東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

職員採用時から保育理念、保育方針、保育目標を明確にして伝え、入社後もさまざまな機会を通じてそれらに触れることで理解を深めています。今年度、運動会の種目等についての話し合いの際に、「KIDS FIRST」の考えに立ち返り、子ども達のためか？職員の自分達のためか？を問いかけ、具現化していきました。入園希望の保護者へ向けては、コロナ禍のため見学時間を制限して園の姿勢等について伝えているほか、入園前には面談を行いしおりを使って園の方針を説明して理解を促しています。

園長をはじめとした職員の職務については、運営会社として運営規程で明示しています。またマニュアルの中に職務分担表も示されています。開園して2年目を迎えていますが、園が目指す自由保育の実践に向けて課題があると園長は考え、日々の保育の中で職員へアドバイスをして、また職員会議や各クラスの問題に共に向き合い、より良い保育ができるように努めています。さらにスーパーバイザーとの定期的なミーティングで話し合いながら解決を図ることで、園をリードしています。

運営会社全体の方針にかかわる事項は役員会及び経営会議にて決定し、その内容は事業部長から月1回の園長会議で園長に伝えられる流れとなっています。園内では職員会議を週1回開いて行事の検討や意見を交換し、解決の難しい事案については園長会議に諮って解決する流れとなっています。緊急事態宣言が発出された際には、区からの指示を受けて園とスーパーバイザーでその後の対応について検討の上、保護者へ通知しています。保護者へ向けての決定事項の周知は、おたよりの配布と園内で掲示するほか、一斉メールも必要に応じて使っています。

保護者からの意見を聞く機会として、懇談会や運営委員会、行事後のアンケートなどが複数あります。昨年度もアンケートを実施し、その結果を集計して改善策を検討、実践することで要望等に応えています。今年度はこの第三者評価の利用者調査を活用して、保護者の声に耳を傾けています。職員からは年度末の会議で1年間の振り返りを行い、新しい計画書を作成して新年度を迎えています。区内では今年度多くの新規園が開設されたことから、今後保護者から「選ばれる保育園」になるための説明が社内で行われ、地域の情報収集も行っています。

園の1年間の活動方針を示した事業計画書は、運営会社より指定の書式に沿って毎年作成しており、保育の計画から行事、給食、研修などの構成になっています。しかし、中長期を見据えた計画は現時点では作られていませんでした。開園して2年目を迎え、自由保育の実践へ向けて取り組んでいるところですが、具体的な将来像を示し共有することも大切と考えられます。なお、運営に関する予算は本部が管理しており、園では大きな行事は2か月前から予算編成して、本部に稟議書をあげる流れとなっています。

計画の進捗状況を確認する場は、職員会議での話し合いが中心になっています。行事等の準備状況の確認、見直しを行い、保育に関する意見交換をしています。これらの取り組みにより、職員全体での共有は図ることができています。しかし、事業計画の進捗状況の確認という点においては十分に行われておらず、課題といえます。また目標の達成度合いをより明確にするためには、具体的に数値化していくとさらに良くなると考えられますので計画に盛り込んでみると良いでしょう。

就業規則に職員として守るべき事項が示されており、全職員が必ず読むことになっています。入社前研修でもこれらについて資料を読むこととなっており、継続的に職員が意識して遵守できるように取り組んでいます。新任研修では「保育士として大事なこと」「社会人として求められること」を学んでいます。また、保育運営マニュアルの中に「人権尊重と個人情報保護」や「心得（社会人としての基本行動指針など）」「虐待対応」の項目があります。これらの取り組みで職員としての倫理観等の醸成を図っています。

苦情解決制度については入園説明会で保護者に説明しているほか、入園のしおりにも記載して周知を図っています。保護者の意見を聞く機会として保護者会や運営委員会をこれまで開いていましたが、コロナ禍のため現在は書面で意見を募り、対応が求められる意見については検討しています。虐待防止の取り組みとして職員が定期的に研修を受講し、学んできた内容を園内で報告、共有することで理解を深めています。虐待と思われるケース等を発見した場合には、区と子ども家庭支援センターと連携する体制を整えています。

