東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

当園は、同法人が運営するよつぎ保育園グループの認可園として平成31年4月に開設した。開設以来コロナ渦の影響下にあるが、子どもの安全を守るために感染症対策を緩めることなく、保護者との情報共有を図り、子ども主体の保育園運営に努めている。保育理念、保育目標、保育方針は、入園のしおりに記載し、保護者には入園面接時や保護者会で説明し、毎年度配布している。職員には、職員会議等での読み合わせや、入職時の研修により理解を深めている。また、事業計画書などを綴じた公開閲覧簿を事務所に備え置き、確認できるようにしている。

組織として、園長の下に主任、各クラスチーフを配置している。園長は開設より就任3年目を迎え、園長の責務や専門性を活かすための研修を受講し知識を深め、自らの役割について考え、主任と連携し組織づくりに取り組んでいる。会議において年度の方向性を示し、全体的な計画を各クラスに配布し、計画を踏まえ指示をしている。行事については、計画通りの実施は開設初年度のみだったが、今年度の運動会はクラス別に実施することができた。法人では各園の、園長、主任、看護師、栄養士が参画し、情報共有を図り、共通の課題を協議する仕組みがある。

重要な案件は、職員会議で伝達し、欠席者や非常勤職員には会議録を回覧し周知している。園内の検討事項は、園長・主任が内容を確認し、チーフ会議で検討している。開園当初からコロナ下にあり、多くの会議が計画通りに行えずオンラインを活用してきたが、12月は対面による職員会議が実施できた。クラスや職員からの意見の吸い上げを図るために、チーフ会議が定期的に開催され、職員会議での検討・決定がなされるよう、決定手順を明確にしたいと考えている。保護者に対しては、懇談会・アプリによる配信・書面の配布・掲示により伝達している。

毎年利用者調査を実施し、現状や課題を把握し、保護者の意向を理解するように努めている。保護者の意向を踏まえ、アプリによる保護者への情報発信については、緊急時や重要性の高いお知らせだけでなく、園だよりや献立予定表についてもPDFによる配信を行い利便性を高めた。職員の意向は、朝会や職員会議を通して把握している。地域情報等は関係機関との連携から収集し、ニーズ把握に努めている。業界の動向は、保育関係の会議や研修への参加や、必要に応じて市に直接問い合わせるなどして積極的に情報収集し、園運営に役立てている。

単年度の事業計画は、冒頭に昨年度の総括と、それに基づく今年度の目標を記載している。職員配置については基準を上回る配置とし、職員の定着を図るために、有給休暇の取得・休憩時間の確保・オンライン研修の参加・ICTによる業務の効率化等の推進などについて記載され、それ以降に各項目の方針が記載されている。法人全体の収支状況は、会計事務所との連携により把握・検討し、園では月次資料により確認している。施設整備としては、園庭に備蓄倉庫を設置した。中長期計画は、設立当初の計画を引き継いだビジョンが更新されるよう検討している。

保育の各計画は、期毎に自己評価を行い保育内容の改善を図り、全体的な計画を見直し更新している。行事については、年度当初に担当する係を決め、係による計画の立案を行っている。行事の計画については、保育の振り返りの際に反省を行い、次回の計画に活かしている。園では、「子ども主体の保育」について見直し、行事と日々の保育のバランスを取りながら保育運営を進めている。コロナ禍にあり、職員間の連携は課題として認識して職員間で意見を出し合い検討・実践する機会を設け、当園としての基盤を固めることに取り組んでいる。

保育については、子どもたちの自主性を尊重し、子どもにとってより良い保育とは何かを第一に取り組んでいる。職員が守るべき法や倫理に関しては、就業規則に服務の章を設けて明示し、守秘義務や権利擁護について毎年園内研修を実施し、繰り返し確認をしている。就業規則などの規程類を綴じた公開閲覧簿を事務所で供覧できるようにしている。また、人権擁護のためのセルフチェックリストを各クラスで読み合わせをし、配布されたチェックリストを用いて職員個々の自己評価を実施し、権利擁護の意識を高めている。

