東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

入職時の研修や法人の保育を示した「運営ガイドライン」や「学研アプローチシート」によって、保育理念「すべての人が心ゆたかに生きることを願い今日の感動・満足・安心と明日への夢・希望を提供します」や基本方針が職員に浸透し、法人の目指す保育が遵守されるように取り組んできました。一方、前年度における経営トップの交代に伴い、法人のスローガンを「子どもFirst」としました。「質の高い保育・保護者理解・環境構成・職員の定着・地域連携」の視点で法人内にプロジェクトを設け、理念を実現する方法を検討しています。

「育ちのチカラ」を伸ばす保育方針を「子どもの養護と教育を両輪とした、子ども主体の心と体の育ちの支援／子ども一人ひとりの認知・発達に応じた個別の発達支援／地域社会のすべての子育て家庭に対する様々な取り組みによる育児支援」と掲げるとともに、保育目標を「基本的生活習慣が確立した子／心も体も自立した子／自律した行動がとれる子／他人に対する思いやりと寛容な気持ちを抱き、援助ができる子」と示しています。家庭との連携を図り、子どもたち一人ひとりの個性に光を当てる保育に取り組んでいます。

法人内共通の考え方に対し、園独自に今年の目標を「お互いを認めあいチャレンジできる場所(一人ひとりの気持ちを大切に)」と設定しています。そして、「子どもが主体的に活動できる環境の構造化」と「子どものやりたい気持ちの尊重」に取り組んでいます。そのような方針に沿って、日々の保育に関する事柄などの重要案件は、リーダー会議や職員会議で決定しています。また利用者には、園だよりや掲示、内容により個々の利用者にお知らせの文書を手渡しして伝えています。そのほか、地域に関係した案件の場合には、園の外壁に掲示して伝えています。

利用者のニーズは保護者アンケートや運営委員会において、職員のニーズは個別面談と日常の会話により、それぞれ把握しています。特に園運営を話し合う運営委員会には各クラスの保護者代表が出席しており、意見交換によりニーズを吸い上げる好機としています。また、地域の福祉ニーズは所属自治体の私立園長会に参加した際や民生児童委員との連携などにより把握し、職員会議で報告しています。さらに、保育事業に係る最新情報を得るために、業界紙や保育書籍を購読しています。市や都が主催している研修から、行政の動向をも把握しています。

法人の中・長期計画に基づいて園の中期計画(3年度分)と単年度事業計画を策定しており、単年度事業計画は玄関閲覧ファイルに綴じて誰でも閲覧出来るようにしています。中期計画は保育や職員育成など5項目については、3年後の姿を現在の姿と対比して示しています。併せて、園長は単年度事業計画を年度初めに策定するとともに、予算を編成しています。予算の月額は定額まで園の裁量で執行できるようになっています。事業の進捗状況は年度末に総括して事業報告書を作成し、次年度の事業計画に反映させています。

現在の重点課題について、職員体制の充実と安定したキャリア育成を掲げています。その実現に向けて、単年度事業計画および全体的な計画を見直すとともに職務分担表を作成し、細部にわたり職員個々の役割を確認しました。同時に、最も優先順位が高い目標として、子ども主体の保育の実現を挙げています。事業計画の進捗状況を職員会議において確認するとともに、必要に応じて見直しを検討しています。最近ではコロナ禍における運動会の開催方法を見直しました。予算や決算の状況は、職員インフォメーションファイルや職員会議で共有しています。

法人職員または保育職員として守るべき法や規則についてまとめた書類として、コンプライアンスコード・就業規則・服務規程を整備し、鍵付き書庫に保管しています。また入社時に守秘義務誓約書を取り交わすとともに、入職後にe-ラーニングを実施して理解を深めています。さらに、年2回の期待役割面接において理解度を確認し、必要に応じて個別に研修の受講を促しています。そのほか、ガイドライン研修(内部)と自治体などが主催する虐待などをテーマとした外部研修を通じて、子どもの人権に関しての知識を深める機会としています。

苦情解決制度の仕組みについては、入園説明会や園内掲示で利用者に伝えています。園内掲示では苦情解決の流れをフローチャートで示すとともに、第三者委員の氏名も明記しています。また利用者から意向や要望を伝えられた際は、運営ガイドラインに沿って対応しています。園は、保護者からの意見・要望には引き続き個別に対応し、信頼関係を築いていきたいと考えています。

