東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

ピノキオグループでは職員のありたい姿や規範を「クレド」として定めており、グループ内の会議や社内研修時に職員が意識できる機会を設けている。園内ではクレドや理念を掲示し、クレドの唱和をするなどで理念の浸透を図っている。また、毎日の申し送り時には「のびやか保育とは」など、職員が言葉に表すことで確認し合っていくことも検討し、パート職員を含む職員全体への理解浸透に取り組んでいる。保護者に対しては、コロナ禍であるためリモートで実施している入園説明や保護者会などの機会に理念などに関する周知がされている。

園長は子どもと保護者、職員が毎日笑顔で楽しく過ごせる園を目指し、子ども一人ひとりのことを職員皆で把握し、保護者とのコミュニケーションを大切にして信頼関係を築けるよう、日々の申し送りや職員会議の場で理念に基づく保育について職員に伝えている。また、そのための職員の在り方として自主性と主体性の大切さをを職員面談等の場で伝え、個々に合わせた指導をしている。保育に限らず声を掛け合って動くことや他人に対して思いやりと感謝の気持ちを持つことなどを伝え、良好な職場環境作りを推進している。

ピノキオグループでは月1回、園長会議とチーム会議が開催されており、それらの会議や本部からの連絡事項・決定事項は、翌日には園内で周知し、後日議事録の回覧をして全体での情報共有をしている。また、重要な決定事項があった場合には申し送りで速やかに周知して意思の統一を図っている。園内の検討事項は月1回開催する職員会議と毎日の申し送りの中で時間を設け話し合っている。申し送りについてはコロナ禍につき、13：30から分散して実施している。保護者に対しては書面や園内での掲示、口頭で漏れなく伝えるよう留意して周知をしている。

毎年、本部がグループ全園の利用者アンケートを実施し、全園の集計結果を基に本部にて問題の把握と解決策の検討がなされている。園内では例年、行事アンケートを実施しているが、コロナ禍による行事自粛につき行事アンケートは行なわれていない。ただし保護者に向け環境に関するアンケートを実施して保護者に結果を伝えており、毎年何らかのアンケートを実施して保護者意向の把握に努めている。
職員については法人で隔年実施するES調査で全体の意向把握に努めており、園内では年2回の面談で個別に確認している。

関係機関等から得られる情報を収集して地域の保育ニーズを把握をしている。そのほか、区の巡回指導で保育の様子を見てもらう際や子育て支援センターとの連携などの機会にも地域福祉や地域子育てに関する情報などが得られている。また、保護者向けに実施している各種アンケートの結果や運営委員会での意見から保護者ニーズなどを把握し、園運営に関する課題を抽出している。抽出された課題は本部と共有し、年齢区分や定員の変更等、地域ニーズを反映した計画的な園運営がされている。

法人として長期的なビジョンを描き、2021年度までの中期的な経営計画が策定されている。単年度の事業計画書にはビジョン、方針、保育理念、行動指針、重点目標、保育目標が明記され、保育士人材の育成、保育の質、地域との関わりについて園の現状を踏まえた課題とその改善策が明らかにされており、課題に沿って職員会議で話し合い実行している。進捗は半期で確認し、年度末に実績を振り返り次期の事業計画につなげている。実施事項は具体的であり、振り返りでは問題を認識し、修正事項を明確にして達成に向け取り組んでいる。

本部では新人研修とマナー研修を通年実施している。新人職員は研修体系の中で社会人としての心構え、言葉遣いや電話対応、服装などのマナー、保育理念や子どもと保護者への接し方、家庭連携、実技等を学んでいる。また、充実した研修制度により入社後も３ヶ月研修、５，６年目研修、マナー研修などの機会に保育サービス従事者としての心構えや行動を職員が繰り返し学び理解を深めている。園内では「ピノキオルール」や実務ガイド、各マニュアルの読み合わせを毎月実施することを予定し、チューター制度の中で機会を見て実施している。

