東京都福祉サービス第三者評価  評価結果





評価結果基本情報

評価年度 令和3年度
サービス名称 放課後等デイサービス
法人名称 Catch and Smile株式会社
事業所名称 Catch and Smile
評価機関名称 特定非営利活動法人 市民シンクタンクひと・まち社

コメント

利用者調査はアンケート方式で行った。アンケートの調査票を事業所から本人・家族に配付してもらい、回答は郵送により評価機関が直接回収した。訪問調査にあたっては、経営層の自己評価、職員自己評価、利用者調査の結果をもとに、事前に質問項目を連絡し、その回答を得たうえで、管理者から説明を受けた。評価の最終合議にはさらに客観性を高めるため、担当評価者の他もう1名の評価者を加えて行った。


(内容)
 Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像
 Ⅱ 全体の評価講評
 Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み
 Ⅳ 利用者調査結果
 Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)
 Ⅵ サービス提供のプロセス項目


公益財団法人東京都福祉保健財団
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Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像

1 理念・方針  (関連 カテゴリー1 リーダーシップと意思決定)
  事業者が大切にしている考え(事業者の理念・ビジョン・使命など)

1) 子どもと家族が、明るく笑顔でいられるように他の機関との連携及び将来的な自立を目指した療育 2) 子どもの個性を尊重し、常に向き合う パターンー化しない 3) 絶対にあきらめない、子どもの学びに成長あり 4) 「社会への架け橋」自立に向けての一歩を踏み出すために 一歩一歩前進します 5) 人に優しく、関わる人の質の向上を目指します

 
2 期待する職員像  (関連 カテゴリー5 職員と組織の能力向上)
  (1)職員に求めている人材像や役割

新たなプログラムを企画する環境にアンテナを張り巡らせる能力や豊かな発想力をもった人。                       明るい笑顔と探求心も忘れずにユーモアを兼ね揃えている人。                                         たとえ困難なこと、苦手なことがあっても諦めず、他者に助けを求められる人。                          一人一人では立ち向かえないことも、互いに助け合い分かり合うことで1つのチームを確立する。

 
(2)職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

自分の能力を信じ、チャレンジすることを恐れないで欲しい。                                           困難さ、苦手さがあっても学ぶことで少しずつ成長はできる。

 


Ⅱ 全体の評価講評

全体の評価講評

特に良いと思う点
1 学校や自宅からの道のりは危険なことが多くあり、その道のりを事故等もなく一人で来所することを自立の一歩と考えて通所サポートしている

事業所は一人で危険回避をして来所することが自立の一歩として考え通所サポートを行っている。バスや電車を使う子どもや徒歩の子どもなど通所方法がいろいろで、個別に交通機関の利用方法や危険回避の方法を教えながら、2週間前後をサポート終了の目途としている。当初3日間は同行し、その後徐々に見守りながら子どもとの距離をとって自力で通所できるよう支援している。一人での通所が危険と思われる場合は保護者と相談して取り組む時期を検討するなど、子どもの状況に合わせて対応している。サポート中の様子はレポートで保護者に報告している。
2 事業所業務をチームワークとして輪番で担当したりプログラムを全員で企画するなど、一人ひとりの総合力を高め、組織力の向上を図っている

事業所にはプログラムの企画、利用料金の請求事務、教材や備品の管理など総務的な業務がある。この業務を、常勤職員を中心に毎年輪番で担当して、どの職員でもどの業務にも対応できるようにしている。療育プログラムの企画にあたっては、全員が、それぞれの得意なことから発想したりした企画案を持ち寄り、担当者を中心に議論して決め、担当者がまとめて成案としている。また、外部研修を受講した者は研修内容を報告し、成果を職員間で共有している。このように、職員がすべての業務を経験し知ることにより、組織全体のレベルの向上を図っている。
3 事業所は子供の食物アレルギーなどの情報は保護者から聴き取って、事故のないように全職員が把握して支援している

子どもの中には食物アレルギーのある子どもや宗教の関係から禁止食材がある子どもがいる。このような子どもたちの食物についての情報は保護者から聴き取り、メモにしておやつの保管場所等に掲示している。それらの情報を全職員が把握し事故のないよう支援している。食材の種類だけではなく、蛋白質の摂取量の制限がある子どももいるので、職員は調理実習の食材を代替品にしたり、状況によっては都度保護者と相談して持参してもらうこともある。市販品のおやつの提供や弁当を購入する時は表示をしっかりと確認して、原材料を必ず把握して対応している。

さらなる改善が望まれる点
1 さらに事業運営に必要な手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをするとよい

事業所では、「1日の業務、一カ月の業務、請求業務、利用者に関して、事業所維持に関して、コロナ対策、その他」を項目として業務の手順を作成している。職員も少なく業務時間内は管理者がいて、必要な時にはOJTで指導しており、請求業務などの見直しは都度行っている。しかし、現在の手引書には、療育などのサービスに関する基本事項がないので、今後サービス提供を拡大する計画もあり、サービスの実施にあたり都度OJTを受けなくても活用しやすいような手引書を職員と共に整備していくとよい。
2 アセスメントシートやモニタリングシートは、様式を見直し、アセスメントやモニタリングを定期的に実施することが求められる

個別支援計画作成にあたり、一人ひとりのニーズや課題を主に保護者からの個人記録シートの回答や聴き取りにより把握してアセスメントとしている。計画の見直しの際には計画作成担当者が保護者と面談し自宅、学校での生活や要望などを聴き取り、担当職員からは事業所での子どもの様子を伝えモニタリング面談記録として残している。しかし、目標設定や個別支援計画作成にはアセスメントによる客観的な評価が求められるため、モニタリングは計画に沿った支援の実施の確認が必要であり、それぞれに適した書式を作成し、定期的に実施することが求められる。
3 事案決定規程等、不足している規程類の整備をするとよい

少人数職場ということもあり、様々な案件は緊急なもの、重要なものであっても都度相談、意見交換などして決定しているが、まだ規程の制定には至っていない。決定内容は必要に応じて、利用者や家族にも伝えており、現時点では、あまり問題を生じることはない。しかし、近い将来、第二事業所の設立なども計画しているとのことであり、法人として、共通のルールで運営する必要も生じると思われるので、本件をはじめ不足している規程類を整備していくことに取り組むとよい。

Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み

1 ★ サービス開始、終了にあたり利用者の不安軽減に力を入れて取り組んでいる

利用開始にあたり、来所時の基本ルールを子どもと一緒に確認している。利用初期には集中して通所できるように子どもの状況に応じ、短時間の利用から徐々に時間を延長して慣れてもらうようにしたり、1対1で職員が関わり個別対応している。また、必要に応じて落ち着ける場所を確保するため相談室を使うなどしている。サービス終了時は、保護者には今後も悩みや相談があれば対応できることを伝え、子どもには「遊びに来てね」など声をかけ、関係性が途切れないように配慮し、サービス開始、終了にあたり利用者の不安軽減に力を入れて取り組んでいる。
関連評価項目(サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている)
2 ★ 関係機関との間で子どもの情報の伝達漏れがないよう入念に注意を払って連携している

