東京都福祉サービス第三者評価  評価結果





評価結果基本情報

評価年度 令和3年度
サービス名称 認可保育所
法人名称 社会福祉法人清朗会
事業所名称 せせらぎ保育園
評価機関名称 株式会社 クリップ

コメント

保護者へアンケート方式による利用者調査を実施しました。合わせて感染対策を行った評価者がフロアーに入り滞在調査も実施しました。利用者調査終了後、双方の意見に相違がないよう事業所との合議の時間を設定しました。訪問調査では、オリジナルの資料を用い、利用者調査・職員調査の分析結果を説明、意見交換をしました。


(内容)
 Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像
 Ⅱ 全体の評価講評
 Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み
 Ⅳ 利用者調査結果
 Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)
 Ⅵ サービス提供のプロセス項目


公益財団法人東京都福祉保健財団
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Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像

1 理念・方針  (関連 カテゴリー1 リーダーシップと意思決定)
  事業者が大切にしている考え(事業者の理念・ビジョン・使命など)

1)「主体」自分と向き合い、自己の主体と向き合い、様々な事象に対して、常に自分を持つということ 2)「考える」答えを探すのではなく、考え続けるということ 3)「対話」主体と主体の交わりであり、自己と他者は違うということ、それを理解するということ=他者理解 4)「相対性でない絶対性の世界観」評価評定・成果報酬の相対的な価値観でなく、すべての人が尊いという社会 5)「紡ぐ」自己実現でなく、次の世代へ「思い願い」を繋げるための「今この瞬間」を生きるということ

 
2 期待する職員像  (関連 カテゴリー5 職員と組織の能力向上)
  (1)職員に求めている人材像や役割

自ら考え行動する。そのためのビジョン(短期的・長期的計画)をしっかりと持つこと。その上で主体と主体を尊重した対話を軸とした対人関係を重視したコミュニケーションを図れる人材(他者理解)。

 
(2)職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

視野、視座を広げる。人を育てるということに正解はない。常に考え思い願い続け、目の前の物事に一生懸命に取り組むことで成しえる本質を目指すうこと。

 


Ⅱ 全体の評価講評

全体の評価講評

特に良いと思う点
1 【現状】子ども発信の遊びを通して『生きる力』を育んでいます。

保育目標の実現に向け、子ども発信の遊びを通して『生きる力』を育んでいます。職員は遊びの中で「なんでだろう?」「どうしてだろう?」「こうしてみよう」「こうならどうだろう」と、発見や疑問、考察、学びを大切する保育を展開しています。子どもの思いを受け止める、行動を見守るなかで、子ども自ら取り組む主体性を培っています。日々の遊びにおいて、子どもは新たな発見や学びを深めています。また、子どもの能動性や相手を尊重することを重視するための対話を大切にしています。その成果として、子どもは生きるエネルギーを放出しています。
2 【現状】保育の見える化を意図した、様々な取り組みを行なっています。

園では保護者に『保育の見える化』のため、節分などの日本古来の季節行事の由来を丁寧に掲示したり、デイリードキュメンテーションを写真とコメントを入れ、毎日作成し、提示しています。園だより・クラスだより・グループだより・ほけんだより・給食だよりも濃密な作成です。園だよりの冒頭を飾る園長のコメントは保育への思いや、保護者に伝えたい事柄を盛りだくさんに記述しています。クラスだよりは、前月の保育目標と今月の保育目標が載せてある他、子どもの活動の様子が写真からも伺い知れます。力の入った便りを保護者に向けて発信しています。
3 【現状】子どもの主体性に関する保護者からの意見が多数ありました。

「子どものやりたい、やってみたいに丁寧に向き合い、主体性を大切にして下さり、感謝しています」「子どもが以前の保育園の時より伸び伸びしています」「子どもの意見を尊重し、形にして頂きありがとうございます」といった子どもの主体性を尊重する園の方針を歓迎する保護者からの意見が多数ありました。今回の保護者アンケートの満足度が80%だったことに対し、評価者は「ぼちぼちかな~」と独り言、園長は「ぼちぼち位が丁度いい」との意向です。

さらなる改善が望まれる点
1 【目標】理念を分かりやすい言葉で伝え続けることが園長の目標です。

「園長の言っていることが理解できない」との職員からの意見に対し、園長は「すべての項目に言えることだが、「伝える」と「伝わっている」の違いが課題であると考え、伝えることを頑張ります」との回答です。一方、園長の「子どものありのままの姿を保護者に見てほしい」との思いから「運動会の進め方について違和感を唱える」保護者からの意見もありました。園長の考えをある程度理解し始めた評価者は、「雨降りの際、「天気が悪い」と言うのは何故?」との疑問と共通すると感じました。
2 【課題】「生きる力」を育てるため、子どもを見る力が保育士の課題です。

園長は「「絵本読むから集まって」と声掛けをする職員がまだいる」と話します。評価者は「職員が場面を作るのではなく、子どもが興味のあることに目を向け、それを実現させるための環境設定が重要との認識からの園長の発言ではないか」と推測しています。また、職員から「自由保育というイメージが全職員で共有できてないため、基礎ができていない」との意見があります。一時、泥だんご作りがブームのように流行ったことがあったそうです。「生きる力」を育てるため、「子どもを見る力が保育士の課題」との評価者の認識です。
3 【目標】小学校の連携・交流を深め、アプローチカリキュラムの作成に期待します。

小学校との連携は、コロナ禍で実現不可能な現状下、園内では、就学に向けた保育活動を行っており、子どもの育ちの連続性と保育園・小学校との連続性を視野に入れたアプローチカリキュラムを取り入れたいと考えています。園の遊びや生活の中の学びから小学校の「学習」では聞く・話す・書く・読む等、静的な時間が増えます。学習・生活スタイルに子どもが戸惑わないよう保育者と小学校教諭との相互理解と協働による連携・交流が必要であり、そのため小学校教諭共々、周囲を巻き込みながら年長児の実態を踏まえたカリキュラムの編成が必要と思われます。

Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み



該当データがありませんでした

Ⅳ 利用者調査結果

調査概要
調査対象:保護者アンケートは、全103保護者世帯に配付、66世帯から回答を得ました。回答者の属性は、母親が回答の82%、年齢は35~40歳が最も多く39%、次いで30~35歳が26%でした。

調査方法:アンケート方式  
アンケートは、案内状・アンケート・返信用封筒をセットにして事業所の封筒に入れ手渡しで配布しました。利用者からは、返信用封筒で直接当機関に郵送により回収しました。

利用者総数 120人
利用者家族総数(世帯) 103世帯
アンケートや聞き取りを行った人数 66人
有効回答者数 66人
回答者割合(%) 64.1%

総括
保護者アンケートは、全103保護者世帯に配付、66世帯から回答を得ました(有効回収率64%)。回答者の属性は、母親が回答の82%、年齢は35~40歳が最も多く39%、次いで30~35歳が26%でした。 【総合的な感想】“大変満足”52%、“満足”39%、“どちらともいえない”2%、“不満・大変不満”7%、“無回答” 2%でした。 【園の良い所】(オプション設定)では68件の意見を頂きました。「先を見据えた指導をしていると感じる」「子どもたちが考えて案を出すところが良い」「良い所を認めて、引き出してくださっている」が意見として上がりました。 意見や要望では41件の意見を頂きました。「園の目指す方向と保護者が望む方向が離れていると感じる」「何か繋がりを感じられる機会があれば嬉しい」が上がりました。

