東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

法人の保育理念は「Home(家)」です。安全が行き届いた環境と家庭的なぬくもりが感じられる「家」のような保育園を目指しています。一人ひとりの子どもの発達に応じた保育をし、「考えさせるを考える」をスローガンとして自律的な子どもを育てることを保育方針としています。理念について、職員の理解を深める取り組みとして、新任職員研修と園内研修を行っています。保護者に対しては、法人・園の理念・運営方針および、全体的な計画の説明は、入園説明会などで行っています。

園長と主任の役割と責任は職務分掌表に記載され、職員会議や園内研修などで職員に伝えています。法人経営層は、年度初めの訓示、携帯を使っての配信、園訪問などで、法人・園が目指していることを職員にメッセージ発信しています。今年度着任した園長は職員や利用者との信頼関係の構築を自らの最重要な役割・責任として、園をリードしています。また、法人の保育方針の理解と実践の定着も重点課題として取り組んでいます。

園長選任や就業規則の改変などの重要案件は法人本部で決定されます。園内で決定する重要な案件は、職員会議やクラス会議で検討・決定します。最近の重要案件では要支援・要保護児童への対応があります。なお、決定された重要案件は職員会議や職員報告会で職員に周知されます。また、利用者には園だよりや掲示、メール配信で伝えられます。法人内または園内の決裁の仕組みについては、決裁権限マニュアルに記載しています。決裁された文書は、鍵付きのキャビネットで5年間保管しています。

利用者のニーズは、年度末利用者アンケート・第三者評価でのアンケート・意見箱により把握し、2月の年間反省会議で職員に報告しています。利用者ニーズに対応した取り組み事例として、散歩の回数を増やしました。職員のニーズについては、園長面談と近隣5園を統括するエリア長の個別面談や意向調査アンケートなどにより把握し、職員会議や園内研修で職員に報告しています。職員ニーズに対応した取り組み事例として、休憩の取り方の工夫と休憩場所の確保を行っています。

区の私立園長会や幼・保・小連絡会に参加して、地域の福祉ニーズを把握しています。把握したニーズは月3回開かれる職員報告会で報告して、情報共有しています。また日本保育士協会に参加したり、業界誌を購読して福祉事業全体の動向の把握に活用しています。そのほか園の予算や決算状況は、事業計画書および報告書を配布して、職員に伝えています。なお予算・決算書類は、法人サーバー内でデータ管理しています。

法人は中・長期事業計画を策定し、理事長と統括園長がオンライン園長会を通して職員に内容を伝えています。単年度事業計画は園長が年度末に策定し、クラスに配布したり、年度初めの職員会議で職員に説明しています。今年度は重大事故ゼロを重点目標にして取り組んでいます。計画に合わせた園の予算は園長が編成しています。また事業計画の進捗状況を担当者が職員会議で報告し、職員に周知しています。事業計画を年度途中で見直す場合は、職員会議などで検討しています。年度途中で計画内容を見直した事例として、みんなの広場の開催見送りがあります。

保育職員として守るべき法や規則について、法人が「先生の行動規範集」という冊子を整備しています。また、就業規則にも記載されています。これらの書類は事務所に保管され、いつでも閲覧できるようにしています。職員は新入職員研修で学んだり、園長研修(ハラスメント研修)を受講した園長がその内容を園内で報告するなどして、共有しています。コンプライアンスの理解度については、日々の保育中に確認しています。理解度が不十分な職員に対しては、園長が日々の保育中に指導したり、個別面談で指導・支援しています。

苦情受付担当は主任、苦情解決責任者は園長が担当しています。保護者には、入園時の重要事項説明時に説明しています。利用者から苦情や要望を伝えられた際は、主任や園長に報告され、園長が解決策を直接保護者に伝えたり、掲示するなどの仕組みを構築しています。また職員の子どもに対する言葉遣いや立ち振る舞いの規範を示した虐待防止マニュアルについては、区の家庭支援課などの関係機関と連携して作成しています。

ボランティアや実習生の受け入れは主任を担当者として、保育補助の学生ボランティアを毎年10人程度、職場体験の中学生と保育実習生を数名受け入れています。子育て支援事業のみんなの広場は前年度10回実施しました。今年度はコロナ禍で中止していますが、年度末には再開予定です。また、区の園長会などの地域ネットワーク会議に参画しています。地域ネットワーク会議での地域課題として、コロナへの適切な対応などを議題として協働して取り組んでいます。