事業所は子どもに関わる多くの関係機関と連携して支援をしている。連携にあたりいろいろな局面で子どもの情報の伝達漏れがないよう注意を払っている。学校や子ども家庭支援センターでのケース会議では、保護者の許可を得て「月の様子」を提示し、その子どもの様子や対応方法を伝えている。学校担任から行動に課題があるとの相談を受けた時は様子を見に行き、事業所での様子を伝えて、その子への接触のポイントなどを共有し、保護者には学校とのやりとりの詳細を報告して、情報の伝達漏れがないよう入念に注意を払って連携している。
関連評価項目(個別の支援計画に基づいて子ども一人ひとりの発達の状態に応じた支援を行っている)
3 ★ 発達領域に合わせて楽しく経験ができるよう力を入れてプログラムを手作りしている

事業所は映像の視聴や実験、Will大会のようないろいろな手法のプログラムを組み合わせて子どもの状況や希望に沿って支援している。プログラムの多くは子どもたちの発達領域に対応するよう職員が力を入れて取り組んでいる。毎月の企画会議で話し合い、子どもたちや保護者の希望も踏まえてプログラムのテーマを決めている。決定したテーマを提案した職員はインターネットや出版物等を参考にして、動画や写真、イラストなどを駆使して力を入れて手作りしている。タイピング練習、レトロゲーム大会、工作、SSTではディベートや電話対応などがある。
関連評価項目(子どもの主体性を尊重し、施設での生活が楽しく快適になるような取り組みを行っている)

Ⅳ 利用者調査結果

調査概要
調査対象:利用者全員を対象とした。利用者数は、男児44名、女児16名。小学1年生から高校3年生までが通所しており、平均年齢は11歳。

調査方法:アンケート方式  
アンケート調査は、ホームより利用者・家族等に調査票を配付してもらい、回答は郵送により評価機関が直接回収した。

利用者総数 50人
アンケートや聞き取りを行った人数 50人
有効回答者数 43人
回答者割合(%) 86.0%

総括
事業所は私鉄の駅から10分ほどの、JRと私鉄を結ぶバス停前のビルの2階にあり、近くには短期大学や区の福祉施設、商店などがある落ち着いた町中にある。利用者のアンケート調査では、「1.事業所での活動は楽しく、興味の持てるものとなっているか」、「2.事業所での仲間との関りは楽しいか」、「3.職員は、話し相手や、相談相手になってくれるか」、「4.事業所内の清掃、整理整頓は行き届いているか」、「6.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか」、「8.子どもの気持ちを尊重した対応がされているか」、「10.個別の計画作成時に、子どもや家族の状況や要望を聞かれているか」等の10問に9割が「はい」と回答している。一方、「13.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか」については、「はい」の回答は7割にとどまっている。総合的な感想では、満足度は大変高く、ほぼ全員が「大変満足」または「満足」と回答している。

利用者調査結果

1.事業所での活動は楽しく、興味の持てるものとなっているか
はい 39人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 2人 
9割が「はい」と回答した。「毎月いろいろなプログラムがありとても楽しいです」、「スカイジョが楽しいです。人生ゲームも楽しかったです」、「遊び道具がいっぱいある」、「ヘビゲーム」、「レトロゲームが一番楽しい。もっと工作をやりたい」、「また、食事を作りたい」、「プログラムすべてがそうではないので」等のコメントがあった。
2.事業所での仲間との関わりは楽しいか
はい 38人  どちらともいえない 1人  いいえ 1人  無回答・非該当 3人 
9割が「はい」と回答した。「楽しい時と大変な時があります」のコメントがあった。
3.職員は、話し相手や、相談相手になってくれるか
はい 37人  どちらともいえない 4人  いいえ 0人  無回答・非該当 2人 
9割が「はい」と回答した。「2人の先生がのってくれる」、「雑談や相談ができて過ごしやすい」のコメントがあった。
4.事業所内の清掃、整理整頓は行き届いているか
はい 41人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 2人 
9割が「はい」と回答した。
5.職員の接遇・態度は適切か
はい 40人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 3人 
9割が「はい」と回答した。
6.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
はい 38人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 3人 
9割が「はい」と回答した。「体調不良やケガがないから」、「そうなったことがないので」のコメントがあった。
7.子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
はい 33人  どちらともいえない 3人  いいえ 1人  無回答・非該当 6人 
8割が「はい」と回答した。「ケンカしたことないから」、「いじめがないからあてはまらない」のコメントがあった。
8.子どもの気持ちを尊重した対応がされているか
はい 40人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 2人 
9割が「はい」と回答した。
9.子どものプライバシーは守られているか
はい 37人  どちらともいえない 1人  いいえ 2人  無回答・非該当 3人 
9割が「はい」と回答した。「そういうことは今までなかったけど、先生は守ってくれると思う」、「秘密のことは言っていないから」、「信頼している」のコメントがあった。
10.個別の計画作成時に、子どもや家族の状況や要望を聞かれているか
はい 37人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 5人 
9割が「はい」と回答した。「具体的にどういうことかわからない」のコメントがあった。
11.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
はい 38人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 3人 
9割が「はい」と回答した。
12.子どもの不満や要望は対応されているか
はい 36人  どちらともいえない 2人  いいえ 1人  無回答・非該当 4人 
8割が「はい」と回答した。
13.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
はい 32人  どちらともいえない 1人  いいえ 1人  無回答・非該当 9人 
7割が「はい」、2割が「無回答・非該当」の回答をした。

Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)

※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー1  リーダーシップと意思決定
  サブカテゴリー1  事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  標準項目2 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
  評価項目2 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている 実施状況
  標準項目1 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
  標準項目2 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
  評価項目3 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している 実施状況
  標準項目1 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
  標準項目2 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  標準項目3 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
講評
理念・方針は朝礼時や研修で唱和したり、所内に掲示して周知・理解を図っている

事業所は「子どもが元気に楽しく成長できるように安心・安全な場を提供する」、「子どもと家族が、明るく笑顔でいられるように他の機関との連携及び将来的な自立を目指した療育」、「基本的な常識・マナー及びビジネスマナーの早期教育を提供する」を経営理念とし、基本方針、事業目的、将来ビジョン、コンセプトを定め、事業計画に記載し、所内に掲示をしている。職員は朝礼で唱和し、購読しているビジネスマナーの冊子からエピソードなどを関連付けて発表したり、研修の機会などに確認するなど理解を深める取り組みをしている。

