東京都福祉サービス第三者評価  評価結果





評価結果基本情報

評価年度 令和3年度
サービス名称 指定介護老人福祉施設【特別養護老人ホーム】
法人名称 社会福祉法人アゼリヤ会
事業所名称 みやま大樹の苑
評価機関名称 特定非営利活動法人 日本ライフサポーター協会

コメント

利用者調査は1対1の聞き取り方式で、新型コロナウイルス感染防止対策を施し、利用者が質問内容を理解できるよう丁寧に説明して実施した。
訪問調査の前に、評価者が、利用者調査結果、職員自己分析シート結果と事業所から提出された資料をもとに協議し、質疑の時間を短縮化するため、質問事項等をまとめ、事前に施設側へ伝えた。
訪問調査当日は、利用者の食事場面を見学し、経営層、相談員、介護責任者、管理栄養士から運営やサービスの内容を聴き、書類等で確認した。
これらを踏まえて合議によって評価し、報告書にまとめた。


(内容)
 Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像
 Ⅱ 全体の評価講評
 Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み
 Ⅳ 利用者調査結果
 Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)
 Ⅵ サービス提供のプロセス項目


公益財団法人東京都福祉保健財団
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Ⅰ 事業者の理念・方針、期待する職員像

1 理念・方針  (関連 カテゴリー1 リーダーシップと意思決定)
  事業者が大切にしている考え(事業者の理念・ビジョン・使命など)

1)社会的に弱い立場の側に立った支援を経営理念の根底に据えた活動 2)利用者の人権を守り、利用者の立場に立った福祉事業 3)地域の社会資源の一つとして、必要とされる福祉事業の創設 4)非営利・公益性・公共性の確保、透明性の高い経営 5)終の棲家として最後まで寂しくない看取り介護への取り組み

 
2 期待する職員像  (関連 カテゴリー5 職員と組織の能力向上)
  (1)職員に求めている人材像や役割

≪アゼリヤ会が求めている人材≫ ・自分の業務(しごと)に忠実につくす ・誰にでも依怙贔屓なく応える ・慈しみ深く、清々しい人 ・偉大なる凡人で、衒う事なき人

 
(2)職員に期待すること(職員に持って欲しい使命感)

正直であること、自分の失敗を言えること、謙虚であること、悩んだり迷う時は一度立ち止まること、不安なままで前に進まないこと、相手の目を見て笑顔であいさつできること。 それぞれの職種での専門職としての対応・発言を一人ひとりの職員が自覚すること。 組織としての意識を強く持ち、ホウレンソウをまわすこと。 そして、日常のケアの場面で、入居者や家族の立場で考え、寄り添った対応ができること。

 


Ⅱ 全体の評価講評

全体の評価講評

特に良いと思う点
1 職員が専門職として互いに尊重し、職員の精神的な負担を軽減する働きやすい環境をつくっている

法人理念「社会的に弱い立場の側に立った支援」を意識し、日々の生活支援の中では、ICFの視点でケアしている。入居者の意向満足度を会議で確認し、入居者や家族の視点で課題に取り組んでいる。高齢者の施設生活において、相手の気持ちに寄り添い、「よりよい介護」を目指している。また職員表彰制度があり、職員同士が認め合い、質を高め合う職場環境があり、朝礼時に「職員の行動等を褒める」ことを行っている。お互いに認め合うこと、それを言葉にすることで、一人ひとりのやりがいにつながるよう取り組んでいる。
2 組織としての一体感・チームワークが良好であり、多職種連携し看取り介護を実践している

施設全体で、お互いが専門職として尊重し合い、利用者本位での連携が安定している。コンプライアンスや高齢者の権利擁護・虐待防止の研修には力を入れており、施設内研修のほか外部研修にも積極的に参加している。サービスマナーについても、笑顔で挨拶から始め、相手の気持ちを考え対応することに取り組んでいる。臨床心理士による面談を実施して、職員の精神面での負担軽減と安定につながっている。多職種で看取り介護を実践し、その方らしい最期を迎えられるよう取り組んでいる。終了後支援経過記録をお渡しし、ご家族の気持ちに寄り添っている。
3 入居者が美味しく安全に食べられるよう食形態を工夫し、行事食、誕生祝食等多彩な食事を提供している

「食」は生活の中でも大きな楽しみの一つであるため、楽しく、美味しく、安全に食べることができるよう、適温配膳のほか食事内容も配慮している。入居者の咀嚼・嚥下状態を考慮し多様な食形態を用意している。ソフト食の導入により見た目からも美味しさが伝わるようになった。当初は副菜のみだったが、現在は主食にも導入し幅を広げている。通常の献立のほか、パン等の選択食、季節の行事に合わせた行事食、毎月の誕生祝食、お寿司の日、お楽しみ食事会等多彩な食事を用意し、食事に季節感を取り入れている。

さらなる改善が望まれる点
1 施設機能を生かした地域貢献の取組みをしているが、さらなる発信や周知に期待したい

施設の機能を生かし、地域ニーズに対応した取り組みをしている。地域に出向いて健康体操やレクリエーションなどを行なう介護予防教室や法人で夏休み工作教室を開いている。地域の支援が必要な方へ、食品を無料で提供するフードバンクの活動をしているNPO法人と協力してフードパントリーの取組みをしている。取組みの情報はホームページなどで発信しているが、情報が十分に届いていないことが課題である。利用者や関係者、地域の人の意見や要望を多面的に収集し、さらに利用者や関係者に情報が伝わる取り組みに期待したい。
2 安定したベッド利用率確保のため、地域や居宅介護支援事業所などとの更なる連携強化が望まれる

コロナ禍での感染リスクを抑えながら、ショートステイを長期間利用していただいた。ショートステイの利用率は2.0%と目標を上回った。コロナ禍でのショートステイの活用がベッド利用率の維持に寄与したが、今後も、空床を埋めるため、ショートステイ利用者を確保する必要がある。空床利用型であるため定期利用は難しいが、利用者確保のため、居宅介護支援事業所や入居希望者などと、日々の連絡や定期的なコミュニケーションをより綿密に図り、安定した利用につなげる必要がある。
3 事故防止の意識を高めるため、ヒヤリハットの一層の活用に期待したい

ヒヤリハットは事故に直結してもおかしくない一歩手前の出来事を「発見」するものであり、1件の重大事故の裏には300件のヒヤリハットがあるとされる。このため、報告件数は多いことが推奨される。施設の令和2年度の報告件数は54件であった。ヒヤリハットの段階で対策を強化して事故防止を図るという意識を高めるには、より多くの事例を収集することが求められる。今年度は、報告書の見直しを行い、職員が記入し易い内容に変更している。事故防止の意識を高めヒヤリハットを分析し、事故防止につながる活用に期待したい。

Ⅲ 事業者が特に力を入れている取り組み

1 ★ 利用率の目標の達成など着実な計画の実行に取り組んでいる

施設は安定した利用率と採算性、より良いケアへの取り組みに力を入れている。特養のベット利用率97%、空床利用型ショートステイの利用率0.7%を目標にしている。取り組みとして、毎日朝礼で利用率を確認して職員間の意識を高めている。安定したベッド稼働率を達成するための対策をとっている。また、利用率を維持するため、関係機関との連携を密にするなどショートステイの効率的な利用に努めている。利用率が高まることは、地域の利用したい人の期待に応えるとともに、施設運営の安定化につながるものとして重点的に取り組んでいる。
関連評価項目(着実な計画の実行に取り組んでいる)
2 ★ 施設の利用を高めるため、入居につながる情報を適時・的確に伝えている

ホームページをリニューアルし、入居のご案内で入居までの流れを理解しやすくした。入所申込をすると、定期開催の入所検討委員会で空ベッド数をもとに入居優先順序を検討し待機者リストが決められる。相談員はリスト掲載者に、契約書・重要事項説明書などをもとにサービス内容、利用料等の具体的な説明を行い、できるだけ早く入居できるよう施設の情報を適時・的確に伝えて入居できる環境を整える。退居後の空床が平均5日以上にならないよう短縮化に努めるとともに、空きベッドをショートステイに活用したことが、ベッド利用率の安定維持に繋がった。
関連評価項目(利用希望者等に対してサービスの情報を提供している)
3 ★ 不適切なケア、虐待に関してOJT等を計画的に実施し、入居者の権利擁護に努めている

入居者一人ひとりの生活習慣や価値観をケアプランに反映させ、適切なケアが行われているか個別処遇会議で確認している。また、虐待や不適切なケアの防止を職員に意識付けるため、日々のOJT(職場訓練)のほか年3回以上学習会を開催している。「虐待の芽チェックリスト」を用いた職員アンケートを実施して支援の状況を振り返るほか、多職種で構成する「虐待防止委員会」を定期的に開催し、入居者の権利擁護に努めている。運営会議内で利用者意向満足度を確認し、入居者のケアにつなげている。
関連評価項目(サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している)

Ⅳ 利用者調査結果

調査概要
調査対象:利用者の総数は113名であったが、聞き取り調査が可能な20名を対象にした。内訳は、男性2名、女性18名で、年齢は70歳代が2名、80~84歳が5名、85~89歳が5名、90歳以上が8名で、要介護度1が1名、2が9名、3が7名、4が3名であった。

調査方法:聞き取り方式  
利用者の日常生活を大きく変えることなく、新型コロナウイルス感染防止対策を施した場所での聞き取り調査を、職員の協力を得て行なった。3名の評価者が1対1で面会し、質問項目が利用者に理解しやすいよう利用者の状態に合わせて丁寧に説明をして回答を得た。

