東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

さくらさくみらいは東京・千葉などで保育園を運営し、毎年新園を開園させている。一之江は開設から３年目を迎え、地下鉄新宿線一之江駅から徒歩５分と近く、環状七号線も通っているなど交通便利な地域で、人口増加が目覚ましい地域である。昨年度から５歳児が在籍していて、今年度は１６人が卒園予定である。昨年は新型コロナの影響をもろに受けて行事や実習生来訪など全くできなかったが、今年は感染状況を観ながら、徐々に進めるようにしている。コミュニケーション円滑化のためのチームビルディング研修も園長・副主任の担当で継続している。

定員８０人に園児は７１人で、園庭テラスは広くないがライブラリー・カメラなどセキュリティー性能は充実して、昼食・おやつも手作りでしている。園長は日々保護者等とのコミュニケーションに努めるほか園児の健康状態や様子観察を励行し、若い保育士と連携を図っている。理念・ビジョンの周知徹底では、まだ一部職員で「そう思わない」が数人おり、新人育成も含めて「指示命令」や「否定語」を使わないことなどの徹底を希望する。また、他園園長に客観的に保育を観て貰える機会があり、チームワークとリーダーシップの発揮に役立っていると思われる。

職員会議にて全員で話し合うことを基本に据え、本社サポートやエリアマネジャーとも連携して周知している。園長は何かあれば必ず全員に声を掛けて意見を聞き合意の上で進めるという流れがあり、職員からは職員同士のコミュニケーションが活発になった、研修の成果でチームワークが良くなった、ことを評価する声が聞かれ、マイナス思考を改善したいや、服装・身だしなみについての声も上がっている。保護者アンケート満足度は９０％で、子どもとの関わり方を評価する声がある一方で、園での様子の詳細な報告や体温測定の徹底を求める声も聞かれている。

保護者などの意向や要望などは契約時の重要事項説明の際に苦情解決の仕組みを伝え、保護者会を年２回実施して保護者会アンケートも行い、無理のない範囲の要望であれば対応するよう努めている。訪問時にも、園長は常に事務所にいて登降園の際に保護者や園児などに声を掛け、園での様子や保護者が関心をもちそうな事などを伝え、要望等があれば直接聞けるような姿勢と態度が感じられた。園児には怪我などはさせず登園したままの状態で帰って貰うこととして、保育士による視診を励行している。

地域の福祉ニーズの収集については、お店での買い物の際に店員などと言葉を交わす機会などはあるが、地域の祭礼や合同防災訓練などで地域の方と触れ合う機会はまだ多くない。また、戸外活動や公園遊びの際に他の保育園と一緒になった時には多少の接触はあるものの、職員同士で交流できる機会も多くない。コロナのために予定していた地域との交流は滞っているが、今後は区園長会や保幼少連絡会などでの情報収集を活かし、もう少し日常的で横断的な交流が出来るようになることを期待する。

事業運営計画書には目指すべき施設像の記述はあるが、保育園独自の中長期計画は確認できなかった。単年度の保育課程は作成され、それを基に年案、月案、週案が作られて、日々の保育につながっている。保育課程作成では前年度の振り返りを十分に行い、次年度計画を立案している。計画作成には全員が関わり、サービスの現状と想定されるリスクについても検討して、日常を大切にしながら愛情をたっぷり注ぐことで園児が十分に楽しめるよう工夫している。計画推進にあたり余りにも実態にそぐわないと感じた時には、ＰＤＣＡをして改善の場を設けている。

職員が守るべき法・規範・倫理については、入社前後の研修で保育園は児童福祉施設であることを認識して行動するよう説明し、園外に出た時も地域の方に笑顔で挨拶することなどを指導している。コンプライアンスの実践や従業員マナーマニュアルでも、言葉遣いや個人の尊厳についての記載があり、職員は職場を明るく楽しくして働きやすくするようになどの言葉で表現している。保護者との関わりの項目でも、保護者を批判的に見ないことや、子どもの気持ちを汲み取りユーモアを大切にすることなど、保育指導計画などにも盛り込んで伝えている。

