東京都福祉サービス第三者評価  評価結果





評価結果基本情報

評価年度 令和3年度
サービス名称 認可保育所
法人名称 社会福祉法人純心会
事業所名称 丘の上アンジュ保育園
評価機関名称 株式会社 クリップ

コメント

保護者へアンケート方式による利用者調査を実施しました。合わせて評価者がフロアーに入り滞在調査も実施しました。利用者調査終了後、双方の意見に相違がないよう事業所との合議の時間を設定しました。訪問調査では、オリジナルの資料を用い、利用者調査・職員調査の分析結果を説明、意見交換をしました。


(内容)
 Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像
 Ⅱ 全体の評価講評
 Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み
 Ⅳ 利用者調査結果
 Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)
 Ⅵ サービス提供のプロセス項目


公益財団法人東京都福祉保健財団
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Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像

1 理念・方針  (関連 カテゴリー1 リーダーシップと意思決定)
  事業者が大切にしている考え(事業者の理念・ビジョン・使命など)

1)全ての利用者の基本的人権を尊重する 2)利用者に「安全」と「安心」を提供する 3)利用者本位の施設経営を行う 4)職員の質の向上に努める 5)地域社会の福祉の充実増進に努める

 
2 期待する職員像  (関連 カテゴリー5 職員と組織の能力向上)
  (1)職員に求めている人材像や役割

・保育の理念や目標を理解したり、理解しようとする姿勢を持つ ・理念、目標に基づき考え、力を発揮できる ・子どもの安心、安全な生活と、子どもの権利を大切に守ることができる

 
(2)職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

・保育の専門家としての自覚   ・向上心と自己研鑚   ・考え、協力し合う姿勢 ・社会人としての常識と教養があること

 


Ⅱ 全体の評価講評

全体の評価講評

特に良いと思う点
1 【現状】一人ひとりの子どもの思いを受け止め、自主性を尊重しています。

滞在調査の散歩の時に2歳児クラスの子が「僕が入れる穴をつくる」と言い、小枝で地面を掘りはじめると、職員は「良いアイディア」と言葉をかけて見守っていました。土の表面が20cm程削れると「僕、入れるかな?」と言いながら足をのせた姿に、職員は「入れた!」と言って手を叩いていました。職員は子どもの思いを受け止め、それができるように関わり、また達成した時に共感する場面でした。職員の自由意見にも「少人数だから一人ひとりと向き合えて、個性を伸ばせる工夫ができている」とあります。職員は子どもに寄り添った保育を行っています。
2 【現状】職員の発言を促し全体で考えることが、職員の良い関係性を保っています。

職員アンケートの自由意見に「職員同士の連携が取れている。チームワークが良い。若手の意見を聞いてくれる、働きやすい環境。」などが挙がっていました。日々の業務連絡は午睡時間を活用、送迎時の引継ぎの申し送りノートで情報伝達しています。またクラス会議や職員会議での話し合いの場があります。園長は職員の意見、特に年齢層の若い職員の意見にも耳を傾け、適宜助言をし、職員が納得をした上で保育に臨んでほしいと考えています。職員の情報共有からお互いの考えを知ることが、保育の質の向上にも繋がっています。
3 【現状】全職員が子どもの個別状態を把握し、目配り・気配り・心配りをしています。

小規模園のメリットを生かし、温かく、優しく、明るい保育が展開されています。家庭的でアットホームな雰囲気を醸し出すよう環境設定を工夫し、安心・安全な生活の場を提供しています。なによりも、全員の職員が全員の子どもの発達の姿を把握しており、一人一人の子どもの育ちを見守っています。看護師は、個々の睡眠状態を知り、睡眠の大切さを助言したり、栄養士は、子どもの食欲や好き嫌いをキャッチしたりしています。日々の保育では、職員は子どもの活動の様子をよく観察し、行動を受け止め関わることで、子どもは承認欲求が満たされています。

さらなる改善が望まれる点
1 【目標】閉園に向けての計画的園運営が目標となります。

それではまず現在の在園者数を確認してみましょう。0歳児3名、1歳児5名、2歳児7名の計15名です。来年度は2歳児7名が卒園してこころ保育園に入園しますので、1歳児3名、2歳児5名の8名となり、再来年度は2歳児3名のみとなる可能性が高い状況です。園児の減少に伴い当然ながら職員は法人内の保育園や学童保育に転出しますので職員の減少も見込まなければならないため、保育の質をどのように確保するのが計画的園運営の目標となります。
2 【目標】閉園に伴う職員の異動希望先への個人面談が目標です。

“【5】職員と組織の能力向上”の【課題】で記載したように、もし「閉園への不安感が背景にあるのではないか」との評価者の推測が職員の心情に近いとすると、その不安感を払拭するのが管理職としての重要な務めです。園では間違いなく、閉園後の職場の確保を保障する旨を職員に伝えているでしょう。加えて、評価者は「本人が今後どの様な人生を歩みたいのか、法人内の異動希望先はどこなのか?」について個人面談をすべきとの認識です。
3 【目標】まだまだ!と、子ども、家庭環境、個々に寄り添った保育を追及しています。

職員は保護者の保育へのかかわり方を保護者アンケートからも称賛を受けながらも、『まだまだ!』とさらなる取り組みを目指しています。乳児期における保育として、健康な体づくり、豊かな心育て、あいさつのできる子ども、家庭との連携を大切にするという保育の目標に向けて、家庭環境への理解、個々の子どもに寄り添った保育を追及しています。保育を進めるにあたっては、職員チームが一丸となることが必須でありその思いは実現されていますが、伝える、伝わることへの対応の仕方を課題としています。難しいことへの挑戦力に期待します。

Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み



該当データがありませんでした

Ⅳ 利用者調査結果

調査概要
調査対象:アンケートは、全保護者14名に配付、12名から回答を得ました。回答者の属性は、母親が回答:84%、父母一緒:8%(無回答:8%)でした。お子さんが通うクラスは、0歳児クラス:17、1歳児クラス:33%、2歳児クラス:42%(無回答:8%)でした。

調査方法:アンケート方式  
アンケートは、案内状・アンケート・返信用封筒をセットにして事業所の封筒に入れ手渡しで配布しました。利用者からは、返信用封筒で直接当機関に郵送により回収しました。

利用者総数 14人
利用者家族総数(世帯) 14世帯
アンケートや聞き取りを行った人数 14人
有効回答者数 12人
回答者割合(%) 85.7%

総括
アンケートは、14名中12名から回答を得ました(有効回収率86%(前回67%))。また保護者調査全体の満足度は“はい”83%、“どちらともいえない、いいえ”9%、“非該当・無回答”8%でした(前回:はい”89%、“どちらともいえない、いいえ”7%、“非該当・無回答” 4%)。回答者の属性は、母親が回答:84%、父母一緒:8%(無回答:8%)(前回:母親が回答:92%、父母一緒:8%)でした。お子さんが通うクラスは、0歳児クラス:17%、1歳児クラス:33%、2歳児クラス:42%(無回答:8%)(前回:0歳児クラス:16%、1歳児クラス:42%、2歳児クラス:42%)でした。 管理者へ一言(オプション設定)では「少人数で職員全員が全園児に目をかけてくれる」が意見として上がり、意見や要望では「イベントの連絡は1か月半前に知らせてくれるとありがたい」が上がりました。