園内の様子を広く外部へ発信するために、今年9月からホームページでバーチャル園見学ができるようになりました。給食の試食会も行っており、興味のある保護者が参加することができます。実習生の受け入れは基本方針を示し、中学生の職場体験の受け入れも可能としています。開園間もないため実績はまだ少ないですが、受け入れ体制は整っています。地域に住む在宅子育て家庭への支援は、散歩で公園に行った際に交流する機会がありましたが、アフターコロナではより積極的にかかわっていきたいと園としては考えています。

安全管理、災害対策、ケガの対応等、リスクマネジメントに関するマニュアルが揃えられています。これらの内容を理解、実践できるようにマニュアル研修が用意されており、職員が必要に応じで受講しています。現在は新型コロナウイルス対策が最優先事項となっていて、その次に園内で起きる事故対策が重要と捉えています。比較的若手の職員が多いことから、どのような事故が起きうるのか把握するためにヒヤリハットを充実させています。毎月クラス、内容別に件数を集計してグラフにする等の取り組みにより、職員の事故に対する意識が高まっています。

災害時対応として、「循環備蓄食品運用マニュアル（ローリングストック法）」を策定して、非常食等の備えをしています。防災計画も用意し、避難訓練は毎月実施し、想定を変えながらいざという時に対応できるよう準備しています。BCP（事業継続計画）については未策定のため、今後の課題となっています。入園のしおりには「園での病気や怪我の対応」「非常災害時の対策」等を明記して、保護者への周知を図っています。

保育運営マニュアルの中に「情報管理」の項目があり、文章等を作成するにあたっての表現に関することや、記録する情報が最新かどうかをチェックするなどのポイントが示されています。また、文書管理については「文書分類基準表」で大分類から小分類、保存期間等を一覧にまとめられていて、この表に沿って種類ごとに色を付けて書棚に保管しています。パソコン内のデータについてはアクセス権限が設定されており、パスワードも一定期間で変更することで情報漏洩等の防止に努めています。個人情報の取扱いは規程に基づいて行われています。

職員採用面接の際にチェックシートが用意されていて、保育園が求めている人物像と合っているか、理念に共感しているかを見定めています。正規職員は本社で募集し、面接と見学は保育園の現場で対応することで、応募者に会社と保育園の様子をつかんでもらうようにしています。社内には複数の系列園があることから、毎年秋頃に実施する職員意向調査アンケートを基にして、育成や将来の人材構成を見据えた人事異動が定期的に行われていますが、異動を希望しない場合には在籍園で継続して勤めてもらっています。

保育運営マニュアルの中に「階層別の職員の役割と研修課題」があり、初任者から園長までの5階層のキャリアパスが示されています。また、長期的な育成を目的としたキャリアアップを導入して、自己評価シートを基にした人材育成計画を策定しています。職員一人ひとりに関しては、年度初めに社内の研修一覧を確認して受講計画を立てています。今年度の研修はオンラインが中心となっています。しかし、これらの計画と実践において一貫性が確認できませんでした。会社の示すキャリアパスに沿った計画と実践が行われるよう、見直してみるとよいでしょう。

職員の頑張りを評価する人事制度を導入し、役職別・経験別の賃金体系を作り、公平でやりがいの持てる内容に改善しています。評価によって賞与が変動する仕組みになっているほか、頑張っている職員にはキャリアアップの対象に選び、育成を図っています。働きやすい環境を作りために、シフトを作る際にはできる限り希望通りに休みが取れるように配慮し、夏休み等の長期休暇もリフレッシュできるようにしています。職員間の親睦会はコロナ禍のため中止していますが、状況をみて計画していきたいとしています。

