  評価項目1 利用希望者等に対してサービスの情報を提供している 実施状況
  標準項目1 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  標準項目2 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  標準項目3 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  標準項目4 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
講評
利用希望者には新しく作成した事業所のパンフレットなどで情報を提供している

利用希望者等には法人のホームページや法人及び事業所のパンフレットなどで情報を提供している。東京ホーム連や東京福祉ナビゲーションのサイト、区の「障害者福祉の手引き」からも、事業所の情報を得ることができる。法人のホームページやパンフレットには交流室や居室の写真を取り入れ事業所の紹介をしている。また、新しく作成された事業所のパンフレットは明るいカラーの三つ折りでイラストも載せ、利用の流れや入居から退去までの生活の事例、支援内容、入居条件等を分かりやすく載せている。

パンフレットを関係機関に配布したり、空室情報をホームページに載せている

事業所のパンフレットは管内の保健相談所に配布したり、地域活動支援センター等に置いている。地域の祭りの展示会などの際もパンフレットを置き、事業所を知ってもらうようにしている。また、3か月に1回の区の自立支援協議会の精神部会に参加し、事業所情報を提供したりしている。グループホームの空室などは、法人のホームページや東京ホーム連のホームページに直近の情報を載せている。空室情報は相談支援事業所や医療機関にも提供したいとしている。利用希望者の速やかな入所に繋げるためにも、今後の取り組みが期待される。

見学の際は支援者と一緒に来ることを勧め、受け入れまでの流れを丁寧に説明している

問い合わせや見学の希望があった場合は管理者等が対応し、空室の有無や施設概要及び受け入れまでの流れを丁寧に説明している。見学の場合は受付シートに対応内容を含め記録し、速やかな入所に繋がるようにしている。また、見学は家族や支援者と一緒の見学を勧めており、保健師や更生保護施設職員、病院のケースワーカーと来ることが多い。見学の際は入居までの流れをフローチャートで説明しているが、内容が細かすぎるため分かりづらい。当事者向けにさらに分かりやすい資料を作成したいとしており、取り組みが期待される。


  サブカテゴリー2 サービスの開始・終了時の対応
  評価項目1 サービスの開始にあたり利用者等に説明し、同意を得ている 実施状況
  標準項目1 サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を利用者の状況に応じて説明している
  標準項目2 サービス内容や利用者負担金等について、利用者の同意を得るようにしている
  標準項目3 サービスに関する説明の際に、利用者や家族等の意向を確認し、記録化している
  評価項目2 サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  標準項目2 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
  標準項目3 サービス利用前の生活をふまえた支援を行っている
  標準項目4 サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
講評
体験宿泊時のガイダンスなどで、サービス内容や利用料などの重要事項を説明している

入所にあたっては体験宿泊をしてもらっており、ガイダンスではサービス内容や利用料等の重要事項を説明している。また、正式に利用が決まった時には重要事項を説明し、契約書を取り交わしている。体験宿泊前のガイダンスでは宿泊日数や大事にしたいことなどを聞いたり、家族からは自宅での起床や食事の準備状況などをアンケートで把握に努めている。利用申し込み後には「利用申込兼自己紹介書」を記入してもらうほか、関係機関から紹介状をもらったり、必要に応じて家族と面会し利用目的を確認するなど、入所に備え利用者の状況の把握に努めている。

利用開始直後はできるだけ丁寧な対応に心がけ、不安が軽減されるよう支援をしている

利用申込書や関係機関からの紹介状、相談支援事業所からのサービス等利用計画などで、支援に必要な個別事情や利用者の要望等を把握している。利用開始直後は丁寧な対応に心がけ、金銭の扱いや服薬で困っていることがないか聞いたり、浴室やキッチンの使い方を教えたり、近くの店への同行や通院経路などを一緒に確認している。また、利用者が参加するミーティングで新規入居者として紹介している。施設内で一緒になった時は積極的に声かけをして、気にかけていることを本人に伝えている。

