東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

保育理念として、「・保育サービスを通じて、地域社会に貢献する。・保護者と共に子どもの育ちを見守り、子どもと保護者の思いを受け止める。」を規定しています。また、保育方針として「・豊かな人間性を持った子どもを育成すること。・やりたい活動を通して自信や積極性を身につけられる子どもを育成すること。」その他、３つの保育目標も設定しています。これら内容については、職員に対しては、職員会議で説明がされています。保護者に対しては、入園説明会で重要事項説明書を使用して説明が行われています。

経営層の意見で物事を進めるのではなく、一人ひとりの意見が聞き入れられる環境を作ることを一番大切にしています。会議の場で自分の思いや役割などについて伝える時間を持つようにしています。また、経営層は、事業所の目指すことの実現に向けて、職種別・役割分担表を作成するとともに自らの役割を理解し責任感を持って動けるように伝えています。職員会議で話し合う機会を多く持つようにしており、クラスミーテイング、リーダー会議での自発的な発言を促して、職員面談も随時行っています。

開園して３年目であり、リスクマネジメントや環境整備など園で基本方針を決めていかなければならない点が多くあり、改善に取り組んでいます。重要な案件の決定手順は、園長、主任で話し合うほか、リーダー会議で検討して決定しています。経費のかかるものについては、本社の承認を得て決定されています。また、本社で行われる園長会議等での決定事項については、決定の経緯を含めて職員会議やメール配信等で周知を図っています。保護者に対しては、決定の経緯を含めて園だより、メール配信、掲示等により内容を伝えています。

行事の後のアンケート調査は、コロナ禍の為行事縮小などの理由で、現在行っていません。利用者からのアンケートとしては、メール配信や紙面を配布して行い、利用者が関わる事項についての情報を収集しています。また、職員に対しては、事業所運営に対する意向調査を行って、それを基に面談を行っています。保護者からのご意見や要望の多くは、連絡帳や朝夕の送迎時に話され、早急に回答をする体制が整えられています。その他、今回初めて第三者評価を受け、利用者調査におけるご意見を話し合い改善に向けての対応がされています。

地域の会議である保幼小会議は現在中止されていますが、地域園長会議に参加し、情報を収集しています。大田区からの通知やニュースなどで得た情報を会議等で伝えたり掲示したりしています。これらで得た情報から検討内容を出し合い、その中で優先順位をつけて対応する課題を抽出し話し合いを行っています。また、グループ内で行われる園長会議において、収集した福祉事業全体の動向について整理・分析され話されており、それらを参考にサービス向上に繋げています。把握したニーズ等や検討内容を踏まえ、課題を抽出し解決策を検討しています。

理念・ビジョンの実現に向けた中・長期計画は本社での経営については策定されていますが、園においての園運営、保育士の育成等について策定されていません。年度ごとの事業計画書は、年度毎に目標、具体的内容等が決められています。カリキュラム作成では、年度が始まる前に各学年のカリキュラムを読み合わせすることで、縦の連携も意識しています。イベント計画や行事計画も作られ、それぞれ担当者を決め、職員会議で職員と内容の確認や計画の見直しをしています。計画に合わせた予算編成については、本社と協議して行っています。

福祉サービスに従事する者として、守るべき法・規範・倫理などは、就業規則の中の「服務規程」や社内規定に明示されています。職員会議やリーダー会議で定期的に確認し、周知徹底を図っています。また、保育指針や保育のあり方の研修において、人権やセクシャルハラスメント、プライバシーについても説明され、コンプライアンスの重要性を説明しています。職員に対して、守るべき法・規範・倫理などは、必ず会議において確認がされており、大切な事項や問題点が生じた場合などは、その都度会議等で伝えるようにしています。

入園面談や保護者会などを利用して事業者以外にも相談できる苦情解決制度を利用者に説明しています。これら内容は、重要事項説明書に、受付方法や受付担当者、解決責任者、第三者委員及び大田区の相談・苦情受付窓口の連絡先も載せるなどしています。対応の手順も決まっており、ホームページにも「クオリスキッズご利用の皆様へ」として、目的、解決の体制、解決と記録の報告、解決の通知、解決の公表等が記載されています。公表についてはホームページに記載されています。その他、1階玄関にもご意見箱を設置して利用者意向の把握に努めています。