入園を希望する保護者に対して、ホームページやパンフレットなどで園の情報を提供しています。ホームページやパンフレットには保育理念や方針、目標などをはじめ、園の概要、開園時間、１日の流れ、年間行事スケジュールなどをイラストや写真入りで掲載して、園の利用を検討している保護者にとって必要と考えられる情報を提供しています。また、園舎についてはライブビューイング撮影を用いた「バーチャル園見学」が出来るように工夫して、園舎の特徴や生活をイメージし易く紹介しています。

区のホームページに園の概要や、入園申し込みスケジュール、空き情報等を掲載しています。区の入園課保育コンシェルジュ（保育所専門相談員）には園の特色や暮らしが伝わるような写真つきの資料を提出し、保育園を探す人のサービス選択に役立てて貰えるようにしています。園に入園を検討する親子向けに、予約制の「園見学・試食会」「公園イベント」「園庭開放」等のイベントを開催しています。園のホームページや園の外壁の掲示物、近隣家庭へのチラシのポスティング等で案内をしています。入園希望者が園に関する情報を入手しやすく工夫しています。

保護者からの見学等の問い合わせには柔軟に対応し、随時電話等で予約を受け付けています。現在のコロナ禍の状況もあり、園見学は１日当たり３名上限で、見学時間は午前中に設定して、園児の様子や職員の関わり方など、ありのままの保育の様子を見て貰えるようにしています。園では予約制の「園見学・試食会」「公園イベント」「園庭開放」を開催しています。給食の試食をしたり、入園希望児の年齢に合った遊びや活動を実際に見て貰い、個々の質疑応答にもきめ細かく答えて、園での暮らしがイメージしやすくなるように配慮しています。

入園内定者には「入園のしおり」を使って、園の保育理念・園目標・園の１日・食事・延長保育、健康・安全管理、個人情報保護、苦情処理等の重要事項を説明し、保護者から同意を得ています。入園前面談では、保護者が記入のうえ持参した「児童票」をもとに、入園前の子どもの生活リズム（食事・授乳、睡眠や排便）や好きな遊び、かかりつけ医、アレルギーの有無、保護者の保育への意向等について詳細を確認し、必要な情報を把握しています。かかりつけ医による健康診断書も提出してもらい、子どもの健康状態を把握しています。

サービス開始に当たり、全職員が一人ひとりの子どもの「児童票」等の内容を予め把握し、一斉保育ではなく、入園前の個々の生活リズムに合った保育を進めています。入園後の環境変化による子どもの負担やストレスを軽減するため、子どもの様子や保護者の意向や状況に応じて「慣らし保育」を実施しています。慣らし保育は短時間から始め、子どもの様子に応じて徐々に時間を延ばして行き、１週間程度を目安に実施します。慣らし保育期間中は、保護者と密に対話し、スムーズに園の暮らしに慣れることが出来るように取り組んでいます。

子どもが転居等により退園・転園する際には、保護者に対して必要なアドバイス等を行っています。例えば、園として「こういうところに注意して保育を進めていた」事柄や、噛みつきの多い子であれば、園としてどのように対応していたか等の情報を伝えて、新しい生活環境で活かしてもらえるように配慮しています。現在園ではコロナ対策のため、外部の人を招いての行事開催等は見合わせていますが、今後は状況を見て行事のお誘い等をして、退園・転園しても、園に気軽に遊びや相談に来てもらえるようにしたいと考えています。

子どもの心身の状況や園での生活状況は「個別指導計画」をはじめ、児童票の「発達記録」「保育経過記録」等の書式に記載して、個人別ファイルに纏めています。「個別指導計画」は全ての乳児・個別に配慮の必要な子ども等に対して作成し、子どもの姿、育てたい内容、保育者の関わり・援助・配慮、評価・反省を記載しています。一人ひとりの子どもの特記事項や成長の様子は、毎月個別の「健康手帳（予防接種・健康診断・既往歴等の記録）」等に記載しています。また区との協働で「歯科検診記録簿」を用いて、子どもの歯について情報共有を図っています。

