東京都福祉サービス第三者評価  評価結果





評価結果基本情報

評価年度 令和3年度
サービス名称 認可保育所
法人名称 社会福祉法人清朗会
事業所名称 すみれ保育園
評価機関名称 株式会社 クリップ

コメント

保護者へアンケート方式による利用者調査を実施しました。合わせて感染対策を行った評価者がフロアーに入り滞在調査も実施しました。利用者調査終了後、双方の意見に相違がないよう事業所との合議の時間を設定しました。訪問調査では、オリジナルの資料を用い、利用者調査・職員調査の分析結果を説明、意見交換をしました。


(内容)
 Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像
 Ⅱ 全体の評価講評
 Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み
 Ⅳ 利用者調査結果
 Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)
 Ⅵ サービス提供のプロセス項目


公益財団法人東京都福祉保健財団
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Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像

1 理念・方針  (関連 カテゴリー1 リーダーシップと意思決定)
  事業者が大切にしている考え(事業者の理念・ビジョン・使命など)

1) 子ども達一人ひとりの個性・主体性を大切にする保育 2) 人間のねっこを育てる保育(生きていく力・心を強く育てる) 3) 子育て支援と地域に根差した保育

 
2 期待する職員像  (関連 カテゴリー5 職員と組織の能力向上)
  (1)職員に求めている人材像や役割

法人の理念や方針を理解した上で、一人ひとりがモチベーションを高く持つこと。また、意欲的に各々の経験や考えを出し合い、自分と違ったやり方や考えに対しても、意見交換をしながら、子ども達の為に何が最善なのかを考えて保育すること。保育という仕事をする上で、自分自身の役割は何か、また、法人(園)の中で自分の役割は何かを理解した上で、その役割に対して自信をもって仕事をすること。

 
(2)職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

自分は、子ども達にとって、法人(園)にとって必要な存在ということに誇りを持ち、自信をもって日々の保育を楽しんでほしい。また、一人ひとりの様々な考え、経験を出し合い、子ども達の未来像に向かって、今(幼少期)に何が必要なのか、どのようなことを伝えていきたいかを試行錯誤しながら、皆で高め合っていってほしい。

 


Ⅱ 全体の評価講評

全体の評価講評

特に良いと思う点
1 【現状】“人としてのねっこ”を育てるため、緻密な指導計画を立案しています。

保育理念として、”人間のねっこを育てる”を掲げ、子ども一人ひとりの個性を大切にする保育を目指しています。個性を大切にするためには、年齢に即した発達状態を捉える事が必須となり、発達年齢に応じた指導計画を考案しています。指導計画は緻密な立案と、乳児から幼児までの育ちに鑑みた計画であり、子どもの成長の足跡が分かる内容となっています。指導計画は担当職員がクラスで評価・反省をし、さらに乳児・幼児の反省会にかけ全員参加の職員会議でも最終検討をしています。丁寧な計画と反省を踏まえ、人としての育ちを職員皆で見つめています。
2 【現状】各クラスでは保育内容をまとめた冊子を保護者に渡しています。

例年なら年2回の懇談会が開かれる予定が中止になりました。各クラスでは資料を作成し、保育の様子を伝えています。クラスによっては前期と後期のクラス全員の写真を載せ、成長した姿を表紙にしています。内容は養護と教育に分け、自立心では少し難しいこと・苦手なことにも挑戦する姿や人間関係では、相手にも気持ちがあることに気づき、考えようとする姿が増えてきたこと等をコメントと写真入りで載せています。資料は5ページ程あり、力のこもった冊子となっています。クラス毎に日頃の保育の集大成を熱意を込めてまとめ、保護者に伝えています。
3 【現状】保護者も子どもも大切にする温かな園として保護者からの信頼を得ています。

保護者に対して、仕事をしながらの子育ての大変さを理解し、ねぎらうと共に、子どもの成長を共有して喜び、子育てに関する悩みなどを軽減できるように話を聞き、時はアドバイスをできる様に心がけています。保護者から「子どもだけではなく親の変化にも気づき声をかけて下さる」や「子育てについての悩みにアドバイスして下さり感謝しています」等、園への信頼と感謝の意見が多数寄せられています。また、「このまま温かな園でいてほしい」とした保護者の願いを引き出しています。

さらなる改善が望まれる点
1 【目標】職務分掌を職員の自己評価票として活かしましょう。

「保育士は能力や思いがあるが、園側が活かしていない」との一般職からの意見に対し、評価者は「喧嘩両成敗、職員側の課題なのか、園側の問題なのか、客観的に測る仕組みがない」との認識です。キャリアパスや人事考課といった大上段に構えた制度ではなく、まずは小さな工夫として評価者は「職務分掌に記載されている保育士のするべきことをもとに職員が自己評価する仕組み作り」を提案します。そして次のステップでは自己評価結果をもとにした面接につなげたいものです。
2 【目標】全体会議といった一般職が参加する会議の定期開催が目標です。

職員アンケートの“【1-1-1① 】あなたは理念・ビジョンを理解していますか?”の職員の認知度は、リーダー100%、一般職53%、また“【2-1-1②】自分の意見を園長、主任クラスに伝えていますか?”の認知度はリーダー100%、一般職55%と、いずれもリーダーと一般職にギャップが存在します。評価者は「コロナ禍で園長、リーダー、一般職が参加する全体会議の開催が滞っているのが原因の一つでではないか」との認識です。
3 【目標】今ある玩具類や帳票類を整理しましょう。

毎日のように子ども達が遊ぶ園に現存している玩具類の整理整頓を目的として玩具リストを作成しましょう。まずは玩具を要不要で選別した後できれば備品番号をつけて分別するのがベストですが、写真を使ってリスト化してもよろしいでしょう。帳票類も同様ですが、管理番号による管理方法の必要性は玩具リストの備品番号による管理より高くなります。将来的に帳票類は電子化し、クラウドにアップすることで職員全員の共有財産としたいものです。

Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み



該当データがありませんでした

Ⅳ 利用者調査結果

調査概要
調査対象:保護者アンケートは、全127保護者世帯に配付、70世帯から回答を得ました。回答者の属性は、母親が回答の80%、年齢は30~35歳が最も多く34%、次いで40~50歳が24%でした。

調査方法:アンケート方式  
アンケートは、案内状・アンケート・返信用封筒をセットにして事業所の封筒に入れ手渡しで配布しました。利用者からは、返信用封筒で直接当機関に郵送により回収しました。

利用者総数 127人
利用者家族総数(世帯) 127世帯
アンケートや聞き取りを行った人数 70人
有効回答者数 70人
回答者割合(%) 55.1%

総括
保護者アンケートは、全127保護者世帯に配付、70世帯から回答を得ました(有効回収率55%)。回答者の属性は、母親が回答の80%、年齢は30~35歳が最も多く34%、次いで40~50歳が24%でした。 【総合的な感想】“大変満足”46%、“満足”43%、“どちらともいえない”6%、“不満”1%、“無回答” 4%でした。 【園の良い所】(オプション設定)では77件の意見を頂きました。「子ども達のことを第一に考え、保育をしてくれていることがしっかり伝わってきます」「その日のエピソードも細かく教えてくれて感謝しています」「豊かな人間関係のもと、子どもが楽しく通えているのでうれしく思っています」が意見として上がりました。 意見や要望では41件の意見を頂きました。「園での様子(普段)を写真や動画等で見れるとうれしいと思った」「個人面談など、面談の機会を増やして欲しい」が上がりました。

