東京都福祉サービス第三者評価  評価結果





評価結果基本情報

評価年度 令和3年度
サービス名称 認可保育所
法人名称 テルウェル東日本株式会社
事業所名称 ぽこころ保育園祖師谷
評価機関名称 株式会社 にほんの福祉ネット

コメント

職員アンケートは動画の視聴により趣旨や回答方法の周知を図った。保護者アンケートは回答の利便性を考慮しウェブ回答の手法を採用した。訪問調査は、事業所の感染症対策についての方針に則り、オンライン形式を採用し、評価者2名、補助者1名により、実施した。合議では、さらに1名の評価者を加え、全体の講評や特に力を入れている取り組みの論点の的確性、論旨の明確性を検討した。


(内容)
 Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像
 Ⅱ 全体の評価講評
 Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み
 Ⅳ 利用者調査結果
 Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)
 Ⅵ サービス提供のプロセス項目


公益財団法人東京都福祉保健財団
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Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像

1 理念・方針  (関連 カテゴリー1 リーダーシップと意思決定)
  事業者が大切にしている考え(事業者の理念・ビジョン・使命など)

1)地域における総合的な子育て支援拠点を目指す 2)保育に関わる全ての職員を「人材」であると考え、働きやすい環境・体制を整備し、計画的な育成を行う 3)「情熱」をもって子育て家庭を支援し、ともに子どもの成長を喜び、楽しみを共有する 4)子どもや保護者および地域との信頼関係を築くために、コミュニケーションを密にとり、専門性を高めるための自己研鑽に励む 5)利用者のご意見・ご要望に可能な限り耳を傾け、さまざまなニーズに対し柔軟に対応を行う

 
2 期待する職員像  (関連 カテゴリー5 職員と組織の能力向上)
  (1)職員に求めている人材像や役割

【職員全般に求める人材像】 ・主体的に判断し行動できる人材 ・変化にチャレンジし、高い目標を掲げ挑戦できる人材 ・常に自己革新できる向上心に満ちた人材 ・世の中に通用するスキルを持つ人材 【園長に求める資質】 ・事業の改善のために努力できる ・職員を適正に管理、育成できる ・保育の質向上に尽力できる 【主任に求める資質】 ・リーダーとしての責任感がある ・園長と協力して運営を行える ・園長候補として自己研鑽を行える 【保育士に求める資質】 ・保育に対し見解と熱意がある ・子どもの人権を尊重できる ・保護者、地域と信頼関係を築ける ・同僚との信頼関係を築ける

 
(2)職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

・子どもと関わることを喜び、子どもと一緒に楽しみます ・安全を第一に考え、安心して利用できる施設を目指します ・保護者の気持ちに寄り添い、共に子どもの成長を喜びます ・常に笑顔と明るい挨拶を心掛けます ・自ら考え状況を判断し、自主的に動きます ・自らの仕事に責任と誇りを持ち、知識と技術の向上に努めます ・職員同士のコミュニケーションを高め、より良い職場環境を作ります ・地域に愛され、地域と共に発展する施設を目指します

 


Ⅱ 全体の評価講評

全体の評価講評

特に良いと思う点
1 親密な人間関係の中で健やかな育ちを支えている

定員50名という比較的小さな規模を活かし、子ども一人ひとりの特性や状況を把握し、それぞれに応じたきめ細やかなかかわりを実践している。各クラス10名定員という少人数でのクラス運営で、仕切りなどを活用してワンフロアを共有している。クラス固有の空間の中で遊びこんだり集中したりする時間を保障しつつ、クラスの垣根を超えた子ども同士の関係や大人とのかかわりの中で社会性をはじめとした必要な力を育んでいる。信頼できる大人とのかかわりや見守りなど、安心出来る環境の中で、子ども同士が育ちあう関係がある。
2 特色ある保育実践により、心身の発達を援助している

週2回、全園児を対象に英語に触れる機会を設けている(イングリッシュタイム)。外国語に慣れ親しむことを通して、目や肌の色の違いなどの多様性に触れ、ゆくゆくは異文化への理解、異文化との共存のきっかけとなることをねらいとしながら、言葉、歌、表現、言葉のやり取りなどを楽しんでいる。また、週1回、幼児を対象に体操教室を行っている。身体の基礎的な部分(体幹や身のこなし)を養い、転んでも手をつくなど自分の身を守ることが出来る子どもに育って欲しいという願いを持ちながら、身体機能の向上を図っている。
3 運営法人と現場を預かる園との協調により、より良い運営を目指している

法人内で唯一の保育施設として、園と法人とが密接に連携して運営を行っている。昨年度より法人職員1名が園に常駐し、園と法人との間をつなぐ要として、法人の方針や動きを園に伝え、また園の現状を法人に伝えることで、相互理解を図り、より良い運営につなげている。実際に保育現場に身を置き、かかわることで、現場の大変さを共有し、職員の置かれている状況を理解し、また悩みや不安なども受けとめ、法人・園が手を取り合って運営を進めていけるように取り組んでいる。

さらなる改善が望まれる点
1 事業計画の策定にあたり法人と園との協働のプロセスを盛り込んでいく

運営法人が主導して中長期計画や単年度の事業計画を作成し、計画に基づく事業運営に供してきた。保育現場での業務には運営という組織的な裏付けがあり、現場職員が直接触れる機会がないことであっても、例えば収支状況など、運営上欠かせない要素がいくつもある。こうした運営面に関心を持つことは、現場での業務をより適切に、また意識をもって行っていくことにもつながる。共通認識に基づく運営をより確かなものとしていくため、今後は、事業計画の策定にあたり法人と園との協働のプロセスを盛り込んでいくことを課題としている。
2 マニュアルの整理・見直しを進め、共通認識を促進していく