利用者調査結果

1.保育所での活動は、子どもの心身の発達に役立っているか
はい 64人  どちらともいえない 1人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
64名(97%)が“はい”、2名(3%)が“どちらともいえない、いいえ”と回答しています。17件の意見を頂きました。参考となる意見として「子ども主体の活動作りに驚きました」「自分で考え行動する力が育っています」との意見があがりました。
2.保育所での活動は、子どもが興味や関心を持って行えるようになっているか
はい 51人  どちらともいえない 14人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
51名(77%)が“はい”、14名(23%)が“どちらともいえない、いいえ”と回答しています。13件の意見を頂きました。参考となる意見として「帰ってからたくさん話して聞かせてくれます」「休日に「保育園行きたかった」と言うこともある」との意見があがりました。
3.提供される食事は、子どもの状況に配慮されているか
はい 60人  どちらともいえない 5人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
60名(91%)が“はい”、6名(9%)が“どちらともいえない、いいえ”と回答しています。19件の意見を頂きました。参考となる意見として「野菜への苦手意識がうすくなったように感じます」「行事食を取り入れて季節を感じる食事の提供や食育も行っていてとてもよいと思います」「魚や色々な食材が使われていて親も勉強になります」の意見があがりました。
4.保育所の生活で身近な自然や社会と十分関わっているか
はい 54人  どちらともいえない 11人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
54名(82%)が“はい”、12名(18%)が“どちらともいえない、いいえ”と回答しています。18件の意見を頂きました。参考となる意見として「地域の方にもすすんで挨拶する姿も見られ、先生方が社会と上手くつながる窓口になっているように思います」「色々な公園で草木や虫に触れたり、人形劇や消防車訪問などの機会を設けてくれている」や「運動会がなくなってしまったのはとても悲しいです」との意見があがりました。
5.保育時間の変更は、保護者の状況に柔軟に対応されているか
はい 42人  どちらともいえない 4人  いいえ 0人  無回答・非該当 20人 
42名(64%)が“はい”、4名(6%)が“どちらともいえない”、20名(30%)が“非該当”と回答しています。9件の意見を頂きました。参考となる意見として「急な残業で、当日でも電話をすれば対応してくれました」「優しく対応して下さいました」や「急な残業がこれまでなかった為」との意見があがりました。
6.安全対策が十分取られていると思うか
はい 48人  どちらともいえない 13人  いいえ 2人  無回答・非該当 3人 
48名(73%)が“はい”、15名(23%)が“どちらともいえない、いいえ”と回答しています。14件の意見を頂きました。参考となる意見として「少しでも転んだら教えてくれたり、危ないことがあったらその都度教えてくれる」や「対策があまり分からない」「コロナ禍により園全体をチェックできないため分からない」との意見があがりました。
7.行事日程の設定は、保護者の状況に対する配慮は十分か
はい 49人  どちらともいえない 14人  いいえ 2人  無回答・非該当 1人 
49名(74%)が“はい”、16名(24%)が“どちらともいえない、いいえ”と回答しています。14件の意見を頂きました。参考となる意見として「事前に都合のいい時間の確認が来ていたので良いと思います」「あまり行事自体が開催されていないのですが、先日のお祭りに際は土曜日にして頂いて、楽しく参加出来ました」との意見があがりました。
8.子どもの保育について家庭と保育所に信頼関係があるか
はい 52人  どちらともいえない 11人  いいえ 3人  無回答・非該当 0人 
52名(79%)が“はい”、14名(22%)が“どちらともいえない、いいえ”と回答しています。22件の意見を頂きました。参考となる意見として「必要に応じて面談の場をつくってくれる」「お迎えの際や連絡帳アプリの中で、たくさん相談に乗って頂きました」や「コロナ禍もあり、保育士さんとお話しをゆっくりする機会は少ないと感じます」との意見があがりました。
9.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか
はい 66人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
本問の有効回答者全員が“はい”と回答しています。7件の意見を頂きました。参考となる意見として「いつもきれいだし、パートの先生などが消毒作業をしてくれる姿をよく見かける」「入園してから1度も汚れやほこりが気になったことがありません」「いつも綺麗にしていただき有難うございます」がありました。
10.職員の接遇・態度は適切か
はい 58人  どちらともいえない 7人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
58名(88%)が“はい”、8名(12%)が“どちらともいえない、いいえ”と回答しています。9件の意見を頂きました。参考となる意見として「いつも優しく先生たちが子どもたちに声をかけてくれます」や「かなりバラつきはあると思います。行事の時の職員間のやりとりは気になりました」との意見があがりました。
11.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
はい 59人  どちらともいえない 7人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
59名(89%)が“はい”、7名(11%)が“どちらともいえない”と回答しています。10件の意見を頂きました。参考となる意見として「看護師さんを中心にとても適切・丁寧に対応してくださいます」「小さなひっかき傷などでも細かく伝えてくれる」との意見があがりました。
12.子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
はい 49人  どちらともいえない 10人  いいえ 0人  無回答・非該当 7人 
49名(74%)が“はい”、10名(15%)が“どちらともいえない”、7名(11%)“非該当”と回答しています。10件の意見を頂きました。参考となる意見として「子どもを諭すように語りかける様子をよく見る」や「子ども同士のトラブルをあまり聞かないのでわからない」との意見があがりました。
13.子どもの気持ちを尊重した対応がされているか
はい 59人  どちらともいえない 7人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
59名(89%)が“はい”、7名(11%)が“どちらともいえない”と回答しています。件の意見を頂きました。参考となる意見として「本人たちがやりたいという気持ちを上手くフォローしてくれる」との意見があがりました。
14.子どもと保護者のプライバシーは守られているか
はい 54人  どちらともいえない 5人  いいえ 2人  無回答・非該当 5人 
54名(82%)が“はい”、7名(11%)が“どちらともいえない、いいえ”と回答しています。6件の意見を頂きました。参考となる意見として「ホームページの写真の掲載など、「HPはNG」「保護者だけ観るアプリはOK」など細かく対応してくださる」との意見があがりました。
15.保育内容に関する職員の説明はわかりやすいか
はい 56人  どちらともいえない 7人  いいえ 2人  無回答・非該当 1人 
56名(85%)が“はい”、9名(14%)が“どちらともいえない、いいえ”と回答しています。8件の意見を頂きました。参考となる意見として「毎月のお便りを通して、先生たちが子どもにどのように関わっているか明らかにしてくれている」や「こちらから質問すれば答えてくれるが、初めの説明だけでは分かりづらいこともある」との意見があがりました。
16.利用者の不満や要望は対応されているか
はい 30人  どちらともいえない 14人  いいえ 4人  無回答・非該当 18人 
30名(46%)が“はい”、18名(27%)が“どちらともいえない、いいえ”、18名(27%)“非該当”と回答しています。15件の意見を頂きました。参考となる意見として「不満や不安なく、信頼して子どもを預けています」や「運動会やお遊戯会がないと事前の説明会(入園前)では一切説明がなかった」との意見があがりました。
17.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
はい 43人  どちらともいえない 2人  いいえ 21人  無回答・非該当 0人 
43名(65%)が“はい”、23名(35%)が“どちらともいえない、いいえ”と回答しています。3件の意見を頂きました。参考となる意見として「知ってはいるが、こちらも仕事をしているのでなかなか相談する時間がない」との意見があがりました。

Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)

※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー1  リーダーシップと意思決定
  サブカテゴリー1  事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  標準項目2 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
  評価項目2 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている 実施状況
  標準項目1 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
  標準項目2 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
  評価項目3 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している 実施状況
  標準項目1 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
  標準項目2 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  標準項目3 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
講評
【現状】「園長が発信するイメージを実現する」との職員からの意見です。

訪問調査日の午前中、評価者はパワーポイントを活用した資料をもとにPCのモニターから保護者アンケート結果、職員アンケート結果をもとに今年度の傾向を解説しました。保護者アンケートの“【問1】園活動は心身の発達に役立っているか?”の満足度が97%と高位、「自分で考えて行動する力が育っています」との意見が添えられていました。また、「園長が発信するイメージを実現する」との職員からの意見もありました。園長が追い求める、「自由保育のもと、子どもの主体性を大切にする保育」を理解しようとする保護者と職員の意見です。