園で受け付けた苦情についてはピノキオグループ全園で内容が共有される仕組みがある。また、保護者からの意見や要望は毎年の利用者アンケートの実施などで把握し、連携して適切な対応をするための体制がある。園内では苦情解決制度および連絡先について掲示し、重要事項説明書に記載して入園時や面談時に保護者に丁寧に伝えることにしている。
虐待対応については新人職員はマルトリートメント研修を必ず受講し、以前受講した職員が再受講する機会もがある。言葉がけについては園長が本部の研修講師を務めており、同じ内容を園内でも実施している。

障害者雇用に向けた実習生の受け入れを保護者や支援学級との打ち合わせのうえで令和3年度に実施している。地域との連携・貢献に関しては、子育て支援センターとの連携があり、また、子育て家庭への支援として給食のメニューレシピを調理員と職員で作成し、支援センターや園が入居するビルの1階で営業するコンビニエンスストアに設置して自由に持ち帰ってもらうことなどをしている。地域交流ではコロナ禍で交流しづらい状況の中、工夫をして高齢者施設との交流なども行ない、地域との関係作りに取り組んでいる。

年2回、春と秋にスローガンを決め、年間を通し安全性の向上に取り組む「ピノキオ安全サイクル」が実施されており、園では消毒の徹底やコロナ禍でのコミュニケーション不足の解消（気配り、目配り、思いやり）を意識した行動を目標として定め実行している。
防災については年間計画を立て地震や火災、水害を想定し、避難、通報、引き渡し、総合訓練などを実施している。例えば水害では年2回の水防訓練、火災では時間帯や場所のさまざまな想定をした訓練のほか、告知せずに行う訓練等、緊張感を持って実施し、実施後の反省が次回につなげられている。

事業継続計画（BCP）は本部で策定した計画に準拠している。情報伝達手段や復旧想定時間、運営再開プロセス、完全復旧までの時間等を明らかにしており、再開の判断は本部が行い、再開を判断する上での確認を園で行うことになっている。
事故予防ではヒヤリ・ハットの収集をしており、内容について職員間で話し合い、また、園内で怪我があったときなどは迅速に共有して予防と再発防止に努めている。また、園内で収集されたヒヤリ・ハットは本部に提出され、グループウェアにより系列の全園で共有されて各園における安全性の向上が図られている。

個人情報の扱いや情報管理については実務ガイド（マニュアル）内に詳しく記載されている。また、本部の新人研修等を通じ職員個々の理解が促されている。子どもや家庭、職員の個人情報や人事データなどの重要書類は整理され、鍵付きの書庫に保管しており、園内で利用している業務システムはIDとパスワードを設定し階層ごとに権限設定をして情報の保護と共有がされている。個人情報の利用目的や開示請求の対応については入園案内に記載して契約時に保護者に周知し承諾を得ている。また、職員には契約時に説明の上守秘義務などについて誓約を得ている。

職員の採用時は本部での面談後に園見学を実施しており、実際の保育の様子などを見てもらっている。また、紹介制度なども取り入れ採用と定着に向けた仕組みを構築している。人材の育成では人事評価システムを運用し、等級や等級に応じた役割責任、求められる業務を明確にしている。人事制度の中で職員は年2回の自己評価を実施し、各自が職務や行動面、研修の目標を設定して達成のための計画を立てている。年2回の面談ではこれらを振り返り、次期の目標設定とアドバイスがされている。

職員育成についてはグループ全園で統一した研修体系（育成プログラム）があり、新人、入社後1、3、6か月目、2年目、3、4年目、5，6年目、役職毎、評価者研修等、階層別の研修が整備されている。そのほか、スキル研修はリトミックや玩具、造形、食事など、多様な内容を取り入れ、必須研修に加え職員の希望により選択受講ができるプログラムが用意されている。現場のOJTでは園長からの指導のほか、チューター制度を採り入れており、先輩職員からパート職員に向けてのアドバイス等も行われ、コミュニケーションの向上にも役立っている。

職員個々の目標達成を促すスタンプカードの仕組みを取り入れている。また、年2，3回の頻度で保育を振り返り、評価して改善につなげるクオリティーアップシートにより保育の質を高めることに取り組んでおり、氷川台園ではクラス毎に話し合ってクラス目標を定め、話し合いを重ねて保育実践面に反映させている。
年2回の職員面談では目標達成度の評価や個々の良い点・要改善点の共有のほか、コミュニケーションをとり職員個々の相談への対応がされている。また、休暇等を取得しやすい環境を整えているなど働きやすい職場環境づくりに取り組んでいる。

