東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

開設から２年目の今年は新たな園長が異動により着任し、登園時や散歩からの帰園時なども子どもを迎えに出て声を掛け、保護者とも親しく交流している。今年度から定員が９０人に増えて５歳児も増えたため、職員も増員となっている。コロナ禍で園内掃除と消毒などに力を注ぐほか、園前道路の交通量が激しく危険なことへの対処として歩き方の指導など尽くしている。近隣６か所の法人園と徐々に交流を始めているほか小学校や近隣関係機関との交流も始まっており、地域に根差した保育園を目指して土台固めを進めている。

定員９０人に対して６９人が通い、園庭は狭いがセキュリティー性能は高く、昼食・おやつも全て手作りしている。園長は保護者等とのコミュニケーションに努めるほか園児の健康状態や様子観察を行い、若い保育士との円滑な連携を図っている。人手不足に苦慮する面もあるようだが、いたずらに他園の後追いをすることなく、徐々に職員間での保育の統一と信頼関係の構築に取り組んでいる。今後は新型コロナ対策を徹底しつつ、保育経験の少ない職員や若い職員を指導して人材育成を進め、チームワークの良い組織作りに取り組んでいる。

園内の事は職員会議にて全員で話し合うことを基本に据え、本社と連携して昼礼等で周知している。園長は何かあれば必ず全職員に声を掛けて意見を聞き合意の上で進めるという流れがあり、職員からは園長の指示が明確で分かりやすいことと職員同士の関係が良好なことを評価する声が聞かれ、特に深刻な苦情等は聞かれなかった。保護者アンケートはコメントが多く満足度は８０％と昨年よりは少し下がったが、職員の子どもへの愛情を感じて嬉しいことを評価する声が上がっている。今後ポストコロナの新しい生活様式による保育の在り方を目指すよう希望する。

保護者などの意向や要望などは契約時の重要事項説明の際に苦情解決の仕組みを伝え、年２回の保護者会でも保護者会アンケートを行って、無理のない範囲の要望であれば対応するよう努めている。訪問時にも、園長は常に事務所にいて登降園の際に保護者などに声を掛けており、園での様子や保護者が関心をもちそうな事などを伝え、要望等があれば直接聞けるような姿勢と態度が感じられた。園児には怪我などはさせず登園したままの状態で帰って貰うこととして、保育士による視診を日々励行している。

地域の福祉ニーズの収集については、地元スーパーでの買い物に出掛ける際に店員などと言葉を交わす機会はあるが、お向かいにある所轄警察署への訪問のほかは地元の祭礼や合同防災訓練などで地域の方と触れ合う機会はまだ多くない。散歩や公園遊びの際に他の保育園と一緒になった時には一部接触はあるものの、他園の職員同士で話し合うような場はないため、今後はもう少し日常的で横断的な交流が出来るようになることを望みたい。

保育園単独の中長期計画は確認できなかったが、単年度事業計画にあたる保育課程は作成され、それを基に年案、月案、週案が作られて、日々の保育へとつながっている。保育課程作成にあたっては前年度の振り返りと見直しを十分に行い、次年度の計画を立案している。計画にはスタッフ全員が関わり、サービスの現状と想定されるリスクについても検討して、日常を大切にしながら愛情をたっぷり注ぐことで園児が十分に楽しめるよう工夫している。計画推進にあたっては余りにも実態にそぐわないと感じた時には、ＰＤＣＡをして改善の場を設けている。

職員が守るべき法・規範・倫理については、入社前後の研修で保育園は児童福祉施設であることを認識して行動するよう伝え、園外に出た時も地域の方に笑顔で挨拶することなどを指導している。コンプライアンスの実践や従業員マナーマニュアルでも、言葉遣いや個人の尊厳についての記述があり、職員は職場を明るく楽しく働きやすくするように、などと説明している。保護者との関わりでも、保護者を批判的に見ないことや子どもの気持ちを汲み取ってユーモアを大切にすることなど、保育指導計画などにも盛り込んで伝えている。

苦情解決制度については入園のしおりに記載され、保護者向けに説明をしている。園児及び保護者からの意見や苦情などが有れば、直接本社や園長に話が出来るようにしており、意見箱も設置して保護者の意向を把握して対応するようにしている。職員の言動等については相互評価を行い、互いの言動を確認する機会を設けている。虐待については入社時に本社研修の中で説明し、園での虐待防止を徹底している。振り返りのクラスミーティング等を実施して、もしもそうした事例が見付かった際には本社および児童相談所と連携し、迅速な体制を整えている。

