東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

法人の運営理念は「未来の子どもたちと働くすべての職員が素敵な人生を歩めるように」で、運営方針は「思いやりの心・健康な体・自主性と意欲」です。法人のビジョン・理念について、職員の理解を深める取り組みとして、入社時研修や階層別研修の中で触れています。また運営方針や全体的な計画について、保護者の理解を得る取り組みとして、入園説明会や保護者会、園見学などで、法人の保育方針や取り組みが書かれた「Guardian Letter(ガーディアンレター)」を用いて、随時説明を行っています。

園長・主任の役割と責任は、役割分担表に記載され、人事制度説明会や職員会議などで職員に伝えています。園長は、施設運営および保育全般の統括の役割を担っており、主任は園長のサポートの役割を担っています。また法人本部所属のエリア園長は、園長の相談相手となって二人三脚での園運営に努めています。エリア園長は、直接担当園を巡回するほか、年1回職員全員と面談を実施しフォローしています。経営層は、研修や会議のほか、年1回各園を巡回するなど、職員に定期的にメッセージを発信しています。

園内の重要な案件については、園長・主任を中心に検討・決定しています。案件の内容に応じて、エリア園長とも相談しています。また経理や人事に関する稟議については、所定のルールに基づき決裁を得ています。決定された内容と決定経過は、職員会議などで職員に伝えるようにしています。そのほか、法人で決定された事項については、園長会・看護師会・栄養士会を通して職員に伝えるようにしています。また保護者には、書面や一斉メールなどで伝え、地域の方に向けては、書面を配布したり掲示してお知らせしています。

保護者の意向や要望は、送迎時の会話や個人面談・保護者アンケート・運営委員会などで把握し、職員会議で職員に報告しています。保護者アンケートは生活発表会や保護者会の終了後に実施し、集計後、保護者にフィードバックしているほか、次回の行事に活用しています。今年度の利用者ニーズに対しての取り組み事例として、運動会は各クラスごとに実施し、保護者に参加してもらうなど、行事の実施方法を変更しました。また、園の取り組みの理解を深める取り組みとして、イングリッシュタイムの様子をオンラインで配信しました。

職員の意向については、社内アンケートや個人面談などにより把握しています。社内アンケートは年1回実施し、仕事に対する満足度や日頃感じていることなどを回答し、法人で結果を確認後、園にもフィードバックしています。また、区の私立園長会や地域懇談会、日本こども育成協議会などのネットワークに参加し、情報収集に努めています。重点課題や重点目標は、事業計画書に明示されており、重点課題の一つである「選ばれる保育園プロジェクト」では、園独自のリーフレットを作成したり、園庭に人工芝を張る取り組みを行いました。

園の中・長期事業計画(3年)は、年度末に法人が作成しています。単年度事業計画は、年度末に法人が策定した素案を基に園長が作成しています。計画の作成にあたっては、前年度の取り組みを確認し、職員の意見を取り入れるように心がけています。また計画に合わせた予算編成は、法人が作成しています。さらに、計画の進捗状況は、職員会議で共有しているほか、年度末には利用実績や事業計画に対する結果を記載した事業計画報告書を作成しています。なお、事業計画を年度の途中で見直す場合には、園長が決定権を持っています。

法人職員または保育職員として守るべき法や規則についてまとめた書類として、就業規則や保育者基本マナーマニュアルを整備し、職員がいつでも閲覧できるようにしています。また、入社時研修やWITHアカデミー(WEB研修)を通して、職員の理解を深めるようにしています。さらに、マニュアルは毎年見直しをするとともに、年2回全職員が確認する機会を持つようにしています。なお理解が不足している職員に対しては、個人面談などを通してフォローするようにしています。

苦情受付については、受付担当者は主任、解決責任者は園長が担っており、入園のしおりや園内掲示で利用者に周知しています。利用者から意向や要望を伝えられた際は、職員で共有し、口頭や掲示・配布による回答のほか、運営委員会でも共有しています。また職員の子どもに対する言葉遣いや立ち振る舞いの規範を示した保育者基本マナーマニュアルを整備しており、子どもの人権研修などで説明しています。そのほか、虐待が疑われる事例が生じた際は、児童虐待防止マニュアルに沿って、子ども家庭支援センターなどと連携し、対応することとしています。

