東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

法人の運営理念は、「当保育園は子どもたちの生活を保障する場、大人集団も共に育ちあえる子育ての場です」で、運営方針は、「次代を担う子どもたちが心身ともに発達するための保育に関する事業を実施する」などを掲げています。経営母体の特定非営利活動法人(NPO法人)に全職員と保護者が正会員として関わっています。NPO法人の総会では、理念や方針、園が目指していることを事業計画の中で伝えています。また、職員に対しては職員会議や研修の中でふれ、保護者に対しては入園説明会や懇談会の中で随時説明を行っています。

園長の役割と責任は、園長のしおりに記載され、職員会議、職員面談などで職員に伝えています。また主任の責任は、キャリアパスシートに記載されています。園長は、園の運営・経営全般、職員の育成・採用、対外業務などの役割を担い、主任は、保育業務全般などの役割を担っています。経営層は、年度始めのあいさつや職員会議、NPOの会報誌などで、職員にメッセージを定期的に発信しています。

園にはNPO総会・職員会議・法人理事会・運営委員会などさまざまな会議体があります。園内の重要な案件（園の予算・決算・事業計画の承認・運営事項に関する重要事項など）については、NPOの総会で決定しています。決定された内容と決定経過は、職員会議や職員連絡ノートで職員に伝えるようにしています。また、保育に関する重要な事項は、職員会議で決定されます。利用者には、園だより・各種お知らせ・一斉メールで伝え、地域の方に向けては、ホームページやNPO会報誌で伝えています。

保護者の意向や要望は、送迎時の会話や保護者会・利用者アンケート・行事アンケート・運営委員会などで把握し、職員会議で職員に報告しています。利用者アンケートは年1回実施し、集計後には意見に対する回答も踏まえて、配布や掲示を行っています。利用者ニーズに対しての取り組み事例として、業者に行事の際の写真や動画の撮影を委託し、配信するなど対応しました。また職員の意向については、職員会議や個人面談などにより把握しています。今年度は業務効率化のためにパソコンを追加購入し、各クラスで作業ができるようにしました。

地域の福祉ニーズは、市の事務連絡会や認証保育所連絡会などで情報収集に努めています。また、全国認可認証保育所協会などの保育ネットワークに参加したり、保育情報などの専門誌を購読し、情報収集を行っています。これらの活動で得た情報は、職員会議で職員と共有しています。園としての重点課題や重点目標は、事業計画書に明示されており、最も優先順位の高い目標は、「怪我や事故に対する対応を強化し、安全安心な保育を実施していくこと」としています。また感染症も踏まえて、設備改善にも取り組んでいます。

園の中・長期事業計画(5年)は、年度末に理事長が作成・見直しをしています。また単年度事業計画は、中・長期事業計画を基に年度末に理事長と園長が中心となって作成し、職員会議で職員に説明しています。なお計画の作成にあたっては、前年度の取り組みを確認し、職員の意見を取り入れるように心がけています。また計画に合わせた予算編成は、理事長が作成しています。そのほか事業計画の進捗状況は、職員会議や上半期総括会議で職員に伝え、年度の途中で見直す場合には、園長・主任が決定権を持っています。

法人職員または保育職員として守るべき法や規則についてまとめた書類として、就業規則(服務規律や遵守義務など)を整備しています。また就業規則に加えて、子どもの権利条約、園の保育方針を冊子にし、職員がいつでも閲覧できるようにしているほか、新人研修の中で説明するようにしています。また職員の理解度は、職員の自己評価の中で確認するようにしており、理解が不足している職員に対しては、個人面談などを通してフォローするようにしています。

苦情受付については、受付担当者は主任、解決責任者は園長が担っており、重要事項説明書を用いて、入園説明会で利用者に周知しています。利用者から意向や要望を伝えられた際は、職員で共有し、口頭や書面による回答のほか、運営委員会でも共有しています。また虐待が疑われる事例が生じた際は、虐待対応マニュアルに沿って、市の保育課・子ども家庭支援センターや児童相談所などと連携し、対応することとしています。また虐待に関する研修については、外部の研修を活用しています。