事業所機能や福祉の専門性を活かした取り組みおよびボランティア受け入れについては、要望があればその時点で検討して対応したいとのスタンスであるが、現状では特に実例などは聞かれなかった。地域の関係機関との連携について区保育園園長会に出席しており、行政からの伝達事項や他園の状況などを収集している。地域との関わりについては地元町内会のほか地域イベントへの参加はまだ少なく、職員からも職場体験やボランティアなど地域との関わりの薄さや緊急時や災害時の対応を求める声が聞かれている。

リスクマネジメントについては役割分担表を作成して掲示するほか、リスク毎に関係各所の連絡先一覧も明示している。年間避難訓練計画を策定して必要な訓練は実施していて、ＢＣＰ（事業継続計画）は本社主導により策定済みだが、コロナ版の追加や定期的な見直しが必要である。ヒヤリハット・事故報告の再発防止と対策の見直しについては記録を残し、職員会議や昼礼の中で反省会をして見直しをおこなっている。今後は職員の危機管理意識の向上に努めると共に、見守り体制や午睡チェックの徹底なども合わせてお願いしたい。

安全の確保・向上については、避難訓練のほか感染症情報等を職員間で共有し、必要があれば保護者会などで説明をしている。事故・感染症・不審者などの被害発生時や注意情報等が出た際には区などとも連携して園内掲示や説明会などを開催している。初めから園庭が狭いことや前面道路の交通量の多さなど、設備的には簡単に解決が難しいことは職員の気付きと運用面でカバーするよう努めている。今年度もコロナ対策で衛生管理に力を入れており、エプロンなどぬいぐるみなど布玩具の洗濯や機器類の定期清掃も含めた殺菌消毒を意識して励行している。

個人情報保護などはホームページに「コンプライアンスの実践」項目があり、個人情報保護や漏えい防止、虐待禁止、社内ハラスメント撲滅などを明文化しており、コンプライアンスの実践こそが子供たちへの保育サービスの向上につながる、と明記している。保護者には利用契約時の重要事項説明の中で個人情報取得同意書に署名・捺印を得るほか、職員には入社時のオリエンテーションや社内研修の際に個人情報や機密漏えい防止について説明し、誓約書を貰っている。職員には個人情報について定期的に確認する機会をもつよう望みたい。

求める人材像は「明るい笑顔で人（園児・保護者・職員・地域の方）と関われる人。子どもにたくさん愛情を注げる人。職員同士、協力して他者を思いやる心を持てる人」などとと定め、適性や力量を見て優しさと温かさが感じられる人を採用している。園長の温かい人柄が良い人材を集めているようで、訪問時にも問題のある人は見られなかった。職員育成については年２回園長面談を行うほか年１回の本社面接の際にも口添えしている。年度後半頃からは保護者会も復活させて保護者同士の円滑な交流も回復できるよう希望する。

園内研修は年２回実施するほか外部研修については５月頃に年間予定を掲示し、年間の個人別研修計画を立案して、交通費と参加費用は会社で負担しているが、今年はコロナのためオンライン研修となっている。客観的な人事考課制度を導入し、有休休暇やリフレッシュ休暇が取りやすいようにして疲労やストレスの改善を図っており、懸案のキャリアパスは現在総務・労務部門で確認作用が続いている。キャリアがあり質の高い保育士は十分に評価して待遇改善して定着化を図り、いずれはリーダーから準副主任・副主任・主任も務めて貰えるよう希望する。

正社員については本社研修にて外部講師による職員能力向上に向けた講習を定期的に実施するほか、外部研修にも積極的に参加できる体制を整えている。令和３年１月１日付けで就業規則の改定があり、６５歳定年のほか７０歳まで再雇用が可能となったことで、９０人体制に向けた職員増員にも有効と考える。また、産業医が設置されてメンタルヘルスケア体制も構築されており、育休や介護休暇なども１時間単位で取得可能となっている。