地域との関係を紡ぐために、玄関ファイルや園内掲示で全体的な計画を公開し、運営の透明性を確保しています。また、実習生やボランティア、学生・生徒・児童の職場体験の受け入れ体制を整えており、次世代の育成に取り組んでいます。最近受け入れたボランティアには、お話しの会や歯磨き指導の機会に協力を受けました。さらに子育て支援事業として、園見学の際の育児相談を実施しています。そのほか、園長が毎月開催される私立園長会に参加しています。

運営に係るリスクのうち、「感染症予防」を最優先のテーマとして対策に取り組んでいます。休園や登園自粛の要請の仕方、行事の開催方法など、保護者と地域に対する理解を得られるような説明の方法や対策を模索する日々が続いています。次いで、「災害対策」と「不審者対策」を重視しています。感染症・衛生管理および危機管理などの項目により「運営ガイドライン」をまとめるとともに、職員会議で対策を検討しています。今後に向けて、危機管理において地域との連携・協力体制を作り、情報交換を行っていきたいと考えています。

事業継続計画(BCP)は、自然災害・人為災害・感染症を想定して作成しています。復旧期間を3日間、対策本部は本社ビルに置くこととしています。そのようなBCPの内容を職員に伝えるために、危機管理研修を実施するとともに、利用者には運営委員会で説明しています。その上で、危機管理マニュアルやBCPを鍵付きの書庫に保管しています。一方、事故・感染症・侵入・災害などが発生した際は、事故怪我報告書および保健日誌に記録しながら発生要因を分析して、再発防止に努めています。

情報管理規程や文書管理規程の遵守について、職員はe-ラーニングおよびガイドライン研修を受講するとともに、誓約書を取り交わしています。個人情報や気密性の高い情報を含む文書は、鍵付きの書庫に保管するとともに、文書管理一覧表で持ち出しや返却状況を確認しています。一方、デジタルデータはクラウドに保存しています。また、PCのセキュリティ管理は園長が責任者となり、アクセス権限とそれに伴うログインパスワードを設けています。なお、ログインパスワードは定期的に更新しています。

法人または園が求める職員像については、求人票やガイドラインで示しています。また求職者の応募を促す工夫として、インターンシップを受け入れています。現在は職員の経験年数を高めたいと考えているため、実務経験があり自己肯定感が高い人材を求めています。キャリアパスシートの内容は、法人ホームページや会社説明会でも紹介する他、入職時研修であらためて説明しています。入職後は、初任者研修・リーダー研修などを受講するとともに、個別面接を経て作成した期待役割シートに沿ってキャリア育成を支援しています。

職員が受講した研修内容は、職員会議において報告し、学びの内容を全体で共有しています。また職員の日頃の気づきについても、職員会議や昼の会で意見交換しています。加えて、「保護者支援・子ども主体の保育・各行事の役割分担」をテーマに、研究グループを設けています。そのようなプロセスを経て、乳児に個別の座布団を用意したり、段ボールを使ったリソーススペース（気持ちを落ち着けることが出来る空間)を設けた実績があります。研究成果は報告書にまとめ、職員全体で共有しています。

人事考課および職務申告制度の規程に沿って、職員の目標を管理しています。職員が掲げた目標の達成状況は、10月と2月の年2回、園長による個別面談で確認しています。併せて、自己評価チェックシートも活用しています。なお、有給休暇は、職員の希望を確認し調整しています。出産・育児休暇の取得実績も確認しました。園長は職員間の良好な人間関係を育みつつ定着率を高めるために、互いに多様性を認めるとともに、助け合いのマインドを持つよう働きかけています。

園の案内としてホームページのほか、「入園をご検討中の皆様へ」という三つ折りパンフレットを発行しています。このパンフレットには、園の概要、入園申込・選考について、一日の流れ、年間行事予定、保育理念などの内容を記載しています。園のホームページには、保育について(保育内容・保育目標・異年齢交流・多世代交流)、園生活についてなどが紹介されており、年に1回更新し保育内容を伝えています。そのほか、保護者には毎週ブログを更新し、園の様子を伝えています。

園の情報は三鷹子ども育成課に定期的に報告しており、同市のホームページや「幼稚園・保育園ガイド」に掲載されています。また三鷹市の発行する「子育て広場」の中にも、事業の内容が記載されています。そのほか、地域に向けて園外の掲示板にイベント情報などを掲載しています。

