東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

さくらさくみらいは東京・埼玉などで９０ヶ所以上の保育園を運営しており、今後も毎年数か所を開園予定である。開設から丸４年の保育園で、区内法人園として先行園をモデルとして学びながら、独自の形を作ろうと努力している。都営新宿線篠崎駅が最寄り駅で、京葉道路や環状七号線など幹線道路も通って交通が便利なため、園同士の交流や遠足などには好都合な環境である。毎年４、５歳児が増えていくことを見越して、他の保育園や小学校、警察・消防など地元機関との交流がより盛んになって来ることが楽しみである。

定員７０人に対して園児は６０人まで増え、園庭テラスはさほど広くないがカメラなどセキュリティー性能は充実され、昼食・おやつも全て手作りでしている。園長は保護者等とのコミュニケーションに努めるほか園児の健康状態や様子観察を行い、平均年齢３０歳の若い保育士との連携を図っている。コロナ収束後は園長会で出会った保育園との園児交流や合同行事などの実施も視野に入れている。今後も本社との連携を密に図りながら、職員への口頭及び書面による決定事項の伝達を充実させて、周知徹底するように取り組んでいる。

園内の事は職員会議にて全員で話し合うことを基本に本社サポートとも連携して昼礼などで周知している。園長は全員に声を掛けて意見を聞いた上で進めるという流れがあり、職員アンケート満足度は高く、職員からは、明るく穏やかな職員が多い、話しやすい環境になった、ことを評価する声が聞かれた。保護者アンケート満足度も８０％以上と高く、全職員が挨拶してくれて明るい、子育てアドバイスやサポートをして貰える、ことを評価するが聞かれる一方で、職員退職時の連絡がないこと、職員の態度や言葉かけについて改善の声が出ていた。

保護者などの意向や要望などは契約時の重要事項説明の際に苦情解決の仕組みを伝え、保護者会を年２回実施して保護者会アンケートも行い、無理のない範囲の要望であれば対応するよう努めている。訪問時にも、園長は常に事務所にいて登降園の際に保護者や園児などに声を掛け、園での様子や保護者が関心をもちそうな事などを伝え、要望等があれば直接聞けるような姿勢と態度が感じられた。園児には怪我などはさせず登園したままの状態で帰って貰うこととして、保育士による視診を励行している。

地域の福祉ニーズの収集については、お店での買い物の際に店員などと言葉を交わす機会などはあるが、地域の祭礼や合同防災訓練などで地域の方と触れ合う機会はまだ多くない。また、戸外活動や公園遊びの際に他の保育園と一緒になった時には多少の接触はあるものの、職員同士で交流できる機会も多くない。コロナのために予定していた地域との交流は滞っているが、今後は区園長会や保幼少連絡会などでの情報収集を活かし、もう少し日常的で横断的な交流が出来るようになることを期待する。

事業運営計画書には目指すべき施設像の記述はあるが、保育園独自の中長期計画は確認できなかった。単年度の保育課程は作成され、それを基に年案、月案、週案が作られて、日々の保育につながっている。保育課程作成では前年度の振り返りを十分に行い、次年度計画を立案している。計画作成には全員が関わり、サービスの現状と想定されるリスクについても検討して、日常を大切にしながら愛情をたっぷり注ぐことで園児が十分に楽しめるよう工夫している。計画推進にあたり余りにも実態にそぐわないと感じた時には、ＰＤＣＡをして改善の場を設けている。

職員が守るべき法・規範・倫理については、入社前後の研修で保育園は児童福祉施設であることを認識して行動するよう説明し、園外に出た時も地域の方に笑顔で挨拶することなどを指導している。コンプライアンスの実践や従業員マナーマニュアルでも、言葉遣いや個人の尊厳についての記載があり、職員は職場を明るく楽しくして働きやすくするようになどの言葉で表現している。保護者との関わりの項目でも、保護者を批判的に見ないことや、子どもの気持ちを汲み取りユーモアを大切にすることなど、保育指導計画などにも盛り込んで伝えている。

苦情解決制度については入園のしおりに記載され、保護者向けに説明するほか、園児及び保護者からの意見・苦情などが有れば直接本社や園長に話が出来るようにして、意見箱も設置して保護者の意向を把握し対応するようにしている。職員の言動等については職員同士が相互評価を行い、互いの言動を振り返る機会としている。虐待については入社時の本社研修などで説明があり、園内外での虐待防止を徹底している。親などからの虐待がうかがえる場合には速やかに児童相談所と連携し、迅速に対応する体制を整えている。

