東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

創設者の言葉（思い）である理念は、「愛をもって愛を育てる」である。新入職員に対しては、研修期間のオリエンテーションにて理念・方針などを説明をするほか、職員会議でも再確認を行っている。職員向けに、法人が大切にしていることをまとめた職員の心得や小冊子を作成して、全職員に配布している。園目標は、事務所内の見やすい場所に掲示したり、入園のしおりである「保育園のしおり」にも明示している。しおりでは、「キリスト教的愛の精神を取り入れている」ことを明示している。

入園説明会では園のしおりを用いて園長が説明を行い、さらに年2回の保護者会を通じて理解を深めている。今年度は、オンラインにより開催した（2月は5歳児のみ対面とした）。行事の際には理事長が挨拶のなかで理念に触れている。法人のホームページを開設して、法人が大切にしていることを公開している。経営層をはじめ各職種の役割分担は、業務分掌等にまとめている。法人内には他に乳児院があり、理事長・法人本部とともにそれぞれの経営層が集まる運営会議を毎月開催し、施設運営や子どもたちを取り巻く様々な環境について話し合いをしている。

園長、副園長、統括主任で合議する園会議、統括主任、フロアリーダーが参加する主任会議、リーダー会議、職員会議を開催している。運営会議、園会議等で決定した案件は、職員全体の職員会議で決定経緯も含め周知している。運営会議の決定事項は、月1回の各会議・ミーティングや、緊急に招集する会議にて伝える体制をとっている。保護者には、園だより、掲示板、印刷物、保護者会、一斉メール、父母総会等で伝えている。今年度の職員会議はオンラインとしている。会議室にはリーダーのみが集まり、職員はそれぞれの場所からパソコンで参加している。

区による保護者の満足度アンケートの実施に協力している。保護者は無記名でアンケートを提出し、集計結果は園にフィードバックされる。第三者評価における利用者調査結果は職員内で開示し、改善できるものには迅速に対応している。保護者からの意向は、保護者会、保育参観（今年度中止）、個人面談等でも把握している。面談は実施期間を延長し過密を避けている。運動会や苦慮お遊戯会等の行事後にアンケートを実施し意見や感想を把握し、全職員に回覧・共有し、改善に向けて話し合いを行っている。結果を検討して次年度の計画に反映させている。

法人で中期計画を策定している。年度の事業計画は園会議にて検討・立案している。職員会議や各ミーティングでの意見を集約し、利用者の意向、地域のニーズも踏まえている。予算の執行状況は運営会議にて経営層で確認し、必要に応じて計画や予算の見直しを行いながら進めている。予算の執行など園の経営については、法人担当者より定期的に職員会議で伝えている。さらに、職員には必要に応じて園長や事務担当者より解説を加え、分かりやすく伝えるよう努めている。

各行事やプロジェクトチーム（PT)で実施計画を作成している。課題ごとに保育安全、アレルギー、要支援、子育て支援などのPTを設置して取り組んでいる。それぞれのPTにおいて担当者を明示し、職務を割り当て目的を遂行している。園長会・代表者会・保健衛生研究会などで情報を収集して検討し、計画に反映している。短期的な活動では各ミーティングで進捗状況を確認している。区の「保育の質ガイドライン」に基づき職員全体で振り返りをしている。申し送り事項など職員間の伝達には、チャットシステムを導入し、パソコン上で情報を共有している。

職員が守るべき規範や倫理に関しては、就業規則に明示しているほか、園独自の倫理綱領を設けて明示している。また、個人情報保護規定も法人で定めている。諸規程は職員会議で説明し、さらに綴りにして事務所や会議室、職員待機室に置き、いつでも手に取れるようにしている。第三者評価は継続的に取り組んでいる。法人のホームページのなかで、当園の概要、保育環境、年間行事予定、地域活動の告知等の情報を開示しているほか、所在の区や各保育団体のホームページにも園紹介を掲載している。職員紹介は写真入りで1年を通じて園内各所に設置している。

