東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

園は２０年前に、保育室としてスタートした。１８年前には都のB型認証保育所となり、現在に至っている。園の入り口に園目標を掲示し、玄関内の壁には、保育方針が掲示してあり、日々保護者や職員の目に入るようにしている。また職員は、保育の振り返りや月目標の作成の際に、「全体的な計画」に記載された保育方針と照らし合わせながら話し合いをしている。利用希望者に対しては、見学や入園説明の際に、パンフレットや入園のしおり、重要事項説明書などで、園の理念・目標について分かりやすく説明している。

予算の編成、職員の採用、職員の異動・配置は法人が行い、それ以外の園運営に関しては、園長・主任・クラスリーダー（０・１・２歳児）からなる会議で、年度ごとの運営方針（行事の方針他）・職員の役割分担・研修計画等を決定し、年度初めの職員会で全職員に伝えている。日頃から、各職員との意思疎通を心がけており、ミーティング等を通して職員の状況・業務の進み具合・園児の状況について把握するようにしている。また状況に即した判断や対応が出来るように、職員・園児・保護者と率先してコミュニケーションをとるようにしている。

重要な案件については、法人代表者・園長・各グループリーダーによる随時の会議により決定している。決定内容と経緯については、月１回の職員会議や月２回のリーダー会議などで職員に伝えている。内容によっては臨時にミーティングを行って、決定事項を全職員に迅速に伝えるようにしている。行政からの重要な内容のプリント等に関しては、すぐに職員に回覧するようにしている。また保護者には、園だより・掲示板・連絡帳・口頭（園長・担任）・保護者向けアプリなどで伝えている。さらに内容によっては、保護者会を開催して伝えることもある。

利用者には年２回アンケートを行い、意見や要望を園の運営に反映させるようにしている。職員については、園長を含めて９名なので、職員会やリーダー会等で意向・要望を収集している。年２回、職員全員と面談を行い、それぞれの職員の仕事や生活の状況や意向・要望の確認をしている。地域のニーズについては、幼・保・小で構成された区の地域連絡会に参加し、情報の収集に努めている。事業所の経営状況については、年度決算の後に社長・取締役・税理士により状況の分析をし、次年度につなげている。

法人の中長期計画は２０１８～２０２２年度の５年計画である。法人の方針として①家庭的な保育②きめ細やかな保育③子どもの個性を尊重する保育、を挙げている。また目標設定と計画には、第三者評価の受審、初任給のアップによる新卒職員の募集、保育事務の?CТ化、認可保育園の新設などがある。なお認可保育園は2020年4月に開設された。法人の中長期計画に基づいて事業計画を策定している。ただ、今まで二園だけだったので法人の事業計画と各園の計画が一体である。2020年度から３園になったこともあり、各園別の事業計画が望まれる。

年度初めに作成した事業計画について、着実に実行されているかを確認するため、年２回（１９年度は６月と１１月）、法人代表・取締役・税理士・保護者代表・各園の主任による運営委員会を開催している。また月案作成の際には、各年齢の年間指導計画と実際の子どもの様子を照らし合わせて、変更する必要がある場合にはクラス会議で理由を確認し、立案に生かしている。ただ、保護者とのコミュニケーション力や計画の立案・作成能力には個人差があるため、園内外の研修に力を入れ、皆が同じような保育サービスが出来るようにすることが必要である。

法人では、「倫理規定」「保育士としての行動規範」を策定して、子どもの人権の尊重、差別の禁止、プライバシーの保護等、守るべき規範や倫理を職員に示している。また職員会議などで、具体的な事例を基に職員の取るべき態度について示している。実際の仕事の中で気になる点は、その都度会議で指摘・説明をして、職員の理解が深まるようにしている。なお、区が発行している「保育のガイドライン」「保育の振り返りチェックシート」を使用して、職員自身が達成出来ているかどうか確認するようにしている。

