東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

法人の運営理念は「安全な環境の中で身体的・精神的発達が得られる養護と教育が一体となった保育の提供」で、運営方針は「乳幼児の健全なる育成をめざした保育と養護、および教育を実施し、保護者の育児支援、地域の子育て支援に役立つこと」です。法人のビジョン・理念について、職員の理解を深める取り組みとして、入社時の研修、配置前研修、職員会議などで説明しています。また保護者の理解を得る取り組みとして、入園説明会、入園時の面談、保護者会などで説明しています。

園長や主任の役割と責任は職務分担表に記載され、職員会議などで職員に伝えられています。園長は業務全般を統括し、法人本部の決定・連絡事項を職員に周知することを役割としています。主任は保育業務を統括し、職員会議では司会を務めます。法人経営層は、年度初めの訓示・ホームページなどで職員にメッセージを発信しています。運営方針は、職員会議で職員に確認しています。

人事・採用、園舎の改築・設備など根幹に関わる事項は法人本部が決定しています。法人本部の決定事項は、園長会を通して園に周知されます。保育業務に関わる案件など園内で決定する重要案件は、職員会議やクラス会議において検討・決定しています。決定された事項は連絡ノート(電子連絡システム)を通して職員に周知されます。利用者にも主に連絡帳アプリで伝えられています。

利用者のニーズは、運営委員会・行事アンケート・個人面談などにより把握し、職員会議・クラス会議で職員に報告しています。運営委員会は経営層と各クラス保護者代表が構成メンバーになって、年2回開催しています。利用者ニーズに対しての取り組み事例として、行事の一つとして実施したナイトウォークの動画をDVDにして保護者に配布しました。また職員のニーズは、個人面談や日常会話を通して把握しています。

園長は区の園長会や幼・保・小連絡会、区の就学前プログラム検討委員会などに出席して、地域の福祉ニーズを把握しています。福祉事業全体の動向を知るため、園長は日本子ども育成協議会・全国保育サービス協議会などの保育ネットワークに参加したり、育児専門雑誌などを購読し、情報収集を行っています。園の予算や決算状況は、回覧にて職員に伝えています。予算・決算書類は、法人サーバー内でデータ管理しています。

中・長期事業計画に基づき、園は単年度事業計画を年度末に検討し、その内容は年度初めの職員会議で職員に伝えています。単年度事業計画には今後の取り組みや行事計画などが記載され、事業計画に合わせて園の予算が編成されています。事業計画の進捗状況は、行事ごとの反省会や職員会議での担当者報告により、職員に伝えられています。事業計画の内容を年度途中で見直す場合は、臨時職員会議で検討しています。

法人職員または保育職員として守るべき法や規則については、危機管理マニュアルや就業規則などに記載されています。危機管理マニュアルについては職員に配布し、いつでも確認できるようにしています。園長は園長研修の内容(ハラスメントなど)を職員会議で伝えています。理解度への確認は、年度初めおよび随時行っています。守るべき法や規則に対する理解度が不足している職員に対しては、職員会議での確認と面談を実施し、理解が深まるように支援しています。

苦情受付担当者は主任が、苦情解決責任者は園長が担当し、利用者には園のしおりで報告しています。外部相談先の第三者委員には町内会長と民生委員が就任しています。苦情解決制度の利用方法は、重要事項説明書で利用者に伝えています。利用者からの苦情・要望はクレーム対応マニュアルに沿って対応し、「ご意見処理ノート」に記録して職員会議で共有します。職員の子どもに対する言葉遣いや立ち振る舞いの規範を示した虐待対応マニュアルの整備や研修を通して、組織的な虐待防止に務めています。虐待が発覚した際は、関係機関と連携して対応します。

ボランティアや実習生などの受け入れについては、受け入れマニュアルに沿って対応しています。受け入れの体制は整っていますが、近隣に学校が少ない地域特性などの事情もあり、現在受け入れの実績はありません。子育て支援事業として、保育所体験・出産前保育体験を1日1組に限度して実施しています。また幼・保・小連絡会、区の就学前プログラム検討委員会、要保護児童実務者会議などの地域ネットワーク会議にも参画しています。要保護児童実務者会議では区内の保育園長・医師・警察・校長が出席して地域課題などを話し合っています。

