東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

グローバルキッズ南葛西園（以下、園）は、東京近郊・大阪で認証・認可保育所や学童保育など約170施設を運営する、株式会社グローバルキッズ（以下、法人）の認可保育所として2016年に開園した。法人の保育理念『豊かに生きる力を育てる』を基に、園での目指す子どもの姿として『心身ともに健康な子ども』『自分らしくいられる子ども』『素直で笑顔あふれる子ども』を掲げている。これら園での保育については、職員皆で動画で確認するなど、保育観を統一しながら子どもと接することが出来るよう取り組んでいる。

園長の責務は、法人の定めた『職務権限規程』『職務基準書』等によって定められている。園長は今年度当園に赴任した。昨年までの園の保育を継続しながら、子どもたちがより自発的に行動できるよう環境整備などに取り組んでいる。園の保育内容に関しては、園のリーダーとして園長に決定権があるが、独断で物事を決めるのではなく、職員も含め皆で話し合ったうえで最終判断をするように心掛けている。園長は赴任して1年近く経って園の様子も把握でき、来期はよりリーダーシップを発揮しながら園運営に取り組みたいと考えている。

重要な案件については、法人の決裁権限規定に則り、最重要案件に関しては取締役、その他担当役員会、部門長決済など基準が定められている。園長に周知が必要な案件は、法人傘下の全園長が参加し毎月開催される事務連絡会やエリア会議で周知される。その中で職員や保護者にも周知が必要な案件に関しては、職員には園の職員会議で、保護者には連絡用アプリや送迎時に伝えることとしている。保育の現場に関わる案件（現場の声）については、園長からマネージャーを通じて本部で吸い上げ、検討する仕組みが整っている。

保護者の意向や要望は、日々の送迎時や運営委員会、行事後アンケートを実施し、日々の保育や翌年度の行事内容に反映させるために活用している。例年は保護者とは年2回の保護者会、運営委員会や個別面談を実施し、要望等の把握に努めている。職員とは今年度、園長が一人ひとりと5月、8月、11月に計3回の面談を行っており、意向把握や意見交換を行っている。また、毎月開催の職員会議や毎日開催している昼礼時、日々のコミュニケーションの中で意向や要望を把握し、必要に応じて園運営に反映させるようにしている。

地域の福祉に関する情報は、月1回開催される区内の私立園が集まる私立園長会や、区からの各種メールなどで情報収集をしている。また、近隣系列園の園長同士で随時地域の情報を共有しているが、昨年度、今年度は感染症の影響で地域福祉の情報を得る機会は減少している。福祉業界の全体的な情報は法人本部が収集し、毎月１回発行される社報やメールで配信され、日々の業務で活用できるようにしている。園の経営に関しては主に本部で管理し、各園の収支報告は園の玄関など保護者の目に触れる場所に掲示されている。

一昨年、園の中期計画として法人の理念や保育目標を基に【目指す施設像】を制定した。その実現に向けた取り組み目標と方針・実行計画を職員皆で決定した。ただ、中期計画として目指す姿は定められたが、年度ごとの取り組みや具体的な達成期日の明確化には至っていない。また、法人としての中長期計画については経営計画として詳細を策定しているが、園（現場・保育）に落とし込むにはややわかりづらい点もある。園（職員）とともにそのビジョンに向けた行動が取りやすくなるような解説・説明等の施策が期待される。

昨年度、法人が作成した保育の考え方や守るべきことなどをまとめた冊子『GK保育』が職員一人ひとりに配布され、規範を守り、迷ったときには確認できるようにしている。園長は職員に対し、子どもが笑顔でいられるように接すること、子どもが誤ったことをしても強い口調は使わず、真剣に子どもと向き合うことを職員に求めている。人権に関しては、今年度法人本部が人権研修を開催しており、園の職員も参加している。虐待に関する相談や事案が発生した際には関連機関と連携が取れる体制を整えている。

