東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

法人の運営理念は「夢に向かって成長しつづけよう」で、運営方針は「誠実であること・貢献からの利益を追求すること・自らを世界に貢献できる人間へと向上させること」です。法人のビジョン・理念について、職員の理解を深める取り組みとして、職員会議、法人内研修、園内研修、理念の唱和、理念の因数分解を実施しています。また保護者の理解を得る取り組みとして、入園説明会、保護者会を行っています。そのほか全体的な計画は、保護者会、エントランスの閲覧ファイルなどで保護者に周知しています。

本部マネージャーや園長の役割と責任は、職務分掌に記載され、職員会議、面談などで職員に伝えています。併せて経営層は、毎月発行の「給与文」、年度初めの訓示などで、職員にメッセージを発信しています。また運営方針は、職員会議を始めとした各種会議、面談で職員に確認しています。そのほか独自の組織図を更衣室に掲示し、指示命令系統を分かりやすく職員に伝えています。

法人内または園内の決裁の仕組みについては、職務決裁権限一覧表に記載しており、決裁された文書は、法人本部が管理しているサーバー内で保管しています。重要な案件は、職員には通達文の配付、職員会議で伝えるとともに、利用者には重要事項説明書、通知文の配布、保護者会、懇談会で伝えています。さらに利用者には本園独自の取り組みとして、職員の研修実績や文京区の監査結果や法人の監査指摘事項についても伝えるなど、情報公開の徹底に取り組んでいます。

利用者のニーズは、アンケートの実施、ご利用者様の声ハガキ設置、問い合わせメール、連絡アプリ、個人面談、保護者会、運営委員会により把握し、職員会議ほか各種会議、昼礼などで職員に報告しています。また職員のニーズは、定期的な施設長との面談、相互育成面談、共育担当およびOJT制度、自己評価により把握し、定期面談、職員会議、OJT会議、リーダー会議で職員に報告しています。そのほか、福祉事業全体の動向を知るため、独自に複数の保育専門紙などを購読しています。

法人で中長期計画を策定し、それを基に単年度の事業計画を策定しています。予算編成は法人本部が策定しており、園の裁量で執行できる金額は、月20万(固定費含)×12か月と定められています。なお予算や決算状況は、職員会議で職員に伝えており、予算・決算書類は、施設長デスクに保管しています。重点課題や重点目標は、事業計画書、会議資料に明示されており、その中で最も優先順位が高いものは、地域子育て支援事業となっています。

単年度事業計画は毎年度末に作成し、事務室キャビネット、共有ドライブに保管して職員会議で職員に伝えています。数値目標を定めている重点課題や重点目標は、インスペクトA評価の取得、充足率70%、離職ゼロ、主任ライセンス1名の取得です。事業計画の進捗状況は、職員会議で職員に伝えており、事業計画の内容を年度途中で見直す場合は、職員会議、リーダー会議で検討しています。なお単年度事業計画を見直す際は、施設長が決定権を持っており、実施予定期間の途中で計画内容を見直した事例として、保育補助職員の配置転換があります。

法人職員または保育職員として守るべき法や規則についてまとめた書類として、コンプライアンス規定を整備し、書類は事務室のキャビネットに保管しています。なお法人職員および保育職員として守るべき法や規則については、コンプライアンス研修を実施しており、職員の理解度については、入社時研修、動画研修による事後テスト、報告書、社内監査、年2回の自己評価時期(7月、2月)に確認しています。守るべき法や規則に対する理解度が不足している職員に対しては、施設長面談、マネージャー面談、改善報告書の提出を実施し、支援しています。

苦情解決制度として、苦情受付担当者をクラス担任と主任、苦情解決責任者を園長が担っており、利用者には利用方法と併せて、重要事項説明書、入園説明会、エントランス掲示で伝えています。なお利用者から意向や要望を伝えられた際は、虐待防止・苦情対応マニュアルに沿って対応しています。同マニュアルには、職員の子どもに対する言葉づかいや立ち振る舞いの規範も示されており、研修などで職員に周知しています。虐待対応に際しては、文京区子ども家庭支援センターなどの専門機関やネットワークと連携を図りながら取り組むこととしています。