ボランティアや職場体験は、マニュアルや書類を整備し受け入れを行っています。ボランティアは、保育の手伝いとして小学生・中学生・高校生・大学生など多くの受け入れを行っています。また、卒園児がボランティアとして来園するケースもあります。そのほか、周辺の中学校からの職場体験も受けれています。また子育て支援事業として、子育てに関する講演会や育児相談、園児と保育園で交流する「あそぼう会」などを実施しています。さらに今後の取り組みとして、園庭開放や散歩などを通して、地域貢献に取り組んでいきたいと考えています。

運営に係るリスクについて、最優先課題を「事故・怪我対策」とし、2番目に「0歳児の定員割れ」、3番目は「園舎の改修」としています。これらの課題についてはマニュアルを作成し、対処の方法を示すとともに、中・長期事業計画書などで対策を講じています。また具体的な取り組みとして、事故・感染症・侵入・災害などが発生した際は、ヒヤリハット・事故記録簿などに記録しています。その後、主任が集計を行い、職員会議で発生要因の分析をし、対策を講じています。さらに再発防止策は、掲示・一斉メールなどで利用者に伝えています。

事業継続計画(BCP)は、都市直下型地震および感染症を想定して作成しています。計画には基本方針のほか、復旧・復興に向けての対応や災害時行動マニュアル(災害時におけるケースごとの職員行動)が記載されています。また災害時の本部は園内とし、備蓄品は3日間用意しています。職員には職員会議などで共有し、利用者には運営委員会を通じて周知しています。

個人情報保護や情報セキュリティについては、職員会議の中で説明をし、理解を深めています。また職員は、入職時に承諾書の取り交わしをしています。個人情報や機密性の高い情報を含む文書は、鍵付きのキャビネットに保管しています。園内では、パソコンごとにパスワード設定によるアクセス制限やパスワードは年2回定期的な変更を実施しています。さらに機密文書は、シュレッダーにより破棄するなど、適切な情報の管理に努めています。今年度は、各クラスでの事務作業用のパソコンを購入しましたが、今後もICT化を進めたいと考えています。

園が求める職員像として、「意欲があり、主体性・協調性を持って働ける人」と掲げています。職員の採用はホームページやハローワーク、求人サイトなどで募集を行っています。また非常勤職員は、職員の紹介で地域の方を採用することで、必要な人材の確保をしています。加えて、職員の定着に向けた取り組みとして、宿舎借り上げ制度や職員交流会の補助などの福利厚生サービスがあるほか、有給休暇の取得も高く、出産・育児休暇の実績もあるなど、働きやすい環境を整えています。

園全体の研修計画には、職員会議と合わせて実施する研修(毎月)のほか、新人研修、外部研修(キャリアアップ研修など)があります。個人別職員研修計画に基づいて、職員を希望の研修に参加させており、研修費の補助をして受講を支援しています。研修参加後は報告書を作成し、園内で回覧・共有しています。また、職員の学びを取り入れた具体的な取り組みとして、今年度は園庭の砂場の道具の配置を使いやすくしたり、保育園まつりには、SDGsを取り入れ、牛乳パック・ペットボトル・ダンボール・広告紙などを再利用した制作に取り組みました。

キャリアパスシートに設定されている階層の数は5階層で、シートには、役割・求められる能力・習熟に必要な研修・必要経験年数が記載されています。職員は、年2回自己評価を行い、園長が面談をしています。また評価は、園長・理事長が人事考課表を基に年1回実施し、年度末の賞与に反映しています。職員の意識ややる気は個人面談で把握・分析しているほか、職員交流会を実施し、風通しの良い職場づくりに努めています。また今後の取り組みとして、待遇面をさらに改善し、職員のやりがいにつなげていきたいと考えています。

園の情報は、市や園のホームページ、担当課の窓口(園のパンフレットを設置)、来園時に配布されるパンフレット、市が作成している「保育園等入園のしおり」から入手することができます。市のホームページでは、所在地・電話番号・定員・基本保育料・受入年齢などを配信しています。地域に向けて、園のホームページで子育て支援事業「あそぼう会」の案内を配信しています。内容として、「毎月第4水曜日、0歳児クラス10時45分～12時、1～5歳児クラス9時30分～12時、7・8月は休み」を案内しています。