利用者調査結果

1.保育所での活動は、子どもの心身の発達に役立っているか
はい 67人  どちらともいえない 3人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
67名(96%)が“はい”、3名(4%)が“どちらともいえない”と回答しています。15件の意見を頂きました。参考となる意見として「今日はこんなことしたよ!と教えてくれる表情がイキイキしている」「アットホームで、個々に合わせて対応してくれています」「同年代、他年代が合わさって交流できるので、社会性や情緒が育まれている」との意見があがりました。
2.保育所での活動は、子どもが興味や関心を持って行えるようになっているか
はい 52人  どちらともいえない 16人  いいえ 2人  無回答・非該当 0人 
52名(74%)が“はい”、18名(26%)が“どちらともいえない、いいえ”と回答しています。10件の意見を頂きました。参考となる意見として「毎日(休みの日でも)行く気満々です」との意見があがりました。
3.提供される食事は、子どもの状況に配慮されているか
はい 60人  どちらともいえない 8人  いいえ 1人  無回答・非該当 1人 
60名(86%)が“はい”、9名(12%)が“どちらともいえない、いいえ”と回答しています。18件の意見を頂きました。参考となる意見として「アレルギーに該当の食事メニューがある場合は、事前に相談させていただいて柔軟に対応してくださっています」「誕生日やイベント等、特別感のあるメニューであったり、おやつも手作り。家では食べられないようなものも提供されている」との意見があがりました。
4.保育所の生活で身近な自然や社会と十分関わっているか
はい 51人  どちらともいえない 16人  いいえ 3人  無回答・非該当 0人 
51名(73%)が“はい”、19名(27%)が“どちらともいえない、いいえ”と回答しています。24件の意見を頂きました。参考となる意見として「自然に触れる機会はとても多いと思います」「この時世なので仕方ないですが、イベントが少ないのは残念です。その中でも先生達ができる限りの遊びを考えてくださっているので感謝しています」との意見があがりました。
5.保育時間の変更は、保護者の状況に柔軟に対応されているか
はい 54人  どちらともいえない 6人  いいえ 1人  無回答・非該当 9人 
54名(77%)が“はい”、7名(10%)が“どちらともいえない、いいえ”、9名(13%)が“非該当”と回答しています。14件の意見を頂きました。参考となる意見として「残業になった・電車が動かない等、電話だけで対応してもらえて助かります」との意見があがりました。
6.安全対策が十分取られていると思うか
はい 50人  どちらともいえない 17人  いいえ 3人  無回答・非該当 0人 
50名(72%)が“はい”、20名(28%)が“どちらともいえない、いいえ”と回答しています。18件の意見を頂きました。参考となる意見として「園で安全対策をしてくださっていると思うが、保育時間中、具体的にどんな対策を取っているか分からない」との意見があがりました。
7.行事日程の設定は、保護者の状況に対する配慮は十分か
はい 42人  どちらともいえない 20人  いいえ 1人  無回答・非該当 7人 
42名(60%)が“はい”、21名(30%)が“どちらともいえない、いいえ”と回答しています。24件の意見を頂きました。参考となる意見として「年間スケジュールをいただけるので助かる」や「今はコロナの影響で行事が中止や縮小になってしまっているので、どちらともいえないです」との意見があがりました。
8.子どもの保育について家庭と保育所に信頼関係があるか
はい 54人  どちらともいえない 14人  いいえ 2人  無回答・非該当 0人 
54名(77%)が“はい”、16名(23%)が“どちらともいえない、いいえ”と回答しています。30件の意見を頂きました。参考となる意見として「一人の先生に何気なく話したことも共有してくれていて安心できます」「子育ての悩みについて、よく話を聞いてもらっています」や「コロナ禍で話す機会が減少、面談など話をする時間が欲しいです」との意見があがりました。
9.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか
はい 59人  どちらともいえない 8人  いいえ 0人  無回答・非該当 3人 
59名(84%)が“はい”、8名(11%)が“どちらともいえない”と回答しています。9件の意見を頂きました。参考となる意見として「毎日おもちゃを一つ一つアルコール消毒してくださっています」や「コロナ禍のため部屋に入れないので不明」との意見があがりました。
10.職員の接遇・態度は適切か
はい 56人  どちらともいえない 12人  いいえ 0人  無回答・非該当 2人 
56名(80%)が“はい”、12名(17%)が“どちらともいえない”と回答しています。11件の意見を頂きました。参考となる意見として「丁寧というよりフレンドリーです。でも、個人的にはそちらの方がうれしいです」「どの先生も優しく素敵な先生方だと思います」との意見があがりました。
11.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
はい 57人  どちらともいえない 10人  いいえ 0人  無回答・非該当 3人 
57名(81%)が“はい”、10名(14%)が“どちらともいえない”と回答しています。13件の意見を頂きました。参考となる意見として「お迎え要請とまではいかないけど、という時も念のため連絡をいただけるので安心できます」「登録しているメールか電話にすぐ連絡が来るので対応できる」との意見があがりました。
12.子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
はい 48人  どちらともいえない 14人  いいえ 2人  無回答・非該当 6人 
48名(69%)が“はい”、16名(23%)が“どちらともいえない、いいえ”と回答しています。20件の意見を頂きました。参考となる意見として「子ども同士で解決するように仲介してくれています」「傷を作ってしまった時は、名前は伏せて事実のみ報告と謝罪が必ずあります」との意見があがりました。
13.子どもの気持ちを尊重した対応がされているか
はい 58人  どちらともいえない 8人  いいえ 1人  無回答・非該当 3人 
58名(83%)が“はい”、9名(12%)が“どちらともいえない、いいえ”と回答しています。7件の意見を頂きました。参考となる意見として「イヤイヤ期の子を納得するまで待ち、話を聞いて受け止めてくれている様子」「子どもへの対応は勉強になることばかりです」との意見があがりました。
14.子どもと保護者のプライバシーは守られているか
はい 51人  どちらともいえない 10人  いいえ 4人  無回答・非該当 5人 
51名(73%)が“はい”、10名(14%)が“どちらともいえない、いいえ”と回答しています。8件の意見を頂きました。参考となる意見として「プライバシーに関わることはしっかり守っていただけます」「違う場所で嫌な話を聞いてくれたり配慮してくださる」との意見があがりました。
15.保育内容に関する職員の説明はわかりやすいか
はい 61人  どちらともいえない 3人  いいえ 2人  無回答・非該当 4人 
61名(87%)が“はい”、5名(7%)が“どちらともいえない、いいえ”と回答しています。6件の意見を頂きました。参考となる意見として「直接の説明や、よく写真を見せてもらえます」「資料まで用意してくださっていてびっくりしました。素晴らしいと思います」との意見があがりました。
16.利用者の不満や要望は対応されているか
はい 33人  どちらともいえない 11人  いいえ 4人  無回答・非該当 22人 
33名(47%)が“はい”、15名(22%)が“どちらともいえない、いいえ”、22名(31%)が“非該当、無回答”と回答しています。13件の意見を頂きました。参考となる意見として「気になることがあった時、園長先生自ら話を聞き、解決していただけました」「不満が今のところないので、分からない」との意見があがりました。
17.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
はい 51人  どちらともいえない 1人  いいえ 16人  無回答・非該当 2人 
51名(73%)が“はい”、17名(24%)が“どちらともいえない、いいえ”と回答しています。4件の意見を頂きました。参考となる意見として「知っているが、保育園を飛ばしてそちらに先に相談するのは関係悪化につながると思うので、よほどこじれない限りはしないと思う」「何かあればすぐに相談する」との意見があがりました。

Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)

※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー1  リーダーシップと意思決定
  サブカテゴリー1  事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  標準項目2 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
  評価項目2 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている 実施状況
  標準項目1 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
  標準項目2 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
  評価項目3 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している 実施状況
  標準項目1 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
  標準項目2 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  標準項目3 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
講評
【現状】組織分野の認知度ではリーダー、一般職の間にギャップがあります。

