東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

最寄駅から徒歩５分と便利な立地で、区内でも保育園が多い地域である。区内７か所と増えた法人園とは拠点勉強会などで交流が始まっているが、職員の確保と育成に苦労している。今年度は５歳児が１４人入園したことから、他保育園や小学校はじめ、警察・消防など地元機関との交流を進めるよう考えていたが新型コロナが収束せず、２年間に渡り地域との交流は滞ってしまった。園長は「みんなの保育指針」の浸透と区などと良好な関係を図ろうと努力しているが人員不足による疲弊感がぬぐえず、職員補充と働きやすい環境づくりが必要である。

定員７５人に対して園児は６９人に増え、園庭はさほど広くないがライブラリーやカメラなどセキュリティー性能は充実し、昼食・おやつも全て手作りでしている。園長は保護者等とのコミュニケーションに努めるほか園児の健康状態や様子観察を行い、若い保育士との連携を図っている。７か所の法人園とは相互に連携しながら園児交流や合同行事などの実施も視野に入れている。コロナ発生以来、本社・区などとの連絡事項は全てオンラインで各職員に伝達する流れが確立しており、職員研修の多くがパソコンを活用したリモート研修に変更している。

職員会議にて全員で話し合うことを基本に据え、本社サポートとも連携して昼礼などで周知している。園長は何かあれば必ず全員から意見を聞き合意の上で進めるという流れがあり、職員からは、研修機会があり保育に活かせることを評価する声が聞かれる一方、職員不足で連携が上手く取れないとの声も上がっている。保護者アンケート満足度は７６．９％で、掃除が行き届いていることや園長が率先し明るい雰囲気を作ってくれるとの声がある一方、退職者が多くベテランがいない、先生が余り楽しそうでない等の声も聞かれ、職員の余裕の無さが際立っている。

保護者などの意向や要望などは契約時の重要事項説明の際に苦情解決の仕組みを伝え、基本的には保護者会を年２回実施して保護者会アンケートも行い、無理のない範囲の要望であれば対応するよう努めている。訪問時にも、園長はなるべく事務所にいて登降園の際などに保護者・園児に声を掛け、園での様子や保護者が関心をもちそうな事などを伝え、要望等があれば直接聞けるような姿勢と態度が感じられた。園児には怪我などはさせず登園したままの状態で帰って貰うこととして、保育士による視診を励行している。

地域の福祉ニーズの収集については、お店での買い物の際に店員などと言葉を交わす機会などはあるが、地域のお祭りや合同防災訓練などで地域の方と頻繁に触れ合う機会はまだ多くない。また、戸外活動や公園遊びの際に他の保育園と一緒になった時には多少の接触はあるが、保育職員同士で交流するような場も多くない。コロナのために予定していた地域との交流は滞っているが、今後は区園長会や保幼少連絡会などでの情報収集を通じて、もう少し日常的で横断的な交流が出来るようになることを望みたい。

事業運営計画書には目指すべき施設像の記述はあるが、保育園独自の中長期計画は確認できなかった。単年度の保育課程は作成され、それを基に年案、月案、週案が作られて、日々の保育につながっている。保育課程作成では前年度の振り返りを十分に行い、次年度計画を立案している。計画には職員全員が関わり、サービスの現状と想定されるリスクについても検討して、日常を大切にしながら愛情をたっぷり注ぐことで園児が十分に楽しめるよう工夫している。計画推進にあたり余りにも実態にそぐわないと感じた時には、ＰＤＣＡで改善の場を設けている。

職員が守るべき法・規範・倫理については入社前後の研修で、保育園は児童福祉施設であることを認識して行動するよう伝え、園外に出た時も地域の方に笑顔で挨拶することなどを指導している。コンプライアンスの実践や従業員マナーマニュアルでも言葉遣いや個人の尊厳についての記載があり、職員は職場を明るく楽しくして働きやすくするようになどと指導している。保護者との関わりについては、保護者を最初から批判的にみないことや子どもの気持ちを汲み取りユーモアを大切にすることなど、保育指導計画などに盛り込んで伝えている。

