東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

法人の運営理念や運営方針は、4月の職員会議や入職時に説明をしています。また職員会議で周知することで職員の理解を深め、ビジョンを共有しています。職員自己評価の結果でも職員の認識は高いようです。さらに保護者の理解を得る取り組みとして、入園のしおりに記載し玄関での閲覧や、保護者会で周知しています。園の方針や全体的な計画は、保護者会などで保護者に説明しています。

園長の役割と責任は業務分担表に記載し、職員会議などで職員に伝えています。職員会議では、理事会の報告も行っています。また理事長は、毎年4月1日の職員会議で職員にメッセージを発信しています。そのほか、園の運営方針は、乳児会議・幼児会議、個人面談で園長が職員に確認しています。

重要な案件は、職員会議で検討後、園長から理事会に挙げられ決定しています。決定した案件については、職員会議で職員に伝えるとともに、保護者会で保護者に伝えています。また近隣住民にはお手紙をポスティングするなどして伝えています。なお決裁された文書は、資料室で10年間保管しています。最近検討した重要な案件として、門の扉のセキュリティ強化について検討しています。

保護者のニーズは、年2回アンケートにより把握しています。ニーズに対しての取り組み事例として、保護者から依頼があった子どもに発達巡回訪問を実施しています。職員のニーズは、年1回の面談や、臨機応変にお話の時間を設けて把握しています。ニーズに対しての取り組み事例として、早番、遅番のシフトに対する処遇改善を実施しました。地域の福祉ニーズは、大田区社会福祉協議会に出席し把握しています。いずれのニーズも職員会議で職員に報告しています。ニーズに対する取り組み事例として、敬老会への高齢者の招待があります。

区内およそ150の民営保育園長が集まる大田区園長会や、東京都社会福祉協議会に参加しています。さらに福祉事業全体の動向を知るため、日本保育協会や私立保育園連合会などの機関誌、保育専門雑誌を購読しています。そのほか、園の予算や決算状況は、年度末会議で職員に伝えています。なお詳しい決算内容は、理事会で決算が確定してからホームページに掲載することとしています。これらの予算・決算書類は、資料室に保管しています。

単年度事業計画は毎年2月頃に作成し、進捗報告も含めて職員会議で職員に伝えています。事業計画の内容を年度途中で見直す場合についても、職員会議で検討して各クラスリーダーに提案し、園長が決定しています。実施予定期間の途中で計画内容を見直した事例として、コロナ禍での行事開催があります。そのほか、園の予算編成は、理事長・理事・監事が策定しています。

法人職員または保育職員として守るべき法や規則についてまとめた書類として、就業規則・服務規律を整備し、職員全員に配布しています。また新人職員には、入職時に個別説明をしており、理解度については、毎年の個人面談で確認しています。守るべき法や規則に対する理解度が不足している職員に対しては、規則・規定の再確認（個別対応）を実施するなど、支援しています。そのほか、人権問題講習には毎年職員を参加させています。

苦情解決制度を整備し、苦情受付担当者は主任、苦情解決責任者は園長が担っています。なお制度の利用方法は入園のしおりに記載し、保護者会で説明しています。同時に、本制度を説明したプリントを別途配布しています。保護者から意向や要望を伝えられた際は、苦情解決の実施要項に沿って対応しています。また、職員の子どもに対する言葉遣いや立ち振る舞いの規範を運営手引き書に示してあり、研修会で学んでいます。虐待が疑われる事例が生じた際は、子ども虐待マニュアルに沿って、速やかに家庭支援センターなどと連携して対応しています。

行事予定や予算・決算報告、財務諸表は、ホームページで地域に向けて開示しています。ボランティア、保育実習生、学生・生徒・児童の職場体験は、それぞれの受け入れマニュアルに則って受け入れています。また、子育て支援事業として、前年度は育児相談を8件実施しています。そのほか、園長会、保小連絡会議などの地域ネットワーク会議に、それぞれ園長、年長児職員が出席しています。直近の議題は、コロナ禍で中止している行事・園外活動についてです。他園との交流は時期をみて再開できないか検討中です。

運営に係るリスクとして、最優先で対策に取り組んでいるリスクは保育中の事故で、2番目が感染症対策、3番目が災害です。これらの運営に係るリスクは、運営マニュアル・感染症対策に明示し、上層部会議で対策を検討しています。それぞれの具体的な対策としては、各種マニュアルの整備や大規模地震災害発生の判断基準の見直しを行っています。

