東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

さくらさくみらいは東京・千葉・大阪などで９０ヶ所近い保育園を運営し、毎年度新園を開園させている。小日向は開設からちょうど丸４年が経ち、ベテラン保育士の園長が常に先頭に立ち、登園時や散歩からの帰園時なども子どもを迎えに出て声を掛け、保護者とも積極的に交流している。区内３か所の法人園とは、近隣他園も含めて交流を既に始めていて、モデル園園長が来訪して的確なアドバイスも貰えている。今年度は５歳児が９人いて卒園式を実施する予定で、小学校や特別支援学校はじめ関係機関との関わりや交流が実務的にも進んでいる。

定員７６人に対して園児は５６人で、来年度には幼児がさらに５人増える予定である。園庭は狭いがセキュリティー性能は高く、昼食・おやつも全て手作りしている。園長は保護者等との対話に努めるほか園児の健康状態や様子観察を行い、平均２８歳の若い保育士との連携を図っている。開設から４年間に園長が５人代わり、文京区という場所柄からか教育熱心な親が多い反面、気になる子も数人いてケガ・ヒヤリハットが比較的多めなことが特徴である。今年度は新卒も１人入ったほか準副主任２人を配置されて、園長を支える組織固めができつつある。

職員全員で話し合うことを基本に据え、本社とも連携して昼礼などで周知している。園長は必ず全職員に声を掛けて意見を聞き合意の上で進めるという流れがあり、職員からは、異動と退職者が減った、穏やかな保育者が多く子どもを第一に考えている、ことを評価する声が聞かれた。保護者アンケート満足度は７７％で、品質重視の良い会社、親と一緒に子どもを育てて貰える、こと評価する声の一方で、ケガが多く対応が不十分である、トラブル時などの情報発信が遅い、ことを指摘する声が聞かれた。月１回の役職会議にて園としての見解等を話し合っている。

保護者などの意向や要望などは契約時の重要事項説明の際に苦情解決の仕組みを伝え、保護者会を年２回実施して保護者会アンケートも行い、無理のない範囲の要望であれば対応するよう努めている。訪問時にも、園長は常に事務所にいて登降園の際に保護者や園児などに声を掛け、園での様子や保護者が関心をもちそうな事などを伝え、要望等があれば直接聞けるような姿勢と態度が感じられた。園児には怪我などはさせず登園したままの状態で帰って貰うこととして、保育士による視診を励行している。

地域の福祉ニーズの収集については、お店での買い物の際に店員などと言葉を交わす機会などはあるが、地域の祭礼や合同防災訓練などで地域の方と触れ合う機会はまだ多くない。また、戸外活動や公園遊びの際に他の保育園と一緒になった時には多少の接触はあるものの、職員同士で交流できる機会も多くない。この２年間はコロナのために予定していた地域との交流は滞っているが、今後は区園長会や保幼少連絡会などでの情報収集を活かし、もう少し日常的で横断的な交流が出来るようになることを期待したい。

事業運営計画書には目指すべき施設像の記述はあるが、保育園独自の中長期計画は確認できなかった。単年度の保育課程は作成され、それを基に年案、月案、週案が作られて、日々の保育につながっている。保育課程作成では前年度の振り返りを十分に行い、次年度計画を立案している。計画作成には全員が関わり、サービスの現状と想定されるリスクについても検討して、日常を大切にしながら愛情をたっぷり注ぐことで園児が十分に楽しめるよう工夫している。計画推進にあたり余りにも実態にそぐわないと感じた時には、ＰＤＣＡをして改善の場を設けている。

職員が守るべき法・規範・倫理については、入社前後の研修で保育園は児童福祉施設であることを認識して行動するよう説明し、園外に出た時も地域の方に笑顔で挨拶することなどを指導している。コンプライアンスの実践や従業員マナーマニュアルでも、言葉遣いや個人の尊厳についての記載があり、職員は職場を明るく楽しくして働きやすくするようになどの言葉で表現している。保護者との関わりの項目でも、保護者を批判的に見ないことや、子どもの気持ちを汲み取りユーモアを大切にすることなど、保育指導計画などにも盛り込んで伝えている。

