東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

法人は運営理念は「おもいっきり遊ぶ。思いっきり学ぶ」で、運営方針は「利用者志向に立った安全・安心で質の高いサービス」としています。法人のビジョンや理念について職員の理解を深める取り組みとして、新任職員研修を行っています。園自体が小規模のため、一人ひとりに合わせた少人数保育の徹底を保育の基本としています。入園説明会で保護者に保育方針などを説明し、理解を得るよう取り組んでいます。保育の全体的な計画など指導計画は、入園のしおりおよび重要事項説明書を添付して、保護者に説明しています。

経営層の園長の役割と責任は、施設長業務マニュアルに記載されています。園長は職員会議などで、職員の教育など自らの役割を伝えています。運営方針は職員会議で職員と確認しています。今年度着任した新任の園長は、職員の話を多く聞き、職員がどのような思いなのか、悩みや不安などをコミュニケーションを深めて把握していくことで、楽しく仕事が出来るように職員を導きたいと考えています。法人(支部)はスーパーバイザーを配置し、担当の園の保育内容などについて巡回やメールなどのやり取りを通じて、園運営をサポートしています。

園内の重要な案件は、職員会議において検討・決定しています。会議議事録を回覧して、非常勤職員にも決定事項を周知しています。最近検討した重要案件として、来年度の保育園運営があります。コロナ禍を見据えて、在宅家庭の子育て支援で何が出来るかを検討しました。園内の決裁の仕組みについては、業務マニュアルに記載しています。決定事項は、利用者には園だよりで伝えていますが、緊急案件については、スマホアプリの一斉メールで連絡しています。園児募集など地域に関連することは、外掲示板で近隣住民に伝えています。

利用者のニーズは、例年保護者代表や有識者がメンバーに加わる園の運営委員会で把握していますが、今年度はまだ開催出来ていません。そのため、保護者との日々の会話でニーズの把握に努めています。利用者意見に対応した取り組み事例として、コロナ感染症対策があります。園として個別に登園自粛の要請をして、感染の発生を防止しました。職員のニーズは、個別面談により把握しています。職員の提案・要望に対しての取り組み事例として、食事中を黙食とするコロナ対応策を実施しました。

法人職員または保育職員として守るべき法や規則は、就業規則に明記されています。就業規則は事務所内のキャビネットに保管しており、職員はいつでも閲覧することができます。新入社員は就業前にコンプライアンスやビジネスマナーの研修を受けて、理解を深めています。また理解度を確認するため、法人は毎年12月から年度末に理解度テストを実施しています。守るべき法や規則に対する理解度が不足している職員に対しては、職員が個人的に学んで理解を深めるよう支援しています。

苦情受付と苦情解決は、園長が担当しています。苦情解決制度については、重要事項説明書や玄関掲示で利用者に伝えています。利用者から意向や要望を伝えられた際は、園が第一義的に解決に向けて取り組みますが、内容に応じて第三者委員と連携したり、法人のコールセンターで対応しています。また、職員の子どもに対する言葉遣いや立ち振る舞いの規範を示した保育マニュアルや虐待対応マニュアルを整備しています。そのほか、職員はOJT研修で対応方法を学んだり、人権擁護のセルフチェックで虐待防止の理解を深めています。

運営に係るリスクとして、最も優先度の高いリスクは「園児の定員確保」についてです。その背景として、認可保育園の増加や区内に待機児童がゼロという地域事情があります。そのためホームページやポスターで園児の募集をしています。2番目に優先度の高いリスクが「採用強化」となっており、法人本部が中心となって職員の募集をしています。3番目のリスクが「設備の老朽化」です。築年数の長いビルに16年前から入居しており、エアコンなど室内設備の老朽化が見受けられるため、リスクとして認識しています。

園長は区主催の危機管理研修に参加して、研修内容を職員に伝えて共有しています。感染症の情報は区のメールで把握し、利用者には一斉メールで周知しています。また事故防止に向けて、ヒヤリハットの事例を職員間で回覧して共有しています。事故や怪我が発生した際は、事故報告書や保健日誌に記録し、発生要因は職員会議で分析しています。