苦情解決の仕組みとして苦情対応規程を定めている。保育園のしおりにも苦情受付担当者が副園長、解決責任者が園長、第三者委員を2名委嘱していることを明示している。しおりには、第三者委員の氏名のほか、都の社会福祉協議会に設置された運営適正化委員会の連絡先も表示している。また玄関には意見箱を設置し、第三者委員に関する掲示も行っている。また、玄関横の事務所窓口前に園長・副園長の机を配置し、コミュニケーションを図っている。苦情があった場合には、迅速に現状を把握し、当事者と面談をするなど、解決に取り組んでいる。

園の専門性を地域に還元する取り組みとして、子育て相談、体験保育（保育所体験）等を行っている。月1回の「おはなしひろば」の開催は、今年度は中止としているため、ホームページで絵本の読み聞かせを動画で配信している。定員8名の一時保育室を設けている。地域の関係機関のネットワークとして、要保護児童対策地域協議会、保幼小連絡会、地元中学校の地区懇談会、区の保育連絡会、私立園長会等があり、協働で課題解決に取り組んでいる。災害時の地域との連携の必要性を認識している。職場体験の受け入れはできなかったが、実習生は受け入れた。

地震や火災などの避難訓練を毎月実施している。事故の防止と検証を行うために、園内カメラを設置している。保育安全PT（プロジェクトチーム）を設置しリスクに関する研修実施、マニュアル作成や定期的な見直しをしている。ヒヤリハット報告書の提出を奨励し、分析を行い定期的に会議で報告している。園内の危険箇所マップを作成して意識を高めている。BCPは区のマニュアルに準じて策定している。保育の復旧や再開は、それに基づき対応することを保護者には園のしおりで知らせている。職員は3年計画でAEDを含む上級救命講習を受講している。

法人で個人情報保護規程を定め、法人のホームページで公開している。配布物、掲示物、ロッカーなどの利用者の個人情報の取り扱いに関しては印刷物を作成して入園時の書類と一緒に渡し、保護者会で説明している。職員には、個人情報に取り扱いや守秘義務について説明し、誓約書を取り交わしている。実習生に対して事前にオリエンテーションを行い、守秘義務などの留意点を説明している。さらに、個人情報保護に関する誓約書を徴している。

子どもや保護者の個人情報など機密性の高い書類は、事務室内の施錠できる書庫にて保管し、また鍵の取扱者も変えている。園内で使用しているパソコンのうち、機密性の高い情報に関してはパスワードを設定してアクセス制限を課している。データの保存は、クラウドサービスを利用しセキュリティ対策をしている。保有する情報の変更時は速やかに更新するとともに、定期的に確認作業を行う。家庭連絡簿については、年度ごとに変更の有無を確認している。書類保管庫の設置も予定され、さらなる管理の充実をしていく。

人事考課制度を導入しており、「人を育てる人事考課」を目指して人材育成に取り組んでいる。職務目標の設定・達成度シートのなかに行動指標を示し、求められる人材像を明確にしている。新たに人事考課を受ける職員には、法人独自のテキストを用いて制度の説明を行っている。職員の採用にあたっては、必要な人材を明確にしてそれに沿った求人を求人広告やホームページ、ハローワーク、養成校、人材センターなどに出している。面接、作文により選考をしている。選考は面接を重視し、園長のほか複数で実施し意見の偏りがないように配慮している。

職務目標の設定・達成度シートの作成を通じて、半期に一度上司による面接を受ける機会がある。そのなかで、能力向上に関する希望も把握し、組織的な支援につなげている。外部研修は求められる知識や学んでほしい知識を踏まえ、全員年に一回は参加させたいとしているが、現状は、外部研修の中止やオンライン研修の受講申込が困難な状況にある。研修参加後は報告書を提出・発表し、知識を共有化し、園全体の保育の質の向上につなげている。翌年のクラス配置は、職員の意向調査などで把握し、全体のバランス等を考慮して園会議で検討している。

