東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

保育方針として育てるべき力を「思いやりと優しさを持つ子」「豊かな感性を持つ子」「創造的に自己表現できる子」「国際性豊かな子ども」「挨拶のできる子」「進んで行動できる子」として明文化している。また、本物体験の大切さを重要視した様々な取り組みや異年齢児交流・年齢別保育を融合させたマトリクス保育を保育手法としている。未来に必要とされる「21世紀型スキル」や「非認知能力」に注目したアプローチも行われている。これらのことを入社前の研修から折に触れて職員に伝えており、理念や基本方針が記載さハンドブックを携帯させている。

理念・方針はエントランスに提示しているほか、保護者に対しては、入園案内を配付して、理念・方針・サービスの内容等を解り易く説明をして、同意書を提出していただいている。入園前の面談・入園式・個人面談などの機会に、折に触れ話をして理念・基本方針等についての理解を促している。保護者参加の行事を通じて、一年間の保育についてまとめた映像を写し、保育理念・保育方針の実践面を見ていただく機会を作っている。また、園だより等の配布物でも保育理念・保育方針の実践面を伝えている。

保育事業本部を置き、経営企画部・経営管理部と連携して関東圏を中心に33施設の運営を行っている。コロナによる緊急事態宣言発令時には、代表から全スタッフに手紙を出し、生活を守ること(勤務調整など)を伝え、社会に欠かせない保育を緊急時にも守っていこうと呼びかけた。また、園運営を、代表を含む本部職員が巡回して確認しているほか、全施設の管理者会議で状況報告や課題の解決に向けた協議を行っている。現場の問題は園長によって集約され報告されている。その他、献立会議や研修委員会等で意見・提案を収集して意思決定が行われている。

運動会、発表会等の保護者参加型の行事後はアンケート調査を行って、意向の把握に取り組んでいる。園全般についてもヒアリングを行い保護者からの意見は、集計・分析してサービスに対する満足度や問題点を明確にしている。また、個人面談で家族・保護者からの相談があった場合、日誌にその内容を記載して、月ごとにまとめて傾向を分析している。集約された内容は、保護者から見たサービスの現状・問題として、職員会議で報告・検討されているほか、全施設の保育園長・主任を集めた会議でも報告され、もし問題点があれば迅速な対応を取っている。

事業所運営において予算編成などの経理の専門知識が必要なものについては、本部の経理部門が全面的にバックアップすることで、適切な運営が行われている。また、保育の実践面については、職員会議で内容によりボトムアップ方式を採用し、職員の意見を引き出す仕組みがあり、現場職員の意見を大いに反映させて計画を立案している。さらに、実行委員会制度により、勤務年数等にこだわらず職員がグループ全体の行事などに関わる機会を設けている。大きなイベントの企画・運営に関われことでスタッフが様々な経験をする機会となっている。

地域の保育ニーズについて、園長が区役所（行政）からのメールやＦＡＸなどで情報を得るほか、地域の私立保育園協会に参画し、情報収集している。本部の広報からも保育業界の動きや保育に関係する行政の動向について情報収集を行っている。さらに、本部のバックアップ体制やグループ園との連携により、業界動向の情報をいち早く入手できる環境である。地域ネットワーク内での共通課題については、園長が主体となり対応すべき課題を抽出し、職員会議にて検討を行っている。区役所保育課との連携で、協働して取り組めるような体制を整えている。

経営理念、保育理念、保育方針、保育目標、ミッションステートメント、コビースタッフ十戒、就業規則、保育倫理規定などは、日本国憲法や児童福祉法等の守るべき法令に基づき作成され明文化されている。全職員に対して、入社前の研修にはじまり、年次別研修など様々な研修等の機会に反復的に確認を行うほか、コビースタッフの十戒の始めの文章に、人権擁護の考えを入れるなど、法・規範・倫理をわかりやすくまとめてハンドブックに記載している。職員は、携帯することで何時でも振り返れるようになっている。