法人ホームページでは、さくらさくみらいの思い・保育・お知らせ・会社概要・プライバシーポリシーをはじめ、運営している全園の情報を開示している。お知らせで最新情報、今年度４月に保育園で働く職員・就職を目指す学生向けに情報提供サイト「さくらスマイル」を立ち上げ、６月から新たな幼児教育プログラム「ＣＬＩＰ」を始動させた事などをお知らせしている。今年度最初の園ブログは「２０２１年度が始まりました」と園長ブログから始まり、今年度園長交代の挨拶と思いを綴っている。

区の園長会議にて情報を収集し事業所情報は区ホームページからも閲覧可能として、実施状況台帳や延長保育実施状況表を毎月区に提出している。毎年第三者評価を受審して情報提供と透明性を高めている。保護者や職員アンケートにて意向や要望を聞き取り、改善点を洗い出してより良い園となるよう活かしている。職員アンケートでは「前年度より書類管理が明確になった・仕事の効率・食育で野菜に興味を持つ子が増えた」との意見があった。園ブログに「２０２０年度の苦情について」を掲載し、受け付け窓口や苦情解決の流れを明記している。

新規入園者の見学希望や問い合わせは園長が窓口となり、３か月先までの日程を伝えて選んでもらい、問い合わせ・見学表に記載して月に１～２回実施している。今年度もコロナ禍のため廊下からの見学としてもらい、園児の制作物やお便りなどの掲示物で園の雰囲気を伝え、質問等がある際には電話で対応している。１１月上旬で申し込みが締め切りとなるため緊急事態宣言中も時短でおこなうなど、見学希望者に寄り添う姿勢で対応している。今後はネット配信なども視野に入れた対応なども考慮している。

新入園児保護者には事前連絡して個人面談を実施し、利用者の思いを汲みとり不安なことや不明点について分かりやすく丁寧に説明している。入園のしおり（兼重要事項説明書）を使い、保育理念・方針・目標はじめ費用や感染症に関すること・相談窓口などについて確認・説明を実施して周知を図り、最後に全項目（４６項目）の中で特に差異が生じないように伝えた箇所について赤字で掲載して注意を促している。保護者の意向や要望は園長が必ず聞いて、必要に応じて対応・周知している。

クラスで個人児童票を作成して誰が見ても分かるように個々にファイルし、園児・保護者が安心して通園できるよう配慮している。希望者には１週間前後を目処に慣らし保育を段階的におこなっている。子どもの様子は連絡ノートに記載するほか迎えに来た保護者に担任が口頭で丁寧に伝えることで、園児・保護者がともに環境に慣れ、良好な人間関係が構築できるよう配慮している。保護者が何気ないことでも話してもらえるよう、保育者のコミュニケーションスキルの向上に取り組んでいる

小学校へ引き継ぐ資料として児童保育要録を小学校へ送付または持参し、園児・保護者の不安を減らして継続性に配慮するほか、退園・卒園した後もいつでも来園できるよう声掛けして、保護者支援も心掛けている。各クラスでお別れ会をおこない、個々の園児の制作物をまとめた制作帳を渡したり、アルバムや園児の似顔絵など工夫して、思い出作りに取り組んでいる。

園児一人ひとりの心身の状況や生活状況などは保育日誌や児童票に記載し、乳児は連絡帳、幼児は連絡ノートを活用して保護者に日々の様子を伝えている。行事後に行事アンケートを実施することで把握したニーズを次に反映させるなど、保護者の意見を聞く機会を多く設けている。年間指導計画は４期に分け１期ごとに必要な改善点を話し合い、職員会議にて周知を図っている。指導計画では擁護は大人がお世話すること、教育は子どもが自主的に取り組めるというように、計画を立案している。

週・日案では週毎のねらいを立てて子どもの活動の様子と振り返りを毎日おこない、週の振り返りと自己評価により次の課題を抽出している。月１回のクラス会議では月案の振り返りと自己評価をして進捗状況を確認し、次の指導計画に反映させている。気になる子どもへの対応としては個別計画を作成するほか、区の巡回指導を受けて職員間で接し方や進め方を話し合い、専門性を活かしながら保育に取り組んでいる。指導計画が全体的な計画からおりてこないため、単体になりがちになっていることを課題としている。