副園長や統括主任が会議や保育に参加し、職員の状態やクラス運営を把握している。現状の職員体制を維持するため、非常勤の活用や産休・育休からの復職後のシフト調整などの配慮をしている。また、子の看護休暇などについて時間休が取得できるように規程を整備している。ICT化を促進させ、休憩時間や書類作成の時間など業務負担の緩和や超過勤務の解消が図れるように取り組んでいる。パソコン上で有給取得が可能な日を知らせ取得率の向上に努めている。福利厚生は、宿舎借上制度、歓送迎会、勤続表彰、インフルエンザ予防接種などを実施している。

ホームページやパンフレットを作成し、利用希望者などに園の情報を提供している。法人のホームページの中に園のページを設けて、基本理念、保育目標、保育方針、保育環境、デイリープログラム、年間行事予定や地域の子育て支援などの情報を提供するほか、最寄り駅から園までのアクセス方法などを掲載している。ホームページは文字だけでなく写真やイラストを用いることで、園の様子がわかりやすく伝わるよう工夫している。

パンフレットは区の入園相談窓口に設置しており、利用希望者が自由に手に取ることができる。園の情報は区のホームページでも公開しており、園の概要や行事のほか、園の特徴となる取り組みなどを写真を交えて紹介している。地域の情勢を把握する機会として、要保護児童対策地域協議会、保幼小連絡協議会、中学校区の地区懇談会、私立保育園園長会などがあり、これらの会議には園長が出席している。現在は感染症予防のため、オンライン会議や資料を配付して情報共有や課題に取り組んでいる。

利用希望者の見学や問い合わせには園長が対応している。例年は事前に予約をしてもらい、できる限り希望に沿うよう日程を調整している。園内を案内するとともにパンフレットを用いて説明し、質疑応答の時間を設けて疑問が残らないよう丁寧に対応することを心がけている。了承が得られた場合には連絡先を聞き、運動会やクリスマス会などの行事に招待している。現在は感染症予防のため、玄関先で説明のみ実施している。新たに動画を作成し、ホームページの「園舎案内」より園の様子を閲覧できるようにしている。

入園決定後は書類を郵送し、動画を配信して入園説明を実施している。園のしおりや重要事項説明書に沿って基本的な園のルールや持ち物、重要事項などを説明し、後日、改めて入園時面談と健康診断を実施している。面談には園長・副園長が同席して、各家庭の個別事情や保護者の意向を確認するとともに、入園や重要事項に関する同意の署名を得ている。子どもの様子は統括主任・栄養士が聞き取りを行い、健康診断時には看護師が子どもの健康状態を把握している。入園後も保護者会などで説明する機会を持つようにしている。

子どもの保育に必要な情報は、入園時に提出してもらう児童票・入園までの生活状況・保健情報用紙・家庭連絡簿などで把握している。入園後は「慣れ保育」を実施し、子どもが無理なく新生活に移行できるよう配慮している。子どもが徐々に園生活に慣れていくことを基本とし、一律に期間を設けることはせず、子どもの様子を見ながら保護者と相談のうえ個別に対応している。特に乳児は一人ひとりの生活リズムに合わせて個別に進めるようにしている。

転園などのサービス終了時には、乳児は連絡帳を、幼児は子どもの様子をまとめたカードを保護者に渡している。希望があれば生活や遊びの記録も送付している。保護者には転園後も来園を歓迎する旨を伝えて、園の行事に招待している。子どもには期待が高まるような声かけをして、環境が変わることへの不安を軽減するよう努めている。継続的な援助が必要な場合は、保護者の了承を得たうえで役所を通じて転園先に情報を提供することもある。就学時には配慮が必要な子どもの情報を小学校と共有して連携を図っている。

全体的な計画を基に、年間指導計画、月週案などの各種指導計画を策定している。年間指導計画は1年を4期に分けて乳児は個別に、幼児は年齢別に作成している。また、乳児と配慮が必要な子どもには、個人別指導計画を作成している。クラスミーティングにおいて期・月・週ごとに評価・反省を行い、必要に応じて栄養士・看護師の意見を取り入れて、子どもの発達や様子に合わせた計画の見直しに繋げている。指導計画は各保育室に掲示して日々の保育に役立てている。各クラスの月目標は毎月発行する園だよりに掲載し、保護者へ知らせている。