強いリーダーシップで事業所を運営しながら、次世代の管理者育成にも努めている

事業所の代表は、創業者であり、利用者の社会での自立を目指すという強い思いを持ち「社会への架け橋」をコンセプトに、自ら児童発達支援管理責任者(以下「管理者」という)となり事業所運営をリードしている。常勤職員も創業時(2018年8月)から勤務しており、管理者のリーダーシップのもと、放課後等デイサービス事業職員として必要な資格を取得するなどして積極的に事業活動に関わってきている。管理者はそういう職員に将来は運営を任せられるように育成したいと考え、その考えを伝えながら、運営にあたっている。

様々な意思決定にあたっては、職員と情報を共有し、意見交換しながら決定している

少人数職場ということもあり、様々な案件は緊急なもの、重要なものであっても都度相談、意見交換などして決定しているが、まだ規程の制定には至っていない。決定内容は必要に応じて、利用者や家族にも伝えており、現時点では、あまり問題を生じることはない。しかし、近い将来、第二事業所の設立なども計画しているとのことであり、法人として、共通のルールで運営する必要も生じると思われるので、規程類を整備していくことに取り組むとよい。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー2  事業所を取り巻く環境の把握・活用及び計画の策定と実行
  サブカテゴリー1  事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
  評価項目1 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している 実施状況
  標準項目1 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目2 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
  標準項目3 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目4 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
  標準項目5 事業所の経営状況を把握・検討している
  標準項目6 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
  サブカテゴリー2  実践的な計画策定に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している 実施状況
  標準項目1 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
  標準項目2 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
  標準項目3 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
  評価項目2 着実な計画の実行に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
  標準項目2 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
講評
毎年、保護者向けのアンケート調査や事業所自己評価を実施し、運営に反映している

利用者や保護者の意向等を把握するため、毎年、保護者向けのアンケート調査を実施している。調査は放課後等デイサービスガイドラインに基づくもので、環境・体制整備、適切な支援の提供、緊急時等の対応、満足度に関しての18項目にわたる設問で、実施の有無や意見を聴いている。職員の意向は日常的に、また同じくガイドラインに基づく事業についての自己評価の際、管理者が、職員と協議する中で把握するほか、人事評価の面談の際などに把握し、運営に反映している。これらの調査結果は、ホームページで公表している。

行政や地域の会議などに参加し、社会や地域の福祉に関する情報を把握している

行政の主催する事業者連絡会に出席したり、児童相談所、相談支援事業所、利用者の在籍する学校などと積極的に情報の交換・収集をしている。従来は、プログラム実施の際利用する区の障害者福祉会館で交流する地域の団体・グループや、大学生のボランティアなどからも地域の情報を得ていたが現在はコロナ禍でできなくなっている。得た情報は職員と共有し、運営上の課題を把握したりプログラムの企画に活かしている。

中長期計画・実施計画を策定し実行に着手している

「人にやさしく、関わる人の質の向上を目指します」、「児童福祉事業の重要性を認識しよりよいサービスをめざします」と企業理念を掲げ、令和3年から7年までの中長期計画・実施計画を策定し実行に移している。計画は、利用児童の主体的な支援の実現、サービス内容の標準化、健全経営の徹底、危機管理体制の強化、人材確保・定着、人材育成のための環境整備、法人運営を担う人材の育成、新規事業所の開設の8項目について、基本計画と、実施または目標とする年度を定めた実施計画で構成されている。計画策定にあたっては、職員との話し合いを重ねた。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー3  経営における社会的責任
  サブカテゴリー1  社会人・福祉サービス事業者として守るべきことを明確にし、その達成に取り組んでいる
  評価項目1 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
  標準項目2 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している。
  サブカテゴリー2  利用者の権利擁護のために、組織的な取り組みを行っている
  評価項目1 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている 実施状況
  標準項目1 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  標準項目2 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
  評価項目2 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている 実施状況
  標準項目1 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  標準項目2 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
  サブカテゴリー3  地域の福祉に役立つ取り組みを行っている
  評価項目1 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
  標準項目2 ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
  評価項目2 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
  標準項目2 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
  標準項目3 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
講評
守るべき法・倫理・規範を具体的に示し、研修等で理解を深めるように取り組んでいる

職員が守るべき法・倫理・規範などについては、就業規則の服務規律の章に遵守事項として職務専念、信用失墜行為の禁止、守秘義務などについて、個別具体的に24項目にわたり明示している。セクシュアルハラスメント、パワーハラスメントの防止についても、条文を別にして定めている。関連のテーマで社内研修を行ったり、外部研修に参加するなど、理解を深めるよう取り組んでいる。

虐待防止委員会や苦情解決制度を設け、利用者の権利擁護に努めている

事業所では、虐待防止委員会(児童発達支援管理責任者、保育士・児童指導員などの職員で構成)規程を設け虐待防止に取り組んでいる。委員会は、虐待や虐待通報への対応をするとともに、虐待のない環境づくりを目指し年1回開催し、同時に虐待防止の社内研修を行っている。苦情解決については、運営規程に苦情に対応するため相談窓口設置や必要な措置をすることを謳っている。これらを契約書・重要事項説明書に記載して説明し、利用者・保護者の権利擁護に努めている。なお、事業所内においてこれらの事例は発生していない。

事業所の専門性を活かし、地域の障害者への理解を深める活動を再開するとよい

コロナ禍が発生する前は、大学生のボランテイアを受け入れたり、近くの障害者福祉会館を利用してプログラム展開をするなどしていた。会館で行われている成人障害者グループの活動の人形劇や紙芝居の観客になって交流したり、会館に続く公園の清掃を子ども達が行ったりしていた。このような活動を通じて、障害者に対する地域の理解を深めることや、障害者も地域の一員として貢献できることを知ってもらうことは、専門性を持つ事業所の強味であり、地域貢献につながることである。状況を見ながら工夫して再開・継続することを期待する。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー4  リスクマネジメント
  サブカテゴリー1  リスクマネジメントに計画的に取り組んでいる
  評価項目1 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
  標準項目2 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
  標準項目3 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
  標準項目4 リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
  標準項目5 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
  サブカテゴリー2  事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
  評価項目1 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている 実施状況
  標準項目1 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
  標準項目2 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
  標準項目3 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
  標準項目4 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
講評
コロナ禍を最優先すべきリスクとして、事業継続計画を策定し対応している

事業所では消防計画マニュアル、事故・緊急時等対応マニュアル、避難計画「自然災害」などリスクに対応するマニュアルを整備し、リスクに備え、対応を図っている。この度の新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、「新型コロナウイルス感染症等の発生時における業務継続計画(BCP)」を策定した。計画には①利用者の安全確保②サービスの継続を基本方針とし、平時からの備え、初動対応、休業の検討、感染拡大防止体制の確立について、対応主体や対応事項を示した。この間、リモート開催など柔軟な対応をとり、子どもの感染はなかった。