保護者や地域の方からの意見や問い合わせに対応できるように、苦情解決の仕組みを整備している。入園のしおりに記載し、新入園児の面接や入園進級式においても説明をしている。また、公開閲覧簿や、玄関内や駐輪場の掲示板に貼り出し、いつでも確認できるようにしている。日頃より保護者とのコミュニケーションを図り、園玄関にはご意見箱を設置し、書面でも意見・要望を出してもらえる体制を整えている。苦情解決のための第三者委員を2名委嘱し、苦情があった場合には事実状況を確認し、マニュアルに沿って対応している。

地域の子育て支援事業として、登録制の一時預かり保育事業を実施し、園の子どもと一緒に園生活を経験することができる。園庭開放は、市の広報誌により情報案内しているが参加者が少ないため、情報発信の方法を検討している。実習生・ボランティア・小中学生の職場体験については、主任保育士が窓口となり、受け入れられるように整備している。保育養成校の実習生については、今年度も受け入れの実績がある。子育て支援センターなどの関係機関と連携を深め、保護者に必要な支援を行い、協働できる体制を整備している。

感染症予防マニュアル・危機管理マニュアルを見直し、誰もが同じように実施できるよう職員間で周知し安全管理に努めている。職員は、順次上級救命講習を受講し、園内研修では看護師によるAED使用方法や嘔吐処理の訓練を実施している。地震・火災についての様々なシナリオを想定した避難訓練を毎月実施し、水害時の避難先である小学校への避難訓練も実施した。事故発生時は事故報告書で反省と今後の対応を明確にし、職員会議等で再発防止を徹底する。ヒヤリハット事例を収集し、園庭のヒヤリハットマップを更新し、職員の危機管理意識を高めている。

防犯訓練・交通安全指導や防災訓練の計画は、入園のしおりの年間行事予定にも記載している。防犯訓練は、想定を変えて年2回実施した。実施後は、職員間で振り返り、園内の対策を検証し、警察による助言や提案などを得て不審者対応マニュアルを見直し、さらなる安全管理に努めている。防犯カメラの複数台設置・警備会社によるセキュリティシステムの導入などについても入園のしおりに掲載し、園の安全対策を知らせている。地元の消防署や警察署の協力により実施する訓練を通して、地域で子どもの安全を守ることを意識している。

法人で個人情報保護規程を策定し、利用目的や開示請求に対する手続等を明示している。保護者には入園のしおりに個人情報の取り扱いについて明示し、使用についての同意書をもらっている。職員には、守秘義務について入職時に園長より説明をし誓約書を得て、離職時においても誓約書を得ている。ボランティアや実習生に対しては、事前のオリエンテーションで留意事項を伝えている。個人情報が記載された書類は施錠できる書庫に保管し、パソコンはパスワードを設定しアクセス制限により使用者を限定し、情報漏えい防止に努めている。

職員には、保育理念・保育方針の下で専門性を追求し、自己研鑽に努め、子どもを中心とした保育に取り組むことを望んでいる。職員の採用は、法人で一括して行い、学校訪問や就職相談会への参加、法人のホームページで応募要項を公開し、求人活動をしている。採用面接は、法人内の園長複数名が参加し、法人が求める人材を総合的に判断して決定している。職員の次年度の意向は、意向書により把握するが、保育内容については、希望者との面談により把握に努めた。翌年のクラス配置は、経験などに偏りがないように編成し、バランスを考慮し決定している。

職員の育成は、研修計画に基づき園内外の研修参加を通して行っている。外部研修には、どの職員も最低年1回は参加できるよう配慮し、研修参加後は報告書の回覧と職員会議等での報告により、知識の共有を図っている。外部研修は、処遇改善加算Ⅱの要件であるキャリアアップ研修への参加を最優先とし、積極的に受講させた。キャリアパスの仕組みについては、さらなる周知を図る意向である。園内の学びの機会として、マニュアルに基づいた感染症予防対策・救急救命・不審者対応・権利擁護などの確認を通して、個々の知識を深め育成につなげている。

