東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

さくらさくみらいは東京・埼玉などで７０ヶ所以上の保育園を運営し、今後も毎年数か所を開園予定である。開設後２年半が経つ蓮根園は今春から区内５か所になる法人園や他園との交流が新型コロナのため自粛を強いられたが、地下鉄の駅からも近く、幹線道路も通るなど交通至便で交流・遠足には好都合の環境を活かし、今後徐々に交流機会を増やしてほしい。園長の３年目の評価は８０点とのことだが、職員育成を進めることで保育の底上げを図り、拠点勉強会などにも参加することでズレを生じずに、みんなの保育指針の浸透を目指している。

定員７３人に対して園児は６９人で若干余裕があり、見学者も１日１組限定で受け入れている。園長は保護者等とのコミュニケーションに努めるほか園児の健康状態や様子観察を行い、様々な保育観を持つ保育士との連携をおこなっている。現在職員は２３人だが非常勤・バイトも多く、朝・夕に職員が不足する状況が生じており、８月にはパート会議を開催するなど非常勤職員の戦略化を図ろうとしている。職員アンケートでは「相互評価の内容が運営に反映されない」との声があり、本社人事総務と運営サポート間の連携不足もうかがえる内容となっている。

園内の事は職員会議にて全員で話し合うことを基本に据え、本社運営サポートとも連携して昼礼などで周知している。園長は何かあれば必ず全員に声を掛けて意見を聞き合意の上で進めるという流れがあり、職員からは、ヒヤリハットを出し合い事故などの改善意識が高いこと、研修受講の機会が多いこと、を評価する声が聞かれる一方、人材不足と人材確保を求める声が上がっている。保護者アンケートの満足度は９０．９％と高く、感染症対策の徹底や子どもが元気で楽しく通っていること、直ぐに相談に乗って貰えることを評価する声が聞かれている。

保護者などの意向や要望などは契約時の重要事項説明の際に苦情解決の仕組みを伝え、保護者会を年２回実施して保護者会アンケートも行い、無理のない範囲の要望であれば対応するよう努めている。訪問時にも、園長は常に事務所にいて登降園の際に保護者などに声を掛けており、園での様子や保護者が関心をもちそうな事などを伝え、要望等があれば直接聞けるような姿勢と態度が感じられた。園児には怪我などはさせず登園したままの状態で帰って貰うこととして、保育士による視診を励行している。

地域の福祉ニーズの収集は、お店での買い物の際に店員などと言葉を交わす機会などはあるが、地域のお祭りや合同防災訓練などで地域住民と頻繁に触れ合う機会はさほど多くない。また、戸外活動や公園遊びの際に他園と一緒になった時には多少の接触はあるものの、職員同士で話し合うような場も少ないため、板橋区園長会や保幼少連絡会などでの情報収集を通じて日常的かつ横断的な職員交流が出来るよう望みたい。昨年初めて３日間の中学生職場体験を受け入れることができ良い刺激になったが、今年はコロナのため残念ながら中止となっている。

保育園単独の中長期計画は確認できなかったが、単年度事業計画にあたる保育課程は作成され、それを基に年案、月案、週案が作られて、日々の保育へとつながっている。保育課程作成にあたっては前年度の振り返りを十分に行い、次年度の計画立案を実施している。計画にはスタッフ全員が関わり、サービスの現状と想定されるリスクについても検討して、日常を大切にしながら愛情をたっぷり注ぐことで園児が十分に楽しめるよう工夫している。計画推進にあたっては余りにも実態にそぐわないと感じた時には随時見直すこととしている。

職員が守るべき法・規範・倫理については入社前後の研修で、保育園は児童福祉施設であることを認識して行動するよう説明し、園外に出た時も地域の方に笑顔で挨拶することなどを指導している。コンプライアンスの実践や従業員マナーマニュアルでも、言葉遣いや個人の尊厳についての記載があり、職員は職場を明るく楽しくして働きやすくするようになどと指導を行っている。保護者との関わりについては、保護者を批判的に見ないことや子どもの気持ちを汲み取りユーモアを大切にすることなど、保育指導計画などに盛り込んで伝えている。