利用が終了した場合は、環境変化に対応できるよう支援の継続性に配慮をしている

契約が終了し退居する際には、利用者の希望を踏まえた上で、退居後の生活環境や援助の継続性に配慮し、必要な支援をおこなうことを契約時に説明している。退居前には地域生活移行後の生活を想定した相談支援体制を確認し、退居が決まった場合は、本人・相談支援事業所・日中活動事業所等の参加で担当者会議を開催するようにしている。その中で、本人が頑張った事や地域移行で不安に思っている事、困った時の相談先などを参加者で共有をしている。本人の同意があれば、移行する支援機関等に経過記録を引き継ぐなど支援の継続性を大切にしている。


  サブカテゴリー3 個別状況に応じた計画策定・記録
  評価項目1 定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している 実施状況
  標準項目1 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
  標準項目2 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  標準項目3 アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
  評価項目2 利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の支援計画を作成している 実施状況
  標準項目1 計画は、利用者の希望を尊重して作成、見直しをしている
  標準項目2 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  標準項目3 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
  評価項目3 利用者に関する記録が行われ、管理体制を確立している 実施状況
  標準項目1 利用者一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  標準項目2 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
  評価項目4 利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している 実施状況
  標準項目1 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
  標準項目2 申し送り・引継ぎ等により、利用者に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
講評
本人の思いをアセスメントし、ニーズを整理したうえで個別支援計画を作成している

入居前の体験宿泊においては、簡易な個別支援計画を作成し利用者の支援にあたっている。入居が決まった際は、利用者の基本情報シートや相談支援事業所のサービス等利用計画、利用にあたり把握した本人の思いを分析シートにまとめ、ニーズを整理した上で個別支援計画を作成している。個別支援計画は、職員が分担して原案を検討し所内会議で話し合い必要な修正を加えるほか、グループウエアにも載せて意見をもらい作成している。作成した計画はサービス管理責任者が内容を確認し完成させている。利用者にはサービス管理責任者や担当職員が説明している。

個別支援計画は利用者本人と面談をおこない、半年ごとに見直している

モニタリングは所内会議でおこない、計画に基づいたサービスについて話し合っている。計画は半年毎に利用者と振り返り、面接をおこない、新たなニーズを確認し見直している。また、相談支援事業所のモニタリングについても確認し、本人の意向と不一致がないようにしている。見直した個別支援計画は所内会議で共有している。急な見直しの必要性については本人の意向や状況の変化を踏まえ検討しており、ホームからの退居が決まった場合等は見直すことにしている。モニタリングは解決すべき課題の経過をまとめ、毎月評価することも検討されたい。

利用者の支援に必要な情報を確実に記録し、パソコン等で共有している

利用者の支援に必要な日々の記録や相談記録等はパソコン等の共有画面に記載し、業務日誌は手書きとして、それぞれ職員間で共有を図っている。特に業務日誌は、出勤した時に職員が閲覧し、その後の申し送りで確認をしている。そのほか、利用者一人ひとりの記録ファイルは、体験入居での情報なども含め事務室に保管している。なお、基本情報シートのタイムリーな更新ができていない事を課題としている。職員間で話し合い、対策を講じることが望まれる。


  サブカテゴリー4 サービスの実施
  評価項目1 個別の支援計画等に基づいて、自立した生活を送れるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 個別の支援計画に基づいて支援を行っている
  標準項目2 利用者一人ひとりに合わせて、コミュニケーションのとり方を工夫している
  標準項目3 自立した生活を送るために、利用者一人ひとりが必要とする情報を、提供している
  標準項目4 周囲の人との関係づくりについての支援を行っている
  標準項目5 関係機関と連携をとって、利用者一人ひとりに応じた支援を行っている
講評
個別支援計画は全職員で討議しており、個々の課題や方針を確認して支援にあたっている

計画相談支援事業所からのサービス等利用計画をもとに、職員全員で討議して個々の個別支援計画を作成して支援にあたっている。週1回の所内会議で支援の状況を共有し、支援課題や支援方針などを討議、確認している。6か月に1回個別面談をおこない、計画を見直しているが、日常的な関わりの中で表現された、ささいな発言やしぐさ、声のトーンなどから、言葉に表れない思いを汲み取るように努めている。利用者の強みを見つける事にも着目しており、計画に反映させ、支援に活かしている。