利用者総数 113人
アンケートや聞き取りを行った人数 20人
有効回答者数 20人
回答者割合(%) 17.7%

総括
総合的な評価の質問に対して「大変満足」が1名(5%)、「満足」が12名(60%)で、二つを合わせた「満足」評価が13名(65%)になっている。「どちらともいえない」が6名、「不満」が1名であった。 個々の評価項目で最も評価の高かった設問は、「2.日常生活で必要な介助を受けているか」「5.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか」「6.職員の接遇・態度は適切か」「10.利用者のプライバシーは守られているか」が90%で、次いで「4.職員は、日常的に健康状態を気にかけているか」「8.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか」「13.利用者の不満や要望は対応されているか」が85%であった。 一方、低かった設問は、「14.外部の苦情窓口にも相談できることを伝えられているか」が25%、次いで「11.個別の計画作成時に、利用者や家族の状況や要望を聞かれているか」「12.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか」が35%であった。 日頃感じる意見として、「お稲荷さんを食べたい、とお願いすると、作ってくれる」、「皆、いい人だから、今のところ不満は無い」、「このままお世話になりたい」などがあった。

利用者調査結果

1.食事の献立や食事介助など食事に満足しているか
はい 16人  どちらともいえない 2人  いいえ 2人  無回答・非該当 0人 
・おいしい。好き嫌いが無い。・今の状態で十分です。・肉は嫌いで、それ以外は何でも食べている。・事前のヒヤリングで、嫌いなものは出ない。・チャーハンはおいしい。魚が多い。刺身が食べたい。 ・おいしいものを食べたい。刺身などさっぱりしたものが食べたい。・おいしくない。
2.日常生活で必要な介助を受けているか
はい 18人  どちらともいえない 0人  いいえ 2人  無回答・非該当 0人 
・トイレは手伝ってもらっている。・今のところ、自分でできている。親のしつけが厳しかったので、できるだけ人の手助けをしてもらわないで、やろうとする性格になった。・自分でできている。(3人)・自分でやるようにしている。
3.施設の生活はくつろげるか
はい 13人  どちらともいえない 6人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
・だいたい、自分のしたいことをしている。・習字、生け花などに参加している。・皆、仲良くやっている。
4.職員は日常的に、健康状態を気にかけているか
はい 17人  どちらともいえない 1人  いいえ 2人  無回答・非該当 0人 
・心配してくれている。・親切に、看てくれている。・具合が悪ければ、自分から言う。
5.施設内の清掃、整理整頓は行き届いているか
はい 18人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
・汚した時は、すぐに対応してくれる。・何の不満もない。・普通です。
6.職員の接遇・態度は適切か
はい 18人  どちらともいえない 2人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
・言葉遣いや態度は、良いです。・別に嫌な思いはしない。・問題ない。 ・適切とまでは、言えない。
7.病気やけがをした際の職員の対応は信頼できるか
はい 15人  どちらともいえない 4人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
・やっていただけると思う。・安心している。 ・元気なので、考えたことが無い。・信頼できるとまでは、言えない。
8.利用者同士のトラブルに関する対応は信頼できるか
はい 17人  どちらともいえない 2人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
・利用者同士のトラブルは無い。・トラブルを経験したことが無い。・皆さん、いい人だから、今のところ、いさかいやいじめは無い。・おおぜいの人に関わることはしないで、親しい人とだけ接するようにしている。トラブルはない。万が一、トラブルがあった場合は、職員に話をする。・トラブルは無い。 ・よくわからない。
9.利用者の気持ちを尊重した対応がされているか
はい 12人  どちらともいえない 7人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
・職員から、嫌な思いをしたことが無い。・習字や生け花の時は、声をかけてくれる。・親切で、いろいろやってくれる。
10.利用者のプライバシーは守られているか
はい 18人  どちらともいえない 1人  いいえ 1人  無回答・非該当 0人 
・プライバシーを侵すようなことはしていないと思う。・プライバシーを守ってくれていると思う。
11.個別の計画作成時に、利用者や家族の状況や要望を聞かれているか
はい 7人  どちらともいえない 6人  いいえ 7人  無回答・非該当 0人 
・よくわからない。・考えたことが無い。・長女が聞いていると思う。
12.サービス内容や計画に関する職員の説明はわかりやすいか
はい 7人  どちらともいえない 9人  いいえ 4人  無回答・非該当 0人 
・よくわからない。
13.利用者の不満や要望は対応されているか
はい 17人  どちらともいえない 3人  いいえ 0人  無回答・非該当 0人 
・部屋付きの担当者に言う。・好きな職員には、不満や要望を言える。・自分で、頑張っている。・自分でできているので、頼むことは無い。甘えられない性分。・言いたいことを、言っている。・担当の人がわからない。誰かに頼めばやってくれると思う。・何かあれば、相談する。・今のところ、お願いすることは無い。 ・要望したことが無いので、分からない。・言ってもしょうがない。
14.外部の苦情窓口(行政や第三者委員等)にも相談できることを伝えられているか
はい 5人  どちらともいえない 4人  いいえ 11人  無回答・非該当 0人 
・聞いたことはある。

Ⅴ 組織マネジメント項目(カテゴリー1~5、7、8)

※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー1  リーダーシップと意思決定
  サブカテゴリー1  事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)を周知している 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、職員の理解が深まるような取り組みを行っている
  標準項目2 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)について、利用者本人や家族等の理解が深まるような取り組みを行っている
  評価項目2 経営層(運営管理者含む)は自らの役割と責任を職員に対して表明し、事業所をリードしている 実施状況
  標準項目1 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任を職員に伝えている
  標準項目2 経営層は、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けて、自らの役割と責任に基づいて職員が取り組むべき方向性を提示し、リーダーシップを発揮している
  評価項目3 重要な案件について、経営層(運営管理者含む)は実情を踏まえて意思決定し、その内容を関係者に周知している 実施状況
  標準項目1 重要な案件の検討や決定の手順があらかじめ決まっている
  標準項目2 重要な意思決定に関し、その内容と決定経緯について職員に周知している
  標準項目3 利用者等に対し、重要な案件に関する決定事項について、必要に応じてその内容と決定経緯を伝えている
講評
理念や方針は職員にマナーガイドブックなどで周知し、家族懇談会で家族に伝えている

法人は「社会的に弱い立場の人に寄り添う」ことを設立理念とし、現在は地域において各施設の持つ機能を生かし、さまざまなニーズに対応する社会資源のひとつとしてしての役割を積極的に担っていくことを理念にしている。職員一人ひとりに配付しているマナーガイドブックに理念を明記して周知している。また、事業計画を検討する職員会議で理念や方針を確認し、年度当初の職員会議で施設長が職員に話している。入居者家族には、ホームページやパンフレットで広く伝えるとともに、年度はじめの家族懇談会で事業計画の説明と合せて伝えている。

施設長や経営層は会議や委員会に参加して事業運営をリードしている

法人の組織図、施設の組織図は事業計画に明記され、施設長、施設事務長、介護支援課長等の役割、責任、職務権限を明確にし、組織的な取組み体制を整えている。施設長及び管理職は法人内の管理職会議、八王子施設長会議等に参加し、その内容を施設の経営層などで構成する運営会議で伝えるとともに、自らの役割を明らかにしている。経営層は、施設内の栄養ケアマネジメント会議、感染症対策委員会などに参加し、職員の意見を尊重しながら事業運営をリードするとともに、随時施設内を回り、入居者や職員の意見を聞くなど、状況把握に努めている。

ボトムアップ方式を採り入れ、各部署の検討内容を踏まえて重要事項を決定している

施設の重要事項は運営会議で検討して決定している。決定に際しては、ボトムアップ方式を採り入れ、各部署、各委員会の意見や検討内容を踏まえている。決定した内容は、その過程を含めて、職員会議や朝礼で伝えるとともに、施設内の情報システムの共用掲示板を活用して周知している。また、急いで周知が必要なときなどは、臨時職員会議を開催している。入居者・家族に関わる事項は、文書によって伝えている。また、入居者の定例懇談会、家族会の機会に説明するとともに、施設の広報誌「こもれび」に掲載して知らせている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー2  事業所を取り巻く環境の把握・活用及び計画の策定と実行
  サブカテゴリー1  事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している
  評価項目1 事業所を取り巻く環境について情報を把握・検討し、課題を抽出している 実施状況
  標準項目1 利用者アンケートなど、事業所側からの働きかけにより利用者の意向について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目2 事業所運営に対する職員の意向を把握・検討している
  標準項目3 地域の福祉の現状について情報を収集し、ニーズを把握している
  標準項目4 福祉事業全体の動向(行政や業界などの動き)について情報を収集し、課題やニーズを把握している
  標準項目5 事業所の経営状況を把握・検討している
  標準項目6 把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、事業所として対応すべき課題を抽出している
  サブカテゴリー2  実践的な計画策定に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画及び単年度計画を策定している 実施状況
  標準項目1 課題をふまえ、事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた中・長期計画を策定している
  標準項目2 中・長期計画をふまえた単年度計画を策定している
  標準項目3 策定している計画に合わせた予算編成を行っている
  評価項目2 着実な計画の実行に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していること(理念・ビジョン、基本方針など)の実現に向けた、計画の推進方法(体制、職員の役割や活動内容など)、目指す目標、達成度合いを測る指標を明示している
  標準項目2 計画推進にあたり、進捗状況を確認し(半期・月単位など)、必要に応じて見直しをしながら取り組んでいる
講評
入居者・家族、職員、地域の情報を把握し、運営会議で課題を分析している

入居者の意向は定例懇談会を毎月開催し、また、食事アンケートを実施して把握している。職員の意向は職員会議や施設長との人材育成シートの個別面談の機会に把握している。地域の福祉ニーズは、施設運営法人が実施する地域関係打合せに参加し、町会長、民生委員などから出される意見や要望などによって把握している。施設を取り巻く動向は、ウェルフェアレポート、福祉新聞の購読・東社協総会に参加するなどして情報を得ている。収集した情報は、施設運営に関わる課題を運営会議で分析検討している。