苦情解決制度については入園のしおりに記載され、保護者向けに説明するほか、園児及び保護者からの意見・苦情などが有れば直接本社や園長に話が出来るようにして、意見箱も設置して保護者の意向を把握し対応するようにしている。職員の言動等については職員同士が相互評価を行い、互いの言動を振り返る機会としている。虐待については入社時の本社研修などで説明があり、園内外での虐待防止を徹底している。親などからの虐待がうかがえる場合には速やかに児童相談所と連携し、迅速に対応する体制を整えている。

地域貢献や地域との関係づくり、実習生・ボランティアの受け入れについては、要望があれば対応したいとのスタンスであり、今年度は保育専門学校生の見学実習と高校生の職場体験が来訪しているいる。地域の関係機関としては、園長などが区園長会に出席して行政からの伝達事項や他園の状況などを収集している。地域との関わりでは、町内会には入会しているが祭礼など行事参加はこれからであり、職員からもボランティアも含めて地域との関わりがまだ薄く、地域との交流が徐々に増えると良いという声が聞かれている。

リスクマネジメントについては役割分担表を作成するほか、事故・感染症・不審者等のリスク毎に関係各所の連絡先一覧も明示し、感染症や消防計画の各種マニュアルは整備され、年間避難訓練計画に沿った避難訓練を実施している。ＢＣＰ（事業継続計画）は本社主導により策定済みだが、コロナ版の追加や定期的な見直しが必要である。ヒヤリハット・事故報告の再発防止は記録を残し、職員会議や昼礼で反省会を開いて見直しをしている。今後はコロナも含めた危機管理意識の向上に努めると共に見守り体制や午睡チェックの徹底もお願いしたい。

園児の安全の確保・向上については、避難訓練実施のほかには感染症情報等を職員間で共有し、必要があれば保護者会などで園長からも説明をしている。事故・感染症・不審者などの被害発生時や注意情報等が出た際には、区などとも連携して園内掲示や説明会などを開催している。園庭が狭いことや前面道路の交通量が結構多いことなどがあり、区や警察とも連携して安全に出入りできるよう努めている。今年度は特にコロナ対策で衛生管理の徹底に力を入れており、玩具・機器類の殺菌消毒をこまめにおこない、職員ワクチン接種も終了している。

個人情報保護などについてはホームページに「コンプライアンスの実践」の項目があり、顧問弁護士の監修のもと、個人情報保護や漏えい防止、虐待禁止、社内ハラスメント撲滅などを明文化して、コンプライアンスの実践こそが子供たちへの保育サービスの向上につながる、と明記している。保護者には利用契約の重要事項説明の中で個人情報取得同意書に署名・捺印を得るほか、職員に対しては入社時オリエンテーションや社内研修の際に、個人情報や機密漏えい防止、虐待について説明し、誓約書を貰っている。今後は定期的な確認も必要である。

求める人材像は「子どもに愛情をたっぷり注げられ、明るい笑顔と豊かな心で子どもたちと向き合える。他者を思いやれる気持ち、優しさを持っている。子どもの大切な時期に関わる責任感を持ちよりよい環境作りをおこない保育提供をする」と定め、適性や力量を見ながら優しさとしさと温かさが感じられる人を採用している。園長の人柄が良い人材を集め、訪問時にも問題のある方は特に見られなかった。昨年よりコロナ禍で保護者との関係が薄くなりがちだが、今年は運営委員会も開催でき、保護者会も文書配布で開催した。

園内研修は年２回実施するほか外部研修については５月頃に年間予定を掲示し、年間の個人別研修計画を立案して、交通費と参加費用は会社で負担しているが、昨年よりコロナのためオンライン研修となっている。客観的な人事考課制度を導入し、有休休暇やリフレッシュ休暇が取りやすいようにして疲労やストレスの改善を図っており、懸案のキャリアパスは現在総務・労務部門で確認作用が続いている。キャリアがあり質の高い保育士は十分に評価して待遇改善して定着化を図り、いずれはリーダーから副主任・主任・園長も務めて貰えるよう希望する。

