東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

職員採用時から保育理念、保育方針、保育目標を明確にして伝え、入社後もさまざまな機会を通じてそれらに触れることで理解を深めています。開園した昨年度からこの会社の理念に基づいた活動に注力してきたことで、今回の職員自己評価結果ではほぼ全員が目指していることを「理解している」と回答しています。入園希望の保護者へ向けては、コロナ禍のため見学時間を制限して園の姿勢等について伝えているほか、入園前には面談を行い、しおりを使って園の方針を説明して理解を促しています。

園長をはじめとした職員の職務については、運営会社として運営規程で明示しています。またマニュアルの中に職務分担表も示されています。園長は今年度から就任し、「子ども主体の保育」を職員全員で考えていくことを大切にして取り組んでいます。職員に適宜「主体とは？」「自由保育とは？」と投げかけ、時にはリーダー会で話し合い、職員が自分で考える力をつけるきっかけを作っています。また、運営会社内で行われる園長会に参加し、そこで得た情報を園内で共有するなどして、園をリードしています。

運営会社全体の方針にかかわる事項は役員会及び経営会議にて決定し、その内容は事業部長から月1回の園長会議で園長に伝えられる流れとなっています。また、毎週1回のマネジメント会議では園長・主任と本部のエリアパートナーが、情報交換と課題の検討を行っています。そして園内では昼礼やリーダー会議を開いて、これらの内容を職員に伝達しています。ノートも活用して情報共有していますが、個々の伝達力には課題もみられます。保護者へ向けての決定事項の周知は、おたよりの配布と園内で掲示するほか、一斉メールも必要に応じて使っています。

保護者からの意見を聞く機会として、懇談会や運営委員会、行事後のアンケートなどが複数あります。今年度はコロナ禍で集まることが難しく、送迎時の限られた時間に聞き取るようにしています。職員からは面談や会議を通じて意見を聞いています。地域の情報収集の場として区内の園長会があり、一時期休止していましたが再開の見込みとなっています。また、地域に限定した「蒲田東地区保育施設会議」の集まりもあります。広く保育業界の情報についてはエリアパートナーからのアドバイス等があります。経営状況は主に本部で管理しています。

園の1年間の活動方針を示した事業計画書は、運営会社より指定の書式に沿って毎年作成しており、保育の計画から行事、給食、研修などの構成になっています。しかし、中長期を見据えた計画は現時点では作られていませんでした。現在園では、3年後、5年後について職員間で話し合いをしているため、その内容を計画として言葉に表し、共有することが望まれます。なお、運営に関する予算は本部が管理しており、園では大きな行事は2か月前から予算編成して、本部に稟議書をあげる流れとなっています。

計画の進捗状況を確認する場は、職員会議とリーダー会議での話し合いが中心になっています。行事等の準備状況の確認、見直しを行い、保育に関する意見交換をしています。これらの取り組みにより、職員全体での共有は図ることができています。しかし、事業計画の進捗状況の確認という点においては十分に行われておらず、課題といえます。また目標の達成度合いをより明確にするためには、具体的に数値化していくとさらに良くなると考えられますので計画に盛り込んでみるとよいでしょう。

就業規則に職員として守るべき事項が示されており、全職員が必ず読むことになっています。入社前研修でもこれらについて資料を読むこととなっており、継続的に職員が意識して遵守できるように取り組んでいます。新任研修では「保育士として大事なこと」「社会人として求められること」を学んでいます。また、保育運営マニュアルの中に「人権尊重と個人情報保護」や「心得（社会人としての基本行動指針など）」「虐待対応」の項目があります。日頃から礼節に関しては意識するように心がけ、気になる言動がみられた時には園長から声を掛けています。

苦情解決制度については入園説明会で保護者に説明しているほか、入園のしおりにも記載して周知を図っています。保護者の意見を聞く機会として保護者会や運営委員会をこれまで開いていましたが、コロナ禍のため現在は書面で意見を募り、対応が求められる意見については検討しています。虐待防止の取り組みとして職員が定期的に研修を受講し、学んできた内容を園内で報告、共有することで理解を深めています。また園長会等を通じて得た事例を園内で共有しています。もしも該当ケースが発見された場合には、児童相談所等と連携する体制があります。