入園希望者への見学会は、8月～11月の期間で随時開催しており、見学は主に園長・主任が担当しています。見学者には園の特徴として、園庭があることや、建物事自体が発達の差がある子どもへの配慮がされていることを説明しています。今後は社会情勢を見ながら、入園前の保育体験を実施していきたいと考えています。

入園説明会は、あらかじめ重要事項説明書や新入園児関係書類を郵送した上で、2月に開催しています。入園説明会では、園の保育内容について重要事項説明書同意書で確認し、プライバシーの保護については、個人情報等の取扱いについての同意書で確認しています。入園説明会であがった意見や質問は新入園児面談票に、把握した保護者の意向や園児の状況は、面談記録票にそれぞれ記録し保管しています。

入園前の子どもの生活状況や、アレルギーの有無・既往歴などは、児童票に記録し保管しています。入園時には、保護者や子どもの不安やストレスを緩和するため、0・1・2歳児は10日程度、3・4・5歳児は3～5日をめどに慣れ保育を実施しています。慣れ保育の期間中は、保護者の保育に対する理解や安心を深めるため、送迎時に口頭で子どもの様子を詳細に伝えたり、連絡帳を利用しています。なお慣れ保育中は、必要に応じて園児の慣れ親しんだ海外製のミルク・おしゃぶり・就寝時のタオルなどの持ち込みを許可しています。

卒園前に退園や転園をする園児には、記念写真や4歳児からの卒園祝い制作物(卒園児)をプレゼントしています。また、転園先には必要に応じて、園児の情報を引き継いでいます。卒園後も兄弟などがいる場合などは、運動会などの園の行事に参加する様子もみられています。

保育日誌は、0・1・2歳児の複写式連絡帳について個別に記録欄を設け、記載しています。児童票・日誌・連絡ノート以外では、健康カード・健康診断表・保健日誌を使用して、園児の成長を記載しています。また園児の個別の保育目標は、個別計画に記録しています。家庭や保護者の個別のニーズや支援方針は、個人面談記録、アレルギー面談記録、離乳食面談票に記録しています。そのほか児童票において、0・1歳児は毎月、2～5歳児は3か月に一度毎に情報を集約しながら記録しています。

最新の全体的な指導計画は毎年3月に見直しており、指導計画は、年間・月・週、日毎に作成しています。特に5歳児の指導計画については、月末の月間保育指導計画の振り返りなど、就学前教育カリキュラムとの整合性を意識しながら取り組んでいます。個別の指導計画は0・1・2歳について作成していますが、2歳児クラス以上でも、生活において指導計画を立てて見通しを持った保育を行う必要がある場合は、個別に指導計画を策定しています。

保育サービスの品質向上や職員の情報共有のための会議体として、毎月の職員全体会議(園長・主任・保育士・栄養士が参加)のほか、毎日の職員ミーティングを行っています。加えて必要に応じて、保育士や栄養士が参加するクラス別会議を開催しています。また今年度から新たに、保護者支援など、テーマを分けたグループによる専門会議を実施しています。なお職員間の申し送りには、園日誌・クラス日誌・昼礼記録などを活用しており、これらの各種申し送り表は、事務所の鍵のかかる書庫に保管しています。

保育環境のコンセプトは、「余計なものがなく、シンプルで落ち着く環境設定」としています。園長が設計段階から「仕様書委員」として携わり、特に安全面や発達のバランスへの配慮を心がけました。落ち着いた壁の色や、壁面を必要最低限の装飾物にすることで、支援が必要な園児も刺激なく過ごせる環境になっています。また園内には、生活目的に応じた着替え・食事のスペースや、遊びに応じた、ままごと・ナーサリー文庫・段ボールリソーススペースなどのコーナーを設けています。職員は、園児自ら遊びを選択できる環境設定に工夫を凝らしています。

幼児クラス(3・4・5歳児)は、各クラスを低い棚で区切っているため、いつでも行き来することができる環境となっています。また、戸外活動や朝夕の合同保育は異年齢で過ごす機会となっています。こうした関わりの中で、給食の介助・着脱・寝かしつけなど、年上の子どもが年下の子どもの生活の手伝いをする姿が見られています。そのほか、国内各地や海外の文化に親しむ機会として、給食における郷土料理や海外料理の提供を行っています。