ボランティアや実習生、職場体験は、マニュアルや書類を整備し受け入れを行っています。実習生や職場体験は、法人と連携しながら、大学や専門学校の学生を受け入れているほか、ボランティアでは、高齢者のNPO団体が絵本の読み聞かせに定期的に来ています。また子育て支援事業として、園見学の際に親子参加保育や子育て相談を実施しています。さらに今後の取り組みとして、今年度新たに人工芝を張った園庭を開放したり、看護師や栄養士による講座や育児相談を実施していきたいと考えています。

運営に係るリスクについて、「感染症対策」を最優先課題として挙げるとともに、2番目に「災害対策」、3番目には「経営環境の変化」としています。これらの課題については、マニュアルを作成して対処の方法を示すとともに、本社エリア会議などで対策を講じています。事業継続計画(BCP)は、地震5弱を想定して作成しており、設定している対策本部は法人本部です。策定した計画は、適宜見直しを行うこととしています。職員には職員会議や研修で共有し、利用者には保護者会や運営委員会を通して周知しています。

日頃の備えとして、避難訓練・緊急搬送訓練(毎月)や警察の協力による不審者訓練(年1回)を実施しています。緊急搬送訓練では、給食時の誤嚥や午睡中のSIDS発生、プールでの溺水などを想定した訓練を実施し、事故への対応力の強化を目指しています。また区のハザードマップでは、浸水の可能性がある地域となっており、垂直避難などの訓練を実施し、風水害に備えています。さらに、事故・感染症などが発生した際は、ヒヤリハット事故報告書などに記録し、発生要因は職員会議で分析し対策を講じているほか、法人内でも共有しています。

個人情報保護や情報セキュリティについては、入職時研修や園長研修の中で説明しています。また職員は、入職時に秘密保持誓約書の取り交わしをしています。個人情報や機密性の高い情報を含む文書は、事務室内にある鍵のかかる書庫に保管しています。また園内では、パソコンごとにパスワード設定によるアクセス制限を設け、機密文書は園内のみでの閲覧としています。機密文書を破棄する場合は、シュレッダーや溶解処理を行っています。さらに職員の私用携帯は、業務中は持ち込み禁止とするなど、情報の適切な管理に努めています。

園が求める職員像は、ホームページや採用案内などに記載しています。職員の採用は本部が一括で担当し、ホームページや学校訪問、就職フェアで募集をしています。オンラインでの会社説明会や、大学・出身地OB会、インターンシップ、応募者との連絡のチャットアプリ使用など、さまざまな取り組みを行っています。また職員の定着に向けた取り組みとして、住宅手当や退職金制度、共済制度、福利厚生施設の優待利用などの福利厚生サービスがあります。さらに有給休暇の取得率も高く、出産・育児休暇の実績もあるなど、働きやすい環境が整っています。

園全体の研修計画は、法人研修・園内研修・外部研修などがあります。法人研修では、階層別・職種別の研修や保育専門研修が計画されており、各職員が参加できるようになっています。また、職員が他の系列園に赴き、同じ職種や役職の業務について学ぶ交換研修や、職員が自由に受けることが出来るWEB研修(動画)なども実施しています。研修参加後は報告書を作成し、園内で回覧・共有するようにしています。また少人数の会議を実施したり、議題を事前に伝えることで、職員が意見を出しやすいようにしています。

昨年度、法人で人事制度を新しくしたため、毎年人事制度説明会を実施し、職員の理解を深めています。キャリアパスシートに設定されている階層の数は15階層で、要件シートを基に職員が年1回自己評価を行っています。評価は、直属の上司と園長・エリア園長が実施し、昇進・昇格に反映しています。評価者は適正な評価ができるように、専門の研修を受講しています。また年1回職員アンケートを実施し、各職員の状況や意欲を把握・分析しているほか、園長は日頃から職員とのコミュニケーションを心がけ、働きやすい職場づくりに努めています。

入園または見学を希望する保護者は、区や法人、園のホームページの閲覧や、杉並区で発行している情報冊子「保育施設利用のご案内」(区のホームページからダウンロードすることができ、所在地や電話・定員・開所時間などが掲載)から園の情報を入手することが出来ます。また、区のホームページや公式アプリ「すぎぽよ」では、所在地・対象年齢・定員・保育時間・延長保育時間・アクセス・マップなどの情報が掲載されています。見学者には園のリーフレットやガーディアンレター(カラー印刷でA4の4枚綴り)を配布しています。