運営や保育の各場面における手順や留意事項をマニュアル化している。衛生管理、感染症対策、危機管理、虐待対応などの保健・衛生・危機管理に関するもののほか、苦情対応や給食提供に関するもの、そのほか運営全般に関わるマニュアルを整備している。これらは、各業務を遂行するにあたり職員一人ひとりが踏まえるべき基本事項であり、それを実践することで統一的な対応が行われることとなる。今後は、法人・園の両者で内容の確認・見直しを行い、職員一人ひとりへの浸透を図っていくことで、共通認識をより一層促進していくことを課題としている。
3 テーマに基づく学びの機会を設定・活用していく

新型コロナウイルス感染症の感染拡大以降、外部研修の休止やオンライン化など、職員の育成機会にも影響が生じている。現状では、施設長や主任が中心となってOJTを実施したり、運営法人の主査がスーパーヴィジョンを行ったりすることで、個々に応じた助言・指導を行っている。職員一人ひとりの資質や専門性の向上をより効果的に図っていくためにも、今後は、園内研修など、テーマに基づく学びの機会を設定・活用していくことを課題としている。

Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み

1 ★ 組織内でのコミュニケーションを強化している

毎日の昼礼により、早番・遅番の職員相互で情報共有を図り、共通認識の下で保育にあたれるようにしている。また、連絡ノートを活用し、保育に直結するもののみならず、広く円滑な組織運営のために些細なことも含めて職員間で共有している。積極的な情報共有を通して職場内でのコミュニケーションの強化を図っている。
関連評価項目(事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している)
2 ★ 新入園児の詳細な情報を職員全体で共有し保育に活かしている

新入園児について、保育士との信頼関係を築き、子どもが安心して過ごせる環境作り、保護者が安心して子どもを預けられる関係作りに取り組んでいる。面接時に把握した詳細な情報を保育士全員で共有している。氏名、生年月日、呼び名、好きな遊びや食べ物、興味のある遊びなど、保護者から確認した情報を職員全体で踏まえた上で、一人ひとりに丁寧にかかわっている。子どもに対する理解、それを踏まえた対応により、子どもや保護者の安心につなげている。
関連評価項目(サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている)
3 ★ 保護者向けの情報の発信方法を見直している

保護者に発信する情報の量や種類も多くなってきた。そこで、受け手の立場になって見やすさに配慮した工夫を施し、お知らせの掲示版を設けて一か所に集約した。また、特に感染症の情報については、新型コロナウイルス感染症と通常の感染症とで掲示方法を変え、保護者が確認しやすいようにした。情報の内容や性質に応じて発信方法を変えることで、保護者も把握しやすくなった。
関連評価項目(保護者が安心して子育てをすることができるよう支援を行っている)

Ⅳ 利用者調査結果

調査概要
調査対象:複数児利用世帯は最低年齢児1人を対象として実施世帯数を絞った上で、実施。

調査方法:アンケート方式  
調査の趣旨や回答方法、QRコードなどを記した案内を園を通じて配布。保護者は各自のメールアドレスに送られるリンクを参照してウェブ上のシステムにアクセスし、回答。

利用者総数 48人
利用者家族総数(世帯) 45世帯
アンケートや聞き取りを行った人数 45人
有効回答者数 23人
回答者割合(%) 51.1%

総括
総合的には「満足」70%、「まあまあ満足」30%、あわせて100%という結果となった。

利用者調査結果

1.保育所での活動は、子どもの心身の発達に役立っているか
はい 22人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
回答者の96%が「はい」と回答した。
2.保育所での活動は、子どもが興味や関心を持って行えるようになっているか
はい 22人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
回答者の96%が「はい」と回答した。
3.提供される食事は、子どもの状況に配慮されているか
はい 22人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
回答者の96%が「はい」と回答した。
4.保育所の生活で身近な自然や社会と十分関わっているか
はい 11人  どちらともいえない 10人  いいえ 2人  無回答・非該当 0人 
回答者の48%が「はい」と回答した。
5.保育時間の変更は、保護者の状況に柔軟に対応されているか
はい 15人  どちらともいえない 4人  いいえ 0人  無回答・非該当 4人 
回答者の65%が「はい」と回答した。
6.安全対策が十分取られていると思うか
はい 18人  どちらともいえない 5人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
回答者の78%が「はい」と回答した。
7.行事日程の設定は、保護者の状況に対する配慮は十分か
はい 15人  どちらともいえない 7人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
回答者の65%が「はい」と回答した。
8.子どもの保育について家庭と保育所に信頼関係があるか
はい 19人  どちらともいえない 4人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
回答者の83%が「はい」と回答した。
9.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか
はい 22人  どちらともいえない 0人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
回答者の96%が「はい」と回答した。
10.職員の接遇・態度は適切か
はい 23人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
回答者全員が「はい」と回答した。
11.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
はい 21人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
回答者の91%が「はい」と回答した。
12.子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
はい 17人  どちらともいえない 4人  いいえ 0人  無回答・非該当 2人 
回答者の74%が「はい」と回答した。
13.子どもの気持ちを尊重した対応がされているか
はい 20人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 1人 
回答者の91%が「はい」と回答した。
14.子どもと保護者のプライバシーは守られているか
はい 16人  どちらともいえない 5人  いいえ 0人  無回答・非該当 2人 
回答者の70%が「はい」と回答した。
15.保育内容に関する職員の説明はわかりやすいか
はい 22人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
回答者の96%が「はい」と回答した。
16.利用者の不満や要望は対応されているか
はい 16人  どちらともいえない 5人  いいえ 0人  無回答・非該当 2人 
回答者の70%が「はい」と回答した。
17.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
はい 14人  どちらともいえない 6人  いいえ 2人  無回答・非該当 1人 
回答者の64%が「はい」と回答した。

Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)

※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー1  リーダーシップと意思決定
  サブカテゴリー1  事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  標準項目2 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
  評価項目2 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている 実施状況
  標準項目1 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
  標準項目2 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
  評価項目3 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している 実施状況
  標準項目1 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
  標準項目2 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  標準項目3 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
講評
事業全体の動き、理念、方針などへの理解を図っている

運営法人として、事業計画に基づく説明を職員に行っている。法人のライフサポート事業の一翼を担う保育部門として、お金の流れを含めて全体の動きを知らせ、また、年度ごとの取り組み方針を発信している。園内では、理念や方針を各所に掲示し、採用時などに説明している。保護者に対しては、利用開始時の重要事項説明書に基づく説明、園だよりやウェブサイトへの掲載などにより、理解の促進を図っている。

経営層として取り組みの方向性の提示、現場職員の鼓舞などを行っている

園長以下、役職者や専門職の役割を明確化し、研修や会議などの場を活用して説明している。各業務の最終責任者として、園長は職員に取り組みの方向性を提示している。また、法人本部の部門長も園を訪問し、職員に声をかけ、現状の把握や士気の向上を図っている。法人から配属された主査も、日常的にスーパーヴィジョンを行っている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー2  事業所を取り巻く環境の把握・活用及び計画の策定と実行
  サブカテゴリー1  事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
  評価項目1 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している 実施状況
  標準項目1 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目2 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
  標準項目3 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目4 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
  標準項目5 事業所の経営状況を把握・検討している
  標準項目6 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
  サブカテゴリー2  実践的な計画策定に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している 実施状況
  標準項目1 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
  標準項目2 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
  標準項目3 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
  評価項目2 着実な計画の実行に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
  標準項目2 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
講評
面談、日々のかかわり、各種資料により現状の把握を行っている

個人面談やオンライン保護者会などを通して、運営の報告を行うとともに、保護者のニーズを確認している。また、定期的な面談のほか、常駐する法人職員(主査)によるヒアリングや日々のかかわりなどを通して、職員の意向を把握している。そのほか、園長会の資料や法人が収集する行政や業界の動向に関する情報などをもとに、地域のニーズなどを確認している。これらを総合して今後の運営上の課題の整理に活かしている。

運営法人が主導して中長期計画や単年度の事業計画を作成している

法人としての運営方針を軸に、保育内容、職員の体制や育成、施設管理、地域に対する支援などの様々な視点から取り組み内容を決定し、運営に関連する各数値を盛り込んだ中長期計画を策定している。そしてこれを踏まえ、単年度の計画を策定している。半期ごとに計画の実施状況を検証し、着実な運営となるよう取り組んでいる。

園内のミーティング、運営法人によるフォローにより、計画の進捗管理を行っている

ミーティングを定例化し、議題に基づいた検討を行い、計画に基づく事業運営の進捗を管理している。運営法人では、園の現状・動向、現場業務のサポートの必要性や対応策などについて、複数の担当職員が担当内で情報を共有し、改題の解決に取り組んでいる。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー3  経営における社会的責任
  サブカテゴリー1  社会人・福祉サービス事業者として守るべきことを明確にし、その達成に取り組んでいる
  評価項目1 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
  標準項目2 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している。
  サブカテゴリー2  利用者の権利擁護のために、組織的な取り組みを行っている
  評価項目1 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている 実施状況
  標準項目1 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  標準項目2 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
  評価項目2 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている 実施状況
  標準項目1 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  標準項目2 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
  サブカテゴリー3  地域の福祉に役立つ取り組みを行っている
  評価項目1 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
  標準項目2 ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
  評価項目2 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
  標準項目2 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
  標準項目3 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
講評
コンプライアンスにかかわる研修を行っている

現場を担う保育士特有の職業倫理とは別に、組織の一員、社会人として遵守すべき倫理・規範を定め、浸透を図っている。法人として「コンプライアンス行動規範」を定め、採用時に加え、年に1回全職員を対象にCSR(Corporate Social Responsibility)研修を全職員に実施している(管理職は年2回)。その内容は、人権、社会貢献、情報セキュリティなど、コンプライアンスにかかわる内容を網羅している。ややデスクワーク向きの内容も見られるため、現場にどのように落とし込んでいくかは検討課題となっている。

苦情の受付・解決を図る仕組みを確立している

意見・要望・苦情については、受付を主任、相談・解決を園長がそれぞれ担うこととし、弁護士や有識者からなる第三者委員も設置している。これらを重要事項説明書にも明記し、また園内にも掲示することで、保護者に案内している。また、保護者を対象としたアンケートを実施し、意向の把握やそれを踏まえた対応の改善を図っている。

子どもの権利の擁護・不適切な対応の予防などに取り組んでいる

上記のコンプライアンス行動規範についての説明やCSR研修により人権擁護に対する意識を促進し、不適切な言動の予防を図っている。また、園長、法人から配属された主査を中心に、日々の保育の様子を確認するとともに各職員とコミュニケーションを積極的にとり、適宜助言や指導を行うことで、接遇の向上を図っている。さらに、虐待が疑われるケースの情報を得た際の園内での対応や関係機関との連携などを含む一連の対応手順を明確化している(虐待対応マニュアル)。行政主催の研修にも参加し、権利擁護関連の情報を職員間で共有している。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー4  リスクマネジメント
  サブカテゴリー1  リスクマネジメントに計画的に取り組んでいる
  評価項目1 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
  標準項目2 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
  標準項目3 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
  標準項目4 リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
  標準項目5 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
  サブカテゴリー2  事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
  評価項目1 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている 実施状況
  標準項目1 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
  標準項目2 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
  標準項目3 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
  標準項目4 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
講評
様々なリスクに備え、特に災害を想定した事業継続計画を策定している