正社員に対しては本社研修にて外部講師による職員能力向上に向けた講習を定期的に実施するほか、区主催など外部研修にも積極的に参加できる体制を整えている。職員アンケートでは「本社研修の開催でチームワークが良くなった」、「園長が積極的にコミュニケーションを取り雰囲気が良くなった」という声が聞かれている。今後は保育プロジェクトの浸透を進めて標準化を図り、園長を支えて主任・副主任、準副主任を務められるような人材を育てて、職員が安心して末永く働けるような職場環境が築かれるよう望みたい。

法人ホームページでは、さくらさくみらいの思い・保育・お知らせ・会社概要・プライバシーポリシーをはじめ、展開させている全園の情報を開示している。お知らせで最新情報、今年度４月に保育園で働く職員・就職を目指す学生向けに情報提供サイト「さくらスマイル」の開設や、６月から新たな幼児教育プログラム「ＣＬＩＰ」を始動させた事などを掲載している。ブログでは、新年度の挨拶として園長が入園・進級のお祝いのコメントと写真「さくらさくみらい一之江の保育」を紹介し、新たな想いで職員一同がスタートを切った事を伝えている。

中央区のホームページからも園情報が閲覧でき、年１回の園情報と毎月１回空き情報を報告している。毎年第三者評価を受審して園の情報提供と透明性を高めている。保護者アンケートや職員アンケートで意向や要望を聞き取り、改善点を洗い出してより良い園となるよう活用している。保護者アンケートでは「直接言えないことも言える機会なので今後も調査をお願いしたい。第三書評価はとても良い制度だと思う」との意見も聞かれ始めており、子ども・保護者・職員がともに「ロゴマーク」のような関係性の構築に取り組めていると推察する。

見学希望や問い合わせは園長が窓口となり、連絡を受けて日程調整し、園見学のお問い合わせに記録に記載している。園見学は今年度もコロナ対策に配慮して、短時間で終えられるよう実施している。パンフレットでは、施設の紹介・保育理念・方針・目標・１日の流れ・概要・クラス構成・主な年間行事・アクセスを記載し、子どもの主体性を育む保育を実践している旨を伝えている。また、今年度初めて職場体験で高校生を２日間受け入れ、感染予防の観点から見学中心でなるべく園児との接触を少なくして実践し、体験報告書を提出してもらっている。

見学時や事前個人面談を実施の際には、入園のしおり（兼重要事項説明書）を用いて、保育っ理念・方針・目標をはじめ費用や感染症に関すること・相談窓口などについて確認・説明を実施して内容の周知を図っている。最後に全項目（４６項目）の中で特に差異が生じないように伝えた箇所について赤字で掲載し注意を促している。また、入園時だけにとどまらず、今年度４月の園だよりやブログにて再度共有が図られるように、「さくらさくみらい一之江の保育」として、子どもとの関わり・保育運営について紹介している。

契約時に園長・担任と面談した内容は全職員で共有し、園児・保護者が安心して通園できるように配慮している。入園後は一人ひとりに合わせた慣らし保育を２週間前後で段階的に実施している。慣らし保育期間での子どもの様子は連絡帳に記載するとともに、迎えに来た保護者に担任が口頭で丁寧に伝えることで、慣らし保育を通して園児・保護者がともに園の環境に慣れ、良好な人間関係が構築できるよう配慮している。今後は基本的な規程はあるが、仕事の状況により慣らし期間を短縮する等、個別対応を要する場合は柔軟な対応に努めたいと考えている。

小学校へ引き継ぐ資料として指導要録があり、年長児は園児一人ひとりのファイルに入れて管理する児童票や保護者からの要望にそって作成する就学支援シートなど、園児・保護者の不安を減らし継続性に配慮して提供できるよう準備している。利用者の意向を把握して寄り添った対応に努め、昨年度は５名の卒園児を小学校に送り出している。