ボランティアや実習生の受け入れについては、実習生対応マニュアルに沿って対応しています。また子育て支援事業として、保育体験会、小中高生職場体験、出産を迎える親の体験学習を実施しています。保育体験会では、法人で用意しているスライドで保育の様子を伝えていますが、園でも独自のスライドを作成し、クラスの様子や食育の様子を細かく伝えるなどの工夫をしています。そのほか、施設長が文京区園長連絡会などの地域ネットワーク会議に参画しています。

運営に係るリスクとして、最優先で対策に取り組んでいるリスクはコロナ感染予防対策で、2番目が事故防止、3番目が災害です。これらの運営に係るリスクについては、危機対応、安全管理マニュアルに明示され、職員会議で対策を検討しています。なお特に優先順位の高いコロナ感染症予防対策については、法人で独自に感染状況による実施基準表を作成し、全園に展開しています。事故などが発生した際は、事故報告書、保健日誌に記録し、発生要因は事故発生防止会議で分析の上、再発防止策を連絡アプリ、園だよりなどで利用者に伝えています。

個人情報の利用目的や開示請求の方法を明示する資料として、個人情報保護規定を整備し、重要事項説明書で利用者に伝えています。また情報管理規程や文書管理規程の内容は、職員会議で確認しており、その内容はスタートアップ研修、コンプライアンス研修を行い、職員に伝えるとともに、情報管理規程や文書管理規程の遵守について、入社誓約書を取り交わしています。なお個人情報や気密性の高い情報を含む文書は、施錠付きの施設長デスクに保管しており、情報管理の質を確保するため、内部監査、インスペクトを取り入れています。

事務室の書棚やキャビネットで管理している文書は、運営部保育施設27ファイル一覧(園独自のマニュアルも設置)にまとめ、持ち出しや返却状況を確認しています。また園内PCで作成するデジタルデータは、法人本部が管理しているサーバー内で保存しており、PCやクラウドにログインする際のパスワードは、法人本部情報システム課が管理変更しています。また機密文書の破棄についても、法人本部情報システム課が行っています。

法人または園が求める職員像については、社史、オリジナル教科書、求められる人財像などに記載されており、職員の求人は、ホームページ、採用フェア、学校との連携、外部求人媒体で行っています。求職者の応募を促す工夫として、インターンシップ、短期求人サービスを利用しています。なお法人で整備しているキャリアパスシートに設定されている階層の数は8階層で、その内容は入社時研修、相互育成面談で職員に伝えています。キャリアパスシートに記載した初任者研修の具体例として社会人マナー、保育基礎などがあります。

法人または園全体の研修計画は事業計画書に明示されており、職種別の研修計画は、gbHD会議体・研修一覧に明示されています。なお個人別研修計画は、全職員で作成しており、非常勤職員についても作成しています。職員一人ひとりの育成の成果はブロック会議で確認しており、職員の意向や経験と併せて相互育成評価表に記録しています。職員の指導方針は、共育担当者研修テキスト、新任施設長研修テキストに定めており、リーダー養成の具体的な方法として、マイスター制度、ライセンス制度、1on1を実施しています。

福利厚生の具体的な内容として、資格取得支援制度、社宅借り上げ制度、社員持株会、健康診断、制服貸与、給食費があります。職員の意識ややる気は、マイスター、ライセンス、面談、自己評価で把握・分析しており、施設長は職員のやる気向上に向け、残業時間の削減や希望休は全て取れるように調整するなど、プライベートが充実できるよう配慮しています。また園運営に関する情報は全てオープンにするなど、職員全員で考え取り組める体制整備を目指しています。

法人本部において、あい・あい保育園の案内「AIAI～笑顔と元気が溢れるもう一つの家～」を発行しています。併せて、園のリーフレットを作成し、保育理念・保育内容・教育プログラム・デイリープログラムなどの内容を紹介しています。また外国籍の利用希望者向けに、英語版や中国語版も用意しています。ホームページにはブログを併設し、保育の考え方や教育内容などについてより詳しく紹介しています。このような園情報は所属自治体にも提供し、区のホームページや保育園案内のしおりなどで閲覧することもできるようになっています。

見学の希望者には随時個別に対応しています。園見学は主に施設長が担当し、パンフレットなどを配布しながら、「教育プログラム・稼働式保育室・学習室・食アドバイザーの配置」などを特徴として紹介しています。また、保育体験の機会も随時設けています。今後に向けて、施設長以外の職員も園のPR(詳細な説明)ができるよう、職員育成とマニュアルの整備に取り組んでいます。