ボランティア受け入れについては、事前に担当者によりプライバシーの保護、守秘義務、心構えなどをオリエンテーションで説明しています。開園１年目には、小学生と高校生の職場体験を行っています。また、学童に遊びに行ったり、音楽コンサートには近隣の方に手紙を出して招待しています。ボランティアの受け入れは、コロナ過で難しい面もありますが、保育園の役割や活動を理解して貰い、子どもたちの社会性も広がるため、受け入れていく予定です。コロナが終息した後、地域との関係づくりをさらに取り組んで欲しいと思います。

子どもの安全第一を目標にリスクマネジメントに取り組んでいます。侵入者対策として、学校１１０番及び防犯カメラの設置を行っています。保護者の要望により、子どもが道路に飛び出さないように、入口の２か所にポールをおいています。また、災害時の安全確保の対策として、関係機関の連絡先及び職員の役割分担を示し、迷わず対応出来るようにしています。ＡＥＤの使用方法などを含む救急救命講習も行い、いざという時に備えています。事業継続計画はまだ策定されていませんが、災害や深刻な事故に備えた、避難訓練等は毎月想定を変えて行っています。

ヒヤリ・ハットノートや事故報告書を作成しています。事故が起こった際、会議等で状況を説明し原因について分析し対応策を話し合っています。事故防止では、ヒヤリハットを見つけ、予防対策を話し合う事で、職員の事故に対する意識が高まっています。コロナが流行る中、感染症対策もマニュアルを作成し、消毒や検温、手洗いうがいを確実に行ったため、他の感染症も抑える事が出来ています。乳幼児突然死症候群（SIDS)の対策として、うつぶせ寝の危険性の再確認を行うとともに午睡チェックを行い、観察、見守りの強化を図っています。

個人情報の保護について、入園の際、個人情報保護の方針を書いた重要事項説明書を提示しています。これらには、個人情報の定義、収集、管理、利用・提供の例えが記載され、職員の守秘義務についても規定されています。保護者に対して、これら内容についての説明が行われ、同意書が提出されています。職員に対しては、入職時に説明が行われています。個人情報保護マニュアルも策定され、周知が図られています。個人情報の記載された書類は、鍵のかかる書棚に保管され、取り出すには園長の許可を取るようにしています。

職員の採用については、「・一人ひとりが子どもと向き合い、子どもの思いを受け止め、温かい保育を行ってほしい。・一人ひとりが責任感を持ち、職務に当たってほしいが、チームワークを大切にしてほしい。些細なことも職員間でしっかりと共有し、皆で対応策を考えていくことで、色々な考えを知り、保育の知識の幅を広げてほしい。」を採用の条件として、事業所の特色や雇用条件などの情報を広報し、本社の採用担当を中心に、採用を行っています。人員配置については、年度末に職員に対して意向調査を行い、職員の個性や能力を考慮し実施しています。

年度初めに園長との面談を行い、目標や課題に合った外部研修を年間予定表として作成しています。また、職員全員が必要と思われる内容に関しては園内研修を計画しています。開園３年目であり、若い職員が多く、本年度は「保育士自身が意識を持って課題を学習する。」「救命救急」「保育の質の向上」「保育指針や保育のあり方」などの園内研修を行っています。職員体制を整え、職員がたくさん研修に参加できる機会を与えています。研修後には研修報告書の提出を義務付けて、回覧や成果を発表し次年度に活かすようにしています。

開園して３年目であり、まずは子ども達や保護者の方と信頼関係を作る事を第一に園の運営を行っています。新しい職員が多く、職員間の連携をしっかりとる事（報連相の徹底）を行っています。会議等の場で職員同士で話し合う時間を設けたり、休憩時間をしっかり確保することで職員間のコミュニケーションが取れるように配慮しています。健康チェックを毎朝行い体調のチェックをすると共に、休暇は皆が平等に取得できるよう、声掛けも行っています。また、目標達成や課題解決に向けて、クラスごとに毎日ミーティングを行い課題を出し、話し合っています。