苦情解決制度については入園のしおりに記載され、保護者向けに説明するほか、園児及び保護者からの意見・苦情などが有れば直接本社や園長に話が出来るようにして、意見箱も設置して保護者の意向を把握し対応するようにしている。職員の言動等については職員同士が相互評価を行い、互いの言動を振り返る機会としている。虐待については入社時の本社研修などで説明があり、園内外での虐待防止を徹底している。親などからの虐待がうかがえる場合には速やかに児童相談所と連携し、迅速に対応する体制を整えている。

地域貢献や地域との関係づくり、実習生・ボランティアの受け入れは、要望があれば対応するとのスタンスで具体例は聞かれなかった。園長などが区園長会に出席して行政伝達事項や他園状況などを収集している。地域との関わりでは町内会には入会しているが祭礼など行事参加はなく、職員からも実習生・ボランティアも含めて地域との関わりが薄く地域交流が増えると良いという声も聞かれている。近隣クリニックからの申し出で子どもの折り紙制作を窓辺に飾れているほか、雪の日には園前の坂道の除雪を積極的におこない、地域貢献につながればと考えている。

リスクマネジメントについては役割分担表を作成するほか、事故・感染症・不審者等のリスク毎に関係各所の連絡先一覧も明示し、感染症や消防計画の各種マニュアルは整備され、年間避難訓練計画に沿った避難訓練を実施している。ＢＣＰ（事業継続計画）は本社主導により既に策定済みだが、コロナ版の追加や定期的な見直しが必要である。ヒヤリハット・事故報告の再発防止は記録を残し、職員会議や昼礼で反省会を開き見直しをしている。今後はコロナも含めた危機管理意識の向上に努めると共に園児見守り体制や午睡チェックの徹底も望みたい。

園児の安全の確保・向上については、避難訓練のほかには感染症情報等を職員間で共有し、必要があれば保護者会などで園長からも説明している。事故・感染症・不審者などの被害発生時や注意情報等が出た際には、区などとも連携して園内掲示や説明会などを開催している。園庭が狭いことや前面道路が坂道で滑りやすいことなどがあり、区・警察・町内とも連携して安全に出入りできるよう努めている。今年度は特にコロナ対策で衛生管理の徹底に力を入れており、玩具・機器類の殺菌消毒を午前と午後で２回おこない、ワクチン接種も励行している。

個人情報保護などについてはホームページに「コンプライアンスの実践」の項目があり、顧問弁護士の監修のもと、個人情報保護や漏えい防止、虐待禁止、社内ハラスメント撲滅などを明文化して、コンプライアンスの実践こそが子供たちへの保育サービスの向上につながる、と明記している。保護者には利用契約の重要事項説明の中で個人情報取得同意書に署名・捺印を得るほか、職員に対しては入社時オリエンテーションや社内研修の際に、個人情報や機密漏えい防止、虐待について説明し、誓約書を貰っている。今後は定期的な確認も必要である。

求める人材像は「子どもを愛し気持ちを受け止めて感性を育てる大事な役目があり、愛情をたっぷり注ぎスキンシップや気持ちに気づくことが大切。気持ちに共感し寄り添い良い点を伝え褒めることで子どもに安心感が育ちます」などと定め、適性や力量を見ながら優しさとしさと温かさが感じられる人を採用している。園長の人柄が良い人材を集め、訪問時にも特に問題のある方は見られなかった。昨年よりコロナ禍で行事なども多くが中止にされたため、保護者との関係も薄くなりがちで、年度後半は保護者会と運営委員会も面会式で開催できるよう希望する。

園内研修は年２回実施するほか外部研修については５月頃に年間予定を掲示し、年間の個人別研修計画を立案して、交通費と参加費用は会社で負担しているが、ここ２年間はコロナでオンライン研修となっている。客観的な人事考課制度を導入し、有休休暇やリフレッシュ休暇が取りやすいようにして疲労・ストレスの改善を図っており、懸案のキャリアパスは現在総務・労務部門で確認作用が続いている。キャリアがあり質の高い保育士は適切に評価し待遇改善して定着を図り、いずれはリーダーから準副主任・主任も務めて貰えるよう望みたい。

正社員に対しては本社研修にて講師による職員能力向上に向けた講習を定期的に実施するほか、区主催などの外部研修にも積極的に参加できる体制を整えている。現状では新卒者や経験の少ない保育士への指導が課題となっており、本社からのサポートも必要な状況である。１１月より新人事システムが稼働したことで、子どもの基本的な生活の土台を確立し「みんなの保育指針」を実践するため職員が安心して永く働けるような組織と職場づくりが進み、福利厚生の充実にもつながるよう望みたい。