運営に係るリスクとして、最優先で対策に取り組んでいるリスクは「感染症」で、2番目が「事故」、3番目が「災害」です。園では危機管理マニュアルなどを整備して対応しているほか、全職員を対象として危機対応の研修に参加しています。また看護師は感染症の状況を区や法人本部から情報収集し、利用者に掲示や電子連絡システムを利用して伝えています。事故対策では、ヒヤリハット報告書や事故報告書などで発生要因を分析し、再発防止に取り組んでいます。さらに園内に散歩中のハザードマップを掲示して、職員などに危険個所を注意喚起しています。

災害対策として事業継続計画(BCP)を策定し、大規模災害に備えています。計画の内容は危機管理研修や職員会議を通じて周知しているほか、年1回は内容を確認し、必要に応じて見直す仕組みを整えています。また保護者には、運営委員会などを通じて伝えています。そのほか毎月危機管理強化日を設け、法人本部が危機管理のテーマを出し、園はそれに対して確認・検討する仕組みが導入されています。

文書管理規程に基づき、個人情報が記載された書類や機密性の高い情報を含む文書は事務所内キャビネットに保管しています。保管されている文書は事務所内のみでの閲覧としているほか、パソコン内のデータは持ち出し厳禁となっています。またはパソコンはパスワード管理され、アクセス制限しているほか、パスワードを年に1回変更しています。また法人では、プライバシーマークを取得しているほか、監査法人による監査や本部による内部監査を実施しています。

法人または園が求める職員像については、求人票に記載されています。園では保育を実践的に学ぼうとする職員を優先的に採用したいと考えています。職員の求人は、ホームページ・友達紹介就職・などで行っています。求職者の応募を促す具体的な工夫として、インターンシップを行っています。職員採用には園長も同席しますが、採用の決定権は法人本部です。また職員への意向調査で、異動希望などを把握しています。

研修計画は法人本部が策定し、各園に周知しています。研修は職種や役職など階層別に分かれており、全職員を対象とした研修はオンラインで行われています。外部研修については、掲示や職員会議で内容を紹介し、希望者を募っています。研修後は研修報告書を作成し、内容を共有しています。また昨年度よりクラウド上で実施する人事考課システムを取り入れています。各職員は自ら立てた目標や評価項目毎に自己評価を行います。園長は年3回(6月、9月、1月)の園長面談で評価を行っています。

人事考課規定に基づき、賞与などの処遇に人事評価が反映されるようになっています。福利厚生は、退職金制度やテノ.クラブオフ(会員特典・優待サービス)、家賃補助制度などがあります。また有給休暇の取得状況が非常に高く、出産・育児休暇の実績もあり、働きやすい環境が整っています。そのほか、妊娠している職員のために横になって休める休憩スペースを設けるなど、細かな配慮を心がけています。さらに職員間の良好な人間関係を育むために、定期的な面談を行い、職員の悩みなどに応じています。

利用希望者への案内として、独自にリーフレットを作成しており、保育理念・保育目標・デイリープログラム・園の概要・活動内容などを記載しています。特に保育理念や保育目標は、詳細に説明されています。また活動内容については、その様子がわかる写真を掲載しています。ホームページも園長挨拶・園の概要・園の様子・力を入れている取り組みなどが紹介されており、取り組みの部分は不定期に更新しています。外国籍など日本語が苦手な方に向けて、英語版の入園のしおりも用意しています。

園の情報は、千代田区が発行している保育園施設ガイドやホームページでも確認することができます。区のホームページでは、施設情報のページ内に同園の情報が掲載されており、所在地以外に、アクセス・保育時間(基本時間・延長保育)・運営理念・保育内容などが記載されています。区には、定期的に定員の空き状況について報告を行っており、区のホームページでも定期的に情報が更新されています。

見学は、主に園長と主任が担当しており、1組ずつ個別対応しています。見学者には特徴として「子ども主体の丁寧な保育」について、園で行っている行事や日頃の活動の様子を集めたアルバムを見せながら、丁寧な説明を心がけています。また都心にある保育園であっても、自然と触れ合う機会を持つようにしていること、散歩には基本的に毎日出かけていることなども併せて伝えています。また入園前の保育体験は一年を通じて随時、個別で対応しています。