前年度事業の振り返りや入居者・家族の意向などを踏まえて事業計画を策定している

法人に各施設が事業を進めるための中長期計画書があり、施設は中長期計画書に沿って事業計画を策定している。事業計画書の作成は、前年度の振り返り、入居者・家族の意向、施設を取り巻く状況などを踏まえている。計画には、施設の利用率97%を堅持すること、ショートステイ利用率0.7%を達成すること、相手の気持ちをしっかり考えるケアの質を高めること、特に必要な職員を確保することなど人材育成と地域交流活動をすることを重要な項目としている。部門ごとに計画を策定し、それに合わせて予算を編成している。

利用率の維持向上など重要な課題の進捗状況は運営会議で把握している

事業計画書には目標達成率のほかに各部門の目標と取り組み内容を数字など使って明示し、進捗状況を把握しやすくしている。施設の重点課題である利用率は、その達成目標が達成されているかを毎日のミーティングで確認し、維持向上や低下につながることがないかの情報を共有している。各部門でも進捗状況を把握し、また、状況の変化に応じて必要な見直しをし、その状況は運営会議に報告している。運営会議では、利用率など全体的な事項の進捗を把握し、また、施設長及び管理職が法人管理職会議に施設の進捗状況を報告している。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー3  経営における社会的責任
  サブカテゴリー1  社会人・福祉サービス事業者として守るべきことを明確にし、その達成に取り組んでいる
  評価項目1 社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理などを周知し、遵守されるよう取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 全職員に対して、社会人・福祉サービスに従事する者として守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などを周知し、理解が深まるように取り組んでいる
  標準項目2 全職員に対して、守るべき法・規範・倫理(個人の尊厳を含む)などが遵守されるように取り組み、定期的に確認している。
  サブカテゴリー2  利用者の権利擁護のために、組織的な取り組みを行っている
  評価項目1 利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えている 実施状況
  標準項目1 苦情解決制度を利用できることや事業者以外の相談先を遠慮なく利用できることを、利用者に伝えている
  標準項目2 利用者の意向(意見・要望・苦情)に対し、組織的に速やかに対応する仕組みがある
  評価項目2 虐待に対し組織的な防止対策と対応をしている 実施状況
  標準項目1 利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動、虐待が行われることのないよう、職員が相互に日常の言動を振り返り、組織的に防止対策を徹底している
  標準項目2 虐待を受けている疑いのある利用者の情報を得たときや、虐待の事実を把握した際には、組織として関係機関と連携しながら対応する体制を整えている
  サブカテゴリー3  地域の福祉に役立つ取り組みを行っている
  評価項目1 透明性を高め、地域との関係づくりに向けて取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 透明性を高めるために、事業所の活動内容を開示するなど開かれた組織となるよう取り組んでいる
  標準項目2 ボランティア、実習生及び見学・体験する小・中学生などの受け入れ体制を整備している
  評価項目2 地域の福祉ニーズにもとづき、地域貢献の取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 地域の福祉ニーズにもとづき、事業所の機能や専門性をいかした地域貢献の取り組みをしている
  標準項目2 事業所が地域の一員としての役割を果たすため、地域関係機関のネットワーク(事業者連絡会、施設長会など)に参画している
  標準項目3 地域ネットワーク内での共通課題について、協働できる体制を整えて、取り組んでいる
講評
職員が守るべきことをわかりやすくしたマナーガイドブックで周知している

法人は「相手を思いやり、励まし合い、気持ちのよい、職場環境を目指す」ためのマナーガイドブックを作成している。そこには、あいさつ、身だしなみ・服装、言葉づかい、電話対応、環境整備、組織人としてのコンプライアンスの要点をイラストにするなど職員が一目で理解できるように工夫がされている。マナーガイドブックは職員一人ひとりに配布して周知を図っている。また、高齢者虐待防止法などに沿って、不適切ケア虐待の芽チェックリストを用いて職員行動の振返りや、研修の中に採り入れて、法・規範・倫理が守られているかの確認をしている。

入居者・家族の意見や要望を貴重な機会ととらえて速やかに対応している

入居者・家族の意見や要望は貴重なものとし、入居者懇談会、家族会で出された意見や要望はその場で応えており、困難な時は職員会議などで検討して結果を速やかに伝えている。苦情に関しては、法人の苦情解決システムに則って適切かつ迅速な対応に努めることとし、苦情受付担当者、苦情解決責任者、さらに、施設職員以外の第三者委員や市役所にもできることを、入所時の重要事項説明書で説明し、施設内に掲示している。また、新型コロナウイルスで来苑が制限されているが、訪問ふれあい員にも相談などができることを定例懇談会の機会に伝えている。

地域に出向き介護予防教室、健康体操、レクリエーションなどを実施している

施設の持つ機能を生かし、さまざまなニーズに対応する社会資源の一つとしてしての役割を積極的に担っていくことを理念にしている。その実現に向けて、地域に出向き介護予防教室、健康体操、レクリエーションを行ない、また、法人地域交流活動に参加し、夏休み工作教室を開催している。ネットワークに参加し、市の介護事業者連絡会、八王子施設長会などに出席し、また、地域医療体制づくりとして八王子高齢者緊急医療体制広域連絡会に積極的に参画している。地域とは災害活動相互応援協定に基づいた訓練に参加するなどして良い関係をつくっている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー4  リスクマネジメント
  サブカテゴリー1  リスクマネジメントに計画的に取り組んでいる
  評価項目1 事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所が目指していることの実現を阻害する恐れのあるリスク(事故、感染症、侵入、災害、経営環境の変化など)を洗い出し、どのリスクに対策を講じるかについて優先順位をつけている
  標準項目2 優先順位の高さに応じて、リスクに対し必要な対策をとっている
  標準項目3 災害や深刻な事故等に遭遇した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定している
  標準項目4 リスクに対する必要な対策や事業継続計画について、職員、利用者、関係機関などに周知し、理解して対応できるように取り組んでいる
  標準項目5 事故、感染症、侵入、災害などが発生したときは、要因及び対応を分析し、再発防止と対策の見直しに取り組んでいる
  サブカテゴリー2  事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている
  評価項目1 事業所の情報管理を適切に行い活用できるようにしている 実施状況
  標準項目1 情報の収集、利用、保管、廃棄について規程・ルールを定め、職員(実習生やボランティアを含む)が理解し遵守するための取り組みを行っている
  標準項目2 収集した情報は、必要な人が必要なときに活用できるように整理・管理している
  標準項目3 情報の重要性や機密性を踏まえ、アクセス権限を設定するほか、情報漏えい防止のための対策をとっている
  標準項目4 事業所で扱っている個人情報については、「個人情報保護法」の趣旨を踏まえ、利用目的の明示及び開示請求への対応を含む規程・体制を整備している
講評
入居者一人ひとりのリスクアセスメント表を作成して事故防止に努めている

リスクを洗い出し、優先順位の高さに応じた対策をとっている。事業継続計画(BCP)、消防計画、土砂・水害対策等の計画書を作成している。策定には指導職が責任をもって関わり、ケアの質の向上や改善につなげている。計画書やマニュアルは各部署に配布し、また、入居者一人ひとりのリスクアセスメント表を作成して事故防止を図っている。事故報告書には、現状がわかりやすいよう写真を添付し、背景や要因を分析し、また、事故報告やヒヤリハット報告を集計、分析し、集計結果を各部署へフィードバックし、再発防止に活用している。

新型コロナウイルス対策の徹底と入居者家族の協力により、感染者が確認されていない

感染症対策は、年間を通し標準的な予防対策を行っていたが、令和2年2月から新型コロナウイルス対策に重点的に取り組んでいる。緊急事態宣言や感染状況に関する情報の収集、感染防止に対する行政などからの通知を受けて、施設内の感染症対策を実施している。消毒、手洗い、マスクの徹底と発熱職員には医師の判断を得てから勤務をすることなどを徹底している。また、入居者家族には状況を丁寧に説明し、面会制限などの理解と協力を得て実施している。対策の徹底と入居者家族の理解と協力によって、施設内の感染者が確認されていない。

情報の職員間の共有と活用がされやすいよう情報システムを導入している

個人情報保護の基本方針などを定めている。職員などが理解するための取り組みとして、新任職員のオリエンテーションや職員会議での研修を実施している。また、職員の入職時やボランティアの活動開始前に個人情報保護の説明のうえ誓約書をとっている。収集した情報は、支援に活用しやすく、また職員間での共有がされやすいよう二種類の情報システムを導入している。施設の管理的な情報や法人内の情報の共有を図るものと、介護の日誌や支援の統計に関する介護システム支援のものとに分けられ、それぞれ情報保護に必要なアクセス制限を設定している。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー5  職員と組織の能力向上
  サブカテゴリー1  事業所が目指している経営・サービスを実現する人材の確保・育成・定着に取り組んでいる
  評価項目1 事業所が目指していることの実現に必要な人材構成にしている 実施状況
  標準項目1 事業所が求める人材の確保ができるよう工夫している
  標準項目2 事業所が求める人材、事業所の状況を踏まえ、育成や将来の人材構成を見据えた異動や配置に取り組んでいる
  評価項目2 事業所の求める人材像に基づき人材育成計画を策定している 実施状況
  標準項目1 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)が職員に分かりやすく周知されている
  標準項目2 事業所が求める職責または職務内容に応じた長期的な展望(キャリアパス)と連動した事業所の人材育成計画を策定している
  評価項目3 事業所の求める人材像を踏まえた職員の育成に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 勤務形態に関わらず、職員にさまざまな方法で研修等を実施している
  標準項目2 職員一人ひとりの意向や経験等に基づき、個人別の育成(研修)計画を策定している
  標準項目3 職員一人ひとりの育成の成果を確認し、個人別の育成(研修)計画へ反映している
  標準項目4 指導を担当する職員に対して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている
  評価項目4 職員の定着に向け、職員の意欲向上に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 事業所の特性を踏まえ、職員の育成・評価と処遇(賃金、昇進・昇格等)・称賛などを連動させている
  標準項目2 就業状況(勤務時間や休暇取得、職場環境・健康・ストレスなど)を把握し、安心して働き続けられる職場づくりに取り組んでいる
  標準項目3 職員の意識を把握し、意欲と働きがいの向上に取り組んでいる
  標準項目4 職員間の良好な人間関係構築のための取り組みを行っている
  サブカテゴリー2  組織力の向上に取り組んでいる
  評価項目1 組織力の向上に向け、組織としての学びとチームワークの促進に取り組んでいる 実施状況
  標準項目1 職員一人ひとりが学んだ研修内容を、レポートや発表等を通じて共有化している
  標準項目2 職員一人ひとりの日頃の気づきや工夫について、互いに話し合い、サービスの質の向上や業務改善に活かす仕組みを設けている
  標準項目3 目標達成や課題解決に向けて、チームでの活動が効果的に進むよう取り組んでいる
講評
施設に必要な職員は、採用や法人内の事業所間異動をして確保している