法人のウェブページでは理念と保育方針、一日の過ごし方、年間行事、入園案内などを掲載しており、入園に際しよくある質問のFAQも丁寧に説明されている。園のページでは「氷川台駅から徒歩2分と近く、通勤に便利」であることや「みんなでかけっこが出来る大きなテラス」があること等、園の特徴が写真を交えてわかりやすく紹介されている。また、実施している造形活動やリトミックの紹介ページへのリンクや利用料金なども丁寧に示されており、適宜の更新がされている。練馬区の保育所案内サイトからもリンクがされており情報の取得が容易にできる。

園の情報は区や子育て支援センターに提供している。区へは毎月受け入れ可能人数（空き情報）を報告しており、区のウェブサイトで区内の「認証保育所一覧および空き状況」が確認ができる。
入園の問い合わせや申し込みは電話やメール経由が多く、その都度丁寧に対応することがにしている。コロナ禍につき園内見学はリスクが伴うため、WEB会議システムによる見学対応を開始している。また、急を要する希望でも受け入れが出来ないときは、区で実施している、短期特例制度について案内する等、個々の状況に応じて丁寧に対応することにしている。

WEB会議システムによる見学案内時は携帯端末で園内を紹介し説明をしており、個人的な相談などは案内後に個別に行うなどの配慮をしている。見学希望は多いため通常であれば2組まで保育室の中に入ってもらい案内をしているが、新型コロナウィルスの感染状況が収まった時期には（2021年10月以降）は対面での見学案内を再開し1回1組に限りテラスから見学することを予定している等、状況に応じた柔軟な対応がされている。

入園時の説明は通常であれば入園前の面談で1時間程度の時間をかけ、重要事項説明書の項目に沿って保護者と読み合わせを行っていたが、コロナ禍のため今年度の4月入園児は重要事項の説明をWEB会議システムを通して実施している。個別面談は保護者記入書類の提出に合わせて実施し、不明点と子ども状況、および慣れ保育の確認をしている。また、入園時に同意が必要な事項については、モレがないようチェックする書式を用いて項目ごとに細かな確認が提出時にされている。

提出された書類や面談表に記載された面談記録は児童票と一緒に個別に管理し全職員が目を通せるようにしており、面談後には全職員に概要を伝えて園内で共有している。登園当初の時期は担当の職員を配置し、子どもとの相性を見ながら担当してもらい子ども個々の不安やストレスに配慮している。また、保護者との会話はコロナ禍であることを考慮し時間をかけないように配慮しつつ、入園当初は毎日の報告の中で家庭と園での子どもの様子を伝えあい、双方が様子を把握できるよう心がけて支援をしている。

転園先が大規模な保育園である場合などはこれまでの環境とはかかわり方が異なってくるため、保護者も不安が大きい場合もある。そのため、サービス終了後はいつでも電話で相談などの対応ができる事や来園しても良い事を保護者に伝えている。サービス終了後も個々の状況に合わせた柔軟な対応がされている。

入園時に保護者が記入する各書類や面談記録などから子ども個々の状況を把握し、一人ひとりに合わせ全園児の個別指導計画を立てている。その後は子ども個々の成長の記録や年2回実施する個人面談の記録なども参考にして子どもと保護者のニーズを把握し計画に反映させており、各クラスで話し合い、子ども一人ひとりの状況を把握して計画の作成と見直しがされている。

保育の全体的な計画は本部作成の計画をベースに氷川台園に合わせて作成されている。各クラスでは全体的な計画を踏まえて年間指導計画、月間指導計画を作成し、四半期毎、月毎に評価・反省を実施し、保育の各領域を考慮した次期の計画を策定している。その月の保育のねらいについては毎月配布する園だよりに記載して保護者に周知をしている。個別の計画では個々の発達に応じたねらいを設定し、ねらいに沿った保育を実施している。計画・記録は詳細であり、必要に応じて変更し実際の援助に反映させている。