苦情解決制度については入園のしおりに記載され、保護者向けに説明している。園児及び保護者からの意見や苦情などがあれば直接本社や園長に話が出来るようにしており、園内に意見箱も設置して保護者意向を把握して対応するようにしている。職員の言動等については相互評価をおこない、互いの言動を確認する機会を設けている。虐待については入社時の本社研修などで説明して虐待防止を徹底しているが、職員アンケートでは周知度があまり高くない。保護者などからの虐待がうかがえる際は児童相談所と連携し、迅速に対応する体制を整えている。

地域貢献や地域との関係づくりや実習生・ボランティアの受け入れについては、要望があれば対応したいとのスタンスであり、地域の関係機関については園長が区園長会に出席して、行政からの伝達事項や他園の状況などを収集している。地域との関わりについては地元町内会は未入会で祭りなど地域行事への参加もこれからであるが、今年度後半に実習生の来訪が決まっている。その他ボランティアも含めた地域との関わりが薄いため、コロナ収束後は地域との関係づくりを進めたいと考えている。

リスクマネジメントについては役割分担表を作成して事務室内に掲示するほか、リスク毎に関係各所の連絡先一覧も明示している。年間避難訓練計画を策定して必要な訓練は実施していて、ＢＣＰ（事業継続計画）は本社主導により策定済みだ、職員への更なる周知と定期的な見直しが必要である。ヒヤリハット・事故報告の再発防止と対策の見直しについては記録を残し、職員会議や昼礼の中で反省会をして見直しをしている。今後は職員の危機管理意識の向上に努めると共に、見守り体制や午睡チェックの徹底なども合わせてお願いしたい。

安全の確保・向上については避難訓練のほか感染症情報等を職員間で共有し、保護者会などで園長からも説明をしている。事故・感染症・不審者などの被害発生時や注意情報等が出た際には、大田区などとも連携して園内掲示や説明会などを開催している。園庭が狭いことや前面道路の交通量が多いなどの課題があり、区・警察とも連携して安全に出入りできるよう努めている。今年度は特にコロナ対策で衛生管理に力を入れており、見通しを持った流れる保育や全体を把握できるようにするほか、玩具類の殺菌消毒も意識的におこなっている。

個人情報保護などはホームページに「コンプライアンス実践」の項目があり、個人情報保護や漏えい防止、虐待禁止、社内ハラスメント撲滅などを明文化して、コンプライアンスの実践こそが子供たちへの保育サービスの向上につながる、と明記している。保護者には利用契約時の重要事項説明の中で個人情報取得同意書に署名・捺印を得るほか、職員に対しては入社時のオリエンテーションや社内研修の際に個人情報保護や機密漏えい防止について説明し、誓約書を貰っている。個人情報を含む書類管理の徹底と意識の向上を図っている。

求める人材像は「子どもの最善の利益を考慮し人権に配慮する。子どもの成長を見守るとともに保護者とも関係性を築く。専門職として責任をもって業務にあたる」と定め、相手の適性や力量を見ながら優しさと温かさが感じられる人を採用している。園長の人柄が良い人材を集め、訪問時にも明るく元気な職員が多いように感じられた。今年はコロナ禍のため保護者との密な関係が取りにくく相互の関係性が薄くなりがちだったため、年度後半からは運営委員会や保護者会も再開して、円滑な交流が取り戻せるよう望みたい。

園内研修は年２回実施するほか外部研修については毎年５月頃に年間予定を掲示し、年間の個人別研修計画を立案して、交通費と参加費用は会社で負担しているが、現在はコロナのためオンライン研修となっている。客観的な人事考課制度を導入し、有休休暇やリフレッシュ休暇が取りやすいようにして疲労やストレスの改善を図っており、懸案のキャリアパスは現在総務・労務部門で確認作用が続いている。キャリアがあり質の高い保育士は十分に評価して待遇改善して定着化を図り、いずれはリーダーから副主任・主任・園長も務めて貰えるよう希望する。