職員採用は求人サイト、ハローワーク、ホームページを活用し、法人が中心に行っている。介護職員は確保されているが、看護師の採用が厳しくなり、特養の医療ニーズは更に高まっていくなかで、看護師の確保が大きな課題になってくる。また、施設に必要な職員は、法人内の施設間異動をしている。異動は多様な知識の習得・経験の蓄積が得られる機会と捉え昇進などと連動させ、今年度は介護副主任が他施設に異動し、その後任を施設内で昇進させている。また、職責に応じたキャリアパスを導入し、制度や内容などを職員会議で説明して周知を図っている。

人材育成シートの活用と計画的な研修などによって職員の育成をしている

職員の育成は人材育成シートを活用している。職員が業務目標、能力アップ目標とその達成方法とスケジュールを記入し、上司との面談をする。そして取り組み後の自己評価をし、上司との面談をとおして、職員一人ひとりの意向を把握し育成につなげている。また、職員の育成のために研修を計画的に実施している。外部研修の参加は本人の意向を踏まえて決定している。施設内研修は、全員が参加できるようミニ学習会を複数回実施している。また、新人教育はチューター制を取り入れるなど多様な方法で職員育成に努めている。

働きやすい環境をつくるとともに職員の良い点を積極的に評価して意欲を高めている

衛生委員会で休暇取得の状況把握とストレスなどの確認している。臨床心理士を導入し職員のメンタルヘルスケアに配慮し、職場などで話せないことなどにも応えている。必要に応じて衛生管理者も関わり、ストレスを軽減するなど職員が健康で安心した職場環境をつくっている。職場のチームワークをとり、外部研修で得た知識など部所を越えて共有し、また、お互いの良い点を伸ばす取組みをしている。毎日の朝礼の中で「誰かを褒める」ことをし、さらに、職員表彰制度を設けて職員の良い点を積極的に評価し、職員の意欲を高めている。


※実施あり:、実施なし:×、非該当:-  
カテゴリー7  事業所の重要課題に対する組織的な活動
  サブカテゴリー1  事業所の重要課題に対して、目標設定・取り組み・結果の検証・次期の事業活動等への反映を行っている
  評価項目1 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その1)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 【目標】
財政の安定化のため利用率の維持向上、介護保険収入の確保、支出面でのコスト削減に取り組むことを重要な課題にしている。利用率を向上させることが社会資源として施設が果たす役割であり、また、利用率が収入に影響することが背景にある。
【取り組み】
利用率は、毎日朝礼で確認し、職員間の意識を高め、入院状況を確認して入居者が少なくならない取り組みをした。また、ショートステイの継続利用者が長期利用につながるよう取り組みをした。感染症対策に力を入れ、新型コロナウイルス対策に配慮しながら入所を進めた。節約委員会では、主に電気の使用量を下げる取り組みを施設全体で集中して取り組んだ。
【取り組みの結果】 
利用率は入院者の長期化と退居者が多かったことで目標は達成できなかったが、ショートステイは、長期利用を進めたことなどで、目標を大幅に上回った。新型コロナウイルスの対策を強化し、感染者の確認がなかった。節約は電気使用量を低く抑える状態を維持した。
【振り返り・今後の方向性】
収入の確保と支出の抑制し安定した運営を継続して、入居者が安心して過ごせる施設を目指すとしている。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
利用率を高めることは、入所を待っている人のニーズに応えるもので、社会的に意義のあることである。取り組みに際しては具体的に達成目標を掲げて、職員間で確認をするなど、目標を共にしている。入居者が入院になると利用率に影響することから、入居者の状態を十分に把握し、入居者の意向を踏まえた入院と、その後の対応を職員間での連携を密にして空き状態を少なくしている。また、利用率を高めていくためにショートステイの継続利用は入所につなげたり、待機者がスムーズに入所となるよう関係機関などとの連携を図っている。利用率を向上させることは財政の安定化に資するとともに、入所を待っている人に応えることを目指して、職員が情報を共有し一体となった取組みが評価できる。 
  評価項目2 事業所の理念・基本方針の実現を図る上での重要課題について、前年度具体的な目標を設定して取り組み、結果を検証して、今年度以降の改善につなげている(その2)
前年度の重要課題に対する組織的な活動(評価機関によるまとめ) 【目標】  
介護の基本である相手の気持ちに合わせるサービスの定着のため、より良いケアに向けて行動すること、また、職員が権利擁護の意識を高め、思いやりと心配りのできる接遇に重点を置いている。
【取り組み】 
サービスマナー委員会で良いケアに向けた行動に対する課題整理をした。ユニフォームや接遇マナー向上に向けての取り組み、法人で作成したマナーガイドブックを基に日頃の対応の確認や注意喚起をした。コンプライアンスや権利擁護の視点での学習会やOJTの取り組みをした。気づきを声に出すこと、不適切な対応になる前に声を上げ問題提起すること、立ち止まって考えることを研修などで学んだ。サービスを受ける側を意識して状況に相応しい立ち居振る舞いを身に付けることに取り組んだ。
【取り組みの結果】 
不適切な行動については言い合える環境もできつつある。コンプライアンスや権利擁護の視点での取り組みは、身近な問題として捉えられている。
【振り返り・今後の方向性】  
より良いケアに向けて、サービスの質を高めること権利擁護やコンプライアンスの推進のための職員の意識を高め福祉現場における接遇マナーの向上と定着を目指している。
評語
目標の設定と取り組み 具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組みを行った
取り組みの検証 目標達成に向けた取り組みについて、検証を行った
検証結果の反映 次期の事業活動や事業計画へ、検証結果を反映させた
【講評】
職員が参加し、自らとる行動をマナーガイドブックにしている。「相手を思いやり、励まし合い、気持ちのよい、職場環境を目指す」気持ちを持ってマナーガイドブックが作られている。職員がとるべき行動は、イラストを用いて、また、強調したい文字を大きくしたり、色を変えるなどして、新たな職員にも理解しやすいものにしている。また、不適切な対応になる前に声を上げ問題提起することや、立ち止まって考えることにも取り組んでいる。入居者本位の視点で相手の気持ちをしっかりととらえて支援することは、入居者家族の信頼につながるもので評価でき、継続的な取組みに期待したい。 

Ⅵ サービス提供のプロセス項目(カテゴリー6)

カテゴリー6 サービス提供のプロセス
  サブカテゴリー1 サービス情報の提供
  評価項目1 利用希望者等に対してサービスの情報を提供している 実施状況
  標準項目1 利用希望者等が入手できる媒体で、事業所の情報を提供している
  標準項目2 利用希望者等の特性を考慮し、提供する情報の表記や内容をわかりやすいものにしている
  標準項目3 事業所の情報を、行政や関係機関等に提供している
  標準項目4 利用希望者等の問い合わせや見学の要望があった場合には、個別の状況に応じて対応している
講評
パンフレットの他、行事の様子などを美しい写真で紹介した広報誌を地域に配布している

利用希望者に向けて、カラー刷りのパンフレットで施設の基本方針・生活援助の内容・建物設備などの情報を提供している。「こもれび」を年3回発行し、800部を利用者家族、居宅介護支援事業所・市民センター・ボランティアなど地域に配布している。これは、A4版4ページの広報誌で、長寿と健康を祝う会、クリスマス会、お花見会、納涼祭などの行事の様子を、入居者の笑顔とともに美しい写真とコメントで紹介するほか、時期に応じて旬のおすすめレシピ、地域との交流などの記事を載せている。バックナンバーは、ホームページで見ることができる。

ホームページをリニューアルし入所要件・利用料金・入居の流れなどを分かりやすくした

ホームページをリニューアルし、スマートフォン対応にして、お知らせ・入居のご案内などの内容を充実した。お知らせは毎月更新し、入居のご案内は、入所要件・利用料金・入居の流れ・入居の相談問い合わせ・よくある質問を掲載している。利用料金では「料金の目安を知りたい」という欄があり、項目にチェックを入れると施設サービス費自己負担分の月額が、金額表示される。要介護度・各段階別の利用料金一覧表を掲載する施設は多いが、施設では要介護度、介護保険負担割合、介護負担限度額にチェックすれば月額の目安が分かる仕組みになっている。

施設見学の要望には、生活相談員等が日曜祭日でもできるだけ対応するようにしている

利用希望者等の問合せや見学の要望があった場合は、生活相談員や介護支援専門員が、日曜や祝祭日でもできるだけ要望に合わせて対応している。見学や入居希望の方には、主に生活相談員がパンフレット等により施設内を案内するとともに、苑の運営方針やケアの内容、入居までの流れ、生活や費用について具体的な説明をし、必要に応じて入所申込書を渡している。電話相談についても相談者の課題を的確に把握し、具体的なアドバイスや提案をしている。施設での利用が困難と思われるケースにおいては、他の福祉機関や医療機関のサービス情報を伝えている。