子どもの状況については児童票や成長の記録、個別指導計画、連絡ノートなどに記録されている。毎日の申し送りでは子どもや保護者の状況を報告し、また、保護者からの意向などを共有をしており、その内容は申し送りノートに記録されている。職員間の情報共有ではそのほかに「1日の様子ボード」や次の日の連絡事項を記入する「スタッフノート」を用いて、シフト勤務の中での情報伝達に漏れがないよう工夫している。

全体的な計画を各クラスの年間指導計画に展開し、子ども個々の状況は保護者との面談や連絡ノートの情報も踏まえて把握して個別指導計画を作成し、日々の保育にあたっている。ピノキオ幼児者の理念である「のびやか保育」と子どもの主体性を大切にした保育を確立すべく取り組んでおり、年齢に合わせた手作り玩具などを用意している。今年度から0，1，2歳児までの保育園となったことでスペースも十分確保され、玩具をたくさん置き、自由に取り出して遊べる環境になっている。

異年齢の交流は朝・夕の合同保育の時間のほか、1，2歳児がお散歩に一緒に出掛けるなどで関わりを持っている。また、調査時はコロナ禍であったため実施されていなったが、コロナ禍以前は同じ部屋で給食のバイキングをしたり、皆で一緒に広いテラスで食事をする機会なども持っていた。異年齢の交流では思いやりの心や尊敬する心が育まれるように環境を整えることで、一緒に過ごす時間の中で1歳児でも赤ちゃんを抱っこしたいという気持ちも育まれているとのことであった。

特別な配慮が必要な子どもの保育を実施するときは、本部が作成している援助書式に沿って全体的な計画から年度の指導計画、個別指導計画の作成をして個々の保育にあたる体制がある。
発達過程で起こりうるトラブルに対しては、トラブルの対処について「気づきハット」やヒヤリ・ハットで共有し、状況や原因などを話し合い未然に防ぐ事や、お互いの気持ちに寄り添うことを大切にしている。発達の段階で起こる噛みつきについては保護者に伝え保護者と連携して対応することにしている。

登園時は連絡ノートに目を通し、子どもの様子を保護者に聞いてその日の状況を確認している。職員間で共有すべき事項は記録し、伝達漏れがないよう注意をしており、各クラスで給食や午睡、食事の状況を一覧にした「1日の様子ボード」なども用い、申し送りで共有をしてクラス担任以外でも同じ対応ができるように工夫している。降園時は1日の様子ボードを確認しながら丁寧に伝えるよう心がけている。コロナ禍であるため多くのことを伝えることは難しいが、直接口頭で一言様子を伝えるようにしている。

生活習慣の獲得の支援では子ども個々の状況を把握し、個別指導計画に沿った援助がされている。家庭と相談し情報を交換しあって進めており、トイレトレーニングは1歳児から少しずつ、保護者と相談しながら進めている。また、離乳食では未食表を渡して献立を確認し、家庭からの情報を細かく聞き、調理室と相談して進めている。手づかみ食べからの段階的な移行では個々の状況に合わせた介助を行ない、子どもの意欲を大切にしていることが現場視察から推察された。また、自分でこぼしたものや手を拭ける習慣が身につくよう工夫がされていた。

子どもの生活リズムに配慮した休息の支援をしており、0歳児は特に子どものリズムに合わせている。0歳児では午前寝も多く、夕方も眠たいようであれば寝かせるなど、基本的に子どもの生活リズムに任せている。1，2歳児はほぼ午睡をするが、午睡時間中に起きたときは遊べるようにしている。

玩具を自由に取り出せる環境を整え、好きな玩具を選び活動できるようにしている。また、身体を動かせるように室内にマットを設置したり、テラスを活用したコーナーも設置して子どもが遊びたい場所で多様な遊びを展開し楽しめるようにしている。今後は静と動の空間も一層整備したいと考えている。
０，１，２歳児は、周囲の人が優しくしてくれる、という安心感を育むことが大切と考え、入園当初は特定の保育者が関わり信頼関係を築く事で、特定の保育士からいろいろな人へ、地域の人へと興味や世界を広げ、さまざまな人と関われるよう援助している。