利用者調査結果

1.保育所での活動は、子どもの心身の発達に役立っているか
はい 12人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
本問の有効回答者全員が“はい”と回答しています(前回“はい”100%)。3件の意見を頂きました。参考となる意見として「園内でいっぱい遊び、お散歩もしてくれます」がありました。
2.保育所での活動は、子どもが興味や関心を持って行えるようになっているか
はい 10人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
10名(83%(前回100%))が“はい”、2名(17%)が“どちらともいえない”と回答しています。3件の意見を頂きました。参考となる意見として「登園すると脇目も振らず、教室に向かうそうです」との意見があがりました。
3.提供される食事は、子どもの状況に配慮されているか
はい 10人  どちらともいえない 0人  いいえ 2人  無回答・非該当 0人 
10名(83%(前回100%))が“はい”、2名(17%)が“いいえ”と回答しています。4件の意見を頂きました。参考となる意見として「通園始めて離乳食をわざわざ準備してくれ、しかも美味しいです」との意見があがりました。
4.保育所の生活で身近な自然や社会と十分関わっているか
はい 10人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
10名(83%(前回92%))が“はい”、2名(17%(前回“どちらともいえない”8%))が“どちらともいえない”と回答しています。4件の意見を頂きました。参考となる意見として「お散歩では、虫好きの息子のために虫を探してくれます」との意見があがりました。
5.保育時間の変更は、保護者の状況に柔軟に対応されているか
はい 7人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 4人 
7名(58%(前回50%))が“はい”、1名(8%(前回“どちらともいえない”8%(“非該当・無回答” 42%)))が“どちらともいえない”と回答しています。1件の意見を頂きました。参考となる意見として「残っている園児が殆どいないので気まずく感じます」との意見があがりました。
6.安全対策が十分取られていると思うか
はい 11人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
11名(92%(前回92%))が“はい”、1名(8%(前回“どちらともいえない”8%))が“どちらともいえない”と回答しています。2件の意見を頂きました。参考となる意見として「少人数のため、目が行き届いています」との意見があがりました。
7.行事日程の設定は、保護者の状況に対する配慮は十分か
はい 10人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 1人 
10名(84%(前回92%))が“はい”、1名(8%(前回“どちらともいえない”8%))が“どちらともいえない”と回答しています。4件の意見を頂きました。参考となる意見として「1か月半くらい前に予定を伝えて頂けるとありがたい」との意見があがりました。
8.子どもの保育について家庭と保育所に信頼関係があるか
はい 12人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
本問の有効回答者全員が“はい”と回答しています(前回“はい”92%、“どちらともいえない”8%)。2件の意見を頂きました。参考となる意見として「連絡帳はもちろんですが、送迎の際、一日の出来事を教えてくれます」がありました。
9.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか
はい 10人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 1人 
10名(83%(前回100%))が“はい”、1名(8%)が“どちらともいえない”と回答しています。2件の意見を頂きました。参考となる意見として「とても綺麗です」との意見があがりました。
10.職員の接遇・態度は適切か
はい 12人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
本問の有効回答者全員が“はい”と回答しています(前回“はい”92%、“どちらともいえない”8%)。2件の意見を頂きました。参考となる意見として「子どもが丁寧な言葉を使って覚えてくれます」がありました。
11.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
はい 12人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
本問の有効回答者全員が“はい”と回答しています(前回“はい”92%、“どちらともいえない”8%)。2件の意見を頂きました。参考となる意見として「すぐ、父母に連絡してくれ安心です」がありました。
12.子ども同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
はい 8人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 3人 
8名(67%(前回84%))が“はい”、1名(8%(前回“どちらともいえない”8%(“非該当・無回答” 8%)))が“どちらともいえない”と回答しています。1件の意見を頂きました。参考となる意見として「トラブルは聞いた頃がない」との意見があがりました。
13.子どもの気持ちを尊重した対応がされているか
はい 12人  どちらともいえない 0人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
本問の有効回答者全員が“はい”と回答しています(前回“はい”100%)。1件の意見を頂きました。参考となる意見として「いつも子ども優先で考えてくれます」がありました。
14.子どもと保護者のプライバシーは守られているか
はい 9人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 2人 
9名(75%(前回92%))が“はい”、1名(8%(前回“どちらともいえない”8%))が“どちらともいえない”と回答しています。意見はありませんでした。
15.保育内容に関する職員の説明はわかりやすいか
はい 11人  どちらともいえない 1人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
11名(92%(前回100%))が“はい”、1名(8%)が“どちらともいえない”と回答しています。1件の意見を頂きました。参考となる意見として「毎月のお便りにも保育目標の記載があるので、指標となります」との意見があがりました。
16.利用者の不満や要望は対応されているか
はい 5人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 5人 
5名(42%(前回67%))が“はい”、2名(17%(前回“どちらともいえない”8%(“非該当・無回答” 25%)))が“どちらともいえない”と回答しています。意見はありませんでした。
17.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
はい 8人  どちらともいえない 1人  いいえ 3人  無回答・非該当 0人 
8名(67%(前回67%))が“はい”、1名(33%(前回“いいえ”33%))が“どちらともいえない、いいえ”と回答しています。1件の意見を頂きました。特記すべき意見はありませんでした。

Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)

※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー1  リーダーシップと意思決定
  サブカテゴリー1  事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  標準項目2 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
  評価項目2 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている 実施状況
  標準項目1 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
  標準項目2 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
  評価項目3 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している 実施状況
  標準項目1 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
  標準項目2 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  標準項目3 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
講評
【現状】職員アンケートの3分野の認知度の推移は以下の通りです。

今回の職員アンケートの3分野の認知度を前回(2018年)と比較してみましょう。組織分野の職員の認知度は71%(前回:91%)とダウン、プロセス分野では85%(前回:98%)とダウン、実施分野では95%(前回:94%)と横ばいでした。2分野がダウン、1分野が横ばいとの結果について評価者が園長に問い合わすと、「前回は職員が一堂に会し読み合わせをしつつ回答をしたが、今回は経験済みの職員のため、アンケート用紙を各自に渡し回答してもらいました」との回答でした。評価者は「回答方法によって認知度が異なる」を認識しました。

【現状】前回の課題“【1-1‐1①】職員への理念の周知”は改善傾向です。

前回“【1-1‐1①】園長と評価者は純心会の理念方針の職員への周知を課題としています”との表題のもと、「<略>新たな職員の入職が続いています。そのため、新人職員への純心会の理念の浸透と理解が課題となっています。今回の職員アンケートの“【1-1-1①】理念・ビジョンを理解しているか?”の認知度は91%と高位でした。果たして、職員の理念に対する理解の深さに対し、園長と評価者は懐疑的です」との課題を設定しました。今年それに対し園長は「職員が定着しているので理念は理解出ていると思う」を背景に“改善”との意向です。