苦情解決制度については入園のしおりに記載され、保護者向けに説明している。園児及び保護者からの意見・苦情など有れば直接本社や園長に話が出来るような仕組みがあり、意見箱も設置して保護者の意向を把握し対応するようにしている。職員の言動等については相互評価を行い、互いの言動を確認する機会を設けるほか、虐待については入社時の本社研修などで説明をおこない園での虐待防止を徹底しているが、職員アンケートでは「仲が良いため気になっていることを言えない」、保護者からは散歩中の職員の態度などで指摘があり、再確認をお願いしたい。

ボランティア受け入れや実習生受け入れについては、昨年度できた中学生職場体験はコロナで中止となっている。地域関係機関との連携では板橋区園長会に出席し行政伝達事項や他園の状況などを収集し、地元町内会にも入会しているが、地域のお祭りなど行事への参加はこれからである。今後新型コロナが落ち着いてきた段階で、コロナ禍であっても実施可能な地域交流や地域貢献のやり方について、職員全員で知恵を出し安全で安心できる方法を考案するよう望みたい。

リスクマネジメントについては役割分担表を作成するほか、事故・感染症・不審者等のリスク毎に関係各所の連絡先一覧も明示し、感染症や消防計画の各種マニュアルは整備され、年間避難訓練計画に沿った避難訓練を実施している。ＢＣＰ（事業継続計画）は本社主導により策定済みだが、コロナ版の追加や定期的な見直しが必要である。ヒヤリハット・事故報告の再発防止は記録を残し、職員会議や昼礼で反省会を開いて見直しをしている。今後はコロナも含めた危機管理全体の意識向上に努めると共に見守り体制や午睡チェックの徹底も希望する。

安全の確保・向上は、避難訓練のほか感染症情報等を職員間で共有し、必要があれば保護者会等で説明している。事故・感染症・不審者などの被害発生時や注意情報等が出た際にも、園内掲示や説明会などを開催している。園庭が狭いことや前面道路の交通量が結構多いことなど区・警察とも連携して安全に出入りできるよう努めている。昨年度よりコロナ対策で衛生管理の徹底に力を入れ、玩具・機器類の殺菌消毒をこまめにして職員ワクチン接種も終了している。最寄り駅から割合近いことが園のメリットの一つだが、案内表示の設置を望みたい。

人情報保護などはホームページに「コンプライアンスの実践」の項目があり、個人情報保護や漏えい防止、虐待禁止、社内ハラスメント撲滅などを明文化して、コンプライアンスの実践こそが子供たちへの保育サービスの向上につながる、と明記している。保護者には利用契約時の重要事項説明の中で個人情報取得同意書に署名・捺印を得るほか、職員に対しては入社時のオリエンテーションや社内研修の際に個人情報保護や機密漏えい防止について説明し、誓約書を貰っている。職員には引き続き個人情報についての理解を求めるようお願いしたい。

求める人材像は「子どもに寄り添い丁寧であたたかい保育ができる。職員同士と情報共有したり、円滑な園運営に積極的に関わることができる。子どもの発達を見通した計画を立て実行できる」などと定め、個々の適性や力量を見ながら子どもに相応しい優しさと温かさを感じる人を採用している。園長の優しい人柄が良い人材を集め、訪問時にも特に問題のある保育士などは見掛けなかった。職員育成は年２回園長面談を行うほか、年１回の本社面接の際にも口添えなどをしている。年度後半頃からは保護者会も復活させ円滑な交流を回復できるよう希望する。