利用者の特性や状況にあわせて、職員間でコミュニケーションの取り方を検討している

一人ひとりの利用者の特性や状況にあわせて、職員間でコミュニケーションの取り方も常に検討している。利用者が理解しやすいように、解りやすく端的に話したり、整理して考えられるように話すなど工夫している。また職員は「体調はいい?」「仕事はどう?」「食事はちゃんと食べている?」など、利用者の負担にならないような声掛けを積極的にするようにしている。声掛け時の利用者の反応やいつもと違った雰囲気の時は、職員で共有し注意して見守るようにしており、きめ細かな対応に努めている。

家族や関係機関と連携して、一人ひとりの状況に応じた支援に努めている

ホームの7割が通過型の利用であり、3年後の自立を見据えて家族や関係機関と連携しながら、支援をおこなっている。家族とは必要に応じて、利用者の了解を得て面談や家庭訪問をおこなっており、家族との関係や職場や交友関係などの社会とのつながりの中で利用者をとらえるように努めている。また各医療機関とは月1回以上は連絡を取るように意識しており、緊急時には相談できるようにしている。行政や他の医療機関、障害福祉サービス支援事業所などとも連携して情報の共有化を図り、一人ひとりの状況に応じた支援に努めている。

  評価項目2 利用者が主体性を持って日常生活を楽しく快適に過ごせるような取り組みを行っている 実施状況
  標準項目1 グループホームでの生活は、主体的な活動が尊重されている
  標準項目2 グループホーム内のきまりごとについては、利用者等の意向を反映させて作成・見直しをしている
  標準項目3 休日の過ごし方や余暇の楽しみ方については、利用者の意向を反映し、情報提供や必要な支援を行っている
  標準項目4 室内は、採光、換気、清潔性等に配慮して、過ごしやすい環境となるようにしている
  標準項目5 【食事の提供を行っているグループホームのみ】 利用者の希望を反映し、食事時間が楽しいひとときになるよう工夫している -
講評
日中の過ごし方など、利用者が自分で決めて主体的に活動している

現在半数の利用者が作業所や一般就労も含めて仕事をもっており、社会との関わりの中で生活している。日中ずっと部屋にいる利用者もいるが、外に出ることを望んでいない時は、見守っている。ホーム退居後は地域の中で自立した生活を送る事になるため、その力を身につけられるような支援に取り組んでおり、ホームの中でも自分で主体的に生活できるような声掛けを工夫するなどしている。基本的に本人の望む生活や余暇の過ごし方を尊重している。

ルールで生活を決めるのではなく、利用者が自分で考えて生活できるように支援している

ホームでの生活は、ごみ出しやお風呂の掃除当番を決めている程度で、大きなルールは決めていない。事業所は「ルールだからこれをしてはいけない」や「ルールだからやらなければいけない」という考え方ではなく、なぜそうするのか自分で考えてもらい、自分で決めて生活できるように支援している。タバコやお酒も部屋では自由にしているが、周りの利用者のことも考えた行動ができるように約束してもらっている。ゴミ出しやお風呂の掃除当番も自分達で決めて順番におこなっており、問題があれば納得のいくまで話し合うようにしている。

ホーム内は清潔に過ごせるように職員も協力して環境整備に努めている

共有部分が多いホームであり、浴室やトイレ、洗面所などは共同で使用している。ゴミ出しと浴室掃除は当番でおこなっているが、トイレは汚れに気づいた人がおこなうようにしている。利用者だけでは難しい時もあり、職員は定期的に見て回り、「ちょっと汚れているね、きれいなほうが気持ちいいよね」などと言って一緒に掃除したりしている。生活上問題がなくても、1か月に1回職員の部屋への入室を了解してもらっており、「床が見えないね、缶が山になっているよ、どうしよう?」など、自分で片づけようという気持ちになるよう、声掛けも工夫している。

  評価項目3 利用者の状況に応じて、生活上の支援を行っている 実施状況
  標準項目1 利用者の状況に応じて、身の回りのことについて必要な支援を行っている
  標準項目2 利用者の状況に応じて、家事(調理、洗濯等)について必要な支援を行っている
  標準項目3 利用者の状況に応じて、金銭の管理や使い方について支援を行っている
講評
利用者の状況や意向にあった生活ができるように取り組んでいる