園内の様子を広く外部へ発信するために、2021年9月からホームページでバーチャル園見学ができるようになりました。給食の試食会を緊急事態宣言が解除されてからは実施する予定で、興味のある保護者が参加することができます。ＳＮＳを使った情報発信も行っています。実習生の受け入れは基本方針を示し、中学生の職場体験の受け入れも可能としていますが、コロナ禍のため今年度の実績はありませんでした。なお、開園2年目を迎え、園長は地域とのつながりを今後強化していきたいと考え、地元商店との関係性を構築していきたいとしています。

安全管理、災害対策、ケガの対応等、リスクマネジメントに関するマニュアルが揃えられています。これらの内容を理解、実践できるようにマニュアル研修が用意されており、職員が必要に応じで受講しています。現在は新型コロナウイルス対策が最優先事項となっていて、そのほかに園内でのケガに注意を払っています。特に経験の浅い若手職員には日頃から意識を高めるよう、園長が指導しています。また、不審者侵入に備えて今年6月には警察官に来園してもらい、訓練を実施しています。建物1階にあるコンビニエンスストアとも連携を図れるようにしてます。

災害時対応として、「循環備蓄食品運用マニュアル（ローリングストック法）」を策定して、非常食等の備えをしています。防災計画も用意し、避難訓練は毎月実施し、想定を変えながらいざという時に対応できるよう準備しています。BCP（事業継続計画）については未策定のため、今後の課題となっています。入園のしおりには「園での病気や怪我の対応」「非常災害時の対策」等を明記して、保護者への周知を図っています。そして今年度からリスクマネジメント委員会を立ち上げ、園全体で事故防止に向けた取り組みを強化しています。

保育運営マニュアルの中に「情報管理」の項目があり、文章等を作成するにあたっての表現に関することや、記録する情報が最新かどうかをチェックするなどのポイントが示されています。また、文書管理については「文書分類基準表」で大分類から小分類、保存期間等を一覧にまとめられていて、この表に沿って種類ごとに色を付けて書棚に保管しています。子どもの記録等をパソコンを使って入力し、保存していますが、子どもの前では作業は行わず、子どもに集中することとしています。個人情報の取り扱いについても、日頃から注意を払っています。

職員採用面接の際にチェックシートが用意されていて、保育園が求めている人物像と合っているか、理念に共感しているかを見定めています。正規職員は本部で募集し、面接と見学は保育園の現場で対応することで、応募者に会社と保育園の様子をつかんでもらうようにしています。社内には複数の系列園があることから、毎年秋頃に実施する職員意向調査アンケートを基にして、育成や将来の人材構成を見据えた人事異動が定期的に行われていますが、異動を希望しない場合には在籍園で継続して勤めることが可能になっています。

保育運営マニュアルの中に「階層別の職員の役割と研修課題」があり、初任者から園長までの5階層のキャリアパスが示されています。また、長期的な育成を目的としたキャリアアップを導入して、自己評価シートを基にした人材育成計画を策定しています。職員一人ひとりに関しては、年度初めに社内の研修一覧を確認して受講計画を立てています。今年度の研修はオンラインが中心となっています。しかし、これらの計画と実践において一貫性が確認できませんでした。会社の示すキャリアパスに沿った計画と実践が行われるよう、見直してみるとよいでしょう。

職員の頑張りを評価する人事制度を導入し、役職別・経験別の賃金体系を作り、公平でやりがいの持てる内容に改善しています。評価によって賞与が変動する仕組みになっているほか、頑張っている職員にはキャリアアップの対象に選び、育成を図っています。また、職員一人ひとりとは毎月、1on1（ワンオンワン）と呼ぶ1対1の園長との面談を行っていて、仕事のことからプライベートのことまで色々と話し合える機会を設け、職員の声に耳を傾けています。勤務については希望の休暇が取れるように配慮し、働きやすい環境作りに努めています。

入園を希望する保護者に対して、ホームページやパンフレットで園の情報を提供しています。それらには保育理念や方針、目標をはじめ、園の概要、開園時間、１日の流れ、年間行事スケジュールなどをイラストや写真入りで掲載して、園の利用を検討している保護者にとって必要と考えられる情報を提供しています。また、園舎についてはライブビューイング撮影を用いた「バーチャル園見学」が出来るように工夫して、特徴や生活をイメージし易く紹介しています。