園運営に係るリスクとして、新型コロナウイルスの発生を最優先で取り組むリスクとしています。2番目のリスクは重大事故です。感染症対策として、検温や手洗い、消毒、密にならない座席配置などの対策を講じています。また、軽微事故やヒヤリハットの記録をまとめて、重大事故防止に活用しています。散歩マップには過去の事故発生場所が記されています。そのほか、園の出入り口は交通量のある道路に面していますので、交通安全に対応した環境整備も事故対策の一環と考えています。

事業継続計画(BCP)は災害を想定して作成しており、想定している復旧期間は、2週間から1ヶ月としています。また職員にリスクやBCPを伝えるため、危機管理研修を実施するとともに、水害を含めた災害に備えて、毎月避難訓練を行っています。さらに不審者の侵入に備えた訓練を年1回行い、合図の言葉も決めています。事故、感染症、侵入、災害などが発生した際は、事故報告書や保健日誌に記録し、発生要因を職員会議で分析して再発防止に努めています。

情報管理規程や文書管理規程の内容は、職員会議での確認やオンライン研修で職員に伝えています。また情報管理マニュアルに、情報の収集・利用などのルールを定めています。機密性の高い書類は事務所の鍵付きキャビネットで保管し、管理文書一覧管理表を活用して保管文書の持ち出しや返却状況を確認しています。また役職毎にパスワードを設定し、アクセス制限を設けており、パソコンにログインする際のパスワードは、半年に一度変更しています。そのほか、個人情報の利用目的や開示請求の方法を、個人情報保護規定に明示しています。

職員の採用は法人が一括して行っており、ホームページ・職員紹介・専門学校との連携・紹介会社を活用しています。園長は採用面接に参加する程度の関与となっています。なお求職者の応募を促す具体的な工夫として、わかりやすいHPの作成や既存園への見学や体験の受け入れを行っています。採用の基準は「子どもが好きで人柄が良く、法人の保育を理解して従事出来る人」と考えています。職員の将来像を示したキャリアパスシートの内容は、入職時研修、個人面談で職員に伝えています。

研修計画を策定して、保育の質向上に向けて人材育成に取り組んでいます。個人別研修計画は、正規雇用の保育士を対象に策定していますが、非常勤職員を対象とした研修計画も策定しています。また、年2回の園長面談と目標管理シートで職員の希望を把握し、職員一人ひとりの育成の成果は、エリア研修発表会で確認しています。研修発表会では各自の保育をビデオで映像化し、共有しています。そのほかリーダー養成として、主任研修、シニアリーダー研修を実施しています。

人事考課規定を制定して、考課・評価に連動した人事制度を設けています。園長とエリアマネージャーが面談し、職員の目標達成度合いを確認して考課に反映させています。就労環境については、職員の有給休暇の取得状況は90%以上で、さらに出産・育児休暇の取得状況は100%となっています。また法人は都の「働きやすい職場作りに取り組む職場宣言事業所」に登録しています。職員間の良好な人間関係を育むために、チームワーク向上を目的としたプロジェクトチームを設けたり、職員アンケートでニーズの把握に努めています。

保育園の案内として、保育園のしおりや法人カルチャーブックを発行しています。また利用者への案内として独自にリーフレットを作成しており、保育理念・目標・概要・デイリープログラム・年間行事などの内容を記載しています。園のホームページには、それらに加え、法人HPとリンクや園の写真などが紹介されており、随時更新しながら保育内容を伝えています。そのほか、全職員に配布しているカルチャーブックは、小冊子にするなど見やすいよう工夫しています。

園の情報は、中野区役所運営支援課に定期的に報告しており、同区のホームページには、住所・電話番号・定員などの基本情報が掲載されています。また園舎フェンスに情報を掲示し、地域の方へも情報を発信しています。さらに保護者に向けて、SNS(写真動画共有サービス)の活用による情報発信に取り組んでいます。クラス毎に交替で毎週更新し、園での子どもたちの様子を伝えています。