  サブカテゴリー2 サービスの開始・終了時の対応
  評価項目1 サービスの開始にあたり利用者等に説明し、同意を得ている 実施状況
  標準項目1 サービスの開始にあたり、基本的ルール、重要事項等を利用者の状況に応じて説明している
  標準項目2 サービス内容や利用者負担金等について、利用者の同意を得るようにしている
  標準項目3 サービスに関する説明の際に、利用者や家族等の意向を確認し、記録化している
  評価項目2 サービスの開始及び終了の際に、環境変化に対応できるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 サービス開始時に、利用者の支援に必要な個別事情や要望を決められた書式に記録し、把握している
  標準項目2 利用開始直後には、利用者の不安やストレスが軽減されるように支援を行っている
  標準項目3 サービスの終了時には、利用者の不安を軽減し、支援の継続性に配慮した支援を行っている
講評
事前面接時に重要事項を説明し、入居時に契約書類とケアプランに同意・署名を得ている

各自治体の入所指針、施設の入所指針に基づいて、入所申込者の入所の必要性を点数化したものと、生活相談員の事前面接をもとに、入居検討委員会で審査を行い、入居の可否と順序を決定する。利用者・家族への事前面接では、生活習慣・趣味などと入居後の要望を尋ねるとともに、施設の生活の様子・生活上のルール・利用料金等の重要事項を説明する。入居日時が決まった段階で、施設の介護支援専門員が施設サービス計画書(ケアプラン)を作成し、入居日に契約書、重要事項説明書とともにケアプランの内容を確認のうえ、署名・押印をいただいている。

入居後1週間は、多職種が積極的に声を掛けるなどして入居時の不安を軽減している

生活相談員は事前に家庭や入院先の病院等を訪問し、本人・家族や病院等の関係職員から入居希望者の心身の状態や生活状況、意向等を聞き取っている。入居時から適切なサービスが受けられるよう、聞き取った情報を事前面接記録に記し、関係部署に配付してケアプランの作成に繋げている。入居時の不安を軽減するため、入居から1週間を要観察期間とし、多職種が積極的に声を掛けるなどして入居者の状況を記録している。在宅からの入居には施設見学やショートステイの利用を勧め、入居後の生活をイメージしていただき不安が軽減されるよう配慮している。

入院、看取り介護などサービス終了時の入居者の不安を軽減するよう努めている

在宅復帰、医療機関へ入院等で退居が必要となった方は、自治体や移動先の施設とも相談し、必要な情報の提供等を行って、利用者の不安を軽減し支援の継続性に配慮した支援を行っている。看取り介護については、入居時の面談の際に職員から看取り介護指針に基づいた説明を行う。看取り介護の意向を確認し本人状況に合わせ病状説明し同意書を取り交わし、終末期に対する不安を軽減している。この他、ショートステイ利用者が退居する際は、代理人(家族等)に利用中の様子を記録した退居報告書を作成して渡し、居宅介護支援専門員に情報提供をしている。


  サブカテゴリー3 個別状況に応じた計画策定・記録
  評価項目1 定められた手順に従ってアセスメントを行い、利用者の課題を個別のサービス場面ごとに明示している 実施状況
  標準項目1 利用者の心身状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録し、把握している
  標準項目2 利用者一人ひとりのニーズや課題を明示する手続きを定め、記録している
  標準項目3 アセスメントの定期的見直しの時期と手順を定めている
  評価項目2 利用者等の希望と関係者の意見を取り入れた個別の施設サービス計画を作成している 実施状況
  標準項目1 計画は、利用者の希望を尊重して作成、見直しをしている
  標準項目2 計画は、見直しの時期・手順等の基準を定めたうえで、必要に応じて見直している
  標準項目3 計画を緊急に変更する場合のしくみを整備している
  評価項目3 利用者に関する記録が行われ、管理体制を確立している 実施状況
  標準項目1 利用者一人ひとりに関する必要な情報を記載するしくみがある
  標準項目2 計画に沿った具体的な支援内容と、その結果利用者の状態がどのように推移したのかについて具体的に記録している
  評価項目4 利用者の状況等に関する情報を職員間で共有化している 実施状況
  標準項目1 計画の内容や個人の記録を、支援を担当する職員すべてが共有し、活用している
  標準項目2 申し送り・引継ぎ等により、利用者に変化があった場合の情報を職員間で共有化している
講評
担当職員がリスクアセスメント表を活用してケアプランの個別アセスメントを行っている

入居者の心身の状況や生活の状況は、介護システムの介護記録・看護記録のほか、バイタル・食事・水分、口腔ケア、排泄、入浴などを各チェック表に記入しているので、各部署でリアルタイムに確認することができている。担当職員は、個々の入居者に合わせたリスクアセスメント表を作成し、ケアプランの個別アセスメントを行っている。個別処遇会議で見直しを行い、リスクアセスメント表にも反映しケアを行っている。

入居者の希望や意向を書面で確認しながらケアプランを作成し6か月ごとに見直している

個別にアセスメントを行い、家族等から入居者の生活に望むことなどを書面で確認しながらケアプランを作成する。ケアプランについて、対面での説明の希望の有無と併せて希望日時を把握している。ケアプランは原則として6か月ごとに更新し、入院などによりケアの内容に変更がある場合には退院時に、介護保険の更新や区分変更があった時には適宜見直しを行っている。また、入院しケアの内容に変更がない場合には、退院後アセスメントを行い必要に応じて見直し、緊急にケアの内容を変更する必要がある場合は緊急ミーティングを開いて対応を変更している。

介護記録に入居者の状況を入力し、変化や対応をパソコンで確認できるようにしている

各部署に複数台のパソコンを設置し、具体的な支援の内容や入居者の変化等、日々の生活の記録を介護記録ソフトを使い介護記録に随時入力し、情報を共有している。介護、看護、リハビリ、業務記録をリアルタイムで確認することができており、入居者へのケアに反映している。個々の入居者について状況の記録を参照しながら引継ぎを行っている。重要な内容についてはパソコン上の掲示板で周知し、変化に伴う対応を確認することができる。朝礼、フロアミーティング、夜勤者への申し送り・引継ぎなど、1日に複数回、職員間で情報を共有できる機会がある。


  サブカテゴリー4 サービスの実施
  評価項目1 施設サービス計画に基づいて自立生活が営めるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 施設サービス計画に基づいて支援を行っている
  標準項目2 利用者の意向や状態に応じて、生活の継続性を踏まえた支援を行っている
  標準項目3 介護支援専門員を中心に、介護、看護、リハビリ、栄養管理等の職員が連携して利用者の支援を行っている
講評
施設サービス計画の内容を全職員が共通認識し、統一したケアを行っている

施設サービス計画(ケアプラン)を基に、各部署が栄養ケア・機能訓練等の個別ケア計画を作成し、サービスの具体的な内容や実施回数等を決めている。日々の入居者のバイタル・支援内容等をPCの介護記録ソフトで一元管理し、ケアプランと各種記録の連動を図っている。また、日課表や各種のチェック表等も活用し、絶えずケアプランを念頭にケアを行っている。職員は日々のケアの状況を定期的に確認しながら振り返りを行い、入居者・家族の意向を確認してケアプランの見直しを行っている。

入居者の状態変化に留意し、きめ細かな支援を行っている

職員は入居者の生活歴を理解して支援するとともに、入居後の状態変化にきめ細かく対応している。移動方法の検討や食事形態の変更等に取り組むほか、理学療法士のアドバイスに基づき、車イスの座位姿勢や臥床時の安楽姿勢の見直し、クッションの購入等を行っている。朝礼とは別に各フロアではミーティングを行って情報交換するとともに、緊急時には各部署の職員も集まってカンファレンスを行っている。食事内容の変更等、ケアの内容に変更がある場合には家族へ説明するが、コロナ禍で対面での説明が叶わないため、電話連絡を行っている。

入居者が自立した生活を営めるよう、多職種の職員が連携して生活を支援している

個別処遇会議や各種委員会等、介護支援専門員・生活相談員・看護師・介護職員・機能訓練指導員・管理栄養士等の多数の専門職が参加した会議を開催している。このような多職種連携の場において、入居者が自立した生活が営めるよう、心身の状況や生活状況等を分析・検討し、ケアプランをはじめ栄養ケア計画や個別機能訓練計画等を作成しまた見直しを行っている。介護職員をはじめ全職員が入居者の現況を踏まえた最新の計画を理解し、共通認識を持って入居者の生活を支援している。

  評価項目2 食事の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている 実施状況
  標準項目1 利用者の状態に応じた食事提供や介助を行っている
  標準項目2 利用者の栄養状態を把握し、低栄養状態を改善するよう支援を行っている
  標準項目3 嚥下能力等が低下した利用者に対して、多職種が連携し、経口での食事摂取が継続できるよう支援を行っている
講評
食事時の巡回等により入居者の好みを理解し、献立作りに活かしている

入居者一人ひとりの咀嚼や嚥下状態を確認し、安全に配慮した食事を提供している。常食・刻み食・ソフト食・極刻み食・ミキサー食のほか、選択食や代替食、嚥下困難な方用の少量・高エネルギー食も用意し、入居者の状態に合った食事を提供している。管理栄養士は介護・看護職員から随時直近の入居者情報を入手するとともに、昼食時には入居者が食事を摂る様子を巡回(ミールラウンド)し、入居者の喫食状況を把握したり嗜好を聞き取っている。これらの情報を記録し、日々の献立のほかイベント食や行事食に活かしている。

栄養マネジメントを実施し、低栄養が起因する様々なリスクの低減に努めている

管理栄養士を中心に多職種の職員が協働し、栄養ケアマネジメントを実施している。入居者一人ひとりの栄養状態を把握するとともに、咀嚼・嚥下機能や摂食状況、食形態等を考慮して栄養ケア計画を作成している。この計画に基づき、モニタリングや評価等を実施している。栄養状態の低下は、体重の減少を引き起こすほか、病気の誘発や褥瘡発症の一因となる。入居者の栄養状態を見るために体重測定や健康診断等を行う等、看護師・管理栄養士・介護職員等多職種の職員が協働して栄養管理を行い、低栄養が起因する様々なリスクの低減に努めている。