【課題】アンジュ保育園で培った理念をこころ保育園でも持ち続けましょう。

上記したように“【1-1-1①】理念の理解”について園長は改善傾向との認識です。職員アンケート結果をみると、“【1-1-1①】理念の理解”の認知度は100%(前回:91%)にアップしており、園長の推測を裏付けました。ごっちんこした二人の子どものおでこににこやかに冷却シートを貼る園長の自然な振る舞いを目撃し、子どもを優しく包み込む姿勢にぶれはないと評価者は感じます。それが職員に伝わり、2年後の閉園に伴い異動先でも持ち続けることでしょう。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー2  事業所を取り巻く環境の把握・活用及び計画の策定と実行
  サブカテゴリー1  事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
  評価項目1 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している 実施状況
  標準項目1 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目2 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
  標準項目3 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目4 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
  標準項目5 事業所の経営状況を把握・検討している
  標準項目6 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
  サブカテゴリー2  実践的な計画策定に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している 実施状況
  標準項目1 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
  標準項目2 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
  標準項目3 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
  評価項目2 着実な計画の実行に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
  標準項目2 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
講評
【現状】前回の課題“【2-2-1③】予算編成の内容の理解”は継続課題です。

前回“【2-2-1③】園の大まかな予算編成を職員に知ってもらうのが課題です”との表題のもと、「<略>“【2-2-1③】予算書の内容を理解”の認知度は27%にとどまり、中でも“わからない”が45%でした。<略>」との課題を設定しました。今年それに対し、「予算編成に関しては、職員への周知はほとんど出来ていない」を背景に“改善していない”との認識です。職員アンケートの“【2-2-1③】予算編成の内容の理解”の認知度は17%(昨年:27%)と継続低位でした。

【課題】2年後の閉園が決まっています。

園長は「経営状況が良くない事は伝えていますが、予算編成については詳しく伝えていません。収入や支出について、もう少し職員に伝えられるようにしていかなければと思っています」との意向です。0才児6名、1才児7名、2才児8名の合計21名定員で平成19年6月に開設した丘の上アンジュ保育園は2年後に閉園することが決まりました。近年の少子化傾向から、多摩センター駅近くの保育園は過当競争気味で園児が集まりにくい状況のため、こころ保育園の建て替えに伴い、統合されることとなりました。

【目標】閉園に向けての計画的園運営が目標となります。

それではまず現在の在園者数を確認してみましょう。0歳児3名、1歳児5名、2歳児7名の計15名です。来年度は2歳児7名が卒園してこころ保育園に入園しますので、1歳児3名、2歳児5名の8名となり、再来年度は2歳児3名のみとなる可能性が高い状況です。園児の減少に伴い当然ながら職員は法人内の保育園や学童保育に転出しますので職員の減少も見込まなければならないため、保育の質をどのように確保するのが計画的園運営の目標となります。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー3  経営における社会的責任
  サブカテゴリー1  社会人・福祉サービス事業者として守るべきことを明確にし、その達成に取り組んでいる
  評価項目1 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
  標準項目2 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している。
  サブカテゴリー2  利用者の権利擁護のために、組織的な取り組みを行っている
  評価項目1 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている 実施状況
  標準項目1 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  標準項目2 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
  評価項目2 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている 実施状況
  標準項目1 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  標準項目2 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
  サブカテゴリー3  地域の福祉に役立つ取り組みを行っている
  評価項目1 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
  標準項目2 ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
  評価項目2 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
  標準項目2 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
  標準項目3 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
講評
【現状】保護者アンケート“【問10】職員の言葉使い”の満足度はアップしました。

保護者アンケートの“【問10】職員の言葉使いは丁寧ですか?”の満足度は100%(前回:90%)にアップ、「子どもが(職員の)丁寧な言葉を覚えてくれる」との意見がありました。対応する評価項目“【3-1-1②】園が求めるコンプライアンスを理解していますか?”の職員の認知度は83%(前回:82%)と前回同様高位、園長も“課題なし”としています。職員から「若手の意見を尊重してくれる」との園長の姿勢をそのままあらわしている意見がありました。

【課題】前回の課題“【3-3-2】地域貢献”は継続課題です。

前回“【3-3-2】地域との関わりの実践は法人のバックアップが目標です”との表題のもと、「地域貢献に対し、園長は模索中、職員からは意見なしとの今回の結果から、アンジュ保育園単独では突破口を見出せないと評価者は感じています。法人のバックアップが求められます」との課題を設定しました。今年それに対し園長は、「まずは、散歩時に挨拶をしたり、公園で遊んでいる方たちと触れ合うことから始めてはいますが、コロナにより外部の方との関わりに関しては慎重になっています」を背景に“改善していない”との意向です。

【目標】こころ保育園やこころプティ保育園との積極的な連携が目標です。

閉園に向けて園長は「地域との関わりが出来ていないとは感じていますが、コロナもあり今は消極的になってしまっています。あと数年ではありますが、出来る範囲でやれることを考えていきたいと思っています」との意向です。評価者は「子どもの数が減少すると、どうしても社会との関わりが希薄となるのは否めないことから、こころ保育園やこころプティ保育園との積極的な連携を意識したい」との思いです。こころプティ保育園との中央公園で待ち合わせての遊びも行われていることから、その延長線上に目標があるとの評価者の意向です。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー4  リスクマネジメント
  サブカテゴリー1  リスクマネジメントに計画的に取り組んでいる
  評価項目1 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
  標準項目2 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
  標準項目3 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している ×
  標準項目4 リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる ×
  標準項目5 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
  サブカテゴリー2  事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
  評価項目1 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている 実施状況
  標準項目1 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
  標準項目2 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
  標準項目3 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
  標準項目4 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
講評
【現状】“【4】リスクマネジメント”の職員の認知度は以下の通りです。

職員アンケートの“【4】リスクマネジメント”の認知度は62%(昨年:98%)と大幅ダウンでした。内訳は、“【4-1-1】リスクマネジメント”の40%(昨年:96%)、“【4-2-1】情報管理”の83%(昨年:100%)でした。「前回は集団回答方式、今回は個別回答方式の影響が出ているのではないか、中でも“【4-1-1】リスクマネジメント”を構成する5つの評価項目の内容を職員は理解できないのではないか」との評価者の推測です。

【課題】“【4-2-1】情報管理”については継続課題との評価者の意向です。

前回““【4-2-1】情報管理”に関し、園長は課題があると感じています”との表題のもと、「“【4-2-1】情報管理”に関する職員の認知度が100%といった結果に対し、園長は懐疑的です。記録や連絡帳が開いたままになっているといった現状が背景にあります。<略>」との課題を設定しました。今回それに対し園長は、「<略>気付いたら声をかけ合うなど職員同士、フォローしあっていると感じています」を背景に“改善が進んでいる”との意向です。一方、評価者は「情報管理の意識が特定の職員には薄い」を背景に“継続課題”との認識です。

【目標】閉園に伴う帳票類の整理の仕方が目標です。

2年後の閉園に向けて、子どもや保護者の個人情報が記載されている帳票類をどのように整理・廃棄するのか、その計画と手段を明確にする必要があります。帳票類毎の保管期間の確認と保管方法、廃棄可能な帳票類の廃棄方法、法人で廃棄するのか、外注するのかといった数々の選択肢がありそうです。閉園に伴う帳票類の整理の仕方が目標です。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー5  職員と組織の能力向上
  サブカテゴリー1  事業所が目指している経営・サービスを実現する人材の確保・育成・定着に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている 実施状況
  標準項目1 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
  標準項目2 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
  評価項目2 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している 実施状況
  標準項目1 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている ×
  標準項目2 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している ×
  評価項目3 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
  標準項目2 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している ×
  標準項目3 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している ×
  標準項目4 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
  評価項目4 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている ×
  標準項目2 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
  標準項目3 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
  標準項目4 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
  サブカテゴリー2  組織力の向上に取り組んでいる
  評価項目1 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
  標準項目2 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
  標準項目3 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
講評
【現状】前回“【5-1-3④】園長主任の職員から相談対応”は改善との認識です。