法人ホームページでは、さくらさくみらいの思い・保育・お知らせ・会社概要・プライバシーポリシーをはじめ、運営している全園の情報を開示している。お知らせで最新情報、今年度４月に保育園で働く職員、就職を目指す学生向けに情報提供サイト「さくらスマイル」を立ち上げ、６月から新たな幼児教育プログラム「ＣＬＩＰ」を始動させた事などをお知らせしている。今年度最初のブログは「４月が始まりました」と題して、進級して一つお兄さんお姉さんになったり、初めての保育園でドキドキの新しい子供たち、ワクワク溢れる年にしたいと綴っている。

区のホームページからも園の方針や取り組みを等を掲載してあり閲覧可能である。毎年第三者評価を受審して情報提供と透明性を高めている。保護者や職員アンケートにて意向や要望を聞き取り、改善点を洗い出してより良い園となるよう活かしている。職員アンケートでは前年度より良くなったと思う点に「職員会議でのワーク、情報共有ができる・全体で協力し合って保育している・園の雰囲気が良くなった・毎日の職員会議で保育の振り返りや注意すべき環境等把握できた」との意見があった。

新規入園者の見学希望や問い合わせは園長が窓口となり、電話連絡で日程調整したり質問・要望を受けて見学記録簿に記載している。今年度もコロナ対策に配慮し、玄関での検温・手指消毒・マスク着用を義務付けた上で時短で実施している。事業所パンフレットを手渡しブログの更新を毎日実施していることを伝え、園児達がどのように過ごしているのか雰囲気を掴む手段として案内している。今後はブログ掲載を遊びだけでなく園児の日常や看護師・栄養士視点でのブログ掲載を取り入れたいと考慮している。

新入園児保護者には入園前に保護者説明会を実施し、利用者の思いを汲みとって混乱を招かぬように分かりやすく丁寧に説明している。入園のしおり（兼重要事項説明書）を使い、保育理念・方針・目標はじめ費用や感染症に関すること・相談窓口などについて確認・説明を実施して周知を図り、最後に全項目（４６項目）の中で特に差異が生じないように伝えた箇所について赤字で掲載し注意を促している。入園説明会で個々に面接を実施し、保護者の意向は園長が聞き取り、面談記録に残している。

クラスで個人児童票を作成して誰が見ても分かるように個々にファイルし、園児・保護者が安心して通園できるよう配慮している。希望者には慣らし保育を２週間前後を目処に段階的におこなっている。預かる際に体調や様子などを細かく聞くとともに、個々の連絡帳から情報を得ている。また、迎え時は口頭でエピソードを含めた話を丁寧にするほか、連絡帳に１日の様子を記載し共有している。入園後は様々なおたよりやクラスだよりの発行や保護者会・運営委員会・個人面談を実施して、園の取り組みなどを伝えている。

小学校へ引き継ぐ資料として児童保育要録を小学校へ送付または持参して、園児・保護者の不安を減らし継続性に配慮している。幼児期終了までに育って欲しい１０の姿を目安に保育を実践して小学校へつなげている。４月の園だより「お知らせ」で、３月１３日に卒園式を開催し、在園児からの暖かいお祝い飾りの中、１６名の園児が巣立ち「素敵な卒園式でした」と出席者の方々から言葉をもらったことを伝えている。また、その際の様子は「第２回卒園式」と題してコメントとともに写真を掲載しブログで紹介している。

園児一人ひとりの心身の状況が把握できるように健康記録と発達記録を別々に記録するほか、乳児は連絡帳、幼児は連絡ノートを活用して保護者に日々の様子を伝えている。運営委員会・意見箱・行事後のアンケートを実施することで把握したニーズを次に反映させるなど、保護者の意見を聞く機会を多く設けている。年間指導計画は４期に分け１期ごとに必要な改善点を話し合い、職員会議にて周知を図っている。指導計画は、保育指針に基づき年齢に沿った計画を立て、振り返りを実施している。

週・日案では週毎のねらいを立てて子どもの活動の様子と振り返りを毎日実施し、週の振り返りと自己評価により次の課題を抽出している。職員会議・リーダー会議・クラス会議などにて月案の振り返りと自己評価をして進捗状況を確認し、次の指導計画に反映させている。現在、加配対象の園児は不在だが、個別指導計画を作成して状況に応じた会議をおこない職員で連携する体制を整えている。指導計画は、クラスだよりにその月の目標や予定を記載することで、分かりやすく保護者に伝えている。