多職種の職員が連携し、経口摂取が維持できるよう支援している

多職種の職員で構成する「栄養マネジメント会議」を定期開催し、喫食状況や食事に対する要望等について話し合い、入居者に合った食事の提供と経口摂取の維持向上に努め、入居者のQOL(生活の質)の向上を図っている。食材や食器の吟味・スプーン等のカトラリーの選択・調理技術の向上・調理備品の管理・食事時の車椅子の姿勢・食事を伴う多彩なアクティビティ等についても話し合い、入居者の最大の関心事である食事の満足度を高めるようにしている。また、毎週歯科医師が訪問し、検診や治療を行い口腔機能の維持を図っている。

  評価項目3 利用者が食事を楽しむための工夫をしている 実施状況
  標準項目1 利用者の嗜好を反映した食事を選択できる機会がある
  標準項目2 食事時間は利用者の希望に応じて、一定の時間内で延長やずらすことができる
  標準項目3 テーブルや席は、利用者の希望に応じて、一定の範囲内で選択できる
  標準項目4 配膳は、利用者の着席に合わせて行っている
講評
年間を通じて入居者の好みに応じた多彩なメニューを用意している

食べる事に喜びや楽しさが持てるよう、また美味しく季節感のある食事となるよう、年間を通じて工夫を凝らした献立で食事を提供している。各人の好みや食習慣に応じて食事が選択できるよう朝食時にはパンが選べる選択食のほか、年間12回の誕生祝食、5月のお寿司の日、年2回のお楽しみ食事会、年5回のホーム喫茶(ケーキ茶会)等、豊富な行事食を用意している。実施前には各フロアにポスターを掲示する等、入居者に食事を期待していただけるよう工夫している。喫食困難な方には別メニューも用意し、すべての方が参加して楽しめるよう工夫している。

入居者の咀嚼・嚥下状態に合わせた美味しい食事を提供している

手作りに拘った美味しい食事を提供している。米飯・粥・麺類・パン等の主食は介護職員が盛り付けし、その日の入居者の体調にあわせた配膳を行っている。舌や歯肉で押すだけでつぶれるソフト食を導入し、これまで刻み食であった方に提供している。見た目が常食に近いため食欲がわき食べ易いと好評である。導入当初は副菜だけだったが、現在は主菜にも広げている。ミキサー食についても見直しを行い、提供する量が少なくても高カロリーなものに変更し、嚥下機能の低下している入居者にも、負担なく摂取できるようにしている。

テーブル席や食事時間に配慮し、皆楽しく食事が摂れるようにしている

食堂は各階にあり、4人掛けのテーブルを置いている。食事の席はほぼ決まっているが、入居者の意向に応じて変更もしている。食事中は音楽を流し、リラックスして食事を楽しめるよう配慮している。温冷配膳車を導入しているため、適時適温給食が可能である。配膳は、入居者が着席してから行っている。入居者の生活リズムを大切にした支援を行っており、その日の体調や気分によって食が進まない方には、2時間を限度に食事の取り置きを行っている。必要に応じて料理を再加熱し、時間をずらしても温かい食事をとることが可能となっている。

  評価項目4 入浴の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている 実施状況
  標準項目1 利用者の意向や状態を把握して、できるだけ自立性の高い入浴形態(個浴、一般浴等)を導入している
  標準項目2 入浴の誘導や介助は、利用者の羞恥心に配慮して行っている
  標準項目3 認知症の利用者に対し、個別の誘導方法を実施している
  標準項目4 利用者が入浴を楽しめる工夫をしている
講評
入居者の心身の状況に合った入浴方法を選択し、寛いで入浴できるようにしている

1、2階にそれぞれに浴室があり、各階入浴を基本としている。浴槽のタイプは5種類(一般浴・リフト浴・個浴・個浴型介護浴槽・特殊浴槽)を備え、入居者の心身の状況に合った入浴方法を選択し原則週2回入浴を実施している。入浴には介護職員がマンツーマンで対応する等、入浴事故の防止に努めている。誘導から脱衣・洗身・更衣等一連の行為は入居者のペースに合わせて行うほか、湯温も好みの温度に調節し、ゆったり寛いでもらえるようにしている。入浴前には看護師がバイタルチェックを行い、安全を確保している。

介護業務マニュアルに基づき、入居者の羞恥心等に配慮して入浴介助を行っている

入浴時の誘導や介助は、介護業務マニュアルに基づき実施している。曜日や時間帯で使用する浴槽を決め、入居者の状態や意向に沿って入浴ができるようにしている。脱衣所での待ち時間を極力減らするため、フロアの職員と入浴介助者が連携し入居者の移動時間を調整している。寛いで入浴ができるよう羞恥心やプライバシーに配慮しており、入浴時にはタオルを掛ける等の配慮を行うほか、同性介助を希望する場合はできるだけ同性の職員が行うようにしている。浴室にはカーテンを活用しプライバシーに配慮している。

季節の変化を楽しむ「かわり湯」等、入居者が楽しく安全に入浴できるようにしている

季節に合わせてゆず湯や菖蒲湯等のかわり湯を提供し、入浴で五感が刺激され季節を感じることができるよう配慮している。入浴時は入居者と職員の語らいの場ともなっており、入居者にとって心地良いひと時となっている。特殊浴槽のストレッチャー浴では持ち上げない介護に努め、入浴時の入居者の安全確保と職員の腰痛防止を図っている。日々の浴室・浴槽清掃のほか、年1回専門業者による清掃を行って衛生管理を徹底し、入居者が気持ち良く入浴できるようにしている。

  評価項目5 排泄の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている 実施状況
  標準項目1 利用者の意向や状態に応じ、自然な排泄を促すよう支援を行っている
  標準項目2 排泄の誘導や介助は、利用者の羞恥心に配慮して行っている
  標準項目3 研修等によりオムツ交換、トイレ誘導等の排泄介助方法の向上に取り組んでいる
  標準項目4 トイレ(ポータブルトイレを含む)は衛生面や臭いに配慮し、清潔にしている
講評
入居者一人ひとりの排泄パターンを把握し、自然な排泄を支援している

介護職員は排泄チェック表を用いて入居者の排泄リズムを把握し、これに基づいてトイレ誘導を行う等、入居者一人ひとりに合った方法で自然な排泄を促している。排泄チェック表は24時間シートとなっており、排泄の状況を記号や略号で示すとともに、下剤や排便量も記すようになっている。医師の指示の下、看護師も下剤を中心とした排便コントロールを行っている。職員が入居者の日々の排泄状況を排泄チェック表や介護記録ソフトに入力し、多職種の職員でこれらの情報を共有し、一人ひとりに合った排泄支援を行っている。

介護業務マニュアルを基に、プライバシーや羞恥心に配慮した排泄支援をしている

入居者の居室は37室あり、一部を除くと各室にトイレが付いている。排泄時には居室のドアやトイレカーテンを閉じている。トイレ内は広く、車イスの回転スペースも確保している。排泄支援は介護業務マニュアルに基づいて行い、入居者の羞恥心やプライバシーに十分配慮している。「オムツ交換」とは呼ばず、北欧の排泄ケアのブランド名を使い、オムツ交換とは分からないよう配慮している。オムツ交換や排泄用品の渡す際も小声で話しかける等、入居者の羞恥心に配慮している。排泄用品は12種類を用意し、各自に合った物を使用している。

消臭と衛生に配慮し、トイレ清掃も頻繁に行って清潔を保持している

居室ではエアコンによる換気や窓の開放を行い、排泄時の臭気に配慮している。ポータブルトイレを使用した時も直ぐに清掃して衛生的に使用している。トイレの清掃は専門業者が毎日行っており、職員も介助時や汚れに気づいた時はその都度清掃している。全てのトイレを毎日清掃しているため、衛生的な環境が保たれている。新型コロナウイルス等の感染症対策として、塩素系薬剤を用いてトイレ等の消毒を行うとともに、手指消毒の徹底も図って感染予防に努めている。

  評価項目6 移動の支援は、利用者の状態や意思を反映して行っている 実施状況
  標準項目1 利用者の状態や意向に応じ、できるだけ自力で移動できるよう支援を行っている
  標準項目2 ベッド移乗、車イスの操作など移動のための介助が安全に行われている
  標準項目3 利用者が快適に使用できるよう車イス等の環境整備が行われている
講評
心身の状態に合った移動方法を検討し、安全な移動を支援している

介護度の重度化に伴い車イスの使用が多くなり、入居者113名のうち104名が常時車イスを使用している。個別処遇会議・フロアミーティング・リハビリ会議・事故防止委員会等多くの場で、移動方法や移動のリスクを検討している。また医師や機能訓練指導員、介護職員等が入居者の状態や意向を的確に把握し、できるだけ自力で移動できるよう具体的な支援策を検討している。理学療法士も、リハビリ等の状態を確認し移動方法について指示を行っている。機能訓練指導員が中心となり、入居者の安全・安心な移乗や移動について職員周知を図っている。

持ち上げない介護を目指し、入居者と職員の安全を守っている

入居者の安全安心と職員の身体を守るため、持ち上げない介護を目指し、マッスルスーツやターンテーブル等の福祉機器の導入と活用を進めている。また勉強会を通じて安全な移乗介助方法やポジショニング等を職員に伝えている。車イスは年2回の清掃のほか計画的に購入や整備を行っており、現在117台の車イスを保有している。車椅子管理台帳と車椅子の名札(車椅子管理カード)を整理し、入居者一人ひとりにその時々の状態に合った車イスを選択している。車イスには必要に応じてクッション材を使用し、安全を確保している。

福祉用具は適宜点検整備し、安全に移乗・移動ができるように整備している

日々の移動が安全・快適に行われるよう、車椅子整備リスト備えて適宜に車イスの点検や清掃を行っており、タイヤの空気圧や動作確認のほか必要に応じて調整や整備を行っている。また、歩行器や杖等の歩行補助具も同様に点検している。例年家族会のボランティアが車イスの整備や清掃を行っていたが、コロナ禍で来訪が叶わない状況となった。職員は時間が取れない中でも車イスをリストアップして計画的に点検整備を行い、入居者が安全に移動できるよう配慮している。