園のホームページでは「あそぼう会」の案内のほか、園紹介・保育目標・入園について・保育内容・園だより・クラス紹介・行事写真・歌・保護者へのお知らせなどの内容が紹介され、毎月更新して保育内容を伝えています。また行事などに取り組む子どもたちの活動の様子や行事食などは、写真を活用して配信しています。ホームページについては今後リニューアルを検討しており、園の情報がよりわかりやすく伝わるようにしていく予定です。パンフレットでは、園の成り立ち・園舎の紹介・保育目標・保育事業・アクセスなどが簡単にまとめられています。

見学は電話で随時受けています。見学日を設けており、今年度は1日3組に限定して行っています(個別対応も可)。見学希望が多い時期(9～11月)には、見学日を増やしています。見学者にはパンフレットを配付し、園長や主任・事務職員が園舎を案内しながら、基本情報や取り組み、特徴などを説明しています。特徴としては、園舎の周りは自然豊かで園庭の木々や植物で遊べること、食育に力を入れていることなどを説明しています。また、入園前の9～3月には入園体験の機会も設けているほか、「あそぼう会」への参加を促しています。

入園決定後3月中旬にオリエンテーションを開催し、園のしおりを基に、基本ルール(登降園時注意事項など)・給食・感染症・持ち物などについて説明しています。その後個別面接を実施し、園長や主任・担任のほか、栄養士が専門的な立場から園での生活や給食などについて説明しています。また書類の記入を依頼するとともに、入園までの家庭の様子・アレルギーの有無・既往症・園への要望などの聞き取りを行っています。保護者とは契約書を取り交わし、署名してもらうことで説明に対する同意を確認しています。

オリエンテーションで聞き取った内容や保護者の要望は、オリエンテーション記録に記載して全職員で共有し、その後の支援に反映しています。また入園時には、保護者や子どもの不安・ストレスを緩和するため、6日をめどに慣れ保育を実施しています。なお保護者の就労状況や要望、子どもの状況に合わせて、保育時間や期間を調整しています。一緒に過ごす(一緒に遊びや食事とする)機会も設け、安心してもらえるように配慮しています。状況に応じて、慣れ親しんだミルクや使い慣れたタオル、ぬいぐるみなどの預かりもしています。

転園・退園児に対して、写真付きのお別れカードや絵をプレゼントしています。卒園児には、アルバム・文集・絵・手提げバック・コサージュなどをプレゼントしています。また就学先に、保育所児童保育要録や就学支援シート(保護者の同意の基)を送っています。また、卒園した子どもに対して、「むさしっこだより」(会報)と毎年9月に実施している「むさしまつり」に関する案内はがきを送付して招待しているほか、春の親子遠足や運動会にも卒園児を招待しています。卒園児が企画したお店も準備して保護者も一緒に楽しめるイベントになっています。

全体的な計画は、保育方針として理念や運営方針と保育課程・年齢ごとの保育目標や姿・基本的生活習慣の目安・保健・食育計画・地域との関わりなどを冊子にまとめています。この全体的な計画を基に保育目標を反映して、年齢ごとの年間計画や月間計画が作成され、具体的な保育活動は週案の中で表現しています。行事や保健、食育なども含めて子どもの状況に合わせた活動を計画し、無理のない活動を支援しています。

子ども一人ひとりの状況は入園時に確認するとともに、日々の状況については日誌に個人欄を設けて記録しているほか、定期的に児童票(0～2歳児は毎月、3～5歳児は隔月)に記録しています。年齢ごとの発達の目安や取り組み、活動の様子は毎月のクラスだよりや懇談会などで保護者に伝えています。個別指導計画は3歳未満児と配慮が必要な児童について作成しています。一人ひとりの成長の様子や目安については、連絡帳や個人面談でわかりやすく伝え、子どもの発達や成長を共に確認しながら子育ての視点を共有しています。

子どもの状況などに関する情報を職員間で共有するために、全体的な計画は、非常勤職員を含めた全職員と保護者に配布しています。月間計画などについては、毎月の職員会議で、園に関わる全ての職員が参加して内容を共有しています。クラスの様子や子どもの成長なども報告し、課題があれば話し合いをしています。日々の子どもや保護者の様子で伝えたいことは「職員連絡ノート」に記録し、出退勤の際に必ず閲覧することとしており、チェック欄を設けています。