生活するうえで必要な身の回りのことについて、利用者と一緒に考え、工夫して利用者が自分にあった方法を見つけられるように、ていねいに支援している。居室の片付けや掃除の仕方などは、利用者と相談してできる範囲の事から始めるなど、身の回りの事について、一般常識や家族の習慣・価値観、職員のやり方などを押し付けないように配慮して取り組んでいる。

利用者の健康も考えたメニューや食材選びなど、職員も一緒に考え支援している

ホームでは、希望者には昼と夜弁当を取ることができる。健康を考え、野菜を多く採れるようなものを選んでいる。また利用者が自分で調理することもあり、職員はスーパーでの食材選びに同行したり、メニューを一緒に考えたり、調理も手伝うこともある。生活習慣病の利用者もおり、薬や食事の管理は大切になっている。コロナ禍以前はたくさん作っておすそ分けするなど、利用者同士のコミュニケーションの場にもなっていたが、今はできない状況が続いている。

生活していくうえで必要な金銭管理ができるように取り組んでいる

個別支援計画や利用者からの意向に基づいて、ホームで利用者の金銭管理をおこなっており、お金の使い方や買い物時の注意、優先順位の付け方など、継続した生活ができるようなお金の使い方の相談に乗り、支援をおこなっている。いずれは自分で管理できるように、初めは1週間、次は2週間、1か月と自分で管理できる期間を延ばしていく取り組みをおこなっている。また、利用者からの依頼で現金や預金通帳、印鑑等を預かることもあり、預かった現金等は「預り金管理規程」で厳密に管理している。

  評価項目4 利用者が健康を維持できるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 利用者の健康状態に注意するとともに、利用者の相談に応じている
  標準項目2 健康状態についての情報を、必要に応じて家族や医療機関等から得ている
  標準項目3 通院、服薬、バランスの良い食事の摂取等についての助言や支援を行っている
  標準項目4 利用者の体調変化(発作等の急変を含む)に速やかに対応できる体制を整えている
  標準項目5 【利用者の薬を預ることのあるグループホームのみ】 服薬の誤りがないようチェック体制を整えている
講評
日々の関わりの中で、利用者の変調を見逃さないように注意している

利用者の健康状態については年1回健康診断を受診してもらい、結果はホームでも管理して、必要に応じて指導・助言している。生活について自由度が高いこともあり、甘いジュースや缶コーヒーなどの飲みすぎや肥満等に気を付けるなど、生活習慣病予防の取り組みが重要になってきている。また日々の関わりの中で、利用者の変調等小さな変化も見逃さないように注意しており、積極的に声掛けをしたり、利用者からの質問や相談にはていねいに対応するようにしている。

利用者の体調変化等の緊急時に、迅速に対応できるようにしている

ホーム入居時に医療機関や関係機関より、利用者の詳しい病状や発作等の緊急時の対応についても情報をもらっている。職員は一人ひとりの状況を正確に把握して対応できるようにしている。また入居後に必要に応じて通院同行して、医師より生活上の注意点や緊急時の対応など再度確認するように努めている。法人理事長が精神科医であり、医療についての相談・助言も受けやすく、迅速な対応につながっている。

服薬の誤りを防ぐチェック体制もできており、副作用についても学び支援に活かしている

服薬に関しては、管理が必要な利用者には「服薬管理表」を作成して支援にあたっている。複数の職員で確認し、間違いを防ぐチェック体制もできている。自分で飲める利用者でも「薬カレンダー」に一緒にセットして、残りを確認するなどの支援もおこなっている。また、職員は副作用についても学んでおり、副作用の辛さについても理解に努めている。利用者の調子が悪い等の変化が副作用によるものか、他に原因があるのかなど注意して見守っている。また、薬が変わった時なども様子をよく見て、変化を見逃さないようにしている。

  評価項目5 利用者の意向を尊重しつつ、個別状況に応じて家族等と協力して利用者の支援を行っている 実施状況
  標準項目1 家族等との協力については、利用者本人の意向を尊重した対応をしている
  標準項目2 必要に応じて、利用者の日常の様子や施設の現況等を、家族等に知らせている
  標準項目3 必要に応じて家族等から利用者・家族についての情報を得て、利用者への支援に活かしている
講評
家族等への連絡は利用者に同意を得ており、本人も同席して面談するようにしている