園では入園時や契約更新時に、重要事項説明書で苦情解決制度の説明をしている。また玄関に意見箱を設置している。さらに年２回保護者アンケートを実施して利用者の意向の把握に努めている。保護者の意向や要望については、どのように対応するのかは園長・クラスリーダー・担任で話し合い、全職員で共有し、登降園時に園長や担任から答えるようにしている。ただ、意見箱を玄関の外に置いたりして、保護者が使いやすい様にするなどの配慮があれば更に良いと思われる。なお外部（行政等）の苦情窓口もあることを知っていたのは、６０.８％である。

法人の三園では、英語教室・リトミック・絵本読み・体操教室を行っており、特色ある事業として力を入れて取り組んでいる。利用者以外の方のお子さんの参加も受け入れ、楽しめる場を提供している。また、地域の方々との交流を大切に考えており、週１回、町内散歩の時には商店の方々に挨拶している。公園などでの外遊びの時には、地域の子育て家庭の親子との交流を柔軟に行っている。それらの取り組みにより、一時保育や入園の申し込みをされる方もある。なお英語教室やリトミックの地域への開放は好評であり、園では今後も継続する予定である。

園では子どもの生命を守ることを最優先に考え、リスクの優先順位は①感染症②事故としている。また今後、想定以上の大災害が起きる可能性が予想されるので、既存の緊急時対応及び感染症マニュアル等に加え、新たに事業継続計画を作成した。それらのマニュアルに基づき避難訓練（毎月）・保護者による園児引き取り訓練（年１回）・水害土砂災害訓練・不審者訓練等を行っている。さらに年１回、保育園が入居しているマンションで「垂直避難訓練」を行い、その際に住民に挨拶する機会を持っている。

園はマンションの一階にあり、０・１・２歳の園児が衝立や戸棚などで仕切ったワンフロア―で生活している。そのため保育を担当している職員全員で全体の子どもの安全を確認出来ている。ただ園庭はないので、晴れた日は出来るだけ近隣にある都立東綾瀬公園などに散歩に行くようにしている。そのため散歩マップを作成し、経路やチェックポイントの確認をしている。万が一、ケガや事故が起きた場合は、ヒヤリハットや事故簿などの記録を全員で回覧し、情報を共有してから、再発防止に向けて話し合いをし、危機意識の向上を図っている。

園では、文書管理規定、個人情報マニュアルを策定して、収集した個人情報の取り扱いや文書管理についてのルールを職員に周知している。保護者から提出された児童票等の紙情報は、ファイルして鍵のかかるロッカーに保管している。ロッカーのカギは園長が所持しており、不在の場合はリーダーが保管している。普段使用する文書等は事務所机やパソコンの下の書類入れに保管している。保育日誌等はタブレット入力にしており、持ち帰りは禁止である。職員の個人情報や財務情報等は本部で管理している。園のパソコンはお便り作成と区のメール確認用である。

園では新卒・３年目・５年目・１０年以上と、それぞれの段階でめざす人材・目標を示した人材育成計画を作成しており、その中でキャリアパスも設定している。また年２回職員アンケートを取り、個々の伸ばしたい分野を把握している。さらにクラス別の「保育の振り返りシート」を出してもらい、それらを勘案してキャリアパスに照らして個々の研修テーマを決定し、年間の研修計画を作成し、研修に参加させている。園内では、リーダー保育士を中心にクラスの課題を見つけ、園長・リーダー・クラス職員の話し合いの中で指導・支援をしている。　

２０２０年４月に今までの園長・主任・保育士２名が、法人が新設した認可保育園に移動になり、リーダーだった職員が園長になった。そのような状況の中で区のキャリアアップ補助金・技能経験加算Ⅰ、Ⅱを活用し、キャリアパスと照らし合わせて、経験と評価に見合った賃金を支給している。また働きやすい職場を目指し、特定の職員に早・遅番が続かないようシフト作成には、職員の希望を聞いている。さらに年２回の職員アンケートや園長面談などで職員の希望や要望を受け止めるなど、日頃のコミュニケーションを大事にしている。

