東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

法人の運営理念は「おもいっきり遊ぶ・おもいっきり学ぶ」です。法人のビジョン・理念について、職員の理解を深める取り組みとして、入社時研修や職員会議で説明しています。また園の運営方針や全体的な計画について、保護者の理解を得る取り組みとして、入園説明会の際に入園案内兼重要事項説明書を用いて説明を行っているほか、保護者会でも折にふれ説明しています。

園長の役割と責任は、組織規則・管理者着任時研修資料に記載され、入社時研修・職員会議などで職員に伝えています。また、法人本部所属のスーパーバイザー(SV)が園長のサポートに入り、支援を行っています。経営層は、年始や年度開始の際に、職員に対して動画や書面でメッセージを定期的に発信しています。運営方針については、園長が職員会議で職員に伝えています。

重要案件については、園長・主任で検討し、職員の意見を踏まえ決定しています。最近検討した案件は、「新年度のクラス移行」です。決定された内容と決定経過は、職員会議などで職員に伝えるようにしています。決裁された文書は、鍵付きのキャビネットで5年間保管しています。また保護者には、園だよりや保育アプリなどで伝えています。

利用者のニーズは、運動会・発表会などの行事後のアンケート、本社が実施する利用者満足度アンケート、運営委員会などにより把握し、職員会議で職員に報告しています。職員のニーズは、11月と2月の個別面談で把握し、職員会議で報告しています。地域の福祉ニーズは、認証保育所園長会・区からの情報提供などで把握しています。把握した地域のニーズは、職員会議で職員に報告しています。

福祉事業全体の福祉ニーズは、日本こども育成協議会や保育専門誌を購読し、情報収集しています。また園の予算や決算状況は、職員会議で職員に伝えています。予算・決算書類は、法人サーバー内にデータとして保管しています。重点課題や重点目標は、事業計画書に明示されており、その中で最も優先順位が高いものは、「事故トラブルの減少」です。

園の中・長期事業計画(4年)および単年度事業計画は、年度末に法人が策定した素案を基に園長が年度末に作成し、職員会議で説明しています。園の予算は、法人が作成しています。また法人の目標は、「不適切保育の防止」と「退職者の削減」です。また事業計画の進捗状況は、職員会議で職員に伝えています。事業計画の内容を年度途中で見直す場合は、園長が決定します。

職員として守るべき法や規則についてまとめた書類として、就業規則・業務マニュアルなどがあり、書類は事務所内のキャビネットや法人サーバーにデータで管理しています。また、入社時研修・管理者研修などを通して、職員の理解を深めるようにしています。加えて年1回、個人情報保護トレーニング(個人情報保護の意義や業務での心がけに関する研修)を実施し、職員の理解度を確認するようにしています。なお理解が不足している職員に対しては、個人面談などを通してフォローするようにしています。

利用者の意向の把握と対応のため、苦情受付に対応しています。受付担当者は園長、解決責任者は本部となっています。内容については、入園のしおり・玄関掲示で利用者に伝えています。利用者から意向や要望を伝えられた際は、保育相談録・事故トラブル報告書に記録し、園だよりなどで回答しています。また職員の子どもに対する言葉遣いや立ち振る舞いについては、保育業務マニュアルに沿って入社時研修を実施しています。虐待が疑われる事例が生じた際は、虐待防止マニュアルに沿って対応しています。

ボランティア・実習生・職場体験の受け入れについては、受け入れマニュアルに沿って対応しています。前年度は、行事手伝いのボランティアを1名受け入れました。子育て支援事業としては、一時保育事業や見学時の育児相談などを実施しています。今年は感染症の影響で実施ができなかったため、感染収束後に地域との関わりを増やしたいと考えています。

運営に係るリスクとして、最優先で取り組んでいるリスクは「職員採用」、2番目が「園舎の修繕」、3番目が「研修参加の環境整備」です。職員採用については、本部が主導して行っており、本部と連携しながら進めています。園舎の修繕については、修繕箇所を詳細に本社に報告し、今後の対策について検討しています。