見学は随時受け入れており、主に園長・主任が担当しています。見学者には、園の三つ折りリーフレットを渡して、保育室を案内しながら30分～1時間くらいかけて丁寧に説明しています。なお園の特徴として、「Homeのような温かい環境、自律を目指す保育に取り組んでいること」は必ず説明するようにしています。そのほか入園前に希望があった場合は、保育体験(みんなの広場)の機会を設けています。

入園が決まった利用者には、重要事項説明書・児童票・乳幼児生活状況調査書・緊急連絡票などを配布し、書類がそろい次第、個別に説明会を開催しています。個別説明会では、準備物については実物を見せるなど、分かりやすく伝えるよう工夫しています。保育内容は、重要事項についての同意書で確認し、プライバシーの保護については、ホームページ・SNSへの写真掲載に関する同意書で確認しています。なお個別面談では、必要に応じて栄養士や看護師などの専門職も入っています。

入園前の子どもの生活状況や、アレルギーの有無・既往歴などは、生活状況調査書(各年齢ごと)や入園前健康調査表に記録、保管しています。また入園時には、保護者や子どもの不安・ストレスを緩和するため、10日間をめどに慣れ保育を実施しています。慣れ保育の期間中は、保護者の保育に対する理解や安心を深めるため、徐々に保育時間を延ばしていくなど、負担なく慣れていかれるよう工夫しています。なお、慣れ保育中は、園児の慣れ親しんだ使い慣れたタオルやぬいぐるみなどの持ち込みを許可しています。

卒園前に退園や転園をする園児には、寄せ書きや作品帳をプレゼントしています。転園先には、必要に応じて書類を送付で提供し、園児の情報を引き継いでいます。また卒園児には、園だよりや声かけなどで夏休みのボランティアに誘っています。今年度は20組ほどの卒園児ボランティアが来園し、4・5歳児のクラスに入って一緒に遊んだり、お手伝いをしています。

連絡ノートは、0・1・2歳児と保護者から要望があった園児と毎日取り交わしており、保育日誌も、0・1・2歳児について個別に記録欄を設け、記載しています。なお園児の個別の保育目標は、個別指導計画に記録しています。家庭や保護者の個別のニーズや支援方針は、乳幼児生活状況調査書・面談記録・各種調査表に記録しています。そのほか児童票については、2歳児は毎月、3～5歳児は四半期毎に集約しながら記録しています。

全体的な指導計画は毎年見直し、それを基にした指導計画を年間・月間・週間毎に作成しています。特に5歳児の指導計画については、午睡時間の調整・終了や、ビッグブック・ミニブック・絵日記の活用など、就学前教育カリキュラムとの整合性を意識しながら取り組んでいます。なお指導計画は、0・1・2歳児について個別に作成していますが、2歳児クラス以上でも要支援児・育児困難家庭の見守り児の場合は個別に策定しています。これらの個別の指導計画は個別面談で保護者に伝えるとともに、玄関先に週案を掲示し、ねらいや活動を周知しています。

職員間の定期的な情報共有の場として、週1回の職員連絡会(園長・主任・各クラス1名・給食・看護師)、毎月の給食会議、随時開催の乳児会議・幼児会議を行っています。参加できなかった職員への申し送りには、職員連絡ノート・職員報告ファイルを活用しています。園日誌・クラス日誌や各種申し送り表は、事務所に保管しており、職員会議録や申し送り表を閲覧した職員は、閲覧名簿にチェックを行うことで閲覧状況を確認しています。

入園前の子どもの生活状況や、アレルギーの有無、既往歴などは、生活状況調査書(各年齢ごと)、入園前健康調査表に記録し、職員間で共有しています。保育環境のコンセプトは、「Home(自分らしくいられる居心地の良い空間)」としており、園内には、生活目的に応じた食事・着替え・午睡などのコーナーや、遊びに応じたままごと・絵本・廃材・既製品などのコーナーを設けています。また園内には「家」をテーマにした絵を多く飾り、机上でやるゲームなど家で行うような遊びを多く取り入れることで、庭に近い環境構成の工夫を凝らしています。

当園は、ワンフロアに2・3・4・5歳児室を設置しており、壁ではなく低い棚で仕切っているため、日常的に別のクラスの活動も感じられる環境になっています。そのような環境下で、朝夕の合同保育のほか、戸外活動や行事の中でも異年齢交流を図っています。また、年齢が上のクラスに行って遊びの様子を見る機会も設けています。そのほか海外の文化に親しむ機会として、英語教室や園内行事(ハロウィン、クリスマス)を行っています。