職員の定着を図るために働きやすい職場づくりに取り組み、有給休暇の5日間及び夏休み休暇3日間の完全取得・休憩の確保・研修の積極的参加・ICT活用による業務の効率化などを促進させている。厚めに人員を配置することで、休暇の取得や研修への参加が行いやすいように配慮し、休憩については声を掛け合って取りやすいようにしている。今年度からは、早番遅番手当を導入し職員の処遇改善に努めているが、職員の自己評価果では意欲向上への取組については自己評価が低い項目となり、業務負担についての意見が複数出される結果となった。

法人のホームページに、園の情報を掲載している。また、入園のしおりやパンフレットなどを用意している。ホームページは今年度リニューアルして見やすいものとなっている。内容については今後充実させていくとしている。パンフレットは見学者に配布している。パンフレットには、園の概要、園の特徴、デイリープログラム、年間行事などを明記している。また、行事の写真を掲載して分かりやすく紹介している。

園の情報を定期的に市に提供している。市が作成している保育所入所のしおりに、園の所在地などの基本情報を掲載している。また、市の発行する子育て支援情報通信に情報を提供しており、利用希望者や在宅で子育てをしている保護者に、必要な情報が届くようにしている。園では地域に向けた子育て支援事業として園庭開放（今年度は感染症対策のため休止）に取り組んでおり、参加した保護者に情報を提供することで、園の事業内容について理解してもらえるようにしている。

問い合わせや見学の要望があった場合には個別に対応している。見学は、あらかじめ電話で予約を入れてもらうことで日程を調整している。対応は、主に主任保育士が行っている。離乳食やアレルギーなど食事のことや保育時間、保育内容について理解してもらえるように丁寧に説明を行っている。見学は子どもの活動の様子を見てもらえるように、午前中を勧めている。今年度は感染症対策として、廊下までの立ち入りとし、短時間で見学を実施している。

入園決定後、園長、主任保育士、クラスチーフ、看護師が同席して個別面談を行っている。入園のしおり、重要事項説明同意書などを用いながら園での生活の基本的ルールや重要事項などの説明を行っている。また、子どもの家庭での様子、既往歴、離乳食の進み具合、アレルギーなどの生活・健康面について、状況の把握と保護者の意向を確認して、保育に反映している。面談で聞き取った内容は、児童票に転記をして子どもの支援に必要な個別事情や要望を把握している。

利用開始後に、慣らし保育を実施している。期間は設定していないが、子どもの様子を確認して保護者と相談のうえで個別に対応している。お気に入りのタオルを持つと安心して眠ることができる子どもには、タオルを持参してもらったり、家での子どもの呼び名と同じ呼び方にする、ミルクは家庭と同じものを用意するなど、家からの連続性を保ち、徐々に園に馴染むことができるように配慮している。

途中退園や転園などでサービスを終了した場合には、希望があればいつでも相談に応じることを保護者に伝え、継続した支援に繋げている。就学に向けては、就学支援シートや保育要録などで小学校との連続性を保ち、継続した支援につなげている。開設から3年目を迎え、卒園児も多くなってきたことから、今後は卒園児との交流も検討するとしている。

入園時に、子どもの家庭での様子、アレルギーの有無、0歳児はミルクの種類など、一人ひとりの子どもの発達過程・生活環境について状況の把握をしている。また、保護者の意向を確認してニーズを把握し、保育に反映している。子どもに関する情報は、主に児童票に記録をする。日々の子どもの様子は、連絡帳や送り迎えの際に口頭で保護者に伝えるとともに、保育日誌に記録する。保育日誌は、0・1・2歳児は個別に毎日の様子を記録している。ＩＣＴ化により、連絡帳やおたよりをシステムのアプリを活用して配信している。

全体的な計画をもとに、年間、月間、週ごとの指導計画を作成している。0・1・2歳児と障がい児に関しては、毎月個別の指導計画を作成している。子どもの年齢や発達過程に応じて計画作成を行っており、懇談会や個人面接時に寄せられた保護者の希望等も踏まえて作成する。毎日の生活状況や家庭での様子を日誌に記し、その内容を各年齢ごとに定期的に、児童票に保育経過記録としてまとめている。現在連絡帳等はICTのシステムを活用しているが、その他の計画・記録類については今後移行していく予定である。