職員アンケートの組織分野の認知度の全体平均はリーダー(主任2名、副主任2名、看護師、栄養士の計6名)64%、一般職(51名)36%でリーダーと一般職にギャップが存在します(プロセス分野:リーダー77%、一般職52%、実施分野:リーダー86%、一般職72%)。評価者がその原因ついて問うと、園長は「コロナの影響で一般職が出席する全体会議が開催出来ていないことに加え、基本的に保育士は組織分野には興味が薄いことが原因と思われるが、今後、キャリアアップ研修や外部研修で補って行きたい」と話します。

【課題】職員から「より良い保育」の方向性に関する意見がありました。

職員アンケートでは保護者との「より良い保育」の方向性に関して課題との意見がありました。“【1-1-1① 】あなたは理念・ビジョンを理解していますか?”の職員の認知度は、リーダー100%、一般職53%とギャップが存在し、園長は「職員には年度の前半に園のしおりを基に理念や基本方針を説明しているが、コロナの影響で保護者会が開催出来ていない」と話します。

【目標】すみれ保育園の理念を一般職に周知するのが目標です。

保護者アンケートでは「園の方針をしっかり示してくれ、安心して子供を預けられます」「子ども達のことを第一に考え、保育をしてくれていることが伝わってくる」との意見がありました。上記したように、“【1-1-1① 】あなたは理念・ビジョンを理解していますか?”の職員の認知度はリーダーが100%と高位でしたが、一般職は53%と半減しています。一般職から「園の方向性がフワッとしている分、保育の自由度が高い」との一般職からの意見です。評価者は「すみれ保育園の理念を一般職に周知するのが目標です」との意見です。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー2  事業所を取り巻く環境の把握・活用及び計画の策定と実行
  サブカテゴリー1  事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
  評価項目1 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している 実施状況
  標準項目1 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目2 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
  標準項目3 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目4 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
  標準項目5 事業所の経営状況を把握・検討している
  標準項目6 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
  サブカテゴリー2  実践的な計画策定に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している 実施状況
  標準項目1 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している ×
  標準項目2 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している ×
  標準項目3 策定している計画に合わせた予算編成を行っている ×
  評価項目2 着実な計画の実行に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している ×
  標準項目2 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる ×
講評
【現状】“【2-1-1②】自分の意見を園長に伝達”の認知度はギャップありです。

職員アンケートの“【2-1-1②】自分の意見を園長、主任クラスに伝えていますか?”の認知度はリーダー100%、一般職55%とやはりギャップが存在します。それに対し園長は「会議の参加がごく一部の人に限られているため、常勤、非常勤含め一般職との話し合いの頻度を多くして行きたい」との意向です。

【課題】“【2-1-1⑤】経営状況の職員への周知”の職員の認知度は低位でした。

職員アンケートの“【2-1-1⑤】園の経営状況を理解していますか?”の認知度はリーダー17%、一般職18%といずれも非常に低位でした。それに対し園長は「経営状況についての話し合いは理事長、園長、事務のみで行っており、職員が参加するリーダー会議での議題とはしていない、また一般職は経営状況に関心がない」との回答です。

【目標】全体会議といった一般職が参加する会議の定期開催が目標です。

職員アンケートの“【1-1-1① 】あなたは理念・ビジョンを理解していますか?”の職員の認知度は、リーダー100%、一般職53%、また“【2-1-1②】自分の意見を園長、主任クラスに伝えていますか?”の認知度はリーダー100%、一般職55%と、いずれもリーダーと一般職にギャップが存在します。評価者は「コロナ禍で園長、リーダー、一般職が参加する全体会議の開催が滞っているのが原因の一つでではないか」との認識です。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー3  経営における社会的責任
  サブカテゴリー1  社会人・福祉サービス事業者として守るべきことを明確にし、その達成に取り組んでいる
  評価項目1 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
  標準項目2 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している。
  サブカテゴリー2  利用者の権利擁護のために、組織的な取り組みを行っている
  評価項目1 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている 実施状況
  標準項目1 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  標準項目2 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
  評価項目2 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている 実施状況
  標準項目1 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  標準項目2 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
  サブカテゴリー3  地域の福祉に役立つ取り組みを行っている
  評価項目1 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
  標準項目2 ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
  評価項目2 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
  標準項目2 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
  標準項目3 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
講評
【現状】“【3-3-2②】園長会などの活動の理解”の認知度はギャップありです。

職員アンケートの“【3-3-2②】園長会などの活動内容を理解していますか?”の認知度はリーダー100%、一般職25%とやはりギャップが存在します。それに対し園長は「園長が何をしているかわからない、園をラウンドしないとの意見が職員から上がっており、園長の仕事を理解していない職員もいることから園長会の活動も理解することは難しいのではないかと思っている。ただ、園長会で話し合われた内容の内、保育に関わる事項は伝えるようにしている」と話します。

【課題】保護者から職員の言葉使いについて、いくつかの意見がありました。

保護者アンケートでは職員の言葉使いに関するいくつかの意見がありました。職員アンケートの“【3- 1- 1②】あなたは事業所が求める コンプライアンスを理解していますか? ”の認知度はリーダー 83%、一般職29%とギャップが存在します。また、保護者アンケートの“【 問 10 】 職員の言葉遣いや態度は丁寧ですか?”の満足度は 80%と比較的高位、ただ一部の先生への言葉使に対する意見がありました。

【目標】今回の保護者アンケートの要望を園運営に生かすのが目標です。

上記の職員の言葉使いに関するいくつかの意見は建設的な意見とは言い難い意見です。一方、「園から来るメールを職員が知らないので、可能な限り対応願います」「お知らせがわかりにくいので、工夫をして欲しい」との要望が上がっています。評価者は「今回の保護者アンケートの要望を園運営に生かすのが目標」との認識です。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー4  リスクマネジメント
  サブカテゴリー1  リスクマネジメントに計画的に取り組んでいる
  評価項目1 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
  標準項目2 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
  標準項目3 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している ×
  標準項目4 リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる ×
  標準項目5 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
  サブカテゴリー2  事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
  評価項目1 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている 実施状況
  標準項目1 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
  標準項目2 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
  標準項目3 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
  標準項目4 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
講評
【現状】“【 4-1-1③】 BCP の存在 ”の認知度は低位でした。

職員アンケートの“ 【 4-1-1③】 あなたは事業所の事業継続計画(BCP) の存在を知っていますか? ”の認知度はリーダー17 %、一般職6%といずれも非常に低位、園長も「事業継続計画(BCP)は作成していない」を背景に“課題あり”としています。評価者は「事業継続計画(BCP)の骨子は法人全体で定めるべきもので、系列園との協力体制のもと、どのように役割分担するかがポイントと考える」との意見です。

【課題】“【4-1-1⑤】事故への再発防止策”の認知度は“ギャップあり”です。

職員アンケートの“【4-1-1⑤】あなたは事故への再発防止策を理解していますか?”の認知度はリーダー100%、一般職47%とやはりギャップが存在します。一般職から「避難訓練を毎月行っているので、地震や火事に対しては良いが・・・、もっと避難訓練を増やした方が良い」との意見です。保護者アンケートの“【問 6】 安全対策は十分ですか? ”の満足度は 72%でした。