要支援児の保育に際しては、発達相談支援センター・療育センターなどの専門機関や、臨床心理士などの専門職の指導・助言を受けながら対応しています。また発達の過程で生じる園児同士のトラブルについて、魔法の言葉がけ研修やベビーサイン研修に参加し、子どもの気持ちを尊重する知識や技術を学んでいます。園児同士のトラブルや事故が発生した際は、軽微事故(未受診)記録、事故報告書、ヒヤリハット記録簿に記録し、保管しています。就学支援に向けた取り組みとしては、学校見学(音楽会・展覧会・授業見学等など)を実施しています。

連絡ノートは、0・1・2歳児と保護者から要望があった園児について毎日取り交わしており、登園時には毎回保護者へ、体温・朝食・睡眠・排便・機嫌・降園時間と送迎者を確認しています。登園時に保護者から得た情報は、登園・降園名簿・職員引継ぎノートを使用し、職員間で引き継いでいます。また降園時には毎回保護者へ当日のエピソードを伝えるとともに健康状態を確認しています。当日の活動の様子は、連絡ノート以外に行事写真やコメント・SNSなどでも伝えています。

園児の発達の段階と支援の方法は、保育全体的な計画、年間計画(遊び)に記載されており、基本的な生活習慣については、デイリープログラム(各年齢)、年間計画(生活)に基づき、指導しています。具体的な指導方法については、例えば食事指導では、箸を使った遊びや、咀嚼を促す絵本・ポスターの活用など、遊びの中で楽しみながら習得できるよう支援しています。また排せつ指導については、トイレに慣れることから始めるなど、個々の発達状況に合わせたトイレトレーニングを実施しています。

乳児の午睡時間は12時30分～15時、幼児の午睡時間は13時～15時で設定しています。午睡の際は、敷き布団・タオルケットまたは綿毛布などの寝具を使用しています。午睡時間に眠れない子どもがいた場合は、保育室などで過ごしてもらっています。なお就学準備として、5歳児の年明けから個々の状況に合わせて徐々に午睡をなくしています。

保育環境のコンセプトは、「Home(自分らしくいられる居心地の良い空間)」としています。園内には、遊びに応じたままごと・絵本・廃材・既製品などのコーナーを設けており、園児たちが主体的に取り組める集団プログラムとして、廃材遊び・ごっこ遊び・サーキット遊び・子ども給食会議などを行っています。職員は、なるべく子ども達だけで遊びが成立するよう支援しています。また毎日2回、全クラスで「グループタイム」という時間を設けています。今日の活動や良かった点・悪かった点を振り返りながら、自分の意見を発言する機会になっています。

園児同士が意見交換をする機会として、グループタイムやビックブック(問題解決)を行っています。また、音楽的な表現力や体を使った表現力を育む機会として、リトミックを行っています。リトミックは1歳児クラスから行っており、昨年までは系列園の外部講師による指導でしたが、今年から研修を受けた職員が実施しています。自園の先生がやることで園児達も喜んでおり、開催時間なども柔軟な対応ができています。そのほか、絵画的な表現力を育む機会として、制作遊び・感触遊びを行っています。

天気が良い日は毎日散歩に出かけ、近隣の公園などで、固定遊具・砂場遊び・集団遊び・落ち葉・どんぐり拾い・虫探しなどの活動を行っています。また園庭には、人工芝と砂場が設置してあり、水遊びやだるまさんが転んだなどの遊びを楽しむことができます。さらにプランターでは、キュウリ・ナスなどの夏野菜や、チューリップ・ひまわりなどの花を栽培しており、園児たちは植物の成長に身近に触れ合っています。そのほか園内では、園児たちが名前を付けたカブトムシを飼育しています。

年間行事として、七夕・すいか割り・お月見・ハロウィン・クリスマス・新年にこにこ会・節分・ひな祭りの季節行事のほか、子どもの成長や保育の成果を発表する機会として、運動会・発表会・参観日・祖父母参観日を行っています。お月見会では買ってきたお団子ではなく、園児たちが小麦粉でお団子を作って玄関先に飾りました。保護者と会話する姿も見られて大変好評の催しとなっています。なお、行事開催に向けて園児の興味や関心を高めるための工夫として、園内装飾・事前の制作活動・当日の演出などを行っています。