【課題】「園長の言っていることが理解できない」との職員からの意見です。

上記したように園長の思いを理解しようとしている保護者や職員の存在も確認することが出来ました。一方、職員アンケートの“【1-1-2②】園長、主任クラスがリーダーシップを発揮していると思いますか?”の認知度は60%と決して高くはありません。「園長の言っていることが理解できない事がある」との職員からの意見もありました。 恐らく、「事務所に席を置く、副主任と事務の3名は園長の話しを耳にタコができる程聞かされているでしょうが、フロアの保育士にとっては珍紛漢紛なのだろう」との評価者の推測です。

【目標】理念の分かりやすい言葉で伝え続けることが園長の目標です。

上記「園長の言っていることが理解できない」との職員からの意見に対し、園長は「すべての項目に言えることだが、「伝える」と「伝わっている」の違いが課題であると考え、伝えることを頑張ります」との回答です。一方、園長の「子どものありのままの姿を保護者に見てほしい」との思いから「運動会の進め方について違和感を唱える」保護者からの意見もありました。園長の考えをある程度理解し始めた評価者は、「雨降りの際、「天気が悪い」と言うのは何故?」との疑問と共通すると感じました。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー2  事業所を取り巻く環境の把握・活用及び計画の策定と実行
  サブカテゴリー1  事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
  評価項目1 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している 実施状況
  標準項目1 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目2 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
  標準項目3 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目4 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
  標準項目5 事業所の経営状況を把握・検討している
  標準項目6 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
  サブカテゴリー2  実践的な計画策定に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している 実施状況
  標準項目1 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
  標準項目2 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
  標準項目3 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
  評価項目2 着実な計画の実行に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
  標準項目2 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
講評
【現状】少子化の波が押し寄せてきています。

関係する文京区内の保育園では0歳児10名定員に対し、現時点で応募が1名しかない状態です。評価者が長年お付き合いさせて頂いている多摩市内の25名定員の分園も少子化の波から0歳児の新規募集は控え、園児が全員卒園する再来年の3月末で閉園し、本園に吸収されることが決まりました。評価者は「一昔前の待機児童問題がテレビニュースで取り沙汰されていた頃が懐かしく、本格的な少子化の時代に入った」と感じます。

【課題】自由保育という個性を活かし、生き残りに向けて個性の追求が課題です。

せせらぎ保育園は幼児以上は異年齢保育を基本としています。評価者が見学のため2階に上がり、だいちグループの様子を窓越しに覗くとゲストティーチャーによる造形の時間でした。その時、男の子3名のかたまりが目に飛び込んできて、フロアに寝ころんでの仲良くじゃれ合いが始まりました。先生も子ども達をそちらに目を向けることもなく、造形に集中しています。評価者は「「これが日常なのだな~」と感じつつ、定規や成績表では測れない人間らしさ」を感じました。

【目標】保育の実践が卒園生の人生にどう影響するかの追求が目標です。

上記から評価者は「せせらぎ保育園の卒園児は小学校ではどの様な生活を送っているのだろう」と当然のように疑問として沸き上がりました。それに対し園長は「始めは授業中、席を立ったりして落ち着きがないが、しばらくすると黒板に向かって先生の話しを聞くようになる」との回答でした。評価者は「上記した多摩市の保育園の話しとして、卒園生が成人してプロのイラストレーターとなり、園の壁面を飾った」との記憶が蘇って来ました。せせらぎ保育園の卒園生のその後を追求し、入園を希望する新たな保護者にアピールしたいものです。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー3  経営における社会的責任
  サブカテゴリー1  社会人・福祉サービス事業者として守るべきことを明確にし、その達成に取り組んでいる
  評価項目1 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
  標準項目2 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している。
  サブカテゴリー2  利用者の権利擁護のために、組織的な取り組みを行っている
  評価項目1 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている 実施状況
  標準項目1 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  標準項目2 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
  評価項目2 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている 実施状況
  標準項目1 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  標準項目2 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
  サブカテゴリー3  地域の福祉に役立つ取り組みを行っている
  評価項目1 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
  標準項目2 ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
  評価項目2 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
  標準項目2 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
  標準項目3 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
講評
【現状】子どもの主体性に関する保護者からの意見が多数ありました。

「子どものやりたい、やってみたいに丁寧に向き合い、主体性を大切にして下さり、感謝しています」「子どもが以前の保育園の時より伸び伸びしています」「子どもの意見を尊重し、形にして頂きありがとうございます」といった子どもの主体性を尊重する園の方針を歓迎する保護者からの意見が多数ありました。今回の保護者アンケートの満足度の平均が80%だったことに対し、評価者は「ぼちぼちかな~」と独り言、園長は「ぼちぼち位が丁度いい」との意向です。

【課題】「生きる力」を育てるため、子どもを見る力が保育士の課題です。

園長は「「絵本読むから集まって」と声掛けをする職員がまだいる」と話します。評価者は「職員が場面を作るのではなく、子どもが興味のあることに目を向け、それを実現させるための環境設定が重要との認識からの園長の発言ではないか」と推測しています。また、職員から「自由保育というイメージが全職員で共有できてないため、基礎ができていない」との意見があります。一時、泥だんご作りがブームのように流行ったことがあったそうです。「生きる力」を育てるため、「子どもを見る力が保育士の課題」との評価者の認識です。

【目標】子どもの「生きる力」を育てられる保育士の育成が副主任の目標です。

上記の保護者からの園の主体性を重んじる園の方針を歓迎する意見に対し、評価者は「週案を大切にし、子どもの主体性を重んじ、人的・物的環境による保育をコンセプトにしている」と理解を示します。さらに評価者は「子どもの主体性の尊重が生きる力に繋がればさらによし」との意向です。「長い人生では順境ばかりでなく逆境にも多々遭遇します。それに心折れることなく、必死に立ち向かう「生きる力」の源泉がせせらぎ保育園で培われた主体性であるべき、「生きる力」を育てられる保育士の育成は副主任の課題」との評価者の意見です。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー4  リスクマネジメント
  サブカテゴリー1  リスクマネジメントに計画的に取り組んでいる
  評価項目1 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
  標準項目2 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
  標準項目3 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している ×
  標準項目4 リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる ×
  標準項目5 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
  サブカテゴリー2  事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
  評価項目1 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている 実施状況
  標準項目1 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
  標準項目2 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
  標準項目3 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
  標準項目4 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
講評
【現状】事業継続計画の作成が滞っています。

職員アンケートの“【4-1-1③】事業所の事業継続計画(BCP)の存在を知っていますか?”の認知度は“はい”26%(“いいえ”31%、“知らない”43%)と低位でした。園長も「事業継続計画(BCP)の作成は滞っており、私が主体で作成しなければならない」と考えています。

【課題】事業継続計画は法人全体で作成するのが一般的です。

園長はせせらぎ保育園独自の事業継続計画の作成を考えていますが、事業継続計画は法人全体で作成するのが一般的との評価者の認識です。その理由として、東日本大震災級の大地震、地球規模の新型コロナウイルス感染症の蔓延、園から100km離れた富士山の噴火といったリスクを想定し、法人全体で協力し合いながらどう乗り越えていくのかといった命題に立ち向かわなければならないからです。