【目標】事故の再発防止策の一般職への再周知が園独自の目標です。

上記より、事業継続計画(BCP)は未作成のため、事業継続計画(BCP)の作成が法人全体の目標となります。一方、事故の再発防止策の一般職への再周知は園独自の目標となります。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー5  職員と組織の能力向上
  サブカテゴリー1  事業所が目指している経営・サービスを実現する人材の確保・育成・定着に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている 実施状況
  標準項目1 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
  標準項目2 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
  評価項目2 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している 実施状況
  標準項目1 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている ×
  標準項目2 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している ×
  評価項目3 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
  標準項目2 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している ×
  標準項目3 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している ×
  標準項目4 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
  評価項目4 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている ×
  標準項目2 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
  標準項目3 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
  標準項目4 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
  サブカテゴリー2  組織力の向上に取り組んでいる
  評価項目1 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
  標準項目2 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
  標準項目3 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
講評
【現状】“【5-2-1③】チームの一員の役割を意識”の認知度は高位でした。

「デイリープログラムにそれぞれの職員の動きが決めてあるのか?」との評価者からの質問に対し、主任は「職員のシフト毎の業務の流れは文章化しているが、ベテラン職員が多いため、業務の流れは職員の頭にインプットされている」との回答です。職員アンケートの“【 5-2-1③】 チームの一員として役割を意識しているか?”の認知度は、リーダー100%、一般職86%といずれも高位、「クラスリーダーが会議の内容についての報告があり、園の状況やすべき事が明確である」との職員からの意見です。

【課題】「保育士は能力や思いがあるが、園側が活かしていない」と職員の意見です。

「保育士は能力や思いがあるが、園側が活かしていない」との一般職の意見がありました。職員アンケートの“【5-1-3④】上司は自分のことを理解してくれているか?”の認知度はリーダー83%、一般職47%とギャップが存在し、「ベテラン勢の考え方、下との接し方や教育不足がある」との一般職からの意見です。同項目に対して園長も「後輩指導を含め、指導する立場の職員と話すことはあるが、組織的な支援は行っていない」を背景に“課題あり”としています。

【目標】職務分掌を職員の自己評価票として活かしましょう。

「保育士は能力や思いがあるが、園側が活かしていない」との一般職からの意見に対し、評価者は「喧嘩両成敗、職員側の課題なのか、園側の問題なのか、客観的に測る仕組みがない」との認識です。キャリアパスや人事考課といった大上段に構えた制度ではなく、まずは小さな工夫として評価者は「職務分掌に記載されている保育士のするべきことをもとに職員が自己評価する仕組み作り」を提案します。そして次のステップでは自己評価結果をもとにした面接につなげたいものです。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー7  事業所の重要課題に対する組織的な活動
  サブカテゴリー1  事業所の重要課題に対して、目標設定・取り組み・結果の検証・次期の事業活動等への反映を行っている
  評価項目1 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 保育士一人ひとりが様々な経験や価値観を持つ中、構えることなく意見(思い)を出せる場を作り、話し合うことで同じ方向に向かって保育するための保育士間の意見交換の円滑化を目標としました。
中々話し合い(意見交換)の時間が取れない中、午睡中などの短い時間でも定期的に集まる時間を作り、ざっくばらんに話をしていこうと計画したが、コロナウィルスの感染の拡大の影響で感染対策が常に必要となり、集まっての話し合いを制限せざるを得ない1年となってしまいました。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
コロナ禍での必要最小限の話し合いではやはり、職員間の意思の疎通や情報の共有、理解度の違いなどに難しさがあることがわかって来ました。また感染対策への職員の負担が大きく、目標達成とは言えない状況です。
現在、全職員集まっての話し合いや定期的な職員の話し合い(意見交換)は出来ていなませんが、今後とも職員の共通理解のもと今何ができるのか最善策を職員皆で検討して行きたい。 
  評価項目2 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 保護者対応は職員それぞれ得手不得手は当然あるが、園のルールは職員の伝え方によって保護者の理解に差がでると園運営に支障をきたすため、保護者に寄り添いつつ、園のルールをしっかり伝え理解が得られる伝え方の習得を目標としました。
まずは職員間で園のルールについて再確認し、誰でも同じように伝えられるように定期的に確認しています。また保護者へ寄り添う姿勢が大切との認識から、なるべく話を聞く姿勢を心がけました。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
上記活動にも関わらず職員によって伝え方の違いがでてしまい、保護者の受け止め方が違ってしまう事例が多々発生しています。保護者の思いに寄り添うことは、日々の送迎時の立ち話などで円滑になって来ています。
引き続き、園のルールは職員全員が同じ意識で伝えることで保護者から理解が得られるように対応して行きたい。さらに保護者との日常の会話をもとに信頼関係が深まるよう、保護者の思いに寄り添い、各家庭の環境や状況を理解したいと考えています。 

Ⅵ サービス提供のプロセス項目(カテゴリー6)

カテゴリー6 サービス提供のプロセス
  サブカテゴリー1 サービス情報の提供
  評価項目1 利用希望者等に対してサービスの情報を提供している 実施状況
  標準項目1 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  標準項目2 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  標準項目3 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  標準項目4 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
講評
【現状】園の雰囲気を伝えるホームページや「こあらだより」を発信しています。

園情報の提供として、ホームページやパンフレットを作成しています。ホームページは園長が主に関り園の雰囲気を伝える事を重視し、分かりやすいようイラストを入れ、スマートフォン対応もできます。内容は、保育園概要や園内紹介、一日の流れ、年間行事、一時保育、分園紹介、求人情報等で子育て支援センターのお知らせは毎月更新しています。求人情報を見て栄養士、調理師の方々の応募がありました。パンフレットは見学者や保育園フェアの際に渡しています。子育て支援センター「こあらだより」は子育て事業広場や各保育園、市役所に配布しています。

【現状】見学者対応を工夫し、一組ずつの見学者を受け入れています。

利用希望者の電話での問い合わせには主任が対応し、園見学の希望を聞き、個別に見学を行っています。コロナ禍では一組とし、時間も10分~15分内としています。パンフレットを渡し、見学者の子どもの該当するクラスのみ部屋の様子を伝えています。見学者からは、延長保育や作り物について、散歩に行くか、急な仕事の時間延長などに関する質問があります。一時保育の希望者が多いので、見学者にはあえて一時保育の勧めをしていません。見学者について職員への情報提供はホワイトボードで知らせたり、会議などで問い合わせ内容を伝えたりしています。

【課題】ホームページの更新やパンフレットの刷新を期待します。

園情報提供としてのホームページは園長が中心に作成していますが、ギャラリー(子どもの日大会、夏祭り、プール開き等)の更新ができておらず、作成時のままとなっています。また、パンフレットは開園時に作成したものを使っており、見直しをし、刷新したいと園長は考えています。今のパンフレットも可愛い子どものイラスト入りでお散歩マップは公園の写真も入り使い勝手のよさそうなものですが、現状に合わせた新しいパンフレットができあがることを期待しています。


  サブカテゴリー2 サービスの開始・終了時の対応
  評価項目1 サービスの開始にあたり保護者に説明し、同意を得ている 実施状況
  標準項目1 サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を保護者の状況に応じて説明している
  標準項目2 サービス内容について、保護者の同意を得るようにしている
  標準項目3 サービスに関する説明の際に、保護者の意向を確認し、記録化している
  評価項目2 サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 サービス開始時に、子どもの保育に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  標準項目2 利用開始直後には、子どもの不安やストレスが軽減されるように配慮している
  標準項目3 サービスの終了時には、子どもや保護者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
講評
【現状】個別の入園前面接や入園説明会で「園のしおり」を説明しています。

新しく入園する利用者は、個別に入園前面接を実施しています。入園に必要な書類一式を渡し職員が説明を行い、健康面に関して必要に応じて看護師も説明をしています。3月中に保育園内で園医による健康診断を受けてもらっています。乳児分園はこの時に入園前面接を行っています。4月1日は、入園説明会とし、「園のしおり-重要事項説明書-」の理念に関するところなどは園長が話し、保育や健康面は主任、看護師が説明しています。新入園児については、市役所から送られてくる生活管理表が面接前に届き、職員は入園する子どもの概要を周知しています。