苦情解決システムを導入し、会社案内や入園案内に記載し説明しており、苦情解決に対する園の積極的な姿勢を示している。また、わかりやすい案内を、保護者から見える場所に掲示・4月号の園だよりに掲載している。園内だけで解決できない内容の苦情については苦情解決システムを利用していただき適切な対応をとる体制をとっている。また、保護者一人ひとりの意見・要望・苦情に対する解決のため、苦情対応マニュアルを置き、職員一人ひとりが苦情に対する理解を深め、適切な対応をとる体制を整えている。

利用者の気持ちを傷つけるような職員の言動が行われることの無いよう、複数担任制とし、常に複数の職員による保育を行っているほか、マトリクス保育により、職員全員が子どもの状況を把握できる体制がある。また、職員の自己評価を年4回行い、日常の言動を振り返る機会を作っている。虐待が疑われる利用者の情報を得たときや事実を把握した際には、責任者が虐待対応マニュアルに沿い本部からの支援を得るほか、関係機関とも連携をとっている。コロナ禍で自粛期間となり子どもが家庭内で過ごしていた時期は、電話で様子を確認する取り組みを行った。

防災・防犯マニュアル・安全対策マニュアル・感染症対策マニュアルを策定し、消防署や警察・保健所等と密接な連絡体制を整えているほか、職員の役割分担・指示系統を明示している。職員は救命救急講習を受け、緊急時の対応が取れるようになっている。区からの不審者情報をはじめ事故、感染症の事例や情報を組織として収集し予防に努めている。また、消防と連携した地震や火災、自然災害を想定した避難訓練は月1回以上行っている。災害時の連絡方法として携帯メール・保護者用発信文書なども用意している。

非常災害計画として地震、火事、風水害を想定したマニュアルを作成している。その中では園長・主任が不在でも指示系統が混乱しないように役割が明示されている。また、震度3以上の地震が発生した際には、全園児の安全確認と園舎全体の点検を行い、グループのエリア担当園に連絡することとしている。最終的には本部が災害対策本部として機能し、園児の安全の確保と保護者との連絡業務を担う体制が取られている。コロナ対応については、迅速な判断のもと必要備品の確保、スタッフのマスク着用や保護者のエントランスでの手指消毒の徹底を進めた。

個人情報保護法の基本的概念等を踏まえ、個人情報保護に関する内部規程が作られている。また、保護者には、個人情報の利用目的について入園案内等で明示している。園だより、ホームページ・ブログ等に掲載する写真についても、入園時に写真利用の承諾確認書の提出をお願いしている。また、職員が個人情報保護の概念を理解し行動できるように、内部規程をハンドブックにも記載し周知している。実習生やボランティアには、事前オリエンテーションで説明している。情報セキュリティ強化のため、メール配信システムを変更した。

毎年多数の新入社員を採用しており、採用WEBサイトやSNSを使った情報発信など、インターネットを活用した採用活動を行い、動画での園見学や採用担当者からのメッセージ・WEB就活ガイダンス・在職者のインタビュー等で入職後のイメージがしやすいようコンテンツを充実させている。コロナ禍の2020年度は、オンライン説明会を開催したほか、感染対策をしながら保育園をより深く理解できるイベントも実施。採用後の配属希望についても配属希望調査によって確認している。実際の配置は、年明けに、翌年度の園長が集まり配属会議を行っている。

入社案内では事業所の人材育成の方針を明文化している。また、就業規則内に各従業者の職種・役職に応じた職務内容と権限を明記している。事業所が求める職員像をはじめ、人材育成の基本的な考え方や具体的な方向などを定めた人材育成計画を策定しており、入社2年目までの社員にはスキルにあわせたフォローアップ研修を行って計画的な人材育成が行われている。職員一人ひとりの能力向上に関する希望は、各自が「自分自身の課題・目標」を定めて、自己評価シートに書くことで把握され、園長との個人面談によって、達成の度合いや振り返りを行っている。