【目標】子どもの命を守る責任の範囲の保護者への明確化が目標です。

東日本大震災当時の様子を振り返ってみました。当日、評価者は障害者施設の聞き取り調査に入っていました。14時46分に突然、建物が揺れ出し、テーブルを挟んで聞き取りをしていた利用者と一緒にテーブルの下に隠れました。もちろん聞き取りは中止となりましたが、都内の交通機関は全て止まったため、帰宅困難となってしまいました。幸い施設の一室を借りることが出来ましたが、主要交通機関は動きませんでした。今後大規模災害に直面した際の都心に通勤する保護者にもあてはまり、園として子どもの命を守る責任の範囲の明確化が目標です。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー5  職員と組織の能力向上
  サブカテゴリー1  事業所が目指している経営・サービスを実現する人材の確保・育成・定着に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている 実施状況
  標準項目1 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
  標準項目2 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
  評価項目2 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している 実施状況
  標準項目1 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている ×
  標準項目2 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
  評価項目3 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
  標準項目2 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
  標準項目3 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
  標準項目4 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
  評価項目4 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている ×
  標準項目2 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
  標準項目3 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
  標準項目4 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
  サブカテゴリー2  組織力の向上に取り組んでいる
  評価項目1 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
  標準項目2 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
  標準項目3 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
講評
【現状】園長は「そろそろ園長職を副主任たちに譲りたい」との意向です。

滞在調査時、評価者は「園長「僕は言っているだけ、みんな(職員)がすごい」と何度も言葉にし、職員を信頼していることがわかる」と話しました。それに対し園長は「職員がしっかりしているので自分が居なくても園運営は問題なし、子どもの未来を考え、広がりを持つためにも、やるべきことが沢山あるから僕が最初に辞めることになるだろう」との意向です。評価者は「副主任たちは今引き継がれても困るかも・・・」と推測します。

【課題】面接を通して職員のやりたいことを引き出すのが課題です。

副主任は「子ども達が様々な事を経験し、興味関心を広く持てるよう工夫していきたい」と話します。評価者は「やりたいことは園長に限らず職員も持っているはず」との認識です。職員アンケートの“【5-1-3④】上司は自分のことを理解してくれていると思いますか?”の認知度は52%と低位、また“【5-1-4②】安心して働き続けられる職場だと思いますか?”の認知度も50%と低位でした。評価者は「面接を通して職員のやりたいことを引き出すべき」との認識です。

【目標】最終的には法人全体による人事評価に基づく面接にしましょう。

もちろん法人による人事評価制度は存在しないわけですから、職員アンケートの“【5-1-4①】人事考課制度の内容を理解していますか?”の認知度は21%と低位でした。「事業継続計画の作成や人事評価制度の創設といった法人全体で包括すべき取り組みは法人の性格上、中々難しい」との園長の意向です。評価者は「せせらぎ保育園の保育士は幸い、若い職員が多いので現在の人事の滞りは見られないが、将来を見据えた人的交流は必須」との認識です。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー7  事業所の重要課題に対する組織的な活動
  サブカテゴリー1  事業所の重要課題に対して、目標設定・取り組み・結果の検証・次期の事業活動等への反映を行っている
  評価項目1 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 昨年度の反省から今年度、「保育の質を高めるために、保育士間の意見交換をしやすくする」を目標としました。園長は「保育士一人ひとりが様々な経験や価値観を持つ中、構えることなく、意見(思い)を出せる場を作り、話しやすくすることで同じ方向に向かって保育に望んでいける」と背景を語りました。園では目標に近づこうと、中々話し合い(意見交換)を持つ時間が取れない中、午睡中などの短い時間でも定期的に集まる時間を設け、ざっくばらんに話をしていこうと思っていたが、コロナウィルスの感染が拡大し、感染対策が常に必要となり、集まっての話し合いを制限しての1年となってしまいました。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
コロナ禍での必要最小限の話し合いでは、職員間での意思の疎通や情報の共有、理解の仕方などに難しさがあります。また保育本来の質というより、感染対策の職員の負担が大きく、目標達成とは言えない状況となった一年間でした。全職員集まっての話し合いや定期的な不特定の職員の話し合い(意見交換)は出来ませんが、なるべく職員の共通理解のもと、またコロナの感染対策がありつつも今何ができるのか(最善策)を職員皆で考え、子ども達に出来ることを今後も考えたいと考えています。 
  評価項目2 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 昨年度の反省から今年度、「保護者に寄り添いつつ、園のルールを伝え理解が得られるよう」を目標にしました。園長は「保護者対応は職員により得手不得手はあり、園のルールなどをしっかりと伝えられる人、そうでない人がいるため保護者の感じ方も違ってきてしまいます」と背景を語りました。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
まずは園のルールを職員間で再確認し、職員誰もが同じように伝えられるよう試み、さらに全ての職員が保護者の話しに寄り添うよう心がけました。やはり職員によって伝え方の違いが出てしまい、結果として保護者の感じ方が違ってしまうことが多々ありました。今後、保護者の思いに寄り添うため日々の送迎など日常的な場面での何気ない会話から保護者の意見を拾いたいと考えています。 

Ⅵ サービス提供のプロセス項目(カテゴリー6)

カテゴリー6 サービス提供のプロセス
  サブカテゴリー1 サービス情報の提供
  評価項目1 利用希望者等に対してサービスの情報を提供している 実施状況
  標準項目1 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  標準項目2 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  標準項目3 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  標準項目4 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
講評
【課題】新しく取り組んでいる保育内容のHP上の更新に期待しています。

園の情報提供として、ホームページ(HP)やパンフレットを作成しています。HPは保育目標(心を育てる・自分で自分を育てる)や園の生活、保育内容等子どもの写真とコメントを入れて掲載しています。パンフレットも淡い色調で保育の真髄(「好きなこと」に「夢中になる」、「必要な力」って何だろう?)等が分かりやすい言葉やイラストを入れ綴られています。パンフレットは見学者に配布するのみで、他所に置かせてもらっていません。また、HPで園行事の取り組みや取り入れた異年齢保育の有り様を更新されてない点が今後の課題となっています。

【現状】ICTやドキュメンテーション、園だよりを通して情報発信をしています。

保護者には、保育ICTシステムを活用し、一斉掲示板でお知らせやお願い事項、配布物等を記載し、伝えています。乳児クラス連絡帳に日々の状況を記入しています。幼児クラスは毎日写真入り、活動内容のコメントを書いたドキュメンテーションを貼りだしています。保育者が創意工夫して作成したドキュメンテーションをお迎えに来た保護者は熱心に目を通しています。さらに保育の意図や考察があれば他の園では見られない優れた取り組みとなるでしょう。また、園だよりも園長のおもいを冒頭に掲げる他クラスの当月・前月のねらい、活動も記載しています。

【現状】見学者には保育目標や保育形態を丁寧に話しています。

見学者対応は園長が実施しており、乳児の保護者には、食事を1対1で取り組む事を大切にしていることや、成長に合わせて個から小集団に、等を説明しています。幼児の保護者には異年齢の縦割り保育を実施している意図を丁寧に話しています。また日々を大切にする保育を行っていることを伝えています。トイレトレーニングや家庭での養育の悩みなどは職員が個別に対応しています。コロナ禍では、1日5組までとして母子を一枠に、父親見学の際はもう一枠取っています。施設見学者名簿を作成しており、見学者が新入園児となるケースもあります。


  サブカテゴリー2 サービスの開始・終了時の対応
  評価項目1 サービスの開始にあたり保護者に説明し、同意を得ている 実施状況
  標準項目1 サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を保護者の状況に応じて説明している
  標準項目2 サービス内容について、保護者の同意を得るようにしている
  標準項目3 サービスに関する説明の際に、保護者の意向を確認し、記録化している
  評価項目2 サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 サービス開始時に、子どもの保育に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  標準項目2 利用開始直後には、子どもの不安やストレスが軽減されるように配慮している
  標準項目3 サービスの終了時には、子どもや保護者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
講評
【課題】新入園児の状況は把握していますが、全職員が面談の仕組み理解は不確実です。

