東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

さくらさくみらいは東京・埼玉・千葉などで９０か所近い保育園を運営しており、今後も新規開園予定である。中板橋は開設から７年が経過し駅前マンションの２階という好立地をいかし、２年前から定員を８７人に増員している。その一方で多国籍の児童や気になる子も増えており、子ども・保護者とのコミュニケーションなど難しい面も出てきている。当初の近隣トラブルも解消し、園庭が無いという不利な部分も運動や散歩など運営による努力によって補おうと努めている。

定員８７人に対して８２人の園児が通い、園庭は無いが防犯カメラ４台とセキュリティー性能は高く、昼食・おやつも全て手作りとしている。園長は保護者等とのコミュニケーションに努めるほか園児の健康状態や様子観察を行い、保育士との円滑な連携を図っている。ワンフロアが本室と分室２か所に分かれているため、やや分かりにくい印象がある。長年務めた園長が昨年度交代し、区や本社にも必要な協力を仰ぎながら、「さくらさくみらいの保育指針」を職員のほか利用者にも分かりやすく伝えようと努力している。

園内の事は職員会議で全員で話し合うことを基本に本社サポートとも連携して昼打合せなどで周知している。園長は全員に声を掛けて意見を聞き合意の上で進めるという流れがあり、職員からは、研修に参加しやすいこと、職員の主体性が増し考える力が育っている、などが良い点として上がっている。保護者からは「先生はどの子でも名前を呼んで挨拶してくれる」、「他者との関わりや社会ルールを学べている」などの声が聞かれた。若くて熱心な保育士を経験豊かな先輩がOJTで育成しながら、理念に沿った保育園作りに取り組んでいる。

保護者などの意向や要望などは契約時の重要事項説明の際に苦情解決の仕組みを伝え、年２回の保護者会でも保護者会アンケートを行って、無理のない範囲の要望であれば対応するよう努めている。重要事項説明や第三者委員については入園時１度きりの説明では保護者理解が覚束ないため、繰り返し説明することが課題となっている。訪問時にも、園長は本室と分室を行き来しながら登降園の際に保護者などに声を掛け、園での様子や保護者が関心をもちそうな事などを伝え、要望等があれば直接聞けるような姿勢で対応している

地域の福祉ニーズの収集については、地域の商店街での買い物に出掛ける際に店員などと言葉を交わす機会はあるが、お祭りや合同防災訓練など地域の方と頻繁に触れ合う機会はまだ多くない。散歩や公園遊びの際や校庭開放などで他保育園と一緒になった時には一部接触はあるのだが、保育園の職員同士で話し合うような場が少ないため、今後は区内の法人認可園や区の私立保育園園長会などを活用して園の相互訪問や職員交流なども行えるようになると良いだろう。

保育園単独の中長期計画は確認できなかったが、単年度事業計画にあたる保育課程は作成され、それを基に年案、月案、週案が作られて、日々の保育へとつながっている。保育課程作成にあたっては、前年度の振り返りを十分に行い、次年度の計画立案を実施している。計画にはスタッフ全員が関わり、サービスの現状と想定されるリスクについても検討して、日常を大切にしながら愛情をたっぷり注ぐことで園児が十分に楽しめるよう工夫している。計画推進にあたっては余りにも実態にそぐわないと感じた時には、随時見直すこととしている。

職員が守るべき法・規範・倫理については、入社前後の研修で保育園は児童福祉施設であることを認識して行動するよう説明し、園外に出た時も地域の方に笑顔で挨拶することなど指導を行っている。コンプライアンスの実践や従業員マナーマニュアルでも、言葉遣いや個人の尊厳についての記述があり、職員は職場を明るく楽しく働きやすくするようになどと指導を行っている。保護者との関わりでも、保護者を批判的に見ないことや子どもの気持ちを汲み取りユーモアを大切にすることなど、保育指導計画などにも盛り込んで伝えている。

苦情解決制度については入園のしおりに記載され、保護者向けに説明をしている。園児及び保護者からの意見や苦情などがあれば、直接本社や園長に話が出来るようにしており、ふれあい箱を設置して保護者の意向を把握して対応できるようにしている。職員については相互評価を行い、互いの言動を確認する機会を設けているが、まだ改善の余地があると感じる。虐待については入社時に本社研修の中で説明し、園での虐待防止を徹底していて、もしもそうした事案があれば家庭支援センターや児童相談所と連携し、迅速な対応ができる体制を整えている。