地域貢献や地域との関係づくり、実習生・ボランティアの受け入れについては、要望があれば対応したいとのスタンスであり、昨年度は既に保育科学生が来訪している。地域の関係機関としては、園長などが区園長会に出席して行政からの伝達事項や他園の状況などを収集している。地域との関わりでは、町内会には入会しているが祭礼など行事参加はこれからであり、職員からもボランティアも含めて地域との関わりがまだ薄く、地域との交流が徐々に増えると良いという声が聞かれている。

リスクマネジメントについては役割分担表を作成するほか、事故・感染症・不審者等のリスク毎に関係各所の連絡先一覧も明示し、感染症や消防計画の各種マニュアルは整備され、年間避難訓練計画に沿った避難訓練を実施している。ＢＣＰ（事業継続計画）は本社主導により既に策定済みだが、コロナ版の追加や定期的な見直しが必要である。ヒヤリハット・事故報告の再発防止は記録を残し、職員会議や昼礼で反省会を開き見直しをしている。今後はコロナも含めた危機管理意識の向上に努めると共に見守り体制や午睡チェックの徹底もお願いしたい。

園児の安全の確保・向上については、避難訓練のほかには感染症情報等を職員間で共有し、必要があれば保護者会などで園長からも説明をしている。事故・感染症・不審者などの被害発生時や注意情報等が出た際には、区などとも連携して園内掲示や説明会などを開催している。園庭が狭いことや前面道路の交通量が多いことなどがあり、区や警察とも連携して安全に出入りできるよう努めている。今年度は特にコロナ対策で衛生管理の徹底に力を入れており、玩具・機器類の殺菌消毒をこまめにおこない、職員ワクチン接種も終了している。

個人情報保護などについてはホームページに「コンプライアンスの実践」の項目があり、顧問弁護士の監修のもと、個人情報保護や漏えい防止、虐待禁止、社内ハラスメント撲滅などを明文化して、コンプライアンスの実践こそが子供たちへの保育サービスの向上につながる、と明記している。保護者には利用契約の重要事項説明の中で個人情報取得同意書に署名・捺印を得るほか、職員に対しては入社時オリエンテーションや社内研修の際に、個人情報や機密漏えい防止、虐待について説明し、誓約書を貰っている。今後は定期的な確認も必要である。

求める人材像は「思っていることや考えていることを直接伝えていこうとする姿勢、子どものため何が最善なのかを考えていく思考力、自分だけでなく全体の事を考えて動こうとするチーム力」などと定め、適性や力量を見ながら優しさとしさと温かさが感じられる人を採用している。園長の人柄が良い人材を集め、訪問時にも問題のある方は特に見られなかった。昨年よりコロナ禍で行事なども多くが中止に追い込まれ、保護者との関係も薄くなりがちであるが、今年度後半は保護者会と運営委員会も開催できるように希望する。

園内研修は年２回実施するほか外部研修については５月頃に年間予定を掲示し、年間の個人別研修計画を立案して、交通費と参加費用は会社で負担しているが、昨年よりコロナのためオンライン研修となっている。客観的な人事考課制度を導入し、有休休暇やリフレッシュ休暇が取りやすいようにして疲労やストレスの改善を図っており、懸案のキャリアパスは現在総務・労務部門で確認作用が続いている。キャリアがあり質の高い保育士は十分に評価して待遇改善して定着化を図り、いずれはリーダーから副主任・主任・園長も務めて貰えるよう望みたい。

正社員に対しては本社研修にて講師による職員能力向上に向けた講習を定期的に実施するほか、区主催などの外部研修にも積極的に参加できる体制を整えている。現状では新卒者や経験の少ない保育士への指導が課題となっており、本社からのサポートも必要な状況である。今後も園長を支えて主任・副主任を務められる人材を育てていき、子どもの基本的な生活の土台が確立され「みんなの保育指針」を実践するために、皆が安心して永く働けるような組織と職場づくりが進むよう希望する。