園内研修は年２回実施するほか外部研修については５月頃に年間予定を掲示し、年間の個人別研修計画を立案して、交通費と参加費用は会社で負担しているが、昨年よりコロナのためオンライン研修となっている。客観的な人事考課制度を導入し有休休暇やリフレッシュ休暇が取りやすいようにして疲労やストレスの改善を図っており、懸案のキャリアパスは現在総務・労務部門で確認作用が続いている。キャリアがあり質の高い保育士は十分に評価して待遇改善して定着化を図り、いずれはリーダーから副主任・主任・園長も務めて貰えるよう希望する。

正社員に対しては本社研修にて外部講師による職員能力向上に向けた講習を定期的に実施するほか、区主催などの外部研修にも積極的に参加できる体制を整えている。現状では言葉掛けや遊び方など保育の質の充実や退職者もいることから、本社からのサポートも必要と考える。今後は園長を支えて主任・副主任を務められる人材を獲得すると共に内部からも育成し、子どもにとって安定した生活リズムが出来て、職員も意見を出し積極的な提案をするなど、目標達成に近づくよう期待する。

法人ホームページでは、さくらさくみらいの思い・保育・お知らせ・会社概要・プライバシーポリシーをはじめ、運営している全園の情報を開示している。お知らせで最新情報、今年度４月に保育園で働く職員・就職を目指す学生向けに情報提供サイト「さくらスマイル」を立ち上げ、６月から新たな幼児教育プログラム「ＣＬＩＰ」を始動させた事などをお知らせしている。ブログでは、「令和３年度の入園式・進級式」の写真とコメントを載せて、今年度も子ども達が安心して笑顔あふれる毎日が過ごせるよう、保護者とともに見守りたいとの思いを綴っている。

区園長会議にて情報を収集し、事業所情報は区ホームページからも閲覧可能として、実施状況台帳や延長保育実施状況表を毎月区に提出している。第三者評価を毎年受審し園の情報提供と透明性を高めている。保護者や職員アンケートにより意向や要望を聞き取り、改善点を洗い出してより良い園となるよう活かしている。訪問時、園長は継続して外に出て保護者などと挨拶を交わし、自転車の整備や周辺の見守りをしたり、新型コロナ対策として窓を開放し換気をしていることから、園児の声がどのくらい外に洩れているのかも確認できるものと考える。

新規入園者の見学希望や問い合わせは園長が窓口となり、連絡を受けて日程調整して問い合わせ見学表に記載している。見学は今年度もコロナ対策に配慮し、６月くらいから１日１組限定で午前中３０分～４０分程度と短時間で実施している。内部を案内して各クラスの遊びなどの様子を廊下から見てもらったり、掲示物や園児の制作物などを観覧して日々の様子が雰囲気がつかめるよう配慮し、ホームページやブログなどを含め分かりやすく丁寧な園情報を伝えている。

新入園児の保護者に対して個別入園前説明会と面談を実施し、利用者の思いを汲みとって不安なことや分からないことについて、分かりやすく丁寧に説明している。入園のしおり（兼重要事項説明書）を使い、保育理念・方針・目標はじめ費用や感染症に関すること・相談窓口などについて確認・説明を実施して周知を図っている。最後に全項目（４６項目）の中で特に差異が生じないように伝えた箇所について赤字で掲載し注意を促している。また、園長と担任とで家庭状況や様子・意向などを聴取し、面談記録や児童情報票を作成している。

契約時に園長・担任と面談した内容は全職員で共有し、園児・保護者が安心して通園できるよう配慮している。入園後は一人ひとりに合わせた慣らし保育を２週間前後で段階的に実施している。慣らし保育期間での子どもの様子は連絡帳に記載するとともに、迎えに来た保護者に担任が口頭で丁寧に伝えることで、慣らし保育を通して園児・保護者がともに環境に慣れ、良好な人間関係が構築できるよう配慮している。入園後は様々なおたよりやクラスだよりを発行して、園の取り組みなどを伝えている。