一人ひとりの子どもの発達や生活状況などは、入園時の面談や送迎時の会話、連絡帳などを活用して確認し、個別の発達記録や児童票に記録しています。日々の活動の様子や成長状況については、日誌や個別欄に記録しています。園舎は木のぬくもりが感じられ、落ち着いた空間が作られています。室内は年齢に合わせたコーナーを設置し、手作りの玩具なども準備しており、子どもが自由に取り出して、関心を持って遊べるように配慮しています。また広いテラスやたくさんの樹木と植物に囲まれた園庭では、子どもがのびのびと遊び、楽しんでいます。

当園は低月齢の0歳児以外は、0・1歳児、1・2歳児、2・3歳児、4・5歳児の2学年ごとでのクラス分けをしており、園舎の構造が平屋建てということもあり、日常的に異年齢で過ごしています。一緒に散歩に行ったり、自然に小さい子のお手伝いをする姿が見られ、互いに思いやりや労り、憧れの気持ちが育まれています。異文化に触れる機会として、外国籍の児童の持ち込み弁当で母国の食事などを知る機会や、世界地図を掲示して関心が持てるようにしています。日本の文化に触れる機会として、お餅つきや節分の給食で行事食を提供しています。

配慮が必要な子どもを受け入れ、日常の保育の中で一緒に過ごし自然に関わりながら共に成長していけるように支援しています。必要に応じて専門機関との連携や、保健師や医師のアドバイスを受けながら、援助の仕方を工夫して保育に活かしています。発達の過程で生じる子ども同士のトラブルに対しては、互いの気持ちを尊重・理解し、見守りや必要に応じた仲裁をし、自分達で解決できるよう導いています。就学への取り組みとしては、今後小学校訪問などが実現されていくことに期待しています。

登園時には、視診や連絡帳の内容を確認するとともに、保護者との会話から家庭での様子や体調の聞き取り、健康状態を確認しています。保護者からの連絡や子どもの様子は、必要に応じて職員連絡ノートに記録し、職員間で共有しています。降園時には、連絡帳を活用するとともに、可能な限り個々の保護者とコミュニケーションをとり、当日のエピソードを伝えています。クラスの活動の様子は日表の子どもの様子欄に記載しているほか、写真の掲示やビデオ撮影を行い、観てもらう取り組みもしています。

基本的な生活習慣の大切さについては、保護者へも配布されている全体的な計画に、年齢ごとの目安や自立に向けた取り組みが明記されているほか、日々の会話や保護者会を通して保護者に伝え、園と連携して身に付くように援助しています。排せつについては一人ひとりの排尿間隔を把握し、トイレに促しています。着脱は脱ぎ着しやすい衣服を準備してもらい、自分で出来る喜びを感じられるようにしています。箸の使用は3歳児からスプーンが正しく持てることを基本に、順次移行しています。歯磨きは紙芝居や絵本を活用して、正しい磨き方を伝えています。

午睡は年齢ごとに基本的な長さや時間帯を決めていますが、年齢や健康状態・家庭での生活リズムなど、一人ひとりの状況に合わせた入眠時間や長さ、時間帯の配慮をしています。就学へ向け5歳児については、午睡は身体を休める時間と捉え、時間の短縮または週2回ほど寝ない日を作るなどしながら、無理なく進めています。午睡の無い日には机上遊びなど静かに過ごしています。卒園制作をするときにはグループごとに活動し、周りの眠っている子にも配慮できるように促しています。

室内は玩具棚やパーテーションを活用して、絵本やお話、ままごとなどのコーナーを設置し、子どもが自由に遊びを選択し、遊び込めるように環境を整えています。自由遊びの時間は恵まれた環境を活かして、天候の良い時には園庭遊びを楽しんでいます。ブロックなどの作品は、保護者が迎えに来るまで展示しています。集団活動は、日常的な異年齢での活動の中でも一人ひとりを大切にしながら、ルールのある遊びを取り入れ、友だちと一緒に遊ぶ楽しさを伝えています。生活する中で必要なルールについては、朝の集まりの中で話す機会を設けています。

当園は平屋作りで玄関を挟み、0歳児室、0・1歳児室、1・2歳児室、2・3歳児室、4・5歳児室に分かれており、玄関奥少し段を上がったところに絵本コーナーが設置されています。クラスにも絵本を置いていますが、絵本コーナーに子どもたちが集まり親しむ姿が見られています。乳児期から丁寧な語り掛けと、生活や遊びの中で保育士と言葉をやり取りし、会話を楽しむようにしています。表現活動は、誕生会で歌の披露やリズム体操を行っています。描画や制作活動も行い、空き箱などの素材や道具を準備して自由に制作を楽しめるようにしています。