年齢に応じた言葉がけやゆっくりと丁寧な言葉がけをし、気持ちに寄り添えるようにしている。１，２歳の時は相手の気持ちがわかることが大切であり、例えば、トラブル時にはお互いの気持ちを代弁し、相手の気持ちを理解して「ごめんね」を言えるように伝えている。表現活動ではリトミックと造形を実施している。自由にのびのびと表現できるようにしており、視察時は子どもが個々に制作したものやみんなでつくった作品等、多様な制作物が部屋を賑やかに彩っていた。コロナ禍につき中止していたが今年度は10月から開催し、活動に期待する保護者も多い。

雨天時以外は戸外活動を行なっている。近隣のさまざまな公園に出かけており、活動によって公園を使い分け、走ったり、凧揚げをしたり、アスレチックをするなど身体を動かして運動機能を育み、また、自然探索をしたり、どんぐり拾って持ち帰ったりと、自然に触れている。散歩では、例えば川沿いの自然豊かな道で、保育者が落ち葉を子どもに渡したり、散歩中の犬や木の上の小鳥を子どもたちに伝え、子どもたちと共有して興味や関心に働きかけている。また、夏はテラスで水遊びをして活動を充実させている。

今年度は法人グループの認証園が合同で開催するジャンボリーなども中止されているなど、新型コロナ感染症対策で縮小、中止となった行事もあったが、例年であれば七夕や端午の節句などの豊富な季節行事を開催している。秋祭り（お祭りごっこ）は以前は退園児まで招待して実施していたが、コロナ禍により園内でクラスごとの開催として、キャンデーをつくる、お魚の絵を描くなど、作りたいものを子どもたちがつくる楽しい催しとなっている。また、ありがとうの会では子どもたちがみんなで踊り、名前を言うなど、達成感を感じてもらう主旨で実施している。

行事は子どもたちが楽しめるように担当者を決めて準備を進め開催している。保護者には年間行事予定表や園だよりで行事について周知し理解を得ている。コロナ禍で保護者参加行事が中止となっているため、園内行事の動画を配信して保護者に見てもらっている。動画配信では行事のほかに日常の子どもの様子などもアップ保護者に見てもらっており、今後はハロウィンなどの行事や日常の風景なども、より一層配信していく予定があるなど、コロナ禍での情報提供に工夫をしている。

開園時間は7:30～20:30であるが、調査時は遅い場合も18：30頃までには保護者が迎えに来る状況であった。職員の配置は早番の時間帯もしくは遅番の時間帯のどちらかに担任を配置するようシフトを組み、落ち着いて過ごせる人的環境の設定をしており、子ども個々の引き継ぎをしっかりと行い、特別感のある環境をつくって個々の子どもが楽しく過ごせるよう配慮している。

遅い時間まで預かる場合は、例えば遅い時間帯でしか遊べない玩具を出したりして子どもの気持ちが楽しくなるように配慮し過ごしてもらっている。また、辺りが暗くなる時間でもテラスで遊ぶこともあり、テラスで3輪車で遊ぶことなどもしている。そのほかにも作り物をするなど、子どもの要望に合わせてやりたいことをしてもらうことにしており、これも園として大切にしている事である。

0歳児はお迎えの時間に泣くこともあるが、抱っこするなどでスキンシップを取って子どもの気持ちに寄り添うよう配慮している。寂しくならないよう子どもの気持ちに寄り添い、子どもたちの要望を聞き工夫して保育をしている。

午前中に十分遊び、おなかを空かせてから食事をするようにしているため食事の時間は若干遅めである。通常はクラスごとに食事をしており、食事前に手洗いをしてそれぞれに遊び込んだ玩具などを片付け出来た子から順に席に着いている。食事中の介助は個々の発達に合わせて行われており、子どもの意思や気持ちを汲み取り優しく穏やかな食事介助がされている。子ども個々が適量を摂取できることに留意し、無理はさせずに食べてもらっており、子どもたちは食事時間中も楽しそうに過ごしている。