正社員には本社で外部講師講習を定期実施するほか、区主催外部研修にも積極的に参加できるよう整えている。職員アンケートでは全体的にリーダー層に否定的な意見が多く、一般職員でも「そう思わない」「分からない」が多くなっている。今後は保育プロジェクトの浸透を進めて標準化を図り、職員が安心して末永く働けるような職場環境が築けるよう望みたい。会社としては１２月に系列他園主任などが乳幼児教育学会のオンライン自主シンポジウムに参加し、パターン・ランゲージについての発表もおこなっており、学んだことの発表にチャレンジしている。

法人ホームページでは、さくらさくみらいの思い・保育・お知らせ・会社概要・プライバシーポリシーはじめ、運営中の全園の情報を開示している。お知らせで最新情報として、今年度４月に保育園で働く職員・就職を目指す学生向けに情報提供サイト「さくらスマイル」を立ち上げ、６月から新たな幼児教育プログラム「ＣＬＩＰ」を始動させた事などをお知らせしている。４月最初のブログでは、午前入園式があったことと午後在園児進級式を開催した事を伝え、落ち着かない世の中だが感染対策をして「鵜の木園らしい一年を過ごしたい」と思いを綴っている。

区園長会議にて情報を収集し、事業所情報は区ホームページからも閲覧可能として、実施状況台帳や延長保育実施状況表を毎月区に提出しているほか、第三者評価を毎年受審して園の情報提供と透明性を高めている。保護者や職員アンケートにより意向や要望を聞き取り、改善点を洗い出してより良い園となるよう活かしている。今年度３回目の受審となるが前年度より良くなった点が「人材不足で落ち着かないため特になし」との記述のみであり、人員不足による職員の疲弊感が否めない。職員補充が急務であり働きやすい環境づくりが必要と考える。

新規入園者の見学希望や問い合わせは園長が窓口となり、園行事などに支障のない範囲で日程調整して見学受付表・問い合わせ表に記載している。今年度もコロナ感染予防に努めながら見学は午前・午後と１組ずつの対応として、子ども達の自然な姿を見て雰囲気を体感してもらっている。ブログの閲覧を勧め、外部情報開示時には個人情報保護に徹底して顔や名前を隠す工夫を励行している。コロナ禍で仕方がないが、もう少し自由に園見学ができる開けた園になれるよう目指している。

新入園児の保護者に対して事前の個別面談を実施し、利用者の思いを汲みとって不安なことや分からないことについて分かりやすく丁寧に説明している。入園のしおり（兼重要事項説明書）を用いて、保育理念・方針・目標はじめ費用や感染症に関すること・相談窓口などについての確認・説明を実施して、周知を図っている。最後に全項目（４６項目）の中で特に差異が生じないように伝えた箇所について赤字で掲載することで注意を促している。面談時に聞き取った内容などは面談記録に残し、職員間で共有している。

契約時に園長・担任と面談した内容は全職員で共有し、園児・保護者が安心して通えるよう配慮している。入園後は一人ひとりに合わせた慣らし保育を１週間前後で段階的に実施している。慣らし保育期間での子どもの様子は連絡帳に記載するとともに、迎えに来た保護者に担任が口頭で丁寧に伝えることで、慣らし保育を通して園児・保護者がともに環境に慣れ、良好な人間関係が構築できるよう配慮している。入園後は様々なおたよりやクラスだよりを発行したり、ブログを各クラス・看護師・調理室が持ち回りで掲載して、園の取り組みなどを伝えている。