たくさんの木々や植物が植えられた広い園庭と、園舎周りの豊かな自然など恵まれた環境を活かして、積極的に戸外遊びを行っています。2～5歳児クラスは、1日に3回は戸外で体を十分に動かして遊んでいます。園庭ではボールや鬼ごっこ・砂遊び・泥遊び・ままごとなどのほか、のびる・フキノトウ・柿・みかん・さくら・いちょう・もみじ・からすのえんどう・からすうり・しろつめくさなどの植物や、ダンゴムシ・ミミズ・セミ・コオロギ・蝶々・トンボ・カブト虫・クワガタ・カナブンなどさまざまな生物に触れられ、四季の移り変わりを感じています。

七夕や節分、ひな祭りなどの伝承行事や成長を感じ取れる運動会やお泊り保育(4・5歳児)、ほいくえんまつりや新年を祝う会など、子どもが興味を持ち楽しく行事に取り組んでいます。職員と保護者が企画する「むさしまつり」や子どもたちが中心となって行う「保育園まつり」なども実施しています。「むさしまつり」(今年度中止)は地域の人も招待して、模擬店やフリーマーケット、卒園児がお店を出店し、子どもたちを楽しませています。園の創立を祝う「むさしのたんじょうを祝う会」は新年を祝う会として実施しています。

今年度の運動会は2日に分けて行い、2～5歳児については保護者の参観時間をわけて行いました。例年であれば全クラスの参観を実施していますが、クラス毎で行うことでメリハリのある運動会となりました。「保育園まつり」は焼き芋とお店屋さんごっこを楽しみました。必要なものとその制作については意見を出し合い、友だちと協力して作り上げる達成感が感じられる活動になっています。今年度は、4・5歳児のお泊り保育(例年1泊2日)は泊まらずに朝から行い、縁日・すいか割り・キャンプファイヤー・花火などさまざまな活動を行いました。

毎月誕生会を実施し、歌や職員の出し物、各クラスの出し物でお祝いしています。誕生児には写真や手形、メッセージが入った手作りカードをプレゼントしています。また給食にお赤飯、おやつに手作りケーキを提供しています。保護者の行事への理解を得る取り組みとして、年度当初に年間行事予定表を配布し、保護参加の行事に見通しをもって参加してもらえるようにしています。行事の前には園だよりや日々の連絡帳などで日程や内容、子どもの取り組みの様子を伝えています。保護者が参加していない行事については、写真販売や園だよりなどで伝えています。

長い保育時間の中でも木のぬくもりが感じられ、子どもが快適に過ごせるようにクラスごとに環境を整えています。クラスにはコーナーが作られ、年齢や発達を十分に考慮し、好きな遊びや玩具を選んで落ち着いて遊べる空間を作っています。また発達に合わせた玩具を取り出しやすく設置しています。畳コーナー・絵本コーナー・おはなしコーナー・保健室では、必要に応じて体を休めることができるようにしています。一人になりたい子どもは、絵本コーナーや事務室で気分転換を図り、クラスに戻れるようにしています。

0歳児の低月齢児以外は2学年ずつのクラス分けになっており、日常的に異年齢で過ごしています。気候が良ければ広いテラスを活用しての活動や、朝夕は園庭で戸外遊びを行っており、自由遊びの中で0～5歳児が関わり、一緒に遊ぶ姿が見られています。18時には全クラスが合流し降園まで過ごしますが、自然に関わる姿が見られています。合同保育時間帯専用の玩具も準備して、日中とは違う遊びや個別対応が出来るように配慮しています。また担当職員はシフト制ですが、専従の非常勤職員を配置し、顔なじみの中で安心して過ごせるようにしています。