ICTのシステムを活用し、計画や記録はパソコンで入力・管理している。月週案と個人別指導計画には、具体的な援助内容や配慮事項を記録している。子ども一人ひとりの児童票、健康観察記録、健康手帳を作成し、発育や健康になどに関する記録を取っている。児童票は発達の様子を項目ごとにチェックし、心身の発達記録として項目別に記述している。乳児は毎月、幼児は各期末と年度末の年5回、配慮が必要な子どもは随時記入する。保育日誌は、乳児と配慮が必要な子どもは個別に作成し、幼児は年齢別に記録している。

子どもの状態や状況に変化があった場合には、職員会議、主任会議、リーダー会議、フロアごとのミーティング、クラスミーティングなどで情報共有している。会議は対面とオンラインのハイブリット形式で実施している。会議録を作成して回覧し、会議に欠席した職員にも周知を図っている。毎日昼礼を行い、パソコン内の共有掲示板に伝達事項を記入して、職員に周知している。各クラスでは「伝達簿」を使い、早番・遅番の職員と子どもの情報を引き継ぎしている。年度末には「引継ぎ表」を作成して、次年度のクラスを受け持つ職員に申し送りをしている。

子ども一人ひとりの発達過程や生活習慣は、児童票、健康診断記録、健康手帳などに記録し把握している。児童票の心身の発達記録は健康・人間関係・環境・言語・表現などの項目ごとに記録し、発達段階を確認している。0・1・2歳児は一人ひとりに応じたきめ細やかな保育を目指し、個人指導計画作成の際にクラスミーティングを行い、評価・反省しながら全体的な姿を把握している。日々の保育の様子や、家庭での生活状況等を職員間で共有して、保育にあたっている。また、各クラスの指導計画を職員間で共有し、園全体で把握している。

子どもが主体的に活動できるように、環境設定の工夫をしている。各クラスに設けられた遊びのコーナーは、玩具や用具は自由に取り出せるように配置や収納の工夫をして、遊びに集中できる環境を整えている。玩具は手先を使ったり想像を膨らませるものなどを用意している。絵本や玩具は季節や興味・関心があるものを都度入れ替えを行い、年齢に合わせた環境設定をしている。国籍や文化の違う子どもが在籍する際には、文化や習慣の違いを話したり、紙芝居や絵本などで紹介しながら相互の理解を深めている。

特別な配慮が必要な場合には、療育センターや嘱託医、区の福祉センター等の関係機関との連携を図り、子どもへの個別援助・クラス運営等に助言を得て、ケース会議で必要な援助を検討し実施している。子ども同士のトラブルは、双方の気持ちを受けとめて発達過程を考慮した対応をしている。年長児の就学に向けて、保育要録を作成するほか、必要に応じて、園から小学校へ行き話し合うこともある。また、職員が保育園・幼稚園・小学校の連絡協議会に参加し、情報交換を行っている。年長児は小学校探検で校舎内を見学し、就学へのイメージを膨らませている。

登降園時は保護者と直接会話をするよう心がけている。登園時には連絡帳、視診、口頭で子どもの様子を確認している。連絡帳は0・1・2歳児は毎日個別に記入する。2歳児以上のクラスは、各クラスに設置しているボードにその日の活動内容を記入したり写真を掲示するなどしている。また、保育室に月案・デイリープログラムを掲示している。一日の様子は連絡帳に記載するほか、クラスの伝達簿で保護者に伝える事を引き継ぎ、お迎え時に伝えている。今年度のお迎えは部屋の前まで来てもらうなど、感染症流行状況を考慮した対応をしている。

全園児を対象に個人面談を実施して、保護者の興味・関心・心配事などを把握し対応している。食事・排泄などの基本的な生活習慣は、保護者と連携し発達状況を把握して進めている。排泄は発達段階に応じて、0歳児からオムツ交換時に排尿がなければトイレに誘っている。1歳児はトレーニングパンツを使い、トイレに慣れることから段階的に行っている。年度後半は2歳児クラスのトイレを使用している。食事も発達過程に応じて、箸の使い方・食事マナーなどが身につくように援助している。その他に姿勢や靴の履き方、整理整頓なども指導している。