着任前研修、入社年度別の研修、男性研修、調理員研修、役職者研修、委員会研修（園だより、室内環境、体育など）を行い知識・技術の向上を図っている。また、指導を担当する職員に対しては、キャリアに応じた研修内容となっており、中級保育士以上はリーダーシップ研修やリーダー育成研修を実施して、自らの役割を理解してより良い指導ができるよう組織的に支援を行っている。評価と処遇については、職務内容と評価基準、評価方法が連動して定められており、ＨＲＤ部でも職員の能力の理解に努めて偏りの無い評価を行う体制が取られている。

法人のホームページには、保育理念・保育方針・保育目標・特徴的な保育・施設概要などが掲載されている。区の保育課には、開園時間や延長保育時間、定員や現在の受け入れ人数などについての最新情報を定期的に伝えており、その内容は区のホームページに掲載されている。さらに、区が発行する保育施設の利用申込みをする人向けの案内冊子「別冊保育園等一覧」や「認可保育園・保育時間等一覧」にも基本情報が記載されている。様々な媒体を経由して確実に利用希望者に対して園の情報を提供している。

利用者にとって必要であると思われる情報は、重要事項説明書を兼ねた入園案内に記載されており、保護者が理解し易いようにしている。行っている保育の特徴などが箇条書きで記載されているほか、写真や表を取り入れている。法人のホームページは、視覚と聴覚の両方からより理解しやすく園の保育に関する情報を掲載している。動画・写真・コラム・レシピなど豊富なコンテンツが用意されているほか、SNSや動画サイトにも積極的にコンテンツを掲載している。

利用希望者等の問合せはや園見学には、主任または園長が対応し、利用者のニーズに応じた説明対応をしている。園見学は随時受け付けており、見学希望者が希望する日程で調整している。実際の見学では、園舎の見学はもちろんのこと、行っている保育・保育理念・保育目標、重要事項等の説明を行っている。今年度については、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、園見学は実施せず、利用希望者に対し入園案内を兼ねている重要事項説明書を送付し、質問に対して受け答えをすることとしている。

サービス開始前に、個別面談を保護者の希望する日時で感染防止対策を行ったうえで行っており、重要事項説明書（入園案内）を保護者に配布して、開園時間・延長保育・アレルゲン対応・薬のお預かり・登園できない感染症などを、内容に不明な点がないか確認しながら説明している。保護者が説明した内容に同意したら、同意書に署名と捺印をしていただき、提出してもらっている。個別面談はサービス開始後も随時受け付けており、サービス内容の確認を行うことができるようになっている。

サービス内容に関する説明の際に、保護者から様々な意向が示されることがあり、その内容を記録用紙に記録したうえで必要な情報は職員に周知されている。特に、アレルゲンへの対応について要望が出された場合は、保護者に対して医師が記入する生活管理指導表を提出してもらい、食事の提供に反映させることになっている。また、食に関する意向を把握するために、子どもの好きなものや家庭での生活サイクルや離乳食の食材確認などを含めた嗜好調査を行っている。

サービス開始時には、児童票などに家庭環境や既往歴など、重要な情報を保育支援ソフトに入力し、その内容を日常の支援に活かしている。利用開始直後は保護者の協力得て慣らし保育を行い、保護者の不安や子どものストレスが軽減されるようにしている。卒園によるサービスの終了に備えて小１プロブレム対応を行い、小学校の生活に馴染めない状態が数ヶ月にわたって継続することがないようにしている。例年は、5歳児担任と小学校教諭との懇談会を実施したり、子どもが小学校を訪問して一緒に遊ぶなど交流する機会を設けたりしている。