法人ホームページでは、さくらさくみらいの思い・保育・お知らせ・会社概要・プライバシーポリシーをはじめ、運営している全園の情報を開示している。お知らせで最新情報、今年度４月に保育園で働く職員、就職を目指す学生向けに情報提供サイト「さくらスマイル」を立ち上げ、６月から新たな幼児教育プログラム「ＣＬＩＰ」を始動させた事などをお知らせしている。今年度最初のブログは、「きりんぐみ」と題し、進級して手伝いや身の回りを率先する姿、散歩に出かけ公園で友達を誘って遊ぶ様子をコメントとともに写真を掲載して紹介している。

区園長会議にて情報を収集し事業所情報は区ホームページからも閲覧可能として、園情報は年１回・定員の空き情報は毎月国報告している。。毎年第三者評価を受審して情報提供と透明性を高めている。保護者や職員アンケートにて意向や要望を聞き取り、改善点を洗い出してより良い園となるよう活かしている。職員アンケートでは前年度より良くなったと思う点に「園長が交代し子どもの主体性を大切にする保育場面が増えた・クラスごとの誕生日会や水遊びのやり方・コロナに十分配慮して行事をおこなっている」との意見があがっている。

新規入園者の見学希望や問い合わせは事務員が窓口となり、園の都合が合う日を月毎に設定し、連絡を受けて見学希望者の都合の良い日程で１日４組午前か午後で対応している。今年度もコロナ対策に配慮し、玄関での検温・手指消毒・マスク着用を義務付けた上で玄関に椅子を並べて実施している。ブログの更新を毎日実施していることを伝え、園児達がどのように過ごしているのか雰囲気を掴む手段として案内しているほか、見学者向けのパンフレットを作成して提供している。

新入園児保護者には事前連絡して個人面談を実施して説明し、在園児保護者には年度初めの保護者会で説明している。入園のしおり（兼重要事項説明書）を使い、保育理念・方針・目標はじめ費用や感染症に関すること・相談窓口などについて確認・説明を実施して周知を図り、最後に全項目（４６項目）の中で特に差異が生じないように伝えた箇所について赤字で掲載し注意を促している。保護者の意向は個人面談等で聞き取り、個人面談記録・児童票に記録している。

クラスで個人児童票を作成して誰が見ても分かるように個々にファイルし、園児・保護者が安心して通園できるよう配慮している。慣らし保育を２週間前後を目処にして、幼児は慣れるのも早いため短めに、保護者の都合で個々に合わせ実施している。個別連絡ノートやクラス申し送り表で家族と共有し、全体共有が必要な際には、会議や昼礼で周知を図り記録している。連絡帳やクラスボードで詳細な保育内容の伝達をおこない、直接話せる保護者には１日の様子を口頭で伝えている。保護者に会えない時は電話連絡して様子のヒヤリングや伝達に努めている。

小学校へ引き継ぐ資料として児童保育要録や就学支援シートを小学校へ送付するなど、園児・保護者の不安を減らし継続性に配慮している。転園や退園、卒園児には、クラス申し送り表や連絡ノートを使い担任以外でも支援できるよう体制を構築し、個別対応も実施している。昨年度は途中退園児へのメッセージを保護者からも受けていたが、今年度よりメッセージ等のプレゼントは園で統一して実施する旨を、７月の園だよりでこれまで保護者の協力を得たことに感謝の意を掲載し伝えている。

園児一人ひとりの心身の状況が把握できるように健康記録と発達記録を別々に記録するほか、乳児は連絡帳、幼児は連絡ノートを活用して保護者に日々の様子を伝えている。行事後に行事アンケートを実施することで把握したニーズを次に反映させるなど、保護者の意見を聞く機会を多く設けている。年間指導計画は４期に分け１期ごとに必要な改善点を話し合い、職員会議にて周知を図っている。指導計画は子どもの成長発達に合った計画として、行事の日程に配慮している。

週・日案では週毎のねらいを立てて子どもの活動の様子と振り返りを毎日実施し、週の振り返りと自己評価により次の課題を抽出している。月１回の職員会議・クラス会議にて月案の振り返りと自己評価をして進捗状況を確認し、次の指導計画に反映させている。１・２歳は個別計画を作成し、幼児クラスは記録はないが計画の中で配慮して作成している。指導計画は入園式・保護者会で説明し、行事などはお知らせ・園だより・クラスだより等のほか、週日案やＣＬＩＰを掲示して、保護者と共有できる環境に努めている。