運営上の様々なリスクに応じた対応策や手順、留意事項などをマニュアル化している。そして、事故、感染症などの事態を対応上の優先課題とし、リスク管理を行っている。事業継続にかかわるマニュアルも作成し、災害時における初動対応から被害の最小化、事業の復旧などに至る手順を明確化している。そのほか、法人のグループ会社が開発した安否確認システムも導入している。また、避難先の公園に迅速に避難するための地図を作製し掲示している。こうした取り組みにより、非常時における安全の確保を図っている。

情報セキュリティのための体制を確立している

個人情報保護法の趣旨を踏まえて、情報の適切な取り扱いのためのルールを定めている(情報セキュリティの基本方針・基本規程・マニュアル)。これらに加え、研修や点検などにより、職員の理解の促進や意識化を図っている。利用者の個人情報を含む書類は、アクセスログを取得可能なテンキー操作で開閉を行う電池式収納書庫にて管理している。職員の個人情報を含む書類についてはキャビネットにて施錠管理している。そして、防犯カメラの設置、アクセス権限の設定、運営法人によるパソコンの管理状況のチェックなどにより、セキュリティを強化している。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー5  職員と組織の能力向上
  サブカテゴリー1  事業所が目指している経営・サービスを実現する人材の確保・育成・定着に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている 実施状況
  標準項目1 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
  標準項目2 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
  評価項目2 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している 実施状況
  標準項目1 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
  標準項目2 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
  評価項目3 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
  標準項目2 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
  標準項目3 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
  標準項目4 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
  評価項目4 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
  標準項目2 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
  標準項目3 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
  標準項目4 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
  サブカテゴリー2  組織力の向上に取り組んでいる
  評価項目1 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
  標準項目2 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
  標準項目3 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
講評
広く人材を募集し、職員の紹介によるものを含め人材を採用している

求人広告のほか、運営法人のネットワークを活用して社内広報などで募集する、ホームページで募集する、人材紹介会社と連携するなど、様々な機会を捉えて人材確保に取り組んでいる。職員の紹介による採用例もある。採用後は、運営法人と園とが一体となって、個々の特性などを踏まえた育成やクラス配置などを行っている。

目標管理的な人材育成を行っている

法人として経験年数などを踏まえて職員を階層化(等級化)し、それぞれの段階において求められる力量などを示している(キャリアパス制度)。そして、組織目標を踏まえて各自の目標や果たしていくべき役割を設定し、半期ごとの面談により達成状況を振り返り、次期への目標を明確化している(チャレンジシート)。これにより、目標管理的な人材育成を行っている。

園と法人とをつなぐ要となる職員を配置し、コミュニケーションの円滑化を図っている

昨年度より法人職員1名が園に常駐し、園と法人との間をつなぐ要として、法人の方針や動きを園に伝え、また園の現状を法人に伝えることで、相互理解を図り、より良い運営につなげている。実際に保育現場に身を置き、かかわることで、現場の大変さを共有し、職員の置かれている状況を理解しようと努めている。また悩みや不安なども受けとめ、心理面へのサポートも園長と協働して行っている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー7  事業所の重要課題に対する組織的な活動
  サブカテゴリー1  事業所の重要課題に対して、目標設定・取り組み・結果の検証・次期の事業活動等への反映を行っている
  評価項目1 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 〇「安心・安全で安定的な運営」「保育の質を高め、子どもにとって最良な保育の場を提供する」という重要課題を踏まえ、①安心で安全な保育施設を目指すこととした。ケガの発生時には各種報告書や保育日誌を活用して発生状況や内容、対応や経過など記録に残し、昼礼や職員会議においてそれらを共有し、再発防止に取り組んだ。また、セキュリティカメラを各保育室に設置し、ケガやかみつきなどの発生時に録画画像を用いて発生状況を分析し、防止に取り組んだ。さらに、感染症の発生時には速やかに保護者に周知し、蔓延防止を図った。そのほか、チェックリストに基づき施設の各箇所の状況を定期的に点検し、安全な環境の維持に取り組んだ。加えて、災害に備え、避難訓練の定期的な実施、保護者への安否確認訓練メールの配信、引渡し訓練の実施など、非常時を想定した取り組みの検証なども行った。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
〇職員の意識の向上により、ヒヤリハットの報告件数は増加した。インシデントの報告については一層力を入れていく方針である。セキュリティカメラを活用した分析は、必要と思われるものを中心に行った。今後は報告書に画像を添付することを検討している。感染症対策については、行政との連携を含め、迅速に対応することが出来た。避難訓練は計画通り実施し、保護者への安否確認訓練についてはメールの送信まで行った。今後は到着確認を漏れなく行えるようにしていく方針である。 
  評価項目2 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 〇「安心・安全で安定的な運営」「保育の質を高め、子どもにとって最良な保育の場を提供する」という重要課題を踏まえ、②子どもが自ら考え、主体的に動ける環境を整えることとした。新型コロナウイルス感染症対策に配慮しながら、行事や食育活動を行った。行事については感染予防の観点から保護者参加型の開催に代えて、様子を撮影したものをDVD化し、保護者に対して無償でDVDを配布した。また、異年齢保育を通して幼児クラスが乳児クラスのお手本となるように行動し、目的の沿った活動を通して自信をつけ、意欲的な姿が見られた。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
〇通番活動を通した役割については、3、4、5歳の各クラス全てにおいて定着化できるよう、その内容を含めて見直していく方針である。異年齢保育についても、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえて、延長保育の時間帯においても協調性を育めるような環境上の工夫を行っていく見込みである。 