支援をする上で必要な子どもの情報は、個別面談や連絡帳の記載から把握している。また、子ども一人ひとりの毎日の様子は、クラス日誌や成長の記録（児童票）に記録している。アレルゲンに関しては、少なくとも年1回生活管理指導票を提出するなど情報更新をしている。服薬については、保護者から提出される与薬補助依頼書から情報収集し更新管理を行っている。アセスメントの見直しについては保育記録の評価・反省欄に記入し、PDCAサイクルに基づき常時見直している。

指導計画は、保育理念・保育方針・保育目標を組み込んで作成された全体的な計画を踏まえて作成されている。その際に豊かな体験ができるようにするために、独自の「マトリクス保育」や「異文化交流保育」等を組み込んでいる。月案・週日案・個別案・行事案は各クラスの担任よって作られており、その内容を園長、主任が見直しを行っている。各種計画には、具体的なねらいや内容を明記しており、ねらいを達成するための適切な環境を整えることに努めている。

子ども一人ひとりに関する情報は、クラス日誌・成長の記録・連絡ノートによって共有されている。アレルゲンの情報については、ハンドブックにアレルギー児の一覧が記入できるようになっており、その情報は保育に活かされている。機微な個人情報を始めとする、特に留意すべき情報については、職員会議で報告され、その内容は職員会議録に記載されるとともに、全職員で共有することとなっている。普段行われているマトリクス保育によって、全職員が子ども全員の情報を把握することが出来る体制となっている。

3歳未満児は、個別の指導計画を作成しており、一人ひとりの子どもの全体的な姿の把握に努めている。また、児童票や成長の記録を活用して、一人ひとりの情報を職員が管理・共有を行い統一した支援に繋げている。本年度は感染症の流行により、行政の指示で利用者に登園自粛や休園措置をとっており、自宅で過ごす園児のために、リモート保育として動画での朝の体操、朝の歌をはじめ、サッカートレーニング等の動画を配信している。また、動画視聴時のおやくそく動画も配信するなど、メリハリのある生活習慣がつくような配慮が行われている。

毎日、好きな遊びができるように、自由に遊べる時間を確保し、玩具や遊具も用意し遊びの範囲を広めている。玩具は子どもの発達に合わせ、キャラクターには頼らないものを使用している。園内には1階と2階をつなぐ小窓があり、子どもたちが視覚的に交流できるようになっている。また、子どもがダイナミックに運動できる広い園庭には、季節の野菜を育てる菜園があり食育の環境も整えている。子どもが発達に応じて積極的・主体的に行動し様々な体験ができるよう工夫している。

「マトリクス保育」を実践することで、リーダーシップや思いやりや優しさを育み、年少児は年長児に憧れを抱いて成長することを目指し、年長児はリーダーとしての行動や当番制によって責任感を学ぶ機会としている。身近な言語や文化以外にも触れることができる機会として英語保育を導入しているほか、サッカー保育では運動を通して豊かな体験の機会を提供するなど、多様性を学べる環境を提供している。子ども一人ひとりがそれぞれの得意分野を見出しながら、自発性を発揮できる環境を整えている。

朝の受け入れ時に保護者へ家庭での子どもの様子を確認しており、スタッフの連絡ノートへ記入するほか、職員が参加する朝礼でも報告を行っている。また、受け入れ時には、受け入れマニュアルの手順に沿って視診を実施しており、3歳未満時については検温も行なっている。本年度は感染症の流行に対応し、保護者に朝の体温を記録してもらい感染予防に努めている。降園時には、子どもの当日の園での様子を連絡ノートへ記載するとともに、口頭で保護者へ直接伝えるなど、子どもの様子を保護者や職員が相互に確認できるよう工夫している。

家庭と保育園が協力して情報共有を綿密に行い、子どもに生活習慣が身につくよう支援している。低年齢時は、連絡帳をはじめ食事・排泄等の個別の記録を用いて報告を行うとともに、家庭からも気づいたことや注意事項を記入してもらい情報の共有を図っている。昼食後には２歳児以上は歯磨きを行い、歯磨きの習慣づけも支援している。また、トイレトレーニングは、個別の状況に応じながら家庭と連携し行うなど、子どもの発達に応じた生活習慣の定着を支援している。制服はイメージアップのほかに、ボタンかけなど着脱の練習も兼ねて導入している。