園で作成した保育課程に基づいて、各指導計画（年、月、週）の他に「個人別指導計画」を作成しています。「個人別指導計画」は全ての０～２歳児と、個別に配慮の必要な子ども（幼児はクラス毎）に作成しています。「個人別指導計画」は子どもの発達状況や、保護者との個人面談等で把握した意見や要望も考慮しながら作成しています。子どもの実態や状況の変化を把握のうえ、ねらいを定めながら保育を行い、目標が達成されたら翌月には新たな目標を定めて保育を行うようにしています。

職員間の引継ぎには２種類の「連絡伝達ノート」を活用しています。職員は出勤時に「連絡伝達ノート」の内容（子どもの特記事項、保護者との連携が必要な事項、業務伝達事項等）を確認し、各クラスの「引継ぎボード」「保育日誌」「連絡帳」等の内容を確認してから保育に当たっています。また毎日「昼礼」を行って、当日の活動内容や保育の進め方等について情報共有をしています。毎月の職員会議では、事故やヒヤリハット等の全体共有を図り、保育に悩む事例等について話し合うなど、重要な情報が職員間で共有されています。

職員会議等では、園の理念である「子ども主体の保育」について考えたり振り返りを行いながら、一人ひとりの子どもが「やりたい」と感じる遊びの環境作りに取り組んでいます。職員が子どもの遊びこめる玩具を手作りし、コーナー保育の玩具や制作・塗り絵などの材料を用意したり、きめ細かく新しいものに入れ替えて、子どもの好奇心や意欲にすぐ応えられる環境となるようにしています。やりかけの遊びは取っておく場所を作り、子どもが見通しを持って遊べるようにしています。遊びを自分で選べる環境を通じて、楽しく子どもの主体性を育んでいます。

園では日頃から異年齢保育を取り入れています。日々の散歩では、幼児クラスの２歳違いの子どもたちが手を繋いで出かけています。年下の子が年上の子に憧れて成長の意欲を持ったり、年上の子は年下の子を労るなど、互いに良い刺激を受けて育ち合う保育を進めています。園の行事の運動会では万国旗を飾り、子ども達にその旗の国の話をして聞かせ、ハロウィンやクリスマスでは、楽しく異言語や異文化に触れられるようにしています。異年齢交流や行事を通して、子ども達が年齢・文化・習慣・性別等あらゆる違いを尊重できるように働きかけています。

発達の過程で生じる子ども同士のトラブルの際には、必ず当事者同士の思いをくみ取って理解する態度を示すようにしています。その上で「してはいけないこと」をしっかりと教えるようにしています。また、年齢や個々の子どもに応じて、子どもたち自身で問題を解決しようとしたり、話し合いで決めようとしている時には、職員がむやみに介入せずに「見守る」保育を行うようにしています。子ども同士のトラブルが起こった際には、保護者にどういった経過だったのかを伝え、噛んでしまう子に関しては家庭での様子を見て貰うように連携を図っています。

登園時には園長自ら受け入れ対応を行っています。子どもの視診を行い、保護者に子どもの体調や前日からの家庭での様子等を聞き、気になることはその場で確認するなど、丁寧に受け入れています。子どもの特記事項等は「引継ぎボード」に記載し、職員間で情報共有のうえ連携しながら対応しています。降園時には連絡帳や口頭でその日の子どもの様子を伝えています。また各クラスごとにその日の活動を伝える写真やコメントを掲示し、子ども達の生き生きとした姿を目で見て分かり易く伝えることで、帰宅後の家庭での楽しい話題となるよう配慮しています。