午睡は年齢別の保育室で、乳児は通気性の良い午睡用マット、2歳児以上はコット（簡易ベッド）を使用している。受け入れ時の伝言や連絡帳などで睡眠状況を把握し、子ども一人ひとりの生活リズムに合わせて休息が取れるよう対応をしている。幼児は眠くない場合には無理強いはせず、体を横にして静かに休むよう声かけをしている。年長児は就学に向け、1月頃からクラスの様子を見ながら午睡時間を検討し、3月末の卒園式以降では午睡をなくしている。午睡をしなかった日には、クラスに掲示して保護者にお知らせしている。

保育室は遊びのコーナーを設置し、子どもが取り出しやすい位置に玩具・絵本を置いて遊び込める環境を整えている。幼児クラスは、ブロックなど作ったものを置いておき、次の時間や次の日に遊びを継続できるように工夫している。1歳児クラスでも遊びたい玩具や絵本が手に取れるように並べたり、置き場所を決めるなど子どもたちの自主性を尊重する環境づくりに努め、意欲的に取り組めるようにしている。また子どもの年齢にや発達に応じた声かけの工夫や、友だちとのやりとりを見守り援助して、言葉に対する感覚を養えるようにしている。

3・4・5歳児は月2回外部講師による体操指導があり、運動を楽しみながら集団行動の大切さを学んでいる。また、0歳児から5歳児まで行っているリトミックでは、発達や年齢に応じて様々な曲・リズムに合わせて身体を動かしている。音楽リズムの時間は歌や楽器演奏に取り組み、4・5歳児は月1回和太鼓を練習して行事で披露する。様々な素材を使った製作活動もあり、多様な表現を体験し楽しめるようにしている。遊びや表現活動等を通して、ルールを守ることの良さ、大切さに気付くことができるようにしている。

園庭は大型遊具や木製アスレチック遊具を設置して、子どもが走り回れるスペースがある。春は桜の古木の下で花見を行い、夏はヘチマ・ゴーヤ・アサガオなどのグリーンカーテンを育てている。大小のプールをベランダ・園庭に設置し水遊びをする。近隣に公園が多く、天気の良い日は積極的に散歩に出かけて動植物に接する機会を作り、季節の変化を感じられるようにしている。例年、遠足や芋掘りなどの園外活動も実施しているが、今年度は感染症の流行状況を考慮して、遠足は中止とし、芋掘りは4・5歳児は実施することができた。

毎月の誕生会のほか、子どもの日・七夕・夏祭り・運動会・クリスマスお遊戯会・節分・ひな祭りなどの行事を実施している。七夕は近隣の神社から飾り用の竹をもらい、節分は柊の葉を保育室に飾るなど、日本の伝統文化を取り入れている。親子遠足、お泊まり保育（年長児）、芋掘り（3・4・5歳児）、お別れ遠足（4・5歳児）などの園外保育を行い、様々な体験の場を設けている。今年度も感染症予防のため中止となった行事もあったが、規模の縮小など開催のための検討を重ねて、子どもたちが楽しめるように工夫している。

運動会・クリスマスお遊戯会は、日頃の活動の成果を発表する機会として子どもたちが協力してやり遂げる内容としている。幼児クラスは「行事を自分たちで成功させる」と意識づけるために準備段階で話し合う時間を設け、会場の飾りつけなども子どもが参加している。運動会では年長児が小さな子どもの誘導・用具運び・ゴールテープ係などを担当している。クリスマスお遊戯会は各クラスが劇・遊戯などを発表する。題材はいくつか候補を挙げ、子どもの意見を取り入れて決定している。配役も子どもが納得できるよう時間をかけて検討している。