午睡時間は昼食後から15時前後としており、その中で子どもの状況に配慮した休息が取れるよう取り組んでいる。保育室内は快適性に配慮して吸音設計されており、照明や空調によって午睡の環境を整えることに努めている。また、天井に蚊帳を吊るし、室内の空間を仕切ることで落ち着きを感じながら安心して入眠できるよう工夫している。0歳児は睡眠の状況に個人差があることを考慮し、活動する部屋と寝る部屋を分けており、年齢に応じた快適で安全な休息が取れるよう取り組んでいる。

子どもが自主性や自発性を発揮し遊びに集中できるように、ライブラリー・制作・運動遊びなど、目的に合わせて使う場所を変えることができる保育環境が設置されている。また、園庭は伸び伸びと運動ができる十分なスペースが確保され、サッカー保育や運動保育など年齢に応じた週ごとの活動計画が立ててられている。朝の会では1日の生活の見通しが説明され、夕方には一日を振り返り、楽しく過ごすことができたか確認するなど生活にメリハリがつくよう働きかけており、遊びを通して子どもが自分で考え行動できるよう取り組んでいる。

集団活動を通して主体性を学ぶことを目的に、年齢別保育と異年齢交流保育を融合した「マトリクス保育」を実践している。年齢別保育ではしつけや基本的な生活習慣を学び、異年齢児交流保育ではリーダーシップや思いやりを育むことができる。年長児は当番活動を通して号令や菜園の管理などの保育士の手伝いがあり、自分が担当する役割を果たす責任感を養っている。特に最年長クラスでは、他の園児たちのお手本として日々過ごすことにより、下の子どもたちから目標にされ自信を深めるなど、年齢に応じた成長を促す取り組みを行っている。

季節を感じられるプログラムとして、発達段階ごとの活動を定期的に実施している。毎年、春と秋にはピクニックを計画しているが、本年度は感染症の状況により遠方への園外活動は控え、近隣の公園へお散歩をして普段と違う景色を楽しめるよう配慮している。例年、定期的に園庭の木々剪定を行い環境整備に努めているが、本年度は敢えて剪定時期を変更し落ち葉が園庭に広がる様子から季節を感じられるよう工夫している。子どもの感受性を豊かにするために季節の移り変わりを感じられる環境を提供している。

本年度は感染症の影響により、家族や外部の関係者が参加する行事をはじめ、遠足などの園外活動は中止にして、感染予防の徹底に努めている。七夕祭りやハロウィンパーティーなど園内でできる行事は、園内で保護者や外部の関係者の参加を制限して実施しており、行事の様子は動画で確認ができるようにしている。園外活動については、近隣のお散歩へ行った後、園庭へ集合し子どもたちが持参したお弁当を食べてピクニック気分を味わえる工夫を行っている。感染予防の観点から、子ども達だけでも楽しめる特別な時間の提供に取り組んでいる。

子どもたちがひとつのことを協力し合い、やり遂げる喜びや楽しさを感じることができる行事として、運動会や発表会などの大きな行事に毎年度注力している。本年度は運動会など保護者や外部の関係者が参加する行事は中止となっているが、年長児は年度末にダンス発表を行った。また、行事の企画・演出は本格志向にこだわっており、グループ全体で行事の運営をサポートする体制を整えている。大きな行事は準備段階から子どもたちが関わり、みんなで行事を成功させる達成感を感じ、自信をつけさせ、成長に繋げる取り組みとなっている。

行事の内容や狙いについて事前に園だより・手紙の配布・メール配信などによって保護者へ伝えており保護者の理解を促している。また、随時SNSへの投稿により行事やイベントの予告や報告があり、保護者・子ども共に期待感を高める配慮を行っている。行事の終了後には、メールでの連絡や当日の写真をエントランスのディスプレイで放映するほか、専用の写真閲覧サイトで写真を公開している。保護者への理解・協力を得られるよう努め、子どもが意欲的に行事に取り組めるよう工夫している。

