東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

法人の運営理念は「私たちは医療保健福祉の分野で地域の方々の生活を生涯に渡って支えることに最善を尽くし、そしてそこで働いていることに誇りを持ちます」で、運営方針は「DX（デジタルトランスファー）促進により生産性向上」です。これらの法人の理念・方針について、職員の理解を深める取り組みとして、新入職員研修で伝えています。また、保護者には入園時説明会の中で説明しています。そのほか、園の全体的な計画は、入園のしおり、入園時説明会などで保護者に説明しています。

園長の役割と責任は「業務分担表」や「事務分掌表」に記載し、職員会議などで職員に伝えています。「業務分担表」は大分類、中分類、小分類と内容ごとに細かく区分しており、園長、主任、副主任などそれぞれの役職ごとに責任権限を明確に表しています。さらに、法人全体で誕生月研修（オンライン）として、誕生月の職員を対象に理念、接遇、法令遵守、個人情報保護、経営方針の説明に加え、グループワークなどで職員の幸福度を図る取り組みを行っています。その際に、理事長や副理事長からメッセージを発信しています。

重要な案件は、理事会や経営会議において、検討・決定しており、最近検討した重要な案件は、定款の変更となっています。また、園内の案件については、園長と主任が中心となって検討しています。なお、法人内または園内の決裁の仕組みについては稟議規程に記載しており、決裁された文書は、文書管理課で5年間保管しています。重要な案件は職員会議で職員に伝え、ホームページや園だよりで利用者に伝えています。そのほか、近隣住民には手紙の配布で伝えています。

保護者のニーズは、クラス懇談会、個人面談、行事後アンケートにより把握し、職員会議で職員に共有しています。また、法人全体の取り組みとして、隔年でサービス全般に関する利用者アンケートを実施し、本部で結果を集計しています。なお、寄せられた意見については、ホームページや広報誌により回答しています。今年度の保護者ニーズに対応した具体的な事例として、園活動の動画配信を行っています。そのほか、職員のニーズは個人面談や職員会議により把握し、地域の福祉ニーズは園見学や保護者相談会により把握しています。

園は、区の私立園長会や砧保育ネットワークに参加し、地域情報を把握しています。砧保育ネットワークは、地域の保育に関する繋がりを目的とした活動で、年4回開催されています。職員向けの合同研修の実施や、今後の取り組みとして男性保育士だけの集まりや、主任保育士だけの集まりなどを計画しています。そのほか、園としての重点課題や重点目標は、全体的計画に明示されており、その中で最も優先順位が高いものは、衛生管理、安全面の確保です。

法人で医療、保育、介護、障害、生活サポートに関する3年間の中長期計画を作成し、それに合わせて園の事業計画を作成しています。なお、園においても、3年間の中期計画を作成し、将来の見通しをもって運営に取り組んでいます。これらの計画については、年度末の職員会議で全体的な計画と合わせて職員に伝えるとともに、データとしてパソコン内に保管しています。事業計画の進捗状況は職員会議により職員に伝えており、事業計画の内容を年度途中で見直す場合は、チームマネージャー会議で検討しています。

法人職員として守るべき法や規則についてまとめた書類として「就業規則」や「細則」を整備しています。なお、これらの書類はパソコン内に保管しており、職員はいつでも閲覧することが可能です。また職員の理解度については、法人教育課が中心となって就業規則から抜粋したハンドブックテストを実施しています。ハンドブックテストは正社員は毎週、非正社員は毎月実施しており、テスト結果については教育課が集計し事業所にフィードバックしています。守るべき法や規則に対する理解度が不足している職員に対しては、個別面談を実施して支援しています。

苦情解決制度を整備し、苦情受付担当者を主任が、苦情解決責任者を園長が担っています。これらの担当者や苦情解決制度の利用方法は、入園時に保護者に伝えています。なお、利用者から意向や要望を伝えられた際は、保護者対応マニュアルに沿って対応しており、受け止めた利用者の意向と対応した内容は、苦情受け付け書に記録し保管しています。また、虐待が疑われる事例が生じた際は、虐待防止マニュアルに沿って対応し、児童相談所や子ども家庭支援センターなどの専門機関やネットワークと連携を図りながら解決に取り組んでいます。