入園が決まった利用者には、個別に説明会と個人面談を実施しています。説明会では実際の保育の様子を見学してもらいながら、保育内容を分かりやすく伝えるようにしています。また入園のしおり(重要事項説明書)や児童票、生活状況調査票を配付するとともに、保育内容は重要事項説明書についての同意書で確認しています。また子どもの写真や動画の掲載のほか、プライバシーの保護については、写真掲載などに関する承諾書で確認しています。説明会であがった保護者の意向や子どもの状況は、個人面談記録で管理しています。

入園前の子どもの生活状況や、アレルギーの有無、既往歴などは、入園前確認アンケートなどに記載し、保管しています。入園時には保護者や子どもの不安、ストレスを緩和するため、1週間から10日をめどに慣れ保育を実施しています。慣れ保育の期間中は、保護者の保育に対する理解や安心を深めるため、子どもの様子を詳しく伝えるよう配慮しているほか、離乳食体験を実施しています。また慣れ保育期間中は、子どもの慣れ親しんだ遊具や使い慣れた哺乳瓶などの持ち込みを許可しています。

卒園前に退園や転園をする子どもには、在園児が作成したアルバムや寄せ書き、子どもが作った作品集などをプレゼントしています。転園先には、必要に応じて園での管理書類を提供し、情報を引き継ぐこととしています。また今後の取り組みとして、卒園前に退園や転園をする子どもには、行事の招待状などを送付して、継続的な支援が出来るようにしたいと考えています。

保育日誌は、0～2歳児クラスについては個別に記録欄を設け記載し、連絡帳アプリは全クラスで毎日取り交わしています。子どもたちの個別の保育目標は、児童票や個別的な計画、短期的な計画に記録しています。また家庭や保護者の個別のニーズや支援方針は、個人面談記録に記載しています。児童票については、2歳児の姿は2か月毎に、3～5歳児の姿は四半期毎にそれぞれ集約しながら記録しています。

最新の全体的な計画は3月に作成し、年間から月間、週間などの指導計画に展開しています。指導計画は0～2歳児クラスについては個別に作成し、5歳児では就学前教育カリキュラムとの整合性を図るなど、子どもの状況を踏まえた内容にすることとしています。また全体的な計画や個別の指導計画は、重要事項説明書や個人面談で保護者にも共有し、専門用語を使用しないようにするなどの配慮も行っています。指導計画は週・月末・年毎のほか、必要に応じて適宜見直しを図り、緊急に見直しが生じた際は、臨時職員会議に諮ることとしています。

子どもたちの変化は、週1回の職員会議で共有されており、この会議には保育士をはじめ、看護師や栄養士、調理師などの職員が参加しています。またクラス会議は適宜実施し、クラス担任以外に主任が参加し、子どもの様子を共有しています。日々の申し送りでは毎日の職員ミーティングや申し送りノートなども使われ、職員は出勤したら必ず閲覧することとし、閲覧名簿に捺印しています。また園長は今後の取り組みとして、職員会議に研修報告の時間を取り入れるなど、保育の見直しを進めていきたいと考えています。

安心して遊びに集中できる保育室をコンセプトに、園内には生活目的に応じた食事、着替え、午睡などのコーナーや、遊びに応じたままごと、ブロック玩具、製作、運動遊びなどのコーナーを設けています。室内は遊具をすぐに取り出せるような収納になっているほか、ブロックや製作遊びで作ったものはその日限りではなく、次の日にも続けて取り組めるように製作棚を用意しています。また製作物もしばらくの間、室内に飾っておくなど、子どもの主体性・創造性を大切にしながら遊びに集中できる環境を整え、達成感・充実感を得られるように心がけています。

日々の生活の中で3～5歳児の交流が行われています。異年齢の子どもが触れ合う機会としては、着替えや靴の脱ぎ履き、製作遊びなどの生活の場面があり、年上の子どもが年下の子どもの生活の手伝いをしています。また、年齢の違う子ども同士で散歩に出かける機会も作っています。一方で、外国語に親しむことが出来るように、外国人講師による英語教室では、英語の歌や絵本に触れる機会を持ったり、食育活動では外国や日本の文化に触れる機会も設けられています。

特別な配慮を必要とする子どもの受け入れは随時行っており、区の子ども発達支援センターなどの専門機関と連携しながら対応しています。また日々の保育においても、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門職の指導・助言を受けることとしています。発達の過程で生じる子ども同士の噛みつきや引っ掻きなどのトラブルには、職員が仲介に入りながらも、子どもたち双方の気持ちを尊重するよう心がけています。就学に向けた取り組みとして、学校公開日や学童保育の案内をしているほか、今後は近隣の小学校へ訪問することを検討しています。