事業継続計画(BCP)は、法人が作成した雛型を基に作成しています。BCPは首都直下型地震や感染症を想定して作成しており、想定復旧期間は2週間～1カ月と定めています。内容については、危機管理研修の際に職員に説明しています。また事故・感染症などが発生した際は、事故報告書・保育日誌に記録し、発生要因は、職員会議で分析して対策を講じているほか、法人内でも共有しています。なお、再発防止策は、園だより、一斉メールで利用者に伝えています。

個人情報保護や情報セキュリティについては、入職時研修などで説明するとともに、年1回全職員を対象に「個人情報保護トレーニング(個人情報に関する理解度テスト)」を実施しています。またパソコンやタブレット端末には、パスワード設定によるアクセス制限を設け、パスワードは3カ月ごとに変更しています。PCのセキュリティ管理は、園長が担当しています。個人情報や機密性の高い情報を含む文書は、鍵付き書庫に保管しています。利用者には重要事項説明書において、個人情報の利用目的や開示請求の方法を説明しています。

職員の求人は、ホ－ムページ・就職フェア・求人サイトでの募集や、友人紹介を行っています。友人を紹介した際には、「ニチイマイレージポイント」を付与する仕組みになっており、ポイントは商品などに交換できるようになっています。また職員の定着に向けた取り組みとして、家賃補助・退職金制度・語学講座の受講割引などの福利厚生があるほか、有給休暇の取得率も高く、出産・育児休暇の実績もあります。さらに職員の平均勤続年数も5年と長く、働きやすい環境を整えています。

研修計画は、事業計画書に明示されています。職員が受講した研修内容は、職員会議での報告・報告書の回覧により、職員と共有しています。また会議や研修で意見を出しやすくするために、議題を事前に伝えたり、15分間ミーティングを行うなど、意見交換する機会を作っています。そのほか新入職員が配属された際には、専門の研修を受講したOJTトレーナーが6カ月間支援する仕組みがあります。

職員は、人事考課表と個人別目標チャレンジシートに基づき、自己評価を行っています。また園長は年2回、職員が掲げた目標の達成状況とその振り返りを個別面談で確認しています。評価については園長とSVが実施し、年2回の賞与と昇格に反映しています。また年1回、職員満足度調査を実施したり、定期的な面談を通して、各職員の状況や意欲を把握・分析しています。

保育園の案内として、ホームページでの情報発信のほか、「ニチイキッズ」というリーフレットや園独自のリーフレットを発行しています。ホームページでは、園の概要・食事・施設の紹介・お知らせ内容などを紹介するとともに、月2回程度情報を更新しています。また園独自の案内は、カラー刷りで、園の概要・保育目標・保育料金・職員配置などの情報を簡潔に掲載しています。

園の見学は、希望者の都合に合わせ随時個別で行っています。なお、園児たちの様子も見てもらえるよう、希望者へは午睡後の時間帯をお勧めしています。当日の案内は主に園長が担当し、園の特長として、体操・英語・リトミックなど、外部の専門講師によるプログラムが充実している点や、行事については園児が興味を持てるよう工夫しながら行っていることなどについても、分かりやすく丁寧に説明しています。

入園が決まった利用者には、重要事項説明書や児童票などを配付し、3月に個別で説明会を行っています。入園する際に準備するものについては、イメージしやすいよう、カバン・布袋・バスタオルなど実物を見せながら説明しています。また抽象的な表現は避け、極力具体例を挙げて説明することを心がけています。なお、保育内容やプライバシーの保護については、重要事項説明書の同意書や個人情報取り扱い方針同意書で確認しています。加えて、把握した利用者の意向や園児の状況は、入園説明会記録に記録し、保管しています。　　　　　　　　　　

入園前の子どもの生活状況やアレルギーの有無・既往歴などは、児童票に記録し保管しています。入園時には保護者や子どもの不安・ストレスを緩和するため、10日間をめどに慣れ保育を実施しています。慣れ保育の期間中は、保護者の保育に対する理解や安心を深めるため、送迎時にその日の様子を細かく伝えています。また園児に対しては、なるべく特定の職員が対応するよう配慮しています。加えて慣れ保育期間中は、園児の慣れ親しんだタオルなどの持ち込みを許可しています。