ボランティアや職場体験の受け入れについては、ボランティアマニュアルに沿って対応しています。特に職場体験については、近隣の小学校や高校と連携し16名の学生・生徒・児童を受け入れています。また、毎年地域の医療・福祉イベントに参加しています。このイベントは、地域で医療や福祉を行っている事業者が参加し、取り組みの発表を行っています。そのほか、年4回子育て支援事業を開催し、栄養士による離乳食の作り方講座や看護師による体操や講話などを実施しています。

運営に係るリスクとして、最優先で対策に取り組んでいるものは、コロナウイルス感染症対策で、2番目が火災・地震対策、3番目が事故対策です。運営に係るリスクは、安全・衛生・危機管理マニュアルに明示され、毎月開催される法人全体のプロジェクト会議で対策を検討しています。また、安全管理向上に向けて、ヒヤリハット報告書を職員1人につき2件以上の提出を目標にしており、本園・分園併せて毎月40～50件提出されています。提出されたヒヤリハット報告書は毎月集計し、発生要因や傾向などを職員会議で報告しています。

事業継続計画（BCP）は東日本大震災レベルを想定して作成しており、想定している復旧期間は1カ月と定めています。BCPを周知するため、職員には職員会議を実施し、保護者には入園時の説明や改定時に随時説明をしています。また、本園は区の福祉避難所として設定されているため、毎月無線テストを行っています。そのほか、事故、感染症、侵入、災害などが発生した際は、事故報告書、保健日誌、罹災状況報告書に記録し、発生要因は経営会議や対策会議（臨時）で分析しています。再発防止策は、口頭説明や玄関掲示で利用者に伝えています。

情報管理の質を確保するため、ISO9001を取り入れており、文書管理規定の内容は経営会議で確認しています。また、情報管理やパソコンのアクセス制限については、法人デジタル課が中心となって取り組んでいます。個人情報や機密性の高い情報を含む文書は、アクセス制限を設けたパソコン内や、鍵つき書庫に保管しています。さらに、保護者向けに、個人情報の利用目的や開示請求の方法を明示する資料として、個人情報使用同意書や特定個人情報取扱規程を整備しています。個人情報の管理状況は、園長、本部コンプライアンス課が確認しています。

法人または園が求める職員像については、職員ハンドブックに記載しており、求人は法人人事課が中心となって、ネット広告、ハローワーク、紹介業者を利用しています。園のキャリアパスシートに設定されている階層の数は5階層で、キャリアパスシートの内容は、職員会議や面談で職員に伝えています。求職者は、面接時の説明でキャリアパスを確認することが出来ます。キャリアパスシートに記載した初任者研修の具体例として、保育士などキャリアアップ研修や、リーダー研修としてマネジメント研修があります。

法人または園全体の研修計画や職種別の研修計画を作成するとともに、正社員については個別に研修計画を作成しています。また、職員の意向や経験、育成の成果は、人事考課後の人事部面談で確認しており、目標管理シートや人事考課に記録しています。なお、個人別の研修受講履歴は、個人別研修記録に記録しています。さらに、園独自の取り組みとして、毎月外部講師による90分間の研修を園内で実施しています。そのほか、年4回園長が全職員と個人面談を実施し、将来の展望などを確認しています。

法人で整備している福利厚生の具体的な内容として、職員給食、予防接種、健診、薬の処方があります。薬の処方は、法人で医療施設を運営しているという背景から、職員の薬の処方代を法人が負担するという制度です。職員の有給休暇の取得状況も90%と高い水準にあります。また、法人全体の取り組みとして、全職員に「幸せデザインサーベイ」という100問ほどのアンケートを実施し、職員の幸福度を図っています。アンケートの結果は集計され、各園でそれぞれの項目に応じた対策を検討しています。

法人は、保育園の案内として法人パンフレットや広報誌を毎月発行しています。広報誌では、法人が運営するさまざまな事業内容や特長などを紹介しており、読み応えのあるボリュームに仕上がっています。また園は利用者への案内として、理念、方針、概要、年間行事予定などを記載した独自のしおりを作成しています。そのほかホームページでは、しおり同様の内容に加えて園での過ごし方も紹介し、年度ごとに更新を行いながら保育内容を伝えています。なお情報提供の際は、カラー三つ折りのコンパクトサイズとし、詰め込みすぎず見やすさを重視しています。