園では年齢ごとの発達の目安に捉われて「この年齢なら出来る、やりなさい、という言葉かけはしない」ことを基本として、個々の子どもの成長に合った働き掛けや援助を行っています。保護者とは日々の送迎時の対話、連絡帳、個人面談などを通じて子どもの発達の様子を共有し、離乳食の進め具合やトイレトレーニングなど、その子自身の意欲やペースに応じた援助が出来るように連携しています。衣類の着脱等は日々の積み重ねをはじめ、ごっこ遊びでエプロンや可愛いコスチュームを考えながら着脱する等、楽しみながら身に付けられるように工夫しています。

登園時の保護者との会話や連絡帳の記載内容から子どもの状況を把握し、午睡の設定時間以外にも随時必要な休息がとれるように配慮しています。低年齢児が機嫌よく過ごせるように随時必要な睡眠を取らせたり、前夜の睡眠不足・病み上がり・疲れている様子などの子どもには、横になれるスペースを設けるなど、個々の子どもが無理なく過ごせるよう配慮しています。幼児になると午睡の時間を徐々に短くしていき、その時間をボードゲームやテーブルゲーム遊びの時間に充てながら、就学に向けての生活リズムを無理なく作っていけるように配慮しています。

自由保育を基本として、積み木やブロック、おままごとやお絵描き、制作などの多彩な遊びを子どもが自ら選び、思い思いの自由な世界に発展させられるようなコーナー保育を展開しています。静と動の活動空間は分け、子どもが夢中で遊びこめる環境となるよう工夫しています。各クラスの絵本コーナーで好きな絵本をゆっくり読んだり、保育室の床にレールを敷いて電車遊びをしたり、天候が悪くても体を動かしたい子どもがいれば、ホールを活かしてかけっこすることもできます。日々子どもの発想を活かした自由な遊びが出来るように働きかけています。

各クラスでダンス遊びやリトミックを取り入れ、心と体をのびやかに使った表現活動を楽しめるようにしています。制作活動では子どもの「作りたい」気持ちが育つように、職員がまず制作をして、自然に子どもの関心が向くように働きかけています。制作では立体や平面、素材の違うものなどを自由に選んだり組み合わせられるように多種の材料を用意して、子どもの発想や個性を自由に発揮出来るようにしています。自由時間には園庭の大きな窓ガラスに直接絵の具で絵を描けるようにする等、子どもが生き生きと自由な表現を楽しめるように工夫しています。

園内には季節や行事にちなんだ制作物等を飾るほか、季節を感じられる絵本を取り入れたり、旬の野菜や植物を栽培して、季節の変化に自然と関心を引き出せるように工夫しています。日々の散歩では職員が声をかけて、自然の変化に目が向けられるように働きかけています。園の周辺には遊具のある公園、四季折々の自然が楽しめる公園などがあり、目的に応じて訪れています。園庭ではバッタやカマキリ等の虫捕り遊びや夏の水遊びができ、秋には戸外活動で落ち葉や木の実拾いなどをして、子どもたちが自然や季節のうつろいに親しめるようにしています。

お正月遊び・節分・ひな祭り・子どもの日・七夕・運動会・発表会・ハロウィン・クリスマスなど、年間を通じて楽しい行事を多数企画しています。行事の何日か前から、職員がその行事にちなんだ壁面制作や写真などを飾りはじめ、絵本などを出して読めるようにしています。子ども達がそれらを見て好奇心を持ち、自分達も「作ってみたい」「行事をやってみたい」という気持ちを盛り立てて、一人ひとりの子どものペースで楽しく参加出来るように工夫しています。子ども達が行事作りの段階から参加できる、楽しい行事を開催しています。

子どもたちが園の暮らしの中で出来るようになったことを、運動会や発表会で発揮出来るようにしています。今年の運動会は園内の中央ホールを活用して行いました。子どもの年齢に応じてかけっこ・障害物競走・ダンス等を行い、年長児は一人ずつの見せ場を設けて、鉄棒やなわとびを保護者の前で披露しています。今年度末の発表会でも、子どもたちが日々練習して出来るようになった出し物などを、保護者にお披露目したいと園では考えているとのことです。子ども達の成長の姿を、行事で生き生きと発揮出来るように取り組んでいます。