申し送り事項はしっかりと伝達し、職員会議議事録や昼礼で共有した内容は全職員で共有している。また、見落としがないように各自が議事録に確認印を押して周知徹底を図っている。クラス会議を設けて個々の対応ができるようにし、職員会議のほかにリーダー会議で必要な情報共有を図っている。幼児クラスはＣＬＩＰも含めて会議を実施し、リーダー会議には各クラスから１名が参加して毎月１５日ぐらいに前半の出来事を伝えあい共有している。今後は１０月から乳児クラス会議を月１回開催し、具体的に話せるような環境づくりに努めている。

入園時面談・職員会議・昼礼にて個々の発達や生活環境を把握して現在の子の姿を捉え、連絡帳・保育日誌・児童票などに記載している。園児一人ひとりの個性を大切にしながら各自を認め受容して保育を実践し、散歩時の遊びの配慮をおこない、室内での制作の充実を図っている。子どもの主体的な活動を育めるよう遊具・玩具・絵本などが手に取れるよう配置するほか、壁面・掲示物等で興味・関心が持てるようにしている。子供の成長や活動によって環境設定や保育などに配慮するよう伝えており、定期的な見直しが定着することを課題としている。

保育目標「心身ともに強い子ども・明るく元気な子ども・考える力を持つ子ども・思いやりのある子ども」を基本に、互いを尊重する心が育つような保育を実践している。合同保育・延長保育・異年齢交流などを通して人間関係が自然に作られるような環境を大切にしている。気になる子どもには職員がいつでも対応できるように配置し、子どもが困った時に援助できるようにして個別観察日誌・個別指導案に記載している。園児同士のトラブルでは、双方の気持ちに寄り添って話を聞くほか、他児からも目を離さずに迅速に対応できるよう努めている。

今年度５歳児が１２名在籍しており卒園予定である。通常なら地域ごとに小学校と連携する「保幼小連絡会」に参加して情報収集し、指導要録の作成やおたよりなどを掲示しているが、今年度はコロナ感染症のため未実施である。４月クラスだよりで５歳の年間目標、・友だちと意欲的に遊びに取り組み、基本的生活習慣や年長児にふさわしい態度を身につける、身近な社会や自然環境に関心を持ち、自ら関わろうとする態度を養う、集団生活の中で意欲的に活動し新しい知識や能力を身につける、ことをあげて取り組んでいる。

コロナ対策として事務所前に手指消毒液を設置し、登降園時には保護者のマスク着用と検温、体温確認を義務付けている。年度当初から通常に戻して部屋まで上がって受け渡しをしてもらい、視診とともに保護者と直接挨拶を交わして確認するほか、１・２歳児は連絡帳にて把握している。訪問時、１０時頃登園して来た親子に「おはようございます」と声をかけて２階に上がろうとする園長に、園児が「待って～」と声をかけると、「上で待ってるよ」とそのまま上がっていく様子があった。遅れてきた保護者や園児への声掛けや配慮にもう一工夫お願いしたい。

昼食時に子どもが食べている間に保育者がコットを用意し、食事・着替えの済んだ児からコットに横になって過ごしている。園児は自身のタイミングで眠りに入るが、保育者は園児一人ひとりに優しく触れながら入眠できるよう対応している。個々に応じて目覚めてもゆっくり体を休めている。今後は、寝ていない子や起きてしまった子への時間の使い方など、睡眠時間についてもう少し個別の配慮ができるよう考えている。５歳児は秋以降から就学に向けて、徐々に午睡時間を減らし最終的にはなくすように取り組んでいる。

保育者勤務はシフト制のため早番・遅番が必ずしも担任になるとは限らない。連絡帳・クラス申し送り表・保育日誌や、遅番でもその日の様子や健康状態が洩れなく伝わるよう報連相を密におこなっている。保護者アンケートでは「物言いや機嫌が悪そうな日が気になる・連絡を周知徹底をして欲しい・職員の入れ替わりも書面で知らせて欲しい」などの声があった。「みんなの保育指針」に保護者との「基本的な考え方・相互理解のために、配慮すること、支えるために、苦情対応」などを明記しており、振り返る機会を設けて共通理解が得られるよう希望する。