【現状】職員間で新入園児の情報を共有し、園生活に慣れるよう配慮しています。

全職員への新入園児に関する情報提供は、職員会議の折に面接した職員が健康面や発達状況、家庭状況等で気になるケースについて話しています。更にクラス担任に詳しく伝えています。子どもの状況を把握した上、慣れ保育を行っています。大体1週間位を目途に子どもや保護者の状況に応じて期間を伸ばしたり、短くしたりしています。0歳児は比較的ゆっくりできる状況であり、保護者と一緒に食事を摂る事をしてもらっています。職員体制を手厚くし、1対1での関わりを持てるような配慮や保護者が安心して預けられるよう子どもの姿を口頭で伝えています。

【目標】退園児や卒園児の受け入れ体制の更なる工夫をしてみてください。

退園後に不安や質問がある保護者には、丁寧な対応や退園後も相談に来やすい環境を職員間で心がけています。なかには親子で顔を見せにくる方もいます。卒園児に対しては、小学1年生には、行事の招待のハガキを出しています。また、卒園児が調理師として当園に就職するケースもあります。卒園児にとって園が思い出の場所となっていたものの、コロナ禍では行事の参加が中止となりました。卒園児の行事参加が可能となり、卒園後の成長した姿を見る機会を得る事や、今後卒園児が、園を”よりどころの一つ”とするような取り組みも考えてみてください。


  サブカテゴリー3 個別状況の記録と計画策定
  評価項目1 定められた手順に従ってアセスメント(情報収集、分析および課題設定)を行い、子どもの課題を個別のサービス場面ごとに明示している 実施状況
  標準項目1 子どもの心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し把握している
  標準項目2 子どもや保護者のニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  標準項目3 アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
  評価項目2 全体的な計画や子どもの様子を踏まえた指導計画を作成している 実施状況
  標準項目1 指導計画は、全体的な計画を踏まえて、養護(生命の保持・情緒の安定)と教育(健康・人間関係・環境・言葉・表現)の各領域を考慮して作成している
  標準項目2 指導計画は、子どもの実態や子どもを取り巻く状況の変化に即して、作成、見直しをしている
  標準項目3 個別的な計画が必要な子どもに対し、子どもの状況(年齢・発達の状況など)に応じて、個別的な計画の作成、見直しをしている
  標準項目4 指導計画を保護者にわかりやすく説明している
  標準項目5 指導計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  評価項目3 子どもに関する記録が行われ、管理体制を確立している 実施状況
  標準項目1 子ども一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  標準項目2 指導計画に沿った具体的な保育内容と、その結果子どもの状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
  評価項目4 子どもの状況等に関する情報を職員間で共有化している 実施状況
  標準項目1 指導計画の内容や個人の記録を、保育を担当する職員すべてが共有し、活用している
  標準項目2 申し送り・引継ぎ等により、子どもや保護者の状況に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
講評
【現状】個別の成長発達を保育経過記録でチェックし、保育に生かしています。

子どもの心身状況や生活状況は、連絡帳や個人面談記録、個別指導計画、児童票等に記録し、把握しています。児童票には一人一人の子どもの「保育経過記録」があり、クラス担当職員が子どもの成長発達をチェックしています。「保育経過記録」に基づき、「保育上参考となる事項」に子どもの様子や担当職員の関わり方、今後の取り組み方などを記載しています。記入時期は、0歳児クラスは毎月、1・2歳児クラスは2か月毎、幼児クラスは3か月毎で、クラス単位で反省会を行い、主任が全クラスの最終チックをし、子どもの成長発達状態を確認しています。

【現状】全体的な計画から年間・月間・週の指導計画へとつながっています。

指導計画作成は、全体的な計画を園長が基本案を考え、職員間で話し合い作成し、保育会議で確認や見直しをし、決定しています。全体的な計画を基に各クラスで年間指導計画、月間指導計画、個別指導計画、週案を作成しています。各指導計画はクラス毎、月毎につながりを持たせるよう配慮しています。指導計画は毎月、クラスで反省会を行い、子どもの実態や状況の変化を話し合い、配慮・反省・結果を検証しています。更に、クラスで反省した前期・後期の指導計画の総括をリーダーがまとめ、全職員が目を通し、感想を記入し、閲覧できるようにしています。

【目標】保育内容の丁寧な説明を実施していますが更なる高みを目指しましょう。

全体的な計画から年間・月間・週の計画へと連動させ、実施する保育内容も年齢に応じたものとなっています。保育経過記録や保育上参考となる事項とも計画がつながっており、保育へのかかわり方を深めています。保護者には前期・後期の保護者懇談会で保育の計画の総括を紙面に記述し資料として渡しています。日々の生活も一日の様子が紙面で綴られ、保護者に開示しています。丁寧な保育内容の説明をしていますが保護者アンケート結果では、87%の方は「わかりやすい」と高評価していますが、13%の方への一層の理解度アップを目指してください。


  サブカテゴリー4 サービスの実施
  評価項目1 子ども一人ひとりの発達の状態に応じた保育を行っている 実施状況
  標準項目1 発達の過程や生活環境などにより、子ども一人ひとりの全体的な姿を把握したうえで保育を行っている
  標準項目2 子どもが主体的に周囲の人・もの・ことに興味や関心を持ち、働きかけることができるよう、環境を工夫している
  標準項目3 子ども同士が年齢や文化・習慣の違いなどを認め合い、互いを尊重する心が育つよう配慮している
  標準項目4 特別な配慮が必要な子ども(障害のある子どもを含む)の保育にあたっては、他の子どもとの生活を通して共に成長できるよう援助している
  標準項目5 発達の過程で生じる子ども同士のトラブル(けんか・かみつき等)に対し、子どもの気持ちを尊重した対応をしている
  標準項目6 【5歳児の定員を設けている保育所のみ】 小学校教育への円滑な接続に向け、小学校と連携をとって、援助している
講評
【現状】発達に合わせた豊かな環境設定を通して子どもの主体性を育んでいます。

受け入れ時の連絡事項は「伝言メモ用紙」を活用して日々の情報を共有し、0歳児は月2回、1歳からは月末にクラス毎の反省会を通して子どもの全体的な姿を把握し保育に反映させています。保育室は、子どもの感性や主体性が刺激されるように、発達に合わせた室内装飾や遊具、絵本等の遊び環境を整えています。言葉かけは指示的にならないようにし、子どもが見て感じて主体的に行動できるようにしています。5歳児は外部講師による体操教室を再開しました。保護者アンケートの「園活動は心身の発達に役立っているか」では96%の高い満足度でした。

【現状】子どもに「ありがとう」を言う姿勢が互いに尊重し合う気風の基です。

園長・主任は、子ども同士が尊重し合う関係をつくるには、職員が子どもの気持ちをしっかり受けとめて、子ども自身が自分は尊重されているとした実感を与えることが基本だと考えています。特別な配慮の必要な子どもとの関係も、丁寧な援助を受けながら皆が同じに過ごすとした原則を子どもが理解することが相互の尊重に繋がると考えています。子どもが良いことをした時には「ありがとう」と職員は必ずお礼を伝えます。「ありがとう」は自然に互いが尊重し合う気風をつくっています。

【課題】トラブルへの対応方針の説明が求められると評価者は考えます。

子ども同士のトラブルに、両者の思いをよく聞き子ども双方の気持ちに寄り添い思いを代弁し、双方を尊重して仲直りできるよう導いています。年長児は子ども同士で解決する場面も設けて必要に応じた援助をしています。保護者アンケートの「子ども同士のトラブルへの対応は安心できるか」の満足度は68%で、「どちらともいえない」の20%は「よくわからない」とした意見です。年度当初等に園のトラブルへの対応方針を説明することは、園への更なる理解に繋がると評価者は考えます。