園では、個々の職員の気付きや工夫についてクラスリーダーに伝え、それをリーダー会議や職員会議で全体に伝えるようにしている。また日々の保育や各業務に対しての評価・反省・意見を聞き、話し合いをもち、全体で共有している。職員からも「相談しやすい関係がある」「職員間の風通しが良い」「園長も含めて自由に意見交換できる関係」「全職員が全園児と関わっている」などの声が多くある。なお園では課題がある職員には、その都度アドバイスや支援を続けながら、持てる力が発揮できるような環境作りを今後も続けていく事が必要だと考えている。

園の情報はホームページやパンフレット、園の掲示板など様々な方法で提供している。ホームページでは園の外観や保育室での子どもの様子の写真と園の特徴、施設の概要、アクセス、一日の流れ、年間行事などの項目に詳細なコメントを記して園の情報を発信している。パンフレットはＡ4版を2つ折りした表紙に園の方針や外観の写真、特徴が記載され、中側に園の毎日が登園から降園までの時間割と散歩中の写真や英語教室、音楽教室、絵本読みの内容とシステムが記されている。パンフレットは道路に面した玄関先に置いて誰でも手に取れるようにしている。

園の取り組みの内容はホームページでは行事や保育の様子のコメントに生き生きした子どもたちの写真を添えて伝えられている。英語教室、音楽教室、体操教室、絵本読み等はみんなが楽しく取り組めるカリキュラムであり、英語と音楽を目から耳から歌って踊って楽しみ、成長に合わせて絵本読みを行っていると伝えている。パンフレットでも同様に英語教室、音楽教室、絵本読みについて写真とコメントをそれぞれに掲載して分かり易く伝え、理念は園として子育てのサポートができ子どもの発達、成長を共に喜んでいけることを望み努めていると伝えている。

利用希望者の電話、Eメールの問い合わせや見学は随時受け付けて対応している。電話の問い合わせの際、質問に応じ個別の希望、要望を把握し必要に応じて面接、見学を提案している。園見学の受け入れは園長が対応しパンフレットを基に保育内容等を説明し子どもの様子などを紹介している。今年度はコロナウイルス感染予防のため事前に園の感染予防対策を説明し理解、協力を得ながらの見学となる。見学できない園の多い中、実際に園を見られる機会が設けられていることに喜びの声がある。サービス利用が困難な場合には一時預かりの利用を提案している。

基本的ルールや重要事項の説明は３月から個別面談で入園のしおりや重要事項説明書を基に行っている。サービス内容に関しては入園申し込みの際に重要事項に沿った質疑応答で十分説明し保護者と一緒に確認を行い納得の上で同意を得ている。保護者の意向の確認は入園申し込み用紙、入園前希望記録を作成し要望等を把握している。入園のしおりは園から家庭へのお願いとして①入園時に用意するもの、入園時提出書類一式等②持ち物リスト、毎日の連絡帳、着換え等③園生活を送るうえで注意する事柄、毎朝の検温記録、登降園に関すること等が記載されている。

保育に必要な個別の状況は入園申し込み用紙、入園前の生活状況、家庭状況表、児童票、健康記録等入園時に提出の書類を基に面談を行い把握している。保護者との面接時には提出された書類から慣れ保育やミルク、食事、家庭での様子これからの園生活の見通しなどについて話し合い、入園前聞き取り確認表に記録している。利用開始日からの慣れ保育は個別計画を立て送迎時の保護者とのやり取りや連絡帳での園の様子、家庭での様子から子どもの状態を把握して慣れ保育の時間を調整している。ストレス軽減を図り不安の無いスムースな園生活を支援している。

サービス終了時は今後の予定について幼稚園か保育園への転園を早い段階で、保護者が進めていけるよう子どもの状況や転園先の情報を提供して支援に努めている。子ども達には進級する喜びや期待を持って終了時を迎えるよう配慮を行っている。また、契約解消の申し込みの際は、その後の生活設定を確認しながら必要に応じて助言を行い、保護者の不安が軽減するよう支援している。

子どもの心身状況や生活状況、子どものニーズや課題は入園時に提出された児童票、入園までの生活状況、家庭状況、健康記録などで把握し、入園児面接で確認し入園前聞き取り確認表で記録している。子どもの個別の成長や発達の様子は月案、日誌の個別記入欄に詳細に記録されている。また児童票には期ごとに定期的に記録している。子どもや保護者のニーズや課題は入園時の契約書の記載や面接で把握している。日々の子どもの様子は連絡帳や保護者の伝達、各グループの申し送り表、日誌に記録している。