小学校へ引き継ぐ資料として指導要録があり、年長児は園児一人ひとりのファイルに入れて管理する児童票や保護者からの要望にそって作成する就学支援シートなど、園児・保護者の不安を減らし、継続性に配慮して提供できるよう準備している。利用者の意向を把握して寄り添った対応に努め、昨年度は３名の卒園児を送り出している。昨年度３月末に卒園児３名と他園に移籍する友達・保育園を離れる先生とお別れ会を実施するほか、５歳児にはリクエストメニューが絵で届き、メニューを各自に提供して調理室からお祝いをしている。

園児一人ひとりの心身の状況や生活状況などは保育日誌や児童票に記載し、乳児は連絡帳、幼児は連絡ノートを活用して保護者に日々の様子を伝えている。行事後に行事アンケートを実施することで把握したニーズを次に反映させるなど、保護者の意見を聞く機会を多く設けている。気になる子どもへの対応としては個別計画を作成するほか、区の巡回指導を受けて職員間で統一した関わりをもち、専門性を活かしながら保育に取り組んでいる。また、園長が日々の巡回中に気づいた時には、さり気ないフォローに入り、保育が進むよう配慮している。

週・日案では週毎のねらいを立て、子どもの活動の様子と振り返りを毎日おこない、週の振り返りと自己評価により次の課題を抽出している。月１回のクラス会議では月案の振り返りと自己評価をして進捗状況を確認し、次の指導計画につなげている。各クラスごとの週・日案を玄関ホールに掲示して保護者の保育理解の一助としたり、日々の保護者対応でも口頭で伝えている。各クラスだよりにも３か月ごとの過ごし方・目標・発達の特徴・今後の取り組みのほか、お願いとかわいいエピソードなどを掲載し、周知できるようにしている。

その日の子どもの状況は昼礼などで周知して昼礼ノートに記載し、個々の園児については月１回の職員会議・クラス会議などでパートを含め洩れなく情報共有している。今年度パート職員が７名となり情報共有に配慮が必要として、８月中旬にパート会議を実施している。今回は４名が参加し、嘔吐処理・掃除の仕方・１日の流れ・情報管理・コンプライアンス等を周知徹底し、欠席者には議事録で共有している。パート同士で話す機会を設け同じ時間を共有したことでコミュニケーションが増えたと実感しており、今後の継続に期待したい。

入園時面談・職員会議や昼礼にて個々の発達や生活環境を把握し、主体的な関わりや一人ひとりに寄り添った保育を確認している。関わりや環境設定に迷う時には相談して一緒に考える体制が整っており、園児の動線を考えて、より快適になるよう工夫している。みんなの保育指針に沿って、園児の発達程度に合わせて絵本・手作り玩具・ブロックなどを自由に棚から取り出せるような環境設定やコーナーづくりに努めている。主体性をはぐぐむ保育の中に「物を大切に扱う・取り出したら元の場所に片づけること」などを伝えられると良いと感じる。

保育目標「心身ともに強い子ども・明るく元気な子ども・考える力を持つ子ども・思いやりのある子ども」を基本に、互いを尊重する心が育つ保育を実践している。合同保育・延長保育・異年齢交流などを通して、人間関係が自然に作られる環境を大切にしている。気になる子については、巡回指導につなげて専門家のアドバイスを受けて経過観察を記録し、また個別指導計画を作成している。訪問時、気になる子が在籍するクラスで保育者が取られてしまい、他園児の保育に影響が出ていると感じる場面があったため、保育士の補充が急務と考える。

区の公立・私立保育園園長会や地域ごとに小学校と連携する「保幼小連絡会」に参加して情報収集し、指導要録を作成しておたよりを園内に掲示している。コロナ対策の下で昨年度３名の園児が巣立った卒園式では、大きな声で返事をして証書を受け取る姿や、「小学校に行ったら頑張りたいこと」を一人ひとりが、保護者・在園児保育者の前で発表している。「学校に行ったら楽しい事や新しい出会い、素敵なことがたくさん待っているよ」「いつでも遊びに来てね」と写真とともにメッセージを綴り、ブログに掲載している。