卒園前に退園や転園をする園児には、クラスの寄せ書きやアルバムをプレゼントしています。加えて転園先には、必要に応じて保護者同意のもと発達記録を提供し、園児の情報を引き継いでいます。なお、卒園児にも同様にアルバムをプレゼントし、送り出しています。また継続した支援として、その年の運動会には卒園児を招待し、一緒に競技を楽しむ機会を設けています。また、就学後に立ち寄って顔を見せてくれる子どもが多く、園生活を懐かしみながら園児たちの遊び相手となって面倒を見てくれています。

保育日誌は、0～2歳児について個別に記録欄を設け、心身や生活の状況を記載しています。連絡ノートにおいても、0～2歳児を対象に毎日保護者と取り交わしています。また個別の保育目標は、児童票および月案に記録し、家庭や保護者の個別のニーズや支援方針は、保育相談録に記録しています。そのほか、児童票において、園児一人ひとりの姿を3カ月ごとに集約しながら記録しています。

全体的な指導計画は毎年4月に作成しており、それを基に年間・月間・週ごとの指導計画を作成しています。特に5歳児の指導計画は、就学前教育カリキュラムとの整合性を意識し、午睡時間の短縮・マスク着用などに取り組んでいます。また指導計画は、0～2歳児および要支援児において個別に作成し、個別面談時に保護者に周知しています。指導計画を保護者に説明する際は専門用語を避け、わかりやすい言葉で伝えることを心がけています。なお、指導計画は毎月見直しを行い、行事の中止などが発生した場合は、臨時職員会議で緊急に見直しを行っています。

職員間で情報を共有する場として、保育士・看護師・栄養士が参加する職員会議を月1回、クラス担任・園長が参加するクラス別会議を月2回、実施しています。クラス会議では、園児に関する情報共有に加えて、保育目標の達成状況や指導計画の推進状況の評価も行っています。そのほか、日々の申し送りや引き継ぎについては、申し送りノートを活用しています。なお、園日誌・クラス日誌や各種申し送りは事務室に保管しており、職員会議録や各種申し送りを閲覧した職員は、押印を行うことで閲覧状況を確認しています。

保育環境のコンセプトは、「リラックスして過ごせる保育室」としています。園内には、生活目的に応じた食事・遊び・午睡などのコーナーや、遊びに応じたままごと・絵本・製作などのコーナーを設けています。また、自分で好きな玩具を選んで遊べる環境を構成することで、園児の主体的な活動を促しています。さらに、職員の工夫で年齢に合わせて作製した手作り玩具も設置し、園児の興味・関心を引き出しています。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

散歩や午睡、日頃の遊びの中で、異年齢の園児が交流する機会を設けています。お店屋さんごっこや読み聞かせのほか、午睡時には寝かしつけや布団の片付けを進んで行うなど、年上の子どもが年下の子どもの生活の手伝いをしています。その中で、年上の園児には思いやりや優しさが、年下の園児には親しみや憧れが深まるなど、お互いを認め尊重する心が育まれています。そのほか、国内外の文化や外国語に親しむ機会として、英語プログラムを実施したり、郷土料理の提供などを行っています。

配慮を要する子どもの保育については、区の療育センターなどの専門機関と連携しながら対応しています。具体的には、心理士より支援シートの提供を受け、状態を把握するとともに、実際の対応につなげています。そのほか就学支援として、近隣にある学童クラブへの体験訪問を実施しています(今年度は学童の様子が映った映像を閲覧)。また、区が用意した就学支援シートを活用し、小学校に対して情報提供する取り組みも行っています。

登園時には、毎回保護者に園児の体調や変わった様子がないかを確認し、そこで得た情報はクラスノートを使用して、職員間で引き継いでいます。乳児については、連絡ノートを毎日取り交わしています。降園時には、保護者へ健康状態やその日の、写真も一緒に掲示し、園児のさまざまな表情を見てもらっています。