年間行事予定表は年度当初に配布しており、行事毎の目的は園だよりやクラスだよりで保護者に伝えています。保護者が参加・見学できる行事として、入園式(新入児)・参観日・夏祭り・運動会・発表会・卒園式(5歳児)を実施しています。今年度の運動会は、5歳児は近隣の体育館を借りて保護者を招いて開催しました。園内で実施した0～4歳児については、動画配信サイトにより行事の様子を配信しています。そのほかの保護者が参加していない活動については、写真販売・SNS・行事内容掲示物で内容を伝えています。

園児の誕生会は、クラス集会でお祝いしており、インタビュー・歌・保育士からのお楽しみの出し物を行っています。園児の誕生会で出す食事は、お誕生会メニューとして行事食を提供しています。またお祝いとして、写真と手形・メッセージが入ったカードをプレゼントしています。さらに実際の誕生日はクラスだよりでお知らせしたり、グループタイムで個別に祝っています。

園児が安心してくつろげる環境整備として、各クラスでクッション材のマットを敷いて、絵本を読んだり静かな遊びをすることができるスペースを設けています。また一人きりになりたい園児がいた場合は、段ボールやパーテーションで一人用のスペースを作るなど、落ち着いて過ごせるような環境設定に配慮しています。

延長保育は、4・5歳児は16時30分から、0・1歳児は17:30分から、2・3歳児は17：45分からと、安全面を考慮し、段階的に合同保育に切り替えています。18時以降は全ての園児が合同となり、1歳児クラスで過ごしています。合同保育では、普段遊べない玩具を用意したり、個別のスキンシップや異年齢児との関わりの仲立ちをするなど、配慮をしています。

食事は各保育室で行い、個々のペースに合わせて食べ始められるよう配慮しています。幼児はグループごとに食事しており、準備ができたグループから順番に食べ始めています。なお食事は完食することではなく、楽しく食べることを重視しています。また、周りが気になり集中して食べられない園児には、保育士の近くで食べたり、パーテーションを使用するなど気が散らないように配慮しています。

食事は旬の食材を取り入れ、和食中心ですが、洋食・中華なども楽しめるように提供しています。行事食は行事にちなんだ型取り・セルフバイキング・セルフサンドイッチなど工夫しながら提供しています。また利用者の嗜好把握に向けて、リクエスト給食を実施しています。食物アレルギーのある園児については、食物アレルギー対応マニュアルに沿って、除去または代替食を用意し、別テーブルで食事を取っています。なおアレルギー食の提供については、色違いの食器やカードを使用するとともに給食室・保育室でのダブルチェックを行い、誤食を防いでいます。

食文化を深める機会として、給食当番や保育士が献立を読み上げたり、保育士が栄養素について伝えています。4・5歳児では、手作りの食材のマークを三食分類表に貼り付け、その後栄養士が答え合わせを行う取り組みも行っています。また食育を目的として、ナス・ピーマン・トマト・キュウリ・おくら・さつまいも・里芋を栽培しています。栽培した野菜や果物は、塩もみ・スイートポテト・芋煮などの料理に使用しています。調理体験は、3歳児以上のクラスから開始しますが、簡単なものは2歳児も体験を行い、おにぎりなどを調理しています。

園児の防災・防犯意識を高める取り組みとして、防災頭巾を着用しての避難訓練(火災・通報・地震)や不審者訓練を行っています。また園児の健康指導として、看護師による、手洗い指導・歯磨き指導・衣服の調節指導を行っています。そのほか、園内の事故・怪我防止に向けた対策として、ヒヤリハット・軽微事故の記録より考察して危険を共有するとともに、毎月対策を検討しています。

園児の健康状態を把握するため、春秋の健康診断(0・1歳児は毎月)や歯科健診を実施しています。加えて看護師による、人形や歯形を使った歯磨き指導を行っています。歯磨き指導は2歳児から開始し、プロジェクターでアニメの動画を見ながら指導するなど、楽しく習得できるよう工夫しています。与薬は基本的に行っていませんが、医師の診断で処方された飲み薬・塗り薬・エピペンの場合は薬を預かっています。なお与薬を行う場合は、くすり連絡票、塗り薬連絡票を提出してもらっています。