前回“【5-1-3④】主任クラスの職員は職員からの相談を受けることを目標とします”との表題のもと、「職員への教育に関し、威圧感を考慮して園長は見守りに専念しています。一方、主任クラスの職員は朝礼ではサブに就く職員への指示にも怠りないほど目配せしています。<略>」との目標を設定しました。今回それに対し園長は、「保育や子どものことに関して、気になる事があれば先輩、園長などに質問したり相談をするようになっていると思います」を背景に“改善が進んでいる”との認識です。

【課題】“【5-1-4②】安心して働けるか?”の職員の認知度はダウンしました。

職員アンケートの“【5-1-4②】あなたは安心して働き続けられますか?”の認知度は67%(前回:91%)と大きくダウン、33%が“わからない”と回答しています。今回職場環境に関する職員からの意見はありませんでしたが、評価者は「閉園への不安感が背景にあるのではないか」との推測です。職場の人間関係に関する2項目の“【5-1-4④】園の人間関係は良好ですか?”、“【5-2-1③】チーム活動は進んでいると思いますか?”の認知度は何れも100%、人間関係にはゆがみはありませんでした。

【目標】閉園に伴う職員の異動希望先への個人面談が目標です。

上記したように、もし「閉園への不安感が背景にあるのではないか」との評価者の推測が職員の心情に近いとすると、その不安感を払拭するのが管理職としての重要な務めです。園では間違いなく、閉園後の職場の確保を保障する旨を職員に伝えているでしょう。加えて、評価者は「本人が今後どの様な人生を歩みたいのか、法人内の異動希望先はどこなのか?」について個人面談をすべきとの認識です。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー7  事業所の重要課題に対する組織的な活動
  サブカテゴリー1  事業所の重要課題に対して、目標設定・取り組み・結果の検証・次期の事業活動等への反映を行っている
  評価項目1 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 0才児6名、1才児7名、2才児8名の合計21名定員で平成19年6月に開設した丘の上アンジュ保育園は2年後に閉園することが決まりました。近年の少子化傾向から、多摩センター駅近くの保育園は過当競争気味で園児が集まりにくい状況、また職員不足も影を落とし、近い将来のこころ保育園の建て替えに伴い、統合されることとなりました。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
それではまず現在の在園者数を確認してみましょう。0歳児3名、1歳児5名、2歳児7名の計15名(定員:21名)です。来年度は2歳児7名が卒園してこころ保育園に入園しますが、0歳児の新規の募集はかけません。1歳児、2歳児は定員割れしているため、募集をかけますが、閉園する園への応募がどこまであるのか園長は危惧しています。2年後のこころ保育園への統合に向けて前進したいとの園長の意向です。 
  評価項目2 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 園長は「若い親だけでなく、子育てがよく分からない親も増えているため、通常の送迎時の声かけや気付いた点などを伝えていますが伝わらない」を課題としています。さらに「保護者に伝えても、伝わる人と伝わりきらない人もいます」「自分の家の方針を変えない家庭もあるので、子どもにとっていいことを分かるように伝えていきたい」との目標を設定しました。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
今回の保護者アンケートの全体の満足度は83%(前回:89%)と高位継続でした。“【問15】職員からの保育内容の説明は分かりやすいですか?”の満足度は92%(前回:100%)で継続高位です。しかし今後園長は、「保護者への伝え方や伝える内容を理解できるよう、さらに工夫したい」と考えています。 

Ⅵ サービス提供のプロセス項目(カテゴリー6)

カテゴリー6 サービス提供のプロセス
  サブカテゴリー1 サービス情報の提供
  評価項目1 利用希望者等に対してサービスの情報を提供している 実施状況
  標準項目1 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  標準項目2 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  標準項目3 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  標準項目4 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
講評
【現状】園のしおりやパンフレットなどを通して、園の情報を地域に発信しています。

多摩市役所や関係機関、多摩市保育園父母の会連絡会などに、パンフレットや園のしおり、多摩市の保育園共通書式のチラシなどを置いています。パンフレットは利用希望者を対象としていて年間保育目標などを載せています。チラシは保育目標や保育内容、施設概要、また園の特徴「くう・ねる・あそぶ」についての記載があります。しおりは法人の園長と職員が毎年見直しを行い発行しています。保育の理念、保育目標、給食、一日の過ごし方、年間行事予定などが記載されていて、通園している保護者にも配布をしています。

【課題】利用希望者に対し職員の丁寧な関わりをアピールすることが課題です。

利用希望者の園見学は随時受け付け、園長が対応をしていますが、離乳食やアレルギーについては栄養士や看護師が対応をすることもあります。利用希望者は春から入園申し込みまでが多く、訪問時は園内を案内して、子どもの遊びの様子や自宅の場所などについて話をしています。子どもの遊びの背景には職員の関わりがあります。保護者からは「一人ひとりに対して対応が細やか。少人数保育で職員全員が目をかけてくれている。」との意見が挙がっています。利用希望者に対し職員の丁寧な関わりをアピールすることで、園を選ぶ条件の一つになると考えます。

【目標】ホームページも活用して、園の取り組みを伝えていきましょう。

ホームページは法人全体で作成され、理念や年間保育目標、使命・役割、行事などが記載されています。数年間内容の更新がなく、文字主体となっています。園長はホームページの活用について安全安心に情報提供ができるか懸念をしていましたが、職員が子ども一人ひとりを大切に思い関わっている様子、手作り中心の食事やおやつ、子どもたちの成長発達に合わせた製作物などの画像を掲載することで、園の特徴がより伝わりやすくなると評価者は考えます。利用希望者だけでなく保護者にも、これまで以上の情報提供に繋がっていくでしょう。


  サブカテゴリー2 サービスの開始・終了時の対応
  評価項目1 サービスの開始にあたり保護者に説明し、同意を得ている 実施状況
  標準項目1 サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を保護者の状況に応じて説明している
  標準項目2 サービス内容について、保護者の同意を得るようにしている
  標準項目3 サービスに関する説明の際に、保護者の意向を確認し、記録化している
  評価項目2 サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 サービス開始時に、子どもの保育に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  標準項目2 利用開始直後には、子どもの不安やストレスが軽減されるように配慮している
  標準項目3 サービスの終了時には、子どもや保護者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
講評
【現状】2018年度の課題「系列園への進級」について、改善が進んでいます。

前回の評価では系列園に子どもと保護者が安心して進級できるようにすることが課題になっていましたが、しおりに系列園の行事を載せたり、日々の散歩で一緒に遊んだりすることで、課題の改善に取り組んでいます。今年度はコロナ禍の影響により実施されていないこともありましたが、例年では2歳児クラスを対象に系列園との合同遠足や人形劇の観劇、親子で夏祭りや餅つきに参加して、子どもも保護者も少しずつ慣れていく環境を整えています。保護者に不安があれば早急に系列園との面談にも対応しています。