園児一人ひとりの心身の状況や生活状況などは保育日誌や児童票に記載し、乳児は連絡帳・幼児は連絡ノートを活用して保護者に日々の様子を伝えている。今年度４月開催の保護者会で予め「クラスのテーマアンケート」を基に子育ての悩みや意見を記載してもらった内容について共有したいと検討したものの、コロナの影響で中止となり全保護者に資料配布という形で情報提供している。また、行事後に行事アンケートを実施することでニーズを把握し次に改善・反映させるなど、保護者の意見を聞く機会を多く設けている。

週・日案では週のねらいを立てて毎日子どもの活動の様子と振り返りをおこない、週の振り返りと自己評価により次の課題を抽出している。月１回のクラス会議にて月案を振り返りと自己評価をして進捗状況を図り、次の指導計画につなげている。週・日案を各クラスドア横に掲示する事で保護者の保育理解の一助としたり、日々の保護者対応で口頭で伝える他、毎月のクラスだよりに目標を掲載して分かりやすく周知を図っている。気になる子どもの対応は、個別配慮における話し合いをして、別途個別計画を作成して保育を実践している。

その日の子どもの状況は昼礼などで周知して昼礼簿に記載し、個々の園児については月１回の職員会議・クラス会議などでパートを含めて洩れなく情報共有を図っている。前年度、職員からあがった意見を基に「洩れなく全職員と情報共有できる方法」として今年度より「アプリ」を活用し、園長からの発信で情報が共有できるようにしている。職員からは「１日の件数の多いので少し減らしてほしい」、「もっと分かりやすく簡潔にしてほしい」との意見はあるものの、「情報共有出来ていない」等の改善点や意見は聞かれていない。

入園時面談・職員会議や昼礼で、園児個々の発達や生活環境を把握している。主体的な関わりについて園内研修で話し合ったり、他園園長が来訪して客観的に保育の現場を見てもらい相談することで環境設定について理解が得られるよう図っている。子どもが「やりたい」「楽しそうだな」と思える遊びを提供し、「見守る」ことは子どもが何をしたいのかを推察することが大切であるとの共通認識のもと取り組んでいる。ハード面で保育室の広さに違いがある事から、保育室から出て廊下やライブラリーなども活用することを期待したい。

保育目標「心身ともに強い子ども・明るく元気な子ども・考える力を持つ子ども・思いやりのある子ども」を基本に、互いを尊重する心が育つよう配慮している。子ども達が考えて行動できるように、大人の声かけは「多くかけすぎない」というところに意識して保育を実践している。また、朝の合同保育・延長保育・異年齢交流などっを通して、人間関係が自然に作られる環境を大切にしている。気になる子どもについては、巡回指導につなげて専門家のアドバイスを受けるなど他園児とともに過ごせる環境に配慮している。

区の公立・私立保育園園長会や地域ごとに小学校と連携する「保幼小連絡会」に参加して情報収集し、指導要録を作成しおたよりを園内に掲示している。担任が小学校を見学したり姉妹園との交流を検討するが、コロナの影響で実施できていない。昨年度は６名の園児を小学校へ送り出している。進級式の日は５歳児は昼食をお楽しみメニューとしてワンプレートで特別感を出し、幼児クラス合同で食事を楽しむ機会を設けたり、ランドセルのメダルをもらい嬉しそうな姿に「いつでも保育園に遊びに来てね！待ってるよ」とブログに思いを綴っている。

コロナ対策で登降園の受け入れは廊下までに制限している。保育室入口で検温や視診・家庭での様子を聞き取り、受け入れ職員が対応している。今年４月のブログで「登園後の流れ」の紹介があり、園内に入ったらセンサーで手首検温・消毒して打刻する。その後は廊下で検温して体温計を保育者に見せ、検温ボードに「登園時間・体温・降園時間・迎え者」を記入し、荷物は廊下フックへかけている。その際の注意点として、「園児が廊下や玄関で一人にならないこと」などを掲示している様子を伝え、スムーズに実施できるよう図っている。