事業継続計画（BCP）は、最大震度7を想定して作成しており、復旧に１か月を想定しています。事業継続計画（BCP)の内容を伝えるため、職員には職員会議で、保護者には保護者会を実施して伝えています。危機管理マニュアルやBCPは、資料室に保管し、内容を文書で関係機関に伝えています。事故、感染症、侵入、災害などが発生した際は、事故簿・保健日誌・災害記録に記録し、発生要因は職員会議で分析しており、再発防止策は、プリント・保育業務支援ツール・保護者会で保護者に伝えています。

職員は個人情報保護規定の遵守義務を負っています。パソコンのセキュリティ管理は副園長が行っており、園内で作成するデジタルデータは、パソコンまたはUSBに保存し持ち出し禁止としています。また個人情報の利用目的や開示請求の方法を個人情報保護規定に定め、保護者に重要事項説明書・園のしおりで説明しています。個人情報の管理状況は、園長・副園長・主任が確認しています。なお虐待、急病等の場合は保護者に了承を得ずに子どもの情報を外部機関に提供することがあります。個人情報や機密性の高い情報を含む文書は、資料室に保管しています。

求職者にアピールする制度として、シフト当番手当を設けています。また職員が受講した研修内容は、研修会・職員会議で報告し、内容を共有しています。そのほか、職員が日頃の気づきや工夫について意見交換を行う場として、乳児会議・幼児会議を開催しています。会議では意見が出やすいよう、順に意見を述べるルールにしています。なお人材育成計画は、職員会議で内容を職員に伝えています。

園全体の研修計画は、職種別、非常勤職員も含めて園内外年間研修予定表に明示しています。また職員の意向や経験は、園長面談記録に記録し、職員一人ひとりの育成の成果は、研修会・職員会議で園長、主任が観察し確認しています。職員の指導方針は、保育運営の手引きに定めており、リーダー養成は経験年数を踏まえて実施しています。他の職員を指導する権限を持つ職員は、副園長・主任です。

職員が掲げた目標の達成状況の振り返りは園長面談で行い、10月から11月に実施します。職員の意識ややる気は、具体的に褒める事で把握・分析しています。職員間の良好な人間関係については、休憩中の談笑から客観的に把握しています。福利厚生には、被服費や歓送迎会の法人負担があります。休憩室の環境の充実にも努めています。法人は職員の定着率と意欲向上に取り組んでおり、正規職員の平均勤続年数は9年と長くなっています。

保育園の案内として、ホームページでの情報発信のほか、「桐里保育園のご案内」というリーフレットを発行しています。ホームページには、保育園の概要・目標・保育園の1日などの内容が紹介されており、年1回更新し、基本的な保育内容を伝えています。また、「桐里保育園のご案内」は、カラー刷りで、保育園の概要・保育目標・内容・保育園の一日・保育園の一年などの情報が掲載されています。

入園が決まった方に対しての資料として、「園のしおり」を配布しています。「園のしおり」には、保育の理念の保育の目標のほか、行事予定など入園生活に必要な情報を数多く掲載しています。また、園の内外の掲示板には行事の予定や、区からの情報発信などを掲示し、地域に向けて情報を発信しています。

見学者の希望日に合わせて随時見学を受け付けており、主に副園長が担当しています。見学者には、園紹介のリーフレット「桐里保育園のご案内」を手渡し、園内を説明しながら案内しています。見学では、園の特徴として緑の多い環境や職員数が多く、子どもひとり一人に寄り添った保育を実践している点について説明しています。また、入園が決まった方に向けて、入園前の3月中旬には、保育体験の機会（1日保育）を設けています。事前に保育の様子を見てもらうことで、保護者や子どもの入園への不安軽減に繋げています。

入園が決まった利用者には、事前に園で健康診断を行ってもらい、その際、入園のしおりに沿って持ち物の説明を個別に行っています。その後、2月末に説明会を開催し、保育内容を分かりやすく伝えています。なお園の保育内容は、認定書・利用申し込みの同意書で確認し、プライバシーの保護については、個人情報保護規定の同意書で確認しています。入園説明会であがった意見・質問や、把握した保護者の意向や園児の状況は、面談記録にそれぞれ記録し保管しています。