入園面談は新入園児と保護者が来園し、副主任、乳幼児リーダー、クラスリーダーを中心に1対1で保護者に説明しています。園のしおり・重要事項説明書を基に、年間季節行事や持ち物等を話しています。看護師や栄養士も関わり必要なケースに対応しています。入園に際して、書式に記入してもらい、保護者の意向の確認や個人情報保護法に関する承諾書をもらっています。面談終了後は、面談をした職員が、担当職員に簡単な書式に記入した子どもの配慮点を伝えていますが、新入児面談の仕組み等、全体の職員が真に理解しているかの確証は得られていません。

【現状】保育内容を理解してもらい、新入園児を受け入れています。

入園式は4月1日と決めてあり、園長から『園の保育』について詳しく話しています。健康面に関しては看護師が説明しています。入園式後は、慣れ保育が実施されています。保護者で余裕のある方、子どもにあわせたい方など、保護者ニーズを聞き、行っています。目安としては乳児は1~2週間程度、幼児は1週間程度を慣れ期間としていますが、臨機応変に対応してもいます。多くの子どもが入園する0歳児クラスは、9時からや10時30分からと時間差をつけたり、人数を分けたりしています。少人数での保育や担当者職員が関わるよう、配慮しています。

【目標】メッセージカードの有効利用や、新しい企画の実現が楽しみです。

途中退園する子どもには、各クラスで独自のメッセージカードを記入したり、クラスの集合写真を撮り渡しています。メッセージカードには子どもの良かったところや頑張ったところなどを記入しています。他園にサマリー的な物や児童票を渡すことは皆無なので、メッセージカードを転園先の職員に保護者から渡してもらうと以前の園の子どもの姿が垣間見得ることができると思われます。このような関係性が転園先の園とつながるとよいでしょう。小学校に就学した卒園生にホームカミングデーのような催しを園長は考え中とのこと、実現するとよいでしょう。


  サブカテゴリー3 個別状況の記録と計画策定
  評価項目1 定められた手順に従ってアセスメント(情報収集、分析および課題設定)を行い、子どもの課題を個別のサービス場面ごとに明示している 実施状況
  標準項目1 子どもの心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し把握している
  標準項目2 子どもや保護者のニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  標準項目3 アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
  評価項目2 全体的な計画や子どもの様子を踏まえた指導計画を作成している 実施状況
  標準項目1 指導計画は、全体的な計画を踏まえて、養護(生命の保持・情緒の安定)と教育(健康・人間関係・環境・言葉・表現)の各領域を考慮して作成している
  標準項目2 指導計画は、子どもの実態や子どもを取り巻く状況の変化に即して、作成、見直しをしている
  標準項目3 個別的な計画が必要な子どもに対し、子どもの状況(年齢・発達の状況など)に応じて、個別的な計画の作成、見直しをしている
  標準項目4 指導計画を保護者にわかりやすく説明している
  標準項目5 指導計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  評価項目3 子どもに関する記録が行われ、管理体制を確立している 実施状況
  標準項目1 子ども一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  標準項目2 指導計画に沿った具体的な保育内容と、その結果子どもの状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
  評価項目4 子どもの状況等に関する情報を職員間で共有化している 実施状況
  標準項目1 指導計画の内容や個人の記録を、保育を担当する職員すべてが共有し、活用している
  標準項目2 申し送り・引継ぎ等により、子どもや保護者の状況に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
講評
【現状】子どもの情報収集や発達状況の把握を丁寧に行なっています。

子どもや家庭の情報収集は入園時の「家庭状況調査書」や「入園時の生活状況」「児童票」等で把握し、職員間で周知しています。子どもの発達の推移は、児童票の中の「保育経過記録」を担任同士で話し合い、発達状態をチェックしています。また、幼児クラスは「保育上参考となる事項」の項目欄に4半期ごとに保育者が客観的に見た子どもの様子や保育者の関わり、考察などを記入しています。乳児クラスは、個別の保育日誌に『様子』と『発達』を毎月記入する他、「個別指導計画」を月毎に作成し、一人ひとりの子どもの育ちをきめ細やかに見守っています。

【目標】週案作成を大切にすると共に、縦割り保育計画案を考慮しています。

保育指針を基に、「全体的な計画」を園長が作成し、入社時に個々に配布しています。さらに「全体的な計画」から、年間・月間指導計画、週案を各クラスで作成し、特に週案を重視しています。最終チェックは副主任が主に行っています。指導計画は年齢に応じた発達状態を踏まえ、成長過程が次月に繋がるよう立案しています。保護者に指導計画を伝えることは、クラスだよりに前月の目標と活動の姿、今月の目標を掲載する他、デイリードキュメンテーションで活動の様子を伝えています。縦割り保育の指導計画をさらに検討し、活用しやすいものを考案中です。

【課題】保育の計画を職員間で周知したうえ、主体的な保育を進めてください。

指導計画や個別の計画は担任間の共有はできていますが、全体の職員には計画の周知徹底が行われてない現状です。以前は、各クラスの指導計画を配布していましたが課題が生じたため、現在は事務室にまとめて置いてあります。職員は閲覧する意識がなかなか持てない様子がうかがわれます。職員会議の時間も限定されている中ではありますが、保育の計画を知る事、理解しておく事は子ども主体の保育を進める上で、保育者として必要不可欠であろうと思います。大事なねらいやポイントだけでも職員間で共有し、子どもの主体性を育む保育に生かしてください。


  サブカテゴリー4 サービスの実施
  評価項目1 子ども一人ひとりの発達の状態に応じた保育を行っている 実施状況
  標準項目1 発達の過程や生活環境などにより、子ども一人ひとりの全体的な姿を把握したうえで保育を行っている
  標準項目2 子どもが主体的に周囲の人・もの・ことに興味や関心を持ち、働きかけることができるよう、環境を工夫している
  標準項目3 子ども同士が年齢や文化・習慣の違いなどを認め合い、互いを尊重する心が育つよう配慮している
  標準項目4 特別な配慮が必要な子ども(障害のある子どもを含む)の保育にあたっては、他の子どもとの生活を通して共に成長できるよう援助している
  標準項目5 発達の過程で生じる子ども同士のトラブル(けんか・かみつき等)に対し、子どもの気持ちを尊重した対応をしている
  標準項目6 【5歳児の定員を設けている保育所のみ】 小学校教育への円滑な接続に向け、小学校と連携をとって、援助している
講評
【現状】子どもたちが発信する遊びは「発見・疑問・考察・学び」に繋がっています。

以上児クラスは当日の朝に子どもたちが休みの時の様子や前日の活動について意見を述べたい子が発表をして、職員はその声を拾い園庭遊びや室内活動、散歩、前日の活動の続きなど、子どもの思いに合わせた活動内容を決め、子どもは好きなことを選んで遊びます。食事前にその日の活動内容についてと職員と子どもで振り返りをすることで継続したものになっています。子どもが考えた活動は異年齢児クラスの他のグループにも刺激となり、遊びが展開し継続されていきます。職員は子どもが主体的となるように環境を整えています。

【課題】職員の力量に差異があると感じています。

職員は子ども一人ひとりの発達に配慮した保育を行っていますが、職員の力量によって難しいところがあると副主任は考えています。入職後には園の理念にあったもの、園長が目指すところに限られた外部研修を受けるようにしていますが、一年に1回~2回のために、全職員が受講できていないのが現状です。副主任は職員が子どもの全体的な発達を理解し、共通認識のもとで子どもや保護者と関われるように、周知をしていくことを考えています。

