東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

さくらさくみらいは東京・埼玉などで８０ヶ所以上の保育園を運営しており、今後も毎年数か所を開園予定である。開設から４年目に入った保育園で、板橋区では７か所目の法人園のため先行園をモデルとして学びながら、独自の形を作ろうと努力している。都営三田線板橋本町駅が最寄り駅で、川越街道や環七通りなど幹線道路も通って交通が便利なため、園同士の交流や遠足などには好都合な環境である。毎年４、５歳児が増えていくことを見越して、他の保育園や小学校、警察・消防など地元機関との交流が盛んになって来ることが楽しみである。

定員８６人に対しほぼ満員に近い８２人が通い、園庭は広くないが監視カメラなどセキュリティー性能は高く、昼食・おやつも全て手作りで提供している。園長は日々保護者等とのコミュニケーションに努めるほか園児の健康状態や様子観察を行い、３０人近い若い保育士との連携を図っている。４年目の今年は４・５歳児が３２人と多く在籍しているため近隣小学校との交流をして、遊びの展開や言葉遊び、クイズや規模の大きな運動遊びなどを教えてもらい、保護者・園児などの小学校進学への不安解消にもつなげている。

園内の事は職員会議にて全員で話し合うことを基本に、本社サポートとも連携して昼礼などで周知している。園長は何かあれば必ず全員に声を掛けて意見を聞き合意の上で進めるという流れがあり、職員からは職員同士の人間関係と雰囲気が良いことや姉妹園との交流が増え担任同士で話し合えていることを評価する声が聞かれたほか、若い人同士が仲良すぎて指摘ができないなどの声も上がっている。保護者アンケートの満足度は昨年同様に８１．５％と高く、開設から４年目に入って、みんなの保育指針が徐々に浸透してきていることが感じられる。

保護者などの意向や要望などは契約時の重要事項説明の際に苦情解決の仕組みを伝え、保護者会を年２回実施して保護者会アンケートも行い、無理のない範囲の要望であれば対応するよう努めている。訪問時にも、園長は常に事務所にいて登降園の際に保護者や園児などに声を掛け、園での様子や保護者が関心をもちそうな事などを伝え、要望等があれば直接聞けるような姿勢と態度が感じられた。園児には怪我などはさせず登園したままの状態で帰って貰うこととして、保育士による視診を励行している。

地域の福祉ニーズの収集については、お店での買い物の際に店員などと言葉を交わす機会などはあるが、地域の祭礼や合同防災訓練などで地域の方と触れ合う機会はまだ多くない。また、戸外活動や公園遊びの際に他の保育園と一緒になった時には多少の接触はあるものの、職員同士で交流できる機会も多くない。コロナのため当初予定していた地域との交流は滞っているが、今後は区園長会や保幼少連絡会などでの情報収集を活かし、もう少し日常的で横断的な交流が出来るようになることを期待する。

事業運営計画書には目指すべき施設像の記述はあるが、保育園独自の中長期計画は確認できなかった。単年度の保育課程は作成され、それを基に年案、月案、週案が作られて、日々の保育につながっている。保育課程作成では前年度の振り返りを十分に行い、次年度計画を立案している。計画作成には全員が関わり、サービスの現状と想定されるリスクについても検討して、日常を大切にしながら愛情をたっぷり注ぐことで園児が十分に楽しめるよう工夫している。計画推進にあたり余りにも実態にそぐわないと感じた時には、ＰＤＣＡをして改善の場を設けている。

職員が守るべき法・規範・倫理については、入社前後の研修で保育園は児童福祉施設であることを認識して行動するよう説明し、園外に出た時も地域の方に笑顔で挨拶することなどを指導している。コンプライアンスの実践や従業員マナーマニュアルでも、言葉遣いや個人の尊厳についての記載があり、職員は職場を明るく楽しくして働きやすくするようになどの言葉で表現している。保護者との関わりの項目でも、保護者を批判的に見ないことや、子どもの気持ちを汲み取りユーモアを大切にすることなど、保育指導計画などにも盛り込んで伝えている。

