東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

入職時の研修や法人の保育を示した「運営ガイドライン」や「学研アプローチシート」によって、職員に対し、保育理念「すべての人が心ゆたかに生きることを願い、今日の感動・満足・安心と明日への夢・希望を提供します」や基本方針が浸透し、法人の目指す保育が遵守されるように取り組んできました。一方、前年度における経営トップの交代に伴い、法人の運営理念を「子どもFirst」としました。「質の高い保育・保護者理解・環境構成・職員の定着・地域連携」の視点で法人内にプロジェクトを設け、新たな理念を実現する方法を検討しています。

「育ちのチカラ」を伸ばす保育方針を「子どもの養護と教育を両輪とした、子ども主体の心と体の育ちの支援／子ども一人ひとりの認知・発達に応じた、個別の発達支援／地域社会のすべての子育て家庭に対する、様々な取り組みによる育児支援」と掲げるとともに、保育目標を「基本的生活習慣が確立した子／心も体も自立した子／自律した行動がとれる子／他人に対する思いやりと寛容な気持ちを抱き、援助ができる子」と示しています。家庭との連携を図り、子どもたち一人ひとりの個性に光を当てる保育に取り組んでいます。

日々の保育に関する事柄など、園内の重要案件はリーダー会議や職員会議で検討して決定しています。重要案件の決定事項は職員会議で周知されますが、会議に不参加の職員には議事録の閲覧などで周知しています。また本部での重要な決定事項は、園長会を通じて職員会議で周知しており、利用者には園だよりや掲示、内容により個々の利用者にお知らせの文書を手渡しして伝えています。そのほか、地域に関係した案件の場合には、園の外壁に掲示して伝えています。

利用者のニーズは保護者アンケートや運営委員会において、職員のニーズは個別面談と日常の会話により、それぞれ把握しています。特に園運営を話し合う運営委員会には各クラスの保護者代表が出席しており、意見交換によりニーズを吸い上げる好機としています。また地域の福祉ニーズは所属自治体の私立園長会に参加した際や民生児童委員との連携などにより把握し、職員会議で報告しています。さらに保育事業に係る最新情報を得るために、業界紙や保育書籍を購読しています。行政の動向は、市や都が主催している研修から把握しています。

法人の中・長期計画に基づいて、園の中期計画(3年度分)と単年度事業計画を策定しています。内容は職員会議で職員に伝え、資料は鍵付き書庫に保管しています。中期計画は保育や職員育成など5項目について、3年後の姿を現在の姿と対比して示しています。併せて、園長は単年度事業計画を年度末に策定するとともに、予算を編成しています。予算の月額は定額まで園の裁量で執行できるようになっています。事業の進捗状況は年度末に総括して事業報告書を作成し、次年度の事業計画に反映させています。

現在の重点課題を「子どもの安全・安心」と設定するとともに、事故報告件数を減らすことを目標にしています。その目標達成状況は、年度途中にも職員会議や事故報告書ファイルの分析により把握し、職員に伝えています。事業計画の内容を年度途中で見直す場合も職員会議で報告・検討し、園長が判断しています。これまでに途中で計画内容を見直した事例として、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的に、運動会の開催方法を緊急で見直した実績があります。今後に向けて、判断のスピードをより一層高めたいと考えています。

法人職員または保育職員として守るべき法や規則についてまとめた書類として、コンプライアンスコード・就業規則・服務規程を整備し、鍵付き書庫に保管しています。また入社時に守秘義務誓約書を取り交わすとともに、入職後にe-ラーニングを実施して理解を深めています。さらに、年2回の期待役割面接において理解度を確認し、必要に応じて個別に研修の受講を促しています。そのほか、ガイドライン研修(内部)と自治体などが主催する虐待などをテーマとした外部研修を通じて、子どもの人権に関しての知識を深める機会としています。