小学校へ引き継ぐ資料として指導要録があり、年長児は園児一人ひとりのファイルに入れて管理する児童票や保護者からの要望にそって作成する就学支援シートなど、園児・保護者の不安を減らし継続性に配慮して提供できるよう準備している。利用者の意向を把握して寄り添った対応に努め、昨年度は１０名の卒園児に第１回目の卒園式を開催している。園長から卒園証書を受け取り、「自分の将来の夢」を発表している。保護者へのサプライズとして「感謝の気持ち」を手紙にして手渡し、「小学校に行っても元気に頑張ってくださいね」とエールを送っている。

園児一人ひとりの心身の状況や生活状況などは保育日誌や児童票に記載し、乳児は連絡帳、幼児は連絡ノートを活用して日々の様子を保護者に伝えている。行事後に行事アンケートを実施することで把握したニーズを次に反映させるなど、保護者の意見を聞く機会を多く設けている。特別な配慮が必要な加配対象の園児１名に加えて気になる子（直ぐに手が出る・壁を叩く・物を投げる等）も各クラスに数名在籍しているとして、個別計画書を別途作成し保育者が園児一人ひとりの個性に合わせた保育を実践している。

週・日案では週毎のねらいを立て、子どもの活動の様子と振り返りを毎日おこない、週の振り返りと自己評価により次の課題を抽出している。月案の振り返りと自己評価をして進捗状況を確認し、次の指導計画につなげている。作成した指導計画は園だよりにクラスの様子として掲載し伝えている。靴箱の上段に各クラスの週案を掲載して保護者の目に留まるよう工夫している。コロナの影響で予定していた保護者会は中止したが、例えば４歳児では、書面で年間目標・１日の流れ・朝と帰りの会・当番の仕事・質問コーナー等、保育の写真とともに伝えている。

昼礼はないが園長が巡回して聞き取った内容を、申し送りボードに随時記入して共有し、得た情報（内容）は直ぐにシュレッダーにかけて個人情報保護に努めている。園児一人ひとりについては毎月職員会議等で洩れなく情報共有している。クラス会議では各クラスにて口頭で話した内容を議題に挙げて周知を図っている。各クラスの項目で「特になし」の記載があるため、クラスの様子・取り組んでいる・困っている・悩んでいる・できるようになったこと等、何かしら園児に対して共有したい事柄の記載と職員会議参加の本部サポートの記名をお願いしたい。

入園時面談・職員会議や昼礼にて個々の発達や生活環境を把握し、主体的な関わりや一人ひとりに寄り添った保育を確認している。関わりや環境設定に迷う時には相談して一緒に考える体制が整っており、園児の動線を考えてより快適になるよう工夫している。みんなの保育指針に沿って、園児の発達程度に合わせて絵本・手作り玩具・ブロックなどを自由に棚から取り出せるような環境設定やコーナーづくりに努めている。主体性をはぐぐむ保育の中で、「物を大切に扱う・取り出したら元の場所に片づけること」などを伝えられると良いと感じる。

保育目標「心身ともに強い子ども・明るく元気な子ども・考える力を持つ子ども・思いやりのある子ども」を基本に、互いを尊重する心が育つ保育を実践している。合同保育・延長保育・異年齢交流などを通して、人間関係が自然に作られる環境を大切にしている。特別な配慮が必要な児には区の巡回相談を利用し、専門的視点でのアドバイスを受けながら保育している。また、子ども同士のトラブルへの対応として、子ども達の姿を把握し側で見守り、状況の共有をおこなっている。保育者個々によって対応が異なるため園の保育力向上を課題としている。

区の公立・私立保育園園長会や地域ごとに小学校と連携する「保幼小連絡会」に参加して情報収集し、指導要録を作成しておたよりを園内掲示している。コロナ対策の下で昨年度１０名の園児が巣立ち、１階壁に卒業記念制作を展示している。３月に入ると「お別れ遠足」として、園児が相談して決めた公園と土手に出掛けて、保育者と一緒に駆け回り汗だくになるまで遊んでいる。土手に向かう途中で小学校の前を通ると、「この小学校に行く人」などの話を楽しみながら、玄関を覗いて小学校への期待を膨らませている。