職員会議・昼礼で情報を共有し、昼礼簿の活用により早番・遅番への伝達が一本化されている。職員アンケートで「職員会議がただの報告会になっている・保育者同士の協力が出来ないこと・職務怠慢な職員がとがめられないこと・職員間の伝達不足でスムーズに進まない事がある・職員がもっと元気に挨拶できると良い」との意見があった。伝達漏れや全職員が一段と周知しやすく分かりやすく工夫する必要があると考えている。

入園時面談・職員会議等にて個々の発達や生活環境を把握して現在の子の姿を捉え、連絡帳・保育日誌・児童票などに記載している。子どもの主体的な活動を育めるよう散歩や園遊びの充実化を図り、年齢に合った遊具・玩具・絵本など手に取れるように配置し、また、壁面・掲示物等で興味・関心が持てるようにしている。園児一人ひとりの発達や子どもの気持ちに寄り添い、尊重して保育にあたり関わりを大切にしている。今後は担任以外の職員でも責任をもって見守り、配慮や助言を深めたいと考慮している。

保育目標「心身ともに強い子ども・明るく元気な子ども・考える力を持つ子ども・思いやりのある子ども」を基本に、互いを尊重する心が育つような保育を実践している。合同保育・延長保育・異年齢交流などを通して、人間関係が自然に作られる環境を大切にしている。特別な配慮が必要な子どももクラスの児と生活を共有し、特に配慮が必要な場合は職員を増やして対応している。園児同士でのトラブル発生時は、子の気持ちに寄り添い、仲立ちが必要なら互いを尊重し必要な配慮や助言をしている。

今年度５歳児が９名在籍しており卒園予定である。小学校への連携は申込制という事もあり、今年度も未実施である。５歳児クラスだより臨時版７月と１２月に「就学に向けて」発行し、保護者に分かりやすく伝えている。「平仮名などの文字や数字」「現在の活動」についてや、「基本的な生活習慣」は早寝・早起きを心がける、朝ごはんをしっかり食べる（食前・食後姿勢を意識する）、自分のことは自分でできるようにする（整理整頓を含む）、と記載し「焦らず・その子のペースで進め、出来たら沢山褒めること」をお願いしている。

コロナ対策として事務所前に手指消毒液を設置し、登降園時には保護者のマスク着用と検温、体温確認を義務付けている。登園時は時間もあまりなく話せないが、視診とともに保護者から丁寧に聞くほか、連絡帳や昼礼簿にて把握している。打刻機前で密にならないように床に赤ラインで①②③と順番付け「こちらでお待ちください」と掲示し、また、「入口のところは朝・夕は開けている。感染対策として保育中は閉めているので安心してください」と扉に貼って伝えてるなど、コロナ対策に万全を期している。

昼食時に子どもが食べている間に保育者がコットを用意し、食事・着替えの済んだ児からコットに横になって過ごしている。園児は自身のタイミングで眠りに入るが、保育者は園児一人ひとりに優しく触れながら入眠できるよう対応している。児の発達や健康状態・家庭環境・保護者の意向などを配慮した午睡をおこなっている。５歳児は就労に向けて１月頃から午睡時間を徐々に減らしている。１２月は移行期間として眠りたい子はそのまま、早めに起きた子や眠らない子は少し早めに起きて机上での活動をして過ごしている。

保育者勤務はシフト制のため、早番・遅番が必ずしも担任になるとは限らない。連絡帳・クラス連絡票や口頭で伝達し、遅番でもその日の様子や健康状態が漏れなく伝えられるように体制を整えている。保護者アンケートでは「トラブル等の情報配信が遅い・人によりバラツキが大きい、引き渡し時に先生が来ない時が多い・主任も不在で誰に相談すればいいのか分からない」との声があった。「みんなの保育指針」にある、保護者との「基本的な考え方・相互理解のために、配慮すること、支えるために、苦情対応」の再確認も必要かと考える。