苦情解決制度の仕組みについては、入園説明会や園内掲示で利用者に伝えています。園内掲示では苦情解決の流れをフローチャートで示すとともに、第三者委員の氏名も明記しています。また利用者から意向や要望を伝えられた際は、運営ガイドラインに沿って対応しています。園は、保護者からの意見・要望には引き続き個別に対応し、信頼関係を築いていきたいと考えています。

全体的な計画は園内掲示で、事業計画は園内掲示で、予算・決算報告や財務諸表は園内閲覧ファイルで、それぞれ開示しています。ボランティアや職場体験の受け入れは、実習生・ボランティア受け入れマニュアルに沿って対応しているほか、子育て支援事業として育児相談と保育参加を実施しています。また、月1回実施される市の施設長会や主任会などに園長・主任が出席しており、「0歳児待機児童の減少」などについて話し合っています。そのような話題に基づき、1歳児保育の拡大および保育園に預けやすい環境構築に取り組んでいます。

運営に係るリスクについては、運営ガイドラインに示しています。最優先課題として挙げる感染症(新型コロナウイルス)対策については「感染症・衛生管理」の項目に、水害・災害対策と不審者対策については「危機管理」の項目にそれぞれ従うとともに、リスクマネジメント会議で具体的な対策を検討・確認しています。その成果として、新型コロナウイルス感染症防止に対する取り組み(園児への配慮や保護者への対応)を行うことができています。また安全対策として、お散歩ルートの見直しを行い、マップを改訂しました。

事業継続計画(BCP)は、自然災害・人為災害・感染症を想定して作成しています。復旧期間を3日間、対策本部は本社ビルに置くこととしています。そのようなBCPの内容を職員に伝えるために危機管理研修を実施するとともに、利用者には運営委員会で説明しています。その上で、危機管理マニュアルやBCPは鍵付きの書庫に保管しています。一方、事故・感染症・侵入・災害などが発生した際は、事故怪我報告書および保健日誌に記録しながら、発生要因を分析して再発の防止に努めています。

情報管理や文書管理に関する規程の内容は職員会議で確認して、e-ラーニング・ガイドライン研修で理解を深めています。加えて個人情報保護についての重大性を認識するために、内部研修などで繰り返し確認しています。そのうえで、個人情報や気密性の高い情報を含む文書は鍵付きの書庫に保管し、持ち出しは禁止するとともに、破棄する際は専門業者に委託しています。一方、デジタルデータはクラウドに保存しています。PCの管理では、アクセス権限とそれに伴うログインパスワードを設けています。なおログインパスワードは定期的に更新しています。

法人または園が求める職員像については、運営ガイドライン「倫理綱領」で示しています。人事権は本社内の部署が有していますが、本園においては「コミュニケーション能力の高い人、成功・達成する信念を持てる人、責任感のある人」を求めています。キャリアパスの内容は、法人ホームページや会社説明会で紹介する他、入職時研修であらためて説明しています。入職後には、初任者研修・リーダー研修などを段階的に受講するとともに、個別面接を経て作成した役割期待シートに沿ってキャリア育成を支援しています。

法人または園全体の研修計画は、年間研修計画および階層別研修計画に明示しています。年間研修計画では、非常勤職員も研修の対象としています。職員の意向は園長が把握し、個々の意向に合わせて研修に参加できるよう努めています。職員が受講した研修内容は職員会議において報告し、学びの内容を全体で共有しています。併せて、職員一人ひとりの育成の成果を期待役割面接シートに記録するとともに、個別研修受講記録を作成しています。また職員の指導体制として、「サポーター」という役職を設けています。

人事考課および職務申告制度の規程に沿って、職員の目標を管理しています。職員が掲げた目標の達成状況は、10月と2月の年2回、園長による個別面談で確認しています。併せて、期待役割面接シートも活用しています。なお、有給休暇は職員の希望をふまえ、バランス良く調整しています。出産・育児休暇の取得実績も確認しました。園長は職員がモチベーションを維持できるよう、自己評価チェックシートで把握・分析し、職員間の人間関係を育むために共通の目的意識が持てるように配慮しています。