保育理念「子どもの成長に合わせた個性を大切にする保育を目指す。子ども一人ひとりを大切にし、保護者から信頼され、地域に愛される保育園を目指す」を掲げ全体的な計画を策定している。全体的な計画を基に年間指導計画は園児の姿、ねらい、養護、教育、環境構成、長時間保育への配慮、食育、子育て支援（保護者支援）、園行事及び園事業の項目が４期に分かれて作成されている。職員会議やリーダー会議等で個々の子どもの発達や家庭環境、保護者の要望等を報告し全体で把握し、月案、週案の作成時に見直しを行っている。

子どもの状況等の情報は入園時に提出された書類児童票等を職員全員で確認を行い、アイパットにより日誌、週案、月案、年間指導計画等をチェックし全職員が把握し共有している。計画に沿った具体的な保育内容や子どもの状況変化については児童票、月案、週案に記録している。子どもたちの状況、体温、食事量、睡眠時間、排泄などの情報は日誌、連絡帳に記入し、個々の様子は児童票等に記録し職員間で共有し子ども個別の支援に生かしている。朝の受け入れ時や降園時の申し送りや引き継ぎ等は各グループ申し送り表に必要事項を記入し情報を共有している。

子ども一人ひとりの発達の過程や生活環境は入園時提出の児童票、入園までの生活状況、家庭状況、健康記録等を基に面談で聞き取り確認し面談表に記録している。記録された情報や朝の受け入れ時の連絡事項や連絡帳などで子どもの様子を把握し、家庭と園の連絡を密にしながら子どもの全体的な姿に沿った保育を行っている。日々の子どもの様子は保育日誌に記録されている。１歳児がクリスマスコンサートでチェロの低音を聞いた時「わぁ」とびっくりしたり、チェロの音色に聴き入り最後までうっとり見つめていたりしている子どもの姿を記録している。

子ども達が自分の思いや気持ちを自由に発揮してそれぞれの遊びや活動に主体的に参加できるよう保育室の保育環境を整えている。自発的、自主的に遊び込めるよう子ども自身が手に取れる場所に玩具を設置している。子どもが自分の好きな遊びや活動を選べるように静かに落ち着いて遊ぶままごとや絵本、ブロックなどと平均台やトンネル、ボールプール、マット等動きのある遊びを室内の玩具や遊具の配置や入れ替えを行って工夫している。訪問時に、広いスペースを使った音楽教室のリトミック遊びに嬉々として体を自由に動かしている子どもたちの姿があった。

子ども達はワンフロアの保育室内で異年齢児で関わる場面が多く、日々の生活の中で小さい子への思いやりや年齢の高い子へのあこがれなどお互いを認め合う心が育まれている。外国人教師による英語教室は日常とは異なる言葉や歌を通して異文化に対して子どもたちが興味や関心を持てるよう配慮している。配慮が必要な子どもの保育に当たっては一人ひとりと向き合いその個性を尊重して取り組めるよう、様々な研修に参加し学びの共有を行っている。成長の過程で生じる子ども同士のトラブルには状況把握を丁寧に行い互いの気持ちを大切に援助を行っている。

登園時には保護者と会話を交わし気になる様子や体調、機嫌等を直接聞いて家庭での子どもの様子を確認し、連絡帳の記載内容なども確認し視診による健康観察を行っている。特にコロナ関連で休み中の過ごし方や家庭内の様子、体調を保護者に確認している。前日の様子などから子どもの体調で散歩など戸外遊びを控えたり、配慮食に変更するなど必要な配慮を行い保育に反映し子どもの健康維持に努めている。保育園と家庭での子どもの様子を丁寧に伝え合い，より細やかな連携を図り一人ひとりの子どもに応じた保育を行っている。