入園が決まった利用者には、入園パンフレット・児童票・離乳食個人票・未食表などを配付するとともに、2月下旬から3月上旬までの間に説明会を開催しています。その際、サービス内容について重要事項説明書に沿って説明するとともに、プライバシー保護について保育利用時間調査票で同意確認を得ています。なお、入園説明会であがった意見や質問は入園説明会実施記録に、把握した保護者の意向や園児の状況は保護者対応記録にそれぞれ記載し、保管しています。

入園前の子どもの生活状況(2週間分)や、アレルギーの有無、既往歴などを児童票や生活状況調査票に記録しています。また離乳食個人票・未食票などの記録により、子どもの健康や発育の状態について把握しています。その上で、入園時には10日間を目途に慣れ保育を実施し、保護者と子どもの不安やストレスの緩和に努めています。慣れ保育期間中は、保護者の保育に対する理解や安心を深めるため、保育参加や面談を実施しています。希望がある場合は、子どもの慣れ親しんだ抱っこ紐、お気に入りのタオルやハンカチなどの持ち込みを受け入れています。

卒園前に退園や転園をする園児には、園で保管していた制作物などをプレゼントしています。転園先には、保護者からの要望や必要に応じて電話などで園児の情報を引き継いでいます。

保護者や子どものニーズは入園前の個別面談や入園後の個人面談、保育参観、保護者会、送迎時の会話などで把握し、重要と思われる内容は児童票に記録しています。また入園後の子どもの心身や生活の状況について、法人共通様式の保育日誌に記録し、2歳児まで記録欄を設けています。併せて、あい・あい保育園のマスコットでもある「VEVO」がデザインされた連絡ノートやスマホアプリを活用して、日々保護者と情報を共有しています。それらの記録は、0・1歳児は毎月、2歳児は4半期、3歳以上になると半期毎に、発達記録に集約しています。

法人で作成した全体的な計画を全職員で確認し、園固有のニーズを反映させています。またクラス毎に年間・月案・週日案指導計画を作成し、指導や活動の内容を具体的に示しています。0・1・2歳児及び、要支援児は個別指導計画を作成し、3歳児以上のクラスは月案に個別の配慮欄を設けています。全体的な指導計画はエントランスに閲覧ファイルを設置し保護者に周知しており、その内容や成果については保護者へ懇談会・保護者会で報告するとともに、個別の様子は面談や「AIAIレポート(成長記録および保育の経過記録)」を通じて伝えています。

保育目標の達成状況や指導計画の推進状況は、クラス会議・リーダー会議・職員会議で評価しています。職員全体会議は毎月1回開催し、保育士・看護師・栄養士・調理士などの正規職員が参加しています。クラス別会議も毎月開催しています。指導計画は、月案反省・4半期反省・年度末で見直しを行うとともに、クラス会議やリーダー会議で検討し、緊急に見直しを行います。なお、職員会議では議事録を作成し、閲覧した職員は押印する仕組みとしています。職員ミーティングは毎日30分間行い、事務連絡の内容は昼礼ノートに記録しています。

保育環境のコンセプトは、「もう一つの家」としています。園内には、生活目的に応じた食事・着替え・排せつ・午睡などのコーナーと、遊びに応じた絵本・ブロック・製作・ままごと・指先遊び・構成遊び・運動遊びなどのコーナーを設けています。特に幼児フロアではクラスをまたがって遊びのコーナーを設けており、子どもが自ら居場所や遊びの内容を選べるようにしています。

4・5歳児クラスでは縦割り保育を行っています。併せて、2歳児以上のクラスでは異年齢交流の機会を設けるとともに、年上の子どもが年下の子どもの生活の手伝いをしたり、一緒に散歩に出かけたりしています。一方、異文化に親しむ機会として、外部の専任講師のよる英語レッスンを行っています。その他、国旗の作成や給食の献立を通じて、世界や国内各地の文化に触れています。就学を見据えた時期には、他園児との交流も行っています。