【現状】保護者が安心して預けられるように、個別に対応をしています。

新入園児の面談は園長と主任の二人体制で行っています。健康に関することは保護者に記入してもらい、その他については聞き取りをして子どもの不安やストレスが軽減できるように対応しています。例えばミルクについては、ミルク・哺乳瓶・乳首が園と家庭で異なる時は要望に応じて家庭と同じ物を用意し、お気に入りのタオルで安心をする姿があれば持参をしてもらうなど、個々の状況に合わせています。また慣れ保育についても保護者の意向に合わせています。これらは全職員に周知され、面談の記録については閲覧ができるようになっています。

【現状】子ども一人ひとりに寄り添った保育を提供しています。

入園後の園と家庭の情報交換は、送迎時の対応と連絡帳などで行っています。連絡帳は一人ひとりの園での生活や遊びの姿などが記載されています。また職員手作りのカバーは、毎年各クラスカラーのカバーに名前を刺繍しています。食事は穀類・野菜・魚介・卵・調味料など11分野に分けた食材表を家庭に記入してもらい、これに沿って家庭で食したものを園で提供するようにしています。2歳児は系列園進級に向けて個別面談を設定していますが、0・1歳児も保護者の要望に応じて随時対応をしています。


  サブカテゴリー3 個別状況の記録と計画策定
  評価項目1 定められた手順に従ってアセスメント(情報収集、分析および課題設定)を行い、子どもの課題を個別のサービス場面ごとに明示している 実施状況
  標準項目1 子どもの心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し把握している
  標準項目2 子どもや保護者のニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  標準項目3 アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
  評価項目2 全体的な計画や子どもの様子を踏まえた指導計画を作成している 実施状況
  標準項目1 指導計画は、全体的な計画を踏まえて、養護(生命の保持・情緒の安定)と教育(健康・人間関係・環境・言葉・表現)の各領域を考慮して作成している
  標準項目2 指導計画は、子どもの実態や子どもを取り巻く状況の変化に即して、作成、見直しをしている
  標準項目3 個別的な計画が必要な子どもに対し、子どもの状況(年齢・発達の状況など)に応じて、個別的な計画の作成、見直しをしている
  標準項目4 指導計画を保護者にわかりやすく説明している
  標準項目5 指導計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  評価項目3 子どもに関する記録が行われ、管理体制を確立している 実施状況
  標準項目1 子ども一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  標準項目2 指導計画に沿った具体的な保育内容と、その結果子どもの状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
  評価項目4 子どもの状況等に関する情報を職員間で共有化している 実施状況
  標準項目1 指導計画の内容や個人の記録を、保育を担当する職員すべてが共有し、活用している
  標準項目2 申し送り・引継ぎ等により、子どもや保護者の状況に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
講評
【現状】2018年度の目標「職員のコミュニケーション」の改善が進んでいます。

前回の評価では職員同士のコミュニケーションから保育の質を向上させることが目標になっていましたが、園長は職員の入れ替わりが少ないことから連携が取りやすくなっていると考えています。また職員アンケートの自由意見にも「アットホームな雰囲気で職員同士の連携が取れている。チームワークがよく、子ども一人ひとりのことを全職員が理解しているので、何かあった時などすぐに相談できる。」という意見が挙がっています。職員がコミュニケーションを取ることは共通認識をもって保育を行えることから、保育の質の向上に繋がっていると考えます。

【現状】指導計画は職員会議で作成見直し、家庭にも周知しています。

指導計画には年間指導計画、各クラスの月案、週案は0・1歳児、個別計画、食育計画、保健計画などがあります。年間指導計画は法人全体で、その他のものは園で立案しています。個別計画は個々の成長発達に合わせて、家庭との情報共有となる連絡帳や送迎時の会話、個別面談で意向を確認した上で作成見直しを行っています。これらの計画は懇談会で資料を配布したり、園だよりやクラスだよりで保育のねらいや内容を伝えたりしています。保護者からは「おたよりに保育目標の記載があるので指標となり、わかりやすい」という意見が挙がっています。

【課題】評価項目6-3-2の職員認知度が2018年度よりも下がりました。

評価項目「全体的な計画や子どもの様子を踏まえた指導計画を作成している」の職員の認知度は2018年度の100%に対して、2021年度は70%に下がりました。各クラスの指導計画はクラス担任が中心となり作成をしているため、直接携わることがない栄養士や看護師が把握できていないかもしれないと園長は考えていました。食育計画や保健計画の作成にも子どもの姿の理解が必要となります。全職員が異なる分野の計画書にも目を向けていくことが大事だと考えます。


  サブカテゴリー4 サービスの実施
  評価項目1 子ども一人ひとりの発達の状態に応じた保育を行っている 実施状況
  標準項目1 発達の過程や生活環境などにより、子ども一人ひとりの全体的な姿を把握したうえで保育を行っている
  標準項目2 子どもが主体的に周囲の人・もの・ことに興味や関心を持ち、働きかけることができるよう、環境を工夫している
  標準項目3 子ども同士が年齢や文化・習慣の違いなどを認め合い、互いを尊重する心が育つよう配慮している
  標準項目4 特別な配慮が必要な子ども(障害のある子どもを含む)の保育にあたっては、他の子どもとの生活を通して共に成長できるよう援助している
  標準項目5 発達の過程で生じる子ども同士のトラブル(けんか・かみつき等)に対し、子どもの気持ちを尊重した対応をしている
  標準項目6 【5歳児の定員を設けている保育所のみ】 小学校教育への円滑な接続に向け、小学校と連携をとって、援助している
講評
【現状】子どもの行動の根拠を考え、成長を援助しています。

一人ひとりの子どもの姿は、保育指針に基づいて職員会議で話し合い、職員間で把握しています。子どもを把握する上での留意点は、子どもが何を考えているか、どう思っているかを職員は考えています。職員会議での話し合いでは、他の職員と子どもへの見方を共有することや、職員みんなの目で子どもを見て、育ちを確認しています。また、『乳児期の子育てを保育の基本として大切に受け止める』や『様々な体験を通して”確かな生きる力”を育てる』との方針を確立するような援助を目指してもいます。

【現状】好きな遊びを選び、存分に遊べる環境設定をしています。

園で大切にしている活動は『子どもたちが主人公』であり、子どもが主体的にあそび、生活し、生きる力を蓄え、楽しく過ごすよう環境を整えています。一人ひとりが好きな遊びを見つけ、じっくり遊べるコーナーを設けています。コーナーは、生活コーナー(指先遊び・パズル等)、造形コーナー、絵本コーナー、想像力を培う積み木コーナーなどがあり、職員は子どもの年齢発達に合った、子どもが好きそうなものを考えた素材を揃えています。安全・安心な環境づくりや、使った玩具類は片付けることを子どもに伝えるとともに、職員も必ず実践しています。

【目標】子どもが何を考えているか、模索しながら保育を進めています。

子どもの思いに寄り添い、子どもが何を考えているか、考えながら保育を進めていますが、さらに職員は、子どもの深い心情まで読み取り、個々の個性をどのように伸ばしたらよいかを思案し、子どもに関わろうとしています。子どもの生きる力を蓄える環境づくりにおいても、手づくりの玩具を増やし、遊びの充実を図ろうとしています。前回課題としていた、手づくり玩具のまとめや精査を職員の学びとして早急に進めたいとしています。園の財産である手づくり玩具の紹介や冊子づくりが楽しみです。