保護者からの苦情解決の仕組みは、入園時の面談の際に重要事項説明の中で説明をするとともに、苦情受付の仕組みを玄関先に掲示するなどして周知している。連絡先は園内、法人、第三者委員などを伝えている。また、ご意見箱も玄関に設置している。苦情等が発生した際には、法人で定められた書類【ご意見・ご要望対応・是正処置】に記入され、その後園長が「再発防止」「対策の結果」「結果の確認」を行い、案件の改善・解決を図っている。運営委員会や行事アンケートなどからも意見や要望を把握し、必要に応じて改善を行っている。

地域貢献の取り組みは、実習生や職業体験の受け入れ態勢を整えており、少ないながらも夏祭りの際に近隣住民に参加を呼び掛けるなどしてきたが、昨年度からは感染症の影響で中断している。地域関連機関とは私立園長会や区の子育てフェスタ等で行政や区内の園と連携を図っている。また、法人傘下の近隣系列園と連絡を取りながら、地域の保育や子育ての情報共有を図り、課題等が発生した際には協働して解決に取り組めるよう体制を整えている。

法人では様々なリスクを想定したマニュアルを整備している。災害等に関しては「危機管理マニュアル」、アレルギーに関しては「食物アレルギー・未食対応マニュアル」、感染症など衛生対策では「保健衛生マニュアル」「清掃・衛生ガイドライン」など多岐にわたる。これらマニュアル類は毎年見直しが行われている。また、BCP（事業継続計画）に関しては昨年度「危機管理マニュアル」の中に記載した。現在、各園ごとの状況に合わせた、被災後の園再開に向けた状況確認や人的配置の詳細の策定については今後の取り組みとしている。

園の毎月の避難訓練では、毎回地震や火事など目的を明確にして、その内容とねらいを定めて実施している。また、毎月の避難訓練とは別に、不審者対応や水害訓練、職員は初期消火訓練を実施するなど、災害、緊急時の安全を確保する取り組みを行っている。昨年度からの感染症予防についても対策を講じており、来園者の消毒、検温の徹底や、登園、降園時の子どもの引き渡しの工夫、看護師を中心とした園内の消毒、衛生管理の徹底を図っている。けが防止対策としては、最近ヒヤリハットの件数が少なくなっており、今後の取り組みが期待される。

個人情報が含まれる情報に関して、パソコンおよび保護者との連絡に使用するタブレットは個人パスワードで管理され、書類に関しては事務室内のキャビネットで管理している。職員に対しては「個人情報管理規定」や「就業規則」「保育基本マニュアル」の中で個人情報の取り扱いの徹底を周知している。現在は園内外でオンラインで情報伝達・共有をするケースが多く、園にもWi-Fiが設置されているが、接続パスワードは本部が管理し外部からのアクセスができないようにしている。職員にもパスワードは非開示にするなど情報漏洩防止の徹底を図っている。

職員の確保は法人本部が担当しており、様々な施策を実施している。求人媒体としては紹介会社、会社ホームページ等、また、大学との連携や就職フェア、職員の紹介制度などを通じて広く人材募集を行っている。この数年では若い世代の視聴が多いSNSも活用し法人や園の紹介をしている。入職者の配属は園長やエリアマネージャーからの要望も反映しながら配置している。また、現職員の異動に関して毎年秋に職員意向調査を実施し、本人のキャリアパスや各園の状況を鑑みながら、可能な限り本人の意向に沿って勤務ができるよう取り組んでいる。

法人は保育士や看護師、栄養士など職種別にキャリアパスを設定しており、キャリアに必要な法人内の研修制度を設定している。園もキャリアパスに則り、研修計画を立てている。現在はオンライン研修の仕組みも確立し、職員育成が滞らないよう対応している。キャリアパスについては、入職時研修での説明や園での面談時にキャリアパスに則して話し合いが持たれているが、職員自己分析の結果からは、自らのキャリアパスについて理解できていない者も散見された。職員一人ひとりが将来を見据えて働けるように、キャリアパス理解促進の取り組みが期待される。

職員の就業状況については、残業はほとんどなく、有給休暇も取得できている。法人としても毎年職員の意向調査を実施しており、異動希望などには柔軟に対応ができるよう努めている。園では今年度クラス再編やチームワーク研修を行い、職員が連携して保育に関われるよう努めている。ただ、職員自己分析の結果からは、チームワークやコミュニケーションの不足を感じている職員も見られる。今後の更なる取り組みが期待される。また、職員が参加した研修は研修報告書を記入しファイリングしているが、その回覧、発表による情報共有を求める意見も見られた。