苦情解決制度については入園のしおりに記載され、保護者向けに説明するほか、園児及び保護者からの意見・苦情などが有れば直接本社や園長に話が出来るようにして、意見箱も設置して保護者の意向を把握し対応するようにしている。職員の言動等については職員同士が相互評価を行い、互いの言動を振り返る機会としている。虐待については入社時の本社研修などで説明があり、園内外での虐待防止を徹底している。親などからの虐待がうかがえる場合には速やかに児童相談所と連携し、迅速に対応する体制を整えている。

地域貢献や地域との関係づくり、実習生・ボランティアの受け入れについては、要望があれば対応したいとのスタンスであり、昨年度からは保育科学生が来訪している。地域の関係機関としては、園長などが区園長会に出席して行政からの伝達事項や他園の状況などを収集している。地域との関わりとしては、町内会には入会しているが祭礼など行事参加はこれからであり、職員からもボランティアも含めて地域との関わりがまだ薄く、地域との交流が徐々に増えると良いという声が聞かれている。

リスクマネジメントについては役割分担表を作成するほか、事故・感染症・不審者等のリスク毎に関係各所の連絡先一覧も明示し、感染症や消防計画の各種マニュアルは整備され、年間避難訓練計画に沿った避難訓練を実施している。ＢＣＰ（事業継続計画）は本社主導により既に策定済みだが、コロナ版の追加や定期的な見直しが必要である。ヒヤリハット・事故報告の再発防止は記録を残し、職員会議や昼礼で反省会を開き見直しをしている。今後はコロナも含めた危機管理意識の向上に努めると共に見守り体制や午睡チェックの徹底もお願いしたい。

園児の安全の確保・向上については、避難訓練のほかには感染症情報等を職員間で共有し、必要があれば保護者会などで園長からも説明をしている。事故・感染症・不審者などの被害発生時や注意情報等が出た際には、区などとも連携して園内掲示や説明会などを開催している。園庭が狭いことや前面道路の交通量が多いことなどがあり、区や警察とも連携して安全に出入りできるよう努めている。今年度は特にコロナ対策で衛生管理の徹底に力を入れており、書類の簡素化や会議の時短開催のほか玩具・機器類の殺菌消毒を意識し職員ワクチン接種も終了している。

個人情報保護などについてはホームページに「コンプライアンスの実践」の項目があり、顧問弁護士の監修のもと、個人情報保護や漏えい防止、虐待禁止、社内ハラスメント撲滅などを明文化して、コンプライアンスの実践こそが子供たちへの保育サービスの向上につながる、と明記している。保護者には利用契約の重要事項説明の中で個人情報取得同意書に署名・捺印を得るほか、職員に対しては入社時オリエンテーションや社内研修の際に、個人情報や機密漏えい防止、虐待について説明し、誓約書を貰っている。今後は定期的な確認も必要である。

求める人材像は「利用者の立場を考慮しニーズに合わせて柔軟に対応できる。地域・行政などと連携して保育の実践・アピールをしていく。子ども一人ひとりと十分に関わりあたたかい丁寧な対応ができる」と定め、相手の適性や力量を見ながら優しさと温かさが感じられる人を採用している。園長の優しい人柄が良い人材を集め、訪問時にも気になる保育士などは見掛けなかった。今年はコロナ禍のため保護者との密な関係が取りにくく相互の関係性が薄くなりがちだったため、年度後半頃からは保護者会も開催して円滑な交流を取り戻すようお願いしたい。

園内研修は年２回実施するほか外部研修については５月頃に年間予定を掲示し、年間の個人別研修計画を立案して、交通費と参加費用は会社で負担しているが、昨年よりコロナのためオンライン研修が多くなっている。客観的な人事考課制度を導入し、有休休暇やリフレッシュ休暇が取りやすいようにして疲労やストレスの改善を図っており、懸案のキャリアパスは現在総務・労務部門で確認作用が続いている。キャリアがあり質の高い保育士は十分に評価して待遇改善して定着化を図り、いずれはリーダーから副主任・主任・園長も務めて貰えるよう希望する。