  評価項目2 子どもの生活が安定するよう、子ども一人ひとりの生活のリズムに配慮した保育を行っている 実施状況
  標準項目1 登園時に、家庭での子どもの様子を保護者に確認している
  標準項目2 発達の状態に応じ、食事・排せつなどの基本的な生活習慣の大切さを伝え、身につくよう援助している
  標準項目3 休息(昼寝を含む)の長さや時間帯は子どもの状況に配慮している
  標準項目4 降園時に、その日の子どもの状況を保護者一人ひとりに直接伝えている
講評
【現状】朝夕の子どもや保護者には、心を込めた対応をしています。

登園時や降園時は、当番職員が子どもを迎えたり、送ったりしています。朝の視診では、子どもの顔つきやけがをしていないか、熱はないかなどを観察しています。保護者は、連絡帳に様子を記入したり、園だよりの中でも、分かりやすい「登園前の体調チェックポイント」を示し、保護者に登園時の心身の健康状態の把握に役立ててもらっています。降園時には、「おかえりなさい」の明るい声での挨拶や日中の様子の引き継ぎを行い、子どもの様子を個別に伝えています。保護者との会話では、丁寧で落ち着いた言葉づかいで一言、温かな言葉を添えています。

【現状】家庭との生活のバランスを取り昼寝の時間を考慮しています。

生活習慣では、「早寝・早起き」を大切にしていますが、家庭での生活の上に成り立つ事であり、子どもの健康管理に携わっている看護師は特に早寝・早起きが成長を促し、気持ちの安定を図る大切な習慣づけと認識しています。園での昼寝は、室内は顔の見える明るさにし、室温・湿度にも配慮しています。0歳児、1歳児、2歳児クラスの園の中、クラスの年齢により寝つきの悪い子どももいて、背中をさすったり、落ち着いて安眠できるよう、職員は寝かせつけを工夫しています。早く目覚めた子どもは職員が側につき静かに過ごしています。

【課題】更に根気強く、早寝・早起きの習慣づけを提案しましょう。

近年は、夜寝る時間が遅いという子どもが多くいて、朝が起きれない子どもがいます。遅くまで寝ており、園の昼寝時に寝付けない子どもがいます。『早寝早起き』を重視しており、園では子どもの夜更かしを課題としています。保護者協力の基、就寝時間を早めてもらうことが必要です。家庭での協力を幾度も仰ぎ具体的な取り組み事例まで伝えていますが、家庭の生活パターンを変えるのは難しいようです。しかし、あきらめないで、お便りや保護者会時にも、生活リズムを整えるのがなぜ必要かについて、保護者が納得するよう伝えていってください。

  評価項目3 日常の保育を通して、子どもの生活や遊びが豊かに展開されるよう工夫している 実施状況
  標準項目1 子どもの自主性、自発性を尊重し、遊びこめる時間と空間の配慮をしている
  標準項目2 子どもが、集団活動に主体的に関われるよう援助している
  標準項目3 子ども一人ひとりの状況に応じて、子どもが言葉による伝え合いを楽しみ、言葉に対する感覚を養えるよう配慮している
  標準項目4 子どもが様々な表現を楽しめるようにしている
  標準項目5 戸外・園外活動には、季節の移り変わりなどを感じとることができるような視点を取り入れている
  標準項目6 生活や遊びを通して、子どもがきまりの大切さに気付き、自分の気持ちを調整する力を育てられるよう、配慮している
講評
【現状】言葉の発達を乳児期に大切な育ちとし、習得させています。

乳児期における言葉の習得は、さまざまな発達を促す要因としており、職員は言葉の発達を促すような取り組みをしています。子どもの様子に合わせて、分かりやすく話す、発語を促す、言いたいことを代弁する、子どもとのやりとりも大切にしています。また、子どもの話を聞き、職員が問いかけをする対話を年齢に合わせて行うなど、意識的、意図的に子どもの言葉を引き出す、思いを言葉で出せるよう援助しています。乳児クラスのみの園ですが、子どもはよくしゃべり、他の子どもとの会話もあります。笑い声も響き渡り、楽しく話している様子が伺われます。

【現状】計画性をもった散歩を行ない、保護者も満足しています。

戸外活動で散歩では、『自然に触れて遊ぶ、大きく体を動かして遊ぶ、公共の道での歩き方や社会性を養う』等のねらいを持って天気のよい日はかかさず散歩に出かけています。道端や公園先で、子どもは落ち葉や虫に興味を持ち、様々な虫を見つけて歓喜したり、ドングリや落ち葉をマイかごに入れています。公園に敷き詰めてある土を砂場に見立てて、砂遊びをしてもいます。職員は一緒に遊んだり、危険のないよう見守ったりして、安全な散歩先の遊びを充実させています。散歩マップ図の作成やミニ散歩図はガイドブックにも載せて保護者に知らせています。

【目標】制作に加えて職員の得意分野の音楽リズムも取り入りましょう。

表現活動の一つとして制作活動を、日々行っています。季節の飾り物をつくり玄関に全員の子どもの作品を飾っています。クリスマス飾りでは、リース、ツリー、サンタクロースと、年齢に分け制作し、年齢発達が分かるよう、飾っています。飾る空間を工夫しながらの作品展示です。一方リズム遊びは未着手であり、近年取り入れの声も上がっています。ピアノを得意とする職員もいて、オリジナルなリズム遊びを取り込むことを今後の課題としています。得意なピアノを弾きながら生の音楽リズムの取り入れは、子どものバランスのよい体幹を創る事でしょう。

  評価項目4 日常の保育に変化と潤いを持たせるよう、行事等を実施している 実施状況
  標準項目1 行事等の実施にあたり、子どもが興味や関心を持ち、自ら進んで取り組めるよう工夫している
  標準項目2 みんなで協力し、やり遂げることの喜びを味わえるような行事等を実施している
  標準項目3 子どもが意欲的に行事等に取り組めるよう、行事等の準備・実施にあたり、保護者の理解や協力を得るための工夫をしている
講評
【現状】伝統行事での制作品づくりや、誕生会を楽しみにしています。

乳児期における行事の取り組みとして、日頃の保育の延長線上と位置付けながら、四季折々の伝統行事を行っています。七夕や子どもの日、お月見の会など、季節に合わせた制作品をつくり、飾りながら行事を楽しんでいます。季節行事にちなんだ制作品は、年齢ごとに発達が分かるよう創意工夫があり、乳児園の温かく優しい雰囲気を醸し出しています。毎月の誕生会は集会形式で行い、誕生児を祝うとともに職員の出し物としてパネルシアターやペープサートを子どもに見せ、職員からの出し物のプレゼントに子どもたちは喜び、実演を楽しんでいます。

【現状】ミニ発表会を、年度の集大成として保護者に見せています。

年度の最後の保育参加時において各クラスでは、ミニ発表会を催し、保護者に成長した姿を見せています。0歳児クラスはふれあい遊びの披露を、1歳児クラスは歌と動きを合わせた出し物や散歩の支度を終え、バスごっこに発展させる日頃の活動を物語風にしたものなどを発表しています。2歳児クラスは、子どもの興味を持った絵本などから劇遊びに発展させた演目を披露しています。無理強いしないでの練習を通して、子どもは期待感や緊張感を持ちながらミニ発表会に参加し、終わった後はやり終えた達成感を得ています。