コロナ対策として事務所前に手指消毒液を設置し、乳児保護者は保育室に入って支度等をおこない、幼児クラスでは階段を上がるとクラス前にテーブルをおいて１名の担当職員が３クラスの受け渡しを実施している。テーブルには各クラス用に連絡帳入れとコップ・着替え・タオル入れを用意し分かりやすくしている。保護者から「トイレトレーニングを積極的にして欲しい他園より遅い気がする」との意見があった。みんなの保育指針では「開始時期の目安は一定時間尿が溜められるようになる２歳を過ぎた頃から」として取り組む目安を明記している。

昼食時に食べている間に保育者がコットを用意し、食事・着替えの済んだ園児からコットに横になって過ごしている。園児は自身のタイミングで眠りに入るが、保育者は園児一人ひとりに優しく触れながら、自然に入眠できるよう対応している。また、疲れが見えた際には入眠時間を早めたり、園児によっては入眠せずにコットに横になったまま安静に過ごすこともある。５歳児は就学に向けて１月頃から午睡時間を段階的に減らしていき、平仮名などのドリルをしていく予定である。

保育者の勤務はシフト制のため、早番・遅番が必ずしも担任になるとは限らない。保育者は各クラスの枠をこえて誰もが対応できるように、申し送り表を使って伝達事項を各担任が口頭で洩れなく伝わるように体制を整えている。保護者アンケートで「家では野菜を残すのに食育でサラダを全部食べたと聞き驚いた・何かあるときは園長に話す・いつも楽しそうに穏やかに過ごしている」との意見の一方、「職員によって対応のバラツキがある・楽しそうでないと感じる人がいる・子どもから聞けるが先生からもたまに話してほしい」との意見が聞かれた。

出来る限り制限を少なくして自主性を尊重し、園児の発達や興味関心に応じて臨機応変な環境構成に努めている。朝の合同保育後に各クラスに戻ると、園児自身で遊びを選択し、それぞれのコーナーでままごとやブロック・机上遊びを楽しんでいる。朝の合同保育の幼児クラスでは、ブロック遊び・塗り絵・友達に手紙を書く・形のパズルに挑戦する・カード遊びやすごろく・自分で作って冠にして遊ぶことなど、数人のグループで遊んだり一人で集中して遊ぶなどそれぞれが遊び込める環境構成に努めている。

年齢に合った言葉かけや絵本選択をおこない、音楽・体操・制作などを通して楽しみながら自由に表現できるよう働きかけている。４歳児の昼食までの流れをブログで紹介している。登園すると合同保育でそれぞれが好きな遊び（ブロック・カード・トランプ等）を楽しみ、時間になったら皆で片づけて朝の会を始める。訪問時、保育者がピアノの用意を始めると、気づいた園児から各自でピアノの周りに椅子を持ち寄って座り、「むすんでひらいて」や「かたつむり」の手遊び歌を元気な声で楽しむ様子が見られた。

天気の良い日は暑さ指数で熱中症予防に努めながら戸外に出掛け、季節を感じながら十分に体を動かす機会を設けている。訪問時、１・２歳児合同で散歩に出かけている。玄関先で背中を押された児が「やめて」と少し口調強く言うと、「嫌だって言えば良いんだよ」と保育者が伝え方を教えている。「横断歩道渡るよー」と一斉に渡り、停まってくれた車に「ありがとうございます」と保育者が頭を下げると、園児の「だ～れ？」の問いに、「止まってくれた人だよ」と感謝の気持ちを教えていた。保育者が手本となり交通ルールが身に付くようにしている。

入園のしおりで主な行事を掲載し、遊びの延長線上で職員・園児にとって無理なく満足できる行事を企画し、コロナ禍でもできる行事を継続して実施している。子どもの日の会では、０・１・２・３歳児は保育者お手製の兜をかぶり、４・５歳児は自分で作成して色を塗るなど個性を発揮して全員揃って開催している。こいのぼりの歌を皆で歌い、保育者によるクイズや掛け声で大きくなる不思議なこいのぼりで楽しみ、昼食にはこいのぼりカレーが登場して、皆で美味しく食べている。