ホームページ（以下HP）とリーフレットの２媒体で園に関する情報を発信している。法人のHPには企業理念「子どもたちの未来のために」保育理念「豊かに生きる力を育てる」を掲げ、施設紹介、入園説明会や各施設の空き状況を掲載している。園のページでは閑静な住宅街のマンション1階にあり、周辺にある沢山の公園へ子ども達は毎日出かけ、自然と触れ合い元気いっぱい遊んでいること、子どもには常に自分らしくいて欲しいと願っていることを伝えている。また、施設概要、延長保育、一時保育について説明し、各種保育書類のダウンロードもできる。

リーフレットには園の保育目標や保育方針を示し、園の基本的な情報、保育時間や延長保育料金、年間行事やお願いごとを載せている。また、食物アレルギーや未食食材の確認をしての離乳食対応や乳幼児食の提供を行っていることを伝えている。リーフレットは現在最新情報を載せた改訂版を制作中である。自治体との関係では子どもの空き定員数等の園内情報を伝えている。自治体のHPには園の概要や園児の空き情報などが掲載され、利用希望者の入園に係る各種情報が把握できる。自治体発行の保育情報誌にも園の概要や現状が掲載されている。

問い合わせや見学は電話で園長が対応している。見学は希望日時を申し込んでもらい、１日数組の少人数対応で案内している。現在コロナ禍のため見学はテラスから園内の環境や子どもの活動、散歩等を見てもらっている。園のリーフレットや利用案内の資料を渡し、各クラスの特徴や一人ひとりの成長に合わせ、経験の中で関わる保育、環境設定について説明している。見学者の質問に答え、保育費用、参加行事、必要な持ち物、園内での発熱や病気への対応等について説明している。

サービス開始にあたり、入園に必要な資料である児童票、重要事項説明書、緊急連絡カード等を保護者に前もって郵送し、読み込みや記入をお願いしている。入園面談時に事前に渡した書面を持参してもらい、重要事項説明書を読み合わせ、園生活の説明を行い、確認印をもらっている。食事や排せつ、睡眠状況等、子どもや家庭の状況を把握し保護者の希望を聞いている。「個人情報の取り扱いに関する案内兼同意書」や子どもの写真の取り扱いについては内容を説明し、同意を得ている。慣れ保育の日程を決め保育に係る必要事項を互いに確認している。

入園前見学や入園面談で取り交わした健康診断、生活状況等を記載した児童票、緊急連絡カード等は職員間で共有し、子どもの性格や傾向、生活リズムを把握している。入園当初の子どもの不安の軽減や保護者の希望に配慮し慣れ保育を実施している。慣れ保育は入園面談で保護者の就労状況を勘案しながら日程を決めている。子どもに担当保育者が個別に対応し保育者との愛着関係を築きながら保育時間を徐々に伸ばし園に馴染むようにしている。保護者には登降園時の会話や連絡用アプリで子どもの様子を細かく伝え不安を取り除くよう努めている。

転園など新しい環境に進む子どもについてはクラスで作品などのプレゼントを渡し、自然な形で転園することを他児に伝えている。３月には全園児が卒園児に写真や創作物のプレゼントを渡しお別れ会を行っている。卒園式は保護者、保育士が出席し、卒園児の新しい門出を祝い、卒園証書や記念品を渡している。卒園に向けて交通ルールを意識させたり、午睡時間を徐々に少なくして遊びを通じて文字や数を学び、入学に対する不安の軽減を図っている。保護者の要望に応じ面談し、転園や入学への不安軽減を図っている。

入園面談で児童票を始めとする事前提出書類の確認や子どもや家庭の状況を把握し、記録は法人指定の書式でまとめている。入園後は日常の保育の振り返りや定期的な健康診断・歯科検診、アレルギ－や離乳食状況など子どもの発達や状況の変化を健康観察記録や児童票、保育日誌等に記録している。また、連絡用アプリや送迎時の保護者との面談で子どもの変化や保護者の要望を把握している。これら子ども一人ひとりの状況や家庭の状況を踏まえ、また、日常の保育の様子からクラスや子どもの状況を分析し、課題を捉え指導計画に反映している。