区の保育課が発行している「保育園案内」という冊子には、認可保育園としての園の概要を掲載しています。区の保育課からは随時空き情報等の問い合わせがあるため、その都度必要な情報を提供しています。その他、園独自に予約制の「絵本や紙芝居、パネルシアター劇を楽しもう」というイベントを月に１～２回開催していて、ホームページを中心に参加案内をしています。入園希望者が園に関する情報を入手しやすいように工夫しています。

入園希望者からの見学等の問い合わせには柔軟に対応し、随時電話等で予約をしてもらっています。現在は新型コロナ対策のため、見学は１日３名上限で、時間帯は１０時１５分又は３０分頃に設定して、保育室の外から普段のありのままの保育を見てもらえるようにしています。見学時には自由保育の説明や給食の試食体験も取り入れて、園の取り組みを伝えています。また園独自に「絵本や紙芝居、パネルシアター劇を楽しもう」というイベントを開催し、個々の質疑応答にも答えて、園での暮らしがイメージしやすくなるように取り組んでいます。

入園内定者には「入園のしおり」を使って、園の保育理念・園目標・園の１日・食事・延長保育、健康・安全管理、個人情報保護、苦情処理等の重要事項を説明し、同意を得ています。説明の際には園長・主任、看護師・栄養士等が立ち会い、保護者が記入のうえ持参した「児童票」を基に、入園前の子どもの生活リズム（食事・授乳、睡眠や排便）や好きな遊び、かかりつけ医、アレルギー等を確認し、保護者の意向（慣れ保育や延長保育の利用等）を把握しています。かかりつけ医による健康診断書も提出してもらい、子どもの健康状態を把握しています。

入園後の環境変化による子どもの負担やストレスを軽減するため、子どもの様子や保護者の意向に応じて「慣れ保育」を実施しています。慣れ保育は短時間から始め、徐々に時間を延ばして行き、１週間程度を目安に実施します。慣れ保育期間中の子どもが強いストレスを感じて飲まず食わずの状態が見られる場合は、予定より早めのお迎えを依頼する場合があることを事前に了承して貰っています。保護者には日々まめに子どもが園に慣れていく様子を伝えて、預けることへの不安が軽減出来るように心がけています。

当園は開園して２年目の新しい園であり、転居等による退園児や卒園児がまだいません。来年度以降は卒園児が園の行事に参加できるように招待状を送り、運動会や夏祭りに参加してもらいたいと考えています。また、進学を控えた５歳児に対しては、帰宅時の保護者への引き渡しの際に、進学への相談に応じてサポートをしていきたいと考えています。いつまでも園と卒園児が交流を図れるようなきっかけや機会を提供していきたいと考えています。

子どもの心身の状況や園での生活状況は「個別指導計画」、「成長記録」、「発達記録」、「保育日誌」等の書式に記載しています。「個別指導計画」は全ての乳児・個別に配慮の必要な子ども等に対して個人別に作成し、子どもの姿、育てたい内容、保育者の関わり・援助・配慮、評価・反省を記載しています。子どもの心身の発達状況は、毎月児童票の「発達経過記録」に記録しています。日々のクラスの様子は「保育日誌」に記載し、一人ひとりの子どもの特記事項や成長の様子は、個別の「健康手帳」や「成長記録」に記載しています。

園で作成した「全体的な計画」に基づいて、各指導計画（年、月、週）の他に「個人別指導計画」を作成しています。「個人別指導計画」は全ての０～２歳児と、個別に配慮の必要な子ども、幼児はクラス毎に作成しています。「個人別指導計画」は子どもの発達状況や、保護者の意見や要望も考慮しています。個々の子どもの成長を踏まえて指導計画の目標を定め、創意工夫を図りながら保育を行い、達成されたら翌月には新たな内容を定めています。計画のねらいや保育内容等は毎月の園だよりに掲載して、保護者に伝えています。

職員間の引継ぎには「連絡ノート」を活用しています。職員は出勤時に「連絡ノート」の内容（子どもの特記事項、保護者との連携が必要な事項、業務伝達事項等）を確認し、各クラスのホワイトボードや「連絡帳」等の内容を確認してから保育に当たっています。また日々の「昼礼」では業務伝達や保育体制の指示を確認して、円滑な保育が進むようにしています。職員会議や園内研修では、事故やヒヤリハットの共有をはじめ、園児のケースカンファレンスで学びあう機会を設けて、全職員が子どもの状況を把握出来るように努めています。