2サイクルメニューであるため、1回目は指示書通りに提供し、2回目は子どもの食べ具合や検食、職員の意見も参考にして調理師が味付けや量を工夫して提供している。大きさなどにも注意し見た目も工夫して食べやすくして提供している。
アレルギーがある子どもについては生活管理指導表に基づき面談を行い、毎月保護者と献立の確認をして申し送りで周知し誤食のないようにしている。提供時はエプロンや皿を区別し、アレルギーマニュアルに沿って配膳や介助に配慮して提供している。

食育では野菜の栽培のほか、0歳児は白滝や寒天など使った感触遊びなどの活動を調理師も交えて実施している。野菜の栽培では大根、パプリカ、赤じそ、枝豆などをテラスで栽培している。調査時には3部屋に跨る広いテラスで大根が栽培されていた。プランターの周りには子ども用のジョーロがたくさん置かれており、楽しく水遣りをする姿が想像できたが、給食でも出される身近な野菜を育てることによって興味を持ち、食への関心にも繋がるものと推察された。

2歳児から開始しているうがいは子どもたちに実施の意味を知らせたうえで行なっている。また、お散歩など外出先から帰ってきたときには手洗い・消毒をしており、0歳児にもやさしく声掛けをして丁寧に介助し、基本的な生活習慣として身につくよう援助している。新型コロナ感染防止策として園では消毒の徹底を安全面の重点目標として定めて取り組んでいる。保育室には空気清浄機、扇風機を設置して、湿度、温度調整を行ない、消毒・検温のほかテーブルには飛沫防止のアクリル板を設置するなどウイルス対策もしっかりと行われている。

怪我の予防では子どもたちに危険な場所を伝え、危険を知らせるステッカーを貼り、設備上の安全対策を施すとともに生活の中で繰り返し伝えるようにして事故の防止に努めている。また、ハザードマップを作成し、園内に掲示して安全確保と事故防止に関する職員の認識を高めている。
嘱託医の健診は年2回実施されており、何か気になることがあれが保護者と相談して関係機関につないでいる。アレルギー対応は、生活管理指導表にもとづき対応しており、マニュアルに基づき確認をしながら誤食防止に努めている。

SIDSチェックは0歳児は5分毎、1，2歳児は10分毎に実施し、姿勢の修正をして詳細な記録を残している。保健衛生面については入園時に配布する重要事項説明書と本部が発行するピノッコだより等で保護者に伝えられている。また、感染症が発生したときは掲示と口頭で保護者に周知し注意を促している。
子どもの環境変化によるストレスや不安への対応としては、例えば新年度の入所時期であれば、担当制で1対1の対応をして子どもの気持ちを受け止めることに十分配慮し、安心して過ごせるようにしている。

利用契約のコースは30分単位で設定している。入園時は保護者の状況を把握し個々の就労状況に合わせており、状況に変更があった場合には慣れ保育の予定なども状況に合わせている。保護者との個人面談は0歳児から2歳児まで年2回実施しており、夕方の時間帯に2～30分の面談を設定している。コロナ禍であるため、今年の1回目はWEB会議システムを利用して希望者に実施しているが、状況が許せば2回目は対面で実施する予定としている。また、個々の発達に関する相談などがあれば適宜面談を実施する等で対応をしている。

コロナ禍でなかなか保護者と職員が会話をする機会や保護者同士の交流機会は持ちづらい状況であるが、今年度はWEB会議システムを利用して保護者会を実施した。WEB上で実施した保護者会では年齢児ごとの発達について話して保護者との共通認識を得る機会を持ち、また、クラスによっては名前の由来を話してもらうことなども行い保護者同士の交流機会を持つことが出来た。コロナ禍で通常マスクを着用している中、マスクを取って会話ができる機会となったことも良かった点として、園としても一定の成果があったものと捉えている。

コロナ禍以前は保育参加と保育参観、保護者会、行事時の交流などの機会を持っていたため、コロナ禍が収束したときには復活させる意向がある。子どもの発達や子育てについてはピノキオ通信や園だより、各種配布物を通して保護者に知らせている。コロナ禍でお迎え時の立ち話ができない状況下であるので、この点は課題として少しずつ機会を持つようにしたいと考えている。
法人の取り組みとして例年開催しているシンポジウムは動画配信で開催されており、コロナ禍であっても子育ての認識共有や保護者の養育力向上に通じる取り組みが極力推進されている。