昼礼や職員会議で周知し、職員連絡票や昼礼ノートを活用してパートを含めて洩れなく情報が伝わるよう図っている。職員アンケートで「園長の指示が明確で分かりやすい・やりたいことが通りやすい・職員同士の関係が良好・相談しやすい」との意見の一方で、「クラス間での情報共有・責任感を高めたい・報連相の徹底・パート職員にまでおりてこないので知らないことが多く情報共有して欲しい」との意見があった。園長が日々の巡回中に気づいたことがある時には職員にさり気なく伝え、適切な保育ができるよう配慮している。

入園時面談・職員会議や昼礼にて個々の発達や生活環境を把握して現在の子の姿を捉え、連絡帳・保育日誌・児童票などに記載している。園児が好きな遊びを出して遊び込める環境づくりをおこなっている。２歳は一人遊びから友だちと関わって遊ぶ姿へと変化がみられ、ままごとでは「すみませーん、ご飯ください」「良いですよ、はいどうぞ」など言葉のやり取りも楽しんでいる。１歳は自由時間にブロックやままごと・電車を走らせて遊んでおり、玩具の貸し借りもでき始めて、「貸して」「ありがとう」などの言葉や仕草もみられている。

保育目標「心身ともに強い子ども・明るく元気な子ども・考える力を持つ子ども・思いやりのある子ども」を基本に、互いを尊重する心が育つような保育を実践している。合同保育・延長保育・異年齢交流や毎月の誕生日会・季節の行事などを通して、人間関係が自然に作られる環境を大切にしている。気になる子どもには専門機関と連携して巡回を受け職員会議や昼礼で直ぐに周知を図り、共通理解の上で統一した対応に取り組んでいる。発達過程で生じる園児同士のトラブルについては、園児の気持ちに寄り添いながら仲立ちをしている。

区保幼小連絡協議会や就学前情報交換会に参加して情報交換している。５歳児の年間指導計画に保育目標①友だちと意欲的に遊びに取り組み基本的生活習慣や年長児にふさわしい態度を身につける、②集団生活の中で意欲的に活動し新し知識や能力を身につける、③身近な社会や自然環境に関心をもち、ら関わろうとする態度を養う、として、１期ごとにねらい・養護・教育・環境構成・配慮事項・食育・健康安全・地域交流・保護者支援・行事に取り組み保育士の自己評価を記載し、幼児期の終わりまでに育ってほしい１０の姿を目指し保育を実践している。

コロナ対策として事務所前に手指消毒液を設置し、登降園時には保護者のマスク着用と検温、体温確認を義務付け、９月の園だよりで幼児クラスで自分で着脱できる児に対してはマスク着用をお願いしている。登園時の視診や家庭での様子を聞いて受け入れるほか、保護者との連絡を密にとり些細なことでも園内でしっかり共有することで、担任以外の保育者が相談を受けても対応できるよう努めている。園全体で保護者とのコミュニケーションを多くとることで保護者の些細な変化を見逃さず、保護者支援につなげている。

昼食時に子どもが食べている間に保育者がコットを用意し、食事・着替えの済んだ児からコットに横になって過ごしている。園児は自身のタイミングで眠りに入るが、保育者は園児一人ひとりに優しく触れながら入眠できるよう対応している。児の発達や健康状態・家庭環境・保護者の意向などを配慮した午睡をおこなっている。５歳児は秋以降から就学に向けて徐々に午睡時間を減らし最終的にはなくすように取り組んでいる。活動の内容や子どもの様子によって休息が必要な場合は、リラックスして体を休めるように配慮している。

保育者勤務はシフト制のため、早番・遅番が必ずしも担任になるとは限らない。登園記録・連絡帳・延長保育日誌にて情報共有し、迎え時に担任や遅番担当が様子を伝えるほか、各職員が気づいた点などを伝えている。保護者アンケートでは「人によります・良く相談にのってもらう・保護者会や面談がほとんどない・担任が親身に対応してくれる・忙しい時には報告漏れがある」との声があった。保護者へアドバイスする際の引き出しを増やすためにも、保護者対応の仕方を園内研修で実施し、知識・技術向上を図りたいと考えている。

出来る限り制限を少なくして自由遊びの時間を設けて自主性を尊重し、園児の発達や興味関心に応じて臨機応変な環境構成に努めている。朝の合同保育後に各クラスに戻ると、遊び時間を設定して園児自身で遊びを選んでもらい、それぞれのコーナーでままごとやブロック・机上遊びを楽しんでいる。１歳は室内遊びで一人ひとりが指先を使ってシートから丸いシールをはがし、台紙に貼ってアンパンマンの顔を完成させている。４歳はブロックや電車、パズルやお絵描きといった机上遊びをそれぞれが集中して楽しんでいる。