マニュアルに基づき災害対策や事故予防、再発防止に努めている

事故・緊急時等対応マニュアルに基づき、ヒヤリハットが起きた際は、すぐに原因等を検証し課題の改善等に取り組むよう、全職員で共有している。事故が起きた場合は状況・原因・対応・改善案について詳細な報告書を作り、ミーティング等で再発防止策を検討している。病院搬送などの場合は、行政に報告することとしている。火災については自衛消防計画を立て、消防署の指導を受けて避難訓練を実施している。またプログラム参加中の災害時の対応については、利用開始時に事業所の対応を示し、保護者側の子ども引き取り人を3人まで示してもらっている。

個人情報保護規程を定めるなど、情報の適切な管理に努めている

個人情報は、個人情報保護規程に、個人情報の収集・閲覧、管理、利用・提供、自己情報の開示・訂正等の申出、異議の申出を定め、使用に関してはその目的、使用にあたっての条件、使用する期間、写真使用などについて示した個人情報提供同意書の提出を得ている。また、重要性や機密性のある情報は鍵つきの保管庫に保管し、電子機器で管理する情報は、パスワードを設定して常勤職員のみがアクセスするなど適切に管理している。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー5  職員と組織の能力向上
  サブカテゴリー1  事業所が目指している経営・サービスを実現する人材の確保・育成・定着に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている 実施状況
  標準項目1 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
  標準項目2 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
  評価項目2 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している 実施状況
  標準項目1 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
  標準項目2 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
  評価項目3 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
  標準項目2 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
  標準項目3 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
  標準項目4 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
  評価項目4 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
  標準項目2 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
  標準項目3 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
  標準項目4 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
  サブカテゴリー2  組織力の向上に取り組んでいる
  評価項目1 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
  標準項目2 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
  標準項目3 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
講評
キャリアパスを明示し人事評価制度に基づき、職員の育成を図っている

事業所では、非常勤従業員・臨時職員から一般社員・一般職、準幹部・リーダー、幹部・所長と4段階の職位・役職を示し、それぞれの給与等級(1~7等級)、昇格条件や研修制度・内容、賃金内容を示しキャリアパスとしている。人事評価は各役職の人事評価シートに職務遂行のための基本的能力、技能に関する能力、技能に関する専門的能力について評価項目と定義(求められるレベル)を示し、自己、上司、会社が評価し、結果を給与と連動させている。こうした制度で、中長期計画の第二事業所開設の際の幹部となる職員を育成することも目指している。

勤務状況や人間関係などに配慮し、働きやすい職場づくりで意欲向上に取り組んでいる

職員の意向を把握し、勤務時間・シフト調整は希望に沿うようにし、研修の際にはストレスチェックをするなど健康状態に配慮して、有給休暇は100%取得できるようにしている。コロナ禍では自宅勤務や時差出勤、オンラインの導入などでリスクを軽減した。また歓迎会、慰労会、ランチ会など、更に親睦を深める機会を作って良好な人間関係につなげ、働きやすい職場としてやりがいや意欲向上が図れるように取り組んでいる。

業務分担のローテーションや療育プログラムの全員企画で組織力の向上を図っている

事業所の業務はプログラムの企画、利用料金の請求事務、教材や備品の管理など総務的な業務があり、常勤職員を中心に毎年輪番で担当することにしており、どの職員でもどの業務にも対応できるようにしている。療育プログラム企画にあたっては、全員がそれぞれの得意なことから発想したりした企画案を持ち寄り、担当者を中心に議論して決め、担当者がまとめて成案としている。また、外部研修を受講した者は研修内容を報告し、成果を職員間で共有している。事業所は、職員がすべての業務を経験することにより、組織全体のレベル向上を図っている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー7  事業所の重要課題に対する組織的な活動
  サブカテゴリー1  事業所の重要課題に対して、目標設定・取り組み・結果の検証・次期の事業活動等への反映を行っている
  評価項目1 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 【課題と目標】保護者から、利用児の通う学校との関係について相談されることが少なくない。そのため「子どもと家族が明るく笑顔でいられるように、他の機関との連携及び将来的な自立を目指した療育」を課題・目標とした。
【取り組み】学校との関係構築のための流れ「①保護者からの相談をうけ②保護者から担任へ事業所利用の報告をしてもらう③担任と連絡を取り合い連携開始④事業所のプログラムなど資料を送付⑤保護者了解のもと授業見学(管理者と療育指導者)⑥担任との振り返り⑦今後の取り組み方とかかわり方のアドバイス⑧定期的な報告⑨担任が変わった場合も引き続き新担任と連携する」をつくり、これに沿って取り組んだ。4校からの相談があり、流れに沿って対応した。
【取り組みの結果】学校との連携で信頼関係ができると、対象の子どもにも改善が見られ、保護者からの信頼も得られ、他の保護者からも連携を望まれるようになった。
【検証・今後の方向性】学校との連携ができたことで子どもの学校での様子がわかり、良い療育を提供するために必要な取り組みであると検証し、今後も取り組んでいくこととしている。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
【目標の設定と取り組み】将来的な自立を目指した療育をしていくため、関係機関としての学校との連携を目標として、取り組みの流れを作り、それに沿って4校との連携関係を築いたことは評価できる。
【取り組みの検証】流れを作って取り組んだのでスムーズに関係構築できたとも考えられる。その結果学校とも保護者とも信頼関係ができ、子どもの改善につながったことを取り組みの成果として検証している。
【検証結果の反映】成果があった取り組みであるとの検証に基づき、今後も引き続き取り組んでいくとしている。今後は学校に対し保護者の視点で、保護者に対しては学校の視点で、それぞれに課題を伝えることも必要と認識しているとのことなので、さらに連携が深まり広がることを期待したい。 
  評価項目2 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 【課題と目標】コロナ禍で、学校に行けず1日中子どもが家にいることによる保護者のストレスで、家庭状況が悪化しがちな現状をみて、保護者にレスパイトを提供することと、通所できない子どもへの対応を課題・目標とした。
【取り組み】オンラインプログラムを企画し、4月から午前、午後に各1時間ずつ、1回5名の中高生を対象に提供した。オンラインに慣れない子どもには、空き時間にマンツーマンで行った。プログラム内容は、パワーポイントを使用して、始まりのミーティング、活舌トレーニングに続き療育プログラムを行い、終わりのミーティングで終了するという、通常の流れに近い形で行った。
【取り組みの結果】オンラインで1時間ではあったが、この間、保護者のレスパイトになり、子どもも精神的に安定していた。
【検証・今後の方向性】コロナ禍の中での取り組で、子ども・保護者にとって、良い取り組みであった一方、こうした新たな取り組みに不安を抱える職員もいたが、できるだけリラックスできるような雰囲気を作り行った。新たな体験をしたことで柔軟な対応ができる職員に成長し、自信にもつながったと検証している。これらを踏まえ、今後も状況に応じて実施していくとしている。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
【目標の設定と取り組み】コロナ禍という状況下で、保護者のレスパイトの必要性に着目し、併せて通所が制限されている子どもの療育に取り組むためにオンラインでプログラムを実施したことは、時宜を得た目標と取り組みであった。
【取り組みの検証】プログラムに参加した子どもの満足と、保護者のレスパイトに感謝の声も寄せられ、職員の成長にもつながり十分目的を達成できたと検証している。
【検証結果の反映】取り組みの成果があったとの検証結果に基づき、今後も引き続き取り組んでいくとしている。今後も、様々な状況下で、柔軟に対応できるプログラムを工夫するとよい。 