子どもが自ら好きなことを選んで遊びこめるコーナー保育の環境を整え、楽しく主体性を育めるようにしています。遊びの内容も発達に合ったものを手作りしたり（乳児例：音遊びのマラカスや指先の巧緻性を育むポットン落とし等）、子どもが「今」興味を持つことを反映させています。子どもの手の届く所に玩具のカゴや個人別ロッカーを配置し、名前や写真をつけておき、発達に伴って物の出し入れや片付けが出来るようにしています。年長児は水やり当番などで意欲や責任感の芽生えを促しています。園の暮らしの中で楽しく主体性を育めるようにしています。

園では日頃から異年齢保育を取り入れています。日々の散歩で異年齢児同士で手を繋いで出掛けたり、２～５歳児が集団でリズム遊びなどをしています。年下の子が年上の子に憧れて成長の意欲を見せたり、年上の子は年下の子を可愛がったり労わるなど、互いに良い刺激となって育ち合う保育を進めています。園の行事のハロウィンやクリスマス等で、異文化に楽しく触れています。宗教食を提供する園児もいるため、他の園児には文化や習慣の違い等を伝えています。子ども達が年齢・文化・習慣等あらゆる違いを尊重できるように働きかけています。

自分の気持ちをうまく言葉で表現できない低年齢児にはトラブルが起きやすいため、職員が日々の遊びや保育を工夫しつつ、トラブルの未然防止を図っています。トラブルの際には双方の子どもの気持ちを受け止め、職員が代弁・仲介しながら「してはいけないこと」「気持ちの伝え方」等を教えています。また子どもの成長に応じて、子ども同士で問題解決が図れるように意図的に「見守る」こともしています。トラブル解決を通じて子どもが自分や相手の気持ちを理解し、他者と関わるために大切な力を育めるようにしています。

登園時間帯に担任が出勤している場合は、基本的に担任が子どもを受け入れるようにしています。子どもの視診を行い、保護者に子どもの体調や前日からの家庭での様子等を聞き、気になることはその場で確認して受け入れています。子どもの特記事項等は「クラスボード」に記載し、職員間で情報共有のうえ連携しながら対応しています。降園時には連絡帳や口頭でその日の子どもの様子を伝えています。また各クラスにその日の活動を伝える写真やコメント付きの「紙ブログ」を掲示し、帰宅後の家庭での楽しい話題となるよう工夫しています。

保護者との日々の対話、連絡帳、個人面談等を通じて子どもの発達の様子を共有し、互いに連携しながら無理なく基本的生活習慣が身に付けられるようにしています。離乳食の内容・進め具合や手づかみ食べを開始したり、トイレトレーニングは園で排せつ間隔を把握し、保護者の負担にならないように意向を聞いてから開始するようにしています。衣類の着脱等は、日々の散歩の際の着替えなどの積み重ねで、徐々に身に付けられるようにしています。また育児相談は随時受け付けて、保護者が子育てを楽しいと思えるようにアドバイスをしています。

登園時の保護者との会話や連絡帳の記載内容から子どもの状況を把握し、午睡の設定時間以外にも随時必要な休息がとれるようにしています。低年齢児が機嫌よく過ごせるように睡眠を取らせたり、前夜の睡眠不足・病み上がり・疲れている様子などの子どもには、横になれる時間を設けるなど、個々の子どもが無理なく過ごせるようしています。５歳児は４月から午睡の時間を無くしていき、就学に向けての生活リズムを作っていきます。

自由保育を基本として、ブロックやごっこ遊び、絵画、制作、粘土などの多彩な遊びを子どもが自ら選び、自由な創造力を活かした遊びに発展させられるようなコーナー保育を展開しています。静と動の活動空間は分け、子どもが夢中で遊びこめる環境となるよう工夫しています。子どもが体を動かしたい様子があれば、室内で滑り台・跳び箱・平均台などを用いて遊んだり、屋上で集団ゲームをして遊び、自然と集団活動の経験ができるように工夫しています。子どもが「今」したいことを見極めながら、豊かな遊びが展開できるように働きかけています。

リズム遊びやリトミックを取り入れ、心と体を生き生きと使った表現活動を楽しめるようにしています。制作活動では子どもの「作りたい」気持ちが育つように、職員がまず制作をして、自然に子どもの関心が向くように働きかけています。制作コーナーには色々な材料を用意して、立体・平面・素材の違うものなどを選んだり組み合わせて、子どもの発想を自由に表現出来るようにしています。日々の散歩で拾った落ち葉等を用いて、季節感を楽しむ制作も取り入れています。子どもらしい素直な感性を発揮できる、多彩な表現活動を取り入れています。

