東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

理念などは会社の「みんなの保育指針」や「たいせつなこと」、その他の文献を用いて園内研修や職員会議、昼礼、研修等で職員に伝えている。また家族等に対しては見学時、入園説明会、面談、ブログ、保護者会、行事、園だより等を通じて伝えている。昨年度から職員の入れ替わりがほとんどなく安定した運営となっているため保育の方向性が統一され、職員会議も充実している。看護師・栄養士も危機管理や衛生管理、食育について園長などと相談して園内研修として共有するほか、保護者にも声掛けを増やすなどして交流を促進している。

経営層は職員が理念などが意識できるよう、園内研修、各種会議、面談等のほか相談際にも都度伝えている。また昨年度の課題を確実なものにして繰り返し振り返り、課題と向き合って、職員自身で考えたり実行できるよう継続して提示している。今年度に主任が園長に昇格し新たに２歳児に準副主任も配置したことで、組織的な動きができてアドバイスや相談がしやすい環境が整ったことで職員に意識変化が見え始めている。理念の浸透や挨拶・職員マナーは３年がかりの課題となっており、今後も引き続き個々に意識して改善努力するよう強く望みたい。

重要な案件は本社との相談、職員会議や昼礼等での議題提起や決定・フローの確認と共有をおこない、会議欠席者には議事録にて回覧している。また家族等に対しては必要に応じて個別に伝えたり、配布物や全体掲示・クラス掲示にて周知している。保護者や職員アンケートでも保育者としてふさわしくない言動について記述があるため、職員更衣室内に個々の目標を貼りだして出勤時から意識できるようにするほか、気付いた時には園長から小声で注意するなどして改善に努めている。

保護者などの意向や要望などは契約時の重要事項説明の際に苦情解決の仕組みを伝え、基本的には保護者会を年２回実施して行事後の保護者会アンケートも行い、無理のない範囲の要望であれば対応するよう努めている。訪問時にも、園長は常に事務所にいて登降園の際に保護者や園児などに声を掛け、園での様子や保護者が関心をもちそうな事などを伝え、要望等があれば直接聞けるような姿勢と態度が感じられた。園児には怪我などはさせず登園したままの状態で帰って貰うこととして、保育士による日々の視診を励行している。

地域の福祉ニーズの収集については、お店での買い物の際に店員などと言葉を交わす機会などはあるが、地域のお祭りや防災訓練などで地域の方と頻繁に触れ合う機会はまだ多くない。また、戸外活動や公園遊びの際に他園と一緒になった時に多少の接触はあるが、職員同士で交流するような場も多くない。コロナのために予定していた地域との交流は滞っているが、既に交流が始まりかけていた他保育園や高齢施設との往来を再開活発化するほか、園長会や保幼少連絡会などでの情報収集を通じ、日常的で横断的な交流が盛んになるよう望みたい。

事業運営計画書には目指すべき施設像はあるが独自の中長期計画は確認できなかった。単年度の保育課程は作成され、それを基に年案、月案、週案が作られて、日々の保育につながっている。保育課程作成では前年度の振り返りを十分に行い、次年度計画を立案している。計画にはスタッフ全員が関わり、サービスの現状と想定されるリスクについても検討して、日常を大切にしながら愛情をたっぷり注ぐことで園児が十分に楽しめるよう工夫している。従来の経験やあたりまえの感覚で保育をしてしまうこともあるため、短期的な振り返りを継続していくとしている。

職員が守るべき法・規範・倫理については入社前後の研修で、保育園は児童福祉施設であることを認識して行動するよう説明し、園外に出た時も地域の方に笑顔で挨拶することなどを指導している。コンプライアンスの実践や従業員マナーマニュアルでも、言葉遣いや個人の尊厳についての記載があり、職員は職場を明るく楽しくして働きやすくするようになどと指導を行っている。保護者との関わりについては、保護者を始めから批判的に見ないことや子どもの気持ちを汲み取りユーモアを大切にすることなど、保育指導計画などに盛り込み伝えている。