コロナ対策として、玄関入ったところに手指消毒液を設置され、訪問時、マスクを着用した保護者は園児と保育室に入って検温をして、荷物の整理や月曜日でコットシーツをコットに装着し、保育者と挨拶をして仕事に向かう様子が見られた。保育者は視診をして検温迎え表に記入し、家庭での様子を口頭で確認するとともに連絡帳に目を通し、職員連絡表で共有している。保護者アンケートでは「送迎時の手洗いやアルコール消毒の徹底などをして欲しい」「あごにマスクをしている保育者を見掛けた」などの意見があった。

昼食時で食事をしている間に保育者がコットを用意し、食事・着替えの済んだ園児からコットに横になって過ごしている。園児は自身のタイミングで眠りに入るが、保育者は園児一人ひとりに優しく触れながら入眠できるよう対応している。訪問時、１歳児では自身で好きな絵本をもってコットの上で読んでいる児や保育者に身体をトントン触ってもらいながら眠りにつく様子が見られた。５歳児は就学を視野に入れて段階的に午睡時間を短縮し、その時間に当番を決めて掃除や乳児の寝かしつけの手伝い、水やりなどをして貰っている。

保育者の勤務はシフト制のため、早番・遅番が必ずしも担任になるとは限らない。保育者は各クラスの枠をこえて誰もが対応できるように、昼礼や昼礼ノートで情報共有したり、各担任から口頭で情報が洩れなく伝わるよう体制を整えている。体調やケガの有無、成長がみられる出来事があればエピソードを交えて伝えるよう周知しているが、保護者アンケートで「親身に話してくれる」との意見の一方、「良い事ばかりでなく困ることも教えて欲しい」「担任と会う時間が少なく相談する機会が少ない」「先生の反応が乏しい」との意見が聞かれた。

出来る限り制限を少なくして自主性を尊重し、園児の発達や興味関心に応じて臨機応変な環境構成に努めている。朝の合同保育後に各クラスに戻ると、園児自身で遊びを選択し、それぞれのコーナーでままごとやブロック・机上遊びを楽しんでいる。０歳児では園児が棚を掴んでつかまり立ちして自由に玩具が選べるように、棚に布を貼ったり玩具の置き方（軽いものは上・大きいものや重いものは下）にも配慮し安全対策をしている。カップを選んだ児はひっくり返して太鼓のようにポンポンと叩いたり、絵本の動物を眺めるなど思い思いに楽しんでいる。

年齢に合った言葉かけや絵本選択をおこない、音楽・体操・制作などを通して楽しみながら自由に表現できるよう働きかけている。４歳児は雨の日には風船バレーを楽しみ、風船に皆で考えた「ハートちゃんとみどりくん」という名前をつけ、２チームに分かれて対戦している。友達と一緒に手を使わずに風船を運ぶゲームでは、手をピシッと伸ばして運ぶ児や友達と風船に触れないよう手をつないで運ぶなど、考えて工夫する姿が見られている。一人ずつ風船を飛ばして走る競技では、同じチームの児を応援して、励ます様子が見られ盛り上がっている。

天気の良い日は暑さ指数で熱中症予防に努めながら戸外に出掛け、季節を感じながら十分に体を動かす機会を設けている。訪問時、３歳の散歩では保育者２名と園児１４名で公園に出かけている。門の前で「誰の背中ですか？」と一人ずつ名前を呼んで確認し、「友達の背中についてきて下さいよ」と伝え靴がきちんと履けているか確認し、公園名を伝えて「レッツゴー！」と叫んでスタートしている。出会う人への挨拶、横断歩道の渡り方などを教えながら公園に到着すると、砂場でスコップ・バケツ・コップ等を使って遊ぶ様子が見られた。