日々の遊びや集団ゲームを通じて、安全に遊ぶための約束事やルールを守ることが、皆の楽しい遊びに繋がることを教えています。食事の場面では職員が寄り添いながら、正しいマナーを身に付けられるように教えています。また子どもの年齢や発達に応じて、仲良くしましょう、並びましょう、待ちましょう等、けじめのある行動を日々繰り返し教えています。集団生活を通じて、自分で気持ちを切り替えたり待つことが出来る子どもになれるように、お互いを思いやったり協力し合いながら過ごすことが、心地よい園生活に繋がることを教えています。

お正月・節分・ひな祭り・子どもの日・七夕・夏祭り・運動会・クリスマス等、年間多数の行事を行っています。行事の際にはその由来を伝える絵本や歌、紙芝居などで、子どもの「行事をやってみたい」気持ちを盛り立てています。行事の準備段階から楽しく主体的に参加できるように園内を徐々に飾り付けていったり、例えば夏祭りでは当日使う魚釣りゲームやお店作りに子どもが継続的に参加して、当日は「〇〇屋さんをしたい」など、楽しみな気持ちで迎えられるようにしています。子どもが行事を作り上げることで、自信や喜びに繋がるようにしています。

子ども達の成長の姿として、運動会や発表会で生き生きと力を発揮出来るようにしています。今年度の運動会は日々の運動遊びで用いている技巧台を活用してサーキット遊びをしたり、平均台渡りや鉄棒の技を披露するなど、園の暮らしの中で積み重ねて出来るようになったことを披露しています。今年度末の発表会については、子ども達が日々練習して出来るようになった歌や劇などを演目として考えているとのことです。皆で団結して、一生懸命やり遂げる楽しさや喜びを味わえる行事を取り入れています。

保護者には年間行事予定表を配布しています。近年はコロナ禍により保護者参加型行事の開催は見合わせ、園内行事の掲示物を作成して、保護者に楽しい行事の様子が出来るだけ伝わるように工夫して来ました。運動会に関しては、保護者向けに動画配信サービスを提供しており、利用者調査でも「見られてよかった」等の声が寄せられています。現在、新型コロナウイルスの感染状況が収束しつつあるため、園としては今後の感染状況を注視しつつ、保護者参加型行事の再開を検討していきたいと考えています。

園で延長保育を利用している子どもは、1日当たり平均５名となっています。徐々に子どもの人数が減っていくことで、延長保育を利用する子どもが不安や寂しさを感じないように、職員がスキンシップをとったり、個別の対応に当たっています。延長保育の時間帯は異年齢児の合同保育となるため、子ども達が兄弟のようにアットホームな交流をしています。預かり時間や子どもの体力に応じて随時休息時間を設けたり、補食や夕食を提供して、負担なくゆったりと過ごせるようにしています。

遅番職員に子ども達の様子等の引継ぎを行ない、年齢に合わせた玩具でコーナー保育の環境設定をして、お迎えを待つ子ども達が飽きずに、主体的に遊べるように工夫しています。その他、延長保育専用の玩具を出して、じっくり遊びこめるようにしています。異年齢児が合同で過ごすため、年上の子が小さい子を可愛がったり、先生のお手伝いをしたい子が一緒に洗濯物干しをするなど、それぞれの子どものやりたいことや意向に沿った遊びをしながら、安心して保護者のお迎えを待てるようにしています。

子どもの発達に合ったテーブルや椅子、食器などを使い、クラス毎に食事をしています。現在は新型コロナ対策で子どもが一方向を向いて座り、集中して食事できる環境としています。離乳食の子どもには職員が一人ひとりのペースで食事を摂れるように援助しています。園では完食を目指すのではなく「食べられるようになった」「苦手なものを一口食べてみた」「おかわりしたい」等、子どもの自発的な行動を尊重して、楽しい食事経験が積めるようにしています。職員が寄り添いながら、子どもに合わせてマナーの習得も少しずつ進めています。

栄養士が献立を作成し、厨房で手作りの給食を提供しています。昆布・煮干し・鰹節などからとった出汁を活かした調理で、無塩せきのハムや契約農家から届く旬の有機野菜などの厳選素材を用いて、白米は園で毎日精米して提供しています。子どもの味覚の発達に合わせた味付けや食形態で、目で見ても美味しく食べる楽しみを感じる盛り付けで、毎月の特別メニューの郷土料理等も取り入れたバラエティ豊かな献立を提供しています。食物アレルギーがある子どもには医師の指示の下で除去食を提供し、全ての子どもに安全で美味しい食事の提供に努めています。