保育園の案内としてホームページのほか、「入園をご検討中の皆様へ」という三つ折りパンフレットを発行しています。このパンフレットには、園の概要、入園申込・選考について、一日の流れ、年間行事予定、保育理念などの内容を記載しています。園のホームページには、保育について(保育内容・保育目標・異年齢交流・多世代交流)、園生活についてなどの内容が紹介されており、定期的に更新し、さまざまな保育内容を伝えています。また保護者に対しては毎日ブログを更新し、園の様子を伝えています。

園の情報は、調布市子ども生活部保育課に定期的に報告しており、同市の発行している「入園案内」に他園の情報とともに掲載されています。また、毎月調布市報のイベント欄にも園の催しを掲載し、市民に広く情報を発信しています。そのほか、地域向けの行事などは、近隣の方にお願いして道路沿いにポスターを掲示しています。

園の見学会は、毎週水曜日に開催しています。見学対象者によって、毎月第1週は生後4か月未満の子ども、第3週には4か月以上の子ども、など対象を細かく分けて、より月齢にあった保育の内容が伝わるよう工夫しています。見学は、主に園長・主任が担当しており、パンフレットや行事の写真ファイルを見てもらいながら園内を案内しています。見学の際は特徴として、もじかずランド、スポーツチャンバラなどの活動、月刊誌を通して絵本に親しむ活動、多世代交流、生け花活動などを説明しています。

入園が決まった利用者には、児童票や個人情報などに関する書類を事前に郵送し、その後保育士や栄養士による個別面談を実施しています。加えて、新年度開始前には入園説明会を開催し、重要事項説明書に沿って説明しています。なお保育内容は、重要事項説明書同意文で確認し、プライバシーの保護については、個人情報などの取り扱いについての同意書で確認しています。入園説明会であがった意見や質問は新入園児面談票に、把握した保護者の意向や園児の状況は面談記録票に、それぞれ記録し、保管しています。

入園前の子どもの生活状況や、アレルギーの有無、既往歴などは、児童票に記録し保管しています。入園時には、保護者や子どもの不安、ストレスを緩和するため、7日間をめどに慣れ保育を実施しています。慣れ保育の期間中は、保護者の保育に対する理解や安心を深めるため、連絡帳、降園時の口頭連絡のほか、ブログや保育写真を活用し、保育の内容を細かく伝えてるよう配慮しています。なお慣れ保育中は、園児の慣れ親しんだ使い慣れているタオルなどの持ち込みを許可しています。

卒園前に退園や転園をする園児には、製作帳、使用した保育用品、記念写真やメッセージなどをプレゼントしています。また、卒園後の小学校には、保育要録を提供するとともに、必要に応じて就学支援シートを作成して園児の情報を引き継いでいます。なお転園先についても同様に、必要に応じて園児の情報を引き継いでいます。そのほか、卒園児や転園児には、卒園・転園後の1年間、夏祭りや先生体験などの園のイベントに招待しています。毎年夏祭りには卒園児の9割の子どもが参加し、在園児と交流を深めています。

保育日誌は、0・1・2歳児は複写式連絡帳に個別に記録欄を設け、記載しています。児童票・日誌・連絡ノート以外では、健康カード、健康診断表、保健日誌を使用して園児の成長を記載しています。また園児の個別の保育目標は、個別計画に記録しています。家庭や保護者の個別のニーズや支援方針は、個人面談記録、アレルギー面談記録、離乳食面談票に記録しています。2～5歳児の児童票については、3か月に一度毎に情報を集約しながら記録しています。

全体的な計画については、職員からの意見を反映させながら策定し、今年度から半期に1度進捗確認する機会を設けています。また全体的な計画を反映させた指導計画を、年間・月・週・日毎に作成しています。指導計画は0・1・2歳児については個別に作成していますが、2歳児クラス以上でも要支援児がいる場合は個別に策定しています。全体的な指導計画は園内に掲示し、個別の指導計画は個人面談で保護者に周知しています。なお指導計画を保護者に説明する際は、現在の状況や今後の目標などを前向きに伝えるなど、分かりやすいよう工夫しています。