発達過程を踏まえ子どもの意欲や気持ちに添いながら基本的生活習慣の習得に向けて子どもの育ちを援助している。食事、排泄、着脱等の基本的生活習慣の自立は個々の発達の状態に合わせ、家庭での様子や保護者の意向に配慮し園と家庭と連携しながら無理なく進めている。食事はスプーンとフォークを使って食べきれる量を個別にセットし、苦手なものは少量からチャレンジしている。１歳児の後半からトイレトレーニングを始め２歳児はパンツで園内は過ごしている。着脱は１歳から「ぬぎ、ぬぎ」の声掛けをしズボンを脱ぐことから始め自分の物は持ってくる。

子どもたちの生活リズムの中で遊び、食事、午睡、休息等に配慮を行っている。子ども一人ひとりの生活リズムや睡眠状態は朝の受け入れ時に把握し年齢、体調、機嫌など個人の様子に合わせて午睡に入るよう配慮し、必要な場合には午前寝などの対応を行っている。午睡は夜の就寝時間が遅くならないよう配慮している。うつ伏せ寝など睡眠時の見守りチェックは午睡チェック表に記録している。お迎え時には保護者とのコミュニケーションを丁寧に行い、各グループ申し送り表を基に直接口頭でその日の子どもの様子やエピソードなどを伝えている。

子どもたちが自発的に遊びたい意欲を培えるよう配慮した玩具や絵本を用意している。季節や成長に合わせ興味、関心を持っているものの状況を見ながら、子どもの発達や興味に沿った遊びができるよう保育環境を整えている。子どもたちが自分の遊びを自由に選択し遊び込めるように子どもの好きな絵本やおもちゃなどを手に取りやすい目の高さ、場所に設置している。年齢に合わせた手作り玩具を用意し年齢別に分かれ、０歳児はマラカスなど音の出る楽器で手を動かす遊び、１，２歳児はボタンや洗濯バサミなど指先を使って製作や遊びなどの活動を行っている。

子どもと保育者が一緒になって遊ぶ中で遊びの楽しさを共感したり、おもちゃの取り合いで等で互いの思いを伝え合う関わりを体験している。外部講師による活動は生活や遊びが豊かに展開するよう配慮し英語教室は週２回、音楽教室は週１回、体操教室は月２回実施している。全員参加の集団で行い各活動を通じて体で表現する楽しさを友だちや保育者と一緒に楽しんでいる。また日常の絵本の読み聞かせとは違う週１回の絵本読み会には全員で参加し言葉を聞く心地よさを味わっている。訪問時、音楽教室が行われピアノや歌に合わせ体を動かす姿が見られた。

園のホームページやパンフレットに保育園の周りには自然がいっぱいの広い公園がいろいろありますと紹介している。天候の良い日は毎日散歩や公園遊びを行い自然に触れたり季節の変化を体感している。公園ではかくれんぼやかけっこ、ボール遊び、砂場遊び等を楽しんで心身の発達が促されるよう配慮している。日常保育の中で活動や生活の流れを分かり易く伝え見通しを立てて活動等に参加できるよう配慮している。外を歩く時には交通ルールがあることを伝え、散歩や外を歩く時は手を繋ぐことや挨拶を交わすことなどを約束事として守る力を育んでいる。

日常保育の中で子ども達が興味を持って遊び楽しんでいる事柄を行事に取り入れている。行事を行う時には年齢に合わせた絵本や紙芝居などの導入や制作や室内の装飾などで子ども達が興味や関心を持って取り組めるよう配慮している。子ども達が楽しむ季節の行事は入園の会、遠足、子どもの日、リトミック七夕とクリスマスのコンサート、運動遊び、買い物ごっこ、クリスマス会、節分、発表会、ひな祭り、お別れ会があり季節の行事食を同時に楽しんでいる。例年では（七夕、クリスマス）コンサート、運動遊び、買い物ごっこ、発表会には保護者の参加がある。