法人のホームページでは、系列園統一の運営方針や保育方針、WITHの学びとこだわり、各紹介、特別な取り組みとして英語やリトミック、サッカープロジェクトなどについて配信しています。園のホームページでは、概要および園内や子どもの活動の様子などの写真、開園時間・定員・独自の取り組み・入園申込み方法・問い合わせ・アクセスなどと、園の紹介動画を配信しています。リーフレットでは、園で行っている保育内容や近隣のグループ園の紹介、年間の行事を写真付きで紹介しており、情報がをわかりやすく表現しています。

見学は希望者の希望日時に合わせ日程を調整し、随時受け入れています。主な対応は園長が行い、リーフレットを配布し、施設を案内しながら子どもの日常を見てもらうとともに、特徴や取り組みについて説明しています。なお今年度は、玄関までのスペースを利用してガーディアンレターを使って説明した後、公園マップでお散歩の説明や、乳児室を園庭から見学してもらっています。特徴として、若い職員から経験豊富な職員が幅広く在籍していることや、保育内容も活動的なものや、わらべ歌を取り入れていること、園庭があることを説明しています。

入園内定後、健康診断の日程を案内し、健康診断後に入園が決定した保護者に、入園のしおりや重要なお知らせなど必要な提出書類を取りに来てもらい、記入を依頼しています。入園説明会(今年度は個別面談)では、入園のしおり・重要なお知らせに沿って、保育方針・目標のほか、保育時間などの基本的なルールや持ち物について案内し、看護師が健康管理・保健衛生について説明しています。個人面談では、記入された書類の確認と子どもの発育状況、就労時間などの聞き取りを行っています。説明後には、内容に同意した旨の署名、捺印をお願いしています。

入園説明会であがった保護者の意向や、面談で聞き取った入園前の子どもの生活状況・アレルギーの有無・既往歴などは、児童票ファイルにそれぞれ記録するとともに職員間で共有し、その後の支援に反映しています。入園直後は子どもの不安やストレスが軽減されるように、1週間をめどに慣れ保育を実施しています。徐々に園に慣れていかれるように時間を短くするなど、一人ひとりの子どもの状況や保護者の要望を考慮し、保育時間の調整をしています。園での子どもの様子は、専用アプリの活用や口頭で丁寧に伝え、安心できるように努めています。

転園する児童については、制作帳や子どもたちからの似顔絵、手紙をプレゼントしています。販売写真については、転園や退園後にも連絡をしています。区として、児童票の移行や個人情報の引継ぎは行っていません。卒園する児童には、アルバムをプレゼントしています。就学先の小学校には、保育所児童保育要録や就学支援シート(保護者の希望または同意のもと)を送付しています。また行事に招待した機会に、相談受付なども実施しています。

園で作成した全体的な計画を基に、年齢ごとに養護と教育各領域を踏まえた年間や月間指導計画を作成しています。具体的な保育活動については、週案の中で表現しています。園の保育方針は「思いやりのある心、寄り添う気持ち」、保育目標は「①明るく元気で思いやりある子ども、②自ら考え行動する子ども、③豊かな感性を持ち、自己主張できる子ども」としています。そのため日常の保育の中に、外部講師によるプログラムや異年齢での交流、食育活動、戸外遊びなどを取り入れ、週案の中で計画し活動しています。

0～2歳児と支援を要する子どもについては、個別の計画を作成しています。日常の子どもの様子は、日誌や児童票に記録しています。年齢ごとの発達の目安や取り組みは、懇談会や園だよりで保護者に伝えています。一人ひとりの発達の目安については、個人面談や専用アプリ・送迎時の会話などで伝え、発達や成長を共に確認しながら子育ての視点を共有しています。5歳児については、ドリル・書き方・子ども会議・サッカー・英語・交通ルールや、学校までの通学路を知るなど、就学前教育カリキュラムとの整合性を意識しながら取り組んでいます。

作成した計画については、月4回のクラス別会議で検討・見直し、毎月の職員会議(園長、主任など正規職員が参加)で共有しています。非常勤職員には、会議録の閲覧やクラス会議に出席してもらうことで共有しています。職員体制などその日の連絡事項は、職員伝達ノートに記録し、子どもや保護者の状況については、乳児・幼児申し送りノートに記録しています。乳児クラスは毎朝クラスミーティングを行い、幼児クラスは幼児申し送りノートを活用して共有しています。会議録や各ノート類は、出勤したら必ず閲覧することとしています。