運営法人はプライバシーマークを取得しており、個人情報の取り扱いを適切に行う体制を整えています。そのため個人情報保護トレーニングを行って、情報管理のルールの徹底に取り組んでいます。個人情報など機密性の高い文書は、事務所内で施錠付き書棚で保管しています。またパソコンごとにパスワードを設定してアクセス制限を設け、3カ月ごとにパスワードを更新しています。さらに個人情報の利用目的や、開示請求方法の明示、写真の掲載や取材の可否を確認するため、利用者に個人情報の取り扱いに関する同意書の提供を求めています。

園は不足している職員の募集を自園のホームページで行っていますが、採用する人事権を持っているのは法人支部です。そのため法人支部に人材の採用を申請して、職員を確保しています。法人支部は養成校やハローワークなどでも求人活動を行っています。現在は、3年程度の経験年数があり、かつOJTを担える中堅リーダーを求めています。

職種別の研修計画は、研修計画表に明示されています。個人別研修計画は、正規の保育士を対象に策定しています。職員一人ひとりの育成の希望や経験は、面談記録や人事考課シートに記録して、職員育成に活用しています。また育成の成果を職員会議で確認し、目標管理シートに記録しています。目標管理シートは目標と達成度が一目で分かるようになっており、人事評価に連動しています。さらに職員は自己評価シートで振り返りを行い自身の課題を抽出し、スキルアップにつなげています。

園長は安心して働き続けられる職場作りを目指して、就業状況の改善に取り組んでいます。職員の有給休暇の取得率は100％で出産・育児休暇の取得実績があります。また職員の意識ややる気を個別面談で把握し、良好な人間関係を育むために職員とのコミュニケーションを大切にしています。また職員の気づきや提案を受け入れてサービス向上につなげており、玩具を細かく分類し、選びやすいように収納場所を決めました。また、手作りプレゼントの制作などを園内プロジェクトを立ち上げ、園全体で取り組みを行っています。

入園、または見学を希望する保護者は、区や法人のホームページの閲覧、担当課の窓口や区が作成している港区子育てハンドブック「みんなとKIDS」(区のホームページからダウンロード可能)などから園の情報を入手することが出来ます。区のホームページでは認証保育所一覧(所在地・電話・年齢ごとの定員と空き状況)などの情報が配信されています。子育てハンドブックには、妊娠から就学までの育児に関することや相談、保育園や幼稚園の所在地や電話・開所時間などの情報が記載されています。来園者にはリーフレットを配布しています。

法人のホームページでは、法人の保育テーマ「おもいっきり遊ぶ、おもいっきり学ぶ」や保育理念、保育方針・保育目標・多彩なカリキュラム・園での1日・年間スケジュールを配信しています。園のホームページでは、園の概要・施設紹介動画・食事「月ごとの献立」・お知らせとしてその日の子どもの活動を写真を活用して伝えています。見学者に渡している法人が作成した三つ折りのリーフレットは、「おもいっきり」と題して、カリキュラムや食事への取り組みなど要所をまとめています。外国籍の方に向けたリーフレットは、現在製作中です。

見学は平日10時からと15時30分から実施しており、事前に電話で予約してもらい、玄関から見学してもらっています(感染症対策のため)。見学の主な対応は園長が行い、パンフレットに沿って法人の保育に対する考えなどについて説明しています。法人の保育テーマ「おもいっきり遊ぶ、おもいっきり学ぶ」(遊びや学びの中で人との関わり、自分のカラーを見つけていく)について説明しています。また特徴として、0～2歳児までの小規模園であり、玩具を手作りしていること、家庭的な雰囲気で一人ひとりin丁寧に関わっていることを説明しています。

当園は認証保育施設で、契約は園と保護者が直接行っています。見学後に保護者の入園の意思を確認し、待機表を渡して空きが出たら連絡し、再度来園してもらい、入園面接を実施しています。入園案内(重要事項説明書)・児童表・生活状況調査票などを渡し、園長が入園案内の沿って、園の概要・保育方針・保育内容・食事・健康管理・保育料などのほか、持ち物についても説明し、説明した旨の同意を得ています。加えて書類の記入を依頼し、入園までの生活状況や、アレルギーの有無、既往症などの聞き取りをしています。

入園面時に把握した保護者の意向や園児の状況は、入園面接記録に記録し、把握した内容は職員会議などで報告し職員間で共有しています。入園当初には、2週間を目安として慣れ保育を実施しています。慣れ保育については入園前に説明し、保護者の就労状況と子どもの様子を踏まえて、時間や期間を調整しています。園での子どもの様子(食事やほかの子との関わりなど)は、通信アプリや口頭で伝え、安心できるように配慮しています。また職員のきめ細かい関わりと個々に合わせた時間や期間の設定で、無理なく園に慣れていかれるように配慮しています。