入園のしおりで主な行事を掲載し、遊びの延長線上で職員・園児にとって無理なく満足できる行事を企画し、コロナ禍でもできる行事を継続して実施している。５歳児では「夏まつり」のお店を開店し、チョコバナナ・綿あめ・金魚すくい・かき氷などそれぞれ園児が工夫して制作している。乳児クラスや３・４歳児が順番に買いにきて、ねじり鉢巻きで威勢よく接客している。ペーパーを巻きつけて綿あめに見立てたり、かき氷は４つのシロップから選べるように工夫するなど、ブログで祭りを皆で楽しむ様子を伝えている。

今年度秋口に運動会を予定していたがコロナのため中止となり、代替行事として「はすねっこレクリエーション」を開催している。乳児は各保育室内、幼児は各クラスで公園にて実施予定だったが、雨天のため延期になったことで幼児合同での開催と落ち着いた。１歳児では音楽を流してリズム体操や踊り、その後はトンネル・マットの山・一本橋でサーキットを実施している。３歳児はやりたいことを話し合い「かけっこ・体操」と決め、一番人気の「ラーメン体操」を選び、「かけっこ」から「リレー」に発展する等、子どもが創り上げたものとなっている。

入園時に年間行事予定表を配布するほか、毎月の園だよりと各種お知らせを掲示・配布して保護者に案内している。保護者参加行事は土曜日開催と決め、多くの保護者が参加できるよう配慮している。行事後のアンケートで意見や感想を募り、可能な範囲で希望に沿えるよう対応している。保護者アンケートでは「いきなり日程が変わる事があり仕事が休みにくい」「雨天で中止になると家庭保育になるのが不便」「兄妹別日でなく半日ずつか祝日の少ない月だと助かる」「子どもにとってコロナは言い訳にしかならないと思う」との意見があった。

入園のしおりに延長保育時間の食事提供の考え方について記され、延長保育は１８時半を目安に捕食を提供し、スポット延長は当日１４時までの連絡で対応し連絡が遅れるとアレルギー対応のこともあって提供できない旨を伝えている。捕食（おにぎり）はわかめ・おかか・鮭・コーン、せんべい・ビスケット・ミニアスパラガスなどを提供している。今年度は保護者アンケートでの意見は聞かれなかったことから、保護者からの理解が得られているものと推察する。

月案の中に「長時間保育の配慮」を落とし込み、例えば４月の０歳児では「個々の表情や気持ちを受け止めて丁寧に関わり迎え時間まで安心して過ごせるようにする」、４歳児では「環境の変化で疲れも予想されるのでゆったりと過ごせる時間を作っていく」としている。延長時間前は担当保育士が絵本の読み聞かせなどをして安心して過ごせるよう配慮し、延長時間に切り替わる際には遅番が人数や年齢に応じた計画を立てて対応している。今後は年齢に合った配慮が必要と感じている。

みんなの保育指針で「食事で大切にしていること」は食べることが生きること、「食を営む」の基礎を培うことと明記し、１楽しい食事時間、２健全な発育を支える関わり、３食事のマナーについて、分かりやすく記している。散歩から帰園後は手洗いなどを済ませた児から席に着いて食べ始める。少人数で落ち着いて食べられる環境づくりをして、子ども同士の会話には保育者も耳を傾けて介助や声をかけている。調理職員が巡回して喫食状況を確認し、担任や調理との会議にてすり合わせをして、振り返りながら献立変更をしている。

全体的な計画に食物アレルギー対応、生活管理指導表・個別面談と面談補足確認・家庭における食物除去の程度確認・個別取り組みプランの作成・最終確認面談・ピンクトレー（名前と食材記載）・ピンクの食器・個別机・個別台ふきん・アレルギー児用食事介助エプロン・アレルギー児献立・トリプルチェック・アレルギー児一覧表（調理室内に掲示）、と明記して実践している。現在アレルギー児は１名在籍し、安全な食事提供ができるよう、園長・保育士・栄養士間で連携を図っている。