一人ひとりの発達や生活環境については、入園前の面談や送迎時の会話、連絡帳(0～2歳児は専用アプリを使用)などを通じて、全体的な姿を把握し、子どもの状況に合わせた保育を実施しています。活動内容は会議で確認し、全職員で共通認識をもって支援しています。また、室内は生活目的に応じた食事コーナーや、遊びに応じたままごと・電車・絵本、ブロック・制作などのコーナーを設け、子どもの発達や状況に合わせた玩具を準備しています。加えて、子どもが主体的に活動できるよう、玩具は自由に出し入れして遊べるように設置しています。

異年齢保育の活動として、朝夕の時間帯や自由遊び、3～5歳児は合同散歩に行ったり、5歳児は卒園前に年下のクラスに行って寝かしつけや一緒に遊ぶ機会を設けるなど、異年齢での関わりを通して労りや思いやりの気持ちを育んでいます。また海外の文化に親しむ機会として、外部講師による「イングリッシュタイム」を実施し、全クラス週1～4日、15～30分英語に親しんでいます。そのほか、献立に世界の料理や日本各地の郷土料理を取り入れたり、国旗カード遊びや運動会で使う国旗を作りました。

配慮が必要な子どもの受け入れに伴い、杉並区より年4回派遣される巡回指導で子どもの支援方法などの助言を受け、保育に反映しています。他の児童と一緒に過ごすことで、子ども同士刺激し合いながら共に成長していけるように支援しています。発達の過程で生じる子ども同士のトラブルに対しては、引き継ぎノートに記録し職員間で共有して検討し、適切な対応ができるよう努めています。就学支援に向けては、就学前相談会の実施や保護者との就学前面談、学童案内など情報提供をしています。例年、夏休みに卒園児が絵本の読み聞かせに来ています。

家庭での子どもの様子を保護者に確認するために、登園時には連絡帳(0～2歳児は専用アプリを使用)や視診とともに、保護者との会話から家庭での様子や体調などについて聞き取りをしています。担任が不在の時間帯は、朝保育担当職員が確認しています。降園時には連絡帳を活用するとともに、担任または夕保育担当職員が「引き継ぎ連絡ノート」で引き継がれた内容やその日の子どものエピソードを直接口頭で伝えています。3～5歳児は、クラスごとに1階のホワイトボードに当日の活動内容や写真を掲示して伝えています。

子どもの発達の段階と支援の方法は杉並区保育実践の手引きなどに記載されており、基本的な生活習慣については子どもの発達や一人ひとりの状況に合わせて、自立に向けた取り組みを行っています。保護者にもその大切さを伝え、家庭と連携した支援をしています。排せつ指導については一人ひとりの間隔を把握し、2歳児からおまるに座ってみることから始め、トイレに導いています。着替えについては、0歳児から靴下や靴をはく、帽子をかぶるなどを一緒に行ったり、排せつの機会などにズボンの脱ぎ履きを進め、幼児クラスでは畳んで袋に入れています。

心身を休める休息(午睡を含む)は年齢ごとのデイリープログラムの中で、基本的な長さや時間帯を決めています。また、その日の健康状態、家庭での生活リズムなどを考慮し、一人ひとりの状況に合わせて入眠時間や休息時間を調整しています。眠れない子どもについては同じ部屋で休息の時間として静かに過ごしています。5歳児は就学に向けて、1月から徐々に午睡の時間を減らしていき、ワークや絵本を読むなど机上遊びを中心に活動しています。体を休めることを基本に横になれる場所も確保し、無理なく活動できるように配慮しています。

室内は子どもの興味や関心、発達に合わせたコーナーを設け、子ども自身が遊びを見つけ、遊び込めるように玩具を準備しています。子どもが主体的に取り組める活動として、英語や縄跳び、サッカーなどを行っています。集団活動に入れない子どもについては、見守りとさりげない誘いを心がけています。集団活動の中で、順番や貸し借り、相手の気持ちを考えるなど、ルールを守って遊べるように支援しています。また、子どもたちが自分自身の気持ちをコントロールできるよう、子ども会議(4・5歳児の子ども同士の話し合い)や討論の場を設けています。