  評価項目2 子どもの生活が安定するよう、子ども一人ひとりの生活のリズムに配慮した保育を行っている 実施状況
  標準項目1 登園時に、家庭での子どもの様子を保護者に確認している
  標準項目2 発達の状態に応じ、食事・排せつなどの基本的な生活習慣の大切さを伝え、身につくよう援助している
  標準項目3 休息(昼寝を含む)の長さや時間帯は子どもの状況に配慮している
  標準項目4 降園時に、その日の子どもの状況を保護者一人ひとりに直接伝えている
講評
【現状】お迎え時の職員の丁寧な話に保護者は安心感と信頼感を強めています。

朝の引き受けの際は必ず変わりがないかを確認しながら視診、触診を行い、表情や体温、露出部分の傷などを確認しています。変化や連絡事項は申し送りメモに記載してクラスの職員間で共有しています。お迎え時には、子どもの様子をエピソードを交えて伝えています。保護者アンケートには、帰りの際の職員の丁寧な連絡への感謝が綴られ、職員との会話を通して園への安心感や信頼感を深めていることが窺えます。更に写真や動画等でも知りたいとした意見もあります。活動内容やねらいを添えた写真展示は、更に保護者の理解を深めることが期待されます。

【現状】子どもの発達に合わせて無理なく生活習慣が身につくよう援助しています。

トイレトレーニングは、保護者と子どもの様子を共有しながら、排尿間隔が一定時間持つようになり、排尿への意識が出て来ているかを見極めながら子どものペースで焦らず無理なく進めるようにしています。離乳食はマニュアルに添い、喫食した食品を保護者にチェックしてもらい、安全を確認してから始めています。大きさや硬さは口腔内の発達に合わせて行います。幼児には、休息や衣服の着脱、清潔、片付けや持ち物の管理等、自立に必要な生活習慣の大切さを伝えながら、年齢に応じて身に着けていけるように援助しています。

【現状】休息時間は子どもの状態に合わせて柔軟に対応しています。

休息時間は、特に乳児は個々の家庭での睡眠状況や体調に合わせて柔軟に対応しています。入眠時には抱っこで入眠を行い安心できるようにしています。体力がついてきて午睡をとると夜に眠れなくなるとした子どもには、早めに起こして午睡時間を調整しています。就学前の子どもは、1月から午睡をなくして小学校の生活リズムに慣れるようにしています。小学校生活に必用な習慣を身につけるために、立って着替える練習をしたり、一定時間椅子に座って話を聞いたり手紙を書く等の経験を、職員がゲストティーチャーとして日替わりで担当しています。

  評価項目3 日常の保育を通して、子どもの生活や遊びが豊かに展開されるよう工夫している 実施状況
  標準項目1 子どもの自主性、自発性を尊重し、遊びこめる時間と空間の配慮をしている
  標準項目2 子どもが、集団活動に主体的に関われるよう援助している
  標準項目3 子ども一人ひとりの状況に応じて、子どもが言葉による伝え合いを楽しみ、言葉に対する感覚を養えるよう配慮している
  標準項目4 子どもが様々な表現を楽しめるようにしている
  標準項目5 戸外・園外活動には、季節の移り変わりなどを感じとることができるような視点を取り入れている
  標準項目6 生活や遊びを通して、子どもがきまりの大切さに気付き、自分の気持ちを調整する力を育てられるよう、配慮している
講評
【現状】多種多様な玩具が子どもの豊かな遊びを誘っています。

園庭には子どもたちの好奇心や冒険心をそそりそうな大型遊具が設置されています。室内には手作り玩具を含む豊かな種類の玩具が各保育室に設置され、子どもが遊びを選択してじっくりと遊びを楽しむ事ができるよう、遊びコーナーを設置しています。玩具や絵本は、発達や興味・関心・季節に配慮して定期的に見直しをしています。集団活動は子どもが主体的に関われるように、発達や興味・関心に考慮した内容の工夫や導入のし方を工夫しています。引っ込み思案の子どもには特別に誘わず、一緒に見て楽しむ等の寄り添いの姿勢を大切にしています。

【現状】誠意をもって発信や発語を受けとめ言葉での豊かな交流に繋げています。

乳児期の指導計画には、「目覚めている時の微笑みかけや喃語に反応し安定感を与える」「表情やサインを見逃さず対応する」「不安な時はおんぶや抱っこをして安心感を与える」等細やかな配慮事項が記載されており、発語以前からの細やかな配慮のある関りで、スムースな発語への誘導が伝わります。発達に伴い、職員の代弁や言葉で共鳴共感し合う関係性を楽しみ、合わせて絵本や紙芝居、言葉遊び等で言葉の面白さへの気づきや感覚を養っています。子どもの発した言葉を大切に受けとめた伝え合いから、コミュニケーション力の基礎も培われています。

【現状】戸外活動では発見や観察、ルールを守る等の幅広い体験をしています。

大型遊具のある園庭と蜜柑や柿の木が立つ畑のある裏の園庭、更に近隣の散歩コースや数ある公園が子どもたちの戸外活動の舞台です。春には虫や花、草木、木の実等を観察し秋には木の実拾いや落ち葉拾いを楽しんでいます。冬は雪や氷、霜柱等の自然現象の観察が出来ます。子どもの気づきや発見に対する共感や認めは、子どもの自己肯定感を高める機会にもなります。また戸外活動を通して、歩道を歩く時の注意や交通ルール、公園でのルール等を伝え、守れた時には褒め、子どもがルールを守る事への意識を高めるよう配慮しています。

  評価項目4 日常の保育に変化と潤いを持たせるよう、行事等を実施している 実施状況
  標準項目1 行事等の実施にあたり、子どもが興味や関心を持ち、自ら進んで取り組めるよう工夫している
  標準項目2 みんなで協力し、やり遂げることの喜びを味わえるような行事等を実施している
  標準項目3 子どもが意欲的に行事等に取り組めるよう、行事等の準備・実施にあたり、保護者の理解や協力を得るための工夫をしている
講評
【現状】皆で話し合い自ら選択して行動できるようにしています。

行事では、子どもたちに「どんな事を行いたいのか」を問い、子どもたちに意見を出してもらい皆で話し合ってテーマや演目を決めるようにしています。練習では互いに助け合い、協力し合って取り組み、発表会では皆が達成感を味わえるように導いています。滞在調査時にはお店屋さんごっこの準備に、子どもたちが生き生きと活動する姿がありました。子どもたちにどんなお店を開きたいか、どんなものを売りたいかを聞いて、やりたいお店屋さん毎にグループを決めて商品の作成に当たりました。やる気に満ちた子どもの姿が頷けます。

【現状】3部制に工夫した運動会と発表会は好評でした。

運動会とお楽しみ会は幼児クラスの3歳児から5歳児までの3クラスに分けて行ない、参観は園児一人に二人までとし、マスク着用やソーシャルディスタンス等、コロナ感染防止に注意を払って行われました。プログラムは、年長になる程演技の種目も増え、運動会の各閉会式では園長挨拶で頑張りを褒められ、メダル授与を通して子どもたちの達成感が一層満たされるとした配慮がプログラムに組み込まれています。保護者アンケートには「時間も短く伸び伸び見られて今回の方が良かった」とした意見が上がりました。

【課題】行事のあり方については次年度の更なる工夫が期待されます。

保護者参観のある運動会やお楽しみ会の行事は、コロナ感染予防を踏まえ、園便りで目的や子どもたちが練習に取り組む様子を伝え、保護者の理解を得ながら練習を続けました。職員の工夫には保護者から感謝の意見が寄せられています。一方、行事参観のなかった乳児の保護者からか、「観覧できるイベントの実施」や「行事への柔軟な対応」等、行事参観の希望やアプリでの写真の配信を求める意見もあります。行事のあり方については、次年度への更なる工夫が期待されます。