子ども達が考えて行動できるように、保育者は「多く声をかけすぎない」ということを意識して保育を実践し、子どもがやろうとしたことを「少し待ち見守る」ことで主体性につなげている。生活面でも同様に、子ども達を待たせず一連の生活の流れができるとスムーズに自身で行動できるようになるため、子どもを止めず、例えば散歩から帰り・手洗い・食事など年齢によって個別に排泄や着替えに対応しながら、個々に生活習慣が身につくようにしている。午睡時には午睡チェック表にて乳幼児突然死症候群の防止に努めている。

保育者の勤務はシフト制のため、早番・遅番が必ずしも担任になるとは限らない。保育者は各クラスの枠をこえて誰もが対応できるように、昼礼や昼礼簿で情報共有したり各担任から口頭で伝達情報が洩れなく伝わるよう体制を整えている。「各クラスがどんな活動をしているのか」「～組になるとこんなことができるようになるんだ」と保護者に分かりやすく伝わるよう、玄関ホールを入ってすぐの廊下に各クラスの「クラスだより」「週日案」「当日の活動内容のようす（ホワイトボード）」を掲示し、内容の見える化を図っている。

出来る限り制限を少なくして自主性を尊重し、園児の発達や興味関心に応じて臨機応変な環境構成に努めている。朝の合同保育後に各クラスに戻ると、園児自身で遊びを選択し、それぞれのコーナーでままごとやブロック・机上遊びを楽しんでいる。３歳児では保育者が大きな模造紙を持ってくると「何するの？」と興味津々に近寄り、壁に張った模造紙に大小様々なシールを用意すると自由に貼り始め、「お絵描きしたい」と園児からの声でクーピーを用意すると好きな色を使って絵を描く様子が見られている。

年齢に合った言葉かけや絵本選択をおこない、音楽・体操・制作などを通して楽しみながら自由に表現できるよう働きかけている。４・５歳児合同で伝承遊び「はないちもんめ」を保育士を含め各クラス対抗で実施している。「かごめかごめ」では、歌もちゃんと覚えて唄いながら盛り上がり、「だ～れだ」と誰の名前が出てくるのか皆で集中し、友達の声を聞き分けて当てる様子が見られる。保育士自身がその遊びを楽しいと思ってやらなければ、子どもには伝わらない。今後も保育者自身が子どもの頃に経験した遊びなども取り入れると良いのではと感じる。

雨の日以外は基本的に戸外に出て散策したり土手や公園で身体を伸び伸びと動かして遊んでいる。４歳児では春の自然をたくさん発見し「たんぽぽあったよ」と友達と言い合ったり、綿毛に「ふーっ」と息を吹きかけて飛ばしたり、シロツメクサで花束を作るなど、興味を持って様々な遊びを楽しむ姿が見られる。公園では滑り台やブランコの順番を守って遊び、５歳児の姿を見てチャレンジする様子も見られている。保育者は園児同士でケンカになった場合も、「いつでも見守っているよ」のスタンスで園児が互いに考えられるように努めている。

入園のしおりで主な行事を掲載して、遊びの延長線上で職員・園児にとって無理なく満足できる行事を企画し、今年度も継続してコロナ禍でもできる行事を実施している。夏行事として幼児組でスイカ割りをおこない、３歳児・４歳児・５歳児と順番に目隠しと棒を持ち、全員が一丸となって応援する声に誘導されてスイカを目指し棒を振り下ろす体験を楽しんでいる。割ったスイカはみんなで感触を味わいながら種を取り出し、乾かした後みんなで協力して貼り付け１つのスイカに「６５５個」の種があることを発見している。