Ⅵ サービス提供のプロセス項目(カテゴリー6)

カテゴリー6 サービス提供のプロセス
  サブカテゴリー1 サービス情報の提供
  評価項目1 子どもや保護者等に対してサービスの情報を提供している 実施状況
  標準項目1 子どもや保護者が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  標準項目2 子どもや保護者の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  標準項目3 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  標準項目4 子どもや保護者の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
講評
ブログを毎月更新し、行事や活動などを写真で紹介している

事業所はそれぞれの子に合ったプログラムを通して、共に育ちあえる場所となることを目指している。パンフレットはB4判を3つ折りにして写真を添えて明るい色合いでまとめ、事業所が力を入れて取り組んでいる「コミュニケーションプログラム、運動プログラム、社会へのステップ」の3本柱を分かりやすく伝えている。また、ホームページを開設し、職員が毎月更新して通常のプログラム活動の様子を伝えたり、「夏祭り」、「ハロウィン」や「キャッスマ祭(文化祭)」などのイベントの様子を載せて広く情報を提供している。

事業所の情報は区担当部署に提供し、区の「発達支援ニュース」にも提供している

事業所の空き情報、利用児の平均年齢などの情報は、区担当部署や管轄の保健所、地域の障害者相談支援事業所などに提供しており、区のホームページからも検索できるようになっている。また、区の障害児支援担当発行の「発達支援ニュース」にも事業所の情報を提供している。学校など連携している機関には、各月の「プログラム内容」を送付している。

問い合わせや見学には、常勤職員4名が対応している

電話やメールなどによる問い合わせには、常勤職員全員が対応している。利用希望者にはまず、事業所の方針や支援の方法、1日の流れやサービス対象者、送迎を行わず自立に向けての支援を重視することを理解してもらうようにしている。その後、予約のうえ、プログラムの見学・体験をしてもらう。見学や体験に当たっては、子どもの特性に配慮して対応しており、保護者からの相談にも応じている。また、学級担任、通級の教職員や教育センター職員の見学の要望にも応じている。


  サブカテゴリー2 サービスの開始・終了時の対応
  評価項目1 サービスの開始にあたり子どもや保護者に説明し、同意を得ている 実施状況
  標準項目1 サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を子どもや保護者の状況に応じて説明している
  標準項目2 サービス内容や利用者負担金等について、子どもや保護者の同意を得るようにしている
  標準項目3 サービスに関する説明の際に、子どもや保護者の意向を確認し、記録化している
  評価項目2 サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 サービス開始時に、子どもの支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  標準項目2 利用開始直後には、子どもの不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
  標準項目3 サービス利用前の生活をふまえた支援を行っている
  標準項目4 サービスの終了時には、子どもや保護者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
講評
契約時は利用契約書・重要事項説明書の読み合せをし利用料金について説明している

サービス開始に当たり、利用契約書・重要事項説明書の読み合せをして、1項ずつ丁寧に説明して理解が得られるようにしている。特に利用料金については、基本サービス利用料金や、家庭連携・関係機関連携などの加算料金、おやつ、創作活動・イベントのための実費等についても説明して同意を得ている。また、災害発生時の対応については「災害発生時におけるお子様引渡書」で説明し、記入の上提出してもらい、安心して利用できるようにしている。

利用開始時には個人記録シートやアセスメントシートで個別事情や要望を把握している

利用開始前に個人記録シートを保護者に渡して、1 家族状況、2 成育歴、3 学校名など教育・関係機関、4 療育手帳、福祉サービス利用状況など福祉関係、5 家庭生活での食事・衣服の着脱・排泄・入浴などの状況、意思疎通の状況、移動・余暇活動など活動について記入してもらっている。さらに、子どもや保護者の要望を聴き取るとともに、子どもの支援に必要な子どもの特性を専門的立場からアセスメントして、ニーズの把握に努めている。

徐々にデイでの過ごし方に慣れるよう個別対応で支援している

利用開始にあたり、「来所時の基本ルール」について子どもと一緒に確認している。利用初期には、利用回数を一時的に増やし短期間に集中して通所できるようにしており、子どもの状況に応じて、短時間の利用から徐々に時間を延長して慣れてもらうようにしたり、1対1で職員が関わるなど個別対応している。また、必要に応じて落ち着ける場所を確保できるよう相談室を使うなどしている。サービス終了時は、保護者には今後も悩みや相談があれば対応できることを伝え、利用児童には「遊びに来てね」など声をかけ、関係性が途切れないように配慮している。


  サブカテゴリー3 個別状況に応じた計画策定・記録
  評価項目1 定められた手順に従ってアセスメントを行い、子どもの課題を個別のサービス場面ごとに明示している 実施状況
  標準項目1 子どもの心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
  標準項目2 子ども一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  標準項目3 アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
  評価項目2 子どもや保護者の希望と関係者の意見を取り入れた個別の支援計画を作成している 実施状況
  標準項目1 計画は、子どもや保護者の希望を尊重して作成、見直しをしている
  標準項目2 計画を子どもや保護者にわかりやすく説明し、同意を得ている
  標準項目3 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  標準項目4 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
  評価項目3 子どもに関する記録が行われ、管理体制を確立している 実施状況
  標準項目1 子ども一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  標準項目2 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果子どもの状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
  評価項目4 子どもの状況等に関する情報を職員間で共有化している 実施状況
  標準項目1 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
  標準項目2 申し送り・引継ぎ等により、子どもに変化があった場合の情報を職員間で共有化している
講評
保護者からの情報の他に事業所としてアセスメントし、個別支援計画を作成している

契約時にはインテークシートを保護者に記入してもらい、子どもの心身の状況や生活状況を把握している。インテークシートには児童の性格、行動、危険行為・注意点、親子・交友関係、特技・趣味・頑張っていること・将来の夢、学習能力や、医療情報、生活リズム・ADL等と地域との関係などについて記載してもらい、あわせて子どもの意向や、保護者の要望も書き込めるようにしている。事業所では、アセスメントシートを用い、子どものニーズや課題を明示し、個別支援計画作成をしている。今後定期的な見直しの時期と手順を定めるとよい。