苦情解決制度は入園のしおりに記載され、保護者向けに説明をしている。園児及び保護者からの意見や苦情などが有れば直接本社や園長に話が出来るようにしており、意見箱も設置して保護者の意向を把握して対応するようにしている。職員の言動等については相互評価を行い、互いの言動を確認する機会を設けている。虐待については入社時の本社研修などで説明をして、園での虐待防止を徹底している。親などからの虐待の事例がうかがえる時には速やかに児童相談所などと連携し、素早く対応する体制を整えている。

地域貢献や地域との関係づくりなどについては、要望があれば対応したいとのスタンスであり、地域の関係機関については園長が江戸川区園長会に出席して、行政からの伝達事項や他園の状況などを収集している。地元町内会には入会しているが祭りなど地域行事への参加はこれからである。今年度保育実習生と高校生の１日観察実習が初めて来訪し、高校生は保育士と語る場を設けることができている。ボランティアも要望があれば適宜受け入れる考えだが、今後卒園児が園に遊びに来ることが増えてきた際には、何かお手伝いをして貰えると良いと感じる。

リスクマネジメントについては役割分担表を作成して事務室内に掲示するほか、リスク毎に関係各所の連絡先一覧も明示している。年間避難訓練計画を策定して必要な訓練は実施していて、ＢＣＰ（事業継続計画）は本社主導により策定済みであるが、定期的な見直しが必要である。ヒヤリハット・事故報告の再発防止と対策の見直しについては記録を残し、職員会議や昼礼の中で反省会をして見直しをしている。今後は職員の危機管理意識の向上に努めると共に、見守り体制や午睡チェックの徹底なども合わせてお願いしたい。

全の確保・向上については避難訓練のほか感染症情報等を職員間で共有し、保護者会などで園長からも説明をしている。事故・感染症・不審者などの被害発生時や注意情報等が出た際には、江戸川区などとも連携して園内掲示や説明会などを開催している。園庭が狭いことや駐輪場が混雑することなどの課題があり、区や警察とも連携して安全に出入りできるよう努めている。昨年度からはコロナ対策で衛生管理の徹底に力を入れており、見通しを持った流れる保育や全体を把握できるようにすることのほか玩具類の殺菌消毒も意識的におこなっている。

個人情報保護などはホームページに「コンプライアンスの実践」の項目があり、個人情報保護や漏えい防止、虐待禁止、社内ハラスメント撲滅などを明文化して、コンプライアンスの実践こそが子供たちへの保育サービスの向上につながる、と明記している。保護者には利用契約時の重要事項説明の中で個人情報取得同意書に署名・捺印を得るほか、職員に対しては入社時のオリエンテーションや社内研修の際に個人情報保護や機密漏えい防止について説明し、誓約書を貰っている。個人情報を含む書類管理の徹底と意識の向上を図っている。

求める人材像は「常に向上心を持ち相手の気持ちを理解しながらも自分の考えを伝えられる人。一番に子供の事を考え愛情をもって接することができる。物事を否定的に捉えすぎない」と定め、相手の適性や力量を見ながら優しさと温かさが感じられる人を採用している。園長の人柄が良い人材を集め、訪問時にも明るく元気な職員が多いように感じられた。今年もコロナ禍で保護者との密な関係が難しく相互の関係性が薄くなりがちなため、年度後半からは保護者会も再開して円滑な交流を取り戻すよう望みたい。

園内研修は年２回実施するほか外部研修については５月頃に年間予定を掲示し、年間の個人別研修計画を立案して、交通費と参加費用は会社で負担しているが、昨年よりコロナのためオンライン研修となっている。客観的な人事考課制度を導入し、有休休暇やリフレッシュ休暇が取りやすいようにして疲労やストレスの改善を図っており、懸案のキャリアパスは現在総務・労務部門で確認作用が続いている。キャリアがあり質の高い保育士は十分に評価して待遇改善して定着化を図り、いずれはリーダーから役職も務めて貰えるよう希望する。