  評価項目5 保育時間の長い子どもが落ち着いて過ごせるような配慮をしている 実施状況
  標準項目1 保育時間の長い子どもが安心し、くつろげる環境になるよう配慮をしている
  標準項目2 保育時間が長くなる中で、保育形態の変化がある場合でも、子どもが楽しく過ごせるよう配慮をしている
講評
【現状】引継ぎメモで子どもの様子を把握して延長保育に臨んでいます。

延長保育時間は18時から19時までです。玄関に最も近い子育て支援センターの一室を利用し、通常20名程の子どもたちが延長保育サービスを受けています。子どもたちは18時5分頃から、家庭での夕食に影響のない程度のおやつと飲み物を摂り、一息し気持ちを落ち着かせる時間をもっています。延長保育にあたり、担任はその日の子どもの様子を「引継ぎメモ」に記載して延長担当者に渡しています。延長保育は保育室も担当者も変わりますが、延長保育担当となった職員は「引継ぎメモ」を参考に子どもへの配慮が行き届くようにしています。

【現状】満たされ穏やかな気持ちで保護者を待てるように配慮しています。

おやつを摂った後は、身体的な疲れの様子や寂しい気持ちになっていないか等に配慮しながら子どもに寄り添い、子どもがくつろぎながら遊べるように、玩具の提供や和やかな雰囲気作りに配慮しています。玩具は特別感が抱けるように延長時間専用の、日中使用しない玩具やぬり絵を提供して、子どもの気持ちが満たされて、穏やかに保護者の帰りを待てるようにしています。

  評価項目6 子どもが楽しく安心して食べることができる食事を提供している 実施状況
  標準項目1 子どもが楽しく、落ち着いて食事をとれるような雰囲気作りに配慮している
  標準項目2 メニューや味付けなどに工夫を凝らしている
  標準項目3 子どもの体調(食物アレルギーを含む)や文化の違いに応じた食事を提供している                                                                                        
  標準項目4 食についての関心を深めるための取り組み(食材の栽培や子どもの調理活動等)を行っている
講評
【現状】優しい声掛けに配慮して子どもが安心して食事が出来るようにしています。

コロナ感染予防のために2歳児からアクリル板を使用しています。更に幼児は黙食をしてもらっているため、音楽をかけて、明るい気持で食事が出来るように配慮しています。職員は大きな声で話したりせず、子ども一人ひとりに優しい声掛けをするように努め、忙しく動き回らずに落ち着いた雰囲気を作るようにしています。苦手な食べ物は配膳の時点で少なくよそって、一口でも食べられたら褒めて、子どもが食事に対してストレスを抱かず、安心して楽しく食べられるように配慮しています。

【現状】嗜好調査を活かし味・食材・彩に配慮し美味しく季節感のある給食です。

毎月、園長と栄養士・給食職員による給食会議を設け、各クラスから寄せられた嗜好調査の結果を参考にしながら味や調理の検討を行っています。だしは化学調味料は使わず、薄味にし、献立は季節感や行事、彩に配慮しています。保護者アンケートの「園の食事やおやつは工夫が凝らされているか」の質問に86%の満足度が出ており、「子どもが気に入っている」や「子どもが給食のサンプルを見せてくれる」等子どもの思いを伝えた意見や、アレルギー児を持つ保護者からは、アレルギー対応への細やかな配慮に対する感謝が丁寧に綴られています。

【課題】食育への更なる工夫が期待されます。

今年度は、調理の必要のない園舎内の蜜柑や柿、キンカン等の果樹の収穫を経験し、子どもたちが季節の味覚を楽しむとした内容の食育を行いました。コロナ禍以前は園舎裏の畑で野菜を栽培し収穫から調理までの一連の経験をしていましたが、コロナ禍になり全面休止とし、食材は絵本等で親しむようにしました。居ながらにして果樹の収穫が出来るのは当園ならではの特別な経験ですが、職員からは「見るだけでもいいのではないか」との意見も出ています。見るだけや触るだけの経験でも、豊かな内容が想定されます。今後の工夫が期待されます。

  評価項目7 子どもが心身の健康を維持できるよう援助している 実施状況
  標準項目1 子どもが自分の健康や安全に関心を持ち、病気やけがを予防・防止できるように援助している
  標準項目2 医療的なケアが必要な子どもに、専門機関等との連携に基づく対応をしている
  標準項目3 保護者と連携をとって、子ども一人ひとりの健康維持に向けた取り組み(乳幼児突然死症候群の予防を含む)を行っている
講評
【現状】自分の状態を自覚し自ら伝えられるよう乳児期から丁寧な関りをしています。

例えば、鼻水が出ていたら職員が「鼻水が出ているね」「拭こうね」等と乳児期から丁寧に関って鼻水が出ている事への自覚を促し、拭いてもらった後の快感を覚え、やがて鼻水が自分で拭けるようになる迄の一連の援助を丁寧に行なっています。痛みや熱等、身体の不調を子どもが自覚できるように丁寧な関りをしながら、体調の悪い時は自分から伝え身を守る行動がとれるように援助しています。看護師は手洗い指導を行い、手洗いやマスクが病気から身を守る必要な方法であることを年齢に応じて分かりやすく伝えています。

【現状】怪我や事故から自他の身を守る意識を育んでいます。

園庭に設置しているジャングルジム、すべり台等、以前は使い方について「してはいけない」としたルールを設けていましたが、近年は子どもが出来ることに制限を加えないとした方針で職員がしっかりと見守り、子どもが自由に伸び伸びと遊び、チャレンジしたい気持ちを尊重した対応をしています。危険が伴う場合はその都度注意をして、怪我や事故から自他共に身を守る事の大切さを伝え、危険な場所や遊び方に自ら気づく意識を育み行動できるように援助しています。その他、ルールのある遊びでは、ルールを守る大切さを伝えています。

【現状】保護者との情報共有を図り子どもの健康を守っています。

乳児は連絡帳を用いて、ミルクや食事量、排泄、睡眠時間等の記入をして家庭と様子を共有し、朝夕の送迎時にも担任と口頭での情報共有をしています。幼児も口頭でのやり取りで健康状態の把握に努めています。ぜんそくや心臓病、てんかんなどの慢性疾患の場合は医師の指示書を提出してもらい、与薬が必要な場合は看護師を通してマニュアルに沿って行われます。乳幼児突然死症候群は、保護者にも注意を呼びかけ、午睡時間には睡眠チェックを行っています。毎月保健便りを発行し、健康を守るために必要な知識や季節に合わせた注意事項も伝えています。

  評価項目8 保護者が安心して子育てをすることができるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 保護者には、子育てや就労等の個々の事情に配慮して支援を行っている
  標準項目2 保護者同士が交流できる機会を設けている
  標準項目3 保護者と職員の信頼関係が深まるような取り組みをしている
  標準項目4 子どもの発達や育児などについて、保護者との共通認識を得る取り組みを行っている
  標準項目5 保護者の養育力向上のため、園の保育の活動への参加を促している
講評
【現状】急な残業の際の対応に保護者から感謝の意見が多く綴られています。

園では、入園の際に面談を行い、各家庭の就労状況や家庭の状況を聞き取り、就労や状況が変わる際にも職員間で情報を共有して保護者の状況を理解して支援を行なっています。保護者アンケートの「急な残業の際は柔軟に対応してくれるか」の質問の満足度は77%でした。保護者からは、「その時の担当による」との意見もありますが、「急遽の場合でも嫌な顔をせずに対応してもらえる」や「焦らずゆっくりで大丈夫ですよと言ってもらえる」等、職員がいつも優しく対応してくれると感謝の意見が多く綴られています。