園では原木シイタケ、イチゴ栽培、カイワレの水耕栽培等を行って、子ども達が日々観察したり水やりなどの世話をして、育ったものを給食で食べる体験を取り入れています。毎日子どもたちが厨房に「お手伝いはありますか？」と聞きに行き、玉ねぎの皮むきやキャベツの葉を手でちぎるなど、給食調理のお手伝いをしています。自分達が調理に参加することで、「これ、おかわりしたい」と言う子どもが増えています。幼児クラスでは、自分のおやつのおにぎりをラップで握って作っています。皆で参加して楽しく味わう体験で、食への関心を高めています。

園の看護師が絵本や紙芝居、手に押すスタンプなどで工夫しながら、子ども達に手洗い指導やうがい指導をして、健康への関心を高められるようにしています。日々の戸外活動では、その都度交通ルールを確認し、遊ぶ時には遊具や公園でのマナーや約束事を確認してから遊んでいます。毎月の避難訓練では、地震や火災について関心を持ち、自分で身を守ることができるように指導しています。子どもが自分であらゆる危険を回避するための知恵が身につくよう指導しています。

保育中の子どもに急な発熱があれば保護者に電話で一報し、状況や対応を伝えています。高熱その他の異常が見られる際には保護者に相談のうえ、引取り・外来受診等を依頼しますが、緊急時は嘱託医等に速やかに受診させています。熱性けいれんや重度の食物アレルギーを持つ子どもに対しては、保護者とかかりつけ医記入の「与薬に関する同意書兼指示書」を預かり、速やかに対応できるように備えています。その他、アレルギー等を持つ子どもへの対応は児童票等に纏め、発症時の対応手順を職員間で共有しています。

年２回の嘱託医による健康診断、年１回の歯科検診、毎月の身体測定等の結果は保護者に伝えて、子どもの健康と発達状況を共有しています。また、区の予防接種や健康診断などを受けているかどうかを保護者に確認するようにしています。乳幼児突然死症候群の予防に対する園の取り組みは、入園時に保護者に伝え、家庭でも仰向けで寝る習慣が身につくように依頼しています。園の玄関先の掲示物や「園だより」「ほけんだより」では、流行感染症などの注意喚起等、時期に応じた内容を掲載して、子どもの健康に対する保護者の意識向上を働きかけています。

保護者が安心して仕事と子育てが両立出来るように、柔軟な対応を心掛けています。保護者の就労・家庭事情に配慮すると共に、日々の送迎時の会話や連絡帳のやり取りで得た情報は職員間で共有して、必要な支援が行えるようにしています。当日の突然の延長保育の受け入れも可能です。土曜保育は書類提出が必要ですが、後日の提出となっても柔軟に対応しています。利用者調査でもこの項目は回答者の８８％が満足との回答で、「急なお迎え時間の変更を何度もしているがとても有難い」「直前でもお願いできて感謝している」等の高い評価を得ています。

保護者会等の保護者参加型行事はコロナ禍のため中止していますが、個人面談は希望者に実施して、子どもの成長の様子や今後の保育の進め方について保護者と話し合い、共通認識を持てるように努めています。また、子どもの登降園時は玄関引き渡し対応としているため、今年度から「紙ブログ」という当日の子どもの活動の姿を伝える写真やコメントを掲示して、保護者に安心して貰えるように工夫しています。また、保護者のお迎え時には、口頭でその子の些細な事でも保護者と共有するように努めています。

今年度より新園長が就任したこともあり、保護者に希望制で個人面談を呼び掛けたところ、殆どの人が参加しています。園だよりでは月の保育のねらいや子どもの様子を発信しています。日々の子どもの様子は降園時の対話、連絡帳や「紙ブログ」で伝えています。コロナ禍で保護者参加型行事が行えていないこともあり、この秋の運動会は動画配信で子どもの成長の姿を伝えたところ、保護者から喜ばれています。緊急事態宣言も解除されたため、今後は保護者に園内に入って貰いながら、さらなる信頼や共通認識を育んでいきたいと考えています。