発達に合わせた保育士からの言葉がけや遊びの中で発語を促し、言葉のやり取りを楽しめるように援助しています。絵本の読み聞かせや、玄関には貸出絵本コーナーも設け、日頃から絵本に親しむ環境作りをしています。またオリジナルドリルを活用し、文字を書く機会も設けています。表現活動としては、リトミックや音楽体操(絵本の内容のCDに合わせて踊る)、伝承遊び、わらべうたを行っています。またボディペインティングや絵画、制作なども取り入れています。知育ブロックなどの制作物は一人ひとり保管場所を決め継続した遊びの保障をしています。

園庭や公園への散歩など積極的に戸外遊びを取り入れ、体を十分に動かして遊べるようにしています。園庭では、プールやボール遊び・砂遊び・鉄棒・シャボン玉・サッカーなどの活動を楽しんでいます。また公園の情報を記載した園独自の手作りお散歩マップを活用し、年齢や目的に合わせて出かけています。公園ではさまざまな木々(松ぼっくりやどんぐり・桜)や植物、生息する生物などに触れ、四季の移り変わりを体感しています。また園内では、カブトムシやメダカを育てています。散歩の際に収集した自然物は、制作にも活用しています。

子どもが興味を持ち自ら進んで楽しく取り組めるように、毎月の誕生会や夏祭り(今年度は子どものみ)、運動会や生活発表会などの成長を感じられる行事のほか、季節や文化(初詣・お正月遊び・鏡開き・節分・ひな祭り・お花見・クリスマス会など)にちなんだ行事など、子どもたちが楽しみにしながら参加できる行事を企画しています。行事開催に向け、園児の興味や関心を高めるための工夫として、行事ごとに担当者を決めて計画書を作成し、準備を進める中で子どもたちの気持ちが高まるように、クラスごとに連携して壁面装飾づくりをしています。

行事は子どもの成長や何に関心を持っているのかを考慮し、無理のない内容で実施しています。日々の活動の過程も大切にし、当日を楽しみに出来るように取り組んでいます。生活発表会では子どもの成長が感じられるような内容を考慮し、興味・関心に合わせた劇などを披露しています。子どもたち同士が話しあって、役決めや小道具づくりから準備し、やり遂げることで達成感を味わえる取り組みとなっています。運動会で実施している4歳児のパラバルーンは恒例となっており、「4歳になったらできる」と年下の子どもたちの憧れにもなっています。

誕生会は、誕生日当日にクラスで歌や誕生カードをプレゼントしてお祝いしています。廊下には子どもの写真と日付を掲示し、誰でもお祝いの言葉をかけてあげられるようにしています。また年度当初に行事予定表を配布し、保護者が参加する行事について日程を調整しやすいよう配慮しています。具体的な内容については行事のお知らせを配布するとともに、子どもの活動の様子は園だよりや写真を掲示して様子を伝えることで、保護者も共感できるようにしています。今年度は保護者参加の行事は減りましたが、ビデオや写真を活用して子どもの様子を伝えました。

室内は年齢に合わせて、玩具棚やマットなどを活用してコーナーを作り、好きな遊びを選んで遊べる環境を作っています。0～2歳児クラスは、玩具棚やマットなどを活用してコーナー分けをすることで、少人数で落ち着いて遊べるように配慮しています。日中は園庭や散歩など戸外遊びを積極的に取り入れ、体を十分に動かし、気持ちを発散できるようにしています。クラスから離れて一人になりたい子どもや、気持ちが不安定な子どもは、事務所の看護室やひととき保育室で休息や気分転換をして、クラスに戻れるように配慮しています。

延長保育は18時から実施し、全クラスが4・5歳児クラスに集まって降園まで過ごしています。日頃から異年齢で交流する機会があり、夕保育の時間に年上の子が下の子に優しく関わる姿が見られています。また机上遊びや床で静かに遊べる玩具を準備し、ゆっくり落ちついて過ごし、走り回らないようにするなど安全面にも配慮しています。延長保育は担当する常勤職員はシフト制となっていますが、非常勤職員は固定し、子どもが安心して過ごせるようにしています。