転園や退園、卒園(2歳児までの園なので、3歳からは必ず転園)をする子どもには、職員による寄せ書きや作品集(思い出帳)をプレゼントしています。転園先に子どもの情報を提供する仕組みはありませんが、必要に応じて情報を引き継いでいます。またいつでも相談してくれて構わないことを伝え、不安を軽減するように努めています。さらに園独自の取り組みとして、卒園(転園)する子どもには手作りの「修了証書」を渡しています。

法人が作成した「全体的な計画」(園ごとに実情に合わせて変更または加筆)を基に、年齢ごとの年間・月間指導計画を作成しています。具体的な保育活動は、週案の中で表現しています。保育目標は「すくすく育つ、わくわく遊ぶ、いきいき過ごす」とし、「おもいっきり給食」などの食育も含めて、子どもの状況に合わせた活動を計画しています。0～2歳児の保育日誌は、個別の記録欄を設けて記録しています。子どもの成長の記録は、隔月ごとに児童票に集約しながら記録しています。また健康診断や毎月測定する身長や体重は、健康の記録に記載しています。

「全体的な計画」は入園案内(重要事項説明書)に添付し、保護者に周知しています。年齢ごとのこれからの子どもの成長や目標、取り組みなどについては、園だよりやクラスだよりなどで全体的な様子を伝えています。個別の計画は、0～2歳児と支援を要する子どもについて作成しています。保育日誌は、個別に記録欄を設け毎日記載しています。子どもの状況については、保護者会や個人面談、通信アプリや送迎時の会話などで伝え、子どもの発達や成長を共に確認しながら子育ての視点を共有しています。

月間の計画については、毎月職員全体会議で共有し、全職員が同じ視点で支援・援助ができるようにしています。またクラス別会議を毎月3回開催し、年齢や子どもの状況に合わせた保育内容を検討しています。子どもや保護者のその日の状況については、昼礼(10分)を実施し、「職員連絡ノート」に記録して職員間で共有しています。出席できなかった職員は、口頭での報告やノートの閲覧で確認し、確認後にはサインをしています。園日誌やクラス日誌、各種申し送り表は、タブレットに保管されており、全職員が確認できるようになっています。

一人ひとりの子どもの発達の過程や生活環境は、入園時の面談や送迎時の会話、通信アプリなどで全体的な姿を把握しています。当園は小規模のため玄関から全体を見渡すことができ、生活環境のコンセプトでもある「家庭のような保育室」としての環境づくりをしています。生活目的に応じた食事や着替え、昼寝などのコーナーや、遊びに応じたままごと、絵本などのコーナーを設けています。また自由に玩具を出し入れしながら好きな遊びを楽しみ、マットで仕切って集中して遊べるように工夫するなど、子どもが主体的に活動できるように配慮しています。

当園は、ワンフロアを玩具棚で仕切りることで0歳児室と1・2歳児室に分け、1・2歳児は常に異年齢で過ごしています。2歳児は乳児ながらも年上として年下の子どもの面倒を見る姿が見られ、思いやりや労りの気持ちが育まれています。0歳児も担任同士で話し合い、週の中で散歩に一緒に行くなどの計画を立てています。さらに夕方には毎日一緒に散歩に行っています。また異文化に触れる機会として、外部講師による英語の時間(月2回)を設けており、0歳児から遊びながら英語を楽しんでいます。

現在支援を要する子どもの在籍はありませんが、受け入れた際には必要に応じて福祉型児童発達支援センターの専門職員に来てもらい、支援方法などの助言を受け、保育に反映するように体制を整えています。発達の過程で生じる子ども同士のけんかやかみつきなどについては、年度初めの保護者会で説明し、理解を得ています。噛みつきなどを未然に防ぐ工夫として、遊ぶ場所を別にしたり、職員配置を考慮して迅速に行動できるようにしていす。

登園時には、視診とともに通信アプリや保護者との会話から、家庭での様子・体温・体調などについて聞き取りを行い、朝保育の担当保育士や担任が確認しています。保護者からの連絡事項は通信アプリに入力し、全職員が確認できるようにしています。日中の子どもの様子は、通信アプリや職員ノートで担任から担当職員に引継ぎ、その日のエピソードを出来る限り口頭でも伝えられるようにしています。降園時には、通信アプリやホームページでその日の活動を写真やイラストなどを活用しながら伝えています。