個別支援計画は、「月の様子」でモニタリングし今後の支援につなげている

計画は、保護者と面談の上見直しをしている。計画内容からその子に合うプログラムを選んでおり、職員は子どもの活動の様子を日誌に記録し、日々の状況について簡単にコメントしている。このコメントは、事業所で毎月のモニタリングの代わりとしている「月の様子」作成に役立てている。「月の様子」は、非常勤職員を含めた全職員が分担しており、支援目標とその実施内容、その時の出来事の評価を記載し、今後の支援につなげている。計画見直し時には、担当者がモニタリングしているが、誰にでも分かるように、項目立てをした書式を作成し用いるとよい。

業務開始時の朝礼、終了時のミーティングで子どもの情報を共有している

業務開始時の朝礼には、管理者を含めた常勤職員4名が毎日出席し、ビジネスマナーの冊子を読み合わせた後、子どもの情報を共有している。また、終了時には非常勤職員も参加し、終了時ミーティングを行い、保護者やスクールカウンセラーからの子どもの様子の報告などを共有し、必要な時には計画の変更も検討している。また、職員は勤務に入る前に必ず支援計画や業務日誌を確認して情報を共有するとともに、さらに重要なことについては口頭でも伝達されている。


  サブカテゴリー4 サービスの実施
  評価項目1 個別の支援計画に基づいて子ども一人ひとりの発達の状態に応じた支援を行っている 実施状況
  標準項目1 個別の支援計画に基づいた支援を行っている
  標準項目2 子どもの特性に応じて、コミュニケーションのとり方を工夫している
  標準項目3 関係機関(教育機関、福祉関係機関、医療機関等)と連携をとって、支援を行っている
講評
個別支援計画に基づき支援し「月の様子」で支援の様子を確認している

個別支援計画は保護者と情報の共有を図りながら、一人ひとりの子どもの発達に合わせて作成している。事業所は個別支援計画に基づき、それぞれの目標に応じて支援している。支援の様子は一人ひとりの子どもの成長過程のレポートとして作成する「月の様子」で確認している。「月の様子」には個別支援計画の目標を記載してあり、目標に対応した出来事や評価を記入し、1~2か月ごとに保護者に報告している。自発的な行動を目標としている子どもには、「次はどうするんだっけ?」と問いかけを繰り返し、できた時は褒めることで定着するよう支援している。

絵で表した表情カードを使って状況がわかりやすく認識できるようにしている

子どもたちは年齢の幅も大きく特性も多様なので、職員は一人ひとりの子どもの状況に合ったコミュニケーションを工夫している。子どもによっては男性職員が苦手で、女性職員でないとコミュニケーションが難しいこともあるが、そのような場合は子どもに合わせて職員を配置し、徐々に誰にでも慣れていくよう支援している。状況に沿った集団行動が難しい子どもには、言葉だけでは伝わりにくいので、今は聞くとき、話すときなど場面が伝わるよう、絵で表した表情カードを使って、今の状況を認識しやすくしている。

関係機関と連携を図り、子どもの情報を共有して支援している

事業所は学校や児童相談所、子ども家庭支援センター、移動支援、看護等の関係機関と情報の伝達漏れがないよう、注意を払って連携して支援している。学校や子ども家庭支援センターでのケース会議では、保護者の許可を得て「月の様子」を提示し、その子の様子や対応方法を共有している。学校の担任から行動に課題があるとの相談を受けた時は様子を見に行き、事業所での様子やその子への接触のポイントなどを伝えている。また子ども家庭支援センターの依頼で病院へ付き添うこともある。

  評価項目2 【食事の支援がある事業所のみ】子どもが食事を楽しめるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 食事時間が楽しいひとときとなるよう環境を整えている
  標準項目2 子どもの状態やペースに合った食事となるよう、必要な支援(見守り、声かけ、食の形態や用具の工夫等)を行っている
  標準項目3 子どもが安全に食事をとれるよう取り組みを行っている
  標準項目4 食物アレルギーや疾患等については、医師の指示に従い、対応している
  標準項目5 食についての関心を深めるための取り組みを行っている
  標準項目6 子どもの状況をふまえ家庭での食事について助言を行っている
講評
食事中に音楽やラジオ放送を流して楽しい環境で食事ができるよう工夫している

平日は下校後の利用なので昼食の時間はないが、土曜日や夏休みのような長期休暇中の一日の流れでは昼食の時間が含まれている。職員は年齢や子ども同士の関係性、他の子どもとの関りを避けたい子どもなど、それぞれの状況を踏まえて座席を決めて楽しい環境を提供している。以前は大声にならないよう注意をしながら会話を楽しんで食事をしていたが、昨年度はコロナ禍のため黙食をするよう支援している。職員は食事中にクラシックやポップスなどの音楽やラジオ放送を流し、楽しい環境で食事ができるよう工夫している。

保護者からの食物アレルギーなどの情報を全職員が把握して支援している

子どものなかには食物アレルギーのある子どもや宗教の関係から禁止食材がある子どもがいる。このような子どもたちの食物についての情報は保護者から細かく聴き取り、その情報をおやつの保管場所等に掲示して全職員が把握できるようにしている。食材の種類だけではなく、蛋白質の摂取量の制限がある子どももいるので、職員は調理実習の食材を代替品にしたり、状況によっては都度保護者と相談して持参してもらうこともある。市販品のおやつの提供や弁当を購入する時は表示をしっかりと確認して、原材料を必ず把握して選ぶなどきめ細かに対応している。

食のプログラムで自立に向けて食の大切さを伝えている

事業所は食育は療育に必要なプログラムとして、管理栄養士や児童発達支援管理責任者がプログラムメニューを決めている。栄養素や体の働きのプログラムで食の大切さを伝え、日本の地域で収穫物が異なることや七草がゆのように日本の文化に根付いた由来なども伝えている。調理実習では子どもたちが作る楽しさや食べる楽しさが感じられて、片付けなどを通して一体感がうまれるようにしている。また実習を通して失敗をした時、成功をした時の感情や気持ちの切り替えを経験できるようにしている。事業所は食のプログラムで食の大切さを伝える食育をしている

  評価項目3 子ども一人ひとりの状況に応じて生活上で必要な支援を行っている 実施状況
  標準項目1 身の回りのことは自分で行えるよう、必要な支援を行っている
  標準項目2 基本的な生活習慣や社会生活上のルール等 (あいさつ、マナー、交通ルール等)を身につけられるよう支援を行っている
  標準項目3 集団活動を取り入れるなど、子どもの心身の発達や社会性が育つよう支援を行っている
  標準項目4 一人ひとりの有する能力を活かせるよう個別のプログラムを実施している
  標準項目5 送迎は、子どもと保護者等の状況に応じて送迎方法を検討し、行っている
講評
自分でできることは自分で行うよう見守りながら支援している