毎朝の朝礼を行い、1日の流れ、前日の状況、その他の報告・連絡事項等について情報の共有を図っている。さらに、毎月の職員会議、チーフ会議、クラスごとの会議があり、その中で子どもに変化があった場合の情報共有も行っている。会議の内容について資料を配布して職員全員が共通認識のもと保育にあたっている。また各クラスに用意している引き継ぎチェック簿や引き継ぎノートに子どもの1日の様子を記入して、お迎え時に担任以外の職員が対応する場合にも、その日の様子を伝えられるようにしている。

子ども一人ひとりの発達の過程や生活環境は、保護者との情報共有を大切に把握し、児童票に記録している。毎日の家庭での様子や生活状況を連絡帳や保育日誌等に記載し、月毎および期毎に保育の振り返りを行い、次の計画につなげている。朝礼や職員会議等で各クラスの状況や子どもの様子を共有し、全体的な姿を把握して日々の保育にあたっている。5歳児の就学に向けては、幼保小連絡会議への参加や保育要録・就学支援シートの作成等により小学校との連携を図っている。例年は学童クラブとの交流会も実施している。

毎日自由遊びの時間を設け、子どもが好きな遊びを選択できる環境を作り、自主性を養っている。各部屋にある玩具や絵本は子どもたちの発達段階に合わせたものを用意し、子ども自身が選択し自分で取り出せるよう配置している。また、朝・夕の時間帯や土曜日は異年齢での合同保育を行い、様々な関わりを楽しめるようにしている。子ども同士のトラブルは年齢や発達に合わせて、子どもの気持ちを代弁しながら対応している。幼児は両者の言い分をよく聞き、お互いに納得できるよう原因やいけない理由を話し合うようにしている。

障がい児など特別な配慮が必要な子どもも、普段の生活や行事をクラスの子どもたちと同様のカリキュラムで活動できるよう支援している。必要に応じて担当職員の配置や個別の計画の作成・記録を行っている。市の巡回相談を利用したり、保護者や通っている専門機関等から情報を得て保育に活かしている。絵カードを使用して活動の流れをわかりやすく示したり、雑巾がけで体感を鍛えるとともに精神面の安定を図るなどの取り組みがある。また、外国籍の子どもに対しても、個々の特性に合わせて伝え方の工夫や気持ちを汲み取った対応に努めている。

ICTシステムのアプリを使い、0・1・2歳児は個別に子どもの健康状態や様子を園と家庭で共有している。3歳児以上も欠席やお迎え時間の記入のほか、担任への連絡事項等があればアプリに記入してもらっている。また、2歳児以上は「健康カード」に毎日の体温や健康状態を記入してもらい、登園時にはその情報と併せて保護者から直接子どもの様子を確認するようにしている。各クラスの活動内容や様子は、ボードに記載して掲示するとともにアプリでも配信している。お迎え時にはできるだけ個々の出来事や様子を保護者に伝えるよう努めている。

食事や排せつ等の基本的な生活習慣については、年齢別に目標を立て、個々の発達状況に合わせて無理なく身につくよう援助している。箸の使用はスプーンを正しく持てるようになってから始め、トイレトレーニングは嫌がらず便座に座ることから始めるなど、子どもに負担がかからないように取り組んでいる。保護者にはアプリやクラスだより・ほけんだより等で年齢別に身につけたい生活習慣や園の取り組みの様子などを伝え、家庭と連携して進められるようにしている。

午睡は発達に合わせて、各クラスで時間を設定している。0歳児は一人ひとりの生活リズムに応じて個別に対応している。他の年齢も、夜の寝つきが悪いため午睡時間を短くして欲しいなどの保護者からの相談や要望に合わせ、時間を調整するなどの配慮をしている。年長児は就学に向けて年度の後半から徐々に午睡時間を短くしている。午睡をしない生活に移行するまでのスケジュールは、クラスだよりに記載して保護者にも知らせている。午睡なしの日も、個々の体調等に合わせて適宜体を休めるように配慮している。