健康に関する情報発信として、季節ごとの健康管理の情報などを掲載した保健だよりを毎月発行しています。感染症が発生した場合は、アプリの一斉送信や玄関先掲示板でのお知らせで情報提供しています。また午睡時は、視診に加えベビーセンサー(0歳児のみ)を使用し、健康状態をチェックしています。午睡時の様子は、呼吸確認表・土曜保育睡眠確認票に記録しています。そのほか感染症やSIDSに関する研修として、職員を対象に嘔吐処理研修や救命救急研修を毎年2回実施しています。

子育てに関する保護者の価値観や就労状況については、新入園児面談記録・個別面談表に記録し把握しています。保育園の日常的なサービスに係る保護者の意向は、主に登降園時の会話で把握しています。また保護者とは、年2回個人面談を実施しています。そのほか保護者対応に関する接遇マニュアルとして、ちとせ交友会行動の規範集を整備しています。加えて保護者対応について、言葉づかい・電話対応・問題発生時の対応などの研修を実施しています。

保護者間の交流を促進する取り組みとして、年2回保護者会(現在は休止中)のほか、毎年保育参加と保育参観を実施しています。また今年度より父母会設立に向け、募集を開始しています。父母会は保護者の声をより園運営に反映させるため、また園の取り組みを共に進めるため、保護者とともに検討する場にしたいと考えています。そのほか園内には、職員紹介コーナーとして、職員の顔写真と名前を掲示し、保護者に周知しています。

子育ての考え方について、互いの理解を深めるための取り組みとして、掲示による保護者会での情報提供や個別面談を実施しています。職員は、その都度保護者からの相談に対応し、アドバイスを行ったり専門機関につなげるよう配慮しています。今後は、保護者の悩みなどを調査し、より子育てに関する情報発信を行っていきたいと考えています。

地域資源を活かした取り組みとして、消防署などで訪問し消防車を見せてもらっています。また保育実習生やボランティアを受け入れ、園児との多様な交流を促進しています。さらに他の幼稚園児や保育園児との交流を目的として、近隣保育園・小学校の交流(ドッチボール大会・音楽会)にも参加しています。今後、町内会などの活動や地元のイベントなどにも参加していきたいと考えています。

個人情報については、入園説明会の際に説明し、重要事項についての同意書や、ホームページ・SNSへの写真掲載に関する同意書で確認しています。突発的に個人情報を提供する必要が発生した場合は、その都度、お便りや電話により許可を得て対応しています。また園児の羞恥心に配慮した取り組みとして、乳幼児保育室での目隠し板の使用や、水遊びの際の着替えではラップタオルを使用するようにしています。

園児の権利を尊重する取り組みについては、職員の行動規範に則って対応しています。また職員の人権教育として、保育所保育指針のガイドブックや書籍の閲覧を行っています。そのほか保護者の価値観に配慮した取り組みとして、動植物の飼育を行ってほしいという要望を受けて、カブトムシの飼育を開始しています。

虐待防止に向け、保育における関わりや言葉遣いをテーマに研修を行っています。加えて、虐待に関するニュースなどが報道された際は、記事の回覧や職員会議で話題にするなど職員間に周知しています。そのほか職員は毎年セルフチェックシートを実施し、自らの言動や行動を振り返っています。なお職員のセルフチェックシートについては、法人で統計を取り、組織的に虐待防止につなげています。

法人内で共通して作成・活用しているマニュアルとして、先生の行動規範集ほか各種マニュアルを整備しています。マニュアルに沿った業務の実施状況は、エリアマネージャー・園長・主任保育士が中心に確認しています。また全職員に、ちとせ交友会保育方針・保育内容・ステートメントブック・カルチャーブックを配布しており、職員は分からないことが起きた場合や、業務点検の手段として活用しています。職員に対しては、入職時研修や年度当初の職員会議の中で、マニュアルの理解と活用を促しています。

今年度、特に重点を置いて取り組んでいるのは、チームワークと保育の質の向上です。これらの目標達成に向け、プロジェクトを結成し、それぞれ取り組んでいます。具体的な取り組みとしては、職員が自身の担当以外のクラスに入って、保育の様子を観察・共有する取り組みを実施しています。また、保護者の意見をサービスに反映させるよう配慮しています。保護者の声を受けて見直した事例として、保育の見える化として動画配信を行っています。