職員は利用初期の関わりで身体状況等を観察し、職員間で共有して、子どもの発達領域を意識しながら自分でできることは自分で行うよう支援している。子どもたちは来所時には来所時間を記入し、サービス提供記録を提出し、手洗い・うがいを行うことになっている。職員はこのような行動や履き物を履き替えて整える、自分でこぼした食べ物を掃除するなど、身の回りのことは自分で行うよう、子どもの発達領域を意識して見守りながら支援している。時間がかかって次の行動に移れない子どもには、「手を洗おうね」などと声掛けをして促している。

挨拶やマナーなどが身につき社会性が育つよう支援している

プログラムや始まりのミーティングでは予め用意した流れに沿って、子どもが挨拶をしてその日のメンバーの紹介、プログラム内容を読み上げ、また同様に終わりのミーティングでは、当日のプログラムの感想などを聞いて司会進行ができるよう支援している。その他にも「日常生活の規則」、「スポーツのルールを知ろう」などのプログラムでは、分かりやすい教材を使ってそれぞれのルールが身につくよう支援している。事業所はこのようにいろいろなプログラムを組み合わせて挨拶やマナーなどが身につき社会性が育つよう支援している。

自立のための一歩として一人で来所できるよう支援している

事業所は一人で来所することが自立の一歩として考え、通所サポートを行っている。当初3日間は同行し、その後徐々に見守りながら子どもとの距離をとって自力で通所できるよう支援している。バスや電車を使う子どもや徒歩の子どもなど通所方法がいろいろで、個別に交通機関の利用方法や危険回避の方法を教えながら、2週間前後をサポート終了の目途としている。サポート中の子どもの様子は職員がレポートを作成し保護者へ報告している。一人での通所が危険な場合は保護者と相談して取り組む時期を検討するなど、子どもの状況に合わせて対応している。

  評価項目4 子どもの健康を維持するための支援を行っている 実施状況
  標準項目1 子どもの健康状態について、保護者や医療機関等から必要な情報を収集している
  標準項目2 子どもの状態に応じた健康管理を行い、体調変化に速やかに対応できる体制を整えている
講評
医療機関や保護者から診断情報や服薬情報を把握している

契約時に個人記録シートに医療機関名、診断名、診断月日、診断者氏名を保護者が記入し、その内容を職員が共有して、子どもの健康維持を図っている。医療機関と連携をとって、その子の状況により注意をしなくてはいけないことの優先順位を共有したり、体調変化が見られた時や服薬について相談ができるようにしている。服薬している子どもは多く、薬の副作用や状況変化なども医療機関から把握し、職員間で情報共有を徹底している。保護者には服薬内容に変更があった場合には必ず連絡をするよう伝え、適切な情報把握を行い健康維持を図っている。

事故・緊急時等対応マニュアルを定めて急な体調変化に対応している

日常は検温や子どもの様子から体調変化を把握している。急な体調変化には事故・緊急時等対応マニュアルを定めて対応するようにしている。マニュアルには体調変化があった時は①保護者に連絡し近日の状況を確認する、②状況によっては保護者にお迎えを依頼する、③すぐのお迎えが無理な場合は事業所内で安静にできる場所を確保してその後の対応を相談する、④緊急性があると判断した場合は、協力医院へ受診する旨を伝えて職員が同行して受診をする、等の手順が書かれており、これまでは受診した例はないが保護者と連携して体調変化へ対応している。

  評価項目5 子どもの主体性を尊重し、施設での生活が楽しく快適になるような取り組みを行っている 実施状況
  標準項目1 日常生活の支援は子どもの主体性を尊重して行っている
  標準項目2 子どもが安心して活動できるよう、状況に応じて室内の環境を工夫している
  標準項目3 子どもの状況や希望に沿って、多様な体験ができるようにしている
  標準項目4 子どもの状況に応じて利用日や利用時間を設定している
講評
自由時間やプログラムに沿った支援では子どもの主体性を尊重して支援している

来所からプログラム開始までの自由時間ではやりたいことを自分で考えるよう、工作類やゲームなどを自由に使える環境を整えている。プログラムに沿って支援する時も、一方的な支援ではなく子どもたちのアイディアを引き出し、主体性を尊重して支援している。子どもたちのアイディアが新規プログラムにつながることもあり、最近では仮想会社を運営する「キャッチ会社」というプログラムを追加した。公園掃除では高学年は低学年の手助けをするなどの自主性を見たり、SSTのプログラムでは学年別に少人数で自分の考えを主張できるよう支援している。

自由時間はパーテーションで区切って、それぞれの活動に合わせた環境にしている

宿題や家庭ワーク、ゲームや創作活動など自由時間の使い方はいろいろなので、活動室を必要に応じて区切り、それぞれの活動目的に合った環境を整えている。宿題などの学習をする子どもたちには落ち着いて学習に取り組めるよう、一時的に相談室を活用して宿題ルームとして使用することも多い。室内はエアコンや空気清浄機を活用して、室温や湿度管理を行い、快適な空間となるよう努めている。コロナ禍の現在は特に感染症対策マニュアルに沿って、使用後の各ブースのテーブルなどの消毒を行い衛生管理を徹底している。

多様なプログラムを活用して子どもの状況や希望に沿った経験ができるよう支援している

事業所は映像の視聴や実験、Will大会のようないろいろな手法のプログラムを組み合わせて子どもの状況や希望に沿って支援している。プログラムの多くは職員が子どもの発達領域に対応するよう手作りしている。タイピング練習、レトロゲーム大会、工作、SSTではディベートや電話対応など、子どもたちがプログラムに参加していろいろな体験ができるようにしている。毎月実施日と時間を一覧にしたスケジュール・イベント出席表でそれぞれのプログラムの参加希望を確認して、希望が多い場合は年齢や過去の実績からキャンセル待ちになることもある。

  評価項目6 家族との交流・連携を図り支援を行っている 実施状況
  標準項目1 子どものサービス提供時の様子や家庭での普段の様子を家族と情報交換し、支援に活かしている
  標準項目2 家族の意見や要望を活かした支援を行っている
  標準項目3 家族の状況に配慮し、相談対応や支援を行っている
  標準項目4 子どもや家族に合った療育方法等について助言している
講評
子どもの様子はサービス提供記録や近況報告メールなどで情報交換している