正社員に対しては本社研修にて外部講師による職員能力向上に向けた講習を定期的に実施するほか、区主催など外部研修にも積極的に参加できる体制を整えている。職員アンケートでは「職員同士の仲が良くコミュニケーションが円滑」、「準副主任が配置され書類や保育の流れが定着している」という声が多くなっている。今後は保育プロジェクトの浸透をさらに進めて標準化を図り、園長を支えて役職を務められるような人材を育成し、職員が安心して末永く働けるような職場環境が形成されるよう望みたい。

法人ホームページでは、さくらさくみらいの思い・保育・お知らせ・会社概要・プライバシーポリシーをはじめ、運営している全園の情報を開示している。お知らせで最新情報、今年度４月に保育園で働く職員・就職を目指す学生向けに情報提供サイト「さくらスマイル」を立ち上げ、６月から新たな幼児教育プログラム「ＣＬＩＰ」を始動させた事などを伝えている。さらに園ブログの年度最初では、昨年度同様に入園式をオリエンテーションという形で時短で開催し、ぽかぽか天気で花もキレイに咲いて良いスタートがきれたことを園長が思いを伝えている。

区園長会議にて情報を収集し事業所情報は区ホームページからも閲覧可能として、毎月区には実施状況台帳や延長保育実施状況表を提出している。第三者評価を毎年受審して園の情報提供と透明性を高め、保護者や職員アンケートにより意向や要望を聞き取り、改善点を洗い出してより良い園となるよう活かしている。昨年度は運営本部を兼ねての園長が途中からの着任していたが、今年度は主任を勤めていた職員を園長に就任させたことで、職員から「園長が常に常駐しているため情報共有や連携が取りやすくなった」との意見があった。

新規入園者の見学希望や問い合わせは園長が窓口となり、行事などに支障のない範囲で対応し、見学受付表に記載している。今年度もコロナ感染予防に努めながら見学時間を短縮し、本社作成パンフレットを配布して園内の様子を実際に見てもらい雰囲気を伝えている。密を避けるため１日１組に限定して見学を受け入れているため、より理解が得られるようブログ閲覧を紹介している。人数を制限することで個々の質問にも丁寧に回答しやすい環境をつくっている。外国籍の方向けの案内にはまだ改善の余地があると考えている。

新入園児の保護者に対しては事前の個別面談を実施し、利用者の思いを汲みとって不安なことや分からないことについて、分かりやすく丁寧に説明している。入園のしおり（兼重要事項説明書）を使い、保育理念・方針・目標はじめ費用や感染症に関すること・相談窓口などについて確認と説明を実施して周知を図っている。最後に全項目（４６項目）の中で特に差異が生じないように伝えた箇所について赤字で記載することで注意を促している。面談時に時間を十分に取り、子どもの情報や家庭での様子を共有し必要事項を記録している。

契約時に園長・担任と面談した内容は全職員で共有し、園児・保護者が安心して通園できるよう配慮している。入園後は一人ひとりに合わせた慣らし保育を２週間前後で段階的に実施している。慣らし保育期間での子どもの様子は連絡帳に記載するとともに、迎えに来た保護者に担任が口頭で丁寧に伝えることで、慣らし保育を通して園児・保護者がともに環境に慣れて良好な人間関係が構築できるよう配慮している。入園後は様々なおたよりやクラスだよりを発行して園の取り組みなどを伝えている。

小学校へ引き継ぐ資料として指導要録があり、年長児は個々のファイルに入れて管理する児童票や保護者からの要望にそって作成する就学支援シートなど、園児・保護者の不安を減らし継続性に配慮して提供できるよう準備している。利用者の意向を把握して寄り添った対応に努め、昨年度は１０名の卒園児を送り出している。昨年度３月２９日に、保護者の協力を得て登園時間を配慮してもらい「お別れ会」を開催できた。０・１・５歳児による手遊びで楽しみ、保育者はオリジナルペープサートや傘回しの出し物をする等、思い出作りに工夫を凝らしている。