要支援児を受け入れる際は、区の家庭支援センターや教育センターと連携し、心理士や理学療法士などから助言を受けています。発達の過程で生じる園児同士のけんかやかみつきなどに対して、職員は研修において子どもの気持ちを尊重する知識や技術を学び、対応しています。園児同士のトラブルや事故が発生した際は、事故報告書やヒヤリハット報告に記録し、職員間で共有しています。小学校への円滑な接続に向けて、「就学前能動的学習プログラム(PAL)」を導入し、数量や図形、文字などに関わる感覚を豊かにし、創造的な思考の基礎を培っています。

朝の受け入れは玄関で行い、0歳児はその場で保護者が検温しています。担任または当番職員が前日からの様子を聞き、子どもの顔色や表情を観察しています。併せて、連絡帳の記載内容から家庭での様子や連絡事項を確認し、職員が共有するべき内容は日誌や申し送り簿、業務支援アプリにより共有しています。降園時には、担任または担当職員が申し送りノートを確認し、当日のエピソードを交えて子どもの様子を伝えています。なお、活動の様子は連絡ノートと園のブログでも伝えています。

園児の発達の段階と支援の方法は、保育基本マニュアルや障害児保育マニュアルに示しています。基本的に生活習慣については、全体的な計画、年齢別年間計画に基づき指導しています。目安として、食事のマナー・食具の持ち方・栄養素の知識が身につくよう指導しています。排せつについては0歳児からの便器慣れ、歯磨きについては歯科指導を行うとともに、4・5歳児になると歯みがきをすることにしています。着替えに際しては自分で服を畳んでいます。なお、子どもの成長や家庭の価値観に寄り添い、園生活の中でも指導は緩やかに行うようにしています。

デイリープログラムにおいて、午睡は12時30分から13時15分までに入眠し、14時30分から14時45分までに起床しています。寝具は、コットベッドとタオルケットを使用しています。眠れない子どもがいた場合は、空いている保育室などで静かな遊びをして過ごせるようにしています。また保育室内に落ち着ける環境を設けて、いつでも休息できるようにしています。なお、5歳児クラスでは9月頃から午睡を取らず生活し、主体的な学びの時間として「就学前能動的学習プログラム(PAL)」に取り組んでいます。

保育環境について、1クラスあたりの定員数を少なく設定し、子どもたち一人ひとりの興味・関心・意欲・発達段階などに合わせた保育の実践を目指しています。デイリープログラムでは、朝の会を開いてあいさつと歌唱をしています。また、朝と夕方に「自由遊び」の時間を設けています。午後には制作や表現活動などを行っており、各活動を行う際は、事前に遊びのルールを説明しています。併せて、園児が自分自身の気持ちをコントロールできるよう、話し合いの時間を設けています。

特徴的な教育内容として、幼児を対象に創造的な思考力の基礎を培う「就学前能動的学習プログラム(PAL)」を採用し、「玩具・教材・IQパズル・共同・総合」の各プログラムで構成された学びや遊びを子どもが主体的に行えるようにしています。また全年齢を対象に、専門講師による英語レッスンを週1回設け、歌・絵本・カード・リトミックなどの遊びを通じて英語に親しんでいます。さらに、お楽しみ会や作品の発表を通じて言葉の表現を学んだり、フィンガーペイント・にじみ絵・マーブリングなどを通じて芸術的なセンスを伸ばしています。

体を動かす環境として、多目的室を設けています。シナプソロジーの理論に基づき、脳機能の活性化と身体機能の基礎構築を目的とした運動プログラム「なないろキッズ体操」を行い、マット運動やボール、ラダーを使った運動などを通して多様な動きを体験しています。散歩は週2回程度実施し、児童遊園や護国寺などに出かけて、探索・鬼ごっこ・砂場遊び・固定遊具での遊びを楽しんでいます。その他、園生活では、夏野菜や季節の草花、ちょうちょなどの生き物に触れています。

子どもの成長や保育の成果を発表する機会として、親子レクリエーションやお楽しみ会を行っています。また年間行事として、子どもの日・七夕・七五三・クリスマス・お正月・節分・ひな祭りなどを行っています。なお、行事開催に向けて園児の興味や関心を高めるための工夫として、計画的な導入による意識づけと行事のテーマに合わせた装飾を行っています。実施後には、動画鑑賞や描画などにより行事を振り返っています。園児の誕生日はクラス単位でお祝いしており、冠をプレゼントしています。