出来る限り制限を少なくし自由遊びの時間を設けて自主性を尊重し、園児の発達や興味関心に応じて臨機応変な環境構成に努めている。朝の合同保育後に各クラスに戻ると自身で遊びを選択し、それぞれのコーナーでままごとやブロック・机上遊びを楽しんでいる。２歳児は３歳児クラスから借りた平仮名パズルや電車で遊び、片付けの際は「さあ片付けよう！と率先して実施している。訪問時、２歳クラスで３人の園児が手作りスカートを着て遊び、そのうち一人がハンガーに吊るして片づけ始めると、他も一緒に片づけてから次の遊びを楽しんでいた。

年齢に合った言葉かけや絵本選択をおこない、音楽・体操・制作などを通して楽しみながら自由に表現できるよう働きかけている。４歳児は新聞紙を使って、新聞紙島渡りでは「新聞から落ちたらサメに食べられちゃうかも」と保育者が言うと盛り上がり、タイムをはかってどれだけ早く出来るか挑戦したり、新聞紙ジャンケンでは、初めは広げた新聞紙に乗って保育者とジャンケンして勝った人以外は新聞を半分にしていき、誰が最後まで乗っていられるかを競って楽しんでいる。

夏場など天候が悪くない限りは暑さ指数で熱中症予防に努めながら毎日戸外に出掛け、季節を感じながら十分に体を動かす機会を設けるほか、夕方の散歩も取り入れて身体を動かす機会を多くしている。公園までの道のりで交通ルールを伝えたり、公共施設にも足を運んで約束ごとを伝えている。公園に到着後は危険物やゴミが落ちていないかなどの安全点検の後に活動を開始している。保護者アンケートでは「コロナで通常とは異なっているが園としては工夫して努力してくれていると思う」との意見があった。

園のしおりで主な行事を掲載し、内容を検討する際には子どもの興味のある事柄・できるようになったこと・行事のねらいなどを確認し合い取り組んでいる。３歳児は七夕前日にはじき絵で天の川を描き、織姫と彦星の着物を折り紙で作って制作を完成させている。当日は各クラスで実施し、笹の前で写真を撮り、七夕メニューで星型の人参を「可愛い～」と食べる児や、七夕の話を聞いていたので「いっぱい食べたらお願い叶うかな」と言いながら食べる児がいるなど、園児個々が感じ取って行事を楽しんでいる。

今年度予定していた体育館がコロナで借りられず、内容を変更して「親子ふれあい会」として１１月６日（土）に園内で開催している。１０月の園だよりで出欠席を口頭で保育者に伝えること・クラスによって集合時間・開始時間が異なるので時間厳守で動きやすい服装・飲み物持参・当日の欠席連絡時間などを掲載し案内している。園児からは「触れ合い楽しかったね」「新聞紙ジャンケン危なかったよね」「バルーンまたやりたい」など楽しかった思い出を話し合う様子が見られ、保護者からは「子どもの様子が見られて良かった」との声が聞かれている。

入園時に年間行事予定表を配布するほか、毎月の園だよりと各種お知らせの掲示と配布により保護者に案内している。保護者参加行事は土曜日開催と決め、多くの保護者が参加できるよう配慮している。行事後のアンケートで意見や感想を募り、可能な範囲で希望に沿えるよう対応している。保護者アンケートでは「動画配信サービスがあると嬉しいです」「毎月可愛い制作をしてくれとても嬉しい」との意見があった。今後も様々な制限のある中で全体で開催できる行事の見極めが必要と考えている。

入園のしおりに延長保育時間の食事提供の考え方についての記述があり、延長保育は１８時半を目安に捕食を提供し、スポット延長は当日１４時までの連絡で対応し連絡が遅れるとアレルギー対応のこともあって提供できない旨を伝えている。捕食（おにぎり）はわかめ・おかか・鮭・コーン、せんべい・ビスケット・ミニアスパラガスなどで提供している。夕方散歩を通して長時間でも飽きずに遊べる工夫と、疲れてしまう子どもには床にゴロゴロできるような環境設定をおこなっている。

月案の中に「長時間保育の配慮」を落とし込み、例えば６月の２歳児では「疲れや甘えを受け止め安心できる環境の中でゆったりと過ごせるようにする。玩具や絵本などを定期的に入れ替えて遊びに飽きがこないようにする」、３歳児では「安心して落ち着いて過ごせるように声かけや見守りをおこない楽しめる環境を用意していく」としている。長時間保育の利用児が安心できるように、配置や室内環境・玩具の入れ替えなどを意識して取り組めるようにしている。