入園前の子どもの生活状況や、アレルギーの有無、既往歴などは「子どもの様子」に記録し保管しています。また入園前の子どもの生活状況調査は、誕生してから入園時までの期間を目途に提出して頂いています。なお入園時には、保護者や子どもの不安やストレスを緩和するため、0歳児は2週間、1・2歳児は1週間程度を目途に慣れ保育を実施しています。慣れ保育の期間中は、保護者の保育に対する理解や安心を深めるため、特にお話の時間を多く設けるなど配慮しています。

卒園前に退園や転園をする園児には、メッセージカードやアルバムをプレゼントして送り出しています。また卒園した子どもには、同窓会・縁日などの園行事に継続的に招待しています。同窓会は卒園児が3年生になるまでの期間招待しており、各コーナーでの懐かしい遊びや、一緒に食事をしながら当時の様子を振り返っています。縁日では、卒園児や保護者に加えて、近隣の地域の方を招いて、手作り工作のブースやボウリングなど、子どもたち目線で喜ぶものを実施しています。

連絡ノートは、全クラス・全児童で毎日取り交わしており、保育日誌は、0歳・1歳児について個別に記録欄を設け記録しています。なお園児の個別の保育目標は、月間指導計画案・要支援児記録に記録し、家庭や保護者の個別のニーズや支援方針は、個人面談記録に記録しています。そのほか、児童票において、0～2歳児は生まれ月から3か月ごとに集約しながら記録し、3～5歳児は、年4回集約して記録しています。

最新の全体的な指導計画は毎年2月頃に作成しており、指導計画は、0・1・2歳児については個別に作成しています。特に5歳児の指導計画については、幼保小の連携会議で情報交換を行いながら取り組むなど、就学前教育カリキュラムとの整合性を図るよう配慮しています。なお2歳児クラス以上でも、要支援児の場合は個別に指導計画を策定しています。これらの計画は、保護者会や個人面談などで保護者に周知しています。指導計画を保護者に説明する際は、保護者に伝わりやすく伝えられるよう専門用語を使わないように工夫しています。

職員の定期的な情報共有の手段として、保育士・看護師・栄養士が参加する全体会議（毎月2回）のほか、主にクラスリーダーが参加するクラス別会議（毎月2回）を開催しています。会議に出席できない職員に関しては、職員会議録を作成し、閲覧した職員は押印を行うことで確認しています。なお日常の申し送りには、連絡事項ボードを活用しています。この連絡事項ボードは全クラスで用意しており、合同保育になった時点で集約しています。園日誌・クラス日誌や各種申し送り表は、職員室に保管しているため、職員はいつでも閲覧することが可能です。

保育環境のコンセプトは、安全で四季の変化を感じられる事としています。園内には、園児が主体的に活動できるよう子どもの目線で出し入れできる棚の設置など工夫を凝らしています。また生活目的に応じた絵本コーナーや、遊びに応じたリトミック室などを設けています。そのほか、2階の幼児室（3、4、5歳児）は、上部分がガラス張りのパーテーションで仕切られており、保育士同士が隣の保育を確認することができます。園児たちは必要人数よりも多く配置した職員に見守られながら、毎日3回の園庭活動や季節に合わせた制作活動に取り組んでいます。

朝夕の合同保育や戸外活動のほか、行事の中で異年齢の子どもが触れ合う機会を設けています。2階の幼児クラス（3、4、5歳児）は普段はパーテーションで仕切られていますが、食事や午睡の際は開放し、一つの大きな部屋で隣の様子を感じながら過ごしています。また2歳から3歳に上がる進級時には、1階の2歳児室から2階の3歳児室にお部屋の見学体験をしています。そのほか、海外の文化に親しむ機会として、給食では各国の食事を提供しています。

要支援児は2名を目途に受け入れており、専門機関との連携や心理士などの専門職の指導・助言を受けながら対応しています。職員は実践発表に参加し、子どもの気持ちを尊重する知識や技術を学んでおり、発達の過程で生じる子ども同士のトラブルについては、子どもの気持ちの汲み取りながら丁寧に対応しています。なお、園児同士のトラブルや事故が発生した際は、事故簿、ヒヤリハット・日誌に記録し、保管しています。そのほか、就学支援に向けた取り組みとして、文字の習得や机上活動時間を実施しています。