Ⅵ サービス提供のプロセス項目(カテゴリー6)

カテゴリー6 サービス提供のプロセス
  サブカテゴリー1 サービス情報の提供
  評価項目1 利用希望者等に対してサービスの情報を提供している 実施状況
  標準項目1 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  標準項目2 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  標準項目3 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  標準項目4 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
講評
ホームページやパンフレットなどにより情報を発信している

ホームページやパンフレットでは、保育理念、方針などのほか、園名に込めた思いや保育内容、施設の特色などについて発信している。園の情報は、園のホームページによる発信のほか、世田谷区のホームページや冊子などにも提供し、保育を必要とする方々に届くよう取り組んでいる。

感染対策を行いつつ、見学の受け入れを行っている

入園を検討中で園の様子を知りたい、見学したい場合は、電話での連絡を受け付けている。た数の希望者がある中、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、見学は回数や参加人数を制限して実施している。完全予約制で、月に2回、少人数で受け入れを行っている。保育室の様子は廊下から見て頂き、園の方針、保育内容、特色ある保育の概要などについて説明している。


  サブカテゴリー2 サービスの開始・終了時の対応
  評価項目1 サービスの開始にあたり保護者に説明し、同意を得ている 実施状況
  標準項目1 サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を保護者の状況に応じて説明している
  標準項目2 サービス内容について、保護者の同意を得るようにしている
  標準項目3 サービスに関する説明の際に、保護者の意向を確認し、記録化している
  評価項目2 サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 サービス開始時に、子どもの保育に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  標準項目2 利用開始直後には、子どもの不安やストレスが軽減されるように配慮している
  標準項目3 サービスの終了時には、子どもや保護者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
講評
規模を活かして全体説明会を行っている

入園面接を経て、入園内定者を対象に、一家庭一名の出席で全体での説明会を行っている。重要事項説明書をもとに、利用上のルール、留意事項、協力が必要なことなどについて説明を行っている。運営規程については読み合わせを行っている。持ち物については、実物を見せながら紹介するなど、保護者の理解しやすさに配慮している。

個々の特性や状況を踏まえて丁寧なかかわりにつなげている

入園直後は、無理なく新たな環境に慣れることが出来るよう、保育時間の調整を柔軟に行っている。一対一でのかかわりにより信頼関係を作り、安心出来る大人との関係の中で過ごせるよう援助している。特に、氏名、生年月日、呼び名、好きな遊びや食べ物、興味のある遊びなど、面接時に把握した詳細な情報を保育士全員で共有し、一人ひとりに丁寧にかかわっている。子どもに対する理解、それを踏まえた対応により、子どもや保護者の安心につなげている。


  サブカテゴリー3 個別状況の記録と計画策定
  評価項目1 定められた手順に従ってアセスメント(情報収集、分析および課題設定)を行い、子どもの課題を個別のサービス場面ごとに明示している 実施状況
  標準項目1 子どもの心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し把握している
  標準項目2 子どもや保護者のニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  標準項目3 アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
  評価項目2 全体的な計画や子どもの様子を踏まえた指導計画を作成している 実施状況
  標準項目1 指導計画は、全体的な計画を踏まえて、養護(生命の保持・情緒の安定)と教育(健康・人間関係・環境・言葉・表現)の各領域を考慮して作成している
  標準項目2 指導計画は、子どもの実態や子どもを取り巻く状況の変化に即して、作成、見直しをしている
  標準項目3 個別的な計画が必要な子どもに対し、子どもの状況(年齢・発達の状況など)に応じて、個別的な計画の作成、見直しをしている
  標準項目4 指導計画を保護者にわかりやすく説明している
  標準項目5 指導計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  評価項目3 子どもに関する記録が行われ、管理体制を確立している 実施状況
  標準項目1 子ども一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  標準項目2 指導計画に沿った具体的な保育内容と、その結果子どもの状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
  評価項目4 子どもの状況等に関する情報を職員間で共有化している 実施状況
  標準項目1 指導計画の内容や個人の記録を、保育を担当する職員すべてが共有し、活用している
  標準項目2 申し送り・引継ぎ等により、子どもや保護者の状況に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
講評
保育に必要な個別の事情や要望の把握を行っている

健康状態については、既往歴や予防接種の状況、体質的な特徴、アレルギーの有無などの点を中心に児童票に記録している。入園までの生活状況については、食事(内容や食べ方、偏食など)、睡眠(起床時の様子や寝かせ方など)、排泄(おむつの使用状況や排尿のリズム・状態)、清潔(手洗い・歯磨きの習慣、入浴・洗髪のリズムなど)、着脱(靴の脱ぎ履きなど)、表現・理解などの言葉の発達状況、要求表現(思いや欲求の表現方法)、自立(自発性の芽生え)、遊び(好きな遊び・おもちゃなど)などの項目に沿って個別の状況を記録している。

保育指針に則って各種の指導計画を作成している

国が定めた保育指針などを踏まえて、園として進めていく保育の内容・方向性について、全体的な計画としてまとめている。その上で、保育目標を具体化する実践計画として年齢ごとに指導計画を作成している。計画は、養護(生命の保持・情緒の安定)と教育(健康・人間関係・環境・言葉・表現)の各要素に応じた項目立てを行い、年齢別に目標設定を行っている。これをもとに、短期的な指導計画を作成している。そして、子どもの様子を踏まえて、定期的に会議で検討し、振り返り・見直しを行っている。