出来る限り制限を少なくして自由遊びの時間を設けて自主性を尊重し、園児の発達や興味関心に応じて臨機応変な環境構成に努めている。朝の合同保育後に各クラスに戻ると、園児自身で遊びを選択し、それぞれのコーナーでままごとやブロック・机上遊びを楽しんでいる。訪問時、２歳児は好きな絵本を自由に取り出し、保育者の膝上で読んでもらう児や読んでいる絵本を互いに取り合い保育者の真似をして読み聞かせしている児もいた。昼食の時間となり保育者が片づけ始めると、園児も数冊まとめて抱え込んで片づけていた。

集団の中で園児一人ひとりが生き生きとした表情で自分を発揮できるよう働きかけ、遊びの中に保育者が関わり思いを共有している。ごっこ遊びが発展するように生活の言葉を丁寧に伝え合っている。音楽リズム体操や絵本から色々な表現の仕方を知って楽しめるよう取り組んでいる。３歳児の水遊びでは、最初は水の冷たさや水しぶきに戸惑っていたが、今では「先生見て」とプールの水に顔を付けたり、もぐったり・ワニ泳ぎをする児がいるなど、ダイナミックに遊べている。保育者は安全に配慮し見守りながら園児が水に慣れるよう取り組んでいる。

天候が悪くない限りは暑さ指数で熱中症予防に努めながら毎日戸外に出掛け、季節を感じながら十分に体を動かす機会を設けている。公園に到着後は危険物やゴミが落ちていないかなどの安全点検後に活動開始している。１歳児が午後の散歩に出かけた際は、商店街や園周辺を歩くことが多く、魚を良く見に行っている。鯉を見ると「大きいね」「あれはパパでこれはママ」と話したり、鯉の動きに併に合わせて園児も左右に動いてじっくりと観察して、帰園の際には「お魚さん、バイバイ」と手を振ってお別れしている。

園のしおりで主な行事を掲載し、内容を検討する際には普段の保育を重視して子どもの興味のある事柄・できるようになったこと・行事のねらいなどを確認し合い取り組んでいる。訪問時１月の誕生日会を行事担当２名が各クラス（今回０歳児は中止している）を乳児・幼児と内容に変化を持たせて巡回して開催している。１歳児では誕生日児１名が冠を付けて前に出て座り、園長よりカードを貰い誕生日の歌をみんなでプレゼントしている。その後、パネルシアター「やだっとちゃん」や１月の歌３曲「カレンダーマーチ・雪・やぎさんゆうびん」を楽しんでいた。

今年度は親子で楽しむ運動会「ハッピー親子DAY～さくらさくオリンピック」と題して、１０月２３日（土）に園舎２階を広く使って各クラス（０歳児は除く）ごとの入れ替え制で保護者２名参加で開催している。１０月に入ると年齢別に競技や体操の練習をおこない本番を迎えている。１・２歳児は親子競技での参加とし、３・４・５歳児は園児の競技と親子競技実施するなど発達段階に応じた種目を揃えている。５歳児では「心をひとつにきりん組の絆」と題して組体操とダンスを披露し、「親子でバトル」では玉入れで熱いバトルを繰り広げている。

入園時に年間行事予定表を配布するほか、毎月の園だよりと各種お知らせの掲示、配布により保護者に案内している。保護者参加行事は土曜日開催と決め、多くの保護者が参加できるよう配慮している。行事後のアンケートで意見や感想を募り、可能な範囲で希望に沿えるよう対応している。保護者アンケートでは「年間予定の変更があれば早めに教えて欲しい・季節の行事も取り入れてありがたい・とにかく行事が少ない」との意見があった。今後は活動や行事の取り組みをより分かりやすく書面等で伝えたいと検討している。

入園のしおりに延長保育時間の食事提供の考え方についての記述があり、延長保育は１８時１５分を目安に捕食を提供し、スポット延長は当日１４時までの連絡で対応し連絡が遅れるとアレルギー対応のこともあって提供できない旨を伝えている。捕食（おにぎり）はわかめ・おかか・鮭・コーン、せんべい・ビスケット・ミニアスパラガスなどで提供している。保護者アンケートで「残業に対しては柔軟だが、午前子どもの病院で休み午後から出社の際に対応不可と言われ大変困った」との意見があった。

月案の中に「長時間保育の配慮」を落とし込み、例えば５月の１歳児では「保育時間が長くなるため、疲れが出ないよう落ち着いて過ごせる環境づくりをする」、５歳児では「片付けを最後までおこなえるようにし、部屋を整える習慣がつくようにする。それぞれの思いを受け止め、のびのび過ごせるようにする」としている。時間帯や人数に応じ遊びの内容や保育室の使い方、保育体制等を臨機応変な対応に努めている。