連絡ノートは、全クラス・全児童で毎日取り交わしており、登園時には毎回保護者へ園児の体調や、そのほかの変更事項などを口頭で確認しています。登園時に保護者から得た情報は、連絡事項表を使用して職員間で引き継いでいます。降園時についても、毎回保護者へ園児の様子や体調を報告しています。また当日の活動の様子は、連絡ノート以外にホワイトボードや掲示を活用して伝えています。玄関には、毎日の活動の様子をクラスごとに掲示するとともに、壁面に、乳児クラスと幼児クラスで2か月ごとに作品を展示しています。

園児の発達の段階と支援の方法は月間指導計画票に記載し、基本的な生活習慣については保育所保育指針に基づき指導しています。環境面では、トイレは1歳児から各クラスに設置しており、1歳児は便座を１つ設置、2歳児は2つ設置、3歳児は仕切り壁のみで扉無し、4歳児は扉はあるが足元が見られる、５歳児は完全に扉で見えなくするといった園児の羞恥心と安全面を配慮した設計となっています。0歳児クラスの壁面には柔らかい手作り玩具が設置してあり、園児たちは自由に、剥がす、つける、押す、引っ張るなど基本的な動さを遊びながら学んでいます。

乳児の午睡時間は、12：30～15：00、幼児の午睡時間は、13：30～15：00で設定しています。午睡の際は、幼児クラスでクラス間を仕切っているパーテーションを取り外して、一つのお部屋で行っています。なお寝具は布団、毛布などを使用しています。午睡時間に眠れない子がいた場合は、リトミック室、部屋の隅などで休息して過ごしています。そのほか、就学準備として、5歳児の11月頃から午睡をなくしています。

保育環境のコンセプトは安全で四季の変化を感じられる事としています。園には広い園庭と遊具があり、毎日自然と触れ合いながら遊んでいますが、ホールにも滑り台、トランポリンなどが設置してあり、室内でもアスレチック遊びを行うことができます。また園児たちが主体的に取り組める集団プログラムとして、集団遊び・運動会・クリスマス会・自由遊びを行っています。クリスマス会ではたくさんの本や音楽の中で園児達が多数決でやりたい出し物を選んでいます。なおゲームの勝ち負けを通して我慢できる力や自分の思いを主張できる力を育んでいます。

園児の様々な感性や身体能力を高めるための多様なプログラムを実施しています。園児の言葉に対する感覚を養うためのプログラムとして、絵本や職員との会話、歌の指導のほか、音楽的な表現力を育む機会として、外部講師によるリトミックを行っています。また身体を使った表現力を育む機会として、日々の戸外活動や外部講師による体操指導を行っています。外部講師によるリトミックや体操指導では、いつもの先生とは違う人からの指導を受けることで、園児の普段とは違った面を引き出すことができています。

天気が良い日は毎日戸外活動に出かけており、近隣の公園やグランドで自由遊びなどを行っています。また園庭でも朝昼夕の1日3回、自由遊び、球根植え、野菜栽培などの活動を行っています。園庭には、桜、柿、桐、があり、多くのプランターでチューリップ・サツマイモ・ピーマン・キュウリなどを栽培しています。自然豊かな立地ということもあり、カマキリ・バッタ・トンボなども園庭で捕まえることができます。今年度はスケルトンのバケツを購入したため、園児たちは様々な角度から捕まえた昆虫を観察することができています。

年間行事として餅つき・凧あげ・七夕・七五三・敬老の会の季節行事のほか、子どもの成長や保育の成果を発表する機会として、運動会・クリスマス会を行っています。敬老の会では、園児の祖父母を招いて、歌を歌ったり、手遊びをしたり、カルタで一緒に遊んでいます。またお正月には近隣の広いグランドで凧揚げを楽しんでいます。行事後は、園児が行事を振り返ったり記憶したりすることを支援する取り組みとして、絵画・しおりの作成などを行っています。

年間行事予定表は、2月末から3月初旬に配布しており、行事ごとのねらいは、月のお便りや行事便りで保護者に伝えています。なお保護者が参加・見学できる行事として、誕生日会・クリスマス会・運動会・保育参観・入園式・卒園式を実施しています。保護者が参加していない活動については、プリント・アプリ・写真で伝えています。そのほか、毎月全クラスで行事の写真や手書きのコメントが記載された手作りの園だよりを配布しています。