家族等との協力は、利用者の意向を尊重しており、連絡する時も利用者の同意を得ている。必要に応じて個別面談や家庭訪問をおこなっているが、面談時はできるだけ本人も同席して話し合うようにしている。ホームでは「家族は一番の支援者」と考えており、家族の思いや要望と利用者の意向も大切にした面談や話し合いを重ねて支援にあたっている。

コロナ禍で家族会の開催が難しいため、電話で利用者の様子を知らせている

以前は月1回法人全体の家族会をおこない、意見交換やホームでの様子を知らせていたが、コロナ禍以降できていない。本人の了解のもと、必要に応じて電話でホームでの生活の様子や、利用者の意向、支援内容などを知らせている。家族と話をする時は、利用者の意向の他に家族の考えや思いを十分に聞くようにしており、信頼関係の構築に努めている。

ホーム退居後の生活を見据えて、家族等も一緒に考えてもらえるよう心がけている

ホームでは、正式な入居前からアンケートや面談等で家族状況や必要な支援の把握に努めており、3年後の退居以降の生活を見据えたホームでの過ごしかたを、家族も一緒に考えてもらえるよう心がけている。家族も含めた今後を視野に入れた支援に取り組んでいる。ホームでは、入居前後にタイムリーに家族との面談や家庭訪問などができない時もあるとの事で、改善が必要と考えている。

  評価項目6 利用者が地域社会の一員として生活するための支援を行っている 実施状況
  標準項目1 利用者が地域の情報を得られるよう支援を行っている
  標準項目2 利用者が地域の資源を利用し、多様な社会参加ができるよう支援を行っている
講評
利用者に関心の高い都営住宅募集に関しては、特に速やかに伝えるようにしている

区報や地域のイベント情報などは、利用者が自由に見られるように交流室においている。利用者の関心の高い都営住宅募集に関しては特に速やかに伝えるようにしており、必要に応じて申し込みの支援もしている。法人の他の事業所がおこなっているフードドライブやセール、イベントなどの情報も、適時提供している。今年は3年ぶりに区民祭りも開催され、利用者も楽しんだ。また、スーパーの安売りのチラシやスポーツイベントなどの情報も見られるようにしている。

利用者にとって必要な地域の情報を伝え、安心して生活できるように支援している

ホームのある地域は古い街並みに変わり、新しい高層ビルが増えてきており、人と人とのつながりが希薄になってきているが、ホーム周辺は下町の雰囲気を残しており、支援機関や人とのつながりは強い。ホーム退居後の利用者が安心して暮らせる地域は限られてきているが、退居後の転居先の支援機関や医療機関、お店や交通手段など必要な情報を紹介するとともに、その地域での催し物等参加の機会があれば積極的に情報提供するなどして、利用者が地域で安心して生活できるように支援している。


  サブカテゴリー5 プライバシーの保護等個人の尊厳の尊重
  評価項目1 利用者のプライバシー保護を徹底している 実施状況
  標準項目1 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
  標準項目2 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
  標準項目3 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
  評価項目2 サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している 実施状況
  標準項目1 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
  標準項目2 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
講評
利用者の情報を医療機関などの外部とやりとりする場合は、同意を得て提供している

個人情報保護規定を整備しており、利用目的や適正管理、第三者への提供等を明示している。利用者に対しては、契約時に他の障害サービス事業者や医療機関、第三者評価で個人情報を用いることを同意書をもらい、やりとりする必要が生じた場合は本人の同意を得ている。ホームの郵便受けは一つであり、利用者個人向けの郵便物は職員が回収し各自に届け、現金書留や宅配物は本人が受け取るようにしている。居室や浴室、トイレは施錠可能であり、プライバシーが保たれるようにしている。

支援にあたっては助言はするが、利用者の意思決定を尊重している

法人の職員倫理綱領が明文化されており、人権の尊重・自己決定の尊重・プライバシーの尊重・誠実などが謳われている。日常の関わりにおいては、どの職員も相談を聞けるように体制を整えており、声をかけられた場合は誰でも話しを聞いている。支援においては、助言はしているが押し付けず、決めるのは利用者であるというスタンスを大切にしている。例えばお金の管理などでは、いくつかの方法を提示し、自分でどうするのか考えてもらったり、新型コロナウイルスのPCR検査も受けるように依頼はするが、最終的には本人の意思を尊重している。