年間食育計画を担任・栄養士とで作成し、食事について興味関心がもてるように取り組んでいる。今年度も４・５歳児対象で畑にジャガイモを植えて育てている。５月には４歳児が畑に出向き、成長して花を咲かせているジャガイモに「優しく布団をかけてあげてね」との説明を聞いた後、スコップで土をかける世話をし、７月のジャガイモ収穫体験につなげている。今年度はコロナのためクッキングに影響が出ているほか、食事の残量も多いことから、声掛けや食べる意欲に結びつくような食育を取り入れたいと検討している。

３つの年間保健計画を基本に、年間目標「１生活リズムを整え基本的生活習慣を身に付ける。２感染予防について理解し行動に移せることで自ら健康増進をはかる」を看護師が立案し、３か月ごとに目標を立てている。１期目標は①健康状態を把握する、②衛生的な生活習慣を身に付け生理的要求を十分満たせるようにする、③気温の変化に留意し快適に生活できるようにする、として活動内容に園生活のリズムを身につけることを実施している。１期では園生活に慣れない児が多かったため７月以降の指導に変更するなど、臨機応変な指導に努めている。

コロナの影響で検温やマスク着用・手指消毒・手洗い・うがいの励行に加え、玩具や手すりの消毒・掃除など、より一層の感染症対策に取り組んでいる。７月に看護師が２歳児に「手洗い指導」をした際は、看護師の話をしっかりと椅子に座って聞いた後、「きらきら星」の歌に合わせて楽しみながら積極的におこない、手洗い後は看護師に見せながら「ピカピカ」と笑顔で聞いて確認している。また、９月に担当がトイレトレーニング指導を保護者協力の下で実施し、興味・関心をもって取り組めるよう工夫している。

入園時及び年２回嘱託医と連携して健康診断をおこなっている。０歳児は毎月身体測定（身長と体重）を実施し、結果はともに児童票と連絡帳に記載している。毎月看護師が発行する「すくすくだより」にて保健に関する情報を発信している。４月では生活リズムを整えよう・登園前の体調チェックポイント、５月は爪の管理やイヤイヤ期について、６月は虫歯予防デー・歯磨き（歯ブラシ選びの基準や虫歯になりやすい環境）、８月は熱中症・内科検診時の様子など、月毎に保護者と共有したい情報を掲載している。

登園時に園長は事務所に滞在して玄関から入ってくる保護者と園児に笑顔で挨拶するのみにとどまらず、駐輪場が混み合う時間帯には外に出て園周辺を確認したり、自転車の整備等をしながら挨拶を交わし、出勤していく保護者に「行ってらっしゃい」と気持ちよく声をかけ送り出している。また保育室では保育者が同様の対応で雰囲気づくりに努めていることから、園児と保護者が安心できる環境であると推察する。保護者アンケートで「いつも園長が声をかけてくれて安心できる」「先生方はとても優しく安心できる」との意見が多く聞かれている。

保育日誌や連絡帳を活用して保護者とのコミュニケーション・情報共有を実施している。乳児が使用する保育日誌では出来たこと・頑張ったこと・優しくできたことなどニッコリ出来る内容を記載し、幼児クラスでは親子の会話を楽しんでほしいとの思いから、連絡帳では連絡事項のみのやり取りをしている。保護者アンケートでは「ケガのこと・子ども同士のトラブル」「迎えの際にはその日１日どんなことをして・どのように過ごしたのかもう少し具体的に教えて欲しい」などの意見が聞かれており、口頭での伝え方や連絡帳の活用にもう一工夫お願いしたい。

毎月発行している園だより・すくすくだより・ぱくぱくだよりと期毎に発行するクラスだよりを通して、子育てに役立つ情報を提供している。ぱくぱくだより８月では食事を楽しむポイントとして、一緒に食べたい人がいる・味わって食べる・リズムがもてる・食生活や健康に関わる・食事作りや準備に関わるの５つをあげ、食事作りや手伝いがマナーや食習慣・風習を覚えコミュニケーションの基礎を築く良い機会であること、年齢に合わせた買い物や料理・栽培・収穫などの体験を通してより主体的に食事を楽しむことができることを伝えている。