今年度第２回「わくわくさくらっこ」は小学校の体育館を借りて開催準備をしてきたが、感染者数や変異株の流行状況を考慮した結果、少人数・完全入れ替え制で消毒など万全の感染対策により園内開催となっている。乳児クラスは蝶々と花、幼児クラスはにこちゃんマークを手形で作成して成長を感じてもらっている。日々の保育の中で無理なく練習してきた０歳児はトンネルくぐりや滑り台・１歳児はダンスと親子競技・２歳児ダンスと借り物競争・３歳児は借り物競争と親子競技・４歳児はダンス・５歳児はパラバルーンに取り組んでいる。

入園時に年間行事予定表を配布するほか、毎月の園だよりと各種お知らせを掲示・配布して保護者に事前案内している。保護者参加行事は土曜日開催と決め、多くの保護者が参加できるよう配慮している。７月の園だよりでは２０２１年のみオリンピック開催で特別措置として海の日が移動して連休となり休園日になることを伝えたり、７日七夕／水開き・２０日運営委員会（各クラス代表１７時から１８時）・２８日夏行事（０歳：氷感触遊び・１歳：魚釣り氷感触遊び・２歳：寒天感触遊び・幼児クラスはスイカ割り）と細かく情報共有出来るようにしている。

入園のしおりに延長保育時間の食事提供の考え方について記している。延長保育は１８時半を目安に捕食を提供し、スポット延長は当日１４時までの連絡で対応し連絡が遅れると提供できない事を伝えている。昨年度評価で伝えた改善内容を今年度実施しており、５月の園だよりにて「入園のしおり（兼重要事項説明書）に記載、一之江での約束事項の中に「スポット延長について」を付け加えて記載し再確認して保護者からの理解が得られるよう図っている。保護者から「直前の延長依頼でも可能な限り捕食対応してくれて助かる」との意見があった。

全体的な計画の中に「長時間保育への配慮」について明記し取り組んでいる。安心した環境づくりやゆったりとした子どもとの関わりをおこなうと記載して、日々の保育に取り組んでいる。子ども達が遊びたい玩具を一部提供したり、固定ではなく保育室を変えるなど工夫している。長時間いる園児の中では手が出やすい子や噛みつく園児のみを対応している姿もあり、全体的な園児との関わりにバラツキがあるため、合同保育の際の園児との関わり方についての話し合いが必要かと思われる。

みんなの保育指針で「食事で大切にしていること」は食べることが生きること、「食を営む」の基礎を培うことと明記して、１楽しい食事時間、２健全な発育を支える関わり、３食事のマナーについて分かりやすく記している。散歩から帰園後は手洗いなどを済ませた園児から席に着いて食べ始める。少人数で落ち着いて食べられる環境づくりをして、子ども同士の会話には保育者も耳を傾け介助や声をかけている。担任や調理と会議をおこないすり合わせをして、振り返りながら献立変更をしている。保護者より「食べている様子がみてみたい」との意見があった。

全体的な計画に食物アレルギー対応、生活管理指導表・個別面談と面談補足確認・家庭における食物除去の程度確認・個別取り組みプランの作成・最終確認面談・ピンクトレー（名前と食材記載）・ピンクの食器・個別台ふきん・アレルギー児用食事介助エプロン・アレルギー児献立・トリプルチェック・アレルギー児一覧表（調理室内に掲示）・食育と明記して実践している。現在アレルギー児は３名在籍して、安全な食事提供ができるよう、園長・保育士・栄養士間で連携を図っている。

年間食育計画を担任・栄養士とで作成し、食事に対して興味関心がもてるよう取り組んでいる。プランターでオクラ・ミニトマト・ナス・きゅうりの種や苗を植えて育て、収穫した野菜はスタンプなどの食育に活用している。今年度植えたひまわりやペチュニアの花は途中で枯れたため、来年度は咲かせて玄関に飾り、園児や保護者がいつでも見られるようにしたいと意気込む様子が見られた。今年度はコロナでクッキングに影響が出ているほか、食事の残量が多いため声掛けや食べる意欲に結びつくような食育を取り入れたいと検討している。