登園時には視診とともに、毎日取り交わしている連絡帳アプリや保護者との会話から家庭での様子や体調などについて聞き取りをしています。また登園時に保護者から得た情報は、保育日誌や申し送りノートを使用し、職員間で引き継いでいます。降園時には毎回、保護者に対して当日のエピソードやその日の健康状態を伝えることとしています。当日の活動の様子は、毎日の連絡帳アプリ以外にも、行事などの活動を映した映像をサロンに設置されているテレビに写し、子どもたちと保護者が一緒に見ることができるようにしています。

基本的な生活習慣の大切さについては、個別面談などで保護者へ伝え、連携した支援ができるようにしています。子どもの発達の段階と支援の方法は、全体的な計画の成長発達の目安に記載されています。基本的な生活習慣については、年齢別に身に付けたい基本的な生活習慣チェック表に基づいて指導しています。具体的な取り組みとして、食事については箸を使った豆はさみを行っているほか、歯磨きでは染め出しを行ったり、ボタンの付いている遊具を使った着替えの指導などを行っています。

午睡時間は、乳児は12時から14時45分、幼児は13時から14時45分に設定しています。午睡の際には上掛けにタオルケットを使用し、コットベッドの上で寝るようにしています。午睡時間に眠れない子どもがいた場合は無理に寝かせることなく、保育室の空いているコーナーで静かに過ごすこととしています。また5歳児は就学移行に向けた準備の一環として、10月頃から午睡をなくすようにしています。

安心して遊びに集中できる保育室をコンセプトに、ままごと、ブロック玩具、製作、運動遊びなどのコーナーを設けています。また子どもたちが一緒に取り組むプログラムについては、リズム遊び、英語教室、運動遊びがあり、みんなで遊ぶ楽しさを伝えています。また日常の保育の中でも、言葉かけや保育者が一緒に遊び、ルールを守って遊ぶ大切さを伝えています。集団に入れない子どもについては、一人になれるコーナーを用意し、静かに過ごせるように配慮しています。

発達に合わせた優しい言葉かけや遊びの中で発語を促し、言葉のやり取りを楽しめるように援助しています。具体的な取り組みとして、絵本の読み聞かせや人形遊びのほか、夏まつりのお店屋さんごっこや運動会の競技について子どもたちで話し合う機会を作っています。また表現を育む取り組みとして、音楽コーナーではピアノ・トライアングル・ウクレレなどさまざまな楽器に触れたり、制作では絵を描いたり、毛糸を使った織物などもしています。そのほかにも、リズム遊びや絵本を使った劇遊びなど、表現を楽しむ機会を作っています。

戸外遊びを積極的に取り入れ、体を沢山動かすようにしています。戸外活動では、砂場や固定遊具を使った遊びに加えて、葉っぱ・木の実・虫取りやザリガニ釣りなどを行っています。園生活の中でも、さくら・コスモス・なでしこ・いちご・レモン・子宝草・ジャスミンなどの植物のほか、カブトムシ・クワガタ・アオムシ・金魚など、さまざまな生き物に触れられる環境を整えています。これらの生き物の飼育では、卵から幼虫、さなぎ、成虫とアオムシがその姿を変えながら成長する姿を見ることができる機会にもなっています。

子どもの成長や保育の成果を発表する機会として、夏まつり・チャレンジカップ(運動会)・生活発表会などを行っています。また年間行事として、七夕・ハロウィン・クリスマス・正月遊び・節分などの季節行事を行っています。行事開催に向けて子どもの興味や関心を高めるために、行事の開催や季節に合わせて園内装飾を変えるなどの工夫を行っています。夏まつりでのお店屋さんごっこでは子どもたちがその内容を決めているほか、行事の後にはその楽しさを思い返せるよう、その時の様子を映した動画を見ながら話す時間を設けています。

年間行事予定表を毎年4月に保護者に配布しており(在園児には3月)、行事毎の目的は、園だよりで都度伝えることとしています。また保護者が参加・見学できる行事として、夏祭り・チャレンジカップ・生活発表会などがあります。保護者が参加していない活動については、園だよりや写真販売、連絡帳アプリを通じたドキュメンテーションでその内容を伝えています。また、行事などの活動を映した映像をサロンに設置されているテレビで流しているほか、DVDにして保護者への配布も行っています。