基本的な生活習慣ついては、月間指導計画に基づき指導しています。保護者にも年度始めの懇談会や保健だよりなどで大切さを伝え、家庭と連携した支援を心掛けています。排せつについては、家庭での様子も踏まえ個々の間隔を把握し、職員の支援により1歳児からトイレに促しています。トイレに行くことが楽しくなるよう、子どもの好きなイラストを貼っています。着脱については、脱いだ服を畳んで袋に入れる練習をしています。また指先を使う手作り玩具を用意し、ボタンかけへとつなげています。箸については、正しいスプーンの持ち方を伝えています。

午睡は、年齢ごとに基本的な長さや時間帯は決めていますが、健康状態や家庭での生活リズムを考慮し、一人ひとりの状況に合わせた入眠時間や休息時間を調整しています。必要に応じて、午前寝など休息が出来るよう環境を整えています。なお午睡の際は、布団やタオルケットなどの寝具を使用し、0歳児は必要に応じてベッドを使っています。眠れない子どもについては、絵本を読むなど静かに過ごしています。

室内は、ワンフロアを分けて0歳児と1・2歳児の部屋があり、子どもの興味や関心、発達に合わせた玩具を準備し、ままごとや絵本コーナーなどを設置しています。異年齢で関わる機会もあり、子どもたちは玩具や遊びを自由に選んでじっくり遊び込んでいます。1・2歳児クラスは低い玩具棚やパーテーションで仕切っていますが、稼働式になっており、活動内容に応じて広い空間を作り、室内でも十分に体を動かして遊ぶこともできます。また節分などの行事を通し、年齢に合わせた無理のない声かけで、みんなで遊ぶ楽しさも伝えています。

0歳児から月齢に合わせた優しい言葉がけや遊びの中で発語を促し、言葉のやり取りが楽しめるように援助しています。また毎日絵本の読み聞かせを行い、絵本コーナーを設置して絵本に親しめるようにしています。さらに月2回、外部講師による英語教室やリトミックを実施しており、リトミックでは音楽に合わせて動物などさまざまなものを体で表現しています。子どもたちも毎回楽しく参加しています。また毎月、年齢や季節に合わせた絵画や作品作りをしています。

園庭はありませんが、天気の良い日には積極的に戸外遊び(朝夕の散歩)を取り入れ、体を十分に動かし気分転換を図っています。近隣にはさまざまな公園が点在し、年齢や目的に合わせて出かけています。公園では四季折々の植物や昆虫にふれ、固定遊具や砂場での遊びを楽しみ、季節の移り変わりを体感しています。落ち葉など自然物は、制作に活用しています。生活の中でのルールは、遊びの中で伝えています。また公園で遊ぶときには遊具の使い方などをわかりやすい表現で、一定のルールがあることを伝えています。

豆まき会やひなまつりなどの伝承行事(絵本や紙芝居を活用して内容を告知)のほか、運動会や発表会(クリスマス会)など成長を感じられる行事を実施しています。子どもが興味を持ち、自ら進んで楽しく取り組めるような内容を考慮し実施しています。行事は日々の保育の積み重ねを大切にし、子どもの成長や状況を捉えて、無理なく取り組めるように配慮しています。運動会は本来、小学校の体育館を借り保護者参加で行なっていましたが、今年度は実施できませんでした。発表会も子どもたちだけのクリスマス会を楽しみました。

誕生会は園全体で行ない、職員の出し物や職員手作りの誕生カードやメダルをプレゼントし、お祝いしています。おやつにはケーキを提供しています。保護者には年度初めに年間行事予定表を配布し、保護者参加の日程調整など見通しを持って参加できるようにし、活動の内容や目的は園だよりなどでに伝えています。また子どもの成長を感じてもらう機会でもあると考え、日常の活動の中で積み重ねてきた内容で、普段の子どもの姿が伝えられるように努めています。保護者が参加しない活動の様子は、園のホームページや写真を販売して伝えています。