全体的な計画は保育目標、保育方針を反映し、施設環境を踏まえ発達段階を考慮した計画を作成している。各担任がこの計画を踏まえて養護と教育について４期に分け年間指導計画を作成しているが、クラスによりやや整合性に欠けている。職員間で十分に検討し一貫性のある計画策定が望まれる。月間指導計画及び週案は担任が交代で作成し、自己評価を記載しているが、今回の職員自己分析結果からは「指導計画の見直しの時期、手順を定めた上で見直している」が「できていない・わからない」という回答が半数以上である。改善が期待される。

児童票を始め、指導計画、保育日誌、発達記録等は統一した様式を用いて記録している。記録類は個人別や目的別に分類・整理して個別ファイルにとじ所定の場所やPC上で保管している。指導計画、食育計画、子どもの様子や記録は職員会議、給食会議、昼礼で共有し、記録しているが、「活用しているか」という今回の職員自己分析では４割の職員が「できていない、わからない」と回答している。クラスの様子や気になる子どもの情報を全職員がしっかりと把握し、一人ひとりの状況に合わせて全員が統一した保育を行うことが期待される。

子ども一人ひとりの発達状態や生活環境は、児童票や個別面談シート等のほか、送迎時の保護者との会話や日々の保育の中で遊びや生活状況から子どもの姿を把握している。小規模園の良さを生かし、昼礼や申し送りノートで連絡事項を共有し、きめ細かい心配りを心がけて、発達に応じた保育を行っている。各保育室は、食事・睡眠・遊びの区画分けや、遊びや活動によってのエリア設定で生活にメリハリをつけている。子どもが自ら遊びを選択し、玩具・道具・絵本などを自由に取り出して遊べ、片付けにも配慮した配置や高さに整理された環境を工夫している。

異年齢保育に取り組んでおり、幼児組は月1回「縦割り保育の日」を設定している。制作・手芸・リトミック部の3グループに分かれて行う活動の中で、年齢の違いによる憧れや思いやり、やさしさの気持ちを育んでいる。園には、外国籍の子どもが在籍しており、宗教食の希望に応えている。子ども同士は遊びの中で自然な関わりをもち、興味をもったタイミングで文化の違いを伝えている。また、特別な配慮が必要な子どもに対して、本部と行政等の専門職員による定期的な巡回指導をうけ、一人ひとりに合わせた声かけをしながら支援している。

子ども同士のトラブルには、職員が見守りながら双方の気持ちに寄り添い、言葉を補ったり代弁したりして関わり方を体験から学べるよう支援している。幼児のけんかでは、子ども同士で話し合って解決策を提案する姿も見られ職員は見守りをしている。年長組では、学校を身近に感じられるように、例年、近隣小学校の体験学習や交流会を行っているが、今年度は感染症対策のため展覧会見学以外は中止となっている。文字・数字・時計等にも興味を持てるように絵本やパネルなどを用意し、1月からは午睡の時間を学習ワークにかえ、就学に向けた準備をしている。

登園時には連絡用アプリや口頭で子どもの様子を確認し、顔色や機嫌、傷の有無などの視診や検温を行って受け入れている。乳児の連絡ノートには、睡眠・食事・排せつなどが記録され、子どもの生活リズムに配慮した保育が行えるようにしている。確認した情報は健康観察記録と申し送りノートに記録され、職員間で共有している。昼礼では午前中に保育者が気づいたことが付け加えられ夕方保育につなげている。降園時には、できる限り一人ひとりのエピソードを保護者に丁寧に伝えられるよう心がけ、行事や特別な活動の際には写真も掲示している。

基本的生活習慣の習得は、一人ひとりの子どもの発達や意欲に個人差があることを踏まえて、家庭と連携して無理なく子どものペースで進められるよう心がけている。トイレトレーニングは排泄間隔など個々の状況を把握し、タイミングをみてトイレに誘い、成功した時は沢山ほめてあげ意欲につなげている。食事は挨拶・姿勢・食べ方等のマナーを習慣づけ、スプーンや箸に移行する際には「すくって移す」などの遊びを取り入れ、楽しみながら取り組んでいる。衣類や靴などの着脱でも、ボタン遊びやごっこ遊びを通して興味を引き出して支援している。