事業所機能や福祉の専門性を活かした取り組みおよびボランティア受け入れについては、要望があればその時点で検討し対応する姿勢で、保育実習生は既に来訪している。地域関係機関との連携は、区連絡会や区園長会等に出席して地域の情報等を収集している。地域との関わりについては地元町内会に加盟して会費も払っているが、地域のお祭りなどはここ２年間参加できてなく、今後は高齢者施設との交流が出来るよう模索している。地域の一員としての役割については職員と話しながら、ひとつずつできるところからやっていくとしている。

リスクマネジメントについては役割分担表を作成して事務室内に掲示するほか、リスク毎に関係各所の連絡先一覧も明示している。年間避難訓練計画を策定して必要な訓練は実施し、２年前にＢＣＰ（事業継続計画）も策定され、スマホアプリを自動参集システムの替りに用いるなど、台風等にも活用している。ヒヤリハット・事故報告の再発防止と対策の見直しについては記録を残し、職員会議や昼礼の中で反省会をして見直しをおこなっている。職員の危機管理意識の向上については、日頃の見守りやあおむけ寝など午睡チェックの徹底などにも取り組んでいる。

園児の安全の確保・向上については、避難訓練のほかには感染症情報等を職員間で共有し、必要があれば保護者会などで説明をしている。事故・感染症・不審者などの被害発生時や注意情報等が出た際には、区などとも連携して園内掲示や説明会などを開催している。園庭が無いことや近隣との課題など、設備的には簡単な解決が難しいことは、極力話し合いと協力を得て運用面でカバーするよう努めている。

個人情報保護などはホームページに「コンプライアンスの実践」項目があり、個人情報保護や漏えい防止、虐待禁止、社内ハラスメント撲滅などを明文化しており、コンプライアンスの実践こそが子供たちへの保育サービスの向上につながる、と定めている。保護者には利用契約時の重要事項説明の中で個人情報取得同意書に署名・捺印を得るほか、職員に対しては入社時のオリエンテーションや社内研修の際に、個人情報や機密漏えい防止について説明し、誓約書を貰っている。個人情報管理について職員アンケートの数値は概ね良好と考える。

求める人材像は「子ども達の個性を大切にしながら、保育指針に則った保育を行っていく。利用者のニーズに合わせ柔軟に対応していく。地域や行政と連携した保育の実践」などと定め、適性や力量を見ながら優しさと温かさが感じられる人を採用している。園長の優しい人柄が良い人材を引き寄せられるよう期待したい。職員育成については年２回園長面談を行い年１回の本社面接の際にも口添えしている。園長は人材育成の難しさを痛感しており、相手により伝え方を変えるなどの必要も感じている。

園内研修は年２回実施するほか、外部研修については５月頃に年間予定を掲示して、年間の個人別研修計画が立てられ、交通費と参加費用は会社で負担している。職員評価については客観的な人事考課制度が導入され、有休休暇やリフレッシュ休暇、退職金制度も整備されて、本人のやりがいと自信につなげ、懸案のキャリアパスは現在本社総務・労務部門にて確認作用が続いている。キャリアがあり質の高い保育士は十分に評価して待遇改善して定着を図り、いずれはリーダーから準副主任・主任も務められるように大胆かつ効果的な処遇改善を期待したい。

正社員に対しては本社にて外部講師による職員能力向上に向けた研修が定期的に受講できるほか、希望する外部研修にも積極的に参加できる体制を整えている。職員アンケートでは「ＰＣＲ検査などコロナ対応は適切にできている」、「PCを増やしドキュメンテーション作成などに活かせている」、「園児数に見合った職員数の確保」などの声が聞かれている。今後も職員の福利厚生をさらに充実させ、職員が永く安心して働き続けられるよう、定着率の向上のため職場環境の整備を希望する。

法人ホームページでは、さくらさくみらいの思い・保育・お知らせ・会社概要・プライバシーポリシーをはじめ、運営している全園の情報を開示している。お知らせで最新情報、今年度４月に保育園で働く職員、就職を目指す学生向けに情報提供サイト「さくらスマイル」を立ち上げ、６月から新たな幼児教育プログラム「ＣＬＩＰ」を始動させた事などをお知らせしている。今年度最初のブログは４月２日「３歳児進級しました」からスタートし、「進級・入園おめでとうございます」と記載し、新しい保育室・新しい玩具で遊ぶ様子を紹介している。