  サブカテゴリー4 サービスの実施
  評価項目1 子ども一人ひとりの発達の状態に応じた保育を行っている 実施状況
  標準項目1 発達の過程や生活環境などにより、子ども一人ひとりの全体的な姿を把握したうえで保育を行っている
  標準項目2 子どもが主体的に周囲の人・もの・ことに興味や関心を持ち、働きかけることができるよう、環境を工夫している
  標準項目3 子ども同士が年齢や文化・習慣の違いなどを認め合い、互いを尊重する心が育つよう配慮している
  標準項目4 特別な配慮が必要な子ども(障害のある子どもを含む)の保育にあたっては、他の子どもとの生活を通して共に成長できるよう援助している
  標準項目5 発達の過程で生じる子ども同士のトラブル(けんか・かみつき等)に対し、子どもの気持ちを尊重した対応をしている
  標準項目6 【5歳児の定員を設けている保育所のみ】 小学校教育への円滑な接続に向け、小学校と連携をとって、援助している
講評
個々の成長・発達の見通しになって環境を工夫している①

1歳児室では、保育士との十分な愛着関係を育み、安心できる環境の中で生活や遊びを展開出来ることを重視している。机や椅子を配置し、手を洗って自分の場所に行き、遊ぶ姿がある。絵本や構成玩具などのほか、お世話遊びのコーナーなどを設けている。2歳児室では、活発に遊ぶ姿が見られるため、満足いくまで遊ぶことが出来るよう、玄関フロアも活用している。3歳児の空間では、自分でできることが増えてくるため、玩具や教材、絵本などを手に取れるように準備している。朝の準備なども自分で出来るように設定している。

個々の成長・発達の見通しになって環境を工夫している②

3歳児のものとパーテーションで区分けされた4歳児の空間では、トレイ、卵やヨーグルトの容器などの廃材、トイレットペーパーなどを活用して、常に物を作ることが出来る環境を整えている。作業途中のものは「ただいま作業中」として翌日にも活動を継続できるようにしている。5歳児室は、編み物好きなので牛乳パックで作成した編み機で編み物を製作したり、カレンダーを作成したり、職員と相談しながら様々な活動に取り組んでいる。就学に向けて後期からは壁にひらがなを掲示して文字に馴染んでいる。

  評価項目2 子どもの生活が安定するよう、子ども一人ひとりの生活のリズムに配慮した保育を行っている 実施状況
  標準項目1 登園時に、家庭での子どもの様子を保護者に確認している
  標準項目2 発達の状態に応じ、食事・排せつなどの基本的な生活習慣の大切さを伝え、身につくよう援助している
  標準項目3 休息(昼寝を含む)の長さや時間帯は子どもの状況に配慮している
  標準項目4 降園時に、その日の子どもの状況を保護者一人ひとりに直接伝えている
講評
送迎時におけるやり取りを通して子どもの状況を保護者と共有している

登園の際は個別に声をかけ、検温を行うとともに、子どもの様子の観察、連絡帳の確認や保護者とのやり取りを通して、家庭での食事や睡眠などの状況、体調などを確認し、必要な場合はそれらを踏まえた対応につなげている。お迎えの際は担当保育士から、担任保育士が不在の場合は申し送り内容を踏まえて遅番保育士から、保護者一人ひとりに対し日中の子どもの様子を伝えている。あわせて、ホワイトボードを活用し、活動の内容を発信している。

言葉を添え、出来たことを認め、積み重ねを通して生活習慣の確立を援助している

基本的な生活習慣については、すべて1歳からその習得に向けてかかわりを積み重ねている。スプーンや箸の持ち方、トイレの際の一連の動作、衣服の前後裏表や靴の左右の認識、服をたたむ、手洗いうがい、挨拶など、食事や排泄、着脱、衛生・健康の維持、日常生活上の他者との関わりなどの点については、一人ひとりの年齢発達に応じて、子ども自身が意識できるように必要に応じて声をかけたりするなど、日常の中での積み重ねを通して基本的な生活習慣が身につくよう、支援している。

  評価項目3 日常の保育を通して、子どもの生活や遊びが豊かに展開されるよう工夫している 実施状況
  標準項目1 子どもの自主性、自発性を尊重し、遊びこめる時間と空間の配慮をしている
  標準項目2 子どもが、集団活動に主体的に関われるよう援助している
  標準項目3 子ども一人ひとりの状況に応じて、子どもが言葉による伝え合いを楽しみ、言葉に対する感覚を養えるよう配慮している
  標準項目4 子どもが様々な表現を楽しめるようにしている
  標準項目5 戸外・園外活動には、季節の移り変わりなどを感じとることができるような視点を取り入れている
  標準項目6 生活や遊びを通して、子どもがきまりの大切さに気付き、自分の気持ちを調整する力を育てられるよう、配慮している
講評
あそびの継続性を保障している

「やりたい」「やってみたい」という子どもの意欲や好奇心を大切にしながら、日々の保育内容を組み立て、また環境設定を工夫している。トレイ、卵やヨーグルトの容器などの廃材を各家庭から集めて、保育の素材として活用している(廃材BOX)。自分で選んだ素材をもとに想像を広げ制作を楽しんでいる。また、木製玩具などを通して想像力や集中力を発揮している。制作、構成あそびなど、翌日も継続できるようにすることで、じっくりと遊ぶことが出来るようにしている。

言葉に触れ、吸収し、言葉を介した世界の広がりを援助している

言葉を吸収する発達段階を捉え、たくさんの言葉に触れ、言葉に対する感覚を養えるよう取り組んでいる。身近な存在である大人の子どもへの影響力の大きさを踏まえ、大人として正しい日本語を使うよう留意し、心地よい言葉や言い方、トーンなどを使い分けている。また、絵本の魅力を活かして積極的に保育に取り入れている。子どもの想像力や期待感などを大切にしつつ、物語の展開に言葉を添えている。