みんなの保育指針で「食事で大切にしていること」は食べることが生きること、「食を営む力」の基礎を培うことと明記し、１楽しい食事時間、２健全な発育を支える関わり、３食事のマナーについて、と分かりやすく記している。散歩から帰園後は手洗いなどを済ませた児から席に着いて食べ始める流れである。訪問時、３歳児では順次手洗を済ませた児から食事を取りに行き、アレルギーの子はピンクトレーで受け取り自席に戻ると自分でラップを外して保育者に量を減らしてもらって食べ始め、他児は１品ずつ運んで、全部揃った児から食べていた。

全体的な計画に食物アレルギー対応、生活管理指導表・個別面談と面談補足確認・家庭における食物除去の程度確認・個別取り組みプランの作成・最終確認面談・ピンクトレー（名前と食材記載）・ピンクの食器・個別机・個別台ふきん・アレルギー児用食事介助エプロン・アレルギー児献立・トリプルチェック・アレルギー児一覧表（調理室内に掲示）を明記して実践している。現在アレルギー児は在籍していないが、牛乳抜きの対象児がいるため、安全な食事ができるようチェックは励行している。

年間食育計画を担任・栄養士とで作成し、食事について興味関心がもてるよう取り組んでいる。訪問時、４歳児が食育で野菜スタンプを実施していた。園児はテラスに収穫に出向いてピーマン６個を収穫し、調理が玉ねぎ・パプリカ・オクラ等を足して園児の前でカットしている。玉ねぎを切ると「目が痛いよ」と言いながら触ったり匂いを嗅ぎ、調理が「何の野菜がみたい？」と問うと「ピーマン」とのリクエストに応えてカットしたり、赤ピーマンを指して「唐辛子？」とのニッコリ発言や、オクラスタンプで「桜みたい」との感想が聞かれ、個々に楽しんでいた。

３つの年間保健計画を基本に、年間目標「１健康に成長・発達し、保育園生活を快適に送ることができる、２生活リズムを整え、基本的生活習慣を身につけることができる、３体の仕組みを知り、遊びや食事などを通して自分たちの体に対して興味・関心を抱くことができる」を看護師が立案し、３か月ごとに目標を立てている。１期ごとに目標・活動内容・留意点・保護者への保健指導・環境整備・組織活動を実施し、１期ごとの評価・反省を記載している。事故やケガの際には迅速に報告・判断し、受診や手当を実施し、うがい・手洗いも励行している。

コロナの影響で検温やマスク着用・手指消毒・手洗い・うがいの励行に加え玩具や手すりの消毒・掃除など、より一層の感染症対策に取り組んでいる。６月「歯の衛生週間」に歯科衛生士を招いて歯磨き指導を実施している。パペット人形と一緒に、虫歯になりやすい食べ物となりやすい食べ物を考えたり、歯磨きできない時にはリスやサル・ゴリラの口を真似てグチュグチュうがいの仕方を練習している。健康診断や年２回歯科検診をおこない、朝の視診や午睡前の着替え・検温などで体調に気を付けている。

入園時及び年２回嘱託医と連携して健康診断をおこなっている。０歳児は毎月身体測定（身長と体重）を実施し、その結果はともに児童票と連絡帳に記載している。毎月「すくすくだより」を看護師が発行して保健に関する情報を発信している。４月「連絡帳等について・健康診断等のお知らせ」、５月「鼻のケア・かみ方」、６月「虫歯予防・仕上げ磨き」、７月「蚊についてのQ&A」、８月「鼻・鼻血について」、９月「救急の日・擦り傷・打ち身」、１０月「睡眠について」等と、月毎に保護者と共有したい情報を掲載している。

朝の登園時に園長は玄関から入ってくる保護者と園児を笑顔で出迎えて挨拶を交わし、出勤していく保護者に「行ってらっしゃい」と気持ちよく声をかけ送り出している。また保育室では保育者が同様の対応で雰囲気づくりに努めていることから、園児と保護者が安心できる環境であると推察する。毎日の登降園時のコミュニケーションを大切にして、保護者の悩みや不安解消に向けた会話づくりに努めている。保護者会では保育の様子を伝えて保護者と共有し、保育参観（希望制）・保護者連合協議会を設けている。