園での生活は子どもにとって1日の大半を過ごす場であるため、「第２の家」という考えに基づいて園の作り・支援の内容を考えている。園舎は、子どもはもちろん大人でも心地よく感じられるような環境デザインのほか、日課や生活場面に応じた部屋の使い分けを行っている。園内設備は、天井に吸音効果のある材質を用いるなどして、音に配慮した設計となっている。また、時間や生活シーンごとに照度や色温度をゆっくりと変える照明システムを導入しており、長時間過ごす子どもの生活場面に合わせた環境の提供に取り組んでいる。

園での生活時間が長い子どもは１３時間も園で過ごすことがあるため、安心してくつろげる環境整備に注力している。室内では靴や上靴なしで過ごすことができるようにしており、時間に合わせて変えながら音楽（BGM）を流し、オリジナルアロマにより午前・午後で香りを分けるなど、心地よい空間を演出している。また、長時間保育ではラグなどを敷き、子どもがゆったり過ごせる環境づくりを行っているほか、補色の提供を行い、長時間保育を受ける子どもに安心して情緒も安定させる配慮を行っている。

長時間保育を行う際は、最後の一人まで寂しくならないような保育体制や配慮を工夫して行っている。マトリクス保育により普段から異年齢と過ごすことに慣れているため、合同保育になっても違和感なく過ごせる習慣ができている。また、職員のシフト制により、1日の中で一貫性のある保育が行われるようになっている。子どもが寂しくならないように、室内の照明を全部明るいままにするなどの配慮を行うなど、不安なく楽しんで生活できるよう園全体で子どもを見守る体制を整備している。

２歳児以上は、異年齢児のグループ（ファミリーグループ）で食事やおやつを食べることで、年長児が年少児のお手本になるような食事環境となっている。一つのテーブルに複数の子どもが着席するため、感染症流行期の対策としてテーブルごとにパーテーションを設置し、感染予防を徹底している。食べ残しや偏食は可能な限りなくすように努めるが、強制はせず、毎日の食事の中で長い計画性を持って徐々に改善できるようにするなど、子どもが落ち着いて楽しく食事がとれるような活動に取り組んでいる。

毎月配るメニュー表は、離乳食前・中・後期・3歳未満児・以上児に分けるほか、通常食用・宗教食用・アレルギー食材別と細分化して作成されており、子どもの状態や状況に合わせて配布している。アレルギー食については、食札をつけるだけでなく、職員間で指差呼称とクロスチェックの確認をして配膳を行い、誤食の防止を徹底している。また、アレルギー児や障がい児に対しては個々の状況を全職員が把握し、嘱託医やかかりつけ医の指示のもとに食事を提供するなど、子どもの体調や文化の違いに対応して、安心して食事がとれるよう配慮している。

コビーキッチンスタジオは、調理の様子を間近に見ることができるほか、見学者にも親近感を持たせ、食への感謝を育むきっかけとなっている。園内には菜園があり、ジャガイモ・サツマイモ・ブルーベリーなどを栽培しており、菜園で収穫した野菜で実際に包丁やピーラーを使用して調理の体験を行い、食に対する関心や感謝、調理員との関わりを強め、食育に繋げている。また、今年度より毎月１回から２回の食育の時間を作り、調理スタッフが直接子どもたちに旬の食材の説明を行うなど、子どもが食に対して興味・関心を持てるような取り組みに注力している。