園児一人ひとりの心身の状況や生活状況などは保育日誌や児童票に記載し、乳児は連絡帳、幼児は連絡ノートを活用して保護者に日々の様子を伝えている。行事後にアンケートを実施することで把握したニーズを次に反映させるなど、保護者の意見を聞く機会を多く設けている。気になる子どもについてはその子の特性を理解して個々に合った個別指導計画を作成し、月ごとに振り返りと見直しを図っている。現在区の巡回指導は受けてないが、今年度は保護者に足を運んで園での様子見てもらえたことで、理解と情報共有できる環境に一歩前進したといえる。

週・日案では週毎のねらいを立て、子どもの活動の様子と振り返りを毎日おこない、週の振り返りと自己評価により次の課題を抽出している。月１回のクラス会議では月案の振り返りと自己評価を通して進捗状況を確認し、次の指導計画につなげている。作成した指導計画はクラスだよりにおいて月のねらいを掲載し、各クラスごとに週・日案を保育室入口や保育室内の棚に掲示している。現在コロナの影響で保育室入口にて子どもの受け渡しをしているため、保護者の目に付きやすい保育室外への掲示をお願いしたい。

毎月の職員会議・クラス会議、毎日１４時からの昼礼や職員連絡表を通じて、全職員に洩れなく伝えて情報共有している。今年度主任が園長に就任し新たに準副主任を配置したことで組織的に機能しはじめ、都度のアドバイスや相談できる環境になったことで職員にも意識変化がみえ始めている。日頃から保護者との情報共有に努め、必要に応じて協力が得られる体制に取り組んでいる。職員からは「話しやすく相談しやすい・連携や情報共有できる・意見を自由に言える」等、職員間の関係性が良くなったという意見が多く聞かれた。

入園時面談・職員会議や昼礼にて個々の発達や生活環境を把握し、主体的な関わりや一人ひとりに寄り添った保育を確認している。関わりや環境設定に迷う時には相談して一緒に考える体制が整っており、園児の動線を考えて、より快適になるよう工夫している。みんなの保育指針に沿って、園児の発達程度に合わせて絵本・手作り玩具・ブロックなどを自由に棚から取り出せるような環境設定やコーナーづくりに努めている。主体性をはぐぐむ保育の中に「物を大切に扱う・取り出したら元の場所に片づけること」などを伝えられると良いと感じる。

保育目標「心身ともに強い子ども・明るく元気な子ども・考える力を持つ子ども・思いやりのある子ども」を基本に、互いを尊重する心が育つ保育を実践している。合同保育・延長保育・異年齢交流などを通して、人間関係が自然に形成される環境を大切にしている。外国籍であっても気になる子であっても分け隔てなく関わり、保護者から理解が得られるように個別に配慮して伝えるほか、民間の発達支援機関と連携を取りながら対応している。園児同士のトラブルは、子どもの気持ちを受け止めて代弁し、寄り添って気持ちを尊重するよう努めている。

区の公立・私立保育園園長会や地域ごとに小学校と連携する「保幼小連絡会」に参加して情報収集し、指導要録を作成しておたよりを園内に掲示し、コロナ対策の下で昨年度１０名の園児が巣立っている。区からの案内文情報で近隣の学校と連携をはかり、学校見学ができる際には訪問させてもらっているが今年度もコロナの影響で中止となっている。１０の姿の一つひとつを網羅できるように全職員の資質を向上させて、発達や年齢に合った保育の実践に取り組みたいと考えている。