  評価項目7 利用者の身体機能など状況に応じた機能訓練等を行っている 実施状況
  標準項目1 利用者一人ひとりに応じた機能訓練プログラムを作成し、評価・見直しをしている
  標準項目2 機能訓練のプログラムに日常生活の場でいかすことができる視点を入れている
  標準項目3 機能訓練指導員と介護職員等の協力のもと、日常生活の中でも機能訓練を実施している
  標準項目4 福祉用具は、定期的に使用状況の確認をし、必要に応じて対処をしている
講評
機能訓練指導員が個別機能訓練計画書を作成し、職員が連携してリハビリを行っている

入居者の残存機能の維持向上を目標に、入居時のケアプランと整合性を持たせた個別機能訓練計画を作成し、入居者のADLや本人・家族の意向を踏まえた多様な機能訓練を実施している。この計画に基づく訓練の実施を多職種でモニタリングやアセスメントし、3カ月毎に見直しを図っている。入居者の生活日課にリハビリを位置づけ、訓練可能な職員を配置して個々の入居者の状態に応じた機能訓練を実施している。リハビリは、専門の機能訓練だけでなく、居室や廊下でもできる生活に根ざしたリハビリも行い、身体機能の維持向上や体力増進を図っている。

歩行訓練を軸に、多様な運動を行って入居者のADLの維持向上を図っている

密を避けてフロア毎に実施するボールや風船等を使った集団リハビリのほか、関節可動域訓練・歩行訓練・イスを使った立位訓練等の個別リハビリも行っている。マッサージ師によるリハビリは機能訓練室で行うほか、必要に応じて居室でも行っている。生活リハビリはケアプランのサービス内容に明記し、個別機能訓練計画に反映させている。理学療法士は食事時の姿勢や日常生活の様子を見て直接介護職員にアドバイスを行っている。また介護職員は、ポジショニングや靴の購入等について理学療法士に相談している。

車イスのほか福祉機器は定期的に点検し、清掃や動作確認を行っている

入居者の平均要介護度が3.58であっても9割を超える方が車イスを常時使用するほか、歩行器や杖等の歩行補助用具を使用している方も多い。定期的な評価のほか日々の気づきや各部署との情報交換により、入居者のその時々の状態に合った適切な福祉用具を提供している。車イスには専用の整備リストを備えるほか、歩行補助具、ストレッチャー、介護浴槽等の福祉用具や福祉機器も、点検表等を用いて定期的に点検清掃や動作確認を行っている。

  評価項目8 利用者の健康を維持するための支援を行っている 実施状況
  標準項目1 利用者の状態に応じた健康管理や支援を行っている
  標準項目2 服薬管理は誤りがないようチェック体制の強化などしくみを整えている
  標準項目3 利用者の状態に応じ、口腔ケアを行っている
  標準項目4 利用者の体調変化時(発作等の急変を含む)に、看護師や医療機関と速やかに連絡が取れる体制を整えている
  標準項目5 終末期の対応をすでに行っているか、行うための準備が行われている
講評
日頃から入居者の健康管理に努め、長期入院とならないようにしている

入居者の体調については、日頃から職員間で気づきや情報共有を大切にし、早めの対応を心掛けている。入居前には、診療情報提供書の確認や入居者本人・家族から情報を得て、医療情報を収集している。入居後は年1回健康診断を行うほか、日々のバイタルチェックや居室巡回等で異常の早期発見に努めている。体調変化時には施設内診療で必要な検査や内服薬等の調整を受けている。入院者に対しては医師や入院先の病院に状況を確認し、長期入院とならないようにしている。

きめ細やかな感染症予防対策により、入居者の安全を守っている

年4回感染症対策委員会を開催し、感染症や食中毒の予防と蔓延防止策を検討するほか、感染症情報の収集・分析を行って職員に感染症情報を提供している。スタンダードプリコ―ション(標準感染予防策)を実施しており、防護服やマスク等の感染症対策用品を配備し入居者・職員の安全を守っている。新型コロナス等の感染症情報を入居者・家族に速やかに伝えるほか、トイレにはうがい薬や紙コップ・ハンドソープを置き、うがいや手洗いを励行している。家族に対する面会制限やガラス越しによる面会等により感染防止を徹底している。

看取り介護を実施し、入居者・家族が安心して終末期を迎えられよう支援している

施設開設以来重度者ケアの充実を掲げ、看取り介護指針に基づき看取り介護に力を入れている。日々状態観察を行い、医務室を中心に管理医師を含めた多職種協働で看取り介護の開始時期を決めている。令和2年度には9名から看取り介護同意書をいただいき、そのうち7名を看取っている。7名の看取り介護期間は、2日~4か月となっている。この期間中職員はきめ細かな観察と家族の希望に沿ったケアを行っており、皆穏やかな最期を迎えられた。看取り後は、より質の高い介護を目指して職員で振り返りを行っている。

  評価項目9 利用者が日々快適に暮らせるよう支援を行っている 実施状況
  標準項目1 起床後、就寝前に更衣支援を行っている
  標準項目2 起床後に洗顔や整髪等、利用者が身だしなみを整える際に支援を行っている
  標準項目3 利用者が安定した睡眠をとることができるよう支援を行っている
講評
更衣・整容は、生活にメリハリを付けるとともに機能訓練の場ともなっている

昼と夜の区別を明確にし生活にメリハリをつけるため、更衣や整容を支援している。ADLの低下で、自身で着替えができる方は少なくなっている。更衣や整容はできるだけ自分で行って生活にメリハリを付けていただくよう、ケース記録を活用しながら支援している。起床時は勤務職員が日常着への着替えと整容を支援し、夜は就寝着への着替えを支援している。着替えという日常動作は、四肢の機能訓練の場ともなっている。更衣・整容を嫌がる方や体調不良の方には無理強いせず、時間を置いて再度声かけしたりしながら行っている。

整容支援のほか、理美容や頻回な洗濯により清潔な生活環境を保っている

整容ができない方には職員が介助し、居室で整容してから共用フロアに行くよう支援している。起床時にはホットタオルで顔を拭くほか、スタイリング剤とブラシを用いてヘアケアを行っている。爪切り・耳掃除・歯磨き・髭剃り等は入居者の希望によるほか、状況や体調を見ながら入浴時等で行っている。毎月理美容業者が出張し、廉価で調髪を行っている(コロナ禍では中止)。衣類は汚れたらすぐに着替え、日常から清潔を心掛けている。年2回の衣替えの時期には、家族の協力を得て衣類の交換や補充を行っている。

生活リズムを踏まえた介護を行い、落ち着いて入眠できるようにしている

日中は機能訓練やレクリエーション等で活発に体を動かし、夕食後はリラックスして静かに眠れるよう配慮している。居室毎に照明を調光し、入居者が入眠しやすい環境を作っている。また温湿度計を見ながら、適切な温度・湿度管理を行っている。排泄チェック表や介護記録等で生活リズムや排泄パターンを把握し、睡眠を妨げないようにトイレ誘導やオムツ交換を行っている。寝付けない方には職員がフロアで話を聞く等、気分転換を図ってから本人の意向に沿ってベッドに誘導し、落ち着いて入眠できるようにしている。

  評価項目10 利用者の施設での生活が楽しくなるような取り組みを行っている 実施状況
  標準項目1 施設での生活は、他の利用者への迷惑や健康面に影響を及ぼさない範囲で、利用者の意思が尊重されている
  標準項目2 利用者の意向を反映したレクリエーションを実施している
  標準項目3 認知症の利用者が落ち着いて生活できるような支援を行っている
  標準項目4 利用者の気持ちに沿った声かけや援助を行っている
講評
入居者・家族の意向を尊重し、自由度の高い生活となるよう配慮している

食事や入浴等の時間が決まっているが、それ以外の時間は原則として自由である。入居者が有意義に過ごせるよう、入居者・家族の意思や選択の自由を尊重し、その人らしい生活が送れるよう支援している。菓子や嗜好品類は、これまでの生活習慣を考え、本人の健康面を考慮しつつ他の入居者に迷惑を及ぼさない場合はある程度自由としている。職員が一旦預かり、希望時に提供する場合もある。嗜好品の入手については、移動販売にて職員が買い物代行を行っている。定例懇談会等でも生活上の希望を伺い、可能な限り対応するようにしている。

施設全体行事のほか様々なアクティビティを用意し、生活を楽しめるようにしている

入居者の生活に潤いが持てるよう、また「社会の一員」と感じていただけるよう、四季折々に家族やボランティア等の参加を得て行事やクラブ活動を実施している。毎年花見、納涼祭、焼き芋大会等のイベントや行事を実施し、保育園児との世代間交流も行っている。令和2年度はコロナ禍で多くは中止したが、職員のみで実施した行事もある。、コロナ禍で活動は制限されているが、プレイルーム(小物作り・散歩・茶話会)のほか、音楽・書道・華道・お化粧等クラブもあり、「誰もが参加できる、楽しめる」ようアクティビティに工夫を凝らしている。

入居者の気持ちに沿った支援は、第三者評価の利用者調査で明らかになっている

介護度の重度化や認知症の進行により、より高度なサービスの提供が求められている。昨年度はBPSD(認知症による行動・心理症状)に関する研修(Web研修)を受講する等全人的な理解に努め、心身の状況や本人の意向等を踏まえ丁寧で優しい介護を実践している。施設内研修はもとより、東京都社会福祉協議会等が主催する施設外研修、法人本部主催の研修等に積極的に参加し、施設全体で資質の向上を図っている。介護技術の向上を図るだけでなく、利用者の気持ちに寄り添う生活支援は、福祉サービス第三者評価の利用者調査で明らかになっている。