乳児クラスでは、食事と生活の場を分け、落ち着いて食事が出来るようにしています。3～5歳児は、グループごとに会話を楽しみながら食事をしています。職員も一緒に食べ「おいしいね」を共有しますが、今年度は見守りの姿勢で食事のマナーなどを伝えています。椅子やテーブルは年齢や発達に合わせて使用し、正しい姿勢で食べられるようにしています。2～5歳児は一人用の机を購入し、就学に向けた取り組みも行っています。今年度は会食はできませんでしたが、テラスでの食事や行事の際にはクラスごとに雰囲気づくりをして食事を楽しみました。

献立は園の栄養士が立て、季節の旬の食材をとり入れた和食中心の安心安全な給食を提供しています。離乳食期間は毎日子どもの喫食状況を確認し、次回の調理方法に反映しています。行事では室内装飾や行事に合わせた飾り切りなど盛り付けを工夫し、見た目も楽しい給食を提供しています。誕生会での赤飯や子どもの好きなリクエストメニューも提供しています。食物アレルギーのある児童については、医師の指示により代替食または除去食を提供しています。専用のトレーとアレルギー別に食器も色分けして提供し、職員が必ずついて誤食防止に努めています。

食育については年齢ごとに計画を立て、食具の使い方や食へのマナー、栄養について学ぶ機会を設けています。給食室は園の中心にあり、いつでも調理の様子を見ることが出来ます。また園には広い畑があり、1年を通してピーマン・ゴーヤ・万願寺とうがらし・じゃがいも・さつまいも・こまつな・トマト・大根・カボチャ・きゅうりなどの野菜作りを体験しています。収穫した野菜は給食室で調理し、炒め物や天ぷらなどにして提供しています。今年度は特に大根とさつまいもが豊作で、その日に使う大根抜きや皮むきなどのお手伝いをする機会を作りました。

保健年間計画に沿い、毎月の避難訓練や散歩の際に、道路の歩き方や交通ルールについてと、公園では遊具の使い方などを伝えています。健康面については、正しいうがいや手洗いの仕方、衣服の調節やはだし保育を行い、身の回りの危険や健康について話す機会を設け関心が持てるようにしています。園内の事故や怪我防止に向け、廊下の衝突防止の張り紙や乳児クラスの柵やサッシの角のクッション材加工、危険個所のチェック表を作っています。日頃から広い園庭での戸外遊びを取り入れ、十分に体を使って遊ぶことで、丈夫な体作りと体幹を鍛えています。

嘱託医による年2回の内科検診や毎月の身体測定を実施し、子どもの健康管理に努めています。医療的なケアが必要な子どもに対しては、必要に応じて専門機関との連携や保護者とも連絡を密に取り、適切な対応方法のアドバイスを受け支援しています。与薬は基本的に行っていませんが、医師の指示により必要な時には、薬依頼書を提出してもらい預かっています。アナフィラキシー緊急補助治療に使用する緊急用キットや自動体外除細動器(AED)の使い方については、市主催の研修や救急救命講習で学び緊急時に備えています。

子どもの感染症など健康については、入園のしおりに記載しており説明会で説明しています。季節で流行する病気や生活習慣などについては、毎月園だよりを発行し、注意事項などを掲載しています。園内で感染症が発症した際は、情報を玄関掲示で提供・注意喚起し、保健所や行政からのお知らせも掲示しています。乳幼児突然死症候群(SIDS)については、対象保護者への説明とポスターを掲示しています。また午睡チェックを実施し、呼吸や体位を確認しています。職員は感染症やSIDSに関して、東京都や保健所の研修に参加して学んでいます。

保護者の就労状況は入園時の面談で把握し、基本的な保育時間を決めています。急な残業などによる時間の変更には柔軟に対応しています。子どもの様子は送迎時にできる限り一人ひとり声かけすることで、保護者とのコミュニケーションを大切にしています。また日表の子どもの様子欄、ホームページの行事の写真などでも伝えています。個人面談も実施し、子どもの成長の様子や目安を伝え、育ちを共有しています。保護者対応については、東京都の研修などに参加して学び、保護者に寄り添った対応で信頼関係構築に努めています。

保護者同士が交流する機会として、年3回の懇談会や保育参観や参加(今年度は中止)、保護者参加の行事、父母会などがあります。なお、今年度1回目の懇談会はオンラインで行いましたが、どこからでも参加できるため参加率もよく好評でした。また父母会には、広報・渉外・財政・企画の4つの部会があり、保護者は全員いずれかの部会に入ることになっており、活動の中で交流しています。同じクラスの保護者同士が連絡を取り合い、園を介さない交流も見受けられます。また、保護者同士が交流する場として保育室を貸し出しています。