クオリスキッズ北千束保育園は平成３１年４月に開園して３年目を迎えました。０～５歳児７４名の定員です。利用希望者への情報提供はホームページと重要事項説明書（入園のしおり）で提供しています。ホームページでは、施設情報や園の特徴を紹介しています。また、英語教室、体操教室、サントレ（幼児のための言葉の教育）を導入していることも伝えています。重要事項説明書には年間行事予定、一日の保育園での過ごし方、保育所児童保育要録について、健康管理・病気の時の対応、持ち物のリストを乳、幼児に分けてわかりやすく説明しています。

クオリスキッズ北千束保育園は駅から１分という近さと十分なスペースのある保育室で入園希望者も多く、コロナ禍の中の見学はすべてオンライン見学とし、今年度は５０～６０名の見学者がいました。見学希望者は電話で受けて日程と時間を決めて一度に数名でオンライン見学をしています。見学は玄関、各保育室、子どもの活動の様子、保育士との関わり等動画を通し説明しながら参加しています。質問などは見学後に受けたりメールでやり取りをしています。事業所の情報等は、区役所とメールで事務連絡を取り合っています。

区役所から内定名簿が届いたら提出書類一式を送付します。コロナ禍で３月に説明会と面談を一緒に行いました。重要事項説明書（入園のしおり）を基に保育園の基本的ルールや重要事項などについて説明して同意を得ています。保護者から家庭状況調査票、入園までの生活状況、健康記録、健康診断問診票（０歳児、産休明け児）などの提出を受けて担任予定者が面接シートを用いて個別面談を行い、保護者の意向や保育時間、土曜保育などについて確認しています。入園時の健康診断は保育園で園医によって別の日を設定して行いました。

入園した子どもの支援に必要な個別事情は提出書類に記載された出生状況、一日の生活時間、睡眠、排泄、発育の経過、遊びなどを面接時に把握しています。面接シートに記録した内容は児童票と一緒にファイルし、個々の子どもの状況を職員間で共有化して受け入れ態勢をとっています。慣らし保育は子どもの状況や保護者の意向を聞きながら進めています。予定表通り乳児は２週間、幼児は５日間で終了できました。今年の新入園児は１８名です。卒園児への支援として夏祭りに招待状を出したり、これから卒園する保護者と個人面談をしています。

支援に必要な子どもの情報は統一した様式の「児童票」に記録して把握しています。子どもの心身状況や生活状況等についての発達経過記録は領域ごとに丁寧に記録しています。発達経過記録は、０～１歳児は毎月、２～３歳児は３カ月、４～５歳児は４カ月毎に記録し、項目ごとに保育士の援助や配慮が丁寧に記録され達成できた月を記入しています。年度末には発達上参考となる事項（情緒・行動・習癖等）を記録してアセスメントを行い課題設定をして次年度に引き継いでいます。保護者の状況に変化があった時は、申し送り表や会議で共有化しています。

全体的な計画は何度も職員会議を開いて読み合わせを行いながら検討しています。全体的な計画の中には・長時間保育児への配慮・特別な配慮が必要な子に対する配慮事項を設けて計画しています。年間指導計画は０歳児は３か月ごとの発達に分けて期別に計画を立てています。１歳児クラスからは領域ごとに策定し月間計画、週、日案に下ろしています。月案は前月の評価・反省と同じ用紙に次月の計画を立て一目で前月の様子が見える様式になっています。年間指導計画は３月に時間をかけて会議で話し合い反省し、新担任で次年度の立案を策定しています。

０～２歳児は個別月案、日誌があります。また発達支援児にも個別に計画を策定して支援しています。月案はクラスで策定し職員会議で報告し、目標に対してどうだったか、良かった事、改善する点、職員に周知して欲しいこと、クラスで困っていること等出し合って子どもの状況を全体で共有するようにしています。保育計画を保護者により理解して貰うために、週案を廊下に張り出し保護者にその週の活動を知らせています。またクラス便りで月の目標を掲げ、活動を紹介しています。保護者会議の記録に年間保育目標の説明をしている記録がありました。

入園までの子どもの状況や、入園後の発達過程や生活状況について児童票や、保育日誌、職員会議、リーダー会議等を行い子ども一人ひとりの全体的な姿を把握して各々の子どもに配慮した援助が出来るようにしています。子どもたちが「やってみよう、やってみたい」の気持ちを育む環境つくりを話し合い子どもの様子を見ながら環境設定に力を入れています。遊具の総入れ替えも行いました。子どもたちは自主的に遊びを広げ、友達と共有、共感する事で楽しい、お友達大好き、お友だちっていいな～という心を育てています。

子どもたちは早番や遅番では毎日異年齢で過ごしています。またお店屋さんごっこでは幼児クラスが一緒になって氷つくりなどを楽しみました。４～５歳児は、３歳児クラスの午睡後の片付けの手伝いに行っています。４～５歳児は一緒に外部講師による活動を一緒に学んでいます。乳児と散歩に行く事もあり、様々な活動を通して大きい子は小さい子をいたわり小さい子は大きい子に憧れて尊重し合えるように援助しています。特別な配慮の必要な子どもに対しては保護者と話し合い個別支援計画を立て、定期的に巡回指導を受けながら対応しています。

子ども同士のトラブルについては入園説明会や保護者会で知らせ保護者の理解を得るようにしています。特に子どもの噛みつきやひっかきについては子ども同士、保護者に対しての対応を説明しています。幼児クラスは仲が深まる一方でトラブルになる事があり、話せる場を作って子ども同士の解決を見守りながら自分の気持ちを伝えられるようにしています。小学校との接続に向けてはコロナ禍で小学校との交流ができませんでしたが、保護者の希望により就学支援シートを作成し、保育所児童保育要録と一緒に園長が小学校へ持参する事にしています。

登園時は必ず、声掛けをして子どもの様子や体調を確認しています。０～２歳児はスマホアプリを通して家庭での様子や保育園での様子を伝え合って子ども一人ひとりの生活リズムを配慮できるようにしています。３～５歳児はノートを使って連絡事項のある時に使用しています。一日の活動は乳児はスマホアプリで、幼児はホワイトボードを使って知らせています。早番や延長保育で担任と直接話せない場合は、申し送り表にその日の細かい事も連絡事項として記載し確認しながら引き継いで担当職員が口頭で保護者に伝えるようにしています。

休息については、特に０歳児は午前寝をすることがあります。年長児は２月から午睡なしで過ごしています。その時間を「月タイム」と名前を付けて製作をしたり数字の練習、屋上で遊ぶこともあります。基本的生活習慣は歯磨き、うがいは３歳児から始めています。２歳児のトイレトレーニングは保育園の状況を保護者に伝えながら連動してトレーニングが行えるように呼びかけています。３歳児は時計を見ながらお片付けの時間を意識、声かけあって片づけています。また、食育活動や保健指導を取り入れながら基本的生活習慣をわかりやすく伝えています。

保育目標は「子どもが健康、安全で情緒の安定した生活が出来る行き届いた環境を提供する」とあります。保育室は明るくて広く、仕切りを取って３クラスが一緒に活動できる環境にあります。職員会議で子どもが主体的・自主的に活動できる環境設定を話し合い、遊びこめる時間に留意したカリキュラムを策定して保育を進めています。また、集団遊びを意識して声掛けしながら導入を呼びかけています。季節ごとの様々な製作を楽しでいます。各クラスにはハロウィンの制作がありました。発表会の小道具作りやお店屋さんごっこの品物作りもしました。

乳児は言葉にならない思いや話したい気持ちを受け止めて子どもの思いを言葉で返しています。毎日の絵本や紙芝居など言葉に触れる時間を大切にしています。外部講師を招いて２～５歳児のサントレ教室は、「耳で聞く・目で見る・声に出して読む」の３つの要素を取り入れ映像やカードを見ながら楽しく言葉遊びができるようにしています。子どもたちは「楽しい！!」を感じています。英会話は、歌や生活に対する単語を学んでいます。５歳児の発表会の合言葉、「大きな声で・笑顔で・元気よく」を話し合い、約束通りうまく出来て笑顔が見られました。

１歳児の屋上遊びは電車や飛行機、鳥など様々なものを見たりシャボン玉やフープなどで遊びました。２歳児は手足をぶらぶら準備運動をしてから一斉に駆け出し、向かった先は倉庫横のアリの巣です。アリが何か運んでいると「ありさんがんばれ～」と応援する優しい面が見られました。蝶々やトカゲも見ました。「むっくりくまさん」「木オニ」等ルールを理解して遊べるようになりました。幼児は広い公園に行って警察が泥棒を捕まえながら牢屋を守る「ケイドロ」、追いかけたり、守ったり、逃げたりルールを守って遊ぶ楽しさや難しさを経験しています。

大きな行事として夏祭り、運動会、クリスマス会等があります。夏祭りはコロナ禍の行事で保護者１名の参加でした。くじ引き、ヨーヨー祭り、ゲームなどをしてフォトスポットを作って写真を撮って楽しめるようにしました。５歳児のお泊り会はスペシャル保育と名前を変えて１３時～２０時、ランチョマットを作ってカレーを食べてスイカ割りやダンスなどをしました。運動会は小学校の体育館を借りて行い、幼児の保護者１名の参加で、クラス別に分けて行い、かけっこ、リレー、遊戯、パラバルーン等を披露しました。クリスマス発表会は現在検討中です。

行事は子どもたちが興味や関心をもって取り組んでいる様子がクラス便り等で伺えました。英語はハロウィンなどでお菓子をもらう時に使ったり、サントレは言葉遊びを楽しみ、バルシューレ（ボール遊び）はルールや約束を守って参加し体を動かした遊びを楽しんでいます。他に季節を楽しむ行事として子どもの日、七夕会、プール開き、遠足、ひな祭、誕生日会などがあります。今年の大きな行事は形をかえて行いましたが子どもたちの期待に応える事が出来ました。４～５歳児は話し合いながら行事を盛り上げ達成する度に自信にもつながりました。

朝7：30～夕方18：30が標準の保育時間で、20：30まで延長保育を行っています。現在、延長保育の月極め利用者はなく18：30にはほぼ降園を終了しています。1階が玄関、２階に0～2歳児、3階に3～5歳児の保育室があります。朝の受入れは２階の1歳児室で行い、8：30になると幼児は３階に移動します。9：00から各クラスでの保育活動になっています。夕方はその日の状況に応じて乳幼児別で合同保育に入っています。保育時間が長くなり保育形態が変わり担当職員が変わっても、子どもたちがゆったり過ごせるように配慮しています。

全体的な計画や各クラス年間指導計画に「長時間保育児への配慮点」として、「園生活の中でゆっくり休める時間、のびのび過ごせる環境を提供する」「水分補給や検温など体調管理には十分気を付け、しっかり見守っていく」などを明記しています。夕方は、まだまだ元気な子、少し疲れてしまった子など個人差もありますが、それぞれに配慮した環境を用意するようにしています。乳児はパズルやシール貼りをしてクールダウンする時間も作っています。合同保育は異年齢交流の場でもあり、大きい子が小さい子にやさしく接しているほほえましい姿も見られます。

旬の食材を取り入れ季節感のある献立を心がけ、味付けをにも配慮して安全でおいしい給食を提供しています。子どもたちは好きなものから手を出しておいしそうに食べていました。喫食状況などを給食会議で確認し献立の工夫を重ねています。行事食には七草粥、七夕のお星さまゼリー、夏野菜カレー、十五夜のごま団子、クリスマスメニューなどがあります。世界の料理でポーランド、韓国、タイ、スペイン、フィンランドなどの味も楽しみました。卒園を迎える5歳児には、3月にリクエスト献立を取り入れたり、ビュッフェスタイルのお別れ会をしています。

乳、卵、バナナ、ナッツにアレルギーを持つ子どもが複数名在園しています。区指定の「保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導票」に医師による除去食品・除去の程度の指示を記載してもらい確認し、それぞれに除去食を提供しています。毎月の献立表は、保護者、栄養士、担任、園長で除去食材を確認しています。提供時にも職員間で確認を重ね、他児の給食に触れないようにテーブルを別にするなど誤食防止に注意を払っています。また、献立の中に食べたことがない食材や食品がある場合は、家庭で試してくださいとお願いし、安全を期しています。

食への関心を深められるように食育活動に取り組んでいます。プランターで育てたさつま芋は小さかったけど、子どもたちには収穫の感動や喜びがかけがえのない体験となりました。もっと大きなお芋に挑戦できるように計画していくことを期待します。4月には竹の子の皮むき、グリンピースのさやだしのお手伝いをして、竹の子ご飯や豆おにぎりをおいしくいただいています。もやしちぎりもしました。夏にはきゅうり、ピーマン、レンコン、オクラ、ゴーヤを使ってスタンプ遊び。冬には4～5歳児が突いたり捏ねたりして鏡餅作り、お正月の玄関を飾りました。

新型コロナ感染症予防対策として手指衛生の徹底、園内設備の消毒、定期的な換気などを日々行っています。保育園関係者に感染者が出たことを受けて、さらに予防体制を強化しています。玄関にはスタンド式のサーモグラフィーによる検温システムを導入しました。送迎時の受け渡しは玄関内に制限して、保護者には登園前の子どもの健康チェックをお願いしています。また、子ども自身が意識して感染予防ができるように、手の洗い方の保健指導ではブルーライトで洗い残しをチェックして目で見てわかるように工夫しました。鼻のかみ方の保健指導も行いました。

日常的に医療的ケアを必要とする子どもはいませんが、アナフィラキシーの既往がある子どもの内服薬やエピペンを預かり、緊急時には保護者と連絡をとり適切な対応をすることになっています。エピペンの打ち方の講習を行いました。ケガなどをした際は最寄りの専門医や園医に見てもらう体制を確認しています。乳幼児突然死症候群（SIDS)については全園児の睡眠チェックを行い予防体制をとっています。看護師が配置されていることで、もしもの時の対応はできますが、AEDや心肺蘇生法の救命講習を行って職員間での緊急時対応の共有化もしています。

健康診断は０歳児は毎月、１～５歳児は年２回行っています。結果は毎月の身体測定、歯科検診の結果とともに健康ノートにファイルし子どもの健康状態を確認しています。保護者と連携をとって子どもの健康を維持していけるように、「ほけんだより」では健康情報を発信し、コロナ感染予防のポイントなども伝えています。園だよりでも、コロナについて勤務先や上の子の学校などで感染者が出たり、家族が濃厚接触者となってPCR検査を受けることが決まった場合は必ず保育園に知らせるようにお願いしています。感染症発生時は掲示して注意を促しています。

「利用者が安心して子どもを預けることができ、子どもの保育園での様子を丁寧に伝えることで、家庭との情報の共有を行い、家庭と保育園が連携して子育てをしていく」を保育園運営の基本として捉えています。保護者には、日々の保育の様子を伝えながら子育てや就労等の個々の事情に配慮して支援を行っています。コロナの影響で送迎時の会話を通した保護者とのコミュニケーションが十分にとれない側面もありますが、保護者との信頼関係を深めていけるように心掛けて、保育参観、クラス別懇談会、個人面談、行事などの開催や実施方法を工夫しています。

秋期は保育参観後にクラス懇談会を行って、保護者同士で悩みを相談しあう時間を作るなどして保護者同士が交流をできるようにしました。こうした機会は保護者と職員の交流の場にもなっています。保護者参加行事は規模の縮小や参加制限を余儀なくされましたが、夏まつり、運動会、クリスマス発表会を実施することができました。年2回の運営委員会には保護者2名が参加し意見交換をしています。「コロナの難しい状況下で保護者の意見をもらいながら園として成長できる機会が得られた」という園の報告を受け、保護者の保育園運営への理解も進みました。

子どもの発達や育児について保護者との共通認識を得られるように、園だより、クラスだより、給食だより、保健だよりを毎月発行しています。おたよりについては、従来通り紙での配布がいいか、新たにメール配信する方がいいかのアンケートを実施し、今年度からメール配信になっています。保育の様子は写真入りのドキュメンテーションで送信し、メールで配信した内容は紙ベースでも見られるように園内掲示をしています。行政からのお知らせ、職員の研修内容や様子なども伝えています。どのクラスがどの公園で遊んだかは本日のお散歩マップでわかります。

クオリスキッズ北千束保育園は東急大井町線の北千束駅のすぐ近く、歩いて1分のところにあります。人通りのある道路に面した掲示板で地域の方へ園の取組みなどの参加を呼び掛けてきました。開園1年目は音楽コンサートを企画し、昨年は“夏休み保育園で職業体験をしてみませんか”の貼紙を見て多くの小学生が来園し参加してくれました。“保育園に遊びに来ませんか”と未就園の子育て家庭に呼びかけた「お話し会」も行ってきました。今年はオンラインで参加していただいています。地の利を得て、地域支援や地域との交流が少しずつ広がっています。

運動会は近隣の赤松小学校の体育館をお借りしました。バルシューレの講師の方が所属する学童クラブにも遊びに行って小学生と交流することができました。子どもが職員以外の人と交流する機会になりました。また、周辺には遊び回れる公園がいくつもあり、子どもたちは自然に触れながら遊んでいます。洗足池公園では自然の中を探検し、クモの巣を見つけたり、セミの抜け殻を拾ったり、カマキリに出会ったりしています。乳児は散歩中に葉っぱや花、電車やトラック、カラスやハトに出会い、公園では、松ぼっくりや木で実で遊び、アリの巣も見つけました。

重要事項説明書の「個人情報の取り扱いについて」で、その定義、収集、管理、利用・提供などの説明をし、利用・提供の内容として園内掲示、写真販売、保育所児童保育要録、緊急時の対応等を明示しています。個人情報を含む重要事項説明書の同意書で保護者の同意を得ています。外部と情報をやり取りする場合は必ず保護者の確認を得て対応しています。また、子どもの羞恥心に配慮して、オムツ交換、トイレ、着替え時は外から見えないようにするなどして対応しています。こうした形で、日常的にも子どものプライバシー保護を徹底できるようにしています。

子どもたちが主体的に活動できるように、子ども同士のやり取りを見守ることを大切にしています。同時に子どもが自分の意見を表現できる場を大切にして、日常保育の中で子ども一人一人を尊重しています。食事や遊びの場面などで、子どもの意志や気持ちを尊重し、個々の意見にしっかり耳を傾けるようにしています。そうした中で、保育目標の「人とのかかわりを大切にし、人に対する愛情や信頼感を育てる」の実現を目指しています。また、子どもと保護者の価値観や生活習慣は個人面談などで聞き取って保育に反映させながら配慮した⽀援を心掛けています。

虐待防止や育児困難家庭の支援に関しては、人の心の機微にも触れる繊細な問題だと捉えています。そうした側面も含めて職員全体での理解をさらに深めていけるように、園内研修や外部研修を重ねていきたいと考えています。虐待防止については、重要事項説明書に「虐待防止のための措置」を明記し、「職員又は保護者による虐待を受けたと思われる子どもを発見した場合は、速やかに、大田区子ども家庭支援課・児童相談所等の機関に通告します」と保育園としての通告義務を保護者に伝えています。これまで事例はありませんが、適切な対応を心掛けています。

重要事項説明書や全体的な計画でサービスの基本事項を明らかにしています。手引書として保育マニュアル（保育、ハラスメント対策、給食管理衛生、避難訓練、事故防止、誤嚥・窒息事故防止等）と保健関係マニュアル（保健業務の手引き、水遊び、感染症、虐待、食物アレルギー、危機管理等）が整備され、わからないことや業務点検などで必要な際には職員がいつでも読めるようにしています。開園３年目、若く経験の少ない職員も多い中で、環境設定、カリキュラム立案、保護者対応などを細かく伝えながら、業務の標準化、業務水準の確保を図ってきました。

提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しは、基本的に年度末に行うことになっています。見直しにつながる課題は職員会議などで話し合い、職員の意見を聞いています。コロナ禍で行事をどう実施していくかは大きな課題でしたが、「できないなら、こうしてみよう」など積極的に意見を出し合いながら行事の開催方法を検討し、子どもの様子や保護者からの意見を反映させることもできました。年度末の見直しもこうした丁寧な形でできるように時期をずらすことも考えています。保護者の意見・要望は運営委員会を通しても受けとめるようにしています。

毎月の職員会議、給食会議、毎週のリーダー会議、行事会議（随時）で職員間の情報共有化をしています。コロナの影響で話し合い時間も制限されがちでしたが、子どもの成長の流れを確認しながら指導計画を確認し、保育環境の設定を工夫してきました。職員の苦手意識を少しでも軽減できるように講師を招いてリトミックの園内研修を行いました。保育現場で抽出される具体的な課題に取り組んでいくことは保育園としてのステップアップに繋がると考えます。チームワークを強化していく上でも、課題ごとの検討委員会を設定し活動していくことが期待されます。