保護者には年間行事予定表を配布しています。昨年度はコロナ禍により保護者参加型行事の開催は見合わせましたが、今年度の運動会は開催方法を工夫し、各家庭からの参加者上限を設けて実施しました。各行事の写真は「特別掲示」として、保護者に楽しい行事の様子が出来るだけ伝わるように工夫しています。保護者が園内で子どもの様子を直接見る機会が減ってしまったため、保護者向けの動画配信サービスも開始しました。園としては、今後も保護者の理解と協力を得ながら、子どもたちの成長の姿を伝えられるように努めたいと考えています。

園では現在、延長保育を利用している子どもが１名のみということもあり、夕方の延長保育の時間帯からは職員が子どもとマンツーマン体制で、不安や寂しさを感じずに過ごせるようにしています。職員が子どもから愛着心を持ってもらえるように、スキンシップや個別対応をしながら手厚く関わっています。子どもの体力に配慮して適宜休息の時間を設け、補食や夕食を提供して、無理なくゆったりと過ごせるように配慮しています。

延長保育の時間帯は、日中活動では味わえない特別感を感じることで、お迎えを待つ子どもが時間を気にせず楽しく過ごせるように配慮しています。子どもと職員の２人きりとなるため、２人だけでかくれんぼをしてみたり、延長保育用の玩具でじっくりと遊んだり、コーナー保育の環境設定をこまめに変えるなど、様々な工夫をしています。また、時には職員のお手伝いをする等、子どものやりたいことや意向に沿った過ごし方で、安心して保護者のお迎えを待てるように配慮しています。

子どもの発達に合ったテーブルや椅子、食器などを使い、落ち着いて食事ができる環境にしています。離乳食の子どもには職員が向かい合って座り、子どものペースで食事を摂れるように援助しています。園では完食することのみを目指すのではなく、「これだけ食べられるようになった」「苦手なものも一口食べてみた」等の自信や楽しさに繋がる食事経験が積めるように配慮しています。園では区の推進する「ベジファースト（一口目は野菜から）」について子どもたちに伝えたり、一人ひとりの子どもに合わせてマナーの習得も少しずつ進めています。

園の栄養士が献立を作成し、厨房で手作りの給食を提供しています。園では天然出汁を活かした調理にこだわり、前日精米した白米を提供しています。子どもの味覚の発達に合わせた味付けや食形態に配慮し、目で見ても美味しく食べる楽しみを感じさせる行事食や郷土料理等も取り入れて、バラエティ豊かな献立を心掛けています。離乳食は一人ひとりの状況に合わせて保護者と連携しながら進め、食物アレルギーがある子どもには医師の指示のもと除去食や代替食を提供し、全ての子どもに安全で美味しい食事の提供に努めています。

子ども達が小松菜・トマト・ナス・枝豆などを栽培し、日々世話をしながら自然の恵みに触れています。毎日園で提供する白米の精米過程を掲示して、子ども達に伝えています。その他、給食で提供する野菜の頭としっぽを使ったクイズ、野菜スタンプ遊び、野菜の皮むきなどの楽しい活動を展開しています。給食の時間には栄養士が子ども達に何の野菜が入っているのかを説明し、野菜を食べられることを褒めることで、殆どの子どもが食わず嫌いや好き嫌いを克服しています。日々の食材に親しみ、美味しく食べられるようになる食育を進めています。

園の看護師が主に幼児クラス向けに「手洗い指導」、「うがい指導」を実施しています。園内で毎朝楽しい手洗いの歌を流し、子どもが楽しく手洗い・うがいの習慣づけが出来るように工夫しています。日々の戸外活動では、その都度交通ルールを確認し、遊ぶ時には遊具や公園でのマナーや約束事を確認してから遊ぶようにしています。毎月の避難訓練では、地震や火災から自分で身を守ることができるように指導しています。また区との協働で歯科医による歯科指導や歯磨き方法についての掲示をして、子どもが歯の健康を守れるように指導しています。