コロナ禍で地域交流や地域資源を活用する機会は特にないが、戸外活動時に近隣の方と挨拶を交わしたり、公園で出会う他園との挨拶などを通して地域に知られる保育園を目指している。畑を借りてのジャガイモ掘り、公園を活用したはすねっこレクリエーション・遠足（公園）などを実施して、子どもが様々な体験ができるよう取り組んでいる。今後はコロナ終息後に備えて、消防署見学・近隣保育園訪問・老人ホームとの交流に向けて視野を広げておく必要があると考える。

契約時に重要事項説明書にて個人情報の取扱いについての５項目を丁寧に説明するほか、「入園時同意書」ではブログへの園児の写真掲載や写真販売のための販売会社への個人情報や画像データを提供することなど９項目について同意の有無を確認している。また、必要があれば保護者にその都度事前の確認をおこなっている。前年度コロナの影響で運動会等への保護者参加を中止せざるを得なくなったが、期間限定の動画配信について保護者向け発信が可能となったことから、今年度より新たに動画掲載を取り入れ再度同意をもらっている。

保育者からも写真掲載などで同意を取り、ブログ掲載時に個人が特定できないようスタンプを施すなどプライバシー保護に配慮している。オムツ替え時やプールの際にも羞恥心に配慮している。訪問時、幼児クラスでは園児が保育者にトイレに行くと言って1人でトイレに向かい、保育者は保育室で他園児の保育をしている様子があった。園児が１人でトイレに行けるようトイレドアは開放していると思うが、常に開放したままのため、小さなパーテーションなどを使用するなど、見えない工夫もお願いしたい。

園内には事故やけが・虐待防止のため防犯カメラが設置され、必要時に園長が職員とともに確認している。園長は巡回時にさりげないフォローに努め、気づいたことがあれば職員会議等で取り上げて話す機会を設けている。職員アンケートでは「研修を受ける機会が多い」「研修学びの場がある」との意見の一方で、「研修内容が少なく他での研修が受けられず身に付けたい知識が学べない」との意見が聞かれた。虐待に関しても虐待の芽チェックシートなどの活用により、保育者が自身を振り返る機会があると良いと考える。

衛生管理マニュアル・BCP（事業継続計画）・午睡時の健康観察の留意点・ブログ操作マニュアルなど必要なマニュアルを整備し、いつでも確認できるよう事務所で管理している。保育者が対応に戸惑っている際には、マニュアルや重要事項説明書における手引きを確認しやすいよう整えている。今年度は感染症対策の見直しを本社経由でおこない、掃除の際の次亜水濃度をコロナの期間だけ０．０５％に強化するよう変更している。運営委員会・職員面談・第三者評価などを通じて職員の意見や提案を吸い上げ、手順書の見直しにも反映させている。

２年まえに全園統一の「みんなの保育指針」が完成し、これから全体に浸透させていこうとしている矢先にコロナの流行があり、そのまま中断された経緯がある。今年度「みんなの保育指針」策定時の中心メンバーでもある他園園長が来園し、環境やクラスの悩み相談をして指針の浸透を図っている。今年度から新たに「拠点勉強会」を設け、同じエリアの姉妹園と情報共有する機会を取り入れている。今後はコロナの如何に関わらず、本社プロジェクトチームのメンバーによる園巡回を実施し、指針内容の浸透が正しく進むよう望みたい。

昼礼や職員会議・クラス会議など職員が顔を合わせて話し合う機会を多く持ち、話しやすい雰囲気づくりに努めている。園長は各クラスを巡回してフォローに入り、気になった点や気づいた点は、新卒・経験者、個々の性格などを考慮して伝えている。職員アンケートでは「職員が協力的で助け合いながら業務をこなしている・意欲的かつ保育熱心・全体のチームワークが良い」との意見の一方、「仲が良いゆえに気になっていることが伝えられない・保育士同士の雰囲気・新人育成」との意見があり、今後は職員の育成と保育の質の向上に取り組みたいと考えている。