【目標】“【6-4-1⑥】小学校との連携”の職員の認知度が低位でした。

職員アンケートの“【6-4-1⑥】保育園と小学校の連携”の認知度が50%と低位で、副主任も“課題あり”としています。コロナ禍前は子どもたちが就学する小学校を訪問して、校内見学や教室の席に着くなどの体験をしてきましたが、現在は小学校から園への連絡での聞き取りと園から提出する保育要録のみで、学校側が必要な情報提供のみとなっています。副主任はアプローチカリキュラムを取り入れて、子どもの育ちの連続性と幼保小の連携が考えられるようになると、就学してから困りごとが減るのではないかと考えて、前向きに導入を検討しています。

  評価項目2 子どもの生活が安定するよう、子ども一人ひとりの生活のリズムに配慮した保育を行っている 実施状況
  標準項目1 登園時に、家庭での子どもの様子を保護者に確認している
  標準項目2 発達の状態に応じ、食事・排せつなどの基本的な生活習慣の大切さを伝え、身につくよう援助している
  標準項目3 休息(昼寝を含む)の長さや時間帯は子どもの状況に配慮している
  標準項目4 降園時に、その日の子どもの状況を保護者一人ひとりに直接伝えている
講評
【現状】乳児クラスは個々の生活リズムに合わせて個別対応をしています。

家庭と園の連絡は送迎時の対応と連絡帳で情報共有を行っています。連絡帳は今年度から導入したコドモンという保育施向けのアプリを使用して、未満児クラスは「子どもの様子、体温、食事、睡眠、排泄、迎え時間、爪の確認」について、以上児クラスは簡略した内容を家庭が記載して9時までに送信してもらっています。園は家庭での生活を確認して、特に未満児クラスは起床時間や食事時間・摂取量を参考に、子どもの時間軸を大切に個別対応しています。また乳児の食事や睡眠は安心して過ごせるように、担当制を設けた保育を行っています。

【課題】子どもの様子について職員と話す機会が少ないと感じている保護者がいます。

未満児クラスは連絡帳に園での生活の姿を記載していますが、以上児クラスになると個々の姿の記載がなくなり、異年齢児グループのイベントドキュメンテーションとして画像を含んだ活動報告を玄関に掲示しています。保護者アンケートでは職員から声をかけてくれるという意見の一方で、異年齢児クラスになって話す機会が少なくなった、コロナ禍で送迎時間短縮のために職員に声をかけにくいなどの意見もありました。副主任は経験のある職員を中心に保護者の様子や表情、またコドモンの記載内容を見極めて、保護者対応をするように心がけています。

【課題】“発達に合わせた援助”に対し職員間でギャップが生じています。

職員アンケートの“【6-4-2②】生活習慣が身につくような援助”の職員の認知度は90%と高位でしたが、副主任は課題ありとしています。職員は一人ひとりの発達状態を把握してそれに適した援助を行っていますが、職員によって発達過程の理解に差があるため、現在乳幼児副主任と乳幼児リーダーの4人で、指導計画にも反映できるような発達過程の作成に取り組んでいます。文字ばかりの書面では活用されにくいという懸念からイラストや写真を盛り込み、また園の特徴も記載して、オリジナルの発達過程を完成させて、職員に周知していく考えです。

  評価項目3 日常の保育を通して、子どもの生活や遊びが豊かに展開されるよう工夫している 実施状況
  標準項目1 子どもの自主性、自発性を尊重し、遊びこめる時間と空間の配慮をしている
  標準項目2 子どもが、集団活動に主体的に関われるよう援助している
  標準項目3 子ども一人ひとりの状況に応じて、子どもが言葉による伝え合いを楽しみ、言葉に対する感覚を養えるよう配慮している
  標準項目4 子どもが様々な表現を楽しめるようにしている
  標準項目5 戸外・園外活動には、季節の移り変わりなどを感じとることができるような視点を取り入れている
  標準項目6 生活や遊びを通して、子どもがきまりの大切さに気付き、自分の気持ちを調整する力を育てられるよう、配慮している
講評
【現状】乳児期から自分で“遊びたいこと”“やりたいこと”を選択しています。

子どもの主体性を尊重した保育を行っており、未満児のクラスの子どもも自分で遊びを選択するように関わっています。子ども自身で遊びを考えるのは難しい年齢のため、職員が何種類か遊びを設定して子どもの思いで遊べるように配慮しています。遊びは「静・動」があり、静はおままごとや絵本、机上での遊び、動は汽車やブロックなどで、子どもたちが飽きた時は遊びの環境を変更するように取り組んでいます。園長は子どもを取り巻く環境を大切にしていて、玩具は毎年入れ替えてプラスチックやキャラクターものは使用しないようにしています。

【現状】自然との関わりは子どもたちの学びに繋がっています。

戸外活動を積極的に行い、自然環境の中で育まれる感性を大切にし、季節の植物を利用して遊ぶことで四季の変化を体現しています。カマキリの卵が孵化するまで世話をした事例があります。年長男の子は本やタブレットでカマキリの赤ちゃんの餌を調べたところ共食いをすることを知り、少しずつ逃がしてあげました。また女の子はみんなにも伝えたいという思いから文字と絵を用いてポスターを作りました。子どもたちが興味を持って取り組むことは観察だけでなく、調べる、文字の獲得、表現活動、他者への思いなど、様々な学びに繋がっています。

【現状】言葉の獲得時期は楽しい言葉で溢れています。

職員は子どもたちの喃語が出てくると発語を促すように積極的に声かけをしたり、絵本を読んだり、言葉のやり取りが楽しめるような関わりをしています。また子どもの話に耳を傾けて、聞いてもらえる喜びを感じることで自分から話す意欲がもてるように関わっています。未満児は善悪の判断ができないために叱ることはしていません。以上児には他者が不快と感じる言葉を使っていると「チクチク言葉」と表現をして知らせ、5歳児クラスでは話し合いを設けて自分の思いを伝えられるように、子どもの思いを引き出すような保育に取り組んでいます。

  評価項目4 日常の保育に変化と潤いを持たせるよう、行事等を実施している 実施状況
  標準項目1 行事等の実施にあたり、子どもが興味や関心を持ち、自ら進んで取り組めるよう工夫している
  標準項目2 みんなで協力し、やり遂げることの喜びを味わえるような行事等を実施している
  標準項目3 子どもが意欲的に行事等に取り組めるよう、行事等の準備・実施にあたり、保護者の理解や協力を得るための工夫をしている
講評
【現状】子どもの主体性を尊重した保育を大事にしています。

園では日々の保育、子どもがその時に楽しめることに力を入れているため、運動会や発表会などの行事を行なっていません。これらの行事を行うことは保育士主導の内容になってしまい、子ども主体の活動に制限をかけてしまうという考えがあります。保護者アンケートには行事の復活を望む声が挙がっていますが、園長は「保護者が求める行事は誰のためのものか」を考え、園の理念や思いを保護者に伝えきれていないと感じ、今後の園の成長発達の課題として捉えています。

【現状】子どもたちは友達と協力をしてやり遂げることで達成感を得ています。

年長児クラスはお泊り保育の代わりに「スペシャルデー」を行いました。グループを作って、そのグループで活動内容を決めて取り組みました。リーダーをするのが苦手な子も挑戦すること、友達と協力をして一つのことをやり遂げることで達成感を得ることができました。滞在調査時には卒園式で使う自分のコサージュ作りを行っていました。長いリボンで花びらを作り、フエルトボールで飾りつけをして完成です。子ども一人に職員一人がついて丁寧に取り組んでいました。できた喜びと同時に保育園の思い出にもなる活動でした。