正社員は本社研修にて外部講師による職員能力向上に向けた講習を定期開催するほか、外部研修にも積極的に参加できる体制を整えている。職員アンケートでは「若い人が多いため教育が不足している」、「人によって給料が不公平」などの声が聞かれている。今後はウイズコロナの環境の下、保育プロジェクトの浸透を進めて標準化を図り、園長を支えて主任や副主任、準副主任を務められるような人材を育成し、職員が安全に安心して永く働けるような職場環境が整備されるよう望みたい。

法人ホームページでは、さくらさくみらいの思い・保育・お知らせ・会社概要・プライバシーポリシーをはじめ、運営している全園の情報を開示している。お知らせで最新情報、今年度４月に保育園で働く職員・就職を目指す学生向けに情報提供サイト「さくらスマイル」を立ち上げ、６月から新たな幼児教育プログラム「ＣＬＩＰ」を始動させたことなどをお知らせしている。今年度初のブログでは、「令和３年度　入園の会」と題して、「保育園が楽しい所・安心できる所と感じてもらえるよう関わっていきたい」と職員一同の思いを綴っている。

区園長会議にて情報収集し、事業所情報は区ホームページからも閲覧可能として、実施状況台帳や延長保育実施状況表を毎月区に提出している。第三者評価を毎年受審し園の情報提供と透明性を高めている。保護者や職員アンケートにより意向・要望を聞き取り、改善点を洗い出してより良い園となるよう活かしている。職員アンケートで前年度より良くなった点に「コロナ禍で保育参観が難しくなったため、子供の成長が良く見えるようにドキュメントを毎日作成し、保護者に写真付きで日中の子どもの姿を見てもらえるようにした」との意見が聞かれている。

新規入園者の見学希望や問い合わせは園長が窓口となり、連絡を受けて日程調整して問い合わせ見学表・見学受付表に記載している。見学は今年度もコロナ対策に配慮して１日５名・時間は３０～４０分として廊下から室内を見てもらい、園の概要と子供たちの様子を伝え質問にも積極的に答えている。法人ホームページでの園の紹介では、基本情報・園長挨拶・概要・ブログで園児の日常などを掲載していることを伝えている。月のブログの掲載件数が少ないと認識しており、今後は間隔を空けないよう更新したいと考えている。

新入園児の保護者に対して個別入園前説明会と面談を実施し、利用者の思いを汲みとって不安なことや分からないことについて、分かりやすく丁寧に説明している。入園のしおり（兼重要事項説明書）を使い、保育理念・方針・目標はじめ費用や感染症に関すること・相談窓口などについて確認・説明をして周知を図っている。最後に全項目（４６項目）の中で特に差異が生じないように伝えた箇所について赤字で掲載し注意を促している。また、園長と担任とで家庭状況や様子・意向などを聴取し、面談記録や児童情報票を作成している。

面談内容を踏まえて個別に対応した配慮点を基に、保護者の就労状況・入園前の準備や育ちについて必要であれば職員間でも共有している。また、食事や健康についてアレルギー対応し、乳児においては量・咀嚼や嗜好の聞き取りを栄養士や看護師とともに確認し、安心してスタートできるようにしている。入園後は一人ひとりに合わせて段階的に慣らし保育を２週間前後で実施している。慣らし保育期間での子どもの様子は連絡帳に記載するとともに、迎えに来た保護者に、担任が口頭で丁寧に伝えている。