毎年第三者評価を受審して情報提供と透明性を高めている。保護者や職員アンケートにて意向や要望を聞き取り、改善点を洗い出してより良い園となるよう活かしている。職員アンケートでは前年度より良くなったと思う点に「コロナ禍で新しい保育や行事のあり方を職員で話し合い実践できた・動画配信できた・職員の主体性を発揮させ自分たちのペースで取り組み考える力が育っている」との意見があった。ブログに「２０２０年度の苦情について」を掲載し、苦情の窓口や苦情解決の流れを明記している。

新規入園者の見学希望や問い合わせは園長が窓口となり、連絡を受けて日程調整して見学表に記載している。今年度もコロナ対策に配慮し、玄関での検温・手指消毒・マスク着用を義務付けた上で少人数で受け入れている。玄関から案内し室内環境を分かりやすく説明し質疑応答の時間を設けている。今年度見学用パンフレットができたことで、今後はより分かりやすく園紹介が出来ると思われる。また、ブログ掲載の偏りや滞りがあるため、各担当が持ち回りでこまめに更新できるよう期待したい。

新入園児保護者には事前連絡して個人面談を実施し、利用者の思いを汲みとって混乱を招かぬよう分かりやすく丁寧に説明し、持ち物や準備の手順など写真入りの手紙を配布している。入園のしおり（兼重要事項説明書）を使い、保育理念・方針・目標はじめ費用や感染症に関すること・相談窓口などについて確認・説明を実施して周知を図り、最後に全項目（４６項目）の中で特に差異が生じないように伝えた箇所について赤字で掲載し注意を促している。保護者の意向は園長・担任が聞き取り、必要に応じて児童票などに記載している。

クラスで個人児童票を作成して誰が見ても分かるように個々にファイルし、園児・保護者が安心して通園できるよう配慮している。希望者には慣らし保育を１週間前後を目処に段階的におこなっているが、保護者・園児に負担がないよう話し合い無理なく進められるよう保育時間を決定している。乳児はなるべく詳しく連絡帳に記入して、乳幼児ともに子どもの姿を口頭でも伝えている。入園後は様々なおたよりやクラスだよりの発行や保護者会を実施して、園の取り組みなどを伝えている。

小学校へ引き継ぐ資料として児童保育要録を小学校へ送付または持参して、園児・保護者の不安を減らし継続性に配慮している。幼児期終了までに育って欲しい１０の姿を目安に保育を実践して小学校へつなげ、就学前個人面談を実施している。昨年度の卒園式では１８名の園児を送り出し、コロナ対策で時短による開催だったが無事に終え、またランドセルを背負った姿を見せに来てほしいことや、この１年で成長したことを胸に小学校でも頑張ってほしいと、送る言葉を伝えている。

園児一人ひとりの心身の状況が把握できるように健康記録と発達記録を別々に記録するほか、乳児は毎日連絡帳へ記載し幼児は１か月ごとに連絡ノートに記載して保護者に日々の様子を伝えている。行事後に行事アンケートを実施することで把握したニーズを次に反映させるなど、保護者の意見を聞く機会を多く設けている。年間指導計画は４期に分け１期ごとに必要な改善点を話し合い、職員会議・乳幼児会議にて周知を図っている。指導計画は保育指針に基づき年齢に沿った計画を立て、振り返りを実施して今後の成長を促すような指導計画を修正している。

週・日案では週毎のねらいを立てて子どもの活動の様子と振り返りを毎日実施し、週の振り返りと自己評価により次の課題を抽出している。月１回の職員会議・乳幼児会議にて月案の振り返りと自己評価をして進捗状況を確認し、次の指導計画に反映させている。各クラスの保育課程や個別指導が必要な児には相談しやすい環境づくりに取り組み、区の要支援児巡回相談でのアドバイスを参考に指導案を取り入れている。１年のクラス目標に向けどのように実践していくのか、年度当初の保護者会やクラスだよりで分かりやすく説明している。