0歳児クラスは奥の独立した部屋を使用し、1・2歳児はワンフロアで低い玩具棚などを活用してクラス分けをしています。少人数に分かれて遊ぶこともでき、家庭的な雰囲気の中でくつろげる環境になっています。室内は子どもの興味や関心、成長に合わせた絵本やままごとなどのコーナーを設置し、1・2歳児は自由に行き来しながら好きな玩具を選んで遊びを楽しんでいます。またコーナー遊びの際にはマットを敷き、ゆっくり遊んだり、時には横になって休息できる環境を作っています。

16時30分には3クラスが合流し、1・2歳児クラスを使用して降園まで過ごしています。この時間帯は、自由に好きな遊びをゆっくり楽しめるように、ままごとや絵本などの玩具を用意し、安全に配慮しながら、それぞれの年齢が楽しく遊べるようにしています。日頃から全年齢が交流する機会があり、乳児ながら年上の子が年下の子の面倒を見る姿も見受けられます。小規模園である利点を活用し、延長保育の時間帯は保育士と1対1でスキンシップを図りながら、日頃の顔なじみの中で子どもが安心して過ごせるよう配慮しています。

給食は、年齢ごとに家庭的な雰囲気の中で落ち着いて食事をとれるよう環境を整えています。椅子やテーブル、食具は年齢や発達に合わせて使用し、正しい姿勢や持ち方で食べられるように指導しています。食物アレルギーのある子どもについては、医師の診断書や指示書に基づいて代替食を提供しています。保護者には毎月献立表の食材チェックの確認を依頼し、提供する際には色違いの食器やトレ－を使用して先に配膳しています。また給食職員と担任、担任同士のダブルチェックを行ない、必ず担当職員を配置して誤食のないように努めています。

献立は法人統一で、旬の食材をとり入れ、栄養に配慮した和食中心の給食を提供しています。行事の際には野菜の型抜きや盛り付けなどを工夫し、園オリジナルの見た目も楽しい給食の提供を心掛けています。日々の食事への取り組みを大切にし、給食方針や給食目標を明確にしており、「おもいっきり給食」として、三大アレルゲン(乳、卵、小麦)を使用しない給食を提供しています。栄養士や調理師は、毎日子どもとふれあいながら配膳などに参加しています。今年度は感染症対策のため、野菜の栽培や調理体験(1、2歳児)を実施できませんでした。

毎月の避難訓練(地震・火災時の避難の仕方や防災頭巾の被り方)の実施や、怪我を防止するため、散歩に出かけた際には道路の歩き方や遊具の使い方を伝えています。また園内の事故や怪我防止に向け、危険個所マップを作成し、職員間で確認しています。子どもたちが健康に対して関心を持つように、看護師がうがいや手洗いの正しいやり方を伝えたり、積極的な戸外遊びで丈夫な体作りをしています。また嘱託医による年2回の内科健診と歯科検診、毎月の身体測定を実施し、専門機関とも連携し子どもの健康管理に努めています。

医療的ケアが必要な子どもに対しては、嘱託医や主治医と相談しながら適切な支援をしています。与薬については、入園のしおりに明記し、基本的に行なっていませんが、熱性けいれんや食物アレルギーなど慢性疾患については医師の指導のもと、与薬依頼書を提出してもらい預かっています。また子どもの病気や感染症については、入園時や保健だよりで季節で流行する病気や予防法などの注意事項、子どもの健康に関する情報を伝えています。園内で感染症が発症した際は、速やかに発生状況をメール配信し、注意喚起しています。

乳幼児突然死症候群(SIDS)については、入園前面接で保護者に園の対応方針を伝えています。午睡時には午睡チェック表やタブレットを使用し、体位や呼吸を確認(0歳児5分、1・2歳児10分おき)しています。また職員を対象に、看護師による感染症や乳幼児突然死症候群(SIDS)などについての研修をしています。自動体外除細動器(AED)の使い方については、救急救命講習で学び緊急時に備えています。

保護者の子育てや就労などの個々の事情に配慮した取り組みとして、入園時に保護者の価値観や就労状況などについて把握し、急な時間変更などにもできる限り柔軟に対応するようにしています。保護者とは、通信アプリや送迎時の会話、個人面談などを通して子どもの成長などの情報を共有しています。また日常の活動については、ホームページや通信アプリなどを活用してわかりやすく伝えています。保護者対応については、保護者対応マニュアルを整備するとともに、言葉使いや電話応対などの研修を実施し適切な対応を心がけ、信頼関係構築に努めています。