【課題】行事日程の更なる周知や園の特色を行事に取り組んでみてください。

行事の実施の際は、保護者に事前の案内をしたり、年間行事予定を配布したりし、予定日程を知らせています。毎月の園だよりにも月の催し物を掲載しています。しかし、保護者アンケートでは、イベント連絡を一か月半前には知らせてほしいとの意見がでています。月の初めに発行する園だよりに当月と翌月の行事日程を記載するのも解決案かもしれません。また、職員と意見を出し合い決定していますが、ミニ作品展を行事に入れ、今までストックしてある職員の手づくり玩具も一緒に飾り、使い方や対象年齢等を文書でコメントしてみてはいかがでしょうか。

  評価項目5 保育時間の長い子どもが落ち着いて過ごせるような配慮をしている 実施状況
  標準項目1 保育時間の長い子どもが安心し、くつろげる環境になるよう配慮をしている
  標準項目2 保育時間が長くなる中で、保育形態の変化がある場合でも、子どもが楽しく過ごせるよう配慮をしている
講評
【現状】延長保育計画の基、ゆったりとしたひとときを過ごしています。

保育時間の長い子どもに対して、「延長保育計画」を作成し、保育目標や配慮事項などを決めています。『安心してゆっくり過ごす』や『体調・様子に合わせた配慮をする』等を謳っています。18時までは子どもが多い歳児のクラスで過ごしており、その後はワンフロアの室内で行きたい箇所で遊んでいます。部屋全体が落ち着ける環境設定であり、ゆったり過ごせるようになっています。職員は2名で関わり、1対1の対応で、抱っこを求めれば応じ、好きな遊びに夢中になって入れば、寄り添い見守っています。子どもの様子などは延長日誌に記入しています。

【課題】延長保育での保護者就労支援のあり方に考慮の余地があります。

前回の職員アンケート結果より、『延長保育時の職員の対応のバラツキ』について改善し、子どもへの関わり方が工夫され、お迎えの保護者と笑顔で対面し帰宅するようになりました。長時間保育の子どもがその時間を楽しく過ごせるのは職員の関わり方の尽力の成果と思われます。しかし、保護者アンケートでは延長保育の依頼に『きまずい思いをする』とありました。子どもを取り巻く環境が子どもにとってと考えると延長保育のしくみを思案する点もありますが、就労支援の視点から保護者の思いを受け止め、温かく援助することも必要と思われます。

  評価項目6 子どもが楽しく安心して食べることができる食事を提供している 実施状況
  標準項目1 子どもが楽しく、落ち着いて食事をとれるような雰囲気作りに配慮している
  標準項目2 メニューや味付けなどに工夫を凝らしている
  標準項目3 子どもの体調(食物アレルギーを含む)や文化の違いに応じた食事を提供している                                                                                        
  標準項目4 食についての関心を深めるための取り組み(食材の栽培や子どもの調理活動等)を行っている
講評
【現状】子どもが落ち着いて安心して食べれる環境にしています。

落ち着いた環境で食事が摂れるよう、食事コーナーを設定しています。個々の子どもの食べるペースに合わせてグループを分け、少人数で食べています。0歳児クラスは、1対1か1対2で、1歳児クラスは、子どもが5人の時は職員2人で、4人の時は1人で対応していますが、子どもの体調や生活状況に応じて臨機応変にしてもいます。食事介助時、職員は一定場所に座り、落ち着いた態度で子どもの食事の様子を見守ったり、適宜介助したりしています。2歳児クラスは会話もはずみ、もりもりと「おいしいね」と言いながら楽しそうに食べています。

【現状】心を込めたおいしい食事づくりをし、喜んで食しています。

食事提供では、盛り付けや味付け、彩りに拘り、おいしい食事をつくっています。隠し味や茹で方、出し汁の取り方にも配慮しており、園内には出し汁や煮物などのおいしそうな匂いが充満し、食欲をそそっています。子どもへの食育は、食育年間計画に沿って、『食べ物に関心をもち楽しく意欲的に食べる、よい食習慣とマナーを身につける』との目標を実現させています。栄養士はつくる前の素材を子どもに見せたり、匂いをかがせたり、野菜を見せたりと日々の生活の中で食べ物に関心を持つよう働きかけています。心をこめた食事づくりがされています。

【目標】『お母さんの味』として思い出してもらえるような食事づくりをしています。

コロナ禍で保護者の試食もできず、園の食事の美味しさを体験できない状況です。献立の工夫として、おやつにもこだわり、手づくりで小腹にたまるような麺類やほっどドッグ、スープなどを提供しています。スープにクラッカーなど市販の小菓子を付けるなど配慮していますが、保護者にその思いが届いてないこともあります。伝える伝わることの工夫も必要かもしれません。また栄養士は、食事は大きくなっても「お母さんの味」として思い出に残ることを目標に、日々お母さんの味づくりに努めています。

  評価項目7 子どもが心身の健康を維持できるよう援助している 実施状況
  標準項目1 子どもが自分の健康や安全に関心を持ち、病気やけがを予防・防止できるように援助している
  標準項目2 医療的なケアが必要な子どもに、専門機関等との連携に基づく対応をしている
  標準項目3 保護者と連携をとって、子ども一人ひとりの健康維持に向けた取り組み(乳幼児突然死症候群の予防を含む)を行っている
講評
【現状】手洗いやうがいの丁寧に指導し、習慣化させています。

乳児への健康教育は、手洗い指導やうがい指導を行っています。2歳児クラスは、何人かに分けて看護師が側につき、手洗いの仕方を詳しく知らせています。うがい指導は今後行う予定としています。子どもが目で見て手洗いの仕方を身に付けるよう、トイレの手洗い場所に手洗いの仕方を絵で描いた物を貼り、意識づけるようにしています。安全教育では、散歩の都度、道の端を歩くことや、公園で危険な箇所に行かないよう注意をしています。室内環境も整え、安心・安全な環境の中で遊びを楽しむよう配慮しています。

【課題】SIDS予防の取り組み実践を保護者に伝えるとよいでしょう。

園医との関係性がよく、0歳児クラスは毎月健康診断を行い、健康状態を把握しています。看護師も子どもの健康管理を実施しており、毎月の身体測定後はカウプ指数を取り、体重増加や減少の対応の仕方を指導しています。昼寝後検温する子どももいて、個別にかかわっています。毎月保健だよりを発行し、健康に関するニュースを載せています。保護者会で健康に関する話をするものの、園で取り組んでいる、乳幼児突然死症候群予防の対応の仕方や睡眠チェック表をつけていることなどを、在園児の保護者にも簡潔に伝えるとよいでしょう。

【目標】清潔で安心・安全な環境の維持に力を注いでいます。

ワンフロアで仕切りのない園の環境の中、流行性の疾病が蔓延しないよう、細心の注意を払い保育を行っています。特に0歳児クラスは玩具の消毒の徹底や、職員も手洗い・うがいの励行を心がけています。普段から便の処理は、ビニール手袋を使用し、手洗い後はペーパータオルで拭き、感染症の発生を防いでいます。室内は清潔で、整理整頓され、消毒の徹底をし、衛生的で安全な環境を維持することを第一にしています。

  評価項目8 保護者が安心して子育てをすることができるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 保護者には、子育てや就労等の個々の事情に配慮して支援を行っている
  標準項目2 保護者同士が交流できる機会を設けている
  標準項目3 保護者と職員の信頼関係が深まるような取り組みをしている
  標準項目4 子どもの発達や育児などについて、保護者との共通認識を得る取り組みを行っている
  標準項目5 保護者の養育力向上のため、園の保育の活動への参加を促している
講評
【現状】保育参加や個人面談、連絡帳で保護者との繋がりを深めています。