子どもたちの誕生会は、乳児は各クラス毎、幼児は合同で行っており、誕生日の子どもの紹介や歌、カードのプレゼントのほか、子ども同士のインタビューを行っています。プレゼントされる誕生カードには、本人の写真や手形、他の子どもたちからのメッセージも寄せられています。インタビューでは他の子どもなどからヒーローインタビューさながらに、さまざまな質問やメッセージが寄せられる場面も見られています。

7時半の開園から平日では21時を閉園とする同園では、子どもたちが穏やかで温かい雰囲気の中で過ごせるように、クッションやマットを設置しているほか、人形やシェードなど職員が手作りしたグッズを取り入れるなど工夫しています。また日中の活動で疲れてしまった子どもがいた場合は、絵本コーナーや自然コーナーなどで休息できる環境を設けています。ほかにも一人きりになりたい子どもがいた場合は、クッションコーナーなど、子どもが安心して落ち着ける環境の提供に努めています。

18時半以降を延長保育としており、合同保育で対応しています。延長時間帯の合同保育は3歳児室で行っており、この時間帯は好きな玩具で遊べるようにしています。延長保育では、子どもが寂しい気持ちにならないようにスキンシップを多くとるなどの配慮をしています。また異年齢の子どもが兄弟のような関わりを持つ姿が見られ、家庭的で落ち着いた時間になっています。

給食は食事のコーナーを設け、年齢毎に落ち着いて摂れるように環境を整えています。椅子やテーブル、食具は年齢や発達に合わせて使用し、正しい姿勢や持ち方で食べられるようにしています。また4・5歳児はバイキング形式を取っており、自分の食べる食事は自分で盛り付け、配膳しています。また、子ども自身が自分の食べられる量を意識しながら食べるようになっています。保育者も共に食事しながら、楽しく食べることを体験・共有するともに、食事のマナーなどを伝えています。

食事は和食メニューを中心として、オーガニックの食材を使うことをコンセプトに提供しており、季節を意識した調理や盛り付けにしています。また、ういろうを使ったデザートやあすか汁、押し寿司などの郷土料理や、アメリカ料理のジャンバラヤなど、国内外の文化に触れるメニューも定期的に提供しています。食物アレルギーのある子どもには「食物アレルギー児対応マニュアル」に沿った対応をしています。食事は代替食とし、専用の食器やトレーを使用し名札をつけて提供するほか、調理スタッフと保育士双方で確認して、誤食のないように配膳しています。

栄養士は毎日、保育士と一緒に配膳を行ったり、栄養素について教える機会を持つなど、子どもと定期的に触れ合う機会を持っています。またバイキングでは子どもたちが給食当番をし、配膳などを自分たちでやるようにしています。また、パプリカやいちご、レモンなどの野菜や果物の栽培に取り組んでおり、栽培後は野菜ピザトーストやジャムに調理して提供しました。また調理体験では、3〜5歳を対象にうどんや恵方巻、カレー、ゼリーなどを作っています。

子どもたちの防災・防犯意識を高める取り組みとして、避難・消火訓練(毎月)、不審者対応訓練(年1回)を実施しているほか、近隣の消防署祭りに参加しています。消防署祭りでは、火事や地震の映画鑑賞や消火活動や消防服を着る体験などをしています。また、嘱託医や保健所などの協力による歯科指導や手洗い指導で子どもの健康維持に努めています。事故・怪我防止に向けた対策としては、ヒヤリハットの活用や各クラス毎に危険個所の確認を行っています。

子どもたちの健康状態を把握するため、全園児の健康診断と歯科検診、0歳児健診を実施しています。歯磨き指導は、嘱託医や歯科衛生士が歯ブラシでの磨き方などを人形やエプロンシアターなどを使って行っています。与薬は基本的に行っていませんが、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、熱性けいれんなど、園での対応が必要とされる場合は薬を預かることとしています。また与薬を行う場合は、予め与薬依頼表の提出を求めることとしています。

保健だよりは看護師が作成しており、2か月に1度、時節に応じて必要な健康管理の情報や生活習慣上の注意点などについて掲載しています。また感染症が発生した場合は、連絡帳アプリ内の一斉メールで情報提供しています。乳幼児突然死症候群(SIDS)については入園時に保護者へ説明しています。園では午睡チェックを実施し、体位や呼吸を確認しています。さらに救急救命講習や嘔吐処理、感染予防対策などの園内研修を通じて、適切な対応ができる体制を整えています。