【課題】職員は子どもとの関わりをもっとアピールしましょう。

以上児クラスの活動の報告はデイリードキュメンテーションとして玄関に画像を含んだ活動報告を出しています。これは異年齢児グループ“だいち” “つき” “たいよう”のそれぞれの報告で、子どもたちが活動に取り組んでいる様子が載せられています。職員は子どもの様子を保護者に伝えるために子どもの姿を中心に記載していますが、園長は職員が子どもとどのように関わり、どのような思いで取り組んでいるのか、ねらいや環境設定などを記載することで、さらに保護者の理解が得られると考えています。

  評価項目5 保育時間の長い子どもが落ち着いて過ごせるような配慮をしている 実施状況
  標準項目1 保育時間の長い子どもが安心し、くつろげる環境になるよう配慮をしている
  標準項目2 保育時間が長くなる中で、保育形態の変化がある場合でも、子どもが楽しく過ごせるよう配慮をしている
講評
【現状】延長保育は家庭的な雰囲気の中で過ごしています。

延長保育は18時~19時で保護者の要望に柔軟に対応をして、現在利用者数は5人程度で、基本的には0歳児~5歳児までが同じ保育室で過ごしています。職員は2人体制で、1名は正規職員、もう1名は非常勤職員です。今年度から延長保育の時間に固定の職員がいると子どもが安心して過ごせるという考えから、固定配置の非常勤職員を導入しました。子どもたちは「延長の先生」と理解したうえで関わり、安心して過ごしています。

【現状】延長保育は日中の保育とは異なる特別な場所となるよう環境設定しています。

異年齢児保育のため、遊びを誰からも邪魔されずに集中して遊べる場所、ゆったりとくつろげる場所を確保しています。また玩具は日中の保育活動とは違うものを用意して、その時にいる子どもに合わせて遊びたい玩具を提供しています。床に寝転んで遊ぶ姿もあります。0歳児は睡眠をとったり、ミルクを飲んだり、職員とスキンシップをとって情緒の安定に繋げています。

【課題】補食の献立を家庭に周知しましょう。

延長保育では補食が提供されています。離乳食の段階に応じてミルクを飲む子もいます。補食の内容は毎日個包装菓子を用いているため、これまで献立表に記載はなく、家庭にも周知はしていませんでした。今後は個包装菓子の提供が決まっているのであれば、延長利用開始時に家庭に周知しておきましょう。突発的な子どもに補食を提供する際は、アレルギー成分表を活用し、細心の注意を払っています。

  評価項目6 子どもが楽しく安心して食べることができる食事を提供している 実施状況
  標準項目1 子どもが楽しく、落ち着いて食事をとれるような雰囲気作りに配慮している
  標準項目2 メニューや味付けなどに工夫を凝らしている
  標準項目3 子どもの体調(食物アレルギーを含む)や文化の違いに応じた食事を提供している                                                                                        
  標準項目4 食についての関心を深めるための取り組み(食材の栽培や子どもの調理活動等)を行っている
講評
【現状】離乳食は個々の成長に合わせて家庭と一緒に進めています。

今年度から「離乳食連絡帳」を導入しました。内容は初期食・中期食・後期食・乳児食の各段階で使われる食材が記載されていて、家庭で摂取したものを園で確認してから提供をするようにしています。アレルギーの食材については目立つように表記されています。離乳食の段階を上げる時は保育士と栄養士が食材の確認と合わせて咀嚼や嚥下の状態も確認、家庭の承諾を得て段階をあげていきます。離乳食は基本担当者が1対1で関わり、カミカミやモグモグの口の動かし方がわかるように透明のマスクを使って援助しています。

【現状】アレルギー児の食事提供は事故防止のためにチェックを重ねています。

アレルギーがある子どもに対しては保護者と看護師・栄養士・担任で面談をしています。食事の形態への対応は栄養士が中心になり、その子にあった食事の提供を行っています。食事提供前は調理担当者、給食室、クラス担当者の三者でチェックを行い、トレーに載せて提供しています。未満児のクラスでは職員がアレルギー児の隣について誤食のないように留意しています。以上児クラスでは本人が理解するのと同時に周囲の子どもにも対応を求めています。例えば周囲の子どもがアレルギーの食材に触れた時は手を洗うことを知らせています。

【現状】毎月献立に新しいメニューを取り入れ、提供しています。

献立は月2回のサイクルメニューで行っています。栄養士が巡回をして子どもの喫食状況を確認したり、担当職員が栄養士に口頭で伝えたり、全クラスで用いているコメント表に記載された内容を確認して、食材の大きさや味付けなどの改善に取り組んでいます。また栄養士は残菜から子どもたちの食べ具合も確認をして、保育士の意見も取り入れながら献立を考えています。毎月新しいメニューもあり充実した食事の内容になっています。3月は年長児の卒園前の希望の献立を入れていますがハイカロリーの献立が多く、栄養士は頭を悩ませています。

  評価項目7 子どもが心身の健康を維持できるよう援助している 実施状況
  標準項目1 子どもが自分の健康や安全に関心を持ち、病気やけがを予防・防止できるように援助している
  標準項目2 医療的なケアが必要な子どもに、専門機関等との連携に基づく対応をしている
  標準項目3 保護者と連携をとって、子ども一人ひとりの健康維持に向けた取り組み(乳幼児突然死症候群の予防を含む)を行っている
講評
【現状】年長児クラスの子どもにマスクの使い方を知らせています。

新型コロナウイルスの感染予防で就学するとマスクを着用することから、年長児クラスの子どもたちは強制ではありませんがマスクを使用しています。子どもたちがマスクを使用するうえで着脱の確認や保管の方法など、管理の難しさを感じています。保育園では子どもたちのロッカーの上に絵で表記したマスクのつけかたを伝えたり、正しいマスクのつけ方を指導したり、子どもたちが安全に正しく使用できるように知らせています。また家庭に協力も得て、各自がマスクを保管するビニール袋やジップ袋を用意してもらっています。

【現状】未満児クラスの子どもにも看護師による健康指導を行っています。

看護師は子どもたちの健康管理だけでなく、健康指導にも携わっています。以上児クラスの子どもを対象に歯の衛生、プライベートゾーン、怪我の対応、目の話などの指導を行っています。身体測定は全園児を対象に看護師が行っています。手洗い、うがいについては保育士がなぜ必要なのかを絵本や絵カードを使用しながら伝えています。日々の生活の中で保育士が伝えていくことも大事ですが、保健の目標にある“子ども自らが健康と安全に関する力を身につける”ように専門分野である看護師から未満児クラスの子どもにも伝えています。

【課題】“【6-4-7②】専門機関との連携”の職員の認知度が低位でした。

職員アンケートの“【6-4-7②】医療的なケアが必要な子どもの専門機関等との連携に基づく対応”は62%と低位でした。ケアの必要な子どもが保護者と通院するときは、園で困っていることや対象児への配慮の仕方などについて家庭と情報交換をして、医療機関と連携を図っています。また園と医療機関などで書面の情報交換も行っています。これらに携わるのは対象児と関わる担当者が中心のため、職員の認知度が低いと副主任は考えています。園として職員全員が意識をもってどの子にも目を向けられると良いでしょう。

  評価項目8 保護者が安心して子育てをすることができるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 保護者には、子育てや就労等の個々の事情に配慮して支援を行っている
  標準項目2 保護者同士が交流できる機会を設けている
  標準項目3 保護者と職員の信頼関係が深まるような取り組みをしている
  標準項目4 子どもの発達や育児などについて、保護者との共通認識を得る取り組みを行っている
  標準項目5 保護者の養育力向上のため、園の保育の活動への参加を促している
講評
【現状】子どもの活動の様子を伝えながら、保護者との繋がりを深めています。

保護者の話を受け止めたり、子どもの園での様子を話したりしながら、保護者のタイプを理解して信頼関係を築いています。また保護者がゆっくり話をしたい時には面談も行っています。日々の保育活動については、連絡帳、ドキュメンテーションなどを通して伝えることで子どもの発達を認識してもらい、それに対して保護者からの質問に答えることで、家庭にも共通認識がもてるように取り組んでいます。