保護者が参加する行事は、春の遠足・夏祭り・運動会・クリスマスお遊戯会などがある。年度初めに年間行事予定を配布し、日程を知らせている。各行事の詳細や取り組みは、園だよりや各保育室に写真を掲示して伝えている。ホームページ内にある保護者が閲覧できるスライドショーや動画なども活用している。さらに、行事当日の観覧場所、待機場所、子どもの立ち位置などを記したお知らせも配布している。今年度も感染症対策として、クラスごとの入れ替え制や参加人数の制限、動画を配信する形で実施して、子どもの成長を見てもらえるよう工夫している。

園舎は建材に木材を多く使い、明るく温かい雰囲気で、大きな窓から自然な光を取り入れている。除菌加湿器、24時間換気システムで室内環境を調整し、0・1歳児の保育室は床暖房を設置し裸足で過ごしている。感染症予防対策に注力して取り組み、換気や消毒などの十分な衛生環境の整備に努め、安心・快適な環境作りをしている。密を避けるため、子どもの人数や状況に応じて保育室内のスペースを分けたり、段ボール製の仕切りを使用するなど、感染症予防対策の工夫をしながら楽しく遊べる環境の工夫に努めている。

1階は2から5歳児、2階は0・1歳児の保育室があり、19時まではそれぞれのフロアで過ごしている。19時以降は全員が1か所に集まり合同保育を実施する。延長保育では、毎日もしくは週3日間、非常勤の同じ職員が勤務して、子どもが安心して過ごせるように配慮している。延長保育・土曜保育それぞれに担当職員が年間計画・日案などを作成し、他の職員に周知して、子どもの1日の生活を考慮した援助をしている。個々の子どもの状況や一日の様子などは、伝達漏れなどが無いように、職員間で情報を共有して、園全体で対応できる仕組みがある。

4・5歳児は調理室前のランチルームで食事をする。感染症対策のため、テーブルにパーテーションを設置している。毎朝その日のメニューを書き出したり栄養士・調理員と言葉を交わしながら、食事が楽しみとなるような雰囲気作りをしている。食事は旬の食材を取り入れ、季節感のある献立の工夫をしている。誕生日メニューや行事食、絵本コラボメニューなどを取り入れ、見た目にも楽しめるようにしている。味付けは乳児と幼児で2種類に分けている。献立会議や献立反省ミーティングを開き、子どもの喫食状況から献立内容や調理方法を見直している。

食物アレルギーは医師の指示書に従い除去・代替食を提供している。毎月アレルギー食カレンダーを作成し、名前・月日・除去・代替食材を一覧表にして調理室、保育室に掲示している。アレルギープロジェクトチームを中心に、誤食を防ぐ手順とチェック体制を整え、写真に解説を添えた手順書を保育室内に掲示している。配膳は専用トレイに名札を付けて、栄養士と担当職員がダブルチェックをしている。また、子ども一人ひとりの体調に応じて食事内容の変更も行っている。乳児は連絡帳に食材チェック表を添付し、家庭と連携して食べた食材を把握している。

栄養士を中心に、食事のマナーや食材についての話を幼児を対象に実施している。献立に冬至や七草がゆなど日本の伝統食を取り入れ、その由来や効能などを伝えて苦手なものでも挑戦できるように工夫している。食事マナーでは箸の持ち方、姿勢、三角食べ、朝ごはんの大切さなどを楽しく伝えている。また、5歳児を中心にプランターでのきゅうりやトマトなど野菜栽培や調理保育も実施しているが、今年度は感染症予防のため、調理保育は中止としている。1歳児クラスで野菜スタンプを実施するなど、できる範囲で食育活動を行っている。

保育安全プロジェクトチームを中心に、子どもや職員に保健指導・防災訓練・啓蒙活動を実施している。毎月防災防犯訓練は様々な想定で行い、意識を高めている。事故防止では廊下の歩き方、遊具・はさみの正しい使い方、交通ルールなどを日常生活の中で伝えている。降園時の安全な帰宅のため「手をつないで帰ろう週間」という取り組みも行っている。感染症予防は0歳児から手洗い指導を実施し、幼児に年4回保健指導を行っている。保健指導では手洗い・うがい・生活リズム・健康管理等の話をして、子どもが健康や安全に関心を持てるようにしている。