要支援児の保育に際しては、三鷹市こども発達支援センターなどの専門機関や、言語聴覚士・作業療法士などの専門職の指導・助言を受けながら対応しています。発達の過程で生じる園児同士のトラブルは、年齢に合わせた対応に配慮しています。特に0・1・2歳児については、負の感情が連鎖してしまわないように早めに職員が仲介しています。園児同士のトラブルや事故が発生した際は、事故報告書(保育)、ヒヤリハット報告書に記録し、保管しています。そのほか、就学支援に向けた取り組みとして、園長と担任が小学校に訪問し情報交換を行っています。

連絡ノートは、0・1・2歳児で毎日取り交わしており、登園時には毎回、保護者へ健康状態・体温チェック・視診での確認のほか、お迎えの時間と人を確認しています。登園時に保護者から得た情報は、職員会議や昼礼の中で職員間で引き継いでいます。また降園時には毎回、保護者へ園での一日の様子を伝えています。なお当日の活動の様子は、連絡ノート以外にも活動日誌や毎週のブログでも伝えています。

園児の発達の段階と支援の方法は、個別経過記録や学研アプローチに記載されており、基本的な生活習慣については、個別指導計画に基づき指導しています。食事については、個々の発達に応じて咀嚼・姿勢・食具の持ち方など時期や方法を考慮し、指導しています。歯磨きについては、年に1度、歯磨き指導の会を実施しています。また排せつ指導については、2歳児室に乳児用と幼児用の2種類のトイレを設置するなど、個々の発達の段階に合わせて選択できるような環境を設定しています。

午睡時間は、乳児は12時～14時半、幼児は13時～14時半で設定しています。午睡の際は、布団・敷きタオル・バスタオル・毛布などの寝具を使用しています。午睡時間に眠れない子がいた場合は、保育室の一角や、ナーサリー文庫のスペースなどで静かに過ごしてもらっています。今後、眠れない子どものリソーススペースとそこに関われる職員を確保し、心理的にも安全・安心を提供したいと考えています。そのほか、5歳児の就学準備として、1月から午睡をなくしています。

当園は、大人の声ではなく子どもの声が溢れる保育室を目指しています。そのため、当番活動・栽培活動・夏祭り・クリスマス会など、園児たちが主体的に取り組める集団プログラムに注力して取り組んでいます。3歳児から開始する当番活動は、日直を2名設定し、給食の際のあいさつやお帰りの会の進行を行うなど、生活の切り替えの場面でリーダーシップを発揮する機会となっています。また、職員は「Calm(カーム／穏やかに)・Close(クロース／近くで)・Quiet(クワイエット／静かに)」をベースに園児に対応するよう心がけています。

園内に設置している教材室には、全年齢が使える巧技台や教材が多く収納されており、さまざまなツールを使用し、活動できる環境となっています。また園児の言葉に対する感覚を養うためのプログラムとして、もじかずランド・生活発表を行っています。身体を使った表現力を育む機会としては、スポーツチャンバラ・戸外活動・室内運動・運動会などを行っています。そのほか、朝の会では、毎日ピアノを引いて3・4・5歳児合同で歌を歌うなど、音楽に触れ合う機会も設けています。

園庭では、三輪車・ボール・フラフープ・鬼ごっこなどの集団遊びを行っています。また、天気が良い日は毎日散歩に出かけ、近隣の公園の遊具や砂場で遊んだり、マラソン・リレー・ドッヂボールなどの活動を行っています。なお園内のプランターで、キュウリ・ナス・シイタケ・トマトなどを栽培しており、園児たちは植物の生長を見守りながら過ごしています。そのほか、5歳児室では毎年カブトムシを飼育しています。

年間行事として新年会・節分・ひな祭り・クリスマス会の季節行事のほか、子どもの成長や保育の成果を発表する機会として、運動会を行っています。行事については、特別なことではなく、毎日やっていることの延長で行うよう配慮しながら実施しています。また、行事に向けて園児の興味や関心を高めるための工夫として、行事にまつわる絵本・紙芝居の活用やパネルシアターなどを行っています。そのほか、園児が行事を振り返ったり記憶したりすることを支援する取り組みとして、思い出の絵を描いたり、思い出の発表を行っています。