園児の誕生会は、乳児（0～2歳児）・幼児（3～5歳児）クラスで毎月開催しています。誕生会では、園児の紹介やインタビューのほか、ペープサートや手品などを行っています。また誕生会の食事は、誕生会特別メニューとして、からあげ・ハンバーグ・エビフライなど子どもの好きなメニューを提供しています。なお誕生会には誕生児の保護者も招いて子どもと一緒に給食を食べるなど、子どもの日常を知ってもらう機会となっています。

園児が安心してくつろげる環境整備として、机上遊びができるコーナーの設置や、保育室にマットを敷いています。日中疲れてしまった園児がいた場合は、このマットの上や部屋の一部で休息することが出来ます。一人きりになりたい園児がいた場合は、医務室で過ごすことができます。医務室には看護師が常備しており、希望があればいつでも訪問することが可能です。また0歳児室には畳のスペースを設けています。

延長保育は、18時15分にクラス別保育から合同保育に切り替わり、2歳児保育室で行っています。合同保育では普段遊べない子どものリクエストに応じ、パズルなどの玩具を用意しています。また延長保育の時間帯は、常勤保育士当番制など職員体制を工夫しています。そのほか、延長保育では、席の配置を変えたり、ゆとりをもって遊べるよう特別な玩具を用意し、小人数で穏やかに過ごせるよう配慮をしています。

食事は各クラスで行い、音楽をかけるなど楽しく食事できる雰囲気・環境作りを工夫しています。幼児クラスは食事中クラス間を仕切っているパーテーションを外し、大きい一つのスペースで一緒に食事を楽しんでいます。なお栄養士は週3回ほど園児の食べている様子を観察し、喫食状況を確認しています。そのほか、1階に設置している調理室はガラス張りで中を見ることができるため、園児が調理している調理員と話をする姿も見られています。

食事は、新鮮で旬な食材をコンセプトに提供しており、行事食は毎月の献立に味付けを変えた唐揚げを取り入れるなど工夫しています。また利用者の嗜好把握に向けて、好きな給食アンケート（お楽しみ給食）を実施しています。食物アレルギーのある園児については「食物アレルギー児への対応について」というマニュアルに沿って代替食・除去食を提供し、各クラスで他児と別の机を使用して食事をしています。なおアレルギー食の提供は、食札・専用トレーと食器を使用し、誤食を防いでいます。

食育を目的として、きゅうり・ピーマン・パプリカ・枝豆・サツマイモなどの野菜を栽培しており、栽培した野菜や果物は、ピザトースト（ピーマン）・野菜スティックなどの料理に使用しています。調理体験は主に3・4・5歳が行い、うどん作り、バター作りを体験しています。また食材が届く際には、希望する園児と一緒に水洗いを行うなど、食材に触れる機会を設けています。そのほか、給食を食べ始める前には、給食に入っているタマネギ・ニンジン・ダイコンなど1食分の量の食材をお皿に乗せて紹介することで、園児の食に関する関心を高めています。

園児の防災・防犯意識を高める取組みとして、月2回の避難訓練（水害含む）や年2回の不審者訓練を行っています。また、交通安全に向けた指導として、警察官による交通安全指導の機会も設けています。さらに園児の健康指導として、看護師による手洗い・歯磨き・咳エチケット・誤嚥防止の指導を行っています。今年は遠足に向けて和式トイレの使用方法も指導しています。そのほか、園内の事故・怪我防止に向けた対策として、危険箇所の点検やヒヤリハットの活用を行っています。

園児の健康状態を把握するため、園医による健康診断と歯科検診を年2回実施しています。また看護師による毎月の身体測定と歯磨き指導も実施しています。歯磨き指導では、歯の模型を使用して歯の磨き方を園児達と一緒に練習をしています。また与薬は基本的に行っていませんが、医師による処方で当日分1回量に限る場合は、薬を預かっています。なお与薬を行う場合は与薬依頼書を提出してもらっています。

保健だよりは、健康指導や流行している感染症について掲載し毎月発行しています。また保護者会には毎年看護師が出席し、保育園での感染症予防対策などの説明を行っています。感染症が発生した場合は、玄関にある保健ボードに記入して情報提供しています。午睡時は、0歳は5分、1・2歳は10分毎に顔色・呼吸の状態・睡眠中の姿勢・体温等のチェックを行い、健康状態を確認しています。なお午睡時の様子は午睡観察記録に記録しています。そのほか、感染症やSIDSに関して、職員を対象に研修会を実施しています。