天気の良い日は周辺の公園に出向いて戸外活動を取り入れています。散歩の道すがらでは地域の人々と挨拶を交わし、顔馴染みの関係作りに努めています。地域の警察署の協力で、園児が「交通安全教室」を受けています。５歳児クラスは屋外で交通安全デモンストレーション体験もしています。当園は開設直後からコロナ禍に見舞われたこともあり、地域交流の場は今後開拓の必要性があると考えています。幼い子どもを守る必要性がある園の特性を考慮のうえ、安心・安全な地域交流をすすめ、子ども達の経験の幅を広げていきたいと考えています。

近年のコロナ禍において、園では子どもの安全を第一に考えて、外部の人達の入館や地域の行事への参加を見送ってきました。今後、園としては保護者の意向や感染状況を見ながら地域資源の情報収集を進め、地域とのつながりを深められる方法を検討していきたいと考えています。例えば他の保育園との交流、５歳児の進学を見据えた小学校との交流、ボランティアや実習生の受け入れ、卒園児や地域住民を招いての行事開催等、さらなる地域交流を増やして子どもの社会性を養っていきたいと考えています。

外部から子どもの照会があった場合（主に法人の乳幼児研究用データ）や子どもの写真等を用いる際（社内報等で子どもの写真を使用する際には後ろ姿の写真のみ使用する等の内部規定があり）については、事前に保護者から同意書にて承諾を得ています。日々のオムツ交換や着替えは外部から見えない場所で行います。水遊びは園の屋上で行うため、周囲の建物から見えないようにカーテンを使って着替えています。また全裸にならぬように上下別に着替えることなどを教えています。

園ではいわゆる従来の「一斉保育」ではなく、「子ども中心の保育」を理念とした「個」を尊重した保育に取り組んでおり、園長・主任が日々各クラスの保育に入りながら職員の指導・助言に当たっています。また保育に悩むときには職員会議などで話し合い、職員全員が「子どもへの望ましい関わり方」について共通認識を持って保育に当たれるように取り組んでいます。園としては今後、日々の子どもに対する言動で、職員間でお互いに気付いたことは注意し合い、成長し合えるような関係作りを進めていきたいと考えています。

虐待の防止や早期発見に努め、職員が理解を深められるよう取り組んでいます。本部の入社前職員研修や入社後の外部研修、職員会議等で職員が虐待対応について学び、知識の向上を図っています。毎朝の子どもの受け入れ時には、子どもを視診して変化がないかを確認しています。気になる子どもがいる際には、園長が直接保護者と会話を交わすようにしています。虐待の疑いが生じた場合には、「虐待防止マニュアル」に基づき本部、児童相談所、子ども家庭支援センター等へ通告することとしています。

本部が全園共通マニュアルを作成しています。マニュアルは「Education Book」という社会人のマナーや自由保育の教育本と、キッズマニュアル、安全・健康・衛生管理、嘔吐処理、虐待対応、アレルギー対応等、重要な業務マニュアルで構成されています。マニュアルは法人本部が最新の知見等を加えて随時更新し、簡潔な内容に改善する手筈となっています。マニュアルは職員が随時確認できるように事務所に備え置き、基本部分は職員に配布して自学自習が進められるようにしています。またマニュアルを活用した園内研修も実施しています。

社内研修や園内研修等で職員の知識・技術の標準化を進めていますが、今年度からはさらに職員の自学自習ツールとして「キッズポータル」というスマートフォンアプリを運営会社で導入しました。「キッズカレッジTV」という動画配信では５分間ほどの動画視聴で、効率よく専門知識の習得が出来るように工夫しています。個別事例対応・保護者対応・子どもの人権や虐待等、日頃の保育で職員が良く悩む場面をテーマに取り上げ、それぞれの場面で実際にどう動けばいいかのポイントを解説して、職員が直ぐに実践できるように工夫しています。

毎年、マニュアルや園のしおりの改正時期には、本部が職員アンケートを実施し、現場の意見を取り入れて見直しています。保護者からの意見・要望は職員会議等で検討し、結果は伝え忘れ防止や子どもの見守り・安全確保のため、一斉メールで回答しています。今年度は「夏場の園の吹き抜け階段が暑い」という声が多かったため本部と改善策を協議したところ、換気窓と安全柵の取り付けが決定しました。毎月の園長会議の際や、本部の担当者の定期巡回の際にも、保護者からの意見や要望を伝え、より良いサービスに反映できるように努めています。