子ども一人ひとりの体調や生活リズムに合わせて、安心して休息・午睡ができるよう配慮し、乳児の午前寝や夕寝にも対応している。室内は子どもの顔が見えるような明るさに調整し、オルゴールの音色を聞きながら眠りやすい環境づくりを心がけている。午睡中は、乳幼児突然死症候群の予防のため、年齢に応じた間隔で、呼吸や姿勢、向きなどを確認し、午睡チェック表に記録している。うつ伏せになっている場合には、仰向けの体位にもどし安全確認に努めている。幼児は、身体と気持ちを休める時間であることを伝え、絵本や机上遊びで静かに過ごしている。

自分でやりたい遊びを集中して楽しめるよう、コーナー保育を取り入れた環境づくりを進めている。乳児は、音が出る玩具やボタン、紐通し、ペットボトル等手先を使った遊び、ハイハイ等の全身運動ができる空間が設けられている。幼児は大小のブロックや、ハサミや折り紙の教材、図鑑などが棚に整理され、作る、調べるなど様々な経験ができる工夫がある。どの保育室も廃材利用の手作りのキッチンセットがあり、友だちと関われるおままごと遊びが人気のコーナーになっている。子どもの発達と興味に応じて、玩具の入れ替えやコーナーの見直しを行っている。

乳児期から言葉の感覚を育むため、保育者が優しい声かけを心がけ、喃語も聞き逃さずにしっかり対応することを大切にしている。歌や手遊びのほか、絵本や紙芝居の読み聞かせやごっこ遊びなどを通してやりとりを楽しみながら言葉の習得を促している。道具の扱い方を身につけた年長児は、月1回は廃材を利用して自由に表現し、ギターなど楽器を制作して個性あふれる作品を作っている。また、タンバリンやメロデｲオン等の楽器を使った音楽活動やリトミックなどを行い、クリスマス発表会では絵本を題材にした劇あそびを取り組み、豊かな感性を育んでいる。

周辺は広大な草地や大型固定遊具、砂場がある公園が点在し、戸外活動は目的に応じて行き先を決めている。今年度は感染症対策や夏の暑さ指数により外遊びが制限されているが、公園では、固定遊具やかけっこ、夏には水遊びや泥んこ遊びなどをしてのびのびと体を動かす機会をもっている。また、草木や花々から四季の移ろいに触れ、虫を採集・飼育し、図鑑を使って調べたり、秋には落ち葉遊びを体験している。幼児は月1回の外部講師による体操があり、体幹を鍛える運動により健康な体づくりを行っている。様々な活動の中で仲良く遊ぶ約束事を学んでいる。

子どもの成長を祝う会や季節行事が行われ、様々な文化に触れる機会を設けている。行事の由来を職員が紙芝居や歌、ゲームなどを通じて伝え、事前に室内を飾って子どもが興味関心がもてる企画をしている。七夕では笹に短冊をかけ、十五夜ではお月見団子作り、お正月は福笑いやカルタ遊び、節分は豆まきで厄除けなど行事ごとの雰囲気を味わっている。ハロウィンでは仮装をして合言葉と共にお菓子をもらい、昼食やおやつにはかぼちゃのメニューが並んで、高揚感のある楽しい時間をすごしている。誕生日会には成長の節目としてみんなでお祝いしている。

スポーツフェスティバル（運動会）、秋祭り（お店屋さんごっこ）、クリスマス発表会は、幼児を中心に子どものアイディアを引き出し、主体的に取り組めるようにしている。運動会は規模を縮小して室内で行い、子どもが制作した万国旗のもとで障害物競争や玉入れなどを行っている。体を動かすだけではなく競争や満足感など心の成長を育む体験をしている。秋祭りのお店屋さんごっこでは、幼児が自分たちで考えた商品を作成し、客と店のやりとりを楽しみ、皆で協力してやり遂げた喜びを味わっている。保護者には動画配信で子どもの姿を見てもらっている。