食事は年齢や発達に合わせた椅子やテーブルを使用し、正しい姿勢で食べられるようにしています。3～5歳児はグループで会話を楽しみながら食べています。ただし今年度は透明な仕切板を設置し、黙食としています。ランチョンマットなども使用していましたが、衛生面から控えています。食べる前には献立のメニューの発表をして、食への意欲を高めることを心がけています。クラスの枠を超えての会食やバイキングはできませんでしたが、園庭でお弁当や軽食を食べたり、行事の際には装飾を施して、雰囲気を変えて食事を楽しんでいます。

給食の献立は本部の栄養士会議で検討し、全園に展開しています。季節の食材と郷土料理を取り入れ、栄養に配慮した和食中心の給食を提供しています。行事の際には野菜の型抜きなど盛り付けを工夫し、見た目も楽しい給食を提供しています。食物アレルギーのある子どもについては、マニュアルに沿って除去食を提供しています。毎月保護者と調理従事者が献立の確認をし、アレルギー予定献立を作成しています。提供の際は、調理担当が献立の内容を読み上げ、専用のトレーで提供して誤食を防いでいます。

年齢ごとに「食育年間計画」(目標・食と健康・人間関係・文化・いのちの育ち・料理・家庭への支援)を作成し、食への関心が深まる取り組みをしています。食のマナーや食具の使い方から、幼児クラスになると、バジル・青梗菜・小松菜などの水耕栽培や、調理活動を取り入れています。野菜の生長を見守り収穫を楽しみ、給食でピザやおひたし、煮物などに調理してもらい食しています。調理活動(4、5歳児)では、自分のおやつのクッキーやアップルパイを作りました。食育を目的とした栄養士の話(栄養や郷土料理など)を聞く機会も設けています。

子どものケガを防止するために、身のまわりの危険について毎月の避難訓練(消防士による消火訓練は中止)や、警察官による防犯訓練、交通安全指導(今年度は中止)のほか、散歩時に安全な道路の歩き方と遊具の使い方などを伝えています。子ども自身が健康について関心が持てるように、看護師による季節で流行する病気の話や、手洗い・うがい・鼻かみの指導の機会と歯科衛生士による歯磨き指導も実施しています。年間保健計画の毎月の目標を基に病気の予防に努め、戸外遊びを取り入れて十分に体を動かすことで、丈夫な体作りを心がけています。

嘱託医による年2回(春・秋)の健康診断(0歳児は毎月)や、年1回の歯科・耳鼻科・眼科検診を実施し、専門機関と連携して子どもの健康管理に努めています。与薬は基本的に行っていませんが、慢性疾患など必要な場合は、医師の与薬申込書の提出を依頼し預かっています。気管支拡張薬テープについては、与薬依頼表の記入を依頼しています。アナフィラキシー緊急補助治療に使用する緊急用キットの使い方は、必要に応じて看護師から学んでいます。自動体外除細動器(AED)の使い方については、毎月看護師を中心に確認し、緊急時に備えています。

子どもの病気や感染症などについては、入園時の説明や、毎月配布する保健だよりで季節に応じた健康管理の方法などを保護者に伝え、家庭と連携して子どもの健康管理と感染症の予防に努めています。園内で感染症が発症した際には、発生状況を速やかに玄関への掲示や口頭で注意喚起しています。また乳幼児突然死症候群（SIDS)を予防するために、午睡時に0・1歳児は5分、2歳児は10分、3～5歳児は20分ごとに呼吸や体位を確認しています。さらに職員を対象として、嘔吐処理研修や救急搬送訓練を実施しています。

保護者の就労など個々の事情については、入園時の面接で聞き取り、基本的な保育時間を決めていますが、急な時間変更などにもできる限り柔軟に対応しています。園での子どもの様子は、専用アプリや送迎時の会話を通して伝えているほか、保育参観、個人面談などを通して子どもの様子や成長を共有し、保護者との信頼関係構築に努めています。また保護者の意向は、運営委員会のアンケートや行事アンケートを実施し把握しています。そのほか、保護者対応については、保育者基本マナーマニュアルを整備し、マナー研修などを実施しています。

保護者同士が交流する機会として、クラス懇談会や保護者参加の行事(運動会など)、保育参観・保護者参加(今年度は中止)・運営委員会などを実施しています。今年度の懇談会は密を避けるため、4月に0歳児慣れ保育期間の空いている部屋を活用して、17時～18時に少人数のグループに分けて行いました。その際、保護者同士が意見交換ができる時間を設け、子育てについて保護者同士話し合い、悩みを共感できるようにしています。家での様子を話しながら、悩みや意見についてのアドバイスをしあう機会にもなっています。