  評価項目4 日常の保育に変化と潤いを持たせるよう、行事等を実施している 実施状況
  標準項目1 行事等の実施にあたり、子どもが興味や関心を持ち、自ら進んで取り組めるよう工夫している
  標準項目2 みんなで協力し、やり遂げることの喜びを味わえるような行事等を実施している
  標準項目3 子どもが意欲的に行事等に取り組めるよう、行事等の準備・実施にあたり、保護者の理解や協力を得るための工夫をしている
講評
子どもの自主性や子ども同士のかかわりを大切にしている

日常を通して様々な活動を行い、行事をはじめとして子どもの発想や思いを大切にしながら様々な経験を出来るように取り組んでいる。幼児クラスでは、3、4、5歳で6-7人のグループを3つ作り、5歳児のリーダーを中心にグループを話し合い、決定し、異年齢での活動を行っている。また、夏祭りのお店などは、子ども同士で話し合って内容を決め、必要なものを集め、制作している。そのほか、運動遊びの中では、跳び箱や逆上がりに取り組む様子をみんなで励ましあい、出来た時には自分のことのように喜び、自然に友情が芽生えている様子がある。

行事を通した保護者への発信や保護者との共有などを実践している

行事や活動のねらいを発信しつつ、保護者には出来る限りその内容に触れられるよう、運動会ではその様子を撮影したDVDを作成し提供した。発表会などはクラスでの入れ替え制で行うなど、工夫した。そのほか、勤労感謝の際は、「仕事インタビュー」として、例年は本社に5歳児が赴いていた。コロナ禍の状況下ではそれに代えて両親にインタビューすることとし、保護者の仕事内容に触れることをきっかけとして家庭内でのふれあい、知ることによる驚き、発表することの楽しみなどを体験した。

  評価項目5 保育時間の長い子どもが落ち着いて過ごせるような配慮をしている 実施状況
  標準項目1 保育時間の長い子どもが安心し、くつろげる環境になるよう配慮をしている
  標準項目2 保育時間が長くなる中で、保育形態の変化がある場合でも、子どもが楽しく過ごせるよう配慮をしている
講評
安心できる環境の中で落ち着いて過ごせるよう配慮している

日中は年齢別の保育を基本とし、延長保育の時間帯では合同保育を行っている。その中で、異年齢の子ども同士のかかわりも大切にしている。最長で10時間半園に滞在する子どももいるため、不安や緊張しないで済む環境を大切にしている。特に延長の時間帯は、一人ひとりと向き合いながら、「動」から「静」へと体内のリズムを切り替えられるよう配慮している。そして、お兄さん、お姉さん、弟、妹のいる「一つのおうち」としての園の温かい雰囲気の中で安心して過ごせるようにしている。

  評価項目6 子どもが楽しく安心して食べることができる食事を提供している 実施状況
  標準項目1 子どもが楽しく、落ち着いて食事をとれるような雰囲気作りに配慮している
  標準項目2 メニューや味付けなどに工夫を凝らしている
  標準項目3 子どもの体調(食物アレルギーを含む)や文化の違いに応じた食事を提供している                                                                                        
  標準項目4 食についての関心を深めるための取り組み(食材の栽培や子どもの調理活動等)を行っている
講評
健康や安全に配慮した食材を使用した和食中心の食事を提供している

食事は、“『自然をそのまま食べる』を通して楽しく学ぶ”を食育理念とし、幼児期を味覚形成にための重要な時期と捉え、旬の食材を積極的に活用し、出汁のうま味を活かした薄味の和食を提供している。食材は「オーガニック調味料」「契約農家直送の米」「パスチャライズ牛乳」を使用するとともに、マーガリン、食肉加工品、水産加工品、缶詰などの二次加工品の使用はなるべく控えて献立作りを行っている。盛り付けは食事が楽しくなるよう彩りを工夫し、また変化をつけるため行事食を取り入れている。

1歳児から食育に取り組み、様々な体験を通して食への関心を育んでいる

成長・発達に応じて食への関心を育んでいけるよう、1歳から食育に取り組んでいる。1歳児はしめじさき、2歳児はたまねぎの皮むきやきゃべつさき、3歳児はトウモロコシのひげ取りや皮むきなどを体験している。4歳児以降は趣向を変えて「大豆から何が出来るか」「米はどうやってできるか」などの考え、学び、梅シロップや味噌など長期に渡る食品作りにも取り組み、夏野菜の苗植えや栽培、収穫なども体験している。出汁、出汁味噌汁、味噌汁などを飲み比べることで、出汁の旨味を体感したり、栄養士が魚をさばく様子を見たりする機会も設けている。

  評価項目7 子どもが心身の健康を維持できるよう援助している 実施状況
  標準項目1 子どもが自分の健康や安全に関心を持ち、病気やけがを予防・防止できるように援助している
  標準項目2 医療的なケアが必要な子どもに、専門機関等との連携に基づく対応をしている
  標準項目3 保護者と連携をとって、子ども一人ひとりの健康維持に向けた取り組み(乳幼児突然死症候群の予防を含む)を行っている
講評
計画に基づき健康教育を実施している

保健計画に基づき、健康や衛生、安全、自己の身体を大切にすることなどを学ぶ機会を設けている。手洗い、水分補給、風邪予防など、日々の保育の中で必要な力を身につけ、習慣づけていけるよう援助している。特に感染症対策の見地から、手指の消毒や手洗いはより意識的に行っている。そのほか、幼児クラスでは、朝の健康観察に際し、自分の健康状態を自分で伝えられるようにしている。