園の情報は、世田谷区のホームページにも掲載されており、運営主体として法人ホームページのリンクも張られています。また、世田谷区の保育課や隣接する小学校へは、園の取り組みを定期的に報告しています。特に小学校は就学園児が多いことから、継続的な交流を願い定期的に訪問しています。そのほか、併設する特別養護老人ホームの玄関フロアには、地域住民向けに園のしおりを設置しています。

見学は入園希望者が集中する時期でもある8月から11月にかけて、事前予約制で行っています。1日あたりの受け入れは1～3名とし、1名に対しおおよそ1時間から1時間半かけて、主任保育士が案内・説明をしています。見学者には、園の特長として「自然との共存と緩やかな縦割り保育」について触れ、環境に恵まれている点や異年齢交流が盛んである点、小学校とのつながりが深い点などについて、分かりやすく丁寧に説明しています。さらに、保護者の「園をもっと見たい・知りたい」というニーズに合わせて、保育士体験会を土曜日に実施しています。

入園が決まった利用者には希望に合わせて日程調整し、個別で説明会を開催しています。説明会では「はあと保育園成城のしおり・登園のめやす」に沿って、安心と信頼感を抱てもらえるよう受け答えにはじゅうぶん配慮し、保育内容を伝えています。また、保育内容やプライバシーの保護については、重要事項説明書および個人情報使用同意書で確認しています。そのほか、入園説明会であがった意見や質問については、新入園児面接用紙に記録し保管しています。

入園前の子どもの生活状況やアレルギーの有無や既往歴などは、健康記録・アレルギー疾患生活管理指導表に記録し、保管しています。また入園時には、保護者や子どもの不安やストレスを緩和するため、慣れ保育を実施しています。期間は少なくとも1週間、それ以降は個々の状況に応じた期間で設定しています。期間中は保護者の保育に対する理解や安心を深めるため、登園・降園時に丁寧な申し送りと情報共有を行い、場合によっては面談時間を設けています。なお、慣れ保育中は、看護師が判断する医薬品や抗アレルギー薬などの持ち込みを許可しています。

卒園前に退園や転園をする園児には、担任が作成した成長のアルバムをプレゼントしています。卒園児には製本した卒園アルバムを、転園・退園児には手作りアルバムを、大きくなったら見返してもらいたいとの思いを込め制作しています。また、園児・保護者の不安を軽減するため、年明けから、靴を屈んだまま履く練習やハンカチ、ちり紙の使い方、さらには和式トイレの使い方まで、これから身に付けるであろうことを予測し、生活の中に繰り返し取り入れています。

保育日誌は、0～3歳児について個別に記録欄を設け、連絡ノートは、0～3歳児および4～5歳の希望者のみ保護者と毎日取り交わしています。加えて、児童票、保育日誌、連絡ノート以外にも、保育経過記録を用いて園児の心身の状況や生活状況を記載しています。また、0～2歳児の個別の保育目標は個人カリキュラムに記録し、家庭や保護者の個別のニーズや支援方針については面談記録に記録しています。そのほか児童票に、園児一人ひとりの姿を3カ月ごとに集約しながら記録しています。

最新の全体的な指導計画は令和3年3月に作成しており、指導計画は0～2歳児と気になる子どもについて個別に作成しています。特に5歳児の指導計画については、生活リズムの調整を図りながら、就学前教育カリキュラムとの整合性を意識して取り組んでいます。なお、2歳児以上でも、家庭の状況を踏まえた保育を提供する場合は、個別に指導計画を策定しています。これらの計画は、個人面談などで保護者に周知しています。環境の変化で計画の実践が適切ではないと判断された時は緊急に見直し、職員会議を経て変更を行います。