小学校へ引き継ぐ資料として指導要録があり、年長児は園児一人ひとりのファイルに入れて管理する児童票や保護者からの要望にそって作成する就学支援シートなど、園児・保護者の不安を減らし、継続性に配慮して提供できるよう準備している。利用者の意向を把握して寄り添った対応に努め、昨年度３回目の卒園式を開催している。ブログで、「小学校でも元気でね。また、保育園に遊びに来てね」として、頼もしくもあり・少し寂しい思いもあるとのコメントを添え、就学後の継続に課題が残ると感じている。

園児一人ひとりの心身の状況や生活状況などは保育日誌や児童票に記載し、乳児は連絡帳、幼児は連絡ノートを活用して保護者に日々の様子を伝えている。行事後に行事アンケートや連絡表・面談表で把握したニーズを次に反映させるなど、保護者の意見を聞く機会を多く設けている。気になる子どもへの対応としては個別計画を作成するほか、区の巡回指導を受けて職員間で統一した関わりをもち、専門性を活かしながら保育に取り組んでいる。また、園長が日々の巡回中に気づいた時にはさり気ないフォローに入り、保育が進むよう配慮している。

週・日案では週毎のねらいを立て、子どもの活動の様子と振り返りを毎日おこない、週の振り返りと自己評価により次の課題を抽出している。月１回のクラス会議では月案の振り返りと自己評価をして進捗状況を確認し、次の指導計画につなげている。指導計画は保護者に分かりやすく、懇談会・クラスだより・クラス入口ボード等にて明確に表記して伝えている。毎月発行しているクラスだよりには「クラスの様子・今月の目標・今月生まれのお友達・お知らせとお願い」を掲載して、保護者と情報共有している。

指導計画や児童票は保管場所を決め、職員がいつでも閲覧できるようにし、職員会議・クラス会議・昼礼（毎日１３時半～）・クラス打ち合わせを実施している。、昼礼時に連絡事項を共有し、出勤時には昼礼日誌・申し送りノート・各クラス打合せノート・議事録を閲覧して確認印を押すことで、パート職員も含めて洩れない周知徹底を図っている。職員アンケートでは「仲が良い・人間関係良い」との意見の一方で、「職員間で把握できていないところがある・仲が良すぎて指摘し合えない・話を割って入るタイミングが分からない」との意見があった。

入園時面談・職員会議や昼礼にて個々の発達や生活環境を把握し、主体的な関わりや一人ひとりに寄り添った保育を確認している。職員が個々の関わりや環境設定に迷う時には相談して一緒に考える体制が整っており、園児の動線を考えて、より快適になるよう工夫している。みんなの保育指針に沿って、園児の発達程度に合わせて絵本・手作り玩具・ブロックなどを自由に棚から取り出せるようにして、子どもの「したいこと」「興味のあること」を見つめ、環境構成を話しあって用意している。

保育目標「心身ともに強い子ども・明るく元気な子ども・考える力を持つ子ども・思いやりのある子ども」を基本に、互いを尊重する心が育つ保育を実践している。合同保育・延長保育・異年齢交流などを通して、人間関係が自然に作られるような環境を大切にしている。気になる子については、区の巡回指導につなげて専門家のアドバイスを受けて経過観察を記録し、また個別指導計画を作成している。集団生活の中で行動での困りごとを職員間で共有して解決方法を話し合い、一緒に考えて楽しめる場づくりに努めている。

区の公立・私立保育園園長会や地域ごとに小学校と連携する「保幼小連絡会」に参加して情報収集し、指導要録を作成しておたよりを園内に掲示している。今年度６月にコロナ対策のもとで幼児クラスは近隣小学校との交流を実施している。ルールのある遊びの展開や言葉遊び・クイズ・広場でのスケールの大きい運動遊び等を教えてもらい、小学校進級についての不安解消にもつながっていると推察する。子どもの生活の中での育ちに無理のない計画を立て取り組んでいる。