健康維持や感染症などに関する情報を工夫して発信している

毎月、子どもの健康の維持や注意点などに関する情報を保護者に発信している(園だより)。感染症の情報については、新型コロナウイルス感染症と通常の感染症とで掲示方法を変え、保護者が確認しやすいようにしている。新型コロナウイルス感染症に関してはCCS(保護者一斉メール)を、通常の感染症には「感染症のお知らせ」をそれぞれ使い、情報を共有している。

  評価項目8 保護者が安心して子育てをすることができるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 保護者には、子育てや就労等の個々の事情に配慮して支援を行っている
  標準項目2 保護者同士が交流できる機会を設けている
  標準項目3 保護者と職員の信頼関係が深まるような取り組みをしている
  標準項目4 子どもの発達や育児などについて、保護者との共通認識を得る取り組みを行っている
  標準項目5 保護者の養育力向上のため、園の保育の活動への参加を促している
講評
可能な範囲で保護者同士の交流機会を設けている

新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前の時期には、保護者参加型の行事を開催していた。感染拡大に伴う様々な制約がある中で、感染状況を見ながら、クラス別に参加型交流会を開催するなど、できる範囲で保護者間の交流機会を設けている。入園内定者についても、園の規模を活かして一家庭一名の出席で全体での説明会を行い、保護者同士の関係の構築にも資することとなった。

園と保護者とのつながりの維持に取り組んでいる

当降園時に子どもの様子を伝え合う日々の積み重ねや、保護者会や個人面談などを通してコミュニケーションを深め、保護者との信頼関係を築いている。新型コロナウイルス感染拡大に伴う休園期間中hあ、電話などにより担任から各家庭に連絡し、子どもの様子の聞き取りを行い、保護者が孤独に陥らないよう常につながりを維持できるよう取り組んだ。

  評価項目9 地域との連携のもとに子どもの生活の幅を広げるための取り組みを行っている 実施状況
  標準項目1 地域資源を活用し、子どもが多様な体験や交流ができるような機会を確保している
  標準項目2 園の行事に地域の人の参加を呼び掛けたり、地域の行事に参加する等、子どもが職員以外の人と交流できる機会を確保している
講評
社会状況を踏まえつつ出来ることを行っている

日々の戸外活動の際は、公園などに出かける途中で近隣住民と挨拶を交わし、顔の見える関係を構築している。立地上商店街が近く、コロナ禍以前は子どもとともに商店に買い物に行くこともあった。また、近隣の園と連携し、行事参加や見学などを相互に行ってきた。職員の経験やアイディアをもとに、困難な状況下でも出来ることを考え、実践している。


  サブカテゴリー5 プライバシーの保護等個人の尊厳の尊重
  評価項目1 子どものプライバシー保護を徹底している 実施状況
  標準項目1 子どもに関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、保護者の同意を得るようにしている
  標準項目2 子どもの羞恥心に配慮した保育を行っている
  評価項目2 サービスの実施にあたり、子どもの権利を守り、子どもの意思を尊重している 実施状況
  標準項目1 日常の保育の中で子ども一人ひとりを尊重している
  標準項目2 子どもと保護者の価値観や生活習慣に配慮した保育を行っている
  標準項目3 虐待防止や育児困難家庭への支援に向けて、職員の勉強会・研修会を実施し理解を深めている
講評
同意に基づく個人情報の取り扱い、羞恥心に配慮した保育などを実践している

入園時の説明の際に、個人情報の取り扱いについて説明している。保育に必要な情報の範囲、利用目的などについて説明の上、保護者の意思を確認している(お客様個人情報の取得に関する同意書)。写真の委託販売についても同様に意思を確認し、同意を踏まえて対応している(写真販売に関する同意書)。また、排泄に失敗した際は他の子どもの目につかないところで着替える、プール遊びの際は周辺の視野を遮る、着替えの際には全裸にさせないなど、羞恥心に配慮した対応を行っている。衣服の着脱時には、裸になって着替えさせないよう配慮している。

個々の思いや人格の尊重を追求している

日常の保育にあたっては、保育する側の考えを押し付けるのではなく、子どもの意見を聞きつつ、子どもにとって必要なことができるよう導くようにしている。また、否定語は用いず、子どもの思いを認め、共感していくことを大切にしている。呼称も愛称は用いず名前で呼ぶことの大切さを研修などでも学び、互いに注意し合っている。そのほか、運営法人全体で年に1度「人権標語コンクール」を行い、全職員で人権擁護活動に取り組んでいる。


  サブカテゴリー6 事業所業務の標準化
  評価項目1 手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  標準項目2 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
  標準項目3 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
  評価項目2 サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  標準項目2 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や保護者等からの意見や提案、子どもの様子を反映するようにしている
講評
各業務の手順を明確化し、点検や振り返りに活用している

運営や保育の各場面における手順や留意事項をマニュアル化している。衛生管理、感染症対策、危機管理、虐待対応などの保健・衛生・危機管理に関するもののほか、苦情対応や給食提供に関するもの、そのほか運営全般に関わるマニュアルを整備している。これらを踏まえて現状の点検や振り返りを行っている。

新規採用者への教育により一定の業務水準の確保を図っている

新規採用者を対象に、保護者対応や身だしなみ、個人情報の取り扱いについて研修を行っている(業務マニュアル)。また、日々の実務に関するきまりについて説明し、1か月後に園長によりスキルチェックを行うことで、知識の理解や定着を図り、職員のスキルの一定水準確保に取り組んでいる(OJT研修マニュアル)。