【現状】「せせらぎフェスティバル」は保護者から良い評価を得ています。

保護者参加型イベント「せせらぎフェスティバル」を開催しました。子どもたちのやりたいことを保育士が引き出して、「カプラ大会、製作コーナー、はらぺこあおむしの写真ブース、大型絵本コーナー、机上遊び」を設定しました。大型絵本コーナーはラグマットを敷いて親子で過ごせるように、机上遊びは木製の型はめや木製のキリンのパズルで遊ぶ場所で、いずれも普段使用している遊びや玩具を提供し、体験できるようになっています。保護者からは「親子で楽しめた」に対して、「子どもの主体性が感じられなかった」と対照的な意見が挙がっています。

【課題】保護者同士が交流を持てる時間を計画中です。

コロナ禍前は保護者と子どもたちで一緒に遊んだり、保護者同士で話をしたりする機会を設けていましたが、現在は実現ができなくなっています。また保護者会も中止になっているため、保護者間の交流の場が少なくなっています。現在、未満児クラスでは「散歩デー」と名付けて、保護者同士の交流ができる場所として、平日の日中に戸外活動の企画を計画中です。

  評価項目9 地域との連携のもとに子どもの生活の幅を広げるための取り組みを行っている 実施状況
  標準項目1 地域資源を活用し、子どもが多様な体験や交流ができるような機会を確保している
  標準項目2 園の行事に地域の人の参加を呼び掛けたり、地域の行事に参加する等、子どもが職員以外の人と交流できる機会を確保している
講評
【現状】地域との交流が難しい中、散歩の道中は触れあいとなる大切な時間です。

コロナ禍前は園の行事「夏祭り、運動会」に地域の人を呼んだり、一緒に楽しめるイベントを開催したり、地域の方との交流がありましたが、現在は散歩に出かけて道ですれ違うお年寄りとの挨拶、お喋りで交流するのみとなっています。また卒園児を園に呼べないことを副主任は残念なことだと感じています。子どもの卒園後の成長の姿を見ることは園の成長に繋がると考えています。

【課題】“【6-4-9】地域との連携”の職員の認知度が低位でした。

職員アンケートの“【6-4-9】地域との連携のもとに子どもの生活の幅を広げるための取り組み”の職員の認知度は36%と低位でした。コロナ禍で地域との関わりが少なくなり、園での行事の観劇、バス遠足などが中止になっています。コロナ禍による影響は大きいですが、副主任は今後の地域交流を課題と考えています。園長は子どもを育むのは社会であり地域であり、保育所の確立のため、地域との多様な連携、多角的な連携を図るよう心がけていることから、副主任は地域を巻き込んだ活動を課題に挙げています。


  サブカテゴリー5 プライバシーの保護等個人の尊厳の尊重
  評価項目1 子どものプライバシー保護を徹底している 実施状況
  標準項目1 子どもに関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、保護者の同意を得るようにしている
  標準項目2 子どもの羞恥心に配慮した保育を行っている
  評価項目2 サービスの実施にあたり、子どもの権利を守り、子どもの意思を尊重している 実施状況
  標準項目1 日常の保育の中で子ども一人ひとりを尊重している
  標準項目2 子どもと保護者の価値観や生活習慣に配慮した保育を行っている
  標準項目3 虐待防止や育児困難家庭への支援に向けて、職員の勉強会・研修会を実施し理解を深めている
講評
【現状】羞恥心への配慮に取り組み、年齢に応じた理解を促しています。

羞恥心に配慮した支援として、看護師は幼児クラスに、分かりやすくプライベートゾーンについての話をしています。保育者の配慮では、オムツ交換時はおしりが見えないようにしたり、全裸にならないよう配慮したりしています。子どもにも着脱時は、衣類の上を脱いだら上を着る、下を脱いだら下をはくことを伝えています。プール遊びの際は、基本的には年齢別の横割りでの着脱を心がけています。0、1、2歳児で脱ぎっぱなしでいるときは声かけをして、羞恥心の芽生えを促しています。保育者は日常生活の中で子どもに伝え、身につくよう配慮しています。

【目標】子どもの『自分の思い』を実現するための環境を整えています。

当園の子ども観として、子どもが「自分の意思で」「自分の思いを」「自分のやり方で」表現することを職員は一体となって支援しています。そのため職員は「それを受け止める」「自然にすべてを受け止める」ことを大切にし、保育に携わっています。好きな事をみつけ、夢中になって取り組む力を培うよう環境を整えています。豊かな自然や豊富な種類の絵本、発達に応じた玩具類が設置された環境の中で、子どもは主体的に様々な活動に取り組み、自己肯定感や大人との信頼関係、愛着関係が育まれています。やりたい気持ちなどの思いが尊重されています。

【課題】虐待防止や職員の行動規範の認識を一層高めてください。

虐待に関する研修受講をする職員や「虐待マニュアル」も副主任が作成しています。「虐待マニュアル」は、各クラスに配布すると共に各リーダーから説明もしています。しかし、虐待が伺われるケースや育児困難家庭ケースが生じた場合、該当クラスでは話し合いを進め、職員間で理解を得ていますが、他クラスまでの伝達は不十分な状況です。今後、勉強会や研修会を設ける予定としています。また、職員の行動規範に関するチェックリストも作成し、提案予定としています。さまざまな取り組みへの体制が築かれているので、それらの実現に期待します。


  サブカテゴリー6 事業所業務の標準化
  評価項目1 手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  標準項目2 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
  標準項目3 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
  評価項目2 サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  標準項目2 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や保護者等からの意見や提案、子どもの様子を反映するようにしている
講評
【現状】園運営に必要なマニュアル類を作成し、配布してもいます。

園で作成しているマニュアル類は「災害対策マニュアル」や「虐待防止マニュアル」、「保健マニュアル」「せせらぎ保育園マニュアル」があります。これらのマニュアルは、各クラスに1部ずつや入社の時、渡されているものもあります。排泄・おんぶの仕方等が記されている「せせらぎ保育園マニュアル」は副主任が説明をしています。「保健マニュアル」は抜粋したものを活用しています。その他、「園のしおり」は各職員に配布したり、早番・延長マニュアルや冬の朝の仕事も入社時に渡し、ベテラン職員がつき、マニュアルに沿って手ほどきをしてもいます。

【課題】共通認識が必要なマニュアルの再確認や整備に期待しています。

マニュアル類の見直しに関しては、変わったところがあれば訂正したり、保育に関わる箇所は、職員間で話し合い訂正したりしています。新入園児を迎えるに際して「園のしおり」は毎年見直しをしています。しかし、訂正箇所の明記がないことや、「年度末や年度途中で見直しをする」など、定期的な点検の時期は定めていません。このマニュアルの箇所だけは全員の職員が周知徹底し、標準化が必要と思われる場合は、会議での読み合わせや再確認が必要と思われます。また、各種マニュアルに見出しのインデックスなどを貼ると活用しやすいでしょう。

【目標】保護者の意見、職員の意向を受容する風土を目指しています。

職員の意向の反映として取り組んだことは、縦割り保育の年間・月間の指導計画書の書式を変更しています。保護者からの意見では、「フェスティバルが楽しかった」という感想のほか、「運動会の実施してほしい」などの意見が挙がっています。一般的な園行事については、園長の思いがあり、保護者に理解を求めて度々思いを伝えています。また、園長は、子どもの日常生活を充実させながら、保護者に向けても歩み寄り、保護者も楽しめる催し事が何かを思案しています。意見要望をいえる風土があり、職員も要望・意見を受け止める心構えが培われています。