「自分で考え、思ったことをはっきり言え、しっかりした行動のできる子」を保育目標の一つとしている。保育室内には遊びのコーナーを設け、毎日自由遊びの時間を設けるなど、子どもの自発性を尊重し遊び込める環境を整備している。年齢別の年間保育目標を立て、子どもの主体的な活動を大切にする中で乳幼児期にふさわしい体験を提供できるようにカリキュラムを作成している。生活や遊びを通して、「ありがとう」「ごめんなさい」等が自然に言えるよう働きかけている。

全園児を対象に外部講師による英会話、3・4・5歳児クラスでは就学準備プログラムを取り入れ、子どもたちが様々な表現を楽しみ、発達を促せるよう取り組んでいる。また、絵本や紙芝居、歌、劇遊びなどに触れる機会を多く設け、言葉に対する関心を高め、言葉による伝え合いを楽しめるようにしている。製作では様々な素材を提供し、子どもの自由な発想を引き出している。発達に合わせてルールがある遊びを取り入れ、ルールを守る中でお互いに助け合うことや時には我慢することの必要性などを学んでいる。

園の周囲には公園が複数点在し、河川敷もある。自然豊かな環境を活かし、戸外活動を積極的に実施している。天気の良い日はできるだけ散歩に出かけ、四季折々の自然に触れている。季節にちなんだ製作や園内の装飾も行い、季節の移り変わりを感じられるようにしている。広い園庭ではのびのびと体を動かして遊ぶことができる。園庭の一角には木の下にベンチを設けたツリーハウスもある。昨年度は園庭にジャングルジムの設置とコンビカーの導入を行い、今年度は砂場を広くするなど、戸外遊びの充実を図っている。夏には園庭で水遊びを実施している。

年間行事として、七夕まつり・運動会・遠足・クリスマス会・生活発表会・節分などを実施している。子どもたちの興味・関心を大切にし、主体的な発想から行事を展開するように努めている。また、日々の保育を大切に考え、行事に向けての準備や練習で子どもに負担がかからないよう、行事内容や実施方法等に配慮している。今年度は感染症対策として園全体での行事は行わず、クラスごとでの実施や短時間での実施にするなどの工夫をしている。

運動会や生活発表会は全園児が参加する行事となっている。乳児はリズム・手遊び、踊りなど、日ごろの保育で取り組んでいることの中から子どもが楽しめるものを行事につなげている。幼児は各クラスで子どもの発達や興味に応じた演目を選定している。生活発表会の演目や役の選定、小道具作り等の準備に子どもが関わることで期待や意欲を高め、主体的に行事に取り組めるようにしている。運動会や生活発表会などの行事を通して、協調性や創造力・連帯感を育んでいる。

毎年年度初めに保護者に配布する「入園・進級のしおり」に年間の行事予定を日付入りで載せている。運動会や生活発表会等の保護者参加の行事は土曜日に設定するなど、できるだけ多くの保護者が参加しやすいように配慮している。今年度は感染症対策として、運動会は年齢別で時間を分けて実施した。また、生活発表会はクラスごとの入れ替え制で保護者1名のみの参加とした。保護者の理解・協力を得られるよう、アプリやおたより等で行事の詳細や取り組みの様子を伝えている。

園内は全体を木目調で統一し、明るく落ち着いた空間となっている。保育室はゆとりを持ったスペースがあり、年齢・発達に合わせて室内環境を整備している。0・1歳児のクラスには広いウッドデッキスペースもある。各保育室には冷暖房・加湿機能付き空気清浄機・温湿度計を完備している。0・1歳児は裸足保育のため床暖房を設置している。日頃から園内の清掃や玩具等の消毒を行い、衛生的な環境の整備に努めている。月1回は布団の乾燥消毒を行う。子どもたちが長時間園で過ごすことを考慮して、安全にゆったりくつろげる環境作りを心掛けている。