保育サービスの品質向上や職員の情報共有のための会議体として、職員会議、週案会議、給食会議、アレルギーと事故防止委員会を毎月開催しています。アレルギーと事故防止会議では、保育中のふとした瞬間を写真に撮って、その後起こりうるリスクを想像するなど、職員の危機管理意識の向上につなげています。また、園長・主任・副主任が参加するリーダー会議や、乳児会議・幼児会議は随時開催しています。園日誌・クラス日誌や各種申し送り表は、鍵付き書庫に保管しており、会議録を閲覧した職員は、サイン、押印により確認しています。

保育環境のコンセプトは、子どもが自ら取り組もうと思える環境作りとしています。着脱時に使用するかごには、0歳児から園児自身の顔写真やマークを張り、徐々に自分のことは自分でできるようにするなど、5年間で一貫性のある環境を設定しています。また園児が主体的に活動できるよう、自ら遊びを選択できる環境設定などの工夫を凝らしています。職員は、成長や発達に合わせた関わりや、園児自身ができたという達成感を得られるような関わりに配慮しています。

3・4・5歳の部屋はパーテーションで仕切られており、毎朝・夕は一つの部屋で一緒になって好きな遊びをしながら過ごしています。また、異年齢で毎週一緒にお散歩に出かける機会も設けています。さらに、0歳児の帰りの会では、毎日5歳児が当番制で進行のお手伝いを行っています。このような活動を通して、5歳児には自信が芽生えてきたと感じています。そのほか、国内各地の文化に親しむ機会として、お正月、食育などで実施しています。

要支援児の保育に際しては、発達センターなどの専門機関や、臨床心理士などの専門職の指導・助言を受けながら対応しています。発達の過程で生じる園児同士のトラブルは、気持ちへの寄り添い・傾聴・受容の姿勢で対応し、保護者と連携しながら対応しています。万が一園児同士のトラブルや事故が発生した際は、職員会議録に記録し、保管しています。そのほか、就学支援に向けた取り組みとして、小学校へ保育要録提出・幼保小連携相談会を実施しています。また小学校に年長クラスの担任が出向いて、情報の収集や園児の具体的な情報共有を行っています。

連絡ノートは、0・1・2歳児で毎日取り交わしており、登園時には毎回保護者へ体温チェックや視診を行うとともに、体調の変化を確認しています。なお登園時に保護者から得た情報は、健康チェック表、伝達ホワイトボードを使用し、職員間で引き継いでいます。当日の活動の様子は、連絡ノート以外に園ブログでも伝えています。今月からはブログに加え、動画の配信も開始しています。そのほか玄関に設置しているお知らせノートでも、今日の活動や今後伝えたいことを全クラスの保護者に伝えています。

園児の発達の段階と支援の方法は本部作成の「学研アプローチ」に記載されており、基本的な生活習慣については個別指導計画に基づき指導しています。また「がっけんつながるえほん」(生活絵本)を毎月、1・2・3歳児に配布しています。この本により、保護者には基本的な生活習慣の目的や意味を伝え、保育士は具体的な指導方法を学んでいます。食事の指導は主に栄養士が担当し、4歳児からの「お箸検定」で箸の使用方法を確認しています。排せつに関しては、紙芝居を使用したり風船でお尻の形を作りふき方を伝えるなど工夫しながら指導しています。

0・1・2歳児の午睡時間は11：30～14：30、幼児の午睡時間は13：00～14：30で設定しています。午睡の際は、園の布団・毛布などの寝具を使用しています。午睡時間に眠れない子がいた場合は、布団の上や机上遊びなど、静かな遊びをしながら過ごしてもらっています。なお就学準備として、5歳児の2月から午睡をなくしています。