職員間で情報を共有する場として、正職員対象の職員会議や、担任保育士参加のクラス別会議をそれぞれ月1回実施しています。職員会議では園児に関する情報共有に加えて、保育目標の達成状況や指導計画の推進状況の評価も行っています。そのほか、職員ミーティングを毎日10分行い、その日の園児や保護者の状況を共有しています。また、申し送りや引継ぎには申し送りノートを活用し、園日誌・クラス日誌を含む申し送り関連書類は事務所書庫に保管しています。なお、職員会議録や申し送り表を閲覧した職員は押印を行うことで確認しています。

保育環境のコンセプトは、安心して過ごせることはもとより、自由な雰囲気の中で自分らしく表現しながら楽しんで生活する場としています。保育室内には、生活目的に応じた食事、休息、身の回りのことを行うスペースを設けています。また、遊びのスペースにおいては、パーテーションやテーブルを使ってコーナー分けしています。そのほか、園児が主体的に活動できるよう、その時々の興味・関心に沿って図書を構成したり、すぐにやりたいことに取り掛かれる材料や道具を用意しておくなど、さまざまな工夫を凝らしています。

縦割り保育は4～5歳児クラスを対象に、異年齢交流保育は全クラスを対象に行っています。散歩や行事、日頃の保育の中で交流を深めるとともに、登園時や午睡時には上の子が下の子に声をかけ誘導したり、絵本を読んであげるなど生活の手伝いをしています。その中で、上の子には優しさが、下の子には憧れが芽生えるなど、互いを認め尊重する心が育まれています。そのほか、海外の文化に親しむ機会として、給食に多国籍メニューを取り入れて食文化の違いを体感したり、日本の行事食や伝承遊び、わらべうた、手遊びなどで国内各地の文化に親しんでいます。

要支援児の保育に際しては、世田谷区発達障害相談・療育センターや巡回指導員などの専門機関・専門職と連携しながら対応しています。発達の過程で生じる園児同士のトラブルには、それぞれの気持ちや思いを汲み取り、言葉にならない部分は代弁しながら気持ちが落ち着くよう働きかけています。また職員は、区主催の「子どもを尊重する保育の実践」研修に参加し、保育において必要な知識や技術を学んでいます。そのほか就学支援として、近隣小学校との交流会・見学会を実施するとともに、保護者には懇談会や個人面談で進学に関する情報を提供しています。

登園時には、毎回保護者へ園児の体調や情緒、降園時間、迎えに来る方に加えて、家庭の都合や要望なども確認しています。登園時に保護者から得た情報は、昼礼で行う申し送り時に職員間で引き継いでいます。また、降園時には毎回保護者へ主活動の内容や園児の様子を報告しています。そのほか、当日の活動の様子は、連絡ノート以外にホワイトボードにも記載し、ポートフォリオの画像も添付しながら伝えています。さらに、昨年からは環境の変化に対応して動画配信を始めました。日頃の様子や行事、食育の光景などが伝わり、保護者からも好評を得ています。

園児の発達の段階と支援の方法については全体的な計画に記載されており、基本的な生活習慣に関しては保育所保育指針に基づき指導しています。具体的には、食事について、体を良く動かして遊びお腹をすかせて美味しく食事することを指導しています。排泄では、意欲につながる声がけや個々の気持ちを尊重すること、また意欲が見られたときにしっかり褒めることを大事にしています。そのほか、歯磨きついては歯科衛生士による歯の話とブラッシング指導を、着替えについても意欲を第一に考え、手伝いすぎない援助と頑張りを褒めることを心がけています。

午睡時間について、乳児は12時30分～15時、幼児のは12時40分～15時の間で設定しています。午睡の際は、布団マットなどの寝具を使用しており、眠れない子がいた場合は使用していない部屋で過ごしてもらっています。ただし、静かに休める子においては、そのまま横になって休んでもらっています。そのほか就学準備として、5歳児は11月頃から徐々に午睡をなくしています。

クラス全体で取り組む活動として、園児主体で行う行事などがあります。中でも夏祭りは、内容から催しの担当まで園児が中心となって決定し、当日の運営も全て園児が担っています。また、小さい子たちがまねをしてプチ夏祭りを開催するなど、良い形で園児主体の行事が発展しています。なお、職員は園児の主体性を尊重し、余計な手出しは行わず必要に応じてさり気なくサポートしています。そのほか、朝の会では遊ぶ内容や散歩コースを話し合い、帰りの会では楽しかったことや記憶に残っていることを発表する場を設け、言葉に対する感覚を養っています。