園児の発達の段階と支援の方法については、全体的な計画に基づき指導しています。食事は、年齢や一人ひとりの実態に合わせた食具を用いて指導しています。また排せつ指導は、1歳児クラスから成長に合わせたトレーニングを実施しています。歯磨きは、2歳児クラスの後半から、給食職員が実演しながら教えています。また着替えについては、個々のペースに合わせて声をかけ、次の動作を促しています。

午睡時間について、乳児は12時～14時半、幼児は13時～14時半で設定しています。午睡の際は、布団やタオルケットなどの寝具を使用しており、眠れない子がいた場合は、使用していない部屋で静かに遊びながら過ごしてもらっています。そのほか就学準備として、5歳児は11月頃から徐々に午睡をなくしています。

クラス全体で取り組む活動として、専門講師によるリトミック・英語・体操プログラムを行っています。また、園児たちで話し合って取り組む活動として、当番活動を行っています。具体的には、朝の会でその日の当番の種類を話し合い、担当を決めています。子どもならではの意見が活発に飛び交い、特に先生の手伝い当番が人気を集めています。このような取り組みは、園児の意欲や主体性を高める活動にもつながっています。そのほか、生活・遊び・対人関係のルールについては、朝の会・帰りの会、公園で遊ぶ前に職員から説明しています。

園児の表現力を育むため、多彩なプログラムを実施しています。音楽的な表現力を育む機会として、リトミックや楽器遊びのほか、「今月の歌」として毎月4つの歌を決めて歌っています。また身体を使った表現力を育む機会として、体操教室、言葉を使った表現力を育む機会として、絵本のストーリーを演じる表現遊びを行っています。さらに、絵画的な表現力を育むために行う、壁面制作や毎月テーマを決めた制作活動は、創造力を育む機会にもつながっています。

園庭では、ボール遊び・ままごとハウス・縄跳びなどの活動を行っています。夏にはビニールプールを設置し、毎日水遊びを楽しんでいます。また、散歩は週3回程度実施しており、近隣の公園や運河沿いの歩道など、遊びたい内容で園児たちが行き先を決めています。なお散歩先では、主に遊具・虫探し・追いかけっこ・落ち葉拾いなどを行っています。園生活では、さくらや銀杏などの植物にふれ、季節の移り変わりを感じています。

主な年間行事として、季節や文化に親しむ七夕・クリスマス会・節分・ひな祭りや、子どもの成長や保育の成果を発表する運動会・発表会などを行っています。また行事に向けて、園児の興味や関心を高めるため、絵本で由来や昔の様子を伝えたり、行事にちなんだ制作活動を工夫して行っています。そのほか、夏には園児自身が内容を決めて行うお祭りや、お泊り保育を実施しています。今年度はお泊り保育を夜保育として実施し、肝試しなど夏の風物詩を楽しみました。行事終了後には思い出を絵で表現したり、行事の映像(運動会)を見る機会を設けています。

年間行事予定表は毎年4月に配布し、保護者が見通しをもって予定が立てられるよう配慮しています。行事ごとの目的については、園だよりで保護者に伝えています。また保護者が参加・見学できる行事として、夏祭り・運動会・クリスマス会・卒園式を実施し、子どもの活躍を見て成長を感じる機会となっています。一方、保護者が参加していない活動については、ホワイトボードで写真を活用しながら園児の様子を伝えたり、写真販売を行っています。

園児の誕生日会は、園全体でお祝いしています。会では誕生児へのインタビューやバースデーソングの合唱で雰囲気を盛り上げ、園児たちを楽しませています。また、写真や手形、コメントを寄せたメッセージカードもプレゼントとして贈っています。

園児が安心してくつろげる環境整備として、おままごとコーナーや机上遊びコーナーなど、ゆったりとリラックスして過ごせるように工夫しています。日中疲れてしまった園児がいた場合や、一人きりになりたい園児がいた場合は、ソファーや絵本スペースで休息することが出来ます。なお、体調がすぐれない時などは、事務所のベッドでゆっくり体を休めることが可能です。