コロナ対策として事務所前に手指消毒液を設置し、「保護者は保育室には入れません」と掲示して廊下での受け渡しを励行している。マスクを着用した保護者は園児と保育室前で検温をして荷物等は保育者に手渡し、保育者と挨拶をして仕事に向かう様子が見られた。保育者は視診をして検温迎え表に記入し、家庭での様子を口頭で確認するとともに連絡帳に目を通し、職員連絡表で共有している。訪問時、幼児クラスの受け渡しの際に保護者から前日のトラブルで家でも子どもと約束したことを話して保育者と共有する場面があった。

昼食時で食事をしている間に保育者がコットを用意し、食事・着替えの済んだ園児からコットに横になって過ごしている。園児は自身のタイミングで眠りに入るが、保育者は園児一人ひとりに優しく触れながら入眠できるよう対応している。年齢に合った生活の自立を計画し、見通しをもって一人ひとりに合わせた保育に努めている。午睡を必要としない児と必要な児との環境づくりや職員体制を引き続き検討し、５歳児は就学に向けて段階的に午睡時間が減らせるように取り組んでいる。

保育者の勤務はシフト制のため、早番・遅番が必ずしも担任になるとは限らない。保育者は各クラスの枠をこえて誰もが対応できるように、昼礼や昼礼簿で情報共有したり、各担任から口頭で情報が洩れなく伝わるよう体制を整えている。一人ひとりのその日の健康面や様子を保護者に伝えるよう周知しているが、保護者アンケートで「細かくその日の様子を教えてもらえる・連絡帳にびっしり書いてくれる・とても親身に聞いてくれアドバイスも的確です」との意見の一方、「ケガした時に何も教えてもらえなかった」との意見も聞かれた。

出来る限り制限を少なくして自主性を尊重し、園児の発達や興味関心に応じて臨機応変な環境構成となるように努めている。朝の合同保育後に各クラスに戻ると園児自身で遊びを選択し、それぞれのコーナーでままごとやブロック・机上遊びを楽しんでいる。０歳児ではゆったりと絵本を読んだりマグネットや小さなパソコン玩具コーナー、手作り玩具、アスレチックマットの設置コーナー、また、壁の紙をめくると幼児クラスの先生が「ばあ！」という仕掛けを作り、沢山の先生と関われるように工夫している。

年齢に合った言葉かけや絵本選択をおこない、音楽・体操・制作などを通して楽しみながら自由に表現できるよう働きかけている。３歳児は散歩にいけない梅雨時にマット運動を取り入れ、保育者が手本を見せて「でんぐり返り」や横になってマットから落ちないように真っすぐにゴロンゴロン回る動きを体験している。１歳児はクレヨンやシール貼りをして楽しんでいる。好きな色を選んで、くるくる・トントン、控えめだったりダイナミックだったり一人ひとりが自由に気が済むまで描き、その上に色シールを貼って完成させている。

天気の良い日は暑さ指数で熱中症予防に努めながら戸外に出掛け、季節を感じながら十分に体を動かす機会を設けている。訪問時には、４・５歳児合同で公園に出かけている。靴を履いて外に出ると保育者が「こっちぞうさん」「こっちきりんさん」と言うとスムーズに列になる様子があり、手をつないで出発している。交通ルールを伝えながら、止まってくれた車に「ありがとうございます」や「前から車来るよ」と注意を促している。公園では４歳・５歳それぞれの担任が注意事項を伝え、追いかけっこや探検する児・滑り台等で思い思いに楽しむ様子が見られた。

入園のしおりで主な行事を掲載し、遊びの延長線上で職員・園児にとって無理なく満足できる行事を企画し、コロナ禍でもできる行事を継続して実施している。今年度の七夕会では、０・１歳児は各クラスで、２・３歳児と４・５歳児はそれぞれ合同で開催している。時間になると２歳児は「大型バスにのってます～」と肩をもって一列になり楽しそうに３歳児クラスに入って合同おこなう様子が見られた。会が終了すると３歳児は「短冊探検」と言って、「どこかな？どこかな？」と興味を引き出す声掛けで探し、壁に掲示してある短冊を見付けて楽しんでいた。