園児の気持ちを尊重した上で、自分らしく表現を楽しむ活動を多数実施しています。具体的には、音楽的な表現力を育む機会として合奏やクリスマス会で発表する劇中歌、ハンドベル演奏、身体を使った表現力を育む機会としてリズム遊び、劇遊び、運動会で発表する遊戯などを行っています。中でも劇中歌は、音楽的な表現と身体を使った表現を楽しむミュージカル調の内容で、園児をより楽しませています。そのほか、読み聞かせごっこでは言葉を使った表現力を育み、夏の思い出や運動会の心に残るシーンを描く制作活動では、絵画的な表現力を育んでいます。

園庭では、かくれんぼ、追いかけっこ、砂場遊び、三輪車、ボール遊び、ごっこ遊びなどの活動を行っています。散歩は毎日実施し、林や小川など自然に包まれた緑地コース、または、遠方の公園などに出かけて自然探索、追いかけっこ、かくれんぼ、遊具遊び、ルールのある遊びなどの活動を、遠足気分で楽しんでいます。園生活では、サクラ、シロツメクサ、タンポポ、アジサイ、チューリップ、ヤマブキなどの植物や、ダンゴムシ、ワラジムシ、セミ、クワガタ、カブトムシ、カワエビ、カエルなど、たくさんの生き物にふれ、季節の移り変わりを感じています。

主な年間行事として、季節や文化に親しむ「鏡割り、節分、ひな祭り、子どもの日、夏祭り、お月見、ハロウィン、クリスマス会」や、子どもの成長や保育の成果を発表する「お楽しみ会、運動会」を行っています。行事開催に向けて園児の興味や関心を高めるための工夫として、絵本やパネルシアターを使って由来や昔の様子を伝えています。そのほか、園児自身が内容を決めて実施する行事として夏祭りを行っています。行事終了後には、楽しんでいる様子や頑張っている場面の画像を掲示したり、子どもが心に残ったことを発表する機会を設けています。

年間行事予定表は毎年4月に配布し、保護者が見通しをもって予定が立てられるよう配慮しています。行事ごとの目的については、園だよりやクラス懇談会で保護者に伝えています。また、保護者が参加・見学できる行事として夏祭り、運動会、クリスマス会、卒園式を実施しており、クリスマス会では保護者がサンタやトナカイ役となって園児たちを喜ばせています。一方、保護者が参加していない活動については、園だよりやホワイトボードで、写真を活用して園児の様子を伝えています。

園児の誕生日会は、クラス単位でお祝いしています。会では、バースデーソングの合唱や誕生月の園児へのインタビュー、そのほか職員による出し物などで園児たちを楽しませています。また、写真や手形、身長・体重、担任からのコメントを載せたメッセージカードもプレゼントとして贈っています。

園児が安心してくつろげる環境整備として、生活導線を考慮し、各スペースゆとりを持って設定しています。日中疲れてしまった園児がいた場合や、一人きりになりたい園児がいた場合は、使用していない部屋で休息することができます。部屋には、休息時に使用する布団マットやバスタオルを常に用意しています。また、安心してくつろげる環境をつくるには、家庭での生活リズムを把握することが不可欠であると考え、受け入れ時のヒヤリングは詳細に行っています。

延長保育は、17時にクラス別保育から合同保育に切り替わり、その間の合同保育は2歳児室で行っています。合同保育では、普段遊べない風船、ブロック、新しい塗り絵などの玩具を用意しています。また、園児に疲れや不安が見られるときは、安心して過ごせるようスキンシップなどで個別に対応しています。加えて、周りの子が帰る寂しさを受け止め、少しでも気持ちが安らぐようゆったりした口調で読み聞かせをしたり、指人形で語りかけたりしています。なお、延長保育の時間帯は、日中の様子や体調、情緒面など細部に渡って申し送りを行っています。