【現状】保護者の要望には「何とか応えよう」と真摯に臨んでいます。

職員アンケートの、「保護者との信頼関係が深まるよう心がけているか」はリーダー層100%、一般職員71%の認知度でした。園は日々保護者との会話を通して子どもの成長を共有し、育児に関する悩みを聞いたりアドバイスをしたりして保護者と共通認識をもって保育に臨み、信頼関係の構築に努めています。職員アンケートでは、園の良い点として、「保護者と丁寧に向き合い接している」や「保護者の要望に対してNOは言わず何とか応えようとする」等、保護者対応に関する意見が20%を占めるほどに、保護者への真摯な配慮が窺えます。

【課題】保護者の思いを汲み取り出来る範囲での更なる改善が期待されます。

保護者同士の交流会の中止や行事の中止等、色々な変化があったにも関わらず、保護者アンケートには園への感謝の言葉で溢れています。少数意見ですが、お迎えの際、「話したくてもタイミングが無い」、「慌しい申し送りのみ」、「ギリギリの迎えで話す機会がない」、「面談がほしい」等の意見もあります。メール・アプリでの子どもの様子の配信、写真の展示・販売等の希望もあります。保護者の思いを汲み取り、できる範囲での更なる改善が期待されます。

  評価項目9 地域との連携のもとに子どもの生活の幅を広げるための取り組みを行っている 実施状況
  標準項目1 地域資源を活用し、子どもが多様な体験や交流ができるような機会を確保している
  標準項目2 園の行事に地域の人の参加を呼び掛けたり、地域の行事に参加する等、子どもが職員以外の人と交流できる機会を確保している
講評
【現状】コロナ感染予防の観点から地域との交流は中止してきました。

職員アンケートの地域連携に関する「子どもが地域で様々な経験が出来るように心がけているか」「地域の人々と交流できるように心がけているか」の質問はリーダー層50%、一般職員32%と低位でした。例年は、地域の高齢者施設や消防署、図書館、商店街等に出かけて、体験を兼ねて交流も行なっていましたが、今年度はコロナ禍で交流先の施設からの断りもあり、交流を中止しました。また、園の行事に地域の方々を招待することも感染防止のため行えませんでした。

【課題】今後の工夫やチャレンジが期待されます。

コロナ禍以前は、就学児を対象に学校訪問をして体験をしていました。今年度は、学校側の要望もあり、就学支援シートや保育要録を提出し電話での聞き取りに応じている現状です。子どもたちとは、散歩で学校の近くまで行き、一緒に学校を見ながら「○○ちゃんの行く学校ね」等と話して、小学校への親近感や入学への期待感が抱けるような工夫をしています。地域との交流では、リモートや手紙・絵等での交流方法の工夫が、新たな楽しみ方を拡げる機会にもなると評価者は考えます。


  サブカテゴリー5 プライバシーの保護等個人の尊厳の尊重
  評価項目1 子どものプライバシー保護を徹底している 実施状況
  標準項目1 子どもに関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、保護者の同意を得るようにしている
  標準項目2 子どもの羞恥心に配慮した保育を行っている
  評価項目2 サービスの実施にあたり、子どもの権利を守り、子どもの意思を尊重している 実施状況
  標準項目1 日常の保育の中で子ども一人ひとりを尊重している
  標準項目2 子どもと保護者の価値観や生活習慣に配慮した保育を行っている
  標準項目3 虐待防止や育児困難家庭への支援に向けて、職員の勉強会・研修会を実施し理解を深めている
講評
【現状】子どものプライバシーの保護を意識して保育に携わっています。

「個人情報保護規程」を「園のしおり」に挿入し、保護者に伝え、年度初めに確認しています。写真掲示や園でのけが対応について、既往歴の確認等も保護者の承諾を取っています。子どもへの羞恥心の配慮では、オムツ交換は棚を利用し死角になる場所で行っています。着脱に関しては全裸にならないよう、特に乳児は上着を着たままトイレに行かせています。上を脱いだら上を着る、下を脱いだら下を履くことを励行しています。排泄の失敗時は他児に気づかれないよう処置をしています。これらの事は、年度初めに職員に周知・徹底するよう努めています。

【現状】子どもや保護者の思いに寄り添い、価値観を受け止めるよう努めています。

子どもの意思の尊重では、一人一人の思いに寄り添い、思いを聞き、受け止め、丁寧に話すことを心がけています。以前には職員の行動規範や言動の振り返りをチェックリストを用いて評価・反省した時期もありました。保護者対応として、さまざまな家庭がある中、保護者の価値観や生活習慣を否定せず、保護者に寄り添うよう努めています。保護者の困り感がある場合にも相談できるようにしています。「園長やベテラン職員が話を聞いてくれ、受け止めてくれ、対応してくれる」や「対応がとても早い」等の意見が保護者アンケート結果に寄せられています。

【課題】職員の所作を、子どものお手本となるよう更に検討してみてください。

滞在調査時の職員の対応は、先手のあいさつや、来訪者へ笑顔で接するなど好ましい接遇でした。子どもへの対応も「○○ちゃん」と呼び捨てにせず、語り掛けも柔らかな口調でした。一方、配慮した方がよいと思われる点は、庭遊びの際、職員が後ろ手を組んで子どもを見守っていることです。手は横か、やや前に置き、一つでも動作を少なくするような心構えが必要と思われます。所作の美しさを保つことは、子どもへのお手本となり、言葉で表さなくてもマナー教育の実践となることでしょう。


  サブカテゴリー6 事業所業務の標準化
  評価項目1 手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  標準項目2 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
  標準項目3 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
  評価項目2 サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  標準項目2 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や保護者等からの意見や提案、子どもの様子を反映するようにしている
講評
【現状】多様なマニュアルを作成し、職員に配布しているものもあります。

園のマニュアルとして、「危機管理マニュアル」や「保健マニュアル」、「虐待防止マニュアル」の他、新入職員に「マニュル」と題したファイルを渡しています。その「マニュアル」内には、玄関の解除やプール活動、早番遅番(平日・土曜日)などが作成されています。「保健マニュアル」は、有効活用できる内容のものが盛りだくさん綴られています。マニュアルは主任が整備しており、年度末や不都合が生じた際は改訂しています。また、「園のしおり」は職員に配布し、園長より理念や基本事項を説明し、同じ方向性で保育を進めていく事を伝えています。

【現状】保護者や職員の意見や意向を聞き取る風土が築かれています。

保護者や職員からの意見や提案事項に関しては、受け入れる姿勢で臨んでいます。例年では保護者参加の行事の後、感想を聞き、改善点は保護者にその結果を配布していました。コロナ禍の現況でも、保護者の意見・要望を受け入れる姿勢を持ち、共に対話をしています。職員からの提案では、来年度の新入児受け入れの際の「受け入れ表」に予め勤務形態の欄に「在宅」の項目を入れ、チェエクしてもらうよう書式を変更する案を取り入れています。職員の気づきを職員会議などで提議し、改訂する仕組みがつくられています。

【課題】多様なマニュアルから特に虐待マニュアルの活用が望まれます。

多様なマニュアルが作成されている中、”マニュアルとは”の職員意識の低さが感じ取れました。特に「虐待マニュアル」はきちんとしたものが作られてはいるものの活用されてない状況が伺い知れました。分厚い虐待マニュアルから、種類や通報の仕組みなど職員が知識を得ておくことが必須のものをプリントし、乳児、幼児、乳児分園と分けた園内研修などを行い、職員に周知徹底をすることが急務と思われます。マニュアルは業務の水準を確保するためにある事を考え、まずは虐待への知識の共有化に役立ててください。