  評価項目11 地域との連携のもとに利用者の生活の幅を広げるための取り組みを行っている 実施状況
  標準項目1 定期的な散歩や外食、遠出など外出の機会を設けている
  標準項目2 利用者が地域の一員として生活できるよう、地域住民が参加できるような行事など、日常的な関わりが持てる機会を設けている
  標準項目3 地域の情報を収集し、利用者の状況に応じて提供している
講評
多彩な行事やアクティビティを用意し、入居者の生活の幅が広がるようにしている

施設内で過ごすことが多いことから、外出の機会を多く設けて生活の幅が広がるよう努力している。晴天の日には庭の散歩等に出る等外気浴や外出を行い、歩行訓練も兼ねて気分転換を図っている。全体行事では、毎年春を楽しむ会(花見)・幼稚園児との交流・盆や彼岸の供養・納涼祭・健康と長寿を祝う会(敬老式典)・餅つき大会等の年中行事のほか、風船バレー大会等のアクティビティも実施している。令和2年度はコロナ禍で全体行事は中止を余儀なくされたが、納涼祭等は感染症対策を施し規模を縮小してフロア毎に実施している。

地域住民や家族が参加するアクティビティがあり、入居者は交流を楽しんでいる

入居者の生活に潤いや楽しみをもたらし社会参加を促進するため、例年家族会やボランティアの協力を得て行事やクラブ活動を実施している。同じ敷地内にある3施設と合同で、合同花見や納涼祭を開催しており、施設間の入居者だけでなく地域住民やボランティアとふれあう場ともなっており、入居者は交流を楽しんでいる。また実習生や介護体験の中学生や大学生の受入れも、交流の場となっている。しかしながら、令和2年度はコロナ禍で部外者の受入れは困難となり、ボランティアの活動が施設運営に欠かせないものであることを実感する1年となった。

地域情報等をきめ細かく収集し、入居者・家族に有用な情報を伝えている

東京都・地元市・関係団体等が主宰する研修会や情報交換会等に積極的に参加し、情報収集や意見交換を行っている。必要に応じて入居者・家族にその内容を伝えている。各種の催事ポスターを掲示するほか、地域情報や福祉関係情報を整理し、これらの情報を手に取り易いよう置いたり掲出している。入居者・家族の外出先として、近隣の利用しやすい施設も紹介している。地元の行事や祭事だけでなく、近隣地域を含めた社会全体の動きに関心が持てるよう広く情報を収集し、入居者・家族に提供している。

  評価項目12 施設と家族との交流・連携を図っている 実施状況
  標準項目1 利用者の日常の様子を定期的に家族に知らせている
  標準項目2 家族や利用者の意向に応じて、家族と職員・利用者が交流できる機会を確保している
  標準項目3 家族または家族会が施設運営に対し、要望を伝える機会を確保している
講評
入居者一人ひとりの生活状況を定期的に伝え、家族に喜ばれている

施設の活動を家族や地域住民に理解していただき、事業に対する社会的な信頼を高めるため、広報活動に力を入れている。年3回広報誌「こもれび」を発行し、家族や関係機関・施設等に送付している。「こもれび」は、日常生活や行事の様子等を写真入りで紹介している。編集に当たっては、掲載の了解を得た入居者の写真を使用し、分かり易い文章と見易い紙面作りで家族に喜ばれている。家族面会時にも職員が近況を報告しているが、コロナ禍で面会を中止した時。家族の心情に配慮し、生活の様子が分かるよう写真とともに近況を報告した。

ケアプランの更新時や面会時に家族から意見や要望を聞いている

ケアプランの更新時には家族に来苑を求め、ケース記録等を説明しながら意見や要望を聞いているが、コロナ禍で面会を中止したため、電話連絡や文書送付で対応している。行事等で家族が来訪した際は、入居者の近況を伝えながら家族の意見や要望を把握している。内容によっては組織的に対応し、サービスの向上に努めている。入居者・家族と職員が交流する場として例年家族会が10月に焼き芋大会を実施しているが、感染予防のため令和2年度は中止となった。家族面会も一時中止したが、制限解除後は玄関でガラス越しで面会を行っている。

家族の意見や要望を聞き、家族との連携に努めている

ケアプランの作成・更新時には家族から意見や希望を聞くほか、面会時や電話連絡時にも入居者の状態を報告しながら意見交換を行っている。家族会が組織されており、活発に活動している。焼き芋大会を主催するほか、総会や学習会も実施している。総会や学習会には施設長をはじめ多くの職員が参加し、意見交換を行って家族の意見や要望を施設運営に活かしている。現在はコロナ禍で中止しているが、会員がボランティアとして車イスの点検整備や清掃を行っている。


  サブカテゴリー5 プライバシーの保護等個人の尊厳の尊重
  評価項目1 利用者のプライバシー保護を徹底している 実施状況
  標準項目1 利用者に関する情報(事項)を外部とやりとりする必要が生じた場合には、利用者の同意を得るようにしている
  標準項目2 個人の所有物や個人宛文書の取り扱い、利用者のプライベートな空間への出入り等、日常の支援の中で、利用者のプライバシーに配慮した支援を行っている
  標準項目3 利用者の羞恥心に配慮した支援を行っている
  評価項目2 サービスの実施にあたり、利用者の権利を守り、個人の意思を尊重している 実施状況
  標準項目1 日常の支援にあたっては、個人の意思を尊重している(利用者が「ノー」と言える機会を設けている)
  標準項目2 利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行っている
講評
プライバシーポリシーにより個人情報の適切な取扱いやプライバシーの配慮に努めている

法人のプライバシーポリシーに基づいて、入院時の情報提供や手続きなどで入居者に関する情報を外部とやりとりする際の同意を得るなど個人情報の収集・利用・提供を適切に行うとともに、研修などにより安全性を確保している。ホームページのプライバシーポリシーも定め適正に管理している。日常生活で、入居者宛の郵便物は手渡し、その場で担当職員が開封するようにし、多床室では個々のベッド周りに間仕切りカーテンでプライバシー空間を確保するとともに、居室への入退出時には必ず声かけや挨拶をするなど、入居者のプライバシーに配慮している。

入居者の羞恥心への配慮など、「マナーガイドブック」をサービスの向上に活用している

法人創設以来の「社会的に弱い立場の人の側に立った支援」の理念を日々の仕事に活かすよう「マナーガイドブック」を2019年に作成し職員に配布した。あいさつ、身だしなみ・服装、言葉づかいなど、他人への思いやり、心配りを意識し、業務を行うことを具体的に記しており、新入職員研修やサービスマナー委員会の活動で活用している。日常の支援においても、排泄介助で、「オムツ交換」の表現を別の用語に変え、交換時の声かけの声量、入浴介助で、入浴直前の脱衣、待機時にバスタオルをかける、カーテンの使用など、入居者の羞恥心に配慮している。

個々の価値観や生活習慣をケアプランに反映させ適切なケアができているか確認している

利用者・家族への事前面接で、本人の生活習慣、趣味特技とともに、本人に入居したらどのように過ごしたいか、家族に入居したらどのように過ごして欲しいかなどを聴取してケアプランを作成している。日々の生活で、ケアプランに沿った支援を行い、入居者の信条、宗教、趣味を尊重するようにしている。また、個人の意思を尊重するために、支援の際には、事前に説明し意向を確認してから支援することを基本にしている。一方、各人の価値観や生活習慣をケアプランに反映させ、プランに沿った適切なケアが提供できているか個別処遇会議などで確認している。


  サブカテゴリー6 事業所業務の標準化
  評価項目1 手引書等を整備し、事業所業務の標準化を図るための取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 手引書(基準書、手順書、マニュアル)等で、事業所が提供しているサービスの基本事項や手順等を明確にしている
  標準項目2 提供しているサービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか定期的に点検・見直しをしている
  標準項目3 職員は、わからないことが起きた際や業務点検の手段として、日常的に手引書等を活用している
  評価項目2 サービスの向上をめざして、事業所の標準的な業務水準を見直す取り組みをしている 実施状況
  標準項目1 提供しているサービスの基本事項や手順等は改変の時期や見直しの基準が定められている
  標準項目2 提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案を反映するようにしている
講評
各勤務に応じたマニュアルは、業務手順が分かりやすく業務の標準化につながっている

業務の標準化を図るため数多くのマニュアルを作成し、パソコンの共有ファイルに保存し、いつでも誰もが閲覧でき、随時活用している。日勤・夜勤・早番・遅番・夜勤専門員など各勤務に応じたマニュアルは、業務手順が分かりやすく記載されている。職員はマニュアルに従い、個々の利用者に関する支援や生活状況を、排泄チェック表のほか、バイタル、食事・水分、入浴、口腔ケア、生活記録など、ケース記録の様式に入力している。ケース記録の記入に当たっては、文体、略語、注意する表現・言葉など具体例を挙げて、記録の統一を図るよう注意をしている。

各種の業務マニュアルを活用して、チューター制度により新人職員の育成を行っている

新人職員の育成にはチューター制度を採用している。新人職員の成長度合いや長所に合わせて柔軟な指導ができるように、本年度新人職員育成マニュアルを刷新した。新人職員が3か月で独り立ちできるよう、個別業務スケジュール管理表で、第1段階の2週間、第2段階の2週間、第3段階の1か月間そして最終段階の1か月間に、それぞれ設定した業務項目ができるか否かをチューター職員と共に確認していく。新人職員は、毎日、業務報告書に当日の目標と1日の業務を書き出し、終了後振り返りを行っている。新人教育では業務マニュアルが活用されている。 

職員や入居者等からの意見や提案を、業務マニュアルの改定に反映している

提供しているサービスが業務マニュアルに定められた基本事項や手順等に沿っているかどうか、その時の状況に合わせ、必要に応じて点検・見直しをしており、新人職員育成マニュアル、感染症対応マニュアル、リスクアセスメント表、緊急時対応マニュアルなどを改定した。当苑の重点目標である「より良いケアへの取り組み」や「職員の質の向上」などについて、部署ごとにアンケートを行って集約して年度総括を行い、また、定例懇談会では入居者の意見などを把握している。これら職員や入居者等からの意見や提案を、業務マニュアルの見直しに反映している。