子どもの活動の様子は職員が「サービス提供記録」に記入して子どもが持ち帰っている。保護者は伝達情報がある時は、「サービス提供記録」に記入して、次回の利用時に子どもが持参して提出している。職員は内容によっては保護者に連絡をして詳細を確認したり相談に応じている。その他に「月の様子」や「家庭連携レポート」など個別に作成するレポートで随時情報提供している。保護者は近況報告メールや電話で家庭での様子や課題等の情報提供をすることができ、事業所は3台のパソコンでその日のうちに内容を確認して支援に活かしている。

保護者の要望を活かした支援や、家庭の状況を配慮した相談対応をしている

調理実習等のプログラムは希望者が多く全員が参加できないことがある。保護者からはキャンセル待ちでも参加できなかったプログラムへの希望が多く、事業所は可能な限り希望プログラムの実施回数を増やし、参加実績や年齢を加味して偏りがないように対応している。また、危険回避が課題となっている子どもについて相談があった時には、インターネットを活用して車の周りの注意などを映像で伝えるプログラムを作成した。学校から事業所や家庭では見られない課題の報告があった時は、保護者と相談して保護者の代わりに学校訪問をして状況を伝えている。

家庭が抱える療育上の問題点にはペアレントトレーニングを実施している

事業所は保護者からの療育上の様々な相談はいつでも電話やメールで受けている。相談には主に児童発達支援管理責任者が対応するが、内容によっては療育指導者と連携をとって速やかに対応している。保護者の状況や問題点によっては、都度の相談対応だけではなく、ペアレントトレーニングを実施し、継続的に指導・助言を行い、子どもの課題へ向き合うよう保護者支援をしている。ペアレントトレーニングではテキストを用いて3回程度行い、子どもの障害特性や行動に応じて保護者が適切に関われるよう支援している。

  評価項目7 地域との連携のもとに子どもの生活の幅を広げるための取り組みを行っている 実施状況
  標準項目1 地域の情報を収集し、子どもの状況に応じて提供している
  標準項目2 必要に応じて、子どもが地域の資源を利用し、多様な体験や交流ができるよう支援を行っている
講評
コロナ禍のため地域の行事等の中止情報や図書館等の利用時間の変更などの情報を伝えた

これまでは町内会の回覧板で情報収集をして、節分の地蔵尊祭りや町内会のお祭りの子ども神輿などに参加していた。昨年度はコロナ禍のため地域の行事が中止となったため、子どもたちには中止の情報を伝え共有した。区立図書館や体育館等も利用の中止や縮小の情報ばかりで、子どもたちが楽しめるイベント情報はなかったが、その都度子どもたちに関係のある情報を話題に取り入れて伝えた。

歴史民俗資料館や日々の買い物等で多様な体験や交流ができるよう支援している

これまでは、近隣にある障害者福祉会館の登録団体から、活動発表会に招待されて活動発表の紙芝居や影絵等を鑑賞し、団体の人たちとの交流も図っていた。昨年度はコロナ禍のため地域の行事や団体の発表会も中止となり、外部との交流がほとんどできなかった。地域にある歴史民族資料館が唯一入館可能だったので、少人数でマスク着用、手指消毒を徹底して、館蔵品展「「はかる」道具」を見学した。また、日々の買い物を地域交流の機会としてとらえ店員との挨拶やマナーを体験するよう支援した。


  サブカテゴリー5 プライバシーの保護等個人の尊厳の尊重
  評価項目1 子どものプライバシー保護を徹底している 実施状況
  標準項目1 子どもに関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、子どもや保護者の同意を得るようにしている
  標準項目2 日常の支援の中で、子どものプライバシーに配慮した支援を行っている
  標準項目3 子どもの羞恥心に配慮した支援を行っている
  評価項目2 サービスの実施にあたり、子どもの権利を守り、個人の意思を尊重している 実施状況
  標準項目1 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(子どもが「ノー」と言える機会を設けている)
  標準項目2 子どもと保護者の価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
  標準項目3 施設内の子ども間の暴力・いじめ等が行われることのないよう組織的に予防・再発防止を徹底している
講評
写真の使用などについて、個人情報使用の同意を得てプライバシーに配慮している

利用の契約にあたり、利用児・およびその家族に係る個人情報の使用について個人情報保護規定により説明し、同意の上、署名を得ている。ホームページなどへの写真の掲載については〈同意する・同意しない〉の選択を明らかにできるようにしている。事業所ではホームページを毎月更新して活動の様子を伝えているが、同意の有無にかかわらず、子どもの顔は判らないようにぼかしを入れて、職員以外は全員顔が出ないようにしており、担当者が確認のチェックをしてプライバシーに配慮している。

子ども間の暴力・いじめ等が行われることがないようプログラムを活用している

事業所では、「それぞれの子どもに合ったプログラムを通して、適切な対処法や解決方法を共に学び、進学や就労・自立を目指す社会の架け橋」となるよう多くのプログラムを用意している。暴言・暴力・いじめの予防や再発防止に当たっては、「NO!と言う力」、「やさしい伝え方」、「自信をもって意見を言おう」などのプログラムを用い、適切な自己主張ができるようにして予防や防止につなげている。


  サブカテゴリー6 事業所業務の標準化
  評価項目1 手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  標準項目2 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうかを定期的に点検・見直しをしている
  標準項目3 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
  評価項目2 サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  標準項目2 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や子ども・保護者等からの意見や提案を反映するようにしている
講評
手引書等を整備し、さらに事業所業務の標準化を図るための取り組みをするとよい

事業所では、「1日の業務、一カ月の業務、請求業務、利用者に関して、事業所維持に関して、コロナ対策、その他」を項目として業務の手順を作成している。職員も少なく業務時間内は管理者がいて、必要な時にはOJTで指導しており、請求業務などの見直しは都度行っている。しかし、現在の手引書には、療育などのサービスに関する基本事項がないので、今後サービス提供を拡大する計画もあり、サービスの実施にあたり都度OJTを受けなくても活用しやすいような手引書を職員と共に整備していくとよい。

マニュアルの整備に当たり、見直しの時期や活用方法について検討するとよい

事業所では、提供している業務の問題点等について随時職員間で点検しており、必要に応じて見直している。さらに事業所が提供しているサービスには、どのような手順書、マニュアルが必要か、その活用方法、改変の時期、職員や子ども・保護者等からの意見や提案をどのように反映するかなどを検討し規定していくとよい。

プログラム企画会議で全職員の意見や提案をプログラム作成に活かしている

月1回、プログラム企画会議を開き、翌月のプログラム内容については全職員から意見提案を出してもらうため、当日出勤しない非常勤職員からは事前に聴き取っている。今年度はコロナ禍のため、「夏祭り」や「キャッスマ祭(文化祭)」のイベント実施も危ぶまれていた。企画会議で、感染症対策に十分留意し一部、二部の入れ替え制にして2日間で各5名ずつの出席者とすることで密が避けられ、20名の参加が得られるので、開催可能なのではないかとの意見を採用し、無事開催できた。