職員会議に各クラスの近況報告として伝え、昼礼や連絡ボード等で全職員が共通理解できるよう図っている。職員アンケートで「情報共有ができている・目的遂行に対する協力体制ができている・研修に行きやすい」との意見の一方で、「園内研修や研修報告があると良い・園長の職員に対する態度が気になる時がある・人員不足」との意見があった。互いにクラスの計画等を公表して活かしていけるようにすることや、指導計画は各クラス・全体でも共有する時間を定期的に設ける必要があると考えている。

入園時面談・職員会議等にて個々の発達や生活環境を把握して現在の子の姿を捉え、連絡帳・保育日誌・児童票などに記載している。本社指針に沿い子どもが主体的に活動できるように見守るほか、子どもの興味あるものを用意し自由な発想で遊べるようにしている。クラスごとの関わりも大切だが、朝・夕の合同保育での関わりの中で、年齢問わずみんなで一緒に過ごすことで互いを刺激し合い、遊びの幅が広がったりコミュニケーション能力を高め合える環境づくりに努め保育を実践している。

保育目標「心身ともに強い子ども・明るく元気な子ども・考える力を持つ子ども・思いやりのある子ども」を基本に、互いを尊重する心が育つような保育を実践している。合同保育・延長保育・異年齢交流などを通して、人間関係が自然に作られる環境を大切にしている。外国籍の保護者や園児もいるので、簡単な言葉を通し他国に興味が持てるよう努めている。気になる子への対応はクラス内のほか全体で取り組み、専門機関と連携して相談し保護者との面談を実施し、必要なら区支援施設等の紹介などもおこなっている。

今年度５歳児が１８名在籍して卒園予定である。幼保小連携研修会と小学校の体験入学に参加しているほか、個々の発達記録を小学校に伝え必要な場合は要録を直接持参し時間をもらって丁寧に伝えている。５歳児年間指導計画の保育目標は、①出来ることを増やしながら生活習慣や態度を身につける、②友だちとともに意欲的、主体的に行動し充実感を味わう、③様々な体験を通して豊かな心を育み就学への意欲を高めると明記して、保育に取り組んでいる。

コロナ対策として朝の受け入れは前年度と同様玄関口で実施し、事務所前に手指消毒液を設置し、登降園時には保護者のマスク着用と検温、体温確認を義務付けている。当園はマンション２階３部屋に保育室があり、訪問時は事務所がある幼児クラスにて打刻して手指消毒後に、台の上に置いている体温計で保護者が検温しワッテで体温計の消毒をしてもらい、視診と体調・伝達事項を記載して引継ぎ担任に伝えていた。事務所前の打刻をしてから各クラスでの受け渡しになるため、登園がピークになる９時過ぎに密になる様子が見られた。

訪問時、０歳児は昼食後着替えを済ませてから、保育者がコットを用意していた。園児は自身のタイミングで眠りに入るが、保育者は園児一人ひとりに優しく触れながら入眠できるよう対応している。０歳児の午睡チェックは保育者１名が時計を確認し園児一人ひとりの視診と身体の向き、胸に手を当ててチェックする様子や、１歳児はうつぶせになっている児をそっと上向きに換えて、タオルをかけ直す様子が見られマニュアル通り正確に実施していた。５歳児は就学に向けて１月頃から徐々に午睡時間を減らし最終的にはなくすように取り組んでいる。

保育者勤務はシフト制のため、早番・遅番が必ずしも担任になるとは限らない。連絡帳・連絡ボートや口頭で伝達し、遅番でもその日の様子や健康状態が漏れなく伝えられるように体制を整えている。保護者アンケートでは「上から目線で言われるので相談しにくい、子どもの良いところを伝えて欲しい・きちんと見てくれているのか不安・ケガの具体的な対応方法まで教えて欲しい・ケガなどをさせた側にも教えて欲しい」との声があった。笑顔で挨拶して迎えることを周知している。今後は引き渡す際にも夕方の様子など確実に伝えることを課題としている。

出来る限り制限を少なくして自由遊びの時間を設けて自主性を尊重し、園児の発達や興味関心に応じて臨機応変な環境構成に努めている。朝の合同保育時には仕切りを外し好きな遊びを選択できるほか、落ち着いて過ごすスペースを設けるなど配慮している。各クラスでの活動でも園児自身で遊びを選択し、それぞれのコーナーでままごとやブロック・机上遊びを楽しんでいる。子どもの姿を全保育士が捉えられるように保育の振り返りや話し合う機会を設けて、年齢や発達に見合った保育が実践できるよう考えている。