食事は各クラスで行い、一方向を向いて横並びで食べています。コロナ禍の現在、幼児では会話を控え黙食としていますが、多少の会話は交え、職員も節度を保ちながら語りかけています。一方、食事の前後には人気のある絵本を読み聞かせたり、食材やメニューにまつわる話などをして、楽しく食事ができる雰囲気作りを工夫しています。また、配膳は手早く行い、読み聞かせからスムーズな流れで食事を開始できるよう職員を配置しています。

食事は、季節の旬の食材を取り入れ、ダシを効かせた和食中心の献立を提供しています。行事食においては、興味・関心を惹く見た目・彩りを心がけています。また、喫食表やリクエスト投票をもとに園児の嗜好調査を行い、人気メニューは年1回のお楽しみ給食に反映しています。そのほか、食物アレルギーのある園児については、食物アレルギー対応マニュアルに沿って代替食を提供し、個別テーブルで食事をしています。加えて、提供の際は、食器・トレーの色分けや受け渡し表の活用、さらに厨房から保育室へ渡る際には二重確認を行い誤食を防いでいます。

食や栄養に関する知識や関心を深める取り組みとして、3つの色の食べ物や旬の食材クイズ、食育実施前の使用食材紹介などを行っています。園内では食育を目的として、トマト、ピーマン、なす、ゴーヤ、きゅうりなどの季節の野菜を栽培し、ゴーヤフライやきゅうりの酢の物、夏野菜のピザなどにして、食への興味持たせています。また、調理体験は3～5歳児が行っており、ピザ作り、ごますり、クッキー作り、ふりかけ、おにぎり作りなどを楽しみ、食への関心を深めています。なお、栄養士や調理師は、毎日園児と触れ合いながら配膳などに参加しています。

園児の防災・防犯意識を高める取り組みとして、月1回の消火避難訓練、年1回の不審者訓練のほか、保護者と連携して引き渡し訓練を行っています。交通安全に向けた指導として、散歩に出かけた際に、標識や信号のルールについて守る理由にも触れながら繰り返し伝えています。また感染症が流行する時期には、正しい手洗いの仕方やうがいの方法をについて、歌を交え楽しみながら指導しています。そのほか、園内の事故・怪我防止に向けた対策として、ヒヤリハットの共有と原因を踏まえた改善策の実施や、定期的な施設安全チェックを行っています。

園児の成長と健康管理のため、視診・聴診による健康診断を0歳児は毎月、1歳以上の園児は年2回実施しています。また、歯科検診の際には、歯科衛生士による歯磨きの実技指導を行っています。与薬は基本的に行っていませんが、担当医の指示がある場合に限り薬を預かっています。なお、与薬を行う場合は、与薬指示書を提出してもらっています。そのほか、医療的ケアが必要な園児を受け入れる際は、関係医療機関と連携しながら、園看護師が中心となって万全な体制を整える方針です。

保健だよりは、健康指導や季節ごとに流行する感染症情報などについて掲載し、毎月発行しています。感染症が発生した場合は、玄関掲示やメールにて情報提供を行い、注意喚起しています。また、午睡時は、視診や触診で健康状態をチェックし、午睡チェック表に記録しています。そのほか感染症に関して、職員を対象に吐しゃ物処理の園内研修を実施しています。なお、園内研修については看護師が中心に年間スケジュールを作成し、いざという時に行動に移せるようエピペンや応急手当などについて繰り返し学んでいます。

保護者の子育てに関する価値観や就労状況については、面談記録、児童表、入園までの生活状況のいずれかに記録し、個別の関わりに配慮しています。また、日常的なサービスに係る保護者の意向は、年1回の満足度調査やご意見箱で把握しています。保護者とは個人面談を年2回実施しており、加えて保護者に不安な様子が見られた際は即日面談の場を設け、安心につなげています。そのほか保護者対応に関する接遇マニュアルとして職員ハンドブックを整備しています。さらに、毎年誕生月には実演・出題形式の内部研修を実施し、接遇力向上に努めています。