みんなの保育指針で「食事で大切にしていること」は食べることが生きること、「食を営む力」の基礎を培うことと明記し、１楽しい食事時間、２健全な発育を支える関わり、３食事のマナーについて、と分かりやすく記している。園児自ら食に興味が持てるよう楽しい食事環境に努めている。本社統一の献立だが、食べ具合を把握してアレンジしている。昼食時には栄養士が各クラスを巡回し喫食状況を把握し、給食会議などで献立の振り返りをおこなっている。今後も感染対策やマナーを踏まえ、安心・安全に楽しい食事提供したいと考えている。

全体的な計画に食物アレルギー対応、生活管理指導表・個別面談と面談補足確認・家庭における食物除去の程度確認・個別取り組みプランの作成・最終確認面談・ピンクトレー（名前と食材記載）・ピンクの食器・個別机・個別台ふきん・アレルギー児用食事介助エプロン・アレルギー児献立・トリプルチェック・アレルギー児一覧表（調理室内に掲示）、と明記して実践している。現在アレルギー児は２名在籍し安全な食事ができるよう、園長・保育士・栄養士間で連携体制を整えている。

年間食育計画を栄養士を中心担任と作成し、食事について興味関心がもてるよう取り組み、各学年の成長過程に応じて配慮し「食の楽しさ」を伝えている。食育の様子はブログに掲載しており、食育活動５月では、５歳児は「あんぱんクッキング」、４歳児は「ラップおにぎり」をクッキングしておやつで実食している。６月で１歳児は手を洗って調理の話を聞いて「野菜・果物を洗う」ことに挑戦している。「これなあに？」と問うと、「人参・オレンジ・りんご」と理解して答えることができている。

３つの年間保健計画を基本に、年間目標「１生活リズムを整え、基本的生活習慣を身につける、２体のしくみを知り、体力づくりや病気、感染予防などを通して自ら健康増進を図る」を看護師が立案し、３か月ごとに目標を立てている。１期目標は①健康状態を把握する、②衛生的な生活習慣を身に付け生理的要求を十分満たせるようにする、として活動内容・留意点・保護者への保健指導・環境整備・組織活動を実施し、１期ごとの評価・反省を記載している。近隣医連絡先を掲示し、怪我発生時に慌てず医療機関に連絡できる体制を整備している。

コロナの影響で検温やマスク着用・手指消毒・手洗い・うがいの励行に加え玩具や手すりの消毒・掃除など、より一層の感染症対策に取り組んでいる。９月に２歳児の手洗い指導を実施している。１回目は看護師から手洗いの話や紙芝居を真剣に聞き、手洗いスタンプを使って上手に洗えている。２回目は朝のおやつ前の手洗い時に、手洗いスタンプを使っておこないばい菌模様が消えるまで洗うことができている。感染性胃腸炎の発生に伴い、職員全体で対応強化を図り、知識・対応力を高めることができている。

入園時及び年２回嘱託医と連携して健康診断をおこなっている。０歳児は毎月身体測定（身長と体重）を実施し、その結果はともに児童票と連絡帳に記載している。毎月「すくすくだより」を看護師が発行して保健に関する情報を発信している。看護師視点でのブログを月１回掲載しており、５月「幼児クラスの身体測定と０歳児の様子」、６月「戸外活動時には熱中症指数をチェックして実施していること」、８月「検温の正しい測定の仕方の確認」、１１月「区の歯科医師と歯科衛生士による正しい歯みがきやうがい、虫歯予防の話を受けたこと」を紹介している。

登園時に園長は玄関から入ってくる保護者と園児を笑顔で出迎えて挨拶を交わし、出勤していく保護者に「行ってらっしゃい」と気持ちよく声をかけ送り出している。また保育室では保育者が同様の対応で雰囲気づくりに努めていることから、園児と保護者が安心できる環境であると推察する。個人面談時に家庭での様子を聞いて子育て支援に努め、迎え時には保育者を交えて１日の様子を伝えるよう徹している。行事・保護者会・懇談会・保育参観などで保護者同士が交流できる機会を設け、職員とも信頼関係が構築するよう取り組んでいる。