園内には、遊びに応じたおままごとや自由製作などのコーナーを設けています。また園児たちが主体的に取り組める集団プログラムとして、当番活動・夏まつり・運動会・発表会などを行っています。夏祭りのゲーム内容や、運動会の出し物、発表会の劇などを園児が相談して決めています。職員は大まかな内容で情報を提供して、細かい部分は極力園児たちで相談して決めることができるよう配慮しながら支援しています。そのほか、3歳、4歳児と合同で帰りの会を行い、みんなの前に立って今日楽しかったことを発表する機会を設けています。

さまざまな表現活動に取り組めるよう、週のプログラム計画では、音楽・体育・制作活動を取り入れるよう配慮しています。また、特徴的なプログラムである「スポーツチャンバラ」は4歳の春から、「もじかずランド」は4歳児の秋から開始しますが、3歳児以下の活動にも少しずつ取り入れるなど、無理なく開始できるよう工夫しています。そのほかのプログラムとして、音楽的な表現力を育む機会として、リトミック・発表会や、絵画的な表現力を育む機会として、制作活動を行っています。

園庭に遊具の設置がないため、三輪車遊びなど広々と利用することができます。また、天気が良い日はほぼ毎日散歩に出かけ、近隣の児童遊園や公園の遊具で遊んだり、鬼ごっこ・リレー・ドッジボールなどの活動を行っています。このような活動を通して、あさがお・ひまわり・しろたえぎく・パンジーなどの植物や、かめ・あり・ダンゴムシ・カナヘビ・チョウ・カブトムシなどの生き物に触れられています。

年間行事として、七夕・お月見・子どもの日・ハロウィン・新年お祝い会・節分・ひな祭りの季節行事のほか、子どもの成長や保育の成果を発表する機会として、プレイデイ、発表会を行っています。なお行事開催に向けて園児の興味や関心を高めるための工夫として、歌・絵本・紙芝居などを用いて説明したり、行事に因んだ製作物を作成しています。また、行事を振り返ったり記憶したりすることを支援する取り組みとして、動画鑑賞・思い出製作・活動振り返り発表を行っています。

年間行事予定表は毎年3月に配布し、行事毎の目的は、園だより・クラスだより・ブログなどで保護者に伝えています。なお保護者が参加・見学できる行事として、運動会・卒園式・誕生日会(保育参観)を実施しています。保護者が参加していない活動については、ブログ・DVD配布・連絡帳・クラスだよりで伝えています。また、今年はオンラインでの配信を行う予定です。

誕生会は、毎月園全体でお祝いしています。誕生会には保護者や地域の方を招き、誕生児へのインタビューや、歌・パネルシアタ―・クイズなどの出し物を行っています。なお誕生会で出す食事は、誕生会メニュー(スパゲティ・ケーキ・ジュース)を提供しています。そのほか保護者からの提案により、特定の場所にお誕生月の園児の顔写真と日付を掲示しており、他の保護者や外部の方からも祝ってもらえるきっかけとなっています。

各クラスに個別で遊ぶスペースを用意し、したい遊びに集中できるような環境を設定しています。また日中疲れてしまった園児がいた場合は、保育士が寄り添い、部屋隅のマットや医務室などの静かな場所で横になることができます。一人きりになりたい場合は、部屋隅のマットや段ボールで個別のスペースを作り、過ごすことができます。

延長保育は、毎日17時に１・2歳児が合同となり、18時には全クラス合同保育となります。合同保育は1歳児保育室で行っています。合同保育では、低年齢児と幼児とで遊ぶスペースを分けるなど、工夫しながら実施しています。また延長保育を担当する職員は、健康チェック表を用いて日中の園児の様子などを担任から確実に引継ぐとともに、年齢に合った玩具を用意するなど、異年齢であっても危険の無いように配慮をしています。