コロナ対策として、玄関を入ったところと階段前の下駄箱の上に手指消毒液を設置し、訪問時、登園時混み合う時間もあるが園長と気持ちよい挨拶を交わした後に、保護者と園児が手指消毒をしてから保育室へ向かう様子が見られ徹底できている。保護者アンケートで「感染対策をしてくれたり子どもに感染マナーを教えてくれる・登園時の検温が混み合うと時間がかかるので非接触の物にして欲しい・マスクから鼻が出ている職員がいいる」等の意見があった。今年度も引き続き、本社からのお知らせや区からの通知・園だよりにて協力依頼を掲載している。

昼食時で食事をしている間に保育者がコットを用意し、食事・着替えの済んだ園児からコットに横になって過ごしている。園児は自身のタイミングで眠りに入るが、保育者は園児一人ひとりに優しく触れながら入眠できるよう対応している。眠気のない時や午睡時間中に目覚めた児は無理に寝かせず、リラックスして休息できる時間となるよう配慮している。５歳児は就学を視野に入れて段階的に午睡時間を短縮し、最終的には無しにする方向で取り組んでいる。

保育者の勤務はシフト制のため、早番・遅番が必ずしも担任になるとは限らない。保育者は各クラスの枠をこえて誰もが対応できるように、連絡帳・申し送り表で情報共有したり、各担任から口頭で情報が洩れなく伝わるよう体制を整えている。体調やケガの有無、成長がみられる出来事があればエピソードを交えて伝えるよう周知しているが、保護者アンケートで「頼りになる先生が多く相談しやすい・園長が良く見てくれて察知してくれる」との意見の一方、「職員によって少し説明不足と感じる・正直先生による」との意見が聞かれた。

出来る限り制限を少なくして自主性を尊重し、園児の発達や興味関心に応じて臨機応変な環境構成に努めている。朝の合同保育後に各クラスに戻ると、自身で遊びを選択してもらい、可動式の仕切りなどでコーナーをつくり、ままごとやブロック・机上遊びを楽しんでいる。また、洗面台など使用しない時には、１歳児では衝立と目隠しをするなど配慮している。４歳児はケーキ屋さんづくり・町づくり等、家庭から持ち寄った空き容器や身近な素材を使い、「お金とポイントカードないね・町に車を走らせよう」と１つの物を作る楽しさを感じてもらっている。

年齢に合った言葉かけや絵本選択をおこない、音楽・体操・制作などを通して楽しみながら自由に表現できるよう働きかけている。訪問時１歳児では読み聞かせの前に、園児一人ひとりの名前を入れながら、「どうぞこれからよろしくね」と優しく歌いかける場面があった。４歳児は園児が椅子に２列で座り、保育者が前で読み聞かせを始めると、一緒に声に出して読む様子があった。雨の日は運動遊びを取り入れ、２歳児は「川」をテーマに実施したことをブログに掲載している。ブルーシートを川に見立てて感触を楽しみ、皆で障害物運動を楽しんでいる。

天気の良い日は暑さ指数で熱中症予防に努めながら戸外に出掛け、季節を感じながら十分に体を動かす機会を設けている。訪問時、３歳の散歩に同行した際には、横断歩道では「忍者で渡るよ」、歩道を歩く時には「はしっこ歩くよ」「間あけないよ」と伝え、途中で靴が脱げると「ストップ」とみんなで待ってから進んで行く様子が見られ、散歩を通して交通ルールなどが身に付くように声をかけている。公園に着くと「びっくりくまさん」を楽しんだり、ブランコしたりと友達や保育者と駆け回って遊んでいた。

入園のしおりで主な行事を掲載し、コロナ禍でも遊びの延長線上で職員・園児にとって無理なく満足できる行事、入園の会・七夕・運動会・生活発表会・クリスマスお楽しみ会・節分・ひな祭り・卒園式・誕生会等を企画・継続している。今年度は各階ごとに分かれて、別々にクリスマス会を開催している。サンタクロースの訪問を受け、２・３歳児クラスは「好きな色は？・好きな食べ物は？」、４・５歳児は「どうやって保育園に入って来たの？・なんで赤い服を着てるの？」と質問してプレゼントをもらい、４歳児は歌を５歳児はハンドベルを披露している。