年齢に合った言葉かけや絵本選択をおこない、音楽・体操・制作などを通して楽しみながら自由に表現できるよう働きかけている。３歳は「絵の具を使った遊び」で、１回目は「絵の具に触れてみよう」と題して手で絵の具に触れることを主に殴り書きをし、２回目は筆やスタンプを使って自由に絵を描いている。保育者が片付けをしようとすると「お手伝いする」「やりたい」と自分から筆やパレットを洗い、雑巾を持ってきて「した拭けばいい？」「次これをするね」と床を拭いている。保育者の姿を真似て遊んだら片付ける、元の場所に戻すことを学んでいる。

天候が悪くない限りは暑さ指数で熱中症予防に努めながら毎日戸外に出掛け、季節を感じながら十分に体を動かす機会を設け気分転換を図っている。公園到着後は危険物やゴミが落ちていないかなどの安全点検後に活動開始している。５歳は公園に風景画を描きに出かけ、「～くんカモ描いてる」「あの鳥の名前何？」と保育者と会話を楽しみながら完成させている。また、５歳だけで散歩に出かけた際には皆で「右見て左見て～」と車が来ないか確認しながら歩き、公園ではジャングルジムやボール、ルールのある遊び氷鬼をみんなで楽しんでいる。

園のしおりで主な行事を掲載し、内容を検討する際には子どもの興味のある事柄・できるようになったこと・行事のねらいなどを確認し合って取り組んでいる。４歳は５月５日のこどもの日を前に、保育者が「こいのぼりって知ってる？」と聞くと「おばあちゃんちで飾ってる」「お出かけした時にみた」と知ってる子も多い様子から、４歳クラスの大きなこいのぼり制作につなげて楽しんでいる。９月２０日敬老の日は、園児たちからおじいちゃん・おばあちゃんに手作りの「ハガキ」を制作して郵送するサプライズをおこない、感謝の気持ちを伝えている。

コロナ流行でここ２年間運動会開催は見送っているが、４・５歳児は室内でパラバルーンに初めて挑戦している。４・５歳は、皆と一緒に何をどうやって作ろうかを考え、自分の意見も話して友達の意見も尊重して話し合い、夏まつり準備を７月後半から始めている。当日は甚平姿で祭りの雰囲気をだしてチョコバナナやアイスクリーム・いちごあめなどの店を用意したが、コロナの影響でお店屋さんとしてのやり取りは中止している。ハロウィン当日は登園から仮装してもらい、事務所で衣装撮影したのちに魚釣りや的当てゲームを楽しんでいる。

入園時に年間行事予定表を配布するほか、毎月の園だよりと各種お知らせの掲示・配布により保護者に案内している。保護者参加行事は土曜日開催と決め、多くの保護者が参加できるよう配慮している。行事後のアンケートで意見や感想を募り、可能な範囲で希望に沿えるよう対応している。保護者アンケートでは「行事がない・わくわくする行事や運動会・プールなど思い出に残る行事を増やしてほしい・運動会やお遊戯会を企画してほしい」との意見があった。今後も様々な制限のある中でどのように行事を実施していくのかを課題としている。

入園のしおりに延長保育時間の食事提供の考え方についての記述があり、延長保育は１８時１５分を目安に捕食を提供し、スポット延長は当日１４時までの連絡で対応し連絡が遅れるとアレルギー対応のこともあって提供できない旨を伝えている。捕食（おにぎり）はわかめ・おかか・鮭・コーン、せんべい・ビスケット・ミニアスパラガスなどで提供している。保護者アンケートで「仕事が急になってしまう事も多いので本当に助かっている」「もう少し夕食メニューの種類があると良いなと思う」との意見があった。

月案の中に「長時間保育の配慮」を落とし込み、例えば５月の０歳では「体調の変化に気を付けながらゆったりとした雰囲気で安心して過ごせるようにする」、４歳は「午睡時に体を休められるような環境をつくり声かけをおこなう。好きな遊びをじっくり楽しみ安心して楽しく過ごせるようにする」としている。乳児と幼児で遊ぶ玩具や環境を分け落ち着けるよう実践し、延長保育利用児が安心してお家のようにくつろげるよう使用するクラスには絨毯などを敷くなど、延長保育時間での玩具も取り入れて楽しめるよう工夫している。