食物等のアレルギーへの対応は、プロジェクトチームを中心にマニュアルを整備し、職員に周知徹底している。食物アレルギーの配膳は、手順を保育室内に掲示している。薬は原則預からないが、医師が必要と判断した場合は処方薬に限り1回分に対応している。病気・ケガで必要な医療的ケアがある場合は、嘱託医を通して主治医との連携を図り、看護師が加わり保護者と相談して対応している。また、緊急時に備えて、上級救命講習やAED（体外式除細動器）操作の研修を職員が受講し、知識・技術を学んでいる。

看護師が感染症など病気の広がり具合等の分析を行い、職員全体に周知を図るとともに、園内で感染症が発生した際は最新情報を掲示し、必要に応じて保健だよりの号外を保護者に配布して注意喚起している。緊急性の高い情報は、一斉メール配信により知らせることもある。保健だよりは毎月発行し、保護者に健康管理に関する情報を分かりやすく伝えている。乳幼児突然死症候群の予防は、0歳児は5分、1・2歳児は10分、3歳児以上は15分ごとに午睡中の様子を確認している。0歳児はベビーセンサーも併用している。

各家庭の子育てや就労などの個別事情を把握し、細やかな対応を心がけている。延長保育を実施して急な保育時間の変更にも柔軟に対応している。0･1歳児は個別のロッカーに荷物を預けることができる。自転車やベビーカーの預かりにも対応し、使用済みのおむつは園で処分している。感染症予防のため保育参観・保育参加は休止したが、保護者会・個人面談は実施することができた。保護者会は一部対面で行うほか、リモートで開催している。面談月間（2ヶ月間）を設けて全園児が個人面談を行い、保護者の興味・関心・心配事を把握するよう努めている。

保護者同士が交流を図る機会として、絵本コーナーの利用や行事、保護者会、父母会への参加などがある。保護者が参加する行事は主に土曜日に開催し、2月には翌年度の年間行事予定を配付して、保護者が日程調整しやすいよう配慮している。今年度は感染症予防のため、行事は人数を制限したり、各クラスや入れ替え制で実施している。保護者会で行う給食試食や懇談は実施が難しく、試食の代わりに子どもに人気のレシピを配付したり、ホームページの「ぴおルーム」より各クラスの子どもの様子を写真や動画で閲覧できるよう工夫している。

全園児が連絡帳を使用して家庭と園で子どもの様子を伝え合っている。各保育室の前には月案やデイリープログラムを掲示するほか、2歳児以上のクラスは玄関に設置したホワイトボードに活動内容や写真を掲示して降園時に保護者へ知らせている。毎月園だより・給食だより・ほけんだよりを発行するほか、クラスだよりを不定期に発行している。緊急時や全体へのお知らせは一斉メールを活用している。感染症予防のために保護者が園内に入ることができない期間は製作物などを玄関に展示して、子どもの成長の様子を見てもらえるよう工夫している。

例年は運動会やクリスマス会など、園の行事に地域の方を招待したり、4･5歳児を中心に地域の高齢者施設を訪問してお年寄りと交流する機会を設けている。現在は感染症予防のため、地域交流を制限せざるを得ない状況が続いており、高齢者施設のお年寄りには手紙を送るなど、間接的な交流を続けている。行事は園内で実施し、中高学生の職場体験、ボランティアの受け入れなども休止しており、今後の交流方法について検討している。実習生の受け入れは実施しており、子どもが職員以外の人と交流する機会となっている。

地域の子育て支援として、育児相談や保育所体験、一時保育、イベントの企画などがある。育児相談は、月から金曜日の9時から17時まで受け付けている。保育所体験は6･7･8月の9時30分から11時まで実施している。事前に予約をしてもらい、在園児と一緒に散歩をしたり、活動に参加することができる。イベントとして親子体操や親子クッキング（0･1歳児対象）などを企画して地域の方に参加を呼びかけてきた。現在は感染症の流行により地域との交流を制限しているが、収束後は再開を予定している。