３つの年間保健計画を基本に、年間目標「１生活リズムを整え基本的生活習慣を身に付ける。２体のしくみを知り体力づくりなどを通して自ら健康増進をはかる」を看護師が立案し３か月ごとに目標を立てている。１基の目標は、①健康状態を把握する。②衛生的な生活習慣を身に付け生理的要求を十分満たせるようにする。として活動内容に幼児の手洗い指導・歯磨き指導を実施している。６月のブログに歯科検診の様子と歯磨き指導の様子を掲載し、歯磨きして寝ること・磨き方・虫歯になりにくいおやつ・良い歯ブラシなど楽しみながら指導している。

コロナの影響で検温やマスクの着用・手指消毒・手洗い・うがいの励行に加え、玩具や手するの消毒・掃除など、より一層の感染症対策に取り組んでいる。夏期期間は熱中症にも配慮して、外遊びの可否を「環境省熱中症予防情報サイト」を参考に、区の経時的な暑さ指数を毎朝確認し９時に更新している。７月に熱中症警戒アラートが発表された日の園での過ごし方をブログに掲載している。園ではテラスの日向と日陰の暑さ指数を経時的に測定しており、当日は５分毎に暑さ指数を確認し３１℃以上になったら中止するとして水遊びを実施している。

入園時及び年２回嘱託医と連携して健康診断をおこない、毎月すくすくだよりを保護者に提供して健康管理に努めている。すくすくだより４月では爪切りの協力や登園前の体調チェック、５月は水分補給のＱ＆Ａやイヤイヤ期の対応、６月は虫歯予防デーや気になる虫刺され、７月は水遊びの事前準備やあせも、８月は熱中症や夏の栄養補給ワンポイント等のほか、毎月園内での感染症状況を掲載し保護者と共有している。午睡時の健康観察の留意点に沿って午睡チェックを徹底して乳幼児突然死症候群防止に努め、午睡後の検温で体調変化に配慮している。

登園時に園長は事務所に滞在して玄関から入ってくる保護者と園児に笑顔で「おはようございます」、出勤していく保護者に「行ってらっしゃい」と気持ちよく声をかけて送り出している。また保育室では保育者が同様の対応で雰囲気づくりに努めていることから、園児と保護者が安心できる環境であると推察する。入園時の書類などで各園児の家庭環境を把握し、保護者の就労状況により無理のない面談や行事を設定している。コロナ禍での行事のやり方について検討し、創意工夫して保護者の要望に応えられるよう考慮している。

保育日誌や連絡帳を活用して保護者とのコミュニケーション・情報共有を実施している。乳児が使用する保育日誌では出来たこと・頑張ったこと・優しくできたことなどニッコリ出来る内容を記載し、幼児クラスでは親子の会話を楽しんでほしいとの思いから、連絡帳で連絡事項のみのやり取りをおこなっている。昨年度評価時に保護者より「幼児になると様子が分からない」等の意見が出たことを受け、今年度は連絡帳の定期的な記入や相談に対しての返答を記入したり、送迎時以外での共有時間の確保に力を入れ、信頼関係が築けるようにしている。

園だより・クラスだより・すくすくだより（看護師）・ぱくぱくだより（委託業者）を毎月発行しているほか、ブログを通して子育てに役立つ情報を提供している。４月の園だよりでは「一之江の保育」として、子ども達の自発的な活動（興味を持ったことを展開させる遊び）、非認知能力（点数では測れないが人間にとって大事な力＝好奇心・集中力・己を抑制する力・自己肯定感や頑張ろうとする力）が育つよう保育を実践している旨を丁寧に伝えている。また、ブログでは江戸川区など緊急事態宣言・台風・地震等への対応の仕方をお知らせしている。