日常の保育や遊びの中での言葉のやり取りを丁寧に、年齢に合った言葉かけや絵本選択をおこない、音楽・体操・リズム遊び・制作・感触遊び・劇遊びなどを通して五感を養うことや活動を取り入れ、楽しみながら自由に表現できるよう働きかけている。訪問時、トンネル遊びをしており、園児は楽しそうに自由にトンネルをくぐって遊んでいるが、保育者はトンネルを挟んで座り込んで私語をしている様子が見られた。園児が自由に遊んでいる時でも目配り・気配り・心配りを忘れずに、園児と一緒に保育者も楽しんで笑顔で保育ができると良いと感じた。

天候が悪くない限りは暑さ指数で熱中症予防に努めながら毎日戸外に出掛け、幼児は遠い公園にも出掛け季節を感じながら十分に体を動かす機会を設けている。公園では安全点検をして危険個所・不審者情報を受け、公園ごとに作った表に１か月点検をしてチェックするなど安全対策に万全を期している。また、散歩マップを作って自然素材を使用した活動や昆虫など生き物を育てている。遊具のない公園ではルール遊びや集団遊び、かけっこ等を取り入れ、各自心の成長につなげている。

園のしおりで主な行事を掲載し、行事や各クラス発表内容等を検討して職員間で共有し、年齢に合っているのかや子どもの興味に合うのか・行事のねらいに合っているのかなどを確認し合っている。他クラスの発表を見せ合いアドバイスできる環境を作っている。七夕集会では各クラスの飾り制作や、保育者から由来の話を聞いて楽しみ、４歳児も男女１名が代表で短冊（願い事）を発表している。部屋に戻ってから一人ずつ願い事、「おばあちゃんにあいたい」「身長がおおきくなりたい」「玩具が欲しい」等を発表し、七夕メニューを美味しく食べている。

コロナ流行に伴い丸２年運動会は見送っているが、今年度幼児クラスは遊びの延長で「運動会ごっこ」とし、６月園だよりの幼児クラスで、かけっこ・ボール遊び・鉄棒・縄跳び等様々なことに楽しみながら挑戦していること、８月にはその様子を動画配信で保護者に伝えている。「夏のお楽しみ」では、５歳児保育室を水族館に見立てて各クラスを招待している。３歳児もチケットを入口で渡して入場するとたくさんの魚やクラゲ・カニが出迎え、５歳児の案内に「ピンクの魚かわいい・どれ作ったの？」等、感じたことを言葉で伝えあっている。

入園時に年間行事予定表を配布するほか、毎月の園だよりと各種お知らせの掲示、配布により保護者に案内している。保護者参加行事は土曜日開催と決め、多くの保護者が参加できるよう配慮している。行事後のアンケートで意見や感想を募り、可能な範囲で希望に沿えるよう対応している。保護者アンケートでは「運動会・発表会に参加できないのは残念・行事が動画配信になって淋しい・保護者会も土曜開催にして欲しく日程をもっと早く教えて欲しい」との意見があった。今後も様々な制限のある中でどのように行事を実施していくのかを課題としている。

入園のしおりに延長保育時間の食事提供の考え方についての記述があり、延長保育は１８時半を目安に捕食を提供し、スポット延長は当日１４時までの連絡で対応し連絡が遅れるとアレルギー対応のこともあって提供できない旨を伝えている。捕食（おにぎり）はわかめ・おかか・鮭・コーン、せんべい・ビスケット・ミニアスパラガスなどで提供している。一定時間まで乳児と幼児を分けて保育し、絵本の読み聞かせでは保育者の得意分野を活かして、手袋・スケッチブック・パネルシアターやクイズなど工夫している。

月案の中に「長時間保育の配慮」を落とし込み、例えば５月の１歳児では「延長保育に無理をせず慣れていけるようにゆったりと遊べるよう好きな玩具を中心に環境を整える」、５歳児では「子どもの気持ちを受け止め安心して過ごせる環境づくりをしていく」としている。異年齢保育が安全かつゆっくりと楽しめるように、玩具の選び方や遊びの内容に配慮している。自由遊びと絵本の読み聞かせを盛り込んでメリハリを付け、読み聞かせに参加しない子は無理強いせず、好きな遊びが継続できるよう対応している。