年間行事予定表は4月に配布し、行事毎の目的は園だより・クラスだより・ブログで保護者に伝えています。保護者が参加・見学できる行事として、夏祭り・運動会・保育参加を実施しています。今年度、園庭で行った運動会は、保護者の方に園児の成長を見てもらう機会となり、大変喜ばれています。そのほか、保護者が参加していない活動については、ブログ・アプリ・DVD回覧で伝えています。

園児の誕生会は、クラス単位でお祝いしており、インタビュー・誕生児参加の出し物・歌・パネルシアターなどの出し物を行っています。また園児の誕生会で出す食事は、誕生日メニューとして、唐揚げ・ハンバーグ・ケーキなど、子どもの好きな物を提供しています。なお誕生日メニューは、事前に園児のリクエストを聞いて、希望に沿うように配慮しています。

園児が安心してくつろげるよう園内の装飾を控えるなど、落ち着ける環境を設定しています。また日中疲れてしまった園児がいた場合は、必要に応じてゴザを敷き休憩スペースを作ったり、医務室のベッドで休息することが出来ます。一人きりになりたい園児がいた場合は、一人で遊べるコーナーを設定することもできます。職員は「Calm(カーム／穏やかに)・Close(クロース／近くで)・Quiet(クワイエット／静かに)」に配慮しながら園児に関わるなど、園児が安心できる環境作りに努めています。

延長保育については、乳児は朝8時半・夕方17時、幼児は朝9時・夕方16時にクラス別保育から合同保育に切り替わります。延長時間帯の合同保育は、1歳児保育室で行っています。合同保育では少人数の異年齢で、普段遊べないブロックパズルやくるくるチャイムなどの玩具を用意し、じっくりと遊ぶことができるようにしています。職員は、異年齢や兄弟同士で楽しめるような声かけや体調への配慮など、園児の気持ちに寄り添いながら対応するよう努めています。

食事は、0・１歳児は遊びと食事のスペースを分けて行い、園児がお互いの食べる姿を見られるよう、机の配置などを工夫しています。幼児クラスにおいては席を固定し、一人ひとりのスペースを十分にとるなど、落ち着いて食事ができる雰囲気・環境作りに配慮しています。そのほか、栄養士や調理師は、毎日園児と触れ合いながら配膳などに参加し、喫食状況を確認しています。

食事に使用する食材は、なるべく旬のものや色合いを重視して提供しています。また行事食では、園児たちが行事について興味を持ち、楽しく食事ができるよう献立を考え、提供しています。なお利用者の嗜好把握については、給食会議の中で検討しています。そのほか、食物アレルギーのある園児については、給食マニュアルアレルギー編に沿って完全除去食を提供し、専用テーブルで食事を行っています。提供の際は専用食器を使用し、誤食を防いでいます。

食文化を深める食育活動の一環として、行事食・郷土料理・異文化メニューの提供を行っています。また食事をバイキング形式で提供する機会として、クリスマス会を実施(現在休止中)しています。さらに食育を目的として、プチトマト・なす・きゅうりを栽培しています。栽培した野菜や果物は、茄子のみそ炒めやきゅうりの塩漬けなどの料理に使用しています。調理体験は1歳児から開始し、1・2歳児はピーマンの種取やうどん踏み、3～5歳児はおにぎりを握ったりホットケーキなどを調理しています。

園児の防災・防犯意識を高める取り組みとして、引き取り訓練・不審者訓練・自然災害想定訓練(地震・火災・水害)を行っています。また交通安全に向けた指導として、外部業者による交通安全教室を開催しています。さらに園児の健康指導として、歯科衛生士による歯磨き指導を行っています。そのほか、園内の事故・怪我防止に向けた対策として、ヒヤリハット報告書や事故報告書を職員間で回覧し、情報共有と再発防止を図っています。

園児の健康状態を把握するため、0歳児は毎月、1～5歳児は年2回の健康診断を実施しています。また看護師が毎日各クラスを回って、園児の様子を確認しています。元気がない園児がいた場合は、担任保育士と密に連絡を取りながら対応しています。与薬は基本的に行っていませんが、熱性けいれんなどで、医師の指示がある場合は、薬を預かっています。なお与薬を行う場合は、与薬依頼書や薬剤情報提供書を提出してもらっています。

感染症や家庭での生活について掲載した保健だよりを毎月発行しています。園内で感染症が発生した場合は、園内掲示により情報を提供しています。また午睡時は、視診や触診(胸に直接手を当てて確認)で健康状態をチェックし、SIDSチェック表に記録しています。そのほか、感染症やSIDSに関する研修として、職員を対象にガイドライン感染症研修や嘔吐処理勉強会を実施しています。