子育てに関する保護者の価値観や就労状況については、児童表・調査票に記録し把握しています。保育園の日常的なサービスに係る保護者の意向は、行事や日々の保育についての意見・要望アンケートを実施し把握しています。また保護者とは、保育参観時や希望に応じて随時個人面談を実施しています。そのほか、職員の接遇力向上に向けて研修を実施するとともに、保護者対応に関する接遇マニュアルとして、保護者支援・子育て支援の本を整備しています。

保護者間の交流を促進する取り組みとして、5月に交流会を実施しています。近隣のグランドを貸し切り、職員や保護者間でゲームなどを行い交流を図っています。保護者には、別の子どもを抱っこすることで、自分の子どもとの違いを体験してもらう機会にもなっています。そのほか、毎年の保育参観や年2回の保育参加を開催し、保育の様子を共有しています。

子育ての考え方について、互いの理解を深めるための取組みとして、個人面談や子育て相談を実施しています。当園の子育て相談会は、相談内容により相談者を指名することが可能です。保育経験豊富なベテランの先生や子育て経験がある先生、アレルギーに詳しい看護師など保護者の希望により対応しています。また保育を知ってもらう機会として、保護者を対象に保育士体験を開催しています。今後はアプリやメールなどを活用した更なる情報発信に取り組みたいと考えています。

地域資源を活かした取り組みとして、地域の方を招いた触れ合い夏祭りや地域コンサートを行っています。また近隣の公共施設には、消防署や小学校などに訪問し交流を深めています。さらに他の幼稚園児や保育園児との交流を目的として、区主催の池上地区交流会に参加しています。各園の運動会で発表した踊りの発表やゲームなど同じ小学校区毎に分かれて交流などを行っています（現在休止中）。今後は、図書館や児童館などの公共施設の利用を広げていきたいと考えています。

地域向けに敬老の会や運動会などの行事を開催し、地域の方が来園する機会を設けています。また保育実習生や中学生の職場体験などを積極的に受け入れ、園児は多様な世代との交流を図っています。さらに体操やリトミックのプログラムでは、外部講師を招いて指導してもらうことで、普段関わらない大人と触れ合う機会も設けています。そのほか、地域に向けた子育て相談会を随時実施するなど、地域に開かれた園運営に取り組んでいます。

個人情報については、個人情報保護規定に沿って入園時面接で説明しています。突発的に個人情報を提供する必要が生じた場合は、保護者への確認の上対応しています。また園児の羞恥心に配慮した取組みとして、プールの着替えやシャワーの際は、衝立を使用して外から見えないよう配慮しています。これらの取り組みは、小学校の着替え方について情報収集するなど、小学校就学との連動性を意識しながら取り組んでいます。

園児の権利を尊重する取り組みとして、全職員に配布している「運営の手引き」に則って対応しています。また園内で人権研修を実施しており、直近では「多様性の理解について」というテーマで行っています。そのほか、子どもと保護者の価値観や生活習慣を把握するため、アンケート調査を行っています。保護者の価値観に配慮した取り組みの事例として、宗教的な理由で食べられない園児に対して、食べられる食品の個別提供を実施しています。

虐待の発見と対応のため、「ネグレクトの見落とし」というテーマで園内研修を行っています。また年間で研修計画をたてて、自治体や専門機関が主催する外部研修に積極的に参加しています。加えて、虐待に関するニュースなどが報道された際は、職員会議により周知しています。そのほか、園内の幼児クラスのパーテーションはガラス張りにして職員が相互に確認できる環境を整備しています。

法人内で共通して作成・活用しているマニュアルとして、運営の手引きのほか、虐待防止マニュアル、感染症マニュアルなどを整備しています。これらのマニュアルに沿った業務の実施状況は、副園長・主任保育士が中心に確認しています。また全職員に、運営の手引きや就業規則を配布しており、職員は分からないことが起きた場合や、業務点検の手段として活用しています。加えて、職員会議の場で、マニュアルの理解と活用を促しています。

子どもと保護者の価値観や生活習慣を把握するため、定期的にアンケート調査を行っています。アンケートの結果から、保護者の声を受けて見直した事例として、年度途中での行事計画変更があります。感染症拡大防止の社会情勢の影響を受け、卒園遠足を中止にしましたが、保護者からの要望を受け代替行事を実施しています。なお職員の意見についても、個人面談や会議の中で積極的に取り入れるよう配慮しています。