年間行事予定表を年度当初に配付し、特に保護者が参加する「親子レクリエーション・お楽しみ会・保育参加・保育参観」などの行事について日程を調整しやすいよう配慮しています。併せて、具体的な内容について行事のお知らせを配付するとともに、園だよりや写真の掲示、ブログ・連絡アプリなどで子どもの楽しんでいる様子を伝え、保護者にも共感できるようにしています。実施後には保護者アンケートを行い、次の開催に向けた参考資料としています。また行事写真の撮影に際して、子ども一人ひとりにフォーカスすることを心がけています。

「笑顔と元気が溢れるもう一つの家」をコンセプトに、園内はブラウン系統の色や木調の素材、間接照明を用いたデザインとしています。保育室内では、壁面装飾を控えたり、くつろぎコーナーを設けたりするなど、心身を落ち着けることができるよう配慮しています。一人きりになりたい園児がいた場合は、職員室で過ごす場合もあります。また空調設備や加湿器の使用などにより、季節に応じた室温・湿度になるよう調整しています。併せて、シーリングファンにより室内の空気循環を促しています。さらに、全ての保育室に床暖房を完備しています。

17時45分になるとクラス別保育から合同保育に切り替わり、、1歳児保育室で過ごしています。子どもが長時間を園で過ごすことに配慮し、普段遊べない延長保育用の玩具を用意するとともに、スキンシップを大切にして心身共にゆったりと過ごせるようにしています。なお地域特性を背景として、延長保育の利用実績が非常に少ない状況であり、自ずと個別対応を図れる環境となっています。

幼児クラスでは、4・5歳児室を食事コーナーにして、異年齢の子どもが一緒に食事しています。各テーブルに保育士が寄り添い、落ち着いて食事できるようにしています。給食・おやつは、専門の業者が作成した「和食中心・国産食材」をコンセプトにした献立をもとに調理しています。行事や誕生日にちなんだ献立(七夕そうめんなど)を盛り込んだり、リクエスト給食を実施したりしています。栄養士と調理師は各保育室を巡回して子どもの喫食状況を確認し、調理の仕方を工夫しています。保護者には、毎月末に次月の献立表を配布しています。

初めて食べる食材については、献立表で食材を確認しながら家庭で2回以上試してもらい、その後、園での提供を行うようにしています。食物アレルギーがある場合は、除去を基本としつつも、米粉・はるさめ・マヨドレなどを使用して、代替食を提供しています。また安全を優先し、テーブルを別に設けて、色違いの食器や専用のトレーを使用しています。その際、子どもの名前・アレルゲン・代替内容を記載したり、受け渡し簿を活用して誤食の防止に努めています。

食に対する関心を深める活動として、ほうれん草・小松菜・茄子・ピーマン・トマトを栽培し、みそ汁やケーキなどの料理に取り入れています。クッキングは1歳児クラスから行い、おにぎりやトライフルデコレーションケーキを作って食べています。さらに、幼児クラスでは毎日の給食をセミバイキング(自分で盛り付けをする)形式で配膳しています。栄養士と調理師も、毎日園児と触れ合いながら配膳に参加しています。そして、職員は園児と一緒に食事をしています。

日頃からうがい・手洗い・歯磨き・鼻かみを習慣づけるとともに、随時爪の長さを確認しています。また、内科健診、眼科・歯科検診、歯磨き指導、交通安全指導、避難訓練を経験し、健康や安全について学ぶ機会としています。指導に際してパネルシアターや紙芝居を用いることで、子どもたちの関心を引くよう工夫しています。加えて、なないろキッズ体操を実践し、健康な体の育ちと柔軟な体づくりに取り組み、体幹を鍛えて怪我の防止にも繋げています。

健康管理の仕組みとして、子どもを受け入れる職員が心身の状態を確認するとともに、看護師が保育室を巡回して観察しています。また嘱託医による定期健康診断と身体測定を行い、健康及び、発達状況を確認しています。与薬は基本的に行っていませんが、食物アレルギー・熱性痙攣・持病・皮膚炎などの慢性疾患に限り、与薬依頼書の提出とともに薬を預かっています。SIDS予防として、午睡時に0歳は5分毎、1・2歳は10分毎、3・4・5歳は15分毎に観察記録を行うとともに、乳児にはベビーセンスを用いた健康管理も行っています。