みんなの保育指針で「食事で大切にしていること」は食べることが生きること、「食を営む力」の基礎を培うことと明記し、１楽しい食事時間、２健全な発育を支える関わり、３食事のマナーについて、と分かりやすく記している。散歩から帰園後は手洗いなどを済ませた児から席に着いて食べ始める。個々に応じた量で食べられた喜びを味わえるようにするほか、天候やメニューにより外エントランスやテラスで昼食やおやつを食べる機会を設け、開放感を味わいながら食べられるよう工夫している。気分を変えると苦手な食材を食べようとする姿も見られている。

全体的な計画に食物アレルギー対応、生活管理指導表・個別面談と面談補足確認・家庭における食物除去の程度確認・個別取り組みプランの作成・最終確認面談・ピンクトレー（名前と食材記載）・ピンクの食器・個別机・個別台ふきん・アレルギー児用食事介助エプロン・アレルギー児献立・トリプルチェック・アレルギー児一覧表（調理室内に掲示）、と明記して実践している。現在アレルギー児は３名在籍しているため、安全に食事ができるよう、園長・保育士・栄養士間で連携体制を整えている。

年間食育計画を担任・栄養士とで作成し、食事について興味関心がもてるよう野菜スタンプ・野菜の栽培・クッキングなどに取り組んでいる。今年度はスイカは割らずに見て・触れて楽しんでいる。０歳は昼食時に大きなスイカを持って行くと一瞬、静寂になるが、ニコニコ笑顔で叩いたりなでたりする児や、大号泣する園児など初めて目にした感情そのままに表現している。４歳はシイタケ栽培に挑戦し、食育では調理が沢山のきのこを持参して、「きのこ○×当てクイズ」で楽しみながら学んでいる。

３つの年間保健計画を基本に、年間目標「１子どもたちの生活リズムを把握する・２健康に保育園生活を送ることができる・３自ら健康増進をはかる」を看護師が立案し、３か月ごとに目標を立てている。１期目標は①健康状態を把握する、②衛生的な生活習慣を身に付け生理的要求を十分満たせるようにする、として活動内容に園生活のリズムを身につけることを明記して、その他、留意点・保護者への保健指導・環境整備・組織活動を実施し、１期ごとの評価・反省を記載している。

ヒヤリハット報告書を週１回以上各クラスごとに提出してもらうことを義務づけたことで、保育者が普段以上に気を付けて保育をおこなうことができケガや事故軽減を図っている。散歩直前や遊びの前に一緒に約束ごとを確認することで気を付けられるようにしている。受け入れ時に家庭での様子を聞き、特に週明けは休み中の様子も聞いている。ヒヤリハット、ケガ報告書とともに全体の洗い出しは実施したが、今後はそれ以降の改善・対策について職員全体で話し合い、保育実践に活かせるよう希望する。

入園時及び年２回嘱託医と連携して健康診断をおこなっている。０歳児は毎月身体測定（身長と体重）を実施し、その結果はともに児童票と連絡帳に記載している。毎月「すくすくだより」を看護師が発行して保健に関する情報を発信するほか、ブログで水いぼについて・事務所を可愛く飾りつけて体調を崩した園児が少しでも安心して楽しく過ごせるように工夫したこと・お散歩マップ横の公園紹介ファイルを更新したこと・今年度「きょうのおてんき」をリニューアルしたことなどを掲載して、園情報を看護師視点で伝えている。

登園時に園長は玄関から入ってくる保護者と園児を笑顔で出迎えて挨拶を交わし、出勤していく保護者に「行ってらっしゃい」と気持ちよく声をかけて送り出している。また保育室では保育者が同様の対応で雰囲気づくりに努めていることから、園児と保護者が安心できる環境であると推察する。兄弟の入院など家庭状況に応じて援助や支援を実施し、コロナの影響で懇談会は中止となったが、文面で今後のクラス運営について周知をおこない保育の可視化を図っている。保護者アンケートで「人による・連絡ノートの活用・退職や異動が多い」との意見があった。