保護者には年度初めに年間行事予定を配布している。さらに毎月の園だよりや掲示でも知らせ、保護者が参加しやすいように配慮している。送迎時や連絡用アプリで、子どもたちが行事の準備に頑張っている姿を伝え、保護者にも行事当日に向け期待感を膨らませている。今年度は感染症対策の影響で、スポーツフェスティバルや秋祭りの行事を子どもだけで行うことになったため、動画配信や写真、ポスターの掲示で子どもの様子を見てもらっている。園長は保護者の行事への参加方法を今後検討して行きたいと考えている。

現在、感染症対策による在宅ワークの保護者が増え、延長保育で預かる子どもの人数も少なくなっている。保育時間の長くなることの配慮として、できる限り各クラスの慣れた部屋で過ごせるようにしており、段階的に合同保育に移行している。異年齢での保育は、子どもが安心してゆったりすごせるよう心がけ、小さい子と大きい子が互いに刺激しあって、遊びを教わったり世話をしたりして優しさや思いやりを育む機会となっている。また、他クラスの玩具で遊べる特別感があり、好きな遊びを自由に楽しんでいる。疲れた時は横になれるスペースも設けている。

職員は一人ひとりの子どもをしっかり受け止め、子どもが安全に落ち着いて過ごせるように、担任以外でも日常生活の中で声をかけるなど意識的にかかわれるようにしている。また、一日の大半を保育園で過ごす子どもに配慮し、家庭的な雰囲気を大切にしている。延長時間になり人数が少なくなると、乳児は情緒が不安定になることも想定し、抱っこしたりスキンシップを心がけている。18時30分には、おにぎりやヨーグルトなど補食を提供している。職員は子どもの健康状態も確認しながら見守り、延長保育の子どもの状況は夕方保育日誌に記録している。

延長保育は職員が交代で担当し、必ず複数の職員で担当している。職員間の引き継ぎや子どもの様子・連絡事項は、朝の受け入れ時に記録された健康観察記録や職員申し送りノートを確認して共有している。担任が口頭でも延長保育の担当者にその日の子どもの様子を伝え、正確に保護者に連絡対応できるようにしている。特に体調が悪くなった際の情報共有はしっかり行うようにしている。また、看護師の指導助言により、夏は暑さ指数や水分補給、冬は室温湿度の管理を行い、衣類の調節にも配慮した対応に努めている。

献立は2週間サイクルメニューになっており、食事を巡回する栄養士が1回目の喫食状況や子どもの嗜好を把握しており、2回目の改善につなげている。野菜の苦手な物は「一口食べてみる？」と声かけし、少しでも食べた時は大いにほめて勇気づけている。子どもの特性を知り、量を減らしたり形や大きさを変えて盛り付けを工夫している。また、季節を感じられるよう旬の食材を使い、行事食もとり入れている。子どもの日の兜やハロウィンのかぼちゃ等行事をモチーフにしたり、誕生日会には生クリームケーキも用意され視覚でも楽しめるようにしている。

食物アレルギーへの対応では、家庭と連携を図りながら除去食の提供を行っている。毎月献立の内容に関する保護者の確認をとるほか、医師の診断書も提出してもらい、適切に対応できるようにしている。トレーと食器は色の違うものを用意し、複数の声出しチェックにより誤配・誤食予防に努めている。離乳食も未食材は家庭で試してもらい、子どもの様子を保護者と共有して段階を進めている。宗教食が必要な子どもには除去食を提供、除去ができない時は弁当持参のお願いをしている。子どもの体調によって、食材の変更や固さにも柔軟に対応している。

栄養士は「食事に興味をもってほしい」という思いで、乳児・幼児の年間食育計画を各々作成し、食育活動を積極的に実施している。プランターでの野菜栽培では、水やり当番を通じて成長した野菜を収穫している。本物を見たり触れたりして、食材への関心を促している。年齢に応じたクッキングを行い、サンドウィッチ、おにぎり、お月見団子などにチャレンジしている。三色食品群のお話会を開催し、栄養をとることで元気な身体ができることを伝えている。また、食事マナーやスプーンフォーク、箸やお椀の持ち方等クイズやゲームを楽しみながら学んでいる。