利用者の生活習慣や価値観の把握に努め、個別支援をおこなっている

利用者一人ひとりの生活歴等を踏まえた上で、グループホームでの生活を通して習慣や価値観等の把握に努め、個別支援をおこなっている。特に、利用者の抱えている事を理解しサポートするようにしており、利用者には退居を見据えて生活するように説明をしている。嗜好品もこれまでの習慣を尊重しており、飲酒などは他の人に迷惑をかけないよう声掛けをしている。タバコについては健康増進法の話をして、健康のために控えることを勧めている。職員は職業上の倫理観と利用者の価値観を考慮し、チームとして支援にあたっている。


  サブカテゴリー6 事業所業務の標準化
  評価項目1 手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  標準項目2 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうかを定期的に点検・見直しをしている
  標準項目3 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
  評価項目2 サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている ×
  標準項目2 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている
講評
ルーチンワークを文書化し、やるべきことを明確にしている

マニュアルとして、新型コロナウイルス感染予防マニュアル、感染症発生時対応マニュアル、事故発生時の対応マニュアル、防犯マニュアル等を整備している。また、やるべき事として「毎日のルーチンワーク」や「毎週のルーチンワーク」、「毎月のルーチンワーク」等を文書化している。特に、「毎日のルーチンワーク」はその日にやるべき事を時系列で明確にしている。そのほか、入居までのフローチャートや入退居時にやるべき事を一覧にし、スムーズな入退居に繋がるようにしている。

事業所の運営やサービスの向上を目指し、業務水準を見直す取り組みが期待される

感染や事故、災害に関するマニュアルが作成されているが、見直しが不十分と思われる。マニュアル類は一覧表等で管理して定期的に更新する仕組みを設けることや、業務に必要なマニュアルは新たに作成することも望まれる。また、利用者への支援や関わる際の配慮事項なども個別に文書化するとよいと思われる。業務水準の向上を目指し、さらなる取り組みが期待される。


Ⅵ 利用者保護項目

利用者保護項目
  評価項目1 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている 実施状況
  標準項目1 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  標準項目2 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
  評価項目2 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている 実施状況
  標準項目1 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  標準項目2 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
  評価項目3 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
  標準項目2 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
  標準項目3 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している ×
  標準項目4 リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる ×
  標準項目5 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
講評
関わりの中で把握した利用者の意向は、所内会議で話し合い対応している

ホームは苦情・相談窓口を設置しており、責任者や窓口担当者の氏名及び電話番号のほか第三者委員に申し出ができる事や、区の担当課窓口や都の社会福祉協議会などの外部の連絡先も重要事項説明書に明記し、契約時に利用者・家族に説明している。また、共有スペースには意見箱を設置したり苦情を受け付けるポスターを掲示するなど、多様な方法で意見や苦情を受け付けることを伝えている。利用者の意向はどの職員も受け止められるようにしており、関わりの中で表出された不満や要望等の訴えについては、所内会議で話し合い対応している。

委員会や所内会議などで適切な支援の在り方を話し合っている

苦情対応規程や権利擁護・虐待防止規程を整備し、年1回の権利擁護虐待防止研修や3か月に1回権利擁護委員会を開催している。委員会では事前に現場職員の声を吸い上げ議題に載せて話し合ったり、所内会議では適切な支援のあり方を検討している。日ごろから利用者への関わり方や対応等については、申し送りや所内会議で自分自身を振り返っている。また、職員個々の精神的な負担等は職員間で共有し、チームで支援にあたるようにしている。虐待の事実を把握した場合は管理職に報告の上、規程に則り通報する体制をつくっている。

優先順位の高いリスクとして新型コロナウイルス対策に力を入れて取り組んでいる

現在、優先順位の高いリスクは新型コロナウイルス対策であり、職員は検温してからの出勤とし、週2回の抗原検査と週1回のPCR検査をおこなっている。利用者には部屋から出る時はマスクの着用や手洗い・消毒を依頼し、館内は換気を徹底して感染予防に努めている。防災訓練は年2回おこなっており、利用者はヘルメットを被り、近くの公園や一時避難場所の小学校まで避難訓練をしている。事故やヒヤリハットは報告書を作成して所内会議で再発防止策をまとめ、リスクマネジメント委員会に報告をしている。