保育の中で子ども達の思いを十分汲み取り子ども自身がやり遂げたことを喜び味わえるよう配慮し工夫している。子ども達は運動遊び、お買い物ごっこ、発表会など事前に準備を楽しみながら行い、当日は「デキタ！」とやり遂げたことを認め合い友だちや保育者と一緒に喜びを味わっている。お買い物ごっこは２歳児を中心にテーマを決めて制作し売り買いをする。今回のテーマは「スイーツいっぱいおしゃれな商店街さくらんぼストリート」で、ドーナツ屋、クレープ屋、メガネ屋が開店する。今回はコロナウイルス感染予防のため子ども達だけで行っている。

保護者には年間行事予定表を年度初めに配布している。行事の案内は園だよりやお知らせボードなどで行事の内容や子どもたちの様子などを伝えている。また入園時、保護者会等で行事の説明を行って理解を得るよう周知し、事前に園だよりで詳細を伝えている。例年では保護者が参加できるコンサートやお買い物ごっこ、運動遊び、発表会等で子どもの成長や友達との関わりなどを見る機会とし、園の方針や保育の理解を深める場としている。２歳児の保育参観は参加者を３回に分け英語、体操、リトミックの活動を見て、保護者と一緒の七夕制作を楽しんでいる。

生活リズムの中で長時間保育の子どもがゆったり寛げる環境になるよう配慮している。午前中は散歩など戸外活動を中心にリトミックや体操などで十分に体を動かして過ごし、午後はお部屋遊びで過ごす等の毎日の生活リズムのプログラムを行っている。０歳児は朝、夕の様子を見て睡眠を取り、朝早く登園する子どもは午前寝をするなど個々の疲れや思いを受け止め家庭との生活リズムの連続性に配慮している。保育時間の長い子どもが不安になったり寂しくならないよう気持ちを切り替える工夫として音楽をかけたり少人数でしか遊べない玩具で遊んだりしている。

子ども達の大半は契約時間の17時で降園し長時間保育の子どもの数は少なくなる。遅番の子どもが最後まで保育園で好きな遊びができるよう工夫し保護者のお迎えまで楽しく過ごせるよう配慮している。子どもの様子に合わせ子どもの心に寄り添い、子どもが自由に遊び楽しく過ごせるよう見守り援助している。異年齢合同保育を行うのは朝の受け入れ時と夕方の延長保育時間であるが、日常的に混ざり合って遊びあう異年齢保育を行っており、年齢に応じて用意されている絵本やおもちゃなどで一緒に遊び子ども同士で楽しんで過ごしている。

子ども達はテーブルの席には自分で自由に場所を選んで着席し、落ち着いて食事を楽しんでいる。１テーブルに職員一人が関わり食事は個々のペースを大切にしながら子ども達とのやり取りを楽しみ、明るい雰囲気の中で食事ができるよう配慮している。今年度、食事スペースはコロナウイルス感染予防のため限られた空間でのソーシャルディスタンスの工夫をパーテーションで飾り仕切りをして飛沫予防に努めている。季節の行事食は七夕のソーメン、月見団子、くりすます、七草がゆ、ひな祭り、子どもの好きなメニューでお別れ会食等があり味わい楽しんでいる。

アレルギー除去・代替食、月齢や発達に合わせた離乳食、体調に応じた配慮食など必要に応じ個別状況の食事を提供している。アレルギーがある場合は保護者、担任、園長と面談し医師の指示に基づいた除去・代替食を提供している。離乳食は初期食（ゴックン）中期食（もぐもぐ）後期食（カミカミ）の各献立で子ども達の成長に合わせ無理なく進めている。味覚を育てる乳幼児期の食事作りを意識して栄養のバランスを考え、旬の食材を取り入れた手作り給食を提供している。素材の味を生かし自然の出汁などで薄味を基本に季節に合わせた給食を行っている。

食についての興味、関心を育てるための取り組みとして月１回食育活動の時間を設けている。食育活動は年間計画の中で食事のマナーは食前の手洗い、食事の挨拶「いただきます」「ごちそうさま」、食具（スプーン、フォーク等）の使い方を学び、野菜の栽培ではキュウリ、トマト、大葉、ゴーヤなどの苗を植え水やりを毎日行い、さつま芋洗いやトウモロコシの皮むき等野菜に触れる等に取り組んでいる。野菜の栽培記録（苗植えから大きく育っていく様子）を玄関に展示し保護者に知らせると、家庭でも食材への興味が増しているなど嬉しい報告を受けている。