保育中の子どもに急な発熱があれば保護者に電話で一報し、状況や対応を伝えています。高熱その他の異常が見られる際には保護者に相談のうえ、引取り・外来受診等を依頼しますが、緊急時は嘱託医等に速やかに受診してもらいます。熱性けいれん等の発作リスクを持つ子どもは現在在籍していませんが、かかりつけ医による「与薬に関する同意書兼指示書」と指示薬を預かり、速やかに対応できるようにしています。その他、アレルギー等を持つ子どもへの対応は児童票等に纏め、発症時の対応手順を職員間で共有しています。

年２回の嘱託医による健康診断、毎月の身体測定等の結果は保護者に伝えて、子どもの健康と発達状況を共有しています。また、区の予防接種や健康診断などを受けているかどうかを保護者に確認するようにしています。乳幼児突然死症候群の予防に対する園の取り組みは、入園時に保護者に伝え、家庭でも仰向けで寝る習慣が身につくように依頼しています。園の玄関先の掲示物や「園だより」「ほけんだより」では、流行感染症などの注意喚起等、時期に応じた内容を掲載して、子どもの健康に対する保護者の意識向上を働きかけています。

保護者が安心して仕事と子育てが両立出来るように、柔軟な対応を心掛けています。保護者の就労・家庭事情に配慮すると共に、日々の送迎時の会話や連絡帳のやり取りで得た情報は職員間で共有して、必要な支援が行えるようにしています。保護者の残業等に応じて、急な延長保育の依頼には柔軟に対応しています。利用者調査でもこの項目は回答者の９５％が満足との回答で、「親の仕事や体調まで心配し、柔軟に対応して貰い感謝している」等の高い評価を得ています。園が保護者の状況を配慮して柔軟に対応していることが分かります。

昨年度から保護者会等の保護者参加型行事はコロナ禍の為中止していますが、個人面談は希望者に実施して、子どもの成長の様子や今後の保育の進め方について保護者と話し合い、共通認識を持てるように努めています。また、子どもの登降園時は玄関引き渡し対応としているため、今年度から「玄関掲示」という当日の子どもの活動の姿を伝える写真やコメントを掲示して、保護者に安心して貰えるように工夫しています。また、保護者のお迎え時には、口頭でその子の些細な事でも保護者と共有するように努めています。

保護者との日々のコミュニケーションを重視し、いつでも気軽に育児相談が出来るように配慮しています。クラスだよりでは月の保育のねらいや子どもの様子を発信しています。日々の子どもの様子は連絡帳や玄関掲示で伝え、行事の際は特別掲示を作成して、子どもたちの生き生きした表情を伝えています。園ではこの秋から動画配信も開始して、給食や外遊びの様子など、普段のありのままの園生活を伝えています。緊急事態宣言が解除されたため、園としては今後保護者に園内に入って貰いながら、さらなる信頼や共通認識を育んでいきたいと考えています。

区の推進する「ごみゼロ運動」に園として参加しています（この春は中止）。子ども達が軍手をつけて、公園や歩道のごみ拾いをしながら地域の方と交流したり、活動を通じて地域住民として貢献する機会を設けています。子どもの安全を第一に考えた場合、近年のコロナ禍により地域交流が困難な側面はありましたが、園としては今後、地域の児童館・図書館等の施設利用、進学を見据えた小学校との交流、高齢者施設訪問等、子どもの活動や生活の幅を広げられるような取り組みを検討していきたいと考えています。