１０月に予定していた「ハッピー親子Ｄａｙ」はコロナの影響で中止せざるを得なくなり、行事名の変更や園内や公園でできる演目や種目を各クラスで検討し、動画配信で開催する旨を丁寧に園だよりにて伝えている。９月２７日のブログではタイトルを「ちびリンピック２０２１」と東京オリンピックにちなんで付けている。万国旗やパラリンピックを含めて各国の選手の写真を廊下や階段に飾り、身体を動かす事やみんなで協力することの楽しさを味わえるよう工夫している。日々の保育の中でダンスやかけっこなどに取り組み動画配信につなげている。

入園時に年間行事予定表を配布するほか、毎月の園だよりと各種お知らせを掲示・配布して、保護者に案内している。保護者参加行事は土曜日開催と決め、多くの保護者が参加できるよう配慮している。行事後のアンケートで意見や感想を募り、可能な範囲で希望に沿えるよう対応している。保護者アンケートでは「保育参観以外は今のところ何もない・コロナで行事がない・虫や鳥などが割と平気になった・動物を見に行ったり色んな公園に行っているので家より刺激があり助かる・先生方の負担を考えると今ぐらいが丁度良いと感じる」との意見があった。

入園のしおりに延長保育時間の食事提供の考え方について記され、延長保育は１８時１５分を目安に捕食を提供し、スポット延長は当日１４時までの連絡で対応し、連絡が遅れるとアレルギー対応のこともあって提供できない旨を伝えて、理解して貰っている。会社として「ご家族であたたかい食卓（夕食）を大切にしていただきたい」との思いを伝え、あくまでも夕食はつなぎとしての捕食（おにぎり）は、わかめ・鶏そぼろ・せんべい等を提供している。

月案の中に「長時間保育の配慮」を落とし込み、例えば４月の０歳児では「淋しくならないようそばに寄り添い過ごせるようにする」、５歳児では「朝・夕の合同保育の時間に好きな遊びを通して自分より年下の児との関わりを楽しむ」としている。玩具を含めた保育環境の工夫をし、担任以外でも親しみをもって関われるように、日頃から様々な保育者との関わりに落ち着ける空間がもてるよう努め、保護者への連絡事項も、どの保育者でも伝えられるよう共有できている。今後は時間帯に合った遊びの工夫ができるよう望みたい。

みんなの保育指針で「食事で大切にしていること」は食べることが生きること、「食を営む力」の基礎を培うことと明記し、１楽しい食事時間、２健全な発育を支える関わり、３食事のマナーについて、分かりやすく記している。散歩から帰園後は手洗いなどを済ませた児から席に着いて食べ始める。少人数で落ち着いて食べられる環境づくりをして、子ども同士の会話には保育者も耳を傾けて介助や声をかけている。季節や行事に配慮した献立作りや、調理師と保育者が連携して調理会議・職員会議等ですり合わせをして献立を変更している。

全体的な計画に食物アレルギー対応、生活管理指導表・個別面談と面談補足確認・家庭における食物除去の程度確認・個別取り組みプランの作成・最終確認面談・ピンクトレー（名前と食材記載）・ピンクの食器・個別机・個別台ふきん・アレルギー児用食事介助エプロン・アレルギー児献立・トリプルチェック・アレルギー児一覧表（調理室内に掲示）、食育と明記があり、日々実践している。現在アレルギー児は１名在籍し、安全な食事提供ができるよう、園長・保育士・栄養士間で連携を図っている。

年間食育計画を担任・栄養士とで作成し、食事について興味関心がもてるように取り組んでいる。５歳児は５月に食育の一環で「夏野菜の苗植え」の際に園児同士で話し合い、きゅうり・なす・トマト・オクラ・枝豆を買いに行き、６月末に収穫したナス・きゅうり・オクラを包丁を使って切る体験につなげている。エプロン・三角巾をきちんとつける意味や手洗いの基本・３つの約束「友達に刃をむけない・包丁をもって歩かない・包丁を振り回さない」ことを伝え、手作り包丁で練習した後、上手に猫の手で野菜を切ることができている。