日々の生活の中で手洗いやうがい等の話題を絵本や紙芝居、遊びの中に取り入れて病気やけがの予防について具体的に伝えている。手洗いのやり方ポスターを使って手洗いの大切さを伝え、食事の前や散歩などの外出時、トイレの後に石鹸と流水で行っている。また、食事の前後や散歩から帰ったら口を漱いでいる。虫歯予防デーでは歯磨きの大切さを伝えている。訪問時に子ども達が手洗い場で石鹸を泡立て流れる水に手を差し伸べて洗う姿が見られた。手洗いを一人ではまだ十分にできない子ども達には声掛けや一緒に洗うなどの援助を行っている。

毎日の子ども達の状況は登園時の視診チェックや気になる様子、体調、機嫌等を保護者との会話や連絡帳により確認し健康状態を把握し記録している。毎月の身体測定で健康管理を行い子ども達に大きくなったことを伝え一緒に喜び成長の記録としている。嘱託医による全園児の健康診断は年２回、歯科医師による歯科検診は年１回実施している。検診の結果については児童票や健康記録に記載し、嘱託医には子どもの健康に関しての相談をしたり助言を得たりして健康の維持管理に努めている。医療的ケアを必要とする子どもについては嘱託医に連絡し相談している。

入園時の健康診断と健康調査表に基づく面談で子どもの健康状態を十分把握し、入園時の説明会で乳幼児に多い感染症やＳ?ＤS（乳幼児突然死症候群」の情報や保育園で気を付けている事柄などを伝えている。Ｓ?ＤSの予防に関してはうつ伏せ寝など睡眠時の見守りチェックを０歳児は午睡中呼吸確認の器具を付けて５分毎、１・２歳児は１０分毎の目視を行い記録している。季節の感染症や保健に関する情報は園だよりの中で伝えている。玄関の掲示板には予防接種の案内などのポスターや感染症情報のお知らせ等を掲示し保護者の注意を喚起している。

保護者個別の事情は個人面談や連絡帳、日々の会話から把握し、職員は情報を共有し保護者に合わせた支援を行っている。子育てや就労の悩み、病気など保護者個々の事情を踏まえて状況に応じて園長、担任等が面談し柔軟に対応し支援している。保護者の状況や子どもについて具体的な様子は日々の会話のやり取りから聞き取り、子どもが園生活を家庭との連続性を持って安心、安定して過ごせるよう配慮し支援を行っている。保護者の就労における急な変更にも柔軟に対応して安心して預けられるよう配慮している。アプリの導入により連絡等が容易化している。

例年は保護者同士の交流の機会として年２回の保護者全体会と懇談会、日常保育の参観、園の行事七夕とクリスマスのコンサート、お買い物ごっこ、運動遊び、発表会への参加がある。参加した保護者同士は子どもの育ちの姿や園での様子、子育てについて喜びや悩みなどについて言葉を交わし情報交換を行って交流を深めている。職員は保護者支援の研修を受けやり取りの際の大切なことを学び、日々の送迎時における会話や連絡帳でのやり取りを丁寧に行うよう努めている。職員は日々のやり取りを通じて構築した保護者との信頼関係を大切にし交流を深めている。

子どもの発達や育児について保護者会の中で時間を作り、テーマを決めて共通認識を得る取り組みを行っている。グループ別懇談会で悩みや相談を話し合いながら共通認識を図っている。テーマのある勉強会の学びは早寝早起き、朝食をとるなどを話し合い、育児指導や食育での離乳食の作り方等を行っている。子どもの発達や成長の姿を実際に体験できる保育参観や園行事への参加は、園だよりで行事予定を知らせたりお知らせボードに掲載して声掛けを行っている。行事以外に保護者の保育活動への参加は音楽教室、英語教室、体操教室等にお誘いしている。