昨年度は１１月に園内で幼児クラスのみのミニ運動会を開催したが、今年度もコロナのため運動会は中止し、１０月に多摩川土手で幼児クラスのみの「運動会ごっこ」を実施している。その様子は看護師が同行してブログで紹介している。「ボール渡し」では、幼児クラスごちゃまぜで３チームに分かれて対戦し、５歳児が「もう少し下がってね」「もうボール来てるよ」等リードする声や、「頑張れ」と声援する声で盛り上がっている。「かけっこ」では各クラス４～５名ずつに分かれてゴールを目指し駆け抜け、順位に関係なく達成感や満足感を共有している。

入園時に年間行事予定表を配布するほか、毎月の園だよりと各種お知らせを掲示・配布して保護者に案内している。保護者参加行事は土曜日開催と決め、多くの保護者が参加できるよう配慮している。行事後のアンケートで意見や感想を募り、可能な範囲で希望に沿えるよう対応している。昨年度・今年度と運動会や大きくなったねの会など大きな行事は有観客で実施できず、動画配信やブログ・園内で縮小して開催したことで保護者から不満の声も聞かれており、今後の課題と感じている。

入園のしおりに延長保育時間の食事提供の考え方について記され、延長保育は１８時を目安に捕食を提供し、スポット延長は当日１４時までの連絡で対応し連絡が遅れるとアレルギー対応のこともあって提供できない旨を伝えている。会社として「ご家族であたたかい食卓（夕食）を大切にしていただきたい」との思いがあり、あくまでも夕食はつなぎとしての捕食（おにぎり）は、わかめ・鶏そぼろ・せんべい等を提供している。

月案の中に「長時間保育の配慮」を落とし込み、例えば５月の０歳児では「異年齢との保育になるので安全に気を付ける。また、細かい玩具を口に入れないように留意する」、４歳児では「保育者や友達と関わりをもちながら安心して過ごせるようにする。伝達洩れがないようにきちんと引継ぎをする」としている。長時間保育の園児と保育者が穏やかに関わり、それぞれの園児がゆったりと過ごせている。今後は、担任以外の園児についても知ろうとすることが増えるとより良い関わりができると考慮している。

みんなの保育指針で「食事で大切にしていること」は食べることが生きること、「食を営む力」の基礎を培うことと明記し、１楽しい食事時間、２健全な発育を支える関わり、３食事のマナーについて、分かりやすく記している。散歩から帰園後は手洗いなどを済ませた児から席に着いて食べ始める。園児が完食できるように量の調節をしている。栄養士や調理師が食事介助に入り園児との関わりを大切にし、型抜きしたりワンプレートで提供して工夫している。今後は、食事を楽しくすることと同時にマナーも伝えるように取り組みたいとしている。

全体的な計画に食物アレルギー対応、生活管理指導表・個別面談と面談補足確認・家庭における食物除去の程度確認・個別取り組みプランの作成・最終確認面談・ピンクトレー（名前と食材記載）・ピンクの食器・個別机・個別台ふきん・アレルギー児用食事介助エプロン・アレルギー児献立・トリプルチェック・アレルギー児一覧表（調理室内に掲示）、食育と明記して実践している。現在アレルギー児は３名在籍し、安全な食事提供ができるよう、園長・保育士・栄養士間で連携を図っている。

年間食育計画を担任・栄養士とで作成し、食事について興味関心がもてるように取り組んでいる。５月に幼児クラスごとに夏野菜、トマト・きゅうり・ナスの苗を植え、６月には収穫したきゅうりを昼食に提供している。５歳児では「味噌・醤油」の話を聞いて、大豆や醤油・味噌を観察してだし汁・味噌汁・すまし汁を試飲して貰い、色の違いや香り、味等様々な気づきにつなげている。３歳児はキノコ裂きをして、三角巾・エプロン・マスクを着けてえのきとしめじに挑戦し、裂き方が分からない子には調理師が手本を見せると真似て上手にできている。