３つの年間保健計画を基本に年間目標を看護師が立案し、３か月ごとに目標を立てている。毎日看護師が巡回し、子どもの体調やケガについて担任が直ぐに看護師や園長に報告する体制が整っている。感染症は随時速やかに掲示で案内して家族への周知に努めている。毎月保健だより等で季節や状況に合わせた情報を保護者と共有し、必要に応じて個別に保護者へ相談や協力を促している。ヒヤリハットや怪我・事故報告書を記載しており、昼礼や職員会議等で共有に努め、今年度は危険チェックか所を更新している。

コロナ禍で検温やマスク着用・手指消毒・手洗い・うがいの励行に加え、玩具や手すりの消毒・掃除など感染症対策に取り組んでいる。５歳児は７月に手洗い指導をおこない、看護師が話題のコロナの話の絵本を読み聞かせ、難しい内容だが理解できている。手に「ばい菌の見える液体」を付けブラックライトで確認し、歌に合わせて手洗い練習後、実際にいつも以上に時間をかけて洗っている。もう一度ブラックライトを当ててきれいになったことを確認し、ご飯前、帰宅時・トイレ後・鼻水をかんだ後やくしゃみの後に手を洗うことを約束し終了している。

入園時及び年２回嘱託医と連携して健康診断をおこなっている。０歳児は毎月身体測定をして、結果はともに児童票と連絡帳に記載している。毎月看護師が発行する「すくすくだより」にて保健に関する情報を発信している。４月では生活リズムを整えよう・登園前の体調チェックポイント、５月は爪の管理やイヤイヤ期について、６月は虫歯予防デー・歯磨き、８月は熱中症など、月毎に保護者と共有したい情報を掲載している。また、６月には「衣替え」や「蚊の発生する季節について」「園内の感染症情報」等についてブログで発信している。

登園時に園長は事務所に滞在して玄関から入ってくる保護者と園児に笑顔で挨拶を交わし、出勤して行く保護者に「行ってらっしゃい」と気持ちよく声をかけ送り出している。また保育室では保育者が同様の対応で雰囲気づくりに努めていることから、園児と保護者が安心できる環境であると推察する。保護者アンケートでは「若い先生が多く少し不安だったが入園してみると真摯に保育しアドバイスももらえて心強い」「感じよい笑顔で接してくれる」との一方で、「朝の挨拶についてやマスクで表情が読めず声に元気がないと不安になる」との意見があった。

保育日誌や連絡帳を活用して保護者とのコミュニケーション・情報共有を実施している。乳児が使用する保育日誌では、出来たこと・頑張ったこと・優しくできたことなどニッコリ出来る内容を記載し、幼児クラスでは親子の会話を楽しんでほしいとの思いから、連絡帳では連絡事項のみのやり取りをしている。保護者アンケートでは「写真販売やブログで日常が見れて安心する・ケガを教えてくれなかったことが少し心配・今後のトラブル発生時の対応が気になる」などの意見が聞かれており、口頭での伝え方や連絡帳の活用にもう一工夫お願いしたい。

毎月発行している園だより（クラスだより）・すくすくだより・ぱくぱくだよりを通して、子育てに役立つ情報を提供している。コロナの影響で現在はライブラリーの貸し出しを中止しているが、コロナ終息後には絵本の貸し出しを再開して、親子や家族同士の交流の場を提供したいと考えている。新年度になって絵本係が交代したことと、「夏のお勧め絵本」を乳児３冊、幼児３冊を紹介している。園内のライブラリーの掲示では絵本のあらすじを手書きで作っている。また、七夕の絵本が増えたことも案内し、立ち寄りたくなるライブラリーコーナーを作っている。