地域資源として園の周りに数多くある広く自然豊かな公園を活用している。天候の良い日は毎日散歩や公園遊びでかけっこやボール遊び、かくれんぼ、砂場遊びを行い、花や木の実など自然の植物に触れて季節の変化などを体験する場としている。散歩の道すがら出会う地域の方々との挨拶や会話のやり取りでの交流や街を歩く中で目にすることや耳にすることで様々な体験をし子どもの世界を広げている。自衛消防訓練では消防署員の来園があり、消防自動車の身近での見学や消防隊員に子どもたちが質問したりの交流を行い貴重な体験となっている。

地域の方たちに園の特別保育事業の音楽・リトミック教室や英語教室、体操教室、絵本読みに参加を呼びかけ一緒に活動を楽しんでいる。玄関にパンフレットを置いていつでも園見学ができることを知らせて随時受付を行っている。今年度は園のコロナウイルス感染予防対策を伝えて事前に理解と協力を得ての参加と見学となっている。地域の行事への関わりとしては例年、地域の公園で行われるお祭りに見学の参加をしている。地域環境もあると思われるが更なる地域と関わる機会、活動などの工夫を期待したい。

個人情報の取り扱いや情報管理は「個人情報保護の基本方針」「個人情報マニュアル」に基づいて子どもや保護者のプライバシー保護を行っている。入園時や契約更新時に個人情報の内容や利用目的、提供先の制限等の説明をし、使用について同意を得ている。保護者から提出された情報はファイリングして個人情報に関わる書類は鍵のかかるロッカーに保管している。子どもの羞恥心についてはおむつ交換や着換えなどの際は目隠しの仕切りを用いたり、他から見えにくい場所にしたり、テラスの水遊びでは不審者対応の目隠しを行うなどの配慮をしている。

子どもを尊重する保育のためにチェックシートの提出を毎年実行している。チェックシートでは虐待等の行為に関しては子どもに対して威圧的、命令的、否定的な言葉づかいをしていないなどを細かい項目でチェックし、虐待、ネグレクト等の早期発見に関しては長期欠席の子どもの状況把握について等の細目があり、プライバシー保護では個人情報保護について職員全員で確認し十分配慮している等のチェックがある。保護者の価値観や要望には丁寧に対応し離乳食など食事の進め方やトイレトレーニングの進め方等は保護者の意向、要望に沿って行っている。

虐待防止や育児困難家庭への支援に向けて虐待に関する研修に参加し、全職員に周知し理解を深め、日々子どもの変化や様子に留意している。虐待防止マニュアルの中の子どもの虐待発見チェックシート５０では、火傷、骨折、アザなどの目で見てわかる身体的な虐待以外に、ネグレクトや心理的虐待、性的虐待などの発見しにくい虐待を発見するシートで、不安定な養育環境にいる子どもの特徴と親自身が問題を抱え自立した養護が出来ない保護者の特徴が記載されている。毎朝の視診、体調確認と共に心の健康状態の把握に留意し虐待防止の支援に努めている。

法人共通及び園のマニュアルが策定されている。マニュアルには苦情対応、感染症予防、児童虐待対応、緊急時対応、ボランティア、実習生指導、食物アレルギー対応、年末保育、特別保育、散歩、給食、新人等々多岐にわたってマニュアルが作成されており、組織で共通理解を図っている。随時読み合わせを行い、全職員が把握する業務の標準化を目指している。月案、期毎、年度末等の評価反省の都度リーダー会議や職員会議等で話し合いの機会に全体で点検、見直しをしている。不明な点がある場合にはマニュアル等を活用し全職員で話し合いを行っている。

提供しているサービスの基本事項や手順等の見直しはリーダー会議や職員会議等で行っている。日々の保育、子どもの様子を踏まえてより良いサービスの向上を目指して話し合い全体で点検、見直しを行っている。行事後のアンケートや個別の面談を通じて保護者の意向を聞き取り柔軟に対応し、要望や提案を反映した保育に努めている。職員や保護者等の意見を反映した保育の見直しを行いより良いサービスの向上を目指して日々取り組んでいる。保護者アンケートにコロナ禍の中、園行事を中止せずいろいろ工夫して実施したことを評価する声がある。