今年度は近隣小学校のグランドを借り、１０月２３日に今回は２歳児から５歳児クラスの参加で運動会を開催している。３歳児は散歩時にかけっこをしたり、踊りの練習をしているほか、運動会のリハーサルを幼児クラス合同で実施した際に４歳児は、ダンス・かけっこリレーを４・５歳児の前で披露して当日を迎えている。０・１歳児は運動会ごっこ遊びとして、室内で合同で楽しむ様子をブログで掲載し、今年度もその際の様子を動画配信している。運動会に向けて日々の保育の中で楽しみながら本番を迎えられるようにしている。

入園時に年間行事予定表を配布するほか、毎月の園だよりと各種お知らせを掲示・配布して保護者に案内している。保護者参加行事は土曜日開催と決め、できるだけ多くの保護者が参加できるよう配慮している。行事後のアンケートで意見や感想を募り、可能な範囲で希望に沿えるよう対応している。保護者アンケートでは「日程の知らせは２か月前にしてほしい・行事開催についての情報を提供して欲しい・昨年度行事が全くなく要望を伝えたので、それがどのくらい反映されているのか」との意見があった。

入園のしおりに延長保育時間の食事提供の考え方が記され、延長保育は１８時１５分を目安に捕食を提供し、スポット延長は当日１４時までの連絡で対応し連絡が遅れるとアレルギー対応のこともあって提供できない旨を伝えている。捕食（おにぎり）はわかめ・おかか・鮭・コーン、せんべい・ビスケット・ミニアスパラガスなどを提供している。保護者アンケートで「役所の手続きで迎えが遅れた時に対応はしてくれたが快くはなかった・今は１４時を過ぎても対応してもらえるので助かる」との意見があった。

月案の中に「長時間保育の配慮」を落とし込み、例えば４月の０歳児では「スキンシップを多くとり生活リズムを大切にしながら生理的な欲求を満たせるようにする」、５歳児では「安定した気持ちで過ごせるように休息を十分に取る時間を作り好きな遊びを楽しめるようにする」としている。保育時間の長い園児の心的なストレスを軽減できるように工夫して環境設定をおこなっている。静と動に配慮し落ち着いて過ごせる場を用意し、保護者には１日の様子を申し送り表を活用して引き継いで引き渡している。

みんなの保育指針で「食事で大切にしていること」は食べることが生きること、「食を営む力」の基礎を培うことと明記し、１楽しい食事時間、２健全な発育を支える関わり、３食事のマナーについて、分かりやすく記している。散歩から帰園後は手洗いなどを済ませた児から席に着いて食べ始める。訪問時、３歳児は保育者に名前を呼ばれた児から順に取りに来て、自席に配膳している。「量を減らしたい人は、食べる前に教えてくださーい」と声をかけ、自身で食べれる量の調整ができるように配慮している。

全体的な計画に食物アレルギー対応、生活管理指導表・個別面談と面談補足確認・家庭における食物除去の程度確認・個別取り組みプランの作成・最終確認面談・ピンクトレー（名前と食材記載）・ピンクの食器・個別机・個別台ふきん・アレルギー児用食事介助エプロン・アレルギー児献立・トリプルチェック・アレルギー児一覧表（調理室内に掲示）、と明記して実践している。現在アレルギー児は６名在籍し、宗教食（ハラル食）にも配慮して安全な食事提供ができるよう、園長・保育士・栄養士間で連携している。

年間食育計画を担任・栄養士とで作成し、年齢別に食について興味関心がもてるように楽しい活動を考えて実施している。５歳児は４月から「どんな野菜を育てたいか」会議を重ね、今年は「きゅうり・ミニトマト・ミント」に決め、５月にきゅうりとミニトマトの苗を植えている。毎日当番制で水やりをして、ルーペを使った観察ごっこを続けて苗の成長記録を作成し、３歳児は６月に豆苗の水耕栽培に挑戦している。豆や豆苗の写真を見ながら観察を続け、毎日３人の当番が朝夕の水やりをして、育っていく過程での気づきを楽しんでいる。