コロナ禍においても、懇談会や保育参加、個人面談など、創意工夫しながら設けています。保育参加は、土曜日とし、9時、9時45分、10時30分と時間差をつけ、年2回行っています。保育内容は、体を使った遊びや朝の会の様子、制作活動などに参加してもらっています。個人面談では面談期間を設け、面談希望日を表に記入してもらっています。2歳児クラスは新年度より姉妹園に行くので、必ず面談を実施しています。保護者との関係性を深めるため、連絡帳を活用しており、個別のエピソードを手に取るように分かりやすく書いています。

【課題】子どもの姿を保護者に伝えるツールを増やしましょう。

保育参加の日を設けていますが、家庭の用事や仕事の都合などでほとんど参加できない家庭もあり、園では時期や参加方法などを検討し、なるべく保護者みんなが参加できるようにしたいと考えています。行事の際のドキュメンテーションを貼りだし、保護者からも好評ですが、今後、1カ月に1回位でも、日常生活の様子を写真に撮り、コメントを入れ貼りだすと、さらに子どもの様子を伝えるツールが充実すると思います。写真を写すことのみに気をとられる保育を進めるのではなく、子どもの素敵なワンシーンを撮る楽しさを職員が感じ取ってください。

  評価項目9 地域との連携のもとに子どもの生活の幅を広げるための取り組みを行っている 実施状況
  標準項目1 地域資源を活用し、子どもが多様な体験や交流ができるような機会を確保している
  標準項目2 園の行事に地域の人の参加を呼び掛けたり、地域の行事に参加する等、子どもが職員以外の人と交流できる機会を確保している
講評
【現状】人との交流が持てない中、公園での触れ合いが唯一の状態です。

コロナ禍以前は、公共のバスに乗り出かける体験を通して、社会性を養うなどの取り組みを行っていました。現況では公園の遊具で遊び、他園の子どもと順番に乗り合ったり、一緒に遊んだりと交流を持つ状況です。一方、散歩に行く際、道行く方と「こんにちは」の挨拶を交わしています。コロナ禍中遠出はできないため、駅前のメインストリートの飾りつけを見に出かけ、さまざまな人と行き違うのみとなっています。

【目標】園の特色を生かした地域の保護者への子育て支援が望まれます。

外部から訪れる方は、見学申し込みの保護者くらいの現状です。園では手づくり玩具が揃っており、クラスだよりで保護者に手づくり玩具を紹介しているクラスもあります。それらの資料を簡潔にまとめ、見学に来た保護者に遊び方の説明も加えて渡すとよいと思われます。家庭でつくれる簡単な手づくり玩具の紹介は、家庭にいる保護者への養育支援の一環となるでしょう。保育園は地域の保護者支援の役割も担っている視点から、取り組みを計画してみてください。


  サブカテゴリー5 プライバシーの保護等個人の尊厳の尊重
  評価項目1 子どものプライバシー保護を徹底している 実施状況
  標準項目1 子どもに関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、保護者の同意を得るようにしている
  標準項目2 子どもの羞恥心に配慮した保育を行っている
  評価項目2 サービスの実施にあたり、子どもの権利を守り、子どもの意思を尊重している 実施状況
  標準項目1 日常の保育の中で子ども一人ひとりを尊重している
  標準項目2 子どもと保護者の価値観や生活習慣に配慮した保育を行っている
  標準項目3 虐待防止や育児困難家庭への支援に向けて、職員の勉強会・研修会を実施し理解を深めている
講評
【現状】2018年度の目標「自然な言葉かけ」について、改善が進んでいます。

前回の評価では子どもを中心に置き、心地よく自然な言葉かけが目標となっていましたが、現在は職員自身が意識をもち留意すると共に、他の職員の言葉かけで気になることがあれば声をかけ合うなど、改善に取り組んでいます。滞在調査時は、職員から子どもへの言葉かけは目線を合わせてゆっくり、はっきり、心地よいトーンで丁寧な言葉を使っていました。保護者アンケートの「職員の言葉遣いは丁寧か」の問いに対して、「はい」と答えた保護者は100%でした。また自由意見には「子どもが丁寧な言葉を覚えてくれる」という好印象の意見もありました。

【現状】子どものプライバシー保護に配慮しています。

園は低年齢の頃から個々の尊厳を大切にして、羞恥心を身につけられるように取り組んでいます。着替えの時は、上衣を脱いだら上衣を着用し、ズボンを脱いだらズボンを穿くなど、全裸にならないことを伝えています。職員間ではオムツ替えの手順やトイレへの誘い方、着替えや清潔についてのマニュアルがあり、職員は共通認識で取り組んでいます。保護者に対しては毎年個人情報に関する規定を確認して、個人情報同意書を用いて保護者の同意を得ています。

【現状】子どもの自主性を尊重した保育を行っています。

園は「個別的な働きかけを大切にして、ゆっくりと子どもの心に寄り添った保育」を目的としています。職員アンケートの「日常の保育の中で子ども一人ひとりを尊重していますか?」の問いに「はい」と答えた職員は100%でした。また保護者も「職員は子どもの気持ちを尊重してくれていますか」の問いに対して2018年度の評価に引き続き、2021年度も100%の満足度でした。これは職員が園の理念や方針などをしっかりと理解して保育を行っているからと評価者は考えます。


  サブカテゴリー6 事業所業務の標準化
  評価項目1 手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  標準項目2 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
  標準項目3 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
  評価項目2 サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  標準項目2 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や保護者等からの意見や提案、子どもの様子を反映するようにしている
講評
【現状】評価項目6-6-1①の職員の認知度は高位でした。

「自立プログラム お世話マニュアル」は、様々な分野においての子どもの姿や職員の対応の仕方が示されています。抱っこやおんぶ、調乳、着替えなどの場面ごとに構成され、例えば「乳児の泣く原因 あやし方」はどのような時に泣くのか、あやす時の心構え、子どもの心情による泣き方の特徴などが記載されています。マニュアルは各職員に配布されていて、またいつでも閲覧ができるように事務室にも保管されています。職員会議でマニュアルの読み合わせをしており、職員の認知度は83%と高位でした。

【課題】2018年度の目標「マニュアルの刷新」は検討中です。

前回の評価で「マニュアルを刷新することが目標」になっていましたが、現在は職員会議でマニュアルの刷新を検討しています。園長は若い年齢層の職員を含め、職員の意見に耳を傾けるようにしています。職員アンケートの自由意見にも「若手の意見を尊重してくれる。」とあることから、若い職員であるからこそ感じる疑問や改善点を積極的に挙げて、より良いマニュアルの改定になるよう、評価者は期待しています。

【目標】マニュアルに職員の意見を反映しましょう。

マニュアルや事業計画の点検、見直し、活用については、職員の認知度が2018年度よりも下がっていました。職員会議などで読み合わせを行っていますが、点検や見直しに対しての職員の意識は低いのかもしれません。園長は職員の意見も取り入れていく考えを持っています。子どもと関わる現場の職員目線の疑問や改善点などを挙げることで、活用の幅が広がっていくと考えます。また会議に参加しない職員や発言の苦手な職員のために、提案書などの手法を考えると良いでしょう。