コロナ禍で地域交流や地域資源を活用する機会はないが、戸外活動時に商店街や近隣の方と挨拶を交わしたり、公園で出会う他の保育園との挨拶などを通して地域に知られる保育園を目指している。今年度は散歩中に近隣の方に声をかけられ、七夕の笹の葉をもらって飾りつけをしている。園児からはお礼の手紙を出して交流を図っている。また、職員から「近隣の方から花などを頂くことが多い」との意見もあり、職員のモチベーションアップにもつながっていることがうかがえる。今後はコロナ終息後の活動に向けて視野を広げて考えておく必要があると思われる。

契約時に重要事項説明書にて個人情報の取扱についての５項目を丁寧に説明するほか、「入園時同意書」ではブログへの園児の写真掲載や写真販売のための販売会社へ個人情報や画像データを提供することなど９項目について同意の有無を確認している。また、必要が生じた際には保護者にその都度事前確認をおこなっている。前年度コロナの影響で運動会等への保護者参加を中止せざるを得なくなった際に、動画配信を期間限定で保護者に発信している。それに伴い、今年度より新たに動画掲載を取り入れて同意をもらっている。

保育者からも写真掲載などで同意を取り、ブログ掲載時に個人が特定できないようにスタンプを施すなどプライバシー保護に配慮している。オムツ替え時やプールの際など着脱時には、パーテーションを使用して羞恥心に配慮している。訪問時、幼児クラスでは園児が保育者にトイレの声掛けをしてからトイレに一人で向かい、保育者は保育室で他の園児の保育をしている様子があった。園児が一人でトイレに行けるようにトイレドアは開放していると思うが、常に開放したままのため小さなパーテーションを使用するなど、見えない工夫をお願いしたい。

園内には事故やけが・虐待防止を目的に防犯カメラを設置し、必要時に園長が職員とともに確認している。園長は巡回さりげないフォローに努め、気づいたことがあった際には職員会議等で課題に取り上げ話す機会を設けている。本部研修で学んだチームビルディング研修を園内研修として取り入れ会議の中で実施したり、レジリエンス研修をおこなうことでネガティブ発言が減少する等、感情コントロールに成果が見られている。今後は虐待の芽チェックシートなどを活用することで、保育者自身が保育の実践を振り返る機会があると良いと考える。

衛生管理マニュアル・BCP（事業継続計画）・午睡時の健康観察の留意点・ブログ操作マニュアルなど必要なマニュアルを用意し、いつでも確認できるよう事務所で管理している。保育者が対応に戸惑っている時には、マニュアルや重要事項説明書における手引きを確認して理解に努め、柔軟な対応ができる体制ができている。今年度は感染症対策の見直しを本社経由でおこない、掃除の際の次亜水濃度をコロナの期間だけ０．０５％に強化するよう変更している。換気は１時間に１回、掃除は登降園時に限らず園長や看護師も共に実施している。

２年まえに全園統一の「みんなの保育指針」が完成し、これから全体に浸透させていこうとしている矢先にコロナの流行があり、そのまま中断した状況が続いている。今年度「みんなの保育指針」策定時の中心メンバーでもある他園園長がワークショップをいち早く開催し、コロナの影響で８月までは毎月来園して環境やクラスの悩み相談を実施し、指針の浸透を図っている。今後はコロナの如何に関わらず、本社プロジェクトチームのメンバーによる園巡回がおこなわれ、指針の浸透が進むよう望みたい。

昼礼や職員会議・クラス会議など職員が顔を合わせて話し合う機会を多く持ち、話しやすい雰囲気づくりに努めている。職員アンケートでは「職員間の連携が良い」「何でも話し合える」「働きやすい」「園長が積極的に職員とコミュニケーションを取っている」等の意見がある一方、「全体的に人任せ」「個々のスキルや思いに差がある」「真面目で几帳面なゆえに口調が強くなる」「休憩室で良くない話をしている」等が聞かれた。職員間で統一を図るため、繰り返し伝えたり実際の場面を具体的に明確にする等、理解が得られるよう取り組みたいとしている。