３つの年間保健計画を基本に、年間目標「１自らの健康に関心を持ち、生活リズムの獲得や体力づくりなどを通して、健康増進・基礎的生活習慣の習得をはかる。２健康のための行動を自ら考え、実践することができる。３感染予防対策を身につけ、感染症の拡大を防ぐための行動に積極的に取り組むことができる」を看護師が立案し、３か月ごとに目標を立てている。１期目標は①園での生活リズムを身に付ける、②衛生的な生活習慣を身につけ生理的欲求を十分に満たせるようにする、③健康状態を把握する、と定めて実施している。

コロナの影響で検温やマスク着用・手指消毒・手洗い・うがいの励行に加え、玩具や手すりの消毒・掃除など、より一層の感染症対策に取り組んでいる。看護師・保育者が日頃から衛生活動を伝え、幼児では衛生や感染症について周知し、看護師による手洗い指導・歯磨き指導・衛生チェックの取り組みなどの指導を定期的におこなっている。職員向けにも職員会議等で危機管理・救護対応・嘔吐処理等のシュミレーションを定期的にしている。年間保健計画１期の評価・反省を反映させて、職員向けの研修計画の立案・実施を希望したい。

入園時及び年２回嘱託医と連携して健康診断をおこない、０歳児は毎月身体測定（身長と体重）をして結果はともに児童票と連絡帳に記載している。毎月看護師が発行する「すくすくだより」にて保健に関する情報を発信している。４月は「毎朝の体調チェック」、５月は「睡眠と爪」、６月は「乳幼児期に身につけておきたい歯と口を守る習慣・内科検診のお知らせ」、７月は「内科検診結果から・熱中症」、９月は「子どもの事故を防ぐために・体調不良時の保育について」等として、月毎に保護者と共有したい情報を掲載している。

登園時に園長は事務所に滞在して玄関から入ってくる保護者と園児に笑顔で挨拶を交わし、出勤していく保護者に「行ってらっしゃい」と気持ちよく声をかけ送り出している。また保育室では保育者が同様の対応で雰囲気づくりに努めていることから、園児と保護者が安心できる環境であると推察する。今年度７月にクラス懇談会を１７時１５分から３０分間、４月から現在の子どもの姿・今後の保育について・諸注意・連絡事項・懇談を開催している。保護者アンケートで「４月入園の保護者の紹介もなく親同士の意見交換等もしたかった」との意見があった。

乳児で使う保育日誌では出来たこと・頑張ったことなどニッコリ出来る内容を記載し、幼児クラスでは親子の会話を楽しんでほしいとの思いから、連絡帳では連絡事項のみのやり取りにとどめている。送迎時の混雑等のため伝えられない部分をドキュメンテーションとして可視化することで理解が得られるよう図っている。保護者アンケートでは「ケガを未然に防ぐ工夫をして欲しい・報告が「元気で過ごしていた」だけだと不安になる・先生によって愛情表現が分かりにくい」などの意見があった。

毎月発行している園だより・すくすくだより・ぱくぱくだより・クラスだよりを通して、子育てに役立つ情報を提供している。６月の園だよりでは、皆既月食のニースから、「初代はやぶさ」日本初の観測用ロケット開発プロジェクトリーダーの糸川氏の持論、「前例がないからしない」ではなく「前例がないからやってみよう」を挙げて、これからの時代を担う子ども達が向き合う学びが、様々な視点を持つ・未知なるものへの好奇心・自ら考え創造する力・互いを認め協力し合うこと、この大切な育ちを目指し今後も保育にあたりたいと園長の思いを綴っている。