設立後間もなくコロナ禍の影響を受けた当園ですが、そうした中でも密を避ける工夫をしながら地域の子育て家庭を招いての保育イベントを開催しています。「公園で遊ぼう」というイベントでは近隣の公園を使い、「園庭で遊ぼう」では園庭を活用して、同年代の園児と地域の子どもが一緒に遊んだり、保護者同士が交流出来るようにしています。今後は保護者の意向や感染症の状況を見ながら、実習生やボランティア等の受け入れや、園の周囲にある団地の方々を招いての行事開催等、更なる地域交流を増やして子どもの社会性を養っていきたいと考えています。

外部から子どもの照会があった場合（主に法人の乳幼児研究用データ）や子どもの画像を用いる際（社内報で園児の写真を使用する際には後ろ姿のみ、等の規定あり）については、事前に保護者から同意書を得ています。個人情報保護に関する「個人情報取扱規程」を職員に周知徹底しています。日々のオムツ交換や着替えは外部から見えない場所で行ない、幼児クラスでは全裸にならぬように上下別に着替えることなどを教えています。夏のプール遊びは遮光ネットを活用し、幼児の男児トイレはパーティションを用いて、周りから見えないように配慮をしています。

運営会社本部の入社前職員研修には、子どもの人権尊重をテーマにした内容を取り入れています。日々の保育において、法人の理念である「子ども中心の保育」がなされるよう、園長が各クラスの保育に入って職員に手本となる姿を見せながら、日々の指導に当たっています。職員が日々の保育で悩むことは、毎月の職員会議で話し合い、子どもにとって望ましい関わり方が出来るように職員間で話し合っています。全職員が子どもの気持ちに寄り添った保育を進めるため、いつでもお互いを注意しあえる環境を整えています。

虐待の防止や早期発見に努め、職員が理解を深められるよう取り組んでいます。運営会社本部の職員研修をはじめ、毎月の職員会議では資料を用いた勉強会を行って、職員が虐待というものについて学び、知識の向上を図っています。毎朝の子どもの受け入れ時には、子どもに身体的・精神的な変化や異常がないかを視診で確認しています。気になる子どもがいる際には、園長が直接保護者と会話を交わすようにしています。虐待の疑いが生じた場合には、「虐待防止マニュアル」に基づき本部、児童相談所、子ども家庭支援センター等へ通告する手筈となっています。

運営会社本部が全園共通マニュアルを作成しています。マニュアルは「Education Book」という社会人としてのマナーや自由保育の教育本と、キッズマニュアル、安全・健康・衛生管理、嘔吐処理、虐待対応、アレルギー対応等、保育現場で重要な業務マニュアルで構成されています。当園では独自にこのマニュアルを園の実態に即した簡潔版に纏めて、経験の浅い職員が日々の業務を進めやすくなるように工夫しています。マニュアルは随時確認できるように事務所に備え置き、基本部分は職員に配布して自学自習出来るように工夫しています。

社内研修や園内研修等で職員の知識・技術の標準化を進めていますが、今年度からはさらに職員の自学自習ツールとして「キッズポータル」というスマートフォンアプリを会社で導入しました。「キッズカレッジTV」という動画配信では５分間ほどの動画視聴で、効率よく専門知識の習得が出来るように工夫しています。個別事例対応・保護者対応・子どもの人権や虐待等、日頃の保育で職員が良く悩む場面をテーマに取り上げ、それぞれの場面で実際にどう動けばいいかのポイントを解説して、職員が直ぐに実践できるように工夫しています。

毎年、マニュアルや園のしおりの改正時期には、本部が職員アンケートを実施し、現場の意見を取り入れてより使いやすいものとなるように見直しています。運営推進委員会等で挙がった保護者の意見・要望等は、（例：日々の活動の様子を保護者に伝える玄関掲示で用いた写真販売の要望、等）園で出来ることはすぐ対応してより良い保育や園の運営が出来るように取り組んでいます。毎月の園長会議の際や、本部の担当者の定期巡回の際にも、保護者からの意見や要望を伝え、より良いサービスに反映できるように努めています。