行事のみならず、引き渡し訓練にも対応できるよう前もって手紙を配布して参加してもらい、毎月発行している園だより・クラスだより・すくすくだより・ぱくぱくだよりを通して子育てに役立つ情報を提供している。今年度７月より各クラスだよりをＡ３サイズにまとめて全クラスを掲載し、７月の３歳は最近の遊びの様子・制作・着替えやトイレでできるようになったこと、４歳は先月から当番活動を始めたことや自由遊び・トラブル時は「言葉で気持ちを伝える。解決しない時は近くの先生に相談する」の２つの約束事を決め実践していることを紹介している。

コロナ禍で地域交流や地域資源を活用する機会は特にないが、戸外活動時に近隣住民と挨拶を交わしたり、公園で出会う他園と気持ちよい挨拶を交わしている。今後は地域にはどんな学校・降園・保育園・施設があるのかや、消防署による避難訓練や警察署による交通安全教室・不審者訓練を企画するなど、コロナ終息に備えて視野を広げておく必要があると考える。

契約時に重要事項説明書にて個人情報の取扱いについての５項目を丁寧に説明するほか、「入園時同意書」ではブログへの園児の写真掲載や写真販売のための販売会社への個人情報や画像データを提供することなど９項目について同意の有無を確認している。また、必要があれば保護者にその都度事前の確認をおこなっている。前年度コロナの影響で保護者参加行事などを中止せざるを得なくなったが、保護者向けに期間限定の動画配信で対応している。今年度より新たに動画掲載を取り入れるため、再度保護者から同意をもらっている。

保育者からも写真掲載などで同意を取り、ブログ掲載時に個人が特定できないようスタンプを施すなどプライバシー保護に努めている。幼児クラスは身体測定・水遊び・着替えなど全てにおいて部屋を区切って羞恥心に配慮している。本社コンプライアンス委員会の注意喚起やアンケート結果をもとに、職員の意識の向上に取り組んでいる。園児一人ひとりの様子に応じて児の気持ちを最優先に尊重したうえで保育を実践し、保護者の意見を耳を傾けてその児にあった支援をおこなっている。

園内には事故やけが・虐待防止のため防犯カメラが設置され、必要時に園長が職員とともに確認している。園長は巡回時に気づいたことがあれば、職員会議等で取り上げて話す機会を設けている。職員アンケートでは「オープンして間もないため保育を自由に展開できるししやすい」との意見の一方で、「保育の質・けが防止・適切な職員配置」との意見が聞かれた。虐待に関しては入社時の本部研修のみのため、今後は虐待の芽チェックシートなどを活用し、保育者が自身の保育を振り返る機会があるとよいと考える。

就業規則・児童虐待防止マニュアル・危機管理マニュアル・保育マニュアル・BCP（事業継続計画）など必要なマニュアルを整備し、いつでも確認できるよう事務所で管理している。変更点が生じた場合は職員に周知して改善点があれば改善するよう努めるほか、本社社員も巡回指導している。今年度は感染症対策の見直しを本社経由でおこない、掃除の際の次亜水濃度をコロナの期間だけ０．０５％に強化するよう変更している。職員アンケートでは「コロナ禍で発熱が続く子への対応・物を大切に扱うことの共通認識がもてるとよい」などの意見があった。

２年まえに全園統一の「みんなの保育指針」が完成し、これから全体に浸透させていこうとしている矢先にコロナの流行があり、そのまま中断された経緯がある。今年度「みんなの保育指針」策定時の中心メンバーでもある他園園長が来園し、環境やクラスの悩み相談をして指針の浸透を図っている。今年度から新たに「拠点勉強会」を設け、同一エリアの姉妹園と情報共有する機会を取り入れている。今後はコロナの如何に関わらず、本社プロジェクトチームのメンバーによる園巡回を実施し、指針内容の浸透が正しく進むよう望みたい。

昼礼や職員会議等で職員が顔を合わせて話し合う機会を持ち、日常的にも話しやすい雰囲気づくりに努め、園長は基本事務所で過ごしているが、何かあればいつでもフォローに入れる体制でいる。本社の園長会議などで年度末に伝達事項があれば的確に伝えるほか、職員間での共通理解を深めるため、昼礼・職員会議などで細かく話し合っている。職員アンケートで「プロ意識の向上・保育内容の充実・意見交換や話しやすい環境・園長と気軽に相談できると良い・職員の定着」等の意見があった。