保育参観や保育参加では、実際に子どもの様子や保育士との関わり方を見てもらい、育児の参考にしてもらっています。懇談会では、子どもの発達段階や現在の姿などについて伝え、接し方など育児のポイントについて話をし、保護者と共通認識が持てるようにしています。また保護者を対象に、育児講座を園長や看護師が企画しましたが、感染症対策のため中止となりました。保護者からの育児への悩みも多く聞かれ、今後は育児講座も含め、保護者支援の場を設けていきたいと考えています。

近隣の公園への散歩を通して、草花や昆虫などの生き物に触れ、季節の移り変わりを体感しています。商店街の七夕まつりやクリスマスツリーの飾りにも参加しています(今年度は中止)。また近隣の神社には、毎年初詣に行っています。そのほか、消防署や警察署とは避難訓練や交通安全指導(今年度は中止)を実施しているほか、図書館へは5歳児が絵本を借りに行ったりしています。

子どもが職員以外の人と交流できる機会として上記施設のほか、イングリッシュタイムの外部講師や、散歩先では近隣住民などとあいさつする機会があります。また保育実習生を1人、ボランティアを9人受け入れています(シニアボランティアや職場体験の受け入れは中止)。そのほか、杉並区団体農園を利用して大根堀りに参加したり、5歳児は周辺にある系列数園と交流することを目的として、サッカープロジェクト「あすなろ杯」を実施しています(今年度は近隣の系列園と2園で実施)。また小学校就学に向けて、系列園の5歳児との交流も行っています。

子どもに関する個人情報の取り扱いについては、重要事項説明書に記載されており、入園時に説明し、ホームページやパンフレット作成時の写真の掲載も含めて同意を得ています。外部とやりとりする必要が生じた場合には、その都度文書で保護者に同意を得ることとしています。子どもの羞恥心への配慮については、トイレは年齢に応じてドアを設置しています。また、おむつ交換はパーテーションを立てて行っているほか、着替えは部屋でカーテンを引いて行っています。加えて、5歳児には看護師がデリケート部分について話をしています。

園の理念や保育目標達成に向けた「目指す保育者像」として、「①子どもの気持ちに寄り添う保育者、②子どもの手本となり共に成長できる保育者、③子どもの個性や成長を大切にする保育者」の3つについて職員自身が考え、子ども一人ひとりの思いに寄り添い、かつ尊重した保育を実践しています。人権については法人による年3回の研修を実施しているほか、子ども向けに看護師が「いいタッチわるいタッチ」について話をする機会も設けています。

入園時の面接や個人面談、保護者との会話を通して、保護者の価値観や意向などを把握し、子どもと保護者の価値観や生活習慣に配慮した保育を行っています。虐待防止や育児困難家庭への支援に向けて理解を深めるために、法人で企画された児童虐待対応基礎研修や、区や専門機関の研修へ参加し、ミーティングなどで報告し、全職員で共有しています。虐待を受けている疑いや受けている情報を把握した時には、児童虐待対応マニュアルに沿って、子育て支援センターや児童相談所などの関係機関と連携を取る体制が整備されています。

法人で作成した系列園統一のマニュアル(保育マニュアル)や、「杉並の保育の質を支える」「保育実践の手引き」などのマニュアルを事務所に保管しています。マニュアルには、危機管理・園外保育・感染症・児童虐待防止・食物アレルギー対応・個人情報保護規定などがまとめられています。また、あいさつや応答、言葉遣いと会話、怪我や異変などについて記載された「職員の心得」を職員に配布しています。年2回マニュアルの確認を実施したり、WEB研修を受講することで、マニュアルの理解と活用を促しています。

作成されたマニュアルは法人本部が定期的に見直しを行っているほか、職員会議やトップリーダー会議でも確認しています。行事後のアンケートや保護者会、連絡帳などで寄せられた保護者からの意見や要望は、職員間で検討して出来る限り保育に反映しています。保護者からの要望に対応した事例として、本を借りに行く時間がないという意見を基に、絵本の貸し出しを始めました。職員からの提案も随時取り入れ、業務水準の向上を図っています。今年度は、感染症対策として室内に入らず支度ができるように、廊下にそれぞれの袋を準備しました。