保護者の就労など個々の事情については入園時に聞き取り、基本的な保育時間を決めていますが、急な時間変更などにもできる限り柔軟に対応しています。また入園後の保護者との個人面談は、保育参観と同日に実施しているほか、希望があれば随時実施しています。加えて意見箱や行事アンケートなどを通じて、定期的に保護者の意向を把握するようにしています。保護者対応については、「ほっぺるマニュアル・保護者対応」を整備し、適切な接遇に努めています。

保護者間の交流を促進する取り組みとして、年2回保護者懇談会を実施しています。懇談会では保護者同士が意見交換ができる時間を設け、子育てについて保護者同士が話し合い、悩みを共感できるようにしています。また保育参加(年1回)、保育参観(年1回)のほか、夏祭りやチャレンジカップ、生活発表会などの行事も交流の機会となっています。そのほか、年2回運営委員会を開催し、保護者と園職員、第三者委員による、より良い保育の実現に向けた話し合いなども行われています。

子どもの発達や育児などについて、保護者との共通認識を得る取り組みとして、連絡帳アプリのやり取りや送迎時の会話、保護者懇談会、個人面談のほか、保育参加の機会をつくり、保護者に保育活動の様子を見てもらっています。また離乳食講座などの育児講座も開催しているほか、必要に応じて子ども発達センターさくらキッズと連携をしながら、必要な支援を行っています。

都心の園で園庭がないことから、戸外活動を積極的に実施しています。近隣の公園の活用はもちろんのこと、幼児クラスでは遠方(日比谷・上野など)まで歩くようにしています。また区がチャーターしたバスを使い、遠足に行く機会を持つようにしています。そのほか、児童館や消防署など近隣の公共施設には、散歩と合わせて立ち寄ったり、おまつりなどの行事に参加するようにしています。また近隣で実施される雪まつりにも参加し、雪遊びなど都心ではなかなかできない体験ができています。

町会に加入し、町会主催の子どもまつりや打ち水などの行事に参加しているほか、地域の方にも園の行事に協力をしてもらっています。子どもたちが作ったお神輿で園の周りを周る際には、子どもたちが休憩するスペースを用意してもらったり、婦人会に協力をしていただき伝承遊びを実施するなど、定期的に交流する機会が作っています。現在は感染の影響もあり、なかなか思うように交流ができていませんが、引き続き地域との交流を増やしていきたいと考えています。

個人情報については、入園時に個人情報とプライバシーの取り扱いを保護者に説明し、重要事項に関する同意書や写真掲載等に関する同意書でその内容を確認することとしています。また突発的に個人情報を提供する必要が発生した場合は、その都度保護者に連絡し、同意を得ることとしています。日々の保育の中でも子どもたちの羞恥心に配慮しており、例えば着替えやオムツ交換の際には衝立、水遊びの時のシャワーの際にはバスタオルを使用することとしています。

子どもの権利を尊重する取り組みとして、「子どもの権利マニュアル」に則った対応を心がけています。また研修を全社的に実施したり、園内の休憩室で関連書籍や研修資料が自由に閲覧できるようになっており、子どもの人権に対する職員の意識向上を図っています。さらに虐待防止に関しても定期的に研修を実施しているほか、虐待に関するニュースなどが報道された場合には、職員会議の中で共有するようにしています。

法人内で共通して作成・活用しているマニュアルとして「ほっぺるマニュアル」を整備し、園では「ほっぺるマニュアル」に準じたマニュアルを作成しています。マニュアルに沿った業務の実施状況は、主任が中心となって随時確認しています。マニュアルは園内で自由に閲覧が出来るようになっており、職員は分からないことが起きた場合や、業務点検の手段として活用しているほか、職員会議内で確認する機会も設けるようにしています。

今年度、特に重点を置いて取り組んでいるのは、「コロナ禍における保育のあり方」についてです。行事については保護者が参加できないこともあったため、今年度行事の映像をDVDにして配布するようにしました。また室内では、子どもたちが各コーナーで遊び込めるようにしているほか、ゆっくりと休むことが出来る休憩スペースなども設置しました。また散歩に行く際には、子どもたちが散歩に行くか、園内で過ごすか、自らが選択できるようにし、子どもたちを中心とした保育を実施するよう心がけています。