保護者間の交流を深める取り組みとして、クラス懇談会を実施しています。職員は司会者ではなくファシリテーターとして会を進行し、参加者同士の会話を促進しています。また、近隣の緑地公園で開催した運動会では、公園ならではの規模と自然豊かな環境で保護者同士の距離が縮まり、より交流も深められています。そのほか、保護者と職員の信頼関係を深めるため、丁寧なあいさつと声掛けをはじめ、保護者のニーズや困りごとはいち早く園全体で共有し対応することを大事にしています。なお、保育参加は保護者の希望に応じて随時実施しています。

保護者とは年2回の個人面談に加えて、悩みや不安を抱く様子が見られた時には個別で話をする時間を設けています。そのような取り組みは保護者の悩みや不安を解消するだけでなく、子育ての考え方や互いの理解を深める機会にもなっています。また保育参加では、保護者が保育者として園生活に参加する中で、子どもの育ちを実感し安心にもつながっています。そのほか、園は保護者の全体像から、傾聴中心の育児相談の必要性を感じており、地域支援の一つとして定例で実施することを検討しています。

近隣の公共機関である消防署を訪問し、火の始末の話を聞いたり、消防車や救急車に乗せてもらうなど、さまざまな体験をしています。また、小学校とは園児の就学に向けて交流の機会を設け、宝探しゲームや縄飛びなどの遊びを一緒に楽しんでいます。そのほか、地域向けのイベントとして夏祭りを開催し、模擬店や盆踊りで交流を深めたり、併設の高齢者施設へは定期的に訪問し、歌を歌ったり手作りプレゼントで入居者に喜ばれています。中学・高校の職場体験や保育実習生は30名程度受入れており、園児たちは毎回楽しみにしています。

個人情報の取り扱いについては、個人情報使用同意書をもって詳しく口頭で説明を行った上で同意を得ています。突発的に個人情報を提供する必要が生じた場合、例えば想定されるメディア関連や医療機関受診においては事前に同意の可否を確認し、その回答に則って対応しています。園児の羞恥心においては、心身の発達や個々の心情をじゅうぶんに配慮し、適切に対応しています。また、配慮が必要とされる個々の状況について、昼礼や職員会議で共有しています。

園児の権利を尊重する関わり方について、区が発行する「せたがやの保育」に則って対応しています。職員は「子どもを尊重する保育の実践」をテーマにした人権に関する園内研修や、区主催の外部研修に毎年参加して理解を深めています。そのほか、子どもと保護者の価値観や生活習慣を把握するため、利用者アンケート毎年実施しています。また、保護者の状況に配慮した対応事例の一つとして、育児不安や困難を抱える家庭に対しいつでも個別で相談に応じ、安心して育児ができるよう気持ちを支えています。

虐待の早期発見と対応のため「特別な支援を要する子どもへの援助」というテーマで、園内研修を年1回実施しています。加えて、自治体や専門機関が主催する虐待防止研修にも、5名の職員がオンラインで参加しています。また、虐待に関するニュースなどが報道された際は、昼礼時に職員と共有するとともに、日々の園児の様子により注意深く観察するよう心がけています。そのほか、毎年年度末には「保育を振り返るチェックシート」を実施し、職員一人ひとりが保育を自己チェックしています。

法人内で共通して作成・活用しているマニュアルとして、青藍会グループ職員ハンドブックを整備しています。園で独自に保育業務等手順書をはじめ、感染対応、保護者対応、危機管理、電話対応、ボランティア受け入れ、不審者侵入者対応などのマニュアルを作成しています。それらのマニュアルに沿った業務の実施状況は、保育副主任が中心となって確認し、現状に合わないものは話し合いの上変更しています。また、職員ハンドブックおよび保育業務等手順書は全職員に配布しており、分からないことが起きた場合や業務点検の手段として活用しています。

サービスの向上を目指し、今年度は特に子どもが伸び伸び楽しめる環境設定に取り組んでいます。具体的な取り組みについては、職員会議の中で検討しています。保護者の声を受けて見直した事例として、延長保育の申し込み期限の変更があり、保護者の事情を優先して当日直前までの受付を可能としました。そのほか、職員の実践事例をもとにサービス向上を図った事例として、毎日更新されるポートフォリオと、保育者ならではの視点による丁寧な報告の強化があります。特に、ポートフォリオは日々職員のスキルが磨かれ、仕上がりの質を高めています。