朝と夕方の時間帯や土曜日は合同保育を行っている。子どもの興味や年齢に合わせた玩具や絵本等を用意し、保育士が場面に応じた見守りや関わりをしながら、年齢の違う子どもが楽しく遊ぶことができるように配慮している。夕方の時間帯は安全面を考慮し、3クラスに分けて保育を行っている。子どもが落ち着いて過ごせるよう、子どもの様子を職員間で引き継ぎ、継続的な保育に努めている。お迎え時に保護者に伝達が必要な事項は引き継ぎ簿等に記録し、伝え漏れのないようにしている。

各年齢に応じたテーブルと椅子を使用し、安定した姿勢で落ち着いて食事ができるよう配慮している。献立は日替わりメニューとし、旬の食材をできるだけ多く取り入れてる。食材は原則国産のものを使用し、安心・安全な食事を提供している。おやつも毎日手作りしている。年間行事に合わせた季節感のある行事食、郷土料理を献立に取り入れ、子どもが食を楽しめるよう工夫している。離乳食については保護者との綿密な連携のもと、子ども一人ひとりの発達に合わせて進めている。

食物アレルギーに関しては、医師の指示書に基づき原因食物の完全除去対応をしている。個別の献立表を毎月作成し、保護者と確認・共有している。園ではパンや麺類、カレー粉はアレルゲン除去したものを使用しており、できるだけ他の子どもと同じ食事を食べられるように配慮している。アレルギーのある子の食事は専用のトレーと食器を使用し、配膳前と配膳時にそれぞれダブルチェックを行い間違いのないよう努めている。食事のテーブルも別にし、安全性を最優先に提供している。

栄養士が中心となり、年間計画をもとに食育活動を実施している。園の畑でさつまいも掘りやじゃがいも掘りを行うほか、大根・とうもろこし等の野菜の栽培・収穫を体験している。収穫した野菜は給食で提供している。4・5歳児はクッキングとして、おにぎり・クッキー・ピザ作り等に取り組み、食への関心を深めている。また、三色食品群の話やお箸の持ち方の指導など、栄養バランスの良い食事や食事マナーについても教えている。防災教育として非常食を用いた食事の提供を行うなど、様々な視点から食の大切さを伝えている。

園庭遊びや散歩では、約束事や交通ルール、危険箇所などを子どもたちに伝えている。毎月の避難訓練のほか、警察署による防犯教室や交通安全教室の実施もある。感染症予防に向けては、看護師による手洗い指導を実施し、手洗い・うがいを習慣化している。保健行事として、健康診断、歯科検診、身体測定、視力検査（3歳児以上）等を実施し、子どもが自らの健康に関心が持てるように働きかけている。これらの結果は「健康ノート」に記録し、保護者にも確認してもらっている。

発達の状況やアレルギー等により特別な配慮が必要な場合には、保護者と相談しながら個別に必要なケアや対応を行っている。原則、園では薬を預かることはしない。医師の指示のもと病気の回復期やアレルギー等の慢性疾患等で園での与薬が必要な場合は、「与薬依頼書」と病院で処方された薬（1回分のみ）を預かり対応している。園にはAEDの設置があり、全職員が上級救命講習を受講している。また、嘔吐処理や緊急時の対応など、看護師が中心となり園内研修を実施している。0・1歳児は1日2回の検温を実施し、体調の変化に留意している。

健康管理に関する園の取り組みや対応については、入園のしおりなどを通じて保護者に周知し理解・協力を得られるようにしている。また、毎月の保健だよりでも健康維持に必要な情報を載せている。園内で感染症が発生した場合には、お知らせを掲示して保護者に注意喚起している。緊急性の高い情報や市からの通達は、アプリの一斉配信でもお知らせする。乳児突然死症候群防止のため、園では午睡時に0歳児は5分毎、1歳児は10分毎に子ども一人ひとりの姿勢、顔色、咳などの様子を確認している。0歳児はセンサーも併用している。

延長保育を実施している。急な残業等による保育時間の延長については、柔軟に対応している。保護者からの相談には、随時対応している。年間の行事予定はしおりに掲載し、毎年、年度当初に保護者に説明している。保護者が参加する行事については土曜日に設定するなど、保護者が参加しやすいように配慮している。園での子どもの様子を伝えるために実施している保育参観については、今年度は感染症対策として、日程やクラスを分けることで、密を避けて実施することができた。