幼児の食事環境は、席を固定せず、好きな所で好きな相手と食べることができるように設定しています。0、1歳児は遊びの場所とは別に食事のスペースを確保しており、それぞれの園児の食べ具合に合わせて、ゆっくり食べる子と早く食べる子に分けたり、あえて一緒にして配慮し合うなど工夫しています。なお食事の前には、活動を振り返ったり、絵本を見るなどして落ち着いて過ごしています。

食材はなるべく旬のものや色合いを考えて選び、調理法も重ならないよう配慮して提供しています。また利用者の嗜好把握に向けて、嗜好調査・残食記録を実施しています。食物アレルギーのある園児については、給食マニュアル(アレルギー編)に沿って基本的に除去食を用意し、他の園児と机を分けたり、トレーの色を変えて提供しています。さらに提供の際は、調理担当者間の確認・調理の順番・除去食受け渡し時の確認・保育室内の配膳の順序・場所の確認を行い、誤食を防いでいます。

食文化を深める機会として、関連する絵本や紙芝居を読み聞かせたり、野菜の栽培を通して収穫の喜びや関心を深めています。2階壁面には「3しょくひょう」が掲示してあり、年長組の園児達は毎日の献立について中身を予想しながら、材料のマグネットを張り付けています。また食育を目的として、園内のプランターで、なす・ミニトマト・枝豆・ニンジン・白菜・稲を栽培しています。栽培した野菜や果物は、味噌汁やスパゲティなどの料理に使用しています。そのほか、農業協同組合や近隣の農家と連携して、収穫体験や田植え体験を行っています。

防災・防犯意識を高める取り組みとして、毎月の自然災害想定訓練(地震・火災・水害)や、年1回の不審者訓練を行っています。また交通安全に向けた指導として、普段の散歩の中で、左右の確認、道路の歩き方・横断歩道の歩き方を伝えています。さらに健康指導として、絵本を通して手洗い・うがいの方法を指導しています。そのほか園内の事故・怪我防止に向けた対策として、事故防止会議を行っています。

園児の健康状態を把握するため、嘱託医による年2回の健康診断(0歳児は毎月)のほか、嘱託歯科医による歯科健診を年2回実施しています。歯磨き指導は、歯科衛生士による指導を年2回を行っています。与薬は基本的に行っていませんが、慢性疾患・熱性けいれんなど、医師の診断により昼間も飲まなければならない場合や、エピペンを使用する場合は、薬を預かっています。なお与薬を行う場合は、与薬依頼書・薬剤情報提供書を提出してもらっています。

保護者に子どもの健康に関する情報を伝えるため、感染症などの情報を掲載した保健だよりを毎月発行しています。また看護師が入園前の説明会で子どもの病気に関する説明を行っています。なお感染症が発生した場合は、園内掲示やブログで情報提供しています。午睡時は、視診・触診(保育士の手の甲やほほを子どもの口元や鼻に近づけたり、胸に直接手を当てたりして確認する)を実施し、健康状態をチェックしています。そのほか感染症やSIDSに関する研修として、職員を対象にガイドライン感染症研修・嘔吐処理勉強会(年1回)を実施しています。

子育てに関する保護者の価値観や就労状況については、新入園児面談票・児童票・入園までの生活状況・延長保育利用登録書に記録し、把握しています。保育園の日常的なサービスに係る保護者の意向は、行事後のアンケートを実施し、把握しています。また、個人面談を毎年2回(個別案件は随時)実施しています。そのほか保護者対応に関する接遇マニュアルとして、初任者研修などで研修運営ガイドライン(服務規程・保育の手引き)を整備しています。保護者対応については、初任者研修・相手に理解納得してもらうための伝え方などの研修を実施しています。

保護者間の交流を促進する取り組みとして、毎年クラス懇談会の開催を実施しています。また、保護者の代表が参加する運営委員会を年2回(6月・2月)実施しています。運営委員会の前には全保護者にアンケートを取り、事前に質問を確認し、当日に回答するよう工夫しています。なお今年度より保護者の負担軽減に向けて、「おむつお届け定額サービス」を新たに開始しています。利用している保護者からは喜びの声が聞かれています。