延長保育は、17時30分にクラス別保育から合同保育に切り替わり、その間の合同保育は1歳児室で行っています。合同保育では、普段遊べないキャラクターや電車などの一人用玩具を用意しています。また延長保育の時間帯は、寂しい気持ちにならないよう、家庭的な雰囲気で過ごすよう配慮しています。具体的には、手遊びやわらべうたなどのふれあい遊びや個別のスキンシップなど、1対1の関わりを大切にしています。さらに職員体制として、園児対応と保護者対応を明確に決めておくことで、園児がより落ち着いて過ごせる環境を整えています。

食事は各保育室で行い、席は基本的に固定としています。楽しく食事ができる雰囲気づくりの工夫として、食前には絵本の読み聞かせや手遊びを行ったり、日によって好きな席やグループで食事をする機会を設けています。一方、食事中は落ち着いた雰囲気をつくるため、音楽を流しています。そのほか、食について関心を深めるため、食事前に当番園児がメニューを読み上げ、職員からはクイズ形式で献立の説明をしています。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

食事は、和食中心のバラエティーに富んだメニューを提供しています。七夕・節分・バレンタインなどの行事では、行事食を提供しています。なお、栄養士や調理師は毎日保育室に赴き、園児の喫食状況を確認するとともに、会話の中で好みや苦手なものを把握しています。食育においては、調理体験を行っています(今年度は中止)。今後は、野菜などの栽培も検討していきたいと考えています。

食事は、アレルギーがある子もない子もみんなで一緒に同じものを食べる「おもいっきり給食」を提供しています。三大アレルゲンを使用していないことから、アレルギーの有無に捉われず、全員同じ環境下で食事をとっています。なおおやつにおいては、食物アレルギーのある園児に対しては代替食を提供しています。また配膳時には、調理師・職員のダブルチェックと、食札・専用トレーの使用により、誤食を防いでいます。席は他園児と少し離していますが、寂しさを感じないようにみんなが見える場所に設置しています。

園児の防災・防犯意識を高める取り組みとして、月1回の避難訓練・隔月の防犯訓練のほか、保護者と連携して引き渡し訓練を年2回実施しています。また避難訓練の際には、防災頭巾の被り方の練習も行っています。園児への健康指導としては、手洗い・うがいの方法を絵本や実演を交えながら行っています。そのほか、園内の事故・怪我防止に向けて、ヒヤリハット記録を活用し、予防対策をしています。事故防止への対策事例としては、コーナーの設置の見直しや、怪我の原因となり得る箇所にクッションを貼布したりしています。

園児の成長と健康管理のため、健康診断を春・秋の年2回実施しています。また、2歳児後半からは歯磨き指導を開始し、職員が実演しながら丁寧に教えています。与薬に関しては基本的に行っていませんが、医師から園での与薬が必要と診断された場合に限り、薬を預かっています。その際、与薬依頼書を提出してもらっています。

保健だよりは、季節ごとの健康管理や知識などの内容で毎月発行しています。保護者会には看護師も出席し、「子どもの病気予防について」をテーマに、具体的な対応の説明を行っています。感染症が発生した際は、保護者に対して玄関掲示やメールで情報提供を行い、注意喚起しています。また午睡時は、視診のほか、身体に触れて呼吸チェックを行い、健康状態を確認しています。午睡時の様子は、午睡チェックに記録しています。そのほか、看護師が中心となり感染症や救命処置の勉強会を実施し、職員は知識や理解を深めています。

保護者の子育てに関する価値観や就労状況については、児童票に記録しています。把握した就労状況から、お迎え前にミルクを飲ませるなど、個別の関わりに配慮しています。園の日常的なサービスに係る保護者の意向については、行事後のアンケートやご意見箱、日頃のコミュニケーションの中で把握しています。また保護者とは、随時個人面談が出来る体制を整えています。気になる家庭については、園から声をかけています。そのほか、電話対応やあいさつなど基本的な接遇については、職員会議で確認しています。