みんなの保育指針で「食事で大切にしていること」は食べることが生きること、「食を営む力」の基礎を培うことと明記し、１楽しい食事時間、２健全な発育を支える関わり、３食事のマナーについて、と分かりやすく記している。食事状況を見て量を調節し、食事が揃ったら個々またはグループで食べている。訪問時、調理職員が喫食状況を確認するために巡回し０歳児を手伝う場面があった。また、３歳児はハート形（ピンクやむらさき）のランチョンマットを自分で選んで、テーブルにセットした園児から自分で配膳していた。

全体的な計画に食物アレルギー対応、生活管理指導表・個別面談と面談補足確認・家庭における食物除去の程度確認・個別取り組みプランの作成・最終確認面談・ピンクトレー（名前と食材記載）・ピンクの食器・個別机・個別台ふきん・アレルギー児用食事介助エプロン・アレルギー児献立・トリプルチェック・アレルギー児一覧表（調理室内に掲示）、などと明記して実践している。現在アレルギー児は２名在籍し、安全な食事ができるよう、園長・保育士・栄養士間で連携体制を整えている。

年間食育計画を担任と栄養士で作成し、食事について興味関心がもてるよう取り組んでいる。今年度から開始しているＣＬＩＰでは、ピーマン栽培のほか、さつま芋や園児の植えたいものをクラスで話し合い、当番で水やりから成長の様子を観察している。４歳児では、当番になると急いで水やりの準備をはじめ、「この前より大きい！」「野菜ちゃんとできるかな？」と当番同士で気づいた事を話す姿も見られている。乳児も食材に触れて匂いを嗅いだり、皮むきをする等、年齢に合った活動に取り組み体験している。

３つの年間保健計画を基本に、年間目標「１生活リズムを整え、基本的生活習慣を身につける、２体力づくりなどを通して自ら健康増進をはかる、３病気の早期発見、感染予防に努める、４安全対策を図り、事故防止に努める」を看護師が立案し、３か月ごとに目標を立てている。１期目標は①健康状態を把握する、②衛生的な生活習慣を身に付け生理的要求を十分満たせるようにする、③新しい生活に慣れ安全に過ごすことができる、として活動内容・留意点・保護者への保健指導・環境整備・組織活動を実施し、１期ごとの評価・反省を記載している。

コロナの影響で検温やマスク着用・手指消毒・手洗い・うがいの励行に加え玩具や手すりの消毒・掃除など、より一層の感染症対策に取り組んでいる。６月に２歳児の手洗い指導を看護師がおこない、手の甲・手首・爪の間まで丁寧に意識して洗うようになっている。年間保健計画の３期「評価・反省」では、嘔吐処理について全職員に内部研修を実施できたが、手洗い・うがいの徹底や風邪予防についてはまだ不十分として４期で徹底したいと記載している。

入園時及び年２回嘱託医と連携して健康診断をおこなっている。０歳児は毎月身体測定（身長と体重）を実施し、その結果はともに児童票と連絡帳に記載している。毎月「すくすくだより」を看護師が発行して保健に関する情報を発信している。４月は「生活リズムを整えましょう」、５月「睡眠」、６月「虫歯予防デー」、７月「熱中症」、８月「夏バテ」、９月「新型コロナ感染症について・生活リズムの見直し、防災週間」、１０月「目の愛護デー・靴の選び方」などを掲載し、月毎に保護者と共有したい内容を提供している。

登園時に園長は玄関から入ってくる保護者と園児を笑顔で出迎えて挨拶を交わし、出勤していく保護者に「行ってらっしゃい」と気持ちよく声をかけ送り出している。また保育室では保育者が同様の対応で雰囲気づくりに努めていることから、園児と保護者が安心できる環境であると推察する。延長保育の利用など、就業時間・家庭の事情に応じた保育利用が出来るようにしている。乳児は保育日誌で幼児は連絡帳を活用して保護者とのコミュニケーション・情報共有を実施している。