子どもの発達や育児などについては、保護者会や個人面談・園だより・クラスだより・送迎時の会話などを通して、子どもにとって大切にすべきことや成長の目安について伝え、共通認識が持てるようにしています。保育参観(参加)や保育士体験、行事に参加を呼びかけ、実際に活動の様子を見てもらい共に成長を喜び合うことで、保護者と子どもの育ちを共有しています。また、保護者と職員が共に学ぶ場を年に数回設けています。今年度は実施できませんでしたが、今後育児に関する内容を企画し、地域の人にも参加を呼び掛けていく予定です。

病院の敷地内にある当園は、広い園庭とその奥に広がる病院のグランド、畑などに囲まれた環境にあり、日々の散歩コースにもなっています。また避難訓練の際には、消防署の指導により消火訓練を実施しています。またお泊り保育(今年度は「夏祭り」に振り替え開催)では、夕食の買い物で商店街に出かけています。その他、図書館に出かけて本を借りたり、以前は病院敷地内にあるデイケアセンターと交流する機会も設けていました。

子どもが職員以外の人と交流できる機会として、ボランティアを延べ53人、職場体験として2校8名を受け入れています。そのほか、インターンの受け入れも行っています。また、今年度はコロナ禍で制約が生じていますが、本来は運動会やむさしまつり、保育園まつりなどには地域の方を招待し、交流を図っています。また子育て支援事業として「あそぼう会」を月1回実施し、一緒に散歩するなど在園児と交流する機会を設けています。

個人情報の取り扱い(情報の収集・利用・提供、安全対策、法令・規範の遵守など)については、全体的な計画と別紙にて入園説明会で説明し、同意を取っています。その後必要が生じた際には、その都度同意を得ることとしています。子どもの羞恥心に対する配慮については、トイレは年齢に応じてドアを設置するとともに、廊下の突き当りにトイレがあることから、入り口近くの便座の前には衝立を設置しています。また遊びの際には、年間を通して生垣によって周りからの視線を遮っているほか、着替えの時に全裸にならない着替えの仕方を伝えています。

子どもの人権については「保育理念」や「保育方針」に、一人ひとり大切にすることや子どもの基本的人権の尊重について明記されており、子どもの気持ちに寄り添った対応を心がけています。肯定的な表現(具体的にほめる、感謝の気持ちを言葉で伝える、ダメ！ではなく、こうした方がいいよなど)を使い、自己肯定感(自分が認められていることを感じる)を育んでいます。職員の自らの言動を振り返る機会としては、自己チェックを年1回実施してます。今後、人権尊重について学ぶ機会を持つことを検討しています。

子どもと保護者の価値観や生活習慣については、個人面談や連絡帳などで保護者の要望を把握し、出来る限り思いに応えられように配慮しています。虐待や育児困難家庭については、会議で議題に上げての話し合いや、研修に参加して報告や資料を回覧することで、全職員の理解を深めています。また全体的な計画に子どもの心身状態・発育・表情・服装などを観察することを明記し、保護者の理解を求めています。虐待が疑われる場合や気になるケースを発見した際は、速やかに市や関係機関と連携する体制を整えています。

マニュアルは、安全管理・感染症・乳幼児突然死症候群・食物アレルギー・災害時・虐待の対応・個人情報保護方針などを一冊にまとめ、事務所に保管しています。また全体的な計画には、健康管理や保育計画の柱・年齢ごとの姿・基本的生活習慣の目安などについて明記されています。職員は分からないことが起きた場合や手順に疑問が生じた時などに活用し、基本事項を確認し、業務の標準化を図っています。現在は、新たに職員の手引きを作成しており、新規入職した人に配布できるように準備を進めています。

サービスの基本事項や手順については年度末に見直し、必要に応じて変更・改変しています。保護者からの意見や要望は、行事後などにアンケートを行い把握しています。保護者から要望に取り組んだ事例として、業者による動画販売や、オンラインで子どもの活動の様子の配信を行いました。職員からの意見としては室内のコーナー変更や、長年子どもたちが楽しんだ園庭遊具の老朽化による撤去を行うなど、サービス向上に向けた取り組みをしています。