３つの年間保健計画を基本に年間目標を立案して３か月ごとに目標・活動内容・留意点・保護者への保健指導・環境整備・組織活動を明記して全職員で取り組み、評価・反省をおこなっている。看護師は各クラスを巡回しながら園児を視診したり、幼児クラスのフォローに入って関係構築を図っている。感染症情報は随時速やかに掲示で案内して家族への周知に努めている。毎月保健だより等で季節や状況に合わせた情報を記載し保護者と共有し、必要に応じて個別に保護者へ相談や協力を促している。

コロナ禍で検温やマスク着用・手指消毒・手洗い・うがいの励行に加え、玩具や手すりの消毒・掃除など感染症対策に取り組んでいる。１１月に内科検診を全園児対象で実施し、１２月２日に乳児クラス・１６日に幼児クラスの歯科検診を実施している。３歳児に歯磨き教室をおこない、どうやって虫歯ができるのか・なぜ歯磨きが必要なのかを説明し、実際に歯磨きを実践している。その際の様子は看護師がブログで紹介し、「これから毎日お昼ご飯の後にしっかりと歯磨きして綺麗な歯を保っていきましょう」と伝えている。

入園時及び年２回嘱託医と連携して健康診断をおこない、０歳児は毎月身体測定をして結果はともに児童票と連絡帳に記載している。毎月看護師が発行する「すくすくだより」にて保健に関する情報を発信している。４月では年間保健行事予定・生活リズムを整えましょう・園で預かる薬について、５月は鼻かみはゆっくりと片方ずつ・５月のイヤイヤ期・爪を切って清潔に、６月は歯みがき・食中毒・虫よけについて、８月は熱中症・寝冷え・車内の注意点等を掲載し、月毎に保護者と共有したい情報を掲載している。

登園時に園長は事務所にいる事は少なく、乳児合同保育の現場に入っていることが多い。事務所に戻る際に玄関から入ってくる保護者・園児に出会えば笑顔で挨拶を交わし、出勤して行く保護者に「行ってらっしゃい」と気持ちよく声をかけ送り出している。また保育室では保育者が同様の対応で雰囲気づくりに努めている。保護者アンケートでは「園長は親身になって聞いてくれる・話しやすい」との一方で、「保育者同士の私語があり話しかけにくい・会話がない・嫌な顔をする職員がいて言いづらい・本部の対応に疑問」との意見があった。

保育日誌や連絡帳を活用して保護者とのコミュニケーション・情報共有をしている。乳児が使用する保育日誌では出来たこと・頑張ったこと・優しくできたことなどニッコリ出来る内容を記載し、幼児クラスでは親子の会話を楽しんでほしいとの思いから、連絡帳では連絡事項のみのやり取りをしている。保護者アンケートでは「こちらから聞かないと教えてもらえない。もう少し様子を知りたい・連絡帳にもこれといった事が書かれていない」などの意見があった。伝達事項がない時の引き渡し時にも、保護者の顔を見て一言添えられるよう意識をお願いしたい。

毎月発行している園だより（クラスだより）・すくすくだより・ぱくぱくだよりを通して、子育てに役立つ情報を提供している。また、ブログでは各クラス・幼児クラス・看護師・調理室・行事・苦情解決についてとカテゴリーごとに閲覧しやすく工夫している。看護師は同行した散歩や運動会ごっこ・内科や歯科検診時の様子を掲載し、調理室は昼食メニューやおやつのレシピの紹介・食べている様子・食育の様子などを、専門的な視点を交えながら紹介している。園だよりにクラスの様子を掲載しており、先月の振り返りと今月の目標を明記して伝えている。