保護者が参加できる行事として、運動会、生活発表会等がある。両行事は、感染症対策として年齢別、時間帯を区切る、人数制限を行う等して、開設3年目にして初めて実施することができた。通常であれば行事に参加したり協力するなかで、保護者同士が交流できるようにしている。また、懇談会の際には、日々の生活面や遊び等、園から子どもの様子を伝えるだけでなく、保護者から話をしてもらう時間を設け、交流しているが、コロナ禍では難しい現状がある。今年度の懇談会は年度当初は実施できたが、年度の後半の懇談会は感染症の影響から書面配布とした。

子どもの発達や育児に関して話すことができるように、普段から送迎時の保護者との会話を大切にしている。保護者の意見・要望を、懇談会や個人面談などの機会を通じて把握し、計画に反映している。また、保育方針や活動内容を説明することで家庭と保育園との連携の必要性を理解してもらい、共に子育てに取り組めるよう働きかけている。コロナ禍においては、感染症対策のために保護者と思うように意見交換ができないことを課題としている。

近隣にある市の図書館を利用したり、散歩などで公園に出かけるなど、日々の保育のなかで地域資源を活用できるようにしている。今年度は感染症対策のため実施は難しかったが、例年は日野市の主導で、児童館へ見学に行くこともある。交通安全教室では警察の協力があり、交通ルールを学んでいるが今年度は延期となった。防災教育については、消防署の協力を得て実施することができた。今年度中止となったものについては、感染症の状況を見て、再開をしたいと考えている。

今年度はコロナ禍ではあるが、実習生を受け入れて関わることができた。夏のボランティアや中学生の職場体験等の受け入れは難しかった。今年度は休止としているが、例年は地域の子育て支援として、園庭開放を実施している。園庭で自由に遊んだり、園児と交流している。小学校との交流の機会はまだ持てていないため、今後検討していくとしている。

個人情報の取り扱いについては、法人として個人情報保護規程を定めている。子どもに関する情報を外部とやり取りする場合には、公的機関からの要請や緊急を要する場合などの法的に認められたもの以外は、必ず保護者の同意を得ている。子どもの羞恥心に配慮した対応を心がけている。水遊びの際には外部から着替えが見えないように、目隠しをしている。幼児クラスのトイレには扉をつけ、他児から見えないようにしている。幼児クラスは身体測定では、男女を分けている。着替えの際にも全裸にならないように指導している。

入園時の面談や日々の保護者とのコミュニケーションなどで、事前に把握した価値観・生活習慣などに配慮した対応を心がけている。日常の保育では子どもの心身の発達段階など個人差を踏まえ、一人ひとりの子どもの気持ちを受け止めた支援ができるように努めている。子どもの気持ちを傷つけるような職員の言動、放任、虐待、無視等が行われることのないように、職員会議などの場で保育士の対応基準チェックリストなどをもとに、職員間で話し合いを行い理解を深めている。

虐待が疑われるケースがあった場合には、経過を観察した上で定期的に子ども家庭支援センターや児童相談所等の関係機関に報告を行い、連携できる体制を整えている。虐待の事実を把握した場合には、園内で状況の確認を行った後、園長の判断により、関係機関に連絡を行う体制を整えている。

各種規定や手順をまとめたマニュアルを整備している。感染症予防、事故防止マニュアル等を整備している。各種規程やマニュアル類は事務室・各クラスに整備し、職員がいつでも確認できるようにしている。マニュアルは開設初年度に作成したもので、現在順次見直しを行っている。今年度は感染症予防マニュアルを改訂した。消毒の方法や園庭遊具についてなど、現状に合わせたものとなるように。職員間で検討した。

法人内各園の園長、主任、看護師、栄養士など各担当ごとに定期的に会議を開き、法人内の共通の課題を協議している。懇談会や個人面談、日々の会話などから、保護者の意見や提案が出た場合には、職員会議の中で検討して対応している。日々の保育や支援に関しては、その都度リーダー層から指導をしている。年度末に全職員で会議を開き、次年度について確認をしている。