年2回の保護者会や運営委員会などを通して、保護者同士が交流する機会を設けています。保護者会では、保護者同士の意見交換や育児についてアドバイスし合える時間を設けています。子どもの発達や育児について共通意識を持つ取り組みとして、保育参加や保育参観(今年度は中止)は、子どもと一緒に遊ぶなど、実際の園での生活を間近で見てもらうことで、子どもの様子や保育士の関わりを知ってもらう機会となっています。現在は実施できていませんが、保護者向けの育児講座(育児相談)などの機会を持てるように検討中です。

近隣には数種の公園があり、年齢や目的に合わせて散歩に出かけています。散歩時に消防署を訪問し、消防車や救急車を見せてもらっています。運営法人が変わる前から、公園の花の植え替えに声をかけてもらい参加しています。実習生については1名受け入れましたが、ボランティアや職場体験については、実施できませんでした。今年度は感染症対策を講じながらも、近隣の公共施設など地域資源を活用した体験を通して、多少でも子どもが職員以外の人と交流する機会を設けています。

以前は図書館で本を借りたり、八百屋さんや花屋さんとの交流もあったようですが、運営法人の変更や感染症、園長の交代(2月に交代して訪問も2月)などで、現状から近隣との関わりが十分でないところが見受けられました。園長はまだ着任したばかりであり、地域の様子の把握にはまだ時間が必要と感じられます。近隣には歴史ある商店街や神社などもあり、園長は交流も意欲的に考えており、今後感染症が落ち着いた際にはさらに体験や交流を増やし生活の幅を広げ、地域支援にも取り組みたいと考えています。

必要な情報の範囲と利用目的など個人情報の取り扱いについては、入園のしおりに詳しく記載しているほか、入園説明会で説明し、同意を得ています。外部とのやり取りをする必要がある際は、その都度保護者の同意を得ることとしています。子どもの羞恥心への配慮として、おむつ替えは決まった場所で行ない、窓はカーテンやマットの使用で外部から見えないようにしています。また着替えは部屋で行ない、全裸にならない着替えの方法を伝えています。

「子どもの権利マニュアル」に基づき、子ども一人ひとりを尊重する保育を実践しています。保育目標の中にも「すくすく育つ、健全な心と健康な身体」とあり、子どもの成長や気持ちに寄り添った保育を心がけています。また名前の呼び捨てやあだ名をつける、笑う、からかうなどの行為が無いようにすることなどが明記されています。また職員自身が言動について常に振り返る機会として、「人権擁護のためのセルフチェック」を活用し、実施しています。職員同士も日常的にお互いの言動を注意し合うように努めています。

子どもと保護者の価値観や生活習慣については、入園時の面接や保護者アンケ－トを参考に把握し、一人ひとりに配慮した保育(名前の呼び方など)を心掛けています。また虐待防止や育児困難家庭への支援に向けた取り組みとして、園内研修を実施しているほか、自治体などが主催する虐待防止研修に参加して、理解を深めています。虐待を受けている疑いや、受けている情報を把握した際は「児童虐待防止マニュアル」に従い、適切な対応ができる仕組みを整えており、子ども家庭支援センターなどの関係機関と連携をとる体制を整備しています。

法人共通のマニュアルとして、「保育業務マニュアル」(食物アレルギー・保育者対応・危機管理・健康管理など)、「運営の手引き」(個人にも配布)、「個人情報保護マニュアル」などをファイルにまとめ、事務所に保管しています。また園独自のマニュアルとして「お散歩コース、公園マップ」を作成し、職員は分からないことや手順に疑問が生じた時などにそれらを活用し、基本事項を確認しています。さらに業務着任時や入職時には研修を実施し、マニュアルの理解と活用を促し、業務の標準化を図っていす。

業務の実施状況は、本部職員・園長・主任を中心に4月に確認しています。提供している基本事項や手順は、法人の運営管理会議の中で見直しをしています。園内で課題が生じた際は、必要に応じてその都度話し合いの機会(職員会議)を設けています。保護者の要望や意見は、個人面談やアンケートを実施し、保育に反映しています。職員からの提案は職員会議で取り上げ、安全面などを考慮し柔軟に保育に反映しています。また今年度は特に手作りプレゼントに力を入れており、玩具や壁面装飾も含めて職員が工夫し、サービスの向上に努めています。