園児の安全を保障するために、職員は救命救急法・感染症予防対策・エピペンの使用法等を学んでいます。また、嘱託医から季節の流行性疾患の地域情報や注意事項等の情報提供を受けています。保護者には保健だよりを発行し、季節に応じた健康管理の方法を伝えています。併せて、入園時に感染症罹患後の登園許可の基準を説明すると共に、流行している疾患の周知や予防対策等のポスターを掲示しています。感染症が発生した場合は、エントランスの専用掲示板に病名・症状等を掲示して発生状況を伝えるとともに、スマホアプリ配信により伝達しています。

職員は保護者対応マニュアルを確認するとともに、入職時研修とe-ラーニングにより保護者への接遇や相談対応の方法を学んでいます。その上で、日頃から連絡ノートや送迎時のコミュニケーションを通じた情報共有を行っています。子育てに関する保護者の価値観や就労状況については、個人面談票・児童票・育児相談シートに記録しています。併せて、個人面談を年2回(内1回は希望者のみ)実施しています。また保育園の日常的なサービスに係る保護者の意向は、行事・職員の接遇・スマホアプリ・保育内容などの視点で把握に努めています。

保護者の代表も参加する運営委員会(年2回開催)を通じて、保護者の意向を反映した運営やサービス提供が実現されるように努めています。また園内の子どもの様子を伝えていくために、行事や園生活の様子を撮影し、専用サイトで販売しています。併せてブログを毎日更新し、生活の様子を伝えています。保育参観や保育参加を実施する際は、保育内容や子どもの様子、職員の関わり方を知ることができるようにしています。さらに、「あい・あいレポート」を作成して、前期・後期を通した子どもの成長過程を保護者と共有しています。

子育ての考え方について園と保護者が互いの理解を深めるために、個別面談・保護者会・クラス懇談会でコミュニケーションを図っています。また子どもの様子を直接見ることができる機会として、親子レクリエーションを実施するとともに、保育参加を6月に、保育参観を11月に行っています。保護者を対象にした保育士体験や離乳食相談も随時受け付けています。

地域資源を活かした取り組みとして、児童遊園や交番などを訪れたりしています。また子どもが職員以外の人や地域に触れる機会として、ボランティアや保育実習生、インターンなどを受け入れる仕組みを整えています。さらに小学生の職場体験を積極的に受け入れて、子どもの交流の幅を広げています。

法人の個人情報保護規程があり、個人情報を適切に使用し、かつ保護していく方法を文書化しています。利用者に対しては、重要事項説明書の中で個人情報の取り扱いについて説明するとともに、写真掲載についての承諾書で確認しています。入園後には全体保護者会で説明する場合もあります。突発的に個人情報を提供する必要が発生した場合は、保育マニュアルに則って対応しています。

人権擁護や虐待防止をテーマに、園内研修を行っています。また園児の権利を尊重する視点について法人内で人権研修を行うとともに、人権擁護のためのセルフチェックリストを活用して確認しています。さらに自治体や専門機関が主催した虐待防止研修に職員を派遣するとともに、虐待に関するニュースなどが報道された際は、毎日行う昼礼で情報を共有しています。子どもを保護する必要が生じた際は、区や法人のマニュアルに従いつつ、子ども家庭支援センターと連携して対応する仕組みを整えています。

マニュアルは法人本部において、法人内系列園統一で作成しています。共通マニュアル・ガイドラインとして、「安全管理・衛生管理・食品衛生・健康管理・アレルギー・危機対応・虐待対応」などのリスクマネジメントや、「年齢別保育(発達表)・障害児・入園前面談対応・保護者対応」などの個別支援やコミュニケーションに係るものなど、多様なテーマについてまとめています。これらのマニュアルは職員会議の際に理解と活用を促し、事務室やサーバー内でいつでも確認できるようにしています。そのほか、給与文や社史は全職員に配布しています。

マニュアルは、系列園をエリア毎に分けて行う母店会議を経て上がった意見を受けて、本部会議で見直しを行っています。その際、各園のアンケート結果やクラス懇談会・運営委員会・個人面談などで把握した保護者の意向を反映させるようにしています。園内においては、職員会議でマニュアルの周知と気づきの集約を行うとともに、職員は分からないことが起きた場合や、業務点検の手段として活用しています。併せて、ビデオカンファレンスやOJTシートの活用により、業務の標準化を図っています。