季節ごとに看護師による保健指導が行われている。年齢ごとに手洗いやうがいの方法・手順を歌や声かけで知らせ、戸外活動後やトイレ・食事の前後など活動の場面ごとに取り組むことで自然と習慣づくようにしている。鼻のかみ方、咳エチケット、3歳以上には歯みがき指導を実施している。また、安全に関しては、散歩の際には交通ルールやマナーを伝え、例年、警察署の指導員による交通安全教室を実施し、ゲームや模擬信号機を使って横断訓練を楽しみながら学んでいる。毎月の避難訓練では火災・地震から安全に避難したり体験から学べるようにしている。

看護師が、毎日各クラスを回って全園児の様子を観察し、保健日誌に記録して健康状態を把握している。嘱託医とは随時連携できる体制を整えており、定期的な内科や歯科健診の結果を保護者に知らせている。また、毎月の身長体重、年2回の胸囲頭囲の計測は成長曲線をデータ入力し、最新の情報を保護者と共有している。医療的ケアなど必要な場合は、専門の医療や療育機関と連携した対応をしている。今年度は、玩具や園内の消毒、手洗い、検温等を徹底・強化し、感染予防に努めている。また、緊急時のAEDや嘔吐処理の研修を行い周知徹底している。

保護者には、保健だよりや掲示物を通して季節ごとの子どもの健康に関する情報を提供している。感染症や食中毒、熱中症、症状が出た時の対処法、水分補給や衣服の調節、生活リズムの大切さなどきめ細かく伝えている。今年度は感染症対策に向け、送迎時の検温・手洗いのほか、子どもの受け渡し場所を各クラスのテラスで行う協力をお願いしている。ＳＩＤＳ（乳幼児突然死症候群）の防止策について、入園時説明会で家庭や園で起こる可能性や、園での睡眠チェックの実施について説明している。

家庭の事情や就労状況については、入園時の面談や聞き取りによって把握するほか、日々の会話や個人面談などを通じた把握にも努めている。保護者の就労や健康状況などによる急な保育時間の変更の際には、できる限り柔軟に対応しており、連絡を受けた際には、保護者への労いの声かけも心がけている。子育ての悩みや心配事にも相談を受けている。また、様々な家庭の事情に配慮し、父の日母の日にかわる「大好きな日（家庭の日）」を設定し、子どもが描いた似顔絵や制作物をプレゼントをするなど、保護者に寄り添った支援を心がけている。

年2回のクラス懇談会では、園から保育目標や子どもの発達、園での様子を伝え、保護者同士が意見交換して共通の悩み等も気軽に交流できる場となるよう配慮している。運営委員会でもクラスの代表者や地域の代表の参加により要望が出され園運営の改善につなげている。今年は文書で連絡し、意見要望については文書で応え保護者全員に配布している。感染対策により送迎場所が玄関からテラスになったことで、「子どもの姿がみえにくい」「写真の掲示があるとよい」などの要望にも丁寧に答え、保護者との信頼関係を築くことができるように努めている。

毎月発行の園だよりでは、保育目標や日々成長する子どもの姿をエピソードを交えながら紹介するほか、園長が、SNS子育てコラムに「おこっちゃいけないの？」など何気ない子育ての悩みについてヒントを発信している。例年開催の保育参観は、感染対策により困難な状況にあり、「園での子どもの姿を見てみたい」という保護者の思いに応える努力をしている。各クラスの一日の子どもの姿や0歳児は食事の場面も含めて30分動画を編集し、配信ができるよう準備をしている。子ども同士の関わりや成長ぶりを見て、保育への理解につながるよう工夫している。

日頃から地域の人との触れ合いを大切にしたいという思いから、園周辺の自然豊かな公園や河川の土手などへ出かけ散歩を楽しみ、道行く人には積極的に挨拶をし触れ合っている。年長組は食育活動の一環として野菜栽培を行っており、地域の花屋でトマトやピーマンなどの苗を買いにでかけている。総菜屋さんでは魚を買いにでかけ、実際に魚をさばく場面を見せてもらって食材を身近に感じる体験をしている。また、幼児組はお弁当を持ってバス等の交通機関を利用して遠足に出かけ、いつもと違う楽しみを体験しながら公共のマナーやルールを学んでいる。