子どもの健康管理に関して保健計画を作成しており、内科検診・歯科検診・身体測定・尿検査を毎月実施している。登園・降園時のマニュアルや感染症・疾病や救急対応マニュアルにより、子どもの健康チェック・危険箇所の声かけ等を徹底している。看護師が在籍して、子どもたちの健康管理を行っており、感染症予防対策として、手洗い・うがい・手指消毒を徹底している。また、室内消毒・換気・密を避けてのソーシャルディスタンスを心がけるなど、子どもたちに声をかけており、安全面や健康面に配慮した保育環境の整備と習慣化に取り組んでいる。

必要に応じて嘱託医や関係機関との連携をとる上で、全職員が適切に対応できるようマニュアルの確認を定期的に行い、体制を整えている。与薬については「与薬補助依頼書」に必要事項を記入したものと医師により処方された薬を専用の薬ケースで１回分だけ預かり、看護師と保育士のクロスチェックにより確認して投薬している。職員の健康管理については、体調・体温・せき・下痢の有無を毎日報告することを徹底し、健康状態の優れない職員は、保育にあたれない体制をとっている。子どもをケガや病気から守り、安心して過ごせる体制を整えている。

子ども一人ひとりの健康維持のため、予防接種の履歴を母子手帳により確認し記録しており、未実施の子どもには、年齢に応じた予防接種を推奨している。また、保健計画をもとに、看護師が保健だよりを発行している。今年度は感染症の流行を受けて、感染症情報を保護者との情報共有システム（かんたんメール）やエントランスのディスプレイなどで発信しており、保護者へ情報提供を行い子どもの健康維持に繋げるよう取り組んでいる。また、乳幼児突然死症候群の対策として、5分間隔のブレスチェックの対応や午睡時等の環境整備に努めている。

子どもの発達や育児についての保護者の不安や心配ごとに対して、個人面談を実施している。個人面談は希望者を対象に実施しており、今年度の感染症流行の状況を見ながら可能な限り随時受け付けられるよう対応している。面談は個室で行い、アクリル板の仕切りを設置し保護者の人数制限をお願いするなど、密を避けた感染予防に努めている。また、忙しい保護者に対しては、「緊密に連携はしつつも負担をかけない」という方針の下で、日常の保育や行事を運営するなど、保護者の個々の意向や状況に配慮した支援を行っている。

保護者との信頼関係を築くことを心がけ、気軽に相談できるような環境づくりに取り組んでいる。保護者へ積極的に声をかけ、コミュニケーションをとって情報共有を図るほか、自宅での様子についても可能な限り情報収集している。今年度は保護者参加型の行事は延期となっているため、必要に応じて電話やメールで状況伺いや情報発信をして、保護者にとって園が身近な存在となるよう努めている。また、全職員が日頃から全園児と触れ合い、担任以外も子どもたちを把握し、園全体で保護者との信頼関係を深める体制を整えている。

日頃のコミュニケーションを大切にしており、保護者と園の共通認識を図っている。また、安心して相談や意向を伝えられる環境を整えている。今年度は特に感染防止対策に力を入れており、保護者へもマスク着用や手指消毒の徹底をお願いしている。保護者との情報共有の方法は子どもの年齢により異なるが、連絡帳などを活用し子どもの発達等について共通認識を得ている。更なる意見・要望・相談があれば、メールを使用して法人本部と直接遣り取り出来ることも案内している。保護者が遠慮なく安心して園と向き合えることができるよう取り組んでいる。

地域資源の活用として、消防署と連携して総合避難訓練を行っており、地域の消防署に協力を依頼し、防災に関する指導と緊急車両の見学等を行っている。また、警察署の協力を得て交通安全教室の開催なども行っている。子どもが消防士や警察官などの職員以外の人と触れ合い、多種多様な経験を通して防災や交通安全に関する意識を持てるよう取り組んでいる。総合避難訓練等によって子どもに多様な体験や交流の機会を提供している。避難訓練の実施状況として、今年度は感染症流行の状況があり、時期をずらして実施するなど状況に合わせて対応している。