毎月発行している園だより（クラスだより）・すくすくだより・ぱくぱくだよりを通して子育てに役立つ情報を提供している。ぱくぱくだより４月は「給食のおいしさと楽しさ」、５月「子どものための献立づくり」、６月「よく噛んで食べる力を育てよう」、７月「野菜をたくさん食べましょう」、８月「食事を楽しむ５つのポイント」などを掲載して保護者と共有している。今年度スタートさせた幼児クラスの「ＣＬＩＰ（クリップ）」では「ことば・もじ」「かず・かたち」に取り組み、園内に掲示して紹介している。

開園７年目を迎えて保育園への理解や場所を地域に知ってもらえるようになってきたと実感している。戸外活動時に近隣住民と挨拶を交わしたり、公園で出会う他園と気持ちよい挨拶を交わしている。近隣の店に買い物に出かけたり勤労感謝の日に地域商店街の方に手紙を渡したり、ハロウィンやクリスマス会等でも地域の方に協力してもらえる機会が増えてきている。コロナ終息に備えて地域活動や交流機会が増やせるよう視野を広げておく必要があると考える。

契約時に重要事項説明書にて個人情報の取扱いについての５項目を丁寧に説明するほか、「入園時同意書」ではブログへの園児の写真掲載や写真販売のための販売会社への個人情報や画像データを提供することなど９項目について同意の有無を確認している。また、必要があれば保護者にその都度事前の確認をおこなっている。前年度コロナの影響で運動会等への保護者参加を中止する姉妹園も多く、代替えとして期間限定動画の保護者向け発信を取り入れた園もある。今年度より新たに動画掲載を取り入れるため再度同意をもらっている。

保育者からも写真掲載などで同意を取り、ブログ掲載時に個人が特定できないようスタンプを施すなどプライバシー保護に配慮し、身体測定・排泄・着替え・水遊びの際にも目隠しやパーテーションを使用するなど、各園児の人権を尊重し羞恥心に配慮した保育を実践している。多様な保護者に合わせて対応し、職員間の共通理解を図っている。本社のコンプライアンス委員会の注意喚起やアンケートをもとに、職員の意識向上に取り組んでいる。保護者ニーズに合わせた保育をする必要性等の共有と、保護者への配慮の仕方を統一できるよう検討している。

園内には事故やけが・虐待防止のため防犯カメラが設置され、必要時に園長が職員とともに確認している。園長は巡回時に気づいたことがあれば、職員会議等で取り上げて話す機会を設けている。ヒヤリハット・ケガ報告書は週に１度は内容を確認して確認印を押すよう周知を図り、園での事故は全体で話し合い、各年齢（クラス）で振り返りを実施している。虐待に関しては入社時の本部研修のみのため、虐待の芽チェックシートなどを活用し、保育者が自身の保育を振り返る機会があると良いと考える。

就業規則・児童虐待防止マニュアル・危機管理マニュアル・保育マニュアル・BCP（事業継続計画）など必要なマニュアルを整備し、いつでも確認できるよう事務所で管理しているほか、入社時から各自「みんなの保育指針」を携帯している。変更点があれば都度周知し、分からないことが起きた際には職員会議等で改善出来るようにしている。今年度は感染症対策の見直しを本社経由でおこない、掃除の際の次亜水濃度をコロナの期間だけ０．０５％に強化するよう変更している。

全園統一の「みんなの保育指針」が完成し、これから全体に浸透させていこうとしている矢先にコロナの流行があり、そのまま中断された経緯がある。今年度は「みんなの保育指針」策定時の中心メンバーでもある他園園長が来園し、環境やクラスの悩み相談をして指針の浸透を図るほか、新たに「拠点勉強会」を設け、同一エリアの姉妹園と情報共有する機会を取り入れている。今後はコロナの如何に関わらず、本社プロジェクトチームのメンバーによる園巡回を実施し、指針内容の浸透が正しく進むよう望みたい。

職員会議等で職員が顔を合わせて話し合う機会を持ち、日常的にも話しやすい雰囲気づくりに努め、園長は基本事務所で過ごしているが、何かあればいつでもフォローに入れる体制でいる。本社での園長事務連絡会等で年度末に伝達事項があれば的確に伝えている。園長・主任・準副主任と園の課題について話し合いをして、乳幼児会議におろし職員会議ですり合わせて全体取り組めるよう体制を整えている。今後は、職員の保育観や価値観・経験に鑑みながら時短やフリー職員・職員会議に参加できない職員を含め全員が参加できる環境整備を期待する。