保護者間の交流を促進する取り組みとして、懇談会を年2回実施しています。会では、育児などに関連するテーマを決めて、自己紹介も兼ね一人ひとり発表する時間を設けています。父母会の活動には、イベントや会議の会場提供などで支援しています。また保護者と職員の信頼関係を深めるため、玄関に職員紹介コーナーを設けているほか、笑顔で明るい対応を心がけています。加えて、保育参観を年1回、保護者会を年2回、運営委員会を年2回実施し、職員および保護者間の関係を深めています。

子育ての考え方について互いの理解を深めるため、送迎時には毎日コミュニケーションをとるよう努めています。そのほか、保護者会で保育や子育てに関する情報提供を行ったり、園だよりでは各クラス担任からのコメントスペースを設け、保育における思いや考えなどを伝えています。なお現在は、保護者向けの育児講座は実施していませんが、今後、生活リズムを整える大切さや、すぐに手を貸さず見守る子育てについて、伝えていきたいと考えています。

地域資源を活かした取り組みとして、近隣の児童館や学童クラブ、大学などを訪問しています。就学に向け、学童クラブを体験したり、近隣の大学では、珍しい動植物の標本見学や、キャンパス内のグラウンドを借りて遊びを楽しむなど、園児たちも普段見ることのできない光景に関心を高めています。そのほか、近くの商店を見学し、野菜について学ぶ機会も設けています。このような地域へ出向いた取り組みは、園児にとって地域を知る良い機会となっています。

近隣の保育園や児童館とは、遊びを通して子ども同士の交流を深めています。保育園とは、雪遊びを楽しみながら一緒に季節を感じ、児童館とは、行事に参加する中で年長児同士で顔見知りの関係をつくっています。そのほか、散歩途中で出合う人とあいさつを交わしたり、外部講師よりプログラムの指導を受ける中で、普段関わりが少ない大人との交流も図っています。ボランティアは、行事のお手伝いとして1名受け入れていますが、今後は日常保育の中でも積極的に受け入れていきたいと考えています。

個人情報の取り扱いについては、入園前に重要事項説明書に沿って説明し、個人情報の取り扱いに関する同意書を取り交わしています。突発的に個人情報を提供する必要が発生した場合は、その都度保護者へ電話などで確認の上、対応しています。そのほか、園児の羞恥心に配慮した取り組みとして、着替えの際に全裸にしないのはもちろんのこと、必ずシェードを使用して外から見えないようにしています。

園児の権利を尊重する関わり方については、人権擁護・虐待防止マニュアルに記載されており、その内容にのっとって日々保育を行っています。また人権月間の12月には、虐待防止チェックリストを実施し、園児への適切な関わり方を職員全員で確認しています。そのほか、子どもと保護者の価値観や生活習慣を把握するため、毎年満足度調査を実施しています。なお、保護者の状況に配慮し個別に対応した事例として、療育や受診後の登園時間の調整などを行っています。

虐待の早期発見と対応のため、児童相談所主催の虐待防止研修に年1回参加しています。今年度は、「虐待を疑った場合の対応」というテーマで行われ、職員1名が参加しています。研修内容は職員会議内で共有し、対応における理解を深めています。また、虐待に関するニュースなどが報道された際も、職員会議や職員ノートで共有しています。

法人内で共通して作成・活用しているマニュアルとして、保育業務マニュアルを整備しています。マニュアルは紙とデータで保管しており、職員は分からないことが起きた時や、業務点検の手段として活用しています。また、マニュアルに沿った業務の実施状況は、年度初めに園長および主任が中心となり、確認しています。なお、実施できていない業務があった場合は、職員にマニュアルの確認と業務への反映を促しています。

サービスの質の向上を目指し、今年度からSTEAM教育に重点を置いて取り組んでいます。今年度は5歳児クラスを対象に行い、来年度から他のクラスでも展開する予定です。そのほか、利用者満足度調査より、保護者の声を受けて見直した事例として、保護者参加行事における一家庭当たりの参加可能人数を増やしました。感染対策を十分に行った上で行事を開催したことにより、保護者にも理解を得ることができました。