地域の子育て支援として、一時預かり保育を行っている。在宅子育て家庭が育児リフレッシュを図るほか、急病の際の子供の預け先として利用することができ、お迎え時には育児相談にも対応している。利用は月曜日から金曜日までの9時から17時までの時間での受け入れ、0歳から５歳児を対象としており、0歳から1歳児の利用が多くある。地域で子育てをする人の負担軽減・不安の解消・緊急時の対応など、保育園の一時預かりという機能を地域に還元し、地域との繋がりを深める取り組みを行っている。

保育園の行事では、地域住民に参加をしてもらうほか、近隣の老人ホームへ訪問するなど、子どもが職員以外の人とも交流できる機会を確保するよう取り組んでいるが、今年度は感染症流行の影響から外部との関わりに制限をかけている。外部との関わりに制限がある中でも、近所の公園への散歩の際など、積極的に地域の方々に挨拶をしており、近隣で農家を営む住民の方からいただいた野菜で旬を学んだり、観察するなどし、状況に応じた地域との関わりを作る取り組みを行っている。

子どもに関する情報は厳正に管理することとしており、外部に提供する場合には必ず保護者の同意を得ている。基本的に写真以外の個人情報が外部に出ることは無い。そのため、肖像権については、ホームページや園だよりなどに写真の掲載をしてよいかどうかを入園時に確認している。写真に名札が写り個人を特定が可能な場合は、該当箇所を塗りつぶしている。入園時に肖像権について確認がとれない子どもであっても、発表会で流す映像などで子ども自身の思い出になる場合は、その都度個別に確認をしている。

写真を外部に出す際には、子どもや保護者にとって恥ずかしいと感じるかどうかに焦点を当てて園と本部でダブルチェックするなど、細心の注意を払ったうえで厳重に管理している。特に、園だよりに水着の写真は載せないようにするほか、服装が乱れていたり、鼻水が出ていたりするなど、不適切である様子が映っている写真は使用しないこととしている。写真を撮影する際にも、子ども一人ひとりに十分な配慮を行っている。

子ども一人ひとりを尊重した保育の提供について、不適切な対応を排除することを職員間で共有している。その際には不適切な対応の排除について明確に定めたハンドブック「コビーの十戒」を使用し、職員自身がこれまでの保育を振り返ったり、年度初めには内容を確認する機会を設けたりしている。虐待防止に向けた取り組みとしては、虐待対応マニュアルに沿って、子どもの服装の乱れやケガ・アザ等から虐待児の早期発見に努め、発見時には園長へ報告し、区の相談員や関係機関との連携を図る体制を整えている。

最も基本的な姿勢を解りやすく記載したハンドブックを始めとして、あらゆる状況で適切な判断が取れるように、業務マニュアル・感染予防マニュアル・衛生管理マニュアル・災害マニュアル・自己管理マニュアル等の細分化されたマニュアルを用意している。さらに、サービスが定められた基本事項や手順等に沿っているかを確認するために、職員の自己評価を年4回行うほか、園長は職員とは別に園長としての自己評価も行っており、必要に応じて見直しを行っている。業務上の不明な点の確認や業務の点検にも各種マニュアルを活用している。

提供しているサービスの基本事項や手順等については、定期的に職員会議で確認したりOJTで指導を行ったりすることにより、職員間での共通理解を図っている。業務に対する基本的な姿勢については、職員が常に携帯しているハンドブックで確認をしている。実際の業務について分からないことが起きた時や業務内容の点検をする必要がある場合には、事務所に置いてある各種マニュアルを閲覧することによって、確認をすることができるようになっている。

サービスの基本事項や手順等は、基本的にはグループ全体で定められているが、それぞれの園の状況に合わせるため、園内で職員や保護者から意見を収集し、定期的にマニュアルの見直しを行っている。その際には、提供している保育の実情に則した内容となるようにしている。特に今年度は、新型コロナウイルスが流行したことに伴い、感染予防マニュアルについては、これまで以上に感染予防対策の徹底を図るべく、見直しを行っている。