例年、園の夏まつりに近所の方が参加して一緒に楽しんだり、高齢者施設への訪問、公園内のポニーランド広場での動物との触れ合う機会をもち職員以外の人と交流できるよう企画をしていた。今年度は、感染症対策により外部との交流に制限があり中止であったり縮少されている。その中で安全面に配慮し、外部講師による体操教室では健康な体づくりをすすめている。また、年長児は小学校展覧会鑑賞や小学体験交流会に参加している。園長は今後の感染症の動向を見ながら、ボランティアや実習生職場体験の受け入れなど、地域の方との関わり方を検討している。

入園の際には個人情報の利用目的や開示について説明している。「個人情報の取り扱いに関するご案内兼同意書」では医療等の外部関係機関に情報を伝えることを説明し、同意を得ている。保護者に対しては個人のSNSやブログへの写真・動画の掲載については禁止を謳っている。職員は採用時に個人情報管理に関する規則を遵守し、守秘義務について誓約書を提出している。水遊びや身体測定時の着替えは衝立で仕切り男女別で行っている。看護師が４・５歳児クラスに向けてプライベートゾーンについての本を読んだり、話をし意識していくことを伝えている。

園では子ども一人ひとりの家庭環境、成長や発達を把握したうえでその育ちを援助している。本年度は「子どものやりたい気持ちを大切にし、様々な経験・体験を支える保育」を園の保育方針の一つに挙げている。食事、着替え、遊びの中でその子にあった環境構成、子どもの思いや気づきに共感し、良いところを見つけて伸ばす保育を行っている。家庭での生活習慣に配慮し、睡眠時間の調整や生活リズムを整えている。また、子どもたちが文字に興味を覚えたらプリント学習をしたり、思い思いに想像した物語を描くなど子どもの気持ちにも応えている。

登園時の子どもの顔つき、様子、服装の乱れ、おむつ交換や着替え時に体の傷はないかなど、注視・観察している。虐待の恐れのある子どもに対しては、速やかに情報を共有して対応を協議し、関係機関や本社に連絡する体制も整っており、虐待に関するマニュアルも整備されている。だが、虐待防止に関する外部研修への参加や園内での研修・勉強会などは行われていない。虐待に当てはまるような言葉や意識についての再確認や行動に反映することが求められる。また、育児困難家庭への支援の仕方など職員全員が定期的に学ぶことも期待される。

本部作成のマニュアル類は、理念・方針・サービスの基本事項や保育の手順等を明確にしている。また、園運営に係る危機管理、事故防止・対応、食事、感染症など各種のマニュアル類は本部が統一して研修を実施し、全職員が学んでいる。園が独自に作成したマニュアル類として「感染症、熱配慮、トイレ清掃」等を整備している。これらにより業務に必要な情報や基本姿勢について再確認している。ただ、職員自己分析ではマニュアルや手順書を活用できていないといった職員も見られた。統一した保育の実践に向け、マニュアル類の活用が期待される。

本部作成のマニュアルは、会社の全体会議等の意見や提案を踏まえて、担当部署が１年に１回、全体的な見直しを行い、改善、改正を行っている。園が作成したマニュアル類では、行事に関わる手順については見直しや修正を行い、実践に移している。防災や不審者対応の手順については毎月防災訓練を行っており、その度に見直し、工夫や改善を行っている。感染症については熱中症やノロウイルスなど流行到来前に見直しを行い、水分補給や嘔吐物処理方法の手順を確認している。今回のコロナ対策では本部指導に基づき対策をとっている。

提供しているサービスの基本事項や手順についての見直しには職員や保護者、子どもの様子からヒントや提案をもらい、改善や改定を図っている。例えば、アレルギー食への対応として間違いのないように食札の受け取り手順を見直している。運営委員会では保護者の意見で「保育参観をしてほしい」という要望に対して、コロナ禍を考慮して動画の配信を行った。また、以前掲示していた幼児クラスのその日の保育内容を伝えるボードの復活など、保護者に対するサービスの向上を高める取り組みを行っている。