毎月発行している園だより（クラスだより）・すくすくだより・ぱくぱくだよりを通して子育てに役立つ情報を提供している。ぱくぱくだより４月では「園では毎日の食事を食育教材」と位置付け、丁寧な食事支援を実施していることや、おいしさの理由・楽しさの理由をイラストを交えて伝えている。また、毎月全園の調理から募集したレシピ、ご飯もの・おやつや郷土料理などを紹介している。今年度スタートさせた幼児クラスの「ＣＬＩＰ（クリップ）」で「ことば・もじ」「かず・かたち」に取り組み、園内に掲示して紹介している。

戸外活動時に近隣住民と挨拶を交わしたり、公園で出会う他園と気持ちよい挨拶を交わしている。散歩する園児を見て医師・看護師から、患者の和みになるのでと声をかけた貰ったことがきっかけで、今年度は地域交流の一環として近隣診療所の待合室に幼児制作の折り紙が飾られることになった経緯がある。現在、コロナの影響で園児同士の直接的な関わりが難しい状況ではあるが、今後はコロナ禍でも間接的な関わりができるかどうか検討し工夫した取り組みに期待したい。

契約時に重要事項説明書にて個人情報の取扱いについての５項目を丁寧に説明するほか、「入園時同意書」ではブログへの園児の写真掲載や写真販売のための販売会社への個人情報や画像データを提供することなど９項目について同意の有無を確認している。また、必要があれば保護者にその都度事前の確認をおこなっている。前年度コロナの影響で運動会等への保護者参加を中止する姉妹園も多く、代替えとして期間限定動画の保護者向け発信を取り入れた園もある。今年度より新たに動画掲載を取り入れるため再度同意をもらっている。

保育者からも写真掲載などで同意を取り、ブログ掲載時に個人が特定できないようスタンプを施すなどプライバシー保護に配慮し、着替えやおむつ交換などは特定の場所でおこない、各園児の人権を尊重し羞恥心に配慮した保育を実践している。保護者との挨拶や会話からさりげなく生活状況を聞きだして思いを受け止め、価値観や生活習慣に配慮した保育に努めている。本社のコンプライアンス委員会の注意喚起やアンケートをもとに、職員の意識向上に取り組んでいる。

内には事故やけが・虐待防止のため防犯カメラが設置され、必要時に園長が職員とともに確認している。園長は巡回時に気づいたことがあれば、職員会議等で取り上げて話す機会を設けている。保護者アンケートで、「安全対策・感染対策」「職員の態度」「引き渡しと引き取り時に差がある」「朝も夕も担任に会えない」などの意見・要望があった。虐待に関しては自治体研修と入社時の本部研修のみのため、今後は虐待予防対策の周知をを含めて保育者自身の保育を振り返る機会があると良いと考える。

就業規則・児童虐待防止マニュアル・危機管理マニュアル・保育マニュアル・BCP（事業継続計画）など必要なマニュアルを整備し、いつでも確認できるよう事務所で管理しているほか、本社入社時に研修を受け必要な際に活用できるよう、各自「みんなん保育指針」を携帯している。日々見直しや手順・期限等のメールが本社よりあるため、職員に伝えやすい体制である。今年度は感染症対策の見直しを本社経由でおこない、掃除の際の次亜水濃度をコロナの期間だけ０．０５％に強化するよう変更している。

全園統一の「みんなの保育指針」が完成し、これから全体に浸透させていこうとしている矢先にコロナの流行があり、そのまま中断された経緯がある。今年度は「みんなの保育指針」策定時の中心メンバーでもある他園園長が来園し、環境やクラスの悩み相談をして指針の浸透を図るほか、新たに「拠点勉強会」を設け、同一エリアの姉妹園と情報共有する機会を取り入れている。今後はコロナの如何に関わらず、本社プロジェクトチームのメンバーによる園巡回を実施し、指針内容の浸透が正しく進むよう望みたい。

職員会議等で職員が顔を合わせて話し合う機会を持ち、日常的にも話しやすい雰囲気づくりに努め、園長は基本事務所で過ごしているが、何かあればいつでもフォローに入れる体制でいる。定期本部会議に園長が参加し報告を受け、園に持ち帰って職員会議や昼礼で周知し職員会議で意見を出し合っている。職員アンケートで「子どもを第一に考え行事・保育・食育等をおこなえる、保護者に寄り添っている、園の雰囲気が良好、保育者同士の仲が比較的良好」など、前向きな意見が多く聞かれた。今後も職員の意欲向上につながる育成方法の確立に期待したい。