子育てに関する保護者の価値観や就労状況については、新入園児面談票・児童票・入園までの生活状況・延長保育利用申請書に記録し、把握しています。保育園の日常的なサービスに係る保護者の意向については、行事後にアンケートを実施し、把握しています。なお保護者とは年2回(6月・12月)、個人面談を実施しています。そのほか、保護者対応に関する接遇マニュアルとして、運営ガイドライン(服務規程・保育の手引き)を整備し、初任者研修などで職員に伝えています。

保護者間の交流を促進する取り組みとして、クラス懇談会を実施しています。また保護者の代表が参加する年2回の運営委員会では、園活動について直接意見を伺う機会となっています(うち1回は書面開催)。そのほか、保護者と職員の信頼関係を深めるための取り組みとして、保護者会(年1回)・個人面談(年2回)のほか、保育参加を実施しています。保育参加は、年間を通して随時受け入れを行っています。

子育ての考え方について、園と保護者のお互いの理解を深めるための取り組みとして、連絡帳でのやりとりおよび個人面談・クラス懇談会を実施しています。また毎月発行している園だよりでは、離乳食やトイレトレーニングの進め方などの情報提供をしています。そのほか保護者を対象に、保育士体験を開催しています。子どもと一緒にお散歩に行ったり、食事の介助をしてもらうなど、実際の保育士の仕事を体験してもらうことで、保育に対する共通認識を深めています。

戸外活動では、自然豊かな武蔵野市の公園と、遊具が充実している三鷹市の公園をそれぞれ利用しています。また、保育実習生・ボランティア・職場体験の受け入れを通し、園児が職員以外の人と交流する機会を作っています。なお定期的なボランティア活動として、毎月絵本の読み聞かせをお願いしています。そのほか、5歳児は小学校に見学に行くなど、就学に向けた取り組みも行っています。

個人情報などの取扱いについて、入園時の説明会にて「個人情報の取扱いについての同意書」に沿って説明し、確認しています。また突発的に個人情報を提供する必要が発生した場合は、都度保護者へ確認し、書面にて了承を得ることとしています。そのほか、園児の羞恥心に配慮した取り組みとして、トイレドアの設置や男女の着替えを分けて行うとともに、園庭で水遊びを行う際は外から見えないように目隠しを行うなど、配慮しています。

園児の権利を尊重する取り組みについては、法人で整備しているガイドライン(子どもの人権)に則って対応しています。また、子どもと保護者の価値観や生活習慣を把握するため、夏まつりや保育参加(コロナ以前)を行っています。具体的に保護者の価値観に配慮した取り組み実績として、海外製のミルクしか飲めない園児について、個別提供を許可しています。そのほか、幼児用のトイレには左利き用のトイレを設置するなど、多様性を認めた園設計に配慮しています。

虐待の発見と対応のため、ガイドライン(虐待防止)を整備するとともに、着替えの際にあざやケガなどの確認や、子どもとの対話に配慮しています。また虐待防止に向け、虐待の早期発見というテーマで毎年研修を行っています。さらに虐待に関するニュースなどが報道された際は、昼の会や職員会議により周知し、職員の意識を高めています。

法人内で共通して作成・活用しているマニュアルとして、散歩・プール・実習生・ボランティア・行方不明時対応マニュアルを整備しています。また園で独自に、早番・遅番の仕事などのマニュアルを作成しています。マニュアルに沿った業務の実施状況は、都度、園長や主任が中心に確認しています。さらに、全職員にコンプライアンスコードを配付しており、職員は分からないことが起きた場合や、業務点検の手段として活用しています。そのほか職員に対して、昼の会や職員会議の中で、マニュアルの理解と活用を促しています。

園で整備しているマニュアルは、年度末の職員会議の中で見直しを行っています。マニュアルに示された業務の実施方法についての検討も、同会議で行われます。今年度、特に重点を置いて取り組んでいるのは、障害児教育・子ども主体の保育です。そのため、職員の実践事例や研修成果を基にサービス向上につなげています。具体的な事例として、障害児研修後の子どもへの声掛け方法の共有があります。こうした取り組みにより、職員の園児に対する接し方に変化が見られるようになったと園は感じています。