コロナ禍で地域交流や地域資源を活用する機会は特にないが、戸外活動時に近隣の方と挨拶を交わしたり、公園で出会う他園との挨拶などを通して地域に知られる保育園を目指している。苗をホームセンターに買いに行く・遠足（公園）の実施、また今年度は１日観察実習や保育実習Ⅰで高校生や専門学を受け入れ、子どもが様々な体験ができるよう取り組んでいる。今後はコロナ終息後に備えて、消防署見学・近隣保育園訪問・老人ホームとの交流に向けて視野を広げておく必要があると考える。

契約時に重要事項説明書にて個人情報の取扱いについての５項目を丁寧に説明するほか、「入園時同意書」ではブログへの園児の写真掲載や写真販売のための販売会社への個人情報や画像データを提供することなど９項目について同意の有無を確認している。また、必要があれば保護者にその都度事前の確認をおこなっている。前年度コロナの影響で運動会等への保護者参加を中止としたが、期間限定の動画配信について保護者向け発信が可能となったことから、今年度より新たに動画掲載を取り入れ再度同意をもらっている。

保育者からも写真掲載などで同意を取り、ブログ掲載時に個人が特定できないようスタンプを施すなどプライバシー保護に配慮している。訪問時、幼児クラスでは園児が保育者にトイレに行くとことわって１人でトイレに向かい、保育者は保育室で他園児の保育をしている様子があった。園児が１人でトイレに行けるようトイレドアは開放していると思うが、常に開放したままのため小さなパーテーションなどを使用して見えない配慮と、スリッパの脱ぎ方・揃え方の伝え方にもう一工夫をお願いしたい。

園内には事故やけが・虐待防止のため防犯カメラが設置され、必要時に園長が職員とともに確認している。園長は巡回時にさりげないフォローに努め、気づいたことがあれば職員会議等で取り上げて話す機会を設けている。職員アンケートでは「事故等に対する意識が良くなり園内研修に取り入れている・研修制度が新人にもある・定期的な研修がある」との意見の一方で、「職員が少ない日に研修がある・子どもに対する言葉づかいが気になる」との意見が聞かれた。虐待に関して保育者自身の保育を振り返る機会があるとよいと考える。

衛生管理マニュアル・BCP（事業継続計画）・午睡時の健康観察の留意点・ブログ操作マニュアルなど必要なマニュアルを整備し、いつでも確認できるよう事務所で管理している。保育者が対応に戸惑っている際には、マニュアルや重要事項説明書における手引きを確認しやすいよう整えている。今年度は感染症対策の見直しを本社経由でおこない、掃除の際の次亜水濃度をコロナ期間のみ０．０５％に強化するよう変更している。運営委員会・職員面談・第三者評価などを通じて職員の意見や提案を吸い上げ、手順書の見直しにも反映させている。

２年まえに全園統一の「みんなの保育指針」が完成し、これから全体に浸透させていこうとしている矢先にコロナの流行があり、そのまま中断された経緯がある。今年度「みんなの保育指針」策定時の中心メンバーでもある他園園長が来園し、環境やクラスの悩み相談をして指針の浸透を図っている。今年度から新たに「拠点勉強会」を設け、同じエリアの姉妹園と情報共有する機会を取り入れている。今後はコロナの如何に関わらず、本社プロジェクトチームのメンバーによる園巡回を実施し、指針内容の浸透が正しく進むよう望みたい。

昼礼や職員会議・クラス会議など職員が顔を合わせて話し合う機会を多く持ち、話しやすい雰囲気づくりに努めている。園長は各クラスを巡回してフォローに入り、気になった点は職員会議等で伝えている。職員アンケートでは「子どもへの接し方や考えが統一されてきた・連携や情報共有ができている・意見を自由に言える」との意見の一方、「職員の関係性が良くない（文句・悪口・態度）・問題行動の多い職員を野放しにしている・子どもに対する言葉づかいが気になる」との意見があり、社会人としてのマナーと職員育成と保育の質向上を望みたい。