コロナ禍で地域交流や地域資源を活用する機会は特にないが、戸外活動時に近隣の方と挨拶を交わしたり、公園で出会う他園・交番の警察官と気持ちよい挨拶を交わしている。ボランティアセンターのミニ農園のオープニング式や野菜栽培の様子観察・センター職員とのふれあい等、子どもの育ちに大きく関わっていると推察する。保育園にもボランティア導入を予定していたが、感染拡大に伴い再開の目処が立っていない。今後はコロナ終息に備えて視野を広げておく必要があると考える。

契約時に重要事項説明書にて個人情報の取扱いについての５項目を丁寧に説明するほか、「入園時同意書」ではブログへの園児の写真掲載や写真販売のための販売会社への個人情報や画像データを提供することなど９項目について同意の有無を確認している。また、必要があれば保護者にその都度事前の確認をおこなっている。前年度コロナの影響で運動会等への保護者参加を中止せざるを得なくなったが、期間限定の動画配信について保護者向け発信が可能となったことから、今年度より新たに動画掲載を取り入れ再度同意をもらっている。

保育者からも写真掲載などで同意を取り、ブログ掲載時に個人が特定できないようスタンプを施すなどプライバシー保護に配慮している。トイレの個室・オムツ替え時やプールの際にも羞恥心に配慮している。訪問時、２歳児はシャワーを済ませて非常階段のドアを入って直ぐのところで全裸になって着替えをしていたため、巻きタオルで隠したり衝立をする等見えない工夫をお願いしたい。また、３歳児は保育室奥で着替えていたが、同じく全裸で着替えているため着替えコーナーを作るなどして見えない配慮をお願いしたい。

園内には事故やけが・虐待防止のため防犯カメラが設置され、必要時に園長が職員とともに確認している。園長は巡回時にさりげないフォローに努め、気づいたことがあれば職員会議等で取り上げて話す機会を設けている。職員アンケートでは「園児に無理させない配慮をしながら指導している・個別での研修機会がある」との意見の一方で、「実践的な研修が少ない・研修を共有する場がない」との意見が聞かれた。虐待に関しては入社時の本部研修のみであるため虐待の芽チェックシートなどを活用し、保育者が自身の保育を振り返る機会があると良いと考える。

就業規則・危機管理・保育・衛生・看護・アレルギー対応など必要なマニュアルを整備し、いつでも確認できるよう事務所で管理している。変更があった点は全職員に周知し、疑問点は都度チェックしている。分からないことが起きた際には一旦マニュアルに目を通して理解に努め、手引書や帳票・マニュアルに沿った意識を持ち、それでも不明な場合は都度本社に確認している。今年度は感染症対策の見直しを本社経由でおこない、掃除の際の次亜水濃度をコロナの期間だけ０．０５％に強化するよう変更している。

２年まえに全園統一の「みんなの保育指針」が完成し、これから全体に浸透させていこうとしている矢先にコロナの流行があり、そのまま中断された経緯がある。今年度「みんなの保育指針」策定時の中心メンバーでもある他園園長が来園し、環境やクラスの悩み相談をして指針の浸透を図っている。今年度から新たに「拠点勉強会」を設け、同一エリアの姉妹園と情報共有する機会を取り入れている。今後はコロナの如何に関わらず、本社プロジェクトチームのメンバーによる園巡回を恒例化して方針内容の浸透が正しく進むよう望みたい。

昼礼や職員会議・クラス会議など職員が顔を合わせて話し合う機会を多く持ち、話しやすい雰囲気づくりに努めている。園長は各クラスを巡回してフォローに入り、気になった点や気づいた点は、新卒・経験者、個々の性格などを考慮して伝えている。職員アンケートでは「職員間が仲良く連携しやすい・日頃の気づきなど話し合う機会が多い」との意見の一方、「出来ないことに囚われチャレンジがない・職員の意識を把握し意欲と働き甲斐の向上・２０代が多く人材教育に欠ける・個々の役割や立ち回り等を見直す必要がある」との意見があった。