毎月発行している園だより・クラスだより・すくすくだより・ぱくぱくだよりを通して子育てに役立つ情報を提供している。ぱくぱくだより４月「給食のおいしさと楽しさ」、５月「子どものための献立づくり」、６月「よく噛んで食べる力を育てよう」、７月「野菜をたくさん食べましょう」、８月「食事を楽しむ５つのポイント」、９月「健康の大敵！食塩に注意しましょう」などを掲載して保護者と共有している。今年度スタートさせた幼児クラスの「ＣＬＩＰ（クリップ）」では、「ことば・もじ」「かず・かたち」に取り組み、園内に掲示して紹介している。

コロナ禍で地域交流や地域資源を活用する機会は特にないが、戸外活動時に近隣住民と挨拶を交わしたり、公園で出会う他園と気持ちよい挨拶を交わしている。今後は、近隣園との交流や小学校との就学を見据えた交流の実施、消防署による避難訓練や警察署による交通安全教室・不審者訓練を企画するなど、コロナ終息に備えて視野を広げておく必要があると考える。

契約時に重要事項説明書にて個人情報の取扱いについての５項目を丁寧に説明するほか、「入園時同意書」ではブログへの園児写真の掲載や写真販売のための販売会社への個人情報や画像データを提供することなど９項目で同意を確認している。また、必要があれば保護者にその都度事前確認し、ケガ等で受診が必要であれば直接連絡して同意を得ている。前年度コロナの影響で保護者参加行事を中止する姉妹園も多かったことを受け、今年度より新たに動画掲載を取り入れることとして、再度保護者から同意をもらっている。

保育者からも写真掲載などで同意を取り、ブログ掲載時に個人が特定できないようスタンプを施すなどプライバシーを保護し、着脱・排泄・オムツ交換時のほか水遊びでは遮光ネットを張るなど、園児の人権を尊重し羞恥心に配慮した保育を実践している。本社コンプライアンス委員会の注意喚起やアンケートをもとに職員の意識向上に取り組んでいる。訪問時、水遊びの際に遮光ネットで外からは見えないのだが、０歳保育室から５歳児が全裸でホースの水をかけて遊ぶ場面があったため、再度の確認と対応改善を希望する。

園内には事故やけが・虐待防止のため防犯カメラが設置され、必要時に園長が職員とともに確認している。園長は巡回時に気づいたことがあれば職員会議等で取り上げ話す機会を設けている。職員アンケートでは「研修回数が増えた・穏やかな先生が多い・連携を良くとっている」との一方で、「責任者不在日が多い・子どもや保護者に対する態度・思いやりの心をもっと持つべきだと思う」との意見があった。虐待に関しては入社時の本部研修のみのため、虐待の芽チェックシートなどを活用し、保育者が自身の保育を振り返る機会があると良いと考える。

就業規則・児童虐待防止マニュアル・危機管理マニュアル・保育マニュアル・BCP（事業継続計画）など必要なマニュアルを整備し、いつでも確認できるよう事務所で管理しているほか、入社時から各自で「みんなの保育指針」を携帯している。変更点が生じた場合は職員会議などで声かけし、職員が定期的に意識できるよう図っている。今年度は感染症対策の見直しを本社経由でおこない、掃除の際の次亜水濃度をコロナの期間だけ０．０５％に強化するよう変更している。

２年まえに全園統一の「みんなの保育指針」が完成し、これから全体に浸透させていこうとしている矢先にコロナ流行があり、そのまま中断された経緯がある。今年度は「みんなの保育指針」策定時の中心メンバーでもある他園園長が来園し、環境やクラスの悩み相談をして指針の浸透を図るほか、新たに「拠点勉強会」を設け、同一エリアの姉妹園と情報共有する機会を取り入れている。今後はコロナの如何に関わらず、本社プロジェクトチームのメンバーによる園巡回を実施し、指針内容の浸透が正しく進むよう望みたい。

職員会議等で職員が顔を合わせて話し合う機会を持ち、日常的にも話しやすい雰囲気づくりに努め、園長は基本事務所で過ごしているが、何かあればいつでもフォローに入れる体制でいる。今年度始まった拠点勉強会を通して近隣系列園との交流は実施している。クラスの問題を園の問題として捉え、園や子供の成長をより良い方向へ持っていけるような意識を持つよう伝え、職員個々のスキルアップ・自己啓発への意欲向上を図りたいと考えている。職員アンケートでは「上下関係で話しやすい雰囲気作りや若手の育成に力を入れてほしい」との意見があった。