地域資源の活用ではこれまでは毎年畑に行きジャガイモ堀りの体験をしていたが、今年度はコロナ禍につき中止されている。区内の子どもの森（公園）へはキウイ狩りに毎年出かけており、今年度も実施している。子どもの森では泥んこ遊びなども行うことが出来ており、コロナ禍の中、感染症対策を行いつつ、極力地域に出かけて子どもたちがさまざまな体験をする機会をつくっている。

コロナ禍の為地域交流ができずにいるが、近隣の方へのお散歩時の挨拶などはするようにしている。また、これまで交流があった高齢者施設やタクシー会社との関わりをコロナ禍で絶やさないようにしており、高齢者施設には子どもたちの手形をぞうさんにした手紙を届けて交流を続けている。タクシー会社とはハロウィンでの交流があったが、コロナ禍により交流ができていないため、勤労感謝の日には訪問する予定を立てている。

掲示物や写真販売サイトへの掲載など、子どもの写真の利用に関しては入園時に全家庭に説明したうえで、同意の有無について書面で確認している。日常の保育の中では、例えば0歳児の着替えは部屋の隅のマットの上で、子どもの体が隠れる衝立を用いて1人ずつ行なっており、おむつ交換時にも衝立を使用している。また、水遊びのときは周囲にシートを張る、着替え時にはラップタオルを使用し、ロールカーテンで外部の視線を遮るなどの配慮をしている。各年齢児が使用するトイレのドアは見守りができ、かつ視線を遮る高さになっている。

現場視察時は、例えば着替えを嫌がる子どもには、話しかけ、着替えようとする気持ちになるまで待つなど、子どもの気持ちを尊重し、お話をすることで気持ちが切り替えられるように優しく援助していた。保育者は皆穏やかで、笑顔で子どもへの声掛けや対応をしており、子どもたちも主体的に伸び伸びと活動できている様子であった。保護者とは家庭での様子を把握し意向に添えるよう留意している。日頃のコミュニケーションや個人面談を通して家庭や子どもの状況を把握し、共有して子どもと保護者の気持ちに寄り添うようにしている。

児童虐待の早期発見マニュアルを職員に周知し、また、本部が実施するマルトリートメント研修の受講や、都、区が主催する研修への参加、および研修受講後の研修レポートの提出などの取り組みにより、虐待防止や早期発見の意識を高めている。

感染症、衛生管理、食事介助、防災対策、安全確保・危機管理、クレーム、アレルギー、けが、SIDS、個人情報保護と公開等、業務全般に関するマニュアルが整備されている。マニュアルは、例えば「ピノキオルール」は職員各自が目を通すことになっており、そのほか、各マニュアルを園内で読み合わせて基本事項の理解がされている。園では年度初めにマニュアルの確認をしており、また、季節ごとに感染症対策を確認し、9月頃には防災関連マニュアルの確認をするなど、業務の中で適宜、マニュアルや実務ガイドを確認し、活用がされている。

法人の園長会議や本部会議で定期的にマニュアルの見直しを行ない、適宜の改定がされている。また、必要に応じたマニュアル化がされており、園外保育マニュアルなどが新たに策定されている。
マニュアルや基本業務の見直しは年度ごとに実施しており、園の状況を踏まえて本部と連携を取りながら行なっている。見直しの際は運営委員会や利用者アンケート等で把握した保護者の意見を参照し反映できるようにしている。

ヒヤリ・ハットの収集と並行して「気づきハット」を職員が提出しており、危険に関する気づきに加えて職員の言動で真似したいことについても令和3年度から収集している。提出があったときは申し送り時に速やかに共有してその都度皆で話し合っており、取り組みが職員間で共通認識を得ることやチームワークの向上に役立てられている。また、公園ヒヤリハットを作成中である。20か所以上の公園を個々の職員が担当して作成中であり、写真付きで遊具などの危険をピックアップし対応と留意点をまとめている。