区の子育て広場事業として、「おはなしひろば」を実施している。毎月第一土曜日に開催し、絵本の読み聞かせや紙芝居・人形劇・手遊び・工作などを地域の親子に提供している。現在は感染症の影響により休止しているが、絵本の読み聞かせや紙芝居の動画を作成し、園のホームページで配信している。また、「子育て応援タイムズ」を発行し、ストレス発散法などを紹介している。

個人情報の取り扱いについては、法人で策定した個人情報保護方針に定めて管理している。入園時には重要事項説明書を用いて保護者に説明のうえ、同意の署名を得ている。配布物、掲示物、靴箱、ロッカーなどの個人名は、名前のみを平仮名で表記することとしている。職員には、保育で知り得た情報を外部に漏らさないよう、守秘義務について指導を行い誓約をとっている。実習生を受け入れる際にも、同様の手順で誓約書を提出してもらう。ホームページにはパスワードを設け、写真や動画を用いて保育の様子を保護者に伝える取り組みを始めている。

年齢や発達を考慮して、子どもの羞恥心に配慮した支援を心がけている。水遊びで着衣が濡れた時には、室内で着替えるとともに、子どもには全裸にならないよう指導している。テラスに目隠しを設置して周囲の視線を遮るなど配慮している。幼児用のトイレには扉を設置するほか、排泄の失敗があった時には、ほかの子どもの目に触れないよう速やかに処理を行う。職員は子どもの自尊心を傷つけることがないよう言葉がけに注意しており、今後は区の「保育の質ガイドライン」を活用して自身の言動などを職員相互に確認する機会を設けることを検討している。

子どもの気持ちや特性を理解して適切な援助を行うことができるよう、園医やスーパーバイザーなどの専門家と連携を図り、保育上必要なアドバイスを受けている。虐待防止や育児困難家庭への支援に向けた取り組みとして、園外の研修会に参加したり、ケース会議で様々な事例を取り上げて検討することで理解を深めている。虐待が疑われる場合や虐待の事実を把握した際には、担任から総括主任・副園長・園長へと報告を行う仕組みを整えている。また、必要に応じて、子ども家庭支援センターや児童相談所などの関係機関と連携を図るなど対応策を定めている。

防災・防犯・与薬・保健業務・調乳・虐待対応など、園共通の手順を示したマニュアルやクラス別、フロア別の業務手順をまとめたマニュアルを作成し、事務所や各保育室に設置していつでも確認することができるようにしている。マニュアルは各プロジェクトチーム（ＰＴ）を中心に随時見直しを行うとともに、年度末にも現状に即した内容となっているか点検している。職員一人ひとりの具体的なサービスの提供方法については、クラスミーティングやフロアミーティングで助言・指導している。現在は感染症に関するＢＣＰマニュアルを整備している。

新規採用職員には新人育成マニュアルを用いて指導を行う。オリエンテーション終了後の研修期間から保育現場に入り、担当職員より指導を受ける。チェックリストを用いて進捗状況を確認し、できることから取り組むようにしている。ヒヤリハット・事故報告はＰＴで集計・分析を行い対策を講じている。手順の変更が必要な場合はマニュアルを見直すとともに、園内研修を開いて職員に周知している。マニュアルの見直しを行う際は、口頭や連絡帳、意見箱、行事後のアンケート、第三者評価の利用者調査などに寄せられた保護者の意見を反映するようにしている。

園長より副園長、統括主任、フロアリーダー、クラスリーダー、一般職員へと指導の流れを整えているが、このほかにも機会を捉えて直接指導をしたり、業務内容を見直すことがある。各ＰＴではマニュアルの整備や保育内容の検討、専門機関との連携、地域に向けたイベントの企画など様々な取り組みを実施している。年に一度はマニュアルを見直す機会を設け、必要に応じてデモンストレーションを実施している。園ではさらに職員全体へ周知を図るため、会議などでマニュアルや「保育の質ガイドライン」の読み合わせを検討している。