コロナ禍で地域交流や地域資源を活用する機会は特にないが、戸外活動時に近隣商店街の方や交番のお巡りさんに挨拶したり、声をかけてもらう交流で地域に知られる保育園を目指しているが、今年度の交通安全教室はコロナの影響で中止している。今後はコロナ終息後に備えて、消防署見学・近隣保育園訪問・老人ホームとの交流に向けて視野を広げ、積極的に地域とコミュニケーションを図る必要があると考える。

契約時に重要事項説明書にて個人情報の取扱いについての５項目を丁寧に説明するほか、「入園時同意書」ではブログへの園児の写真掲載や写真販売のための販売会社への個人情報や画像データを提供することなど９項目について同意の有無を確認している。また、必要があれば保護者にその都度事前の確認をおこなっている。前年度はコロナのため運動会等への保護者参加を中止したが、期間限定の動画配信の保護者向け発信が可能となったことから、今年度からは新たに動画掲載を取り入れ再度同意をもらっている。

保育者からも写真掲載などで同意を取り、ブログ掲載時に個人が特定できないようスタンプを施すなどプライバシー保護に配慮している。訪問時、幼児クラスでは園児が１人でトイレに行けるようトイレドアは開放していると思うが、常に開放したままのため小さなパーテーションなどを使用して見えない配慮と、スリッパの脱ぎ方・揃え方の伝え方にもう一工夫希望する。また、シャワー後に巻きタオルで体を隠しきれずにそのまま部屋に戻る場面があり、入口で待っている保育者の声掛けもなかったため、プライベートゾーンについて伝えることも必要と思われる。

園内には事故やけが・虐待防止のため防犯カメラが設置され、必要時に園長が職員とともに確認している。園長自身も現場に入ることが多いが、気づいた点はさりげなく伝えている。職員アンケートでは「自由に保育できる・研修機会があり日々の保育に活かせる」との意見の一方で、「よく分からない研修」との意見が聞かれた。保護者アンケートで、たまに「見ていなかった」と言われる事がある・たまに子どもから今日嫌なことがあったと聞くことがある」との意見があった。虐待に関して保育者が自身の保育を振り返る機会を希望する。

衛生管理マニュアル・ＢＣＰ（事業継続計画）・午睡時の健康観察の留意点・ブログ操作マニュアルなど必要なマニュアルを整備し、いつでも確認できるよう事務所で管理している。保育者が対応に戸惑っている際には、マニュアルや重要事項説明書における手引きを確認しやすいよう整えている。今年度は感染症対策の見直しを本社経由でおこない、掃除の際の次亜水濃度をコロナ期間だけ０．０５％に強化するよう変更している。マニュアルは本社が作成し他園と統一しているが、子どもの様子や意見の反映が独自でにはできないことを課題としている。

２年まえに全園統一の「みんなの保育指針」が完成し、これから全体に浸透させていこうとしている矢先にコロナの流行があり、そのまま中断された経緯がある。今年度「みんなの保育指針」策定時の中心メンバーでもある他園園長が来園し、環境やクラスの悩み相談をして指針の浸透を図っている。今年度から新たに「拠点勉強会」を設け、同じエリアの姉妹園と情報共有する機会を取り入れている。今後はコロナの如何に関わらず、本社プロジェクトチームのメンバーによる園巡回を実施し、「みんなの保育指針」内容の浸透が正しく進むよう望みたい。

コロナと人員不足の影響で昼礼は中止し、職員会議などで職員が顔を合わせて話し合う機会を極力減らすよう努めている。園長は各クラスを巡回したり現場保育に入ることで、気になった点は都度伝えている。職員アンケートでは「職員不足・人材育成・連携が上手く取れない」との意見が多く、保護者アンケートでは「退職者が多い・ベテラン保育者がいない・対応にバラツキがある・先生が余り楽しそうじゃないように感じる」等の意見があった。社会人としてのマナーと職員育成・保育の質向上に加え、働きやすい環境づくりが期待される。