子育ての考え方について、保護者と職員で互いの理解を深めるための取り組みとして、入園時の面談、入園までの生活状況の記入・確認、個別面談、送迎時のコミュニケーションを実施しています。また保護者を対象に、もうすぐ1年生(調布市) 、離乳食の進め方などの育児講座を開催しています。さらに行事以外で保護者が参加できる機会として、保育参観・育児相談・野菜の収穫会・お誕生日会を行っています。そのほか、子どもの保育士体験を受け入れており、夏休み中は多くの卒園児が保育士体験に参加しています。

地域資源を活かした取り組みとして、地域テナントビルでハロウィンイベントの撮影・生け花の花材調達・スーパーでの買い物・農家さんの畑の間借り・収穫を行っています。また近隣の公共施設は、消防署・図書館・調布グリーンホール・高齢者施設などに訪問しています。特に高齢者施設には毎月訪問し、一緒に歌を歌ったり製作活動を行うなど、高齢者との交流を楽しんでいます。そのほか、調布市の取り組みとして、他の幼稚園児や保育園児との交流を目的として、調布市内の年長児が集まって観劇を見る観劇会に参加しています。

毎年地域の方を招待する行事として、敬老の日の会やクリスマス会を開催しています。また図書館の絵本読み聞かせ会に参加し、地域の方と交流を図っています。さらに、保育実習生・ボランティア・職場体験を受け入れ、職員以外の大人と関わる機会を作っています。そのほか、毎年勤労感謝の日には、消防署・嘱託医・花屋さんなどにプレゼント(来年のカレンダーなど)を持って訪問し、日頃の感謝を伝えています。

個人情報などの取り扱いについては、入園時の説明会の際、「個人情報の取り扱いについての同意書」に沿って説明し、確認しています。なお突発的に個人情報を提供する必要が発生した場合は、都度保護者へ確認し、書面にて了承を得ることとしています。そのほか、園児の羞恥心に配慮した取り組みとして、着替えや身体測定の際はパーテーションで部屋を仕切ったり、男女で時間をずらすなど配慮しています。

園児の権利を尊重する取り組みについては、ガイドライン(子どもの人権)に則って対応しています。また人権研修は、子どもと接する大人の心得12か条というテーマで毎年実施しています。職員の人権教育に関しては、毎年人権擁護のためのセルフチェックリストを行っています。そのほか、子どもと保護者の価値観や生活習慣を把握するため、運動会や発表会についてのアンケートを実施しています。

虐待の発見と対応のため、ガイドライン(虐待防止)を整備するとともに、着替えの際にあざやケガなどの確認や、子どもとの対話に配慮しています。また虐待防止に向け、虐待の早期発見というテーマで毎年研修を行っています。さらに虐待に関するニュースなどが報道された際は、朝礼、職員会議により周知し、職員の意識を高めています。

法人内で共通して作成・活用しているマニュアルとして、運営ガイドラインや学研アプローチなどを整備しています。マニュアルに沿った業務の実施状況は、園長や主任が中心となり、毎年2回(4月・10月)確認しています。また全職員に「保育の手引き」を配布しており、職員は分からないことが起きた場合や、業務点検の手段として活用しています。そのほか、毎月ガイドライン研修を実施し、マニュアルの理解と活用を促しています。

法人で整備しているガイドラインやマニュアルは、法人内に設置されている「運営ガイドライン委員会」で見直しを行っています。「運営ガイドライン委員会」には各系列園から園長が参加し、毎年テーマを決めて検討しています。また保護者や職員の意見を積極的に取り入れ、サービス改善に反映させています。運営員会での保護者の声を参考にした事例として、新しい職員が入った際の職員紹介ブログの作成や、駐輪場の屋根の設置を行いました